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2010年10月18日
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カテゴリ: 洋画(09~)
「ザ・ウォーカー」と非常に似通った映画だということを聞いていたので、多くは期待しまい、と思い見たのです。ただ、シャーリーズ・セロンさまが出演しているので半分義務感で見ました。

01ザ・ロード.jpg
監督 : ジョン・ヒルコート
出演 : ヴィゴ・モーテンセン 、 コディ・スミット=マクフィー 、 ロバート・デュヴァル 、 ガイ・ピアース 、 シャーリーズ・セロン

確かに、件(くだん)の作品のように、世界が滅亡したあとのロード・ムービーであり、途中人間性をなくした者と戦ったり、逃げたりする場面はある。件の作品では『本』を運ぶことが目的であったが、この父親も「火」を運んでいるという。しかし、実際映画を見てみるとこの作品は件の作品とは描いているものが全くちがう。

件の作品は結局アクション映画であり、悪人(ゲイリーオールドマン)から「キリスト教の聖典」を守るという話だった。
この作品には『神』という言葉は確かに出てくるが、実はそれを飛び越えて『人間とは何か』ということを問うていると思う。父親が言う『火』とは具体的な火をおこす技術のことではない。(まだだれでも火をおこせる)「胸にある火」つまり「人間性」、どんなに飢えても人を喰うということはしない、食料を奪うために人を殺しはしない、という最後に残ったぎりぎりの人間性のことである。

この世界がなぜ滅んだのか、どうやって滅んだのか、なぜ家や道路の建造物はそのまま残っているのに、人間や動物はいなくなっているのか、というのは良く分からない。(時々大地震が起きるし、常に空は雨雲に覆われているが、それはなにか関係しているのだろうか)大きな事実は動物も植物も基本的に自然はすべて滅んでいるということだ。だから人間は家に残った缶詰などを見つけて食べるか、食人、しか生き残るすべが無いのである。

基督教文化圏では「文明とは自然を開発した国」という意味があった。しかし、この作品では開発すべき自然が残っていない。そのとき、弱肉強食なのだから、人を食べることも選択肢の一つではないか、そういう考えが生まれてもおかしくは無い。という選択肢も確かにありうるのではある。父親は神の使徒でもなんでもない。普通の父親だ。だから偶然手に入れた多量の食料を守るために危害の加える可能性のない盗人を殺すような目にあわせも厭わない。しかし、息子は純粋に「善き人」であろうとする。このあたりがとても「神話的」である。

シャリーズ・セロンはこのような世の中になったら生きていけない、最初息子を連れて、最終的には独り死を選ぶ。されもひとつの選択肢ではあるが、セロン様にそれを選んでほしくなかった。



この映画の醍醐味は、究極のの選択の中で人間は何を選ぶのか、という点にあり、それはそれで見ごたえがあった。





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最終更新日  2010年10月19日 07時58分01秒
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