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2021年10月09日
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カテゴリ: 洋画(12~)
九月見た最後の3作品。



「MINAMATA」

ラストに世界中の公害訴訟写真が(おそらく現在も闘われている)映し出される。間違ってはいけないのは、この映画は、そういう世界的視野で作られた作品なのだということだ。

日本映画では滅多に見ない「これは事実に基づいた作品」キャンプションが冒頭を飾る。ところが、現像ラボの焼き討ちはホントにあったことだとしても、警官の問答無用の家宅捜索や工場の命令口調の妨害はホントにあったことだとは思えない。あんなに酷くはないと言いたいのではなくて、日本人ならばもっと陰険にやる。その辺りがワールドワイドな作品らしい。真田正之や加瀬亮、浅野忠信、國村隼みたいな大物が参加しているのが、解る。

よく考えたら、水俣の委任状操作、焼き討ち、工場での催涙弾、交渉過程等々、そして2013年の首相による宣言など、これがはじめての日本のドラマなのだということが恥ずかしい。もうまるきり原発映画と同じではないか?

(解説)
伝説の写真家ユージン・スミスと水俣の実話から生まれた衝撃の感動作

ジョニー・デップが、全世界に関わるある重大なメッセージをハリウッドから発信する。伝説の写真家ユージン・スミスと当時の妻が、1975年に発表した写真集「MINAMATA」の映画化だ。ユージン・スミスは、今尚注目される史上最も偉大なフォトジャーナリストの一人、そんな彼が日本の公害病“水俣病”を取材した写真集である。ジョニーは今もまだ続く水俣の危機に当てたスポットライトで、各国で同じ環境被害に苦しむ多くの人々をも照らし出そうと、主演し自らプロデューサーにも名乗り出た。共演は英国の名優ビル・ナイに、日本からは真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子と、国際的に高い評価を受ける実力派が集まった。また、音楽は産業公害に強い関心を持つ坂本龍一が同じ志を持つ者として引き受けた。
人々の暮らしに寄り添ったユージンの瞳とカメラを通して私たちが見るのは、闇に包まれた苦難の瞬間にも、光として浮かび上がる人間の命の輝きと美しい絆。警告と希望を焼き付けた、今こそ体験するべき一本が誕生した。
(STORY)


2021年9月23日
シネマ・クレール
★★★★



「空白」
悪意の押し付け
善意の押し付け
苦しい。観る方がかなり苦しい。

遺族がモンスターになる
という事前宣伝のミスリード

そういう単純な話ではなかった。

衝撃の「空白」が明らかになる

そういう単純な話ではなかった。


その割には、一切テレビ宣伝に出なかった。何故?

非常に「誠実な」作品だった。

私は兄貴がこの夏に死んだ時に、空白の3時間を少しはしゃいで推理した。バカなことをした。

(解説)
はじまりは、娘の万引き未遂だった。


『新聞記者』『MOTHER マザー』のスターサンズが、『ヒメアノ~ル』『愛しのアイリーン』などで、衝撃と才能を見せつけた監督・𠮷田恵輔とタッグを組み、現代の「罪」と「偽り」そして「赦し」を映し出す、𠮷田恵輔監督オリジナル脚本で挑むヒューマンサスペンス。

観る者の心臓をあわだてる悪夢のような父親・添田充を、7年ぶりの主演映画となる古田新太が演じる。土下座しても泣いても決して許されず、人生を握りつぶされていくスーパーの店長・青柳に、古田新太と実写映画初共演となる松坂桃李。その他 出演者には、田畑智子、藤原季節、趣里、伊東蒼、 片岡礼子、そして寺島しのぶなど実力派俳優から、眩しいまでの才能を放つ若手までが揃った。この現代に生きるすべての人々の、誰の身にも起こりえる出来事に鋭く視線を向けた監督・𠮷田恵輔の「脚本」に俳優陣がケレン味なく体当たりした。

日本映画史に残る息の止まる感動のラストシーンに、𠮷田監督最高傑作との呼び声も高い渾身の一作が誕生した。 いちばん近くにいるのに、一番分からない。それでも、父親でありたかった。

STORY
スーパーの化粧品売り場で万引きしようとした女子中学生は、現場を店長の青柳直人(松坂桃李)に見られたため思わず逃げ出し、そのまま国道に飛び出してトラックと乗用車にひかれて死亡してしまう。しかし、娘の父親(古田新太)はわが子の無実を信じて疑わなかった。娘の死に納得できず不信感を募らせた父親は、事故の関係者たちを次第に追い詰めていく。
キャスト
古田新太、松坂桃李、田畑智子、藤原季節、趣里、伊東蒼、片岡礼子、寺島しのぶ
スタッフ
監督・脚本:吉田恵輔
音楽:世武裕子
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
プロデューサー:佐藤順子
アソシエイトプロデューサー:山本礼二
ラインプロデューサー:道上巧矢
撮影:志田貴之
照明:疋田淳
録音:田中博信
キャスティング:田端利江
装飾:吉村昌悟
衣装:篠塚奈美
ヘアメイク:有路涼子
助監督:松倉大夏
制作担当:保中良介
題字:赤松陽構造
編集:下田悠

2021年9月26日
MOVIX倉敷
★★★★




「アウシュヴィッツ・レポート」

「過去を忘れる者は、必ず同じ過ちを犯す」(ジョージ・サンタヤナ)
元ドイツ大統領の言葉ではない。それよりもかなり厳しい言葉である。それが冒頭に示される。そして、エンドロールで歌は流れない。。代わりに、直近の有名政治家のあらゆる「ヘイトスピーチ(当然トランプのそれもある)」が流れて終わった。移民を許せば国家が不幸になる、という様な言葉が延々と五分以上続くのである。

その間に映し出されたのは、目も背けたくなる様なアウシュヴィッツの実態だった。レポートを書いた二人の逃亡は、実は映画の1/3に過ぎない。2/3は残された人々のドイツ軍人からの報復の様な虐待である。まるまる三日間9棟の約50人は立たされたまま、逃亡の情報はないか、絞り出されるのである。当然人は死ぬ。おそらく5人は死んだ。それよりも生きている方がつらい。真冬の中三日間立つことは想像できない。

死体処理班(コマンダー)が命がけで収集し、命懸けで運び込んだ証拠や証言も、1944年5月段階の連合国首脳部を動かさなかった。12万人が助かった、彼らの英雄行為を讃えるかの様なCMが流れているが、彼らの要望は、一瞬でも早くアウシュヴィッツ自体を彼らの仲間ともども空爆して欲しい、ということだった。今の倍する犠牲者を出さないために。結局、アウシュヴィッツの犠牲者は600万人に及んだ。現代よ忘れられない悲劇だろう。

(解説)
1942年にアウシュヴィッツに強制収容された二人の若いスロバキア系ユダヤ人は、1944年4月10日に実際に収容所を脱走し、アウシュヴィッツの内情を描いた32ページにも渡るレポートを完成させた。収容所のレイアウトやガス室の詳細などが書かれたレポートは、非常に説得力のある内容で、このレポートは「ヴルバ=ヴェツラー・レポート(通称アウシュヴィッツ・レポート)」として連合軍に報告され、12万人以上のハンガリー系ユダヤ人がアウシュヴィッツに強制移送されるのを免れた。本作の監督は、スロバキア人のペテル・ベブヤクが務め、本年度アカデミー賞国際長編映画賞のスロバキア代表に選出された。脱走する二人のスロバキア人は、『オフィーリア 奪われた王国』のノエル・ツツォル、新人のペテル・オンドレイチカが熱演。二人を救済する赤十字職員ウォレンには『ハムナプトラ』シリーズのジョン・ハナーが好演している。

(ストーリー)
1944年4月、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所。多くの囚人にとっては変わらない朝だったが、遺体の記録係をしているスロバキア人のアルフレートは、日々多くの人々が殺される過酷な収容所の実態を外部に伝えるため、同じスロバキア人のヴァルターとともに脱走を実行した。脱走が明るみになり、残された同じ収容棟の囚人らは、何日も寒空の下で立たせられ、ラウスマン伍長から執拗な尋問を受けていた。仲間の助け・想いを背負った二人は、なんとか収容所の外に脱走し、ひたすら山林を国境に向けて歩き続けた。今にも倒れてしまうほど疲弊していたが、奇跡的に助かり、赤十字によって救出された二人は、赤十字職員のウォレンにアウシュヴィッツの信じられない実態を告白しはじめた。果たして、彼らの訴えは世界に届くのか-。

2021年9月30日
シネマ・クレール
★★★★















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最終更新日  2021年10月09日 16時26分58秒
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