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昨日、東京薬科大学学園祭の古書市で購入した11冊のリスト。
●ドナルド・リチー著、山本喜久男訳『小津安二郎の美学 映画のなかの日本』(1978年、フィルムアート社)
●梅原猛『世阿弥の恋』(2012年、角川学芸出版)--梅原猛能楽論集うつぼ舟IV
●朝比奈隆・東条硯夫『朝比奈隆 ベートーヴェンの交響曲を語る』(1991年、音楽之友社)
●エルンスト・カイザー著、小原正明訳『パラケルススの生涯 近代医学の父、放浪の錬金術師』(1977年、東京図書)
●中村彰彦『保科正之言行録』(1997年、中公新書)
●岩切正介『ヨーロッパの庭園 美の楽園をめぐる旅』(2008年、中公新書)
●北野佐久子編『ハーブの事典』(1988年、東京堂出版)
●鐘ヶ江信光編『中国語小辞典 中-日・日-中』(1968年、第25刷、大学書林)
●大江健三郎『懐かしい年への手紙』(1987年、講談社)
●野ばら社編集部編『日本語と原語で歌う世界の名歌』(2000年、野ばら社)
●ザ・ビートルズ・クラブ著『ビートルズの英語』(2012年、集英社インターナショナル)
私は映画評論家の専門的評論はほとんど読まない。監督や出演者や制作者自身が書いたものを読む。しかし今、私の歳(70)になって、小津作品はほぼ全作品を観てしまったので、もう専門的評論を読んでも良かろうと、定評のあるドナルド・リチーの『小津安二郎の美学』を購入した。
梅原猛氏の『世阿弥の恋』は、氏の能楽論集の第4巻で、能楽における最も重要な「女物」を中心しとした中世の「恋」の分析である。
私は、かつて観世流能楽師・梅若猶彦氏のためにポスター等を制作していた関係上、謡曲を読み、また国立能楽堂で講演をする機会をいただいたこともある。その原稿はブリティッシュ・コロンビア大学のレオン・ゾルブラッド教授が英語に翻訳してくださっている。さらに私はそこから発展的に『夢幻能と白山信仰』を書いて雑誌に発表した。その論文を当時国学院教授であられた種村季弘氏が注目し、国文学会でその一部を引用して紹介してくださった。
というわけで、いまにいたるまで能楽への関心はつづいている。
『朝比奈隆 ベートーヴェンの交響曲を語る』は、一読、私にはなかなか歯がたたないかもしれないと思いつつ購入した。ベートーヴェンの交響曲の全容を解明しようという壮大な意図のもとに、朝比奈氏が実際にオーケストラを振った直後にFMサウンズ取締役・衛星PCM音楽放送曲編成部長の東条氏と対談して、全9曲を詳細に分析した記録が本書である。したがってスコアに添った記述はきわめて専門的で、私のようなただの音楽好きには、意味は理解できても、両氏の話によって私の身体感覚に音楽が流れて来るとまでは行きそうにない。だが、そうであればこそ、読まずにはいられない。
近代医学の父と言われるパラケルススについては、私はむしろ錬金術師として入っていった。というのは中世の錬金術の著作に含まれている膨大な図像は、イメージの宝庫、人間の想像力がどれほど果てしなく飛翔するかという実例で、画家のはしくれたる者、それらを避けて通ることはできない。勿論、医学的にも、レオナルド・ダ・ヴィンチの解剖手稿は衆知のごとくだが、アンドレアス・ヴェサリウスの解剖学図譜など(それら両書のファクシミリ版を私は所蔵している)、私の関心は深く、古代ギリシャ前1200年頃のアスクレピオスから始まりヒポクラテスへとつづく過程に癒しの象徴としての蛇の図像の定着に関することなど、医学もまたイメージの宝庫である。
本書『パラケルススの生涯』は、最初の一行に目を通しただけで、優れた伝記であり翻訳であることが察せられた。著者の想像を排し、極力パラケルスス自身の残した著作に語らせているからである。パラケルスス資料は実は非常に少なく、パラケルススのかつての伝記は小説的な想像によってできあがっていたのだった。惜しむらくは、パラケルススの名の表記が誕生名であったり姓であったり、一行のなかでさへ統一されてないことだ。「パラケルスス」は後にそう呼ばれるようになった名だ。私は昨夜、ベッドにこの本をもちこんで、目が渋くなるまで読んでいた。
小説家が書いた伝記を私はほとんど読まない。『保科正之言行録』の著者中村彰彦氏は小説家である。古書市でこの本を見つけてためらわずにすぐに購入したのは、中村氏には本書以前に同じ中公新書で『保科正之』という著書があり、実はこれが非常に優れた伝記だったからだ。
保科正之は徳川秀忠の落胤で、家光の異母弟。城外で生まれて秘かに育てられ、七歳のときに信州高遠藩に養子に出された。後に会津松平藩の始祖となった。このブログで何度も言って来たが、私が青春時代を過ごした会津である。私の精神のなかにも幾分なりとも会津士魂教育が入っているかもしれない。
そんなわけで、中村彰彦氏が、現在ではほとんど会津で細々と語り継がれて来たにすぎない保科正之の事績(公は家光の懇請により四代将軍家綱を輔佐し、徳川政権の安寧を確立した。徳川への忠誠心が会津藩の精神として後の戊辰戦争にいたる悲劇となってくる)を丹念に探索し、公自身の言葉で再現しているという本書を見逃せなかった。
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