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ドイツ軍占領下のフランスの田舎で、敵兵と密通して断罪された過去を持つ女優が、ロケのために広島を訪れ、日本人の建築家と一日限りの情事を交わす。8月6日、原水爆禁止運動を背景に、二人は孤独な会話の果てに、戦争の悲劇を分かち合う――。 マルグリット・デュラス原作・脚本の会話劇。原水爆禁止運動と反戦映画の撮影中という、ふたつの背景は、情事の甘ささえあっさりと飛び越えて、ふたりを現実の痛みへと引き戻していく。ノーマルな恋愛映画ではありません。交わされる会話には、言葉にならない孤独と、決して癒えることのない戦争の傷痕。原爆投下で家族を亡くした男は、「原爆の悲劇を知ったわ」という女の言葉に「君は知らない」を繰り返す・・・いつしか女は、敵国の兵と愛し合った過去を語り、ようやく、彼女もまた戦争による深い傷を負っていることに、男は気づく。「ヒロシマを知らない」そう断言した男と、怖ろしい過去の記憶に今尚苛まれる女。ふたりは理解を超えて惹かれあうけれど、訪れるのは抗えない別離なのだった。真夜中、いつまでもヒロシマの街を徘徊する女のあとを、離れがたく別れがたく男は寄り沿って歩いていく――。あいだに投入される原爆記念館や、被爆者の写真、映像――それらが、フランスらしい甘い情事の会話と情景に溶け込んでいるのが、すごく奇妙でいて、そぐっているのが不思議。ヒロシマの悲劇について、こんなふうに語りかける映画は、ほかにもあっただろうか。ソクーロフ監督の『太陽』でも感じたけれど、他国が撮った<日本の戦争を描いたもの>には、時々、邦画以上に日本のエッセンスを見事に描いたものがあるのかもしれないなぁと思う。とてもいい作品だった。 † † †監督 アラン・レネ 製作 サミー・アルフォン 永田雅一 原作・脚本 マルグリット・デュラス 撮影 サッシャ・ヴィエルニ 高橋通子 音楽 ジョヴァンニ・フスコ ジョルジュ・ドルリュー 出演 エマニュエル・リヴァ 岡田英次 ベルナール・フレッソン (モノクロ/フランス=日本合作/91分)
2007.11.30
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(あらすじ) 永遠の生命を追い求めるフランケンシュタイン博士は、幾つかの死体を組み合わせて人造人間を造り上げることに成功した。だが、その頭蓋に収められたものは、殺人者の狂った脳髄だった――。 永遠の生命や人造人間など、普遍のテーマを扱った愛されつづける名作。死ぬまでに観たい映画1001本に選ばれています。製作年を鑑みれば驚くほどのクオリティーの高さ。続編には「フランケンシュタインの花嫁」、こちらも1001本に選ばれています。なんといってもボリス・カーロフ演じる、温度のない白目と特殊メイクが見どころ。人間に排除される悲しい人造人間の運命は悲しい。ティム・バートン監督の原点といえる『フランケンウィニー』や『ミツバチのささやき』、ケネス・ブラナー監督の『フランケンシュタイン』なんかも哀愁漂い好きです。たくさんの映画人が愛した古典の名作。 監督 ジェームズ・ホエール 製作 カール・レムリ・Jr 原作 メアリー・シェリー 脚本 ギャレット・フォート フランシス・エドワード・ファラゴー ロバート・フローリー 撮影 アーサー・エディソン 出演 ボリス・カーロフ コリン・クライヴ メエ・クラーク ジョン・ボールズ (1931年製作/モノクロ/71分)
2007.11.21
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大物タレントとして多忙でリッチな毎日を送るビートたけし。一方、そんなたけしにそっくりな売れない役者・北野は、オーディションに落ちてばかりで、しがないコンビニの店員をしている。ある日、北野は偶然にもビートたけしと出会うが、やがて、これが引き金となり、ビートたけしが演じる不思議な映画の世界へと迷い込んでいくのだった・・・。北野作品は、ほとんど観ていませんが、「座頭市」が好きでした。最近になって海外でも注目されているたけし監督、じつはずっと昔から監督業をしていたんですよね~初期のものも観てみたいと、今回思いました。大物ビートたけし、そのそっくりさん‘北野’、映画出演する‘役者たけし’・・・沢山のビートたけしが動いている、たけしのたけしによるたけし映画です。なにげにピカソを思い浮かべました。ここに目をつける?ここに鼻?~という、驚きの切り取り具合と貼り付け方。イメージするはピカソの絵。凡人にはわかりにくいのかもしれない、でもなんか凄そう。そんな曖昧な感想なのでした。突拍子がなくて、それでいて存在感があって。時間軸を入れ替えたり、脚本の妙で魅せる作品が近頃多いけど、その類とはまた違った貼り付け方をしている面白みがありました。内容はこれといってなく、ビートたけしにそっくりなコンビニ店員・北野が、映画の幻影に呑まれていく不思議なストーリー。幻想的で奇妙で、暴力的なところはらしい感じがします。内容と同じくらい映像を楽しみつつ、たけしワールドに迷い込める珍作。北野ブルーというのだっけ、色へのこだわりはびしびし感じられます。顔の広さが表れている豪華な出演陣にも注目ですね。「座頭市」のときまだ小さかった早乙女太一や、常連の岸本加世子もいる、「座頭市」で取り入れたタップがまた入ってる――そんな他の作品との繋がり、気づくと嬉しいものです。 監督・脚本 北野武 撮影 柳島克己 出演 ビートたけし 、京野ことみ 、岸本加世子 、大杉漣 寺島進 、渡辺哲 、美輪明宏(カラー/107分)
2007.11.19
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東京で写真家として成功し、自由奔放に生きる弟・猛(オダギリ)は、母親の一周忌に久々に帰郷した。父と共にガソリンスタンドを経営する兄・稔(香川)と再会し、翌日、兄弟はガソリンスタンドで働く、幼なじみの智恵子と3人で近くの渓谷へ出かけた。ところが、川に架かる細い吊り橋で、智恵子が眼下の渓流へと落下・・・数日後“自分が突き落とした”と稔は自供する。法廷で語られていく真実とは―――・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 性格の違う兄弟が、相手そして自分の本質と向き合った時に、初めて痛々しくも純粋な結末に出会えます。親子の間で繰り返されていく、兄弟の不仲が悲しかった。いままで本音を隠してきた稔と猛のように、人は本音を隠しながら、ある程度人と付き合っているものなのでしょう。それは親兄弟姉妹に対してもそうで、気づいているけど、知らないフリをしているような気がします。母親の一周忌に、久しぶりの帰省をした猛。なりゆきで渓流へ行くとにさえならなければ、事件は起こっていなかった。何十年分もの思いが不意に飛び出すと、それは考えられないような行動を伴って、大きな犠牲を生みながら、周りに及んでいきました。真相を明らかにするタイミングもあわせて、よく練られた物語だと思います。後半、舞台が法廷に変わってからも、チクチクと継続するなにかがありました。映像には、腰の据わった居心地よさがあったし、なにより個性派の役者さんがそれぞれによくて。香川照之はあまりに巧く、オダギリジョーの魅力を時々霞ませるほどでした。役者さんの巧さって、こういうことをいうのでしょうね。猛の存在は、悲しいです。これだけの過ちを犯さなければ、わからないその存在が。田舎の親兄弟の生き方を忌み嫌い、逃げ出すように都会にきて、快楽もお金も得ている。それなのに満足できない。奪うだけの生き方は、都会の暗部とあわせて、現代人の悪いところの寄せ集めのようです。反面、田舎の兄は、完全なる善人で...どこをどう見ても溝がある。その溝が埋められるのだとすれば、それはやっぱり傷ついてでも、自分の本質をさらけ出し合って、相手を知るしかないのでしょうか。その後に、やっぱり溝が残って、完全に修復がきかなくなるか、この兄弟のようになるかは、きっと人それぞれ。監督・脚本 西川美和 製作 川城和実 、重延浩 、八木ケ谷昭次 撮影 高瀬比呂志 音楽 カリフラワーズ 出演 オダギリジョー 、香川照之 、伊武雅刀 、新井浩文(カラー/119分)
2007.11.15
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アリゾナ州に住むフーヴァー一家は、家族それぞれに問題を抱え、崩壊寸前。パパのリチャードは独自の成功論を振りかざして“負け組”を否定し、そんなパパに反抗して沈黙を続けるのは長男ドウェーン。無謀なミスコン優勝を夢見る妹オリーヴ、ヘロイン常習のグランパ、さらにそこへゲイで自殺未遂の伯父フランクまで加わる始末!ママの孤軍奮闘も虚しく家族はバラバラ・・・。そんな時、オリーヴに念願の美少女コンテスト出場のチャンスが訪れて、一家は節約のためオンボロのミニバスに乗り込み、はるばる開催地のカリフォルニア目指して出発するのだった。 サンダンスで評判を呼び、日本でもとても評判のいい映画です。笑えると聞いていたので、家族でコメディのノリで観ましたが、意外とシニカルでアダルトでした。崩壊寸前の家族が、旅のなかでひとつになっていく様子を、小気味良く描いたロードムービー。旅だけじゃなく、失恋の絶望から自殺未遂したゲイの伯父さんが加わってこそ、初めて互いの存在を認め合える、個性的な面々がいい。ちょっとおデブちゃんのオリーブは、ミスコン優勝に憧れているけど、みるからに望み薄です。それでも、彼女の中身がステキだってことがわかるたび、可愛くて仕方ない。ヘロイン漬けのグランパは、下品で口が悪くて最低。それでも、孫たちを愛する気持ちは誰にも負けてない。空軍パイロットを目指す長男ドウェーンは、諍いの絶えない家族に背を向け、自らの夢にだけ望みを懸けているけど、意外にしっかり者で妹を大事にしてる。夢が叶うまでは‘話さない’と願掛けを続ける孤独な彼の心をほぐすのは、はみ出し者のゲイの伯父さんなのでした。皆がみんな、助け合ってこそ、家族はばらばらにならずに上手くいく―――ありきたりで、よくあるお話だけど、大人には妙に頷ける出来事が散りばめられているのではないでしょうか。子どももOKだけど、ちょっとじいちゃんの下ネタはキツイ・・大人により通じる笑いに、なっていたと思います。道中で起こる数々の大ピンチ!ボロのミニバスは壊れるし、じいちゃんは死んじゃうし、パパの勝ち組論の出版は絶望的・・・・でも大切なものに気づけた時、初めて人生勝ち負けじゃない―というテーマに落ち着く脚本は、上手くできていると思います。濃いしやかましい家族を、ひとりでまとめてる母親がまた、いい味。長男も妹も、伯父さんも、みんないい味出してる。鑑賞後、気持ちのいい小品でした。ちなみに、監督はご夫婦なんだそうです。監督 ジョナサン・デイトン 、ヴァレリー・ファリス 脚本 マイケル・アーント 音楽 マイケル・ダナ 出演 グレッグ・キニア 、トニ・コレット 、スティーヴ・カレル アラン・アーキン 、ポール・ダノ 、アビゲイル・ブレスリン (カラー/アメリカ/100分)
2007.11.11
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北イタリアの街トリエステにやって来た一人の女性、イレーナ。ウクライナ出身という彼女の過去も、ここへやって来た理由も、誰一人知らない。やがて、彼女は貴金属商を営むアダケル家で、偶然を装い、メイドとして働き始める。夫婦の一人娘テアの子守役をし、次第に家族の信頼を獲得していくのだが・・・。 大好きなトルナトーレ監督の最新作。ノスタルジックな印象をうける監督ですが、暴力的な作品も、秀逸なサスペンスもお手の物。サスペンスのこちらは、女の性(さが)を鋭く描きます。目を覆いたくなる場面も、揺るぎないトルナトーレらしさが滲むラストの再生も、良かったです。盛りだくさんで、内容は複雑なのに、2時間できっちりまとめるところ、流石。R指定にまでなった強烈に痛々しく描かれる彼女の過去――これはもしかして「あなたになら言える秘密のこと」に、似た展開になるかと・・過ぎりましたがまた違った切り口の、良質な物語になっていたと思います。なによりイレーナ役の、クセニア・ラパポルトがすごい存在感。真実がなかなか分からないからこその、ハラハラと、わかった後もまだ続くハラハラが巧い。そして、最後には、きっちり望むとおりの結末を、用意してくれてる!要となる彼女の過去は、多少疑問が残って、単に同情すればいいだけのものではないのが、難しいところでした。こんなことが実際に行われているの・・?この背景、ウクライナのことを調べてみなければわからないものが、あるのかもしれません。醜と美、ノスタルジー、怯え、おぞましさ、崇高さ。たくさんのものを巧みに扱うトルナトーレ監督が、これからも楽しみです。危険にとっさに反射できない障害を持つテアに対して、受身を覚えさせる一連のシーンは、少しキツかったけれど、とはいえ2時間しっかり楽しませてくれる良質な作品でした ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 ジュゼッペ・トルナトーレ 製作総指揮 ラウラ・ファットーリ 脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ 、マッシモ・デ・リタ 撮影 ファビオ・ザマリオン 編集 マッシモ・クアッリア 音楽 エンニオ・モリコーネ 出演 クセニア・ラパポルト 、ミケーレ・プラチド 、クラウディア・ジェリーニ ピエラ・デッリ・エスポスティ 、アレッサンドロ・ヘイベル (カラー/121分/R―15)
2007.11.09
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