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第一話「桜姫」http://www12.plala.or.jp/Main12345/こちらにも発表しています
February 29, 2004
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第一話「桜姫」トクン「帝、遅くなりました」夢。赤い涙を流して赤い着物を着てトクン「お前は」何時もの夢。悲しそうな微笑で見詰るトクン「この国を滅ぼすならば我が屍を越えていけ」静かで強い口調トクン「桜姫」それがその女の人の名前なの?その男の人の言葉トクン「スマナイ桜姫」また別の人が、そしてトクン「ズガーン」と拳銃の音が、これは都が教えてくれた。トクン「・・・総・・・一郎・・・」トクン「私は信じる たとえ何百回、何億回、裏切られても私は信じる」赤い水の中に倒れる悲しい微笑のまま私は目覚める。私は泣いている。「夢見たのね」都の声がする。「大丈夫」優しく私を抱き起こす、都の吐息が耳に掛かる。柔らかい手が頬を撫でる。「おはよう都」いつもの朝の挨拶「その男の人カッコイイの、あっ二人居るんだったね」いつも都が私の夢の話しをよく聞いてくる。「一人はお爺さんでもう一人は若い人なのだけど声が似てるの」私達は櫻花学園の制服に着替えながらそんな会話をしている。私は腰のリボンがお気に入り。「総一郎て三年のあの総一郎の声に似てる」何気なさそうに都が聞いてきた、少しおどけた声で「うん少しかな」顔が赤いのがばれてしまう位顔が熱い。夢の人に似てるせいかな。「でも何故殺される?」腑に落ちない都は私の手伝いをしながら髪をとかしているみたい。小刻みに腕が動いている。「うん、どうしてかな夢だから」そんな会話で笑いながら身支度を整え外に出る。大きくて立派な模様の入った扉。扉を開くと冷たい風が足元に忍び寄る。「はいコートまだ寒いよ」都が私のコートを羽織らせてくれる。都も重そうなコートを着る音がする。廊下は広かったがむき出しのフローリングで冬になると凍えてしまうほど寒い。「昔は絨毯が在ったらしいけど戦争で無くなったのね」都の話しでは、ここはお邸で舞踏パーティも開かれた場所だと言うが日本が戦争に負けてその殆どが失われたのだと言う。今は改装され女子寮に変わっている・・・そうそう私達自己紹介がまだでした。私は千一夜 千草ここの二年生です。それから「隣のおね・・」「何故そこだけ声を出すのですか」失礼しました。彼女は学園長の娘で同級生の古井 都さん私の世話をしてくれる・・・可愛い・・・女の子。チャームポイントは大きなメガネです。(本人談)総一郎先輩とは仲が悪い(と私は思う)ちなみに男子寮はあの桜の木が生い茂る丘の向こう側で校舎が其の中間にあります。都のお気に入りはそこから見る海岸線なのだそうです。私もあの場所が好きなんだか落ち着きます。その丘を横目に見ながら私達は階段を下り一階の食堂に出た。すでに多くの生徒が雑談しているその声が聞こえてくる。「今朝の新聞見たまた失踪だってこの頃多いね」「しかも学園の周りなのよね」「学園のたたりかも」「ごほん」声に向かって都は咳払いをした、たちまち雑談が静まる。私達はフリーサービスの食器を持ち思い思いの食材に手を出す、最も取っているのは都で私は頷いたり首を振ったりするだけだけど。「みなさんお早う御座います本日は授業の前にお知らせがあります、生徒の皆さんは講堂に集合して下さい」食事をしているとスピーカーからそんな声が流れた。「お知らせ?」私がスプーンを舐めながら言うと「お行儀が悪いわよ!新しい寮長が来ると言っていましたからそのお話しでしょう」と都は説明した。「先生じゃない人なの?」私が不思議そうに言うと「そうね」都は短く答えた。別に寮長が誰であろうと構わなかったけど、何か気に掛かった。「ほら急いで」都が急かした。別に遅くなった訳ではない、私達の何時もの会話だった。とわ言っても講堂は教室とは別棟にあり少し離れている私達は自然に小走りに成っていた。都が私の手をとって走る、都の暖かな温もりが手を伝って心に流れ込む。少し汗ばんだ陽気と共に梅のかせりもほのかに生徒達の足音と共に講堂へと向かう。ドタンと音がした、何か柔らかいものに顔がぶつかり私は倒れた。その音と共に、何か重いものが落ちる音と私とは別の何かが倒れた音が重なった。「イターイ」間延びした痛さを忘れるような声がした。人とぶつかった。「ご免なさいよそ見していましたスミマセン」都が謝っている。「スミマセン」つられて私が謝る。「・・・」その人物は何も言わないまま見ていた。そこではないその場所を目ではないもので見詰ていた。「千一夜 千草さん廊下は走らない、古井 都さん目の見えない後輩を走らせない。いくら広い廊下でも何かにぶつかりますよ。」その人は私を立たせながら自己紹介した。新しい寮長に成った藤井 桜子さんだった。ふわっと甘い香りがした。そのまま眠ってしまいそうになる甘い香りだった。「怪我は無い」洋服のほこりを払いながら身体を調べてくれた。痛む所は無いがそうこうしている間にスピーカーから急かせるような放送が聞こえた。「近道しましょう」私の提案で私達は桜の丘を登り私と都の二人で見付けた近道を通る事にした。「花が咲いたら見事ね」「海が見えるんですよ」私は桜の花も海も知らないけどここからの風景が目に浮かぶ夢の中の私が唯一知っているものちょうど今は朝日に海が輝いている頃・・・そんな私を「急いでこちらです」「急ぎましょう」手を引く者と背を押す者に阻まれ私達はその前までやって来た。その横に美術室と音楽室が挟まれる様に立っている。そこに立つ一人の生徒の手には楽譜を握っているのか風になびく音が微かに聞こえる。「お早う」都の挨拶に答えないこの人物が桜庭 総一郎先輩です。多分今も音楽室で演奏していたのだと思います。彼に気付かなかったのか藤井さんは一礼して講堂に消えていた。「こんなの相手にしないで、さあ行きましょう」「桜は今年も綺麗だろうな・・・」私達の後ろで先輩の短観の声がした。 講堂での学園長の挨拶や先生方の紹介の後に各寮長が紹介され藤井さんの番になると、男子生徒の間でざわめきが起きた。「如何したの」都が小声で尋ねた。私達は背が低いので最前列に位置している、なるべくなら目立つ行動は避けたいはずなのだが私が妙に落ち着かないので心配したのだろう。「桜庭先輩も綺麗だって言った」「えっそうなの耳良いね・・・男子は殆ど一緒だよ」桜庭は背が高く少し後ろに立っている。「千草も可愛いと思うよ」「都だけだよ」講堂から開放されてからも私は沈んでいた。私達は自室に戻り授業の準備に入った、私達の様に身体に異常のある者は自室で授業を受ける事が許されている。都も体調が悪いと言って自室授業にしたのだ。私達の部屋は八畳のリビングで真中をカーテンで仕切ってお互いの領域を区切っている。扉は両開きでどちらからでも開く事が出来るが都はカーテンをしない、それは私も同じで何時も一緒に居たいからだ。 私がここに来たのは一年前で高校生に成って最初の年だった、最初はとても怖かった今まで自宅から出た事が無くいつも一人で勉強していた。当然友達もいなかった。そんなある日母が私にプレゼントをくれた、コンサートのチケットだったそれがこの学園で行われたものだったのだ。そのコンサートでソロ演奏していたのが桜庭 総一郎さんだった、その音色のとりこに成ってしまい何としてもこの学校に行きたいと母を説得してとりあえず試験だけは受けられる様にして貰った。そして試験当日運の悪い事に私は風邪を引いていたが、試験だけは受け様と会場に来た時に隣の席だったのが彼女だったのです。都は私の為に風邪薬や熱さましを用意してくれた。「実は・・・・」と都は語った。自分も去年は体調が悪くて落ちた事をだから今年は一緒に成ったらいいねと語りあった。当然結果はボロボロだったが寮生活で良かったら合格という返事をもらった、それを主張したのが学園長の娘の都だった。「昔は嫌だったけど、こんな所で役に立つなんて」そう言って笑った。「大丈夫よ藤井さんて見た感じキャリアよ年下の男なんか相手にしないわよ」「そうかな雰囲気は可愛いて感じだけど」「そう言えば似てるわね」「何が?」私達は何時も授業を受ける時は机を並べている、こうする事で一台のパソコンで授業が受けられるだけでなく楽しいという気分も得られる。都もまた子供の頃から一人だった、勉強が好きな為に図書室に通い詰めになり友達が居ない。千草は初めての友達だった。お互い似たもの同士だったのかも知れない。「藤井さんと千草がその雰囲気て所で、あの丘で海を見ていた二人が同じに見えたの(おばあさま)から聞いた桜姫に似てるって思った」「桜姫!?」「聞いたでしょ昔はお邸だった話しそこの主の名前が(桜姫)なの」その話は良く、学園長から聞いていた。園長室に行くと「また来たのかい」と優しい声で桜姫の話しをしてくれた、その姿が私の夢の姿と似ているかどうかは知らないけど夢の中では赤い衣を着て優しく微笑む姿しか思い出せない、それとトクン、トクンと言う水の音がしていた。 遠い昔、鬼が現れて町々を襲っていたそれを食い止め帝の命を救ったと言われる鬼の血を引く者でありまた鬼達の王でもあった。その者の名は桜姫、鬼の命を救った人の為に命がけで仲間の鬼に対立してまでも人の為に戦った。鮮血の姫その姿は自らの血と相手の血が混じり合い赤く染まっていた長い黒髪も黒い瞳も血に濡れていた。夢の中のあの人が桜姫ならあれは血の色あの音は血の流れる音そしてその背景の靄は血に染まった戦場の血煙。夢の中での会話は途切れ途切れで意味が分からないけれど、学園長の話しと総合すると間違いなく同じ出来事に思えるけど、その後の部分が分からない。女の人は桜姫だとしてあの総一郎と言う人は誰なの?そして何故撃たれるの?この国を守ったのに「千草、大丈夫」都が揺すって私を現実に戻してくれた。「うん大丈夫」「少し休みなさい勉強はいつでも出来るから」そう言えば少し身体がだるいし眠い・・・ あっまたあの夢だ。「お前は鬼姫こんな所まで入ってきたか」「お待ち下さいこの争いは私が止めます」鬼姫は襲い来る者達に言った。「これ以上進むなら私を倒しなさい」静かで燐とした声で言い放った、それ以上に挑む者は無く戦いは終わった。「お怪我は?」「お前は何故ここに」「人に鬼の子が救われました、その恩を返す為に鬼の長としてお礼に来ました今後この様な無礼はさせまん」「名は何と言う」「・・・ありません」男は血煙に染まる桜を見て言った。「これよりはそなたの名は(桜・姫)と呼ぶ良いな」「良しなに」鬼姫は来た時同様に風のごとく消えうせた。「帝、今のは?」「桜姫じゃ」「はっ?」護衛の兵士は不振顔でとりあえず頷いた。
February 8, 2004
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序章妖気の誘い「はあ」ショートヘアーの金髪が陽の光に輝いて暗い室内に光を放ってキャサリンはため息をついた。まだ昼だというのにその室内は異様なほの暗さに支配されている。家の周りの背の高い木々が陽の光を遮断している為だろう、この家を人々は通称お化け屋敷と呼んでいた。家の造りそのものはごく普通のアメリカの家庭的な広い庭とレンガ造りの二階建て住宅なのだが、その壁をつたうシダ植物やうっそうと茂る庭の草木は如何にもお化け屋敷そのものであった。「如何したの?」それに答えるように向かいに座った、それで掃除が出来そうな程長い黒髪の女性は青い瞳を見つめて尋ねた。「お茶が冷めるわよ」テーブルに置かれたコーヒーカップは手も付けられず悲しそうに黒い液体をたたえ冷たく成っていた。「いい加減になさいませ」キャサリンは優しくそれでいて重々しく言葉を発した。「何か手違いでも?私は確実に仕事をしている積もりなのですが」桜子は驚いた様に黒い瞳を見開いた。彼女の名は藤井桜子、日本人であり霊媒師としての能力も兼ね備えた女性である。この日キャサリン・フォドファンは都心から車を飛ばし、このド田舎の一軒家にわざわざ来たのは仕事のミスを言う為などでは無かった。二人は探偵事務所を開いて仕事をしている仕事仲間であり仕事の関係上は上司と部下の関係だったが、二人とも大学は一緒だった。その為にその関係が崩れる事は無かった。「ええっ仕事は完璧過ぎる程好くてよ」桜子にはキャサリンの言いたい事が分かっていたが止める訳にはいかなかったのだ。「いつまで続けるの何も出てこないんでょうに」彼女は部屋の隅々を見回して言った。生活に最低限必要な物しかない殺風景な部屋を見回して、およそ女の子の部屋とは言いがたい。カーテンの無い窓や穴の開いた床、かろうじて掃除はしてあるのでほこりは無いのだがフローリングはむき出しのままだ。「恋人は探さないの」母親の様な口調で諭す様に彼女は言う、もう何度も聞いたせりふだった。この家に住み着いて一年以上になる、その頃から彼女は口うるさくこの言葉を繰り返してきた、それを聞くたびに桜子はこう言った。「私は霊媒師なのココに何かあると思ったから来たの会社の仕事は問題なくこなしています、霊能者として生まれた者の使命だと覚悟しています」それを聞く度にキャサリンの口からため息が漏れる。今度こそわと見合い写真まで用意して来たのだが、それを出すまでもなくそのせりふを聞いてしまった。 桜子がココに来た理由は第二次世界大戦末期日本の敗北が色濃くなって来た時の事一人の海軍将校が言った言葉から事件は始まる。彼の言った言葉それは誰の耳にも疑わしい物だった。作戦会議中の事彼は突然立ち上がると「日本には鬼がいるこれ以上侵攻してはいけない」と同じ言葉を何度も繰り返し叫びだしたと言う、結局その将校は病院送りに成ったそうだがその後も回復する事無く亡くなったと言う、勿論鬼も現れなかった。そしてここがその将校の家という訳だ。桜子はこの事を軍の友人から聞くなり単独での調査を始めた。これは仕事ではない彼女本来の使命からだ。案の定この家からは妖気を感じた日本ではないアメリカの地で微かでは在るが確かにモノノケが発する信号をキッチした。敷地に一歩足を踏み入れるなり足元から微弱な電気信号がじわじわと感じられた。彼女は微笑んだがそれも束の間の事だった、何所を探してもそれ以上の気配は感じられない。地下室も、屋根裏も、裏庭も、車庫も、微かな気配以外は何も感じなかった。だからこそここに住み着いたのだ、なんとしても確かな手応えを掴みたい何かが起こる前兆なのかも知れない・あるいは何も無いかもしれない・何れにせよ結果が出ない事には止める事等出来ないのだ。「分かったもうかってになさい」さすがにキャサリもあきらめた口調で吐き捨てた、その時だった桜の花弁が机に落ちたのは・・・この辺りには桜の木はない。「やっと招待状が来ました」桜子はまるでパーティーの招待状を貰った様にはしゃぎだした。「だめ罠よ!!」キャサリンは真顔で止めに入った。屋敷の妖気は相変わらず微かにしか感じられない、しかもこの花弁にはとても深い想いが籠められていた。 数日後屋敷を引き払った藤井桜子は日本に来ていた。それは物語の始まる、一年ほど前の事だった。
February 4, 2004
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「シャントシナイト」のシナリオ没にします。まだ題名決めてませんが、ほぼ同じキャラクターで別作品に成ります。恋愛物にする予定ですが、少し爽やかミステリーに成るかな?ホラーか?SFかな・・・怪談物?今の所そんな感じです。ですからミナミさんとの企画は無になりましたスミマセン。たぶん「桜姫」ベースの作品です。
February 1, 2004
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