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私が会津若松市に身寄りもなく独り住まいしていたのは中学・高校時代の6年間である。そのころのことについてはこのブログにぽつりぽつりと書いた。その後、2005年8月、中学時代の清水先生の喜寿をお祝いするために42年ぶりに会津若松市を訪ね、さらにその2年後にも、清水先生が創立者のおひとりで、私が所属していた劇団の創立50周年の祝賀会に出席した。42年ぶりに清水先生を訪ねたときに、劇団50周年記念パンフレットの表紙デザインと表紙絵を描く約束をしていたのである。 訪ねた時、先生は私の市内散策のために新しい自転車を購入されてくださっていた。私は卒業した会津高校(当時は男子校だった)とは別の会津女子高校の先輩とも42年ぶりに再開し、彼女の案内で二人で自転車で市内を巡った。「山田クン、浦島太郎だわよ」と。 たしかに彼女の言う通りだった。私が親しんだ街並みはまったく失われていた。独り住まいしていたアパートが無人のまま、窓や戸口に板を打ち付けてそこにあったのが不思議なくらいだった。「まもなく取り壊すそうです」と、たまたま近所の方が通りかかり、言った。 さて、以上は前置きである。じつはYouTubeの「おすすめ」なのだろうか、昭和34年の木下恵介監督の映画「惜春鳥」の一部を7分程度につまんで繋ぎあわせた動画と、それとは別にその「惜春鳥」の当時の予告編が掲載されていた。この映画は公開当時、私は八総鉱山で見ていた。中学2年生、14歳だった。私は会津若松から一泊の予定で両親のもとへ帰っていたのであった。 映画「惜春鳥」は全編が会津若松市内で撮影された。ロケ地は名所巡りのようであるから、それがかえって私が在住していた昭和34年を映し出している。同市を去って42年後に訪ねた会津若松市は私の青春の城下町ではなかった。テーマパークを訪れた観光客の感じがしたものだ。 映画の中の市内は、まさに懐かしい会津若松で、神明通りも、その入り口にあったライオン堂も、山形屋さんも、鶴ヶ城の天守閣のない石垣も、西出丸のあたりも、飯盛山の石段も、御薬園も・・・。予告編の3分08秒あたり、白虎隊墓前祭の剣舞を披露しているのは会津高校剣舞会の諸君である。当時、正式な詩吟「白虎隊」で正式な剣舞を飯盛山の白虎隊墓前での披露を許されていたのは会津高校剣舞会のみに限られていた。会津高校が藩校日新館を礎としていたからである。 このYouTubeのつまみぐい動画を見てあらためて気づいたことがある。友人が詐欺で逮捕されると知った津川雅彦氏と山本豊三氏が演じる若者が、会津若松駅に駆けつけるシーン。脚に障害がある山本豊三をおいて津川雅彦が先に駆ける。あとから追いかけ、神明通りを脚をひきずりながら走る山本。画面は左から右へ(北から南ヘ)移動するが、その背後に山形屋さんが映っている。・・・実際は、山形屋さんの位置からすると、駅に向かうには右から左へ移動しなければならない。なぜ、このシーンが実際とは逆にしたのか? そのほうが絵面が良かったのかな? まあ、しかし私は私が知っている昭和34年頃の会津若松市を懐かしく見た。天守閣が再建されたのは、私が同市を去った翌年である。その年、つまり大学1年で東京住まいになった私は、札幌の両親の家(八総鉱山から札幌に移転していた)に帰省する途中に会津若松市に立ち寄り、夜、ざんざんぶりの雨の中で濡れながら天守閣を見た。現在、城中本丸の「麟閣」が再建されているあたりに佇んで・・・。それから濠のそばにあった貸しボート屋の店先の公衆電話でタクシーを呼んで、帰路、なんだか淋しさを抱えて会津若松駅へ向かったのだった。YouTube 昭和34年の会津若松「映画惜春鳥のシーンから」YouTube 「惜春鳥」予告編
Oct 30, 2025
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山田維史「大波」紙にペンとインク
Oct 29, 2025
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急に寒さが身にしみるようになり、暑がりの私もカーディガンなどを着込んだ。午後7時、灯油販売車が童謡を流しながら町内を巡っている。 午前中に主治医のクリニックに行き、10月初めに予約しておいたインフルエンザの予防接種をした。民生委員だったときにたくさんの人に接しなければならなかったので、10月末か11月の初めに予防接種をすることにした。以後、ずっとそれが恒例となっている。医師が「お元気そうですね」とおっしゃるので、「おかげさまで元気に過ごしております」と私は応えた。きょうも自転車で山坂を下り登りした。まあ、元気な人間にも老衰はやってくる。過信はしていない。
Oct 25, 2025
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舞踏家の大野一雄氏が亡くなられて来たる10月27日の祥月命日で15年になる。享年103。100歳をすぎてもなお踊りつづけていられたと聞く。今日、私は大野氏の踊りを記録した映像を観ていた。 私が大野氏の踊りを観た最後は、たしか1981年、第一生命ホールで土方巽氏の演出による「わたしのお母さん」だった。それが最後になったのは、私の作品制作が昼夜を問わず多忙になったから。当時は記録映像を容易に観る機会はなかった。今日、私はYouTubeで観たのだが、撮影者が誰かわわからないが、YouTubeで貴重な映像が観られることはありがたい。 一足早く大野一雄氏を追悼した。YouTube 「Kazuo Ohno ー My Mother」YouTube 「大野一雄 美と力 ラ・アルヘンチーナ頌」YouTube 「1977 Admirando a Argentina」
Oct 24, 2025
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ルーブル美術館の盗難はわずか7分間ほどのできごとだったらしい。しかも美術館は昼間の開館中で、来場者がおおぜいいた。フランス歴史上の貴重な宝石が9点奪われた。そのうち王冠1点は逃走途中で落としたらしく、損傷した状態で回収された。奪われた8点の行方はまったく捜索不能らしい。王妃のティアラやネックレス等の宝石が狙われたのは、バラバラに破壊して個々の宝石にしてしまえば処分しやすいからだと推測されている。フランス政府は、盗まれた宝石類は戻らない可能性がおおきいと公言した。 各種報道はルーブルの監視員等の人的不足と防犯設備が不十分だったことを指摘している。盗難事件の責任の一端はルーブル美術館側にもある、と言外の非難をしている。私はそのように報道を解釈した。 それは妥当な指摘であるが、しかしもうひとつ別の視点で考えることもできるのではあるまいか。 ルーブルは城館建築として世界遺産になっている。世界遺産の条件として、当該物件を改変してはならないことが規定されている。建築物ならば新たに手を加えてはならないということだ。つまりルーブルの今回の盗難は工事用梯子車をバルコニ下に横付けし、ガラス窓を破って侵入したのだが、そのガラスをたとえば強化ガラスのようなものに取り替え、なおかつ建物壁面に防犯装置を設置することができなかったと言えないだろうか。ルーブル美術館を訪れたことがある人は、あるいは気づいたかもしれないが、窓ガラスなどはいたって簡単に破れそうなことは素人目にも推測できる。今回の盗賊は単独犯ではないことは明らかで、のみならず残された道具類や闘争にバイクを使用しているらしいので、事前の下見と綿密な計画をたてていたと思われる。 我が国でも世界遺産登録をめざして活動しているし、すでに世界遺産となったものも少なくない。それは喜ばしいことではあるが、私が上述のように推測した問題を考えると、登録申請前にそれこそよくよく考えておくべきこともあるような気がする。防犯上からも場合によっては国内で手厚く文化遺産を保護してゆく道を選ぶことを考えたほうがよいかもしれない。
Oct 23, 2025
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シェイクスピアの戯曲にもなっている540年前のイングランド国王リチャードlll世に関して、その遺骨が2012年8月にイングランド中部のレスターの駐車場地下から発掘されたことなど、私はこのブログにすでに7回も書いている。2013年7月31日、8月1日,2日、9月5日、2014年9月20日、12月3日、2015年3月27日のブログである。 当時の報道は、その遺骨を発掘したのはレスター大学遺跡研究チームである、と報じられた。ドキュメンタリー映像もそのように報じた。私もその報道に従って上述のブログ記事を書き、レスター大学が次々に発表した遺骨研究の成果を興味深く思ってきた。 リチャードlll世に関する私の最後のブログ記事からちょうど10年を経過し、遺骨発掘から540年、発掘をめぐって私が知らなかった事実を一本の映画作品によって知り、いささかならず驚いているのである。その映画は2022年に制作されたスティーヴン・フリアーズ監督『ザ・ロスト・キング 500年越しの運命 (原題:The Lost King) 』である。フィリッパ・ラングレーとマイケル・ジョーンズの著書『ザ・ロスト・キング ; リチャード lll世を捜して (The Lost King: The Search for Richard lll) 』を原作として脚本はスティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ。 じつはこの原作者のフィリッパ・ラングレー (Philippa Langley) こそがリチャードlll世の遺骨を探し求め、レスターの駐車場に狙いをつけて発掘の主導をしたというのである。彼女はいわゆるアマチュアの研究者で、職場では上司から正当な評価をされず、またリチャードlll世についての歴史記述やシェイクスピアの戯曲に描かれたような人物ではないと主張する彼女の意見も嘲笑されていた。彼女の発掘調査を認可したレスター市も、実のところは、もし遺骨がでてくればそれはそれで市の宝になるであろうし、発掘過程は市の観光事業におおいに役立つだろうという考えだった。資金の一部を拠出することにしたレスター大学にしてもフィリッパ・ラングレーの見解に疑問をいだいていた。というのは、彼女の見解は科学的証拠によるのではなく、彼女がそう「感じる」ことに依拠していたからだ。しかし協力を決定したのは、彼女の有力な味方にリチャードlll世の遠い子孫をたどったDNAの研究学者があり、もしも何らかの遺骨が発掘されれば、遠い子孫のDNAと比較ができるからだった。 さて、私はフィリッパ・ラングレー (Philippa Langley) 氏の存在を初めて知ったわけだが、私がブログ記事で言及できなかったのは、レスター大学が彼女の名前を消していたからだ。発掘調査を主導したのはレスター大学であるとした、大学側の卑しい判断があったことを、私は映画『ザ・ロスト・キング』で知ったのである。おくればせにウィキペディアで Philippa Langley を検索し、この映画が事実に基づいていることを確認した。・・・急いで付け加えるが、発掘後のレスター大学の遺骨研究は現代先端技術によってすばらしい成果をあげている。 もうひとつ。この映画は、フィリッパ・ラングレー氏の見解を導き出す彼女の「感じる」を、彼女のそばにしばしばリチャードlll世が姿を表すことで映像化している。私はちょっとやり過ぎじゃないかな、と思わないでもないが、しかしエンターテイメントだからこれでいいのか、とも思った次第。フィリッパ・ラングレー氏自身がちょっと登場している。それがどこかは・・・ Youtubeでこの映画を日本語吹き替えで観ることができる。私は吹き替え映画が好きではないが。YouTube「ザ・ロスト・キング」YouTube ドキュメンタリー「リチャード lll世の埋葬」8, 2018YouTube ドキュメンタリー「リチャード lll世 最終ビデオ」 YouTube ドキュメンタリー「リチャード lll世 プランタジネット家最後の人物」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 話題を変える。 と言っても、私が言いたいのは一つだけ。高市内閣が正式に発足した。その顔ぶれを見て、防衛大臣に小泉進次郎とあったので呆れたというより・・・まあ、ばっかじゃなかろうか、と。日本の防衛のみならず戦争の世紀というべき現代の荒れ狂った世界情勢のなかに、喜劇役者を据えてどうなる? まともな理念も言葉も持たない人物が、どうやって狂乱の国々と日本国防衛のために渡り合える? 高市総理、あなた、おかしいよ。
Oct 22, 2025
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気温12℃。急に寒くなった。 寒いのは気温のせいだけではなさそうだ。高市早苗内閣発足に向けた人選が判った。高市氏の保守主義は危険な臭いが漂う。人の意見に耳を傾け、何故、と自問しながら真摯に向きあうような顔ぶれと評価できるだろうか。悪しきナルシズムによって民主主義が崩壊してゆくのはアメリカだけではなかろう、と私は危惧する。
Oct 21, 2025
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歴史的な事件がプロパンガダ(政治的な特定の主義・主張)によって広められると、時の経過とともに歴史的事実と認識され、学問としての歴史をゆがめてしまう。ゆがめられた学問はその権威主義によってあらゆる反論を拒絶し、歴史の真実はますます不明になってしまう。 ・・・今日あらためて私が気づいたこと。
Oct 20, 2025
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驚き! MLBポストシーズン、ロスアンジェルス・ドジャース vs ミルウォーキー・ブリュワーズのワールドシリーズ進出をかけた第4戦。ドジャースの大谷翔平選手はPS二回目となる投打先発。なんと7回途中降板までに無失点10奪三振、3本のホームランを放った。また9回に登板した佐々木朗希選手が見事に押さえて、ドジャースは5-1で勝利。ワールドシリーズに進出を決めた。 PSで投打、いわゆる二刀流で、一試合ホームラン3本はまさに驚異。2本目の143メートル打球は場外へ。味方ドジャースのダグアウトの選手たちは一斉に立ち上がって狂喜するどころではない、フーリーマン選手は呆れて頭をかかえていた。 山本由伸投手の風格あふれる大活躍、そしてスタンドを揺るがすローキ・コールのなか守備陣の巧みな捕球送球に助けられながらも見事に守護神の役目を果たした。
Oct 18, 2025
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第81代総理大臣村山富市氏が逝去された。享年101。 在任中には阪神淡路大震災を対処。また被爆者援護法を制定された功績は大きい。謹んでご冥福をお祈りいたします。
Oct 17, 2025
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グラミー賞受賞の米ミュージシャン、ディアンジェロ氏が14日に亡くなった。享年51。 レコード会社RCAが家族からのメッセージを伝えた。癌による長い闘病のすえだったという。ディアンジェロ氏はネオソウル・ミュージックの先駆者といわれている。初期の「ブラウン・シュガー」「ミー・アンド・ゾーズ・ドリーミン・アイズ・オブ・マイン」「クルージン」「レイディ」など多数。 私の所持するCD画像を掲載してディアンジェロ氏を追悼します。
Oct 16, 2025
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すでに旧聞に属することであるが、昨年2024年3月にネトフリクスがドキュメンタリーで初めて報じ、次いでイギリスのBBCなど各プレス・リリースも「窓拭き業者がシェイクスピアの在世中に描かれた肖像画を発見か!?」と報じて研究者たちを色めきたたせた。その窓拭き業者とはスティヴン・ワドロウ氏である。彼は自身が所有する古い肖像画について10年間以上も解明をこころみてきた。その絵は彼の父親が1960年代に900ポンドで購入し、以来訳40年間、テレヴィの上の壁に掛けられていた。「昔は怖かった。家の中のどこにいてもそれがこちらを見ていた」と、スティヴン・ワドロウ氏はインタビューに応えて言っていた。 この肖像画がシェイクスピアその人であるか否かは、議論の余地があるようだ(個人所有なので残念ながらここに画像を掲載できない)。もしシェイクスピアならば、その肖像画はシェイクスピア生存中に描かれた唯一のもの、という意見もある(じつは現時点で二つ目になるはず:山田注)。 さて、私はシェイクスピアの肖像画に関心をもって、すでにこのブログでも3度書いている。すなわち2009年3月11日、2009年3月15日、2014年4月26日の日記である。 その日記で言及した肖像画で、映画「恋におちたシェイクスピア」の制作のきっかけとなったといわれ、それがシェイクスピアならば彼が24歳のときの肖像画が、イギリスの国立肖像画美術館が展覧会を控えて9ヶ月かけて鑑定した結果、シェイクスピアではないと断定した。理由は、24歳当時のシェイクスピアは双子の赤ん坊の父親になったばかりで、しかも劇団に入る直前だったこともあり金銭的に余裕がなく、当該肖像画のような豪華な服を着れる状態ではなかった、という。 私はこの発表報道について日記に書いてからずいぶん経って、イギリスの歴史的事跡の研究でシェイクスピアの母親の住居とその周辺の街区の調査がおこなわれた記録映像を観た(ブログ;2023年11月28日:下にその映像のURL)。その調査で判明したことは、シェイクスピアの母親が使用人を抱えた裕福な人だったようだということ。街区に広い中庭をそなえたかなりの規模の邸宅を構えていたのである。・・・私はこの調査結果を知ったとき、ちらと頭に浮かんだのが上述の否定された肖像画だった。チューダー朝時代の女性の生活がいかなるものであったかについてはほとんど記録がない。シェイクスピアの母メリー・アーデンに関する記録も同様で、じつは現在もなお母親については謎なのである。シェイクスピアは18歳で結婚したが、この結婚に母メリー・アーデンが関わっていたのか否かさへ判っていない。しかしながら、かなり裕福であったと思われる母親の息子としてのシェイクスピアが、サテンにレースの襟がついた衣服を着ていても不思議ではないのではなかろうか? まあ、これは私の推測にすぎないのでその後は言うまい。シェイクスピアの家の発掘調査 BBC Home "A virtual tour of Shakespeare's mum's home というわけで、窓拭き業者のスティヴン・ワドロウ氏が所有する肖像画についても興味をもったのである。ちょっと付け加えれば、この肖像画の人物は、これまでシェイクスピアの肖像画といわれてきた人物の容貌と比べると、いわゆる「富士額」であることが際立った違いである。BBC Window cleaner in quest to />Mary Arden's HouseVoiceTube "SHEIKESPEARE The Greatest Playwright"
Oct 14, 2025
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ドキュメンタリー「ピカソの悪癖から逃れた女」を観た。 たくさんの女と関係を持ち子供を産ませたピカソを、10年間の同棲の後に彼を振り切って別れたただ一人の女性として知られるフランソワ・ジローが、ニューヨークの彼女のスタジオでインタビューに応じて回想したドキュメンタリー。2021年。監督;アンイー・メイリスとシルヴィー・ブラム。制作:Les Films D'lci Méditerranée. ピカソとフランソワとの10年間をその出会いから本人が回想している大変めずらしく、また貴重なドキュメンターリーである。もちろん私は初めて観た。YouTube ドキュメンタリー「ピカソの悪癖から逃れた女」
Oct 13, 2025
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既出の論文の英訳を左フリー・ページに掲載。この英訳もすでに別ブログに掲載していたがこのブログにも徐々に再掲載することにした。
Oct 12, 2025
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秋雨や文つづる音かすかなり 青穹(山田維史) 雨すだれ途切れ途切れの蟲の声 落ち柿の濡れた香りに更けて行く
Oct 11, 2025
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このところ就寝前にベッドで眠くなるまでジェフリー・アーチャーの『ナッシング・アドヴェンチャー (冒険なし)』を読んでいる。まだ40ページほど残っている。作者によれば主人公ウィリアム・ワーウィック・シリーズの第1作である。 主人公ウィリアム・ワーウィックは、父である勅撰弁護士(QC ; Queen's Counsel. 現在のチャールズ3世のもとではKing's Counselとなる)ジュリアン・ワーウィック卿のように法廷弁護士になることを望まず、大学卒業後にロンドンの首都警察(MP ; Metropolitan Police) の刑事になった。このことはジュリアン卿を落胆させたが、まもなくロンドン警視庁(Scotland Yard) に転属になった。そこで配属された部署は〈美術ならびに骨董部 (Art and Antique unit)〉だった。すなわち盗品あるいは偽造(フェイク)美術・骨董品に関する事件を担当する部署である。公立・私立の美術館や個人収集家から盗まれた美術品の捜査、流通経路の確定、偽造場所の特定、犯人捜査、犯人逮捕・・・等々を扱っている。長年にわたって追求している事件もある。 ウィリアム・ワーウィックが就任してすぐに携わった事件は、ある美術館から盗まれたレンブラントの「織物製造者組合の理事たち」の捜査。そしてウィンストン・チャーチル卿の12巻におよぶ「第二次世界大戦回顧録」である。この書籍は、3冊にチャーチルの直筆署名があるのだけれど、古書市場には偽筆の署名本が出回っている。その製造場所はどこだ?・・・ワーウィックはいきなり重大事件を担当することになったのである。 ・・・と、まあ、そんな小説だ。私が面白いと思ったのはスコットランド・ヤードの盗品・偽造美術品事件がどのように捜査されているかということ。その指揮系統がどうなっているかということ。また、法廷裁判がどのように展開するかということ。・・・私はイラストレイターとしてディクスン・カーなどのミステリ小説に長らく関わってきたが、盗品美術や偽造美術を主題にした小説、しかも警視庁を主体とした作品は読んだことがなかった。 現実の問題として盗品美術・偽造美術の事件はじつは非常に多い。国際刑事警察機構(インターポール)は国際的な美術犯罪捜査のいわば中心である。ナチスによって政策的に略奪されたりナチス幹部らが個人的に盗んだりした美術品の捜査は現在もなおつづけられている。実物が発見され、元の所有者が特定されてもすぐに変換されるわけでもなく、国家間の問題となることは少なくない。 このような美術犯罪事件は決して海外の話ではない。日本でも公開手配されている盗品美術は多い。また、つい最近は美術館が購入した絵画が偽造であると判明した。ちょっと笑うに笑えないのは、偽造絵画を今後どう処理するかに関係者は悩んでいるとか、いないとか。専門家と称し称される者でも見抜けなかったほど良くできた(上手い)絵なのだから、それはそれで美術品として扱ってよいのではないか・・・と言うのかしら? 私はいろいろなことを思い浮かべ、考えながら、おもしろくジェフリー・アーチャー『ナッシング・アドヴェンチャー (冒険なし)』を読んでいる次第。日本語訳があるかどうか、私は知らない。 ところで、もう一つ美術関連で。 YouTubeで観たフィンランド映画。『ラスト・ディール (最後の取引)』(2020年)。監督:クラウス・ハロ、脚本:アナ・ヘイナマー。 ヘルシンキで美術商をいとなむ72歳のオラヴィは、いまやオンライン・ビジネスに押されて時代遅れになった仕方で破産寸前である。これまでオークション等で買い集めた絵画はいまでは雑貨同然。日銭さへ稼げず、オークション会場に足を運んでも競り落とす金がない。そんな折り、なじみのオークションで1点の男の肖像画に目を止めた。さしたる大事に扱われずに人目もつかないような場所に掛けられている。その肖像画には作者の署名が無いのだった。・・・しかしオラヴィの目には深い人間観察と静謐感、いうならば名作だけがもっている芸術性が観て取れた。落札したい。金はない。そして、この絵の作者は誰だ? なぜサインを書き入れなかったのだ? ・・・映画の内容をこれ以上打ち明けるのはやめよう。私は非常におもしろかった。以下にURLを記しておく。YouTubeフィンランド映画『ラスト・ディール (最後の取引
Oct 10, 2025
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蕣(あさがお)も秋深ければ味気なし 青穹(山田維史) 朝顔も秋深ければ影うすし 庭の柿がなりすぎて 食べきれぬ柿を隣家に押し付けし 秋深みはや耶蘇祭り見越しおり
Oct 9, 2025
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小津安二郎監督作品「お茶漬けの味」を観ていた。1952年の松竹映画。脚本は野田高梧と小津安二郎。撮影は厚田雄春。出演:佐分利信、木暮実千代、津島恵子、鶴田浩二、淡島千景、上原葉子、笠智衆、他。 私はこの映画を初公開年の1952年に長野県川上村梓山の公民館二階で観ている。小学校1年生だった。小津映画を最初に観たのが「お茶漬けの味」だったことになる。いや、そんなことに気づいたのは後年も後年になってからだ。私は佐分利信と木暮実千代の夫婦がお茶漬けを食べる映像はずっと記憶してきたのだが、じつのところ映画そのものはまったくといってよいほど記憶にない。今日、再見していて、これは7歳の子供が記憶してないのも無理はない、と思った。そして散りばめられたユーモアにも(今日、私は観ながら何度も笑った)。見合い結婚した育った環境も性格もちがう夫婦が、お互いにそのズレを感じながら打ち解ける事なく長い結婚生活をしている・・・そんな淡々とした物語が7歳の私に理解できるはずはなかっただろう。ただ、いうならばヒョンなことから互いを認め合い、深夜にふたりきりで向かい合ってお茶漬けを食べる。糠漬けを食べるポリポリという音がする。・・・そのシーンだけは理解できたのであろう。そして印象に残ったのであろう。「お茶漬けの味」の映像として唯一記憶に長く残ったのだろう。 1952年(昭和27年)の東京の風景が映し出されるが、戦後7年経って、廃墟のような街がめざましい復興をとげているのがわかる。 そうそう、もうひとつ。佐分利信と木暮実千代の佐竹家の洋風の応接間に東郷青児の女性像の絵が掛けられたいる。小津安二郎は東郷青児が好きだったのだろうか、「麦秋」にも画伯の絵が登場していた、と私は記憶している・
Oct 7, 2025
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自民党総裁選で高市早苗氏が選出された。初の女性総裁の誕生である。そして、つづく首相指名選で、自民党は少数与党であるものの、おそらく高市氏が首相に指名されるという大方の予想である。もしもそれが現実となれば、日本政治史上初の女性首相となる。ヒラリー・クリント氏が大統領選に出馬したとき、女性の社会進出ならびに更なる高度な活躍の場を広げる合言葉として「ガラスの天井を突き破る」と言われた。高市氏首相の誕生を予測して、早くも「ガラスの天井を突き破る」と表現したマスコミもある。 私は常日頃から女性の活躍を応援している。世界中のあらゆる分野、あらゆる場面で、非常な活躍をしている女性がおおぜいいる。「男に期して」という日本語があるが、とんでもない、「男」などという称名は少なくともほとんど意味をなさない場面がある、と私は思っている。 しかしながら、である。事、日本の政治に関してみれば、女性議員として登場した人たちは何か危うさを私は思うのである。勇ましいのは良い。だが、その勇ましさが軽薄な男どもと同じ「戦争志向」があるとなると、「おい、待て!」と言いたくなる。男にある戦争志向が女にあって何が悪い、と反論されそうだ。女性の活躍を「戦争反対」と結びつけるな、と。 たしかにその通りで、私の思考に依然として「男」「女」を弁別しているスィッチがあるのかもしれない。顧みれば、過去の戦時中の「国防婦人会」のように戦争協力組織として大衆を駆り立て、のみならず近隣住民に対して集団でヒステリックに脅迫したのは女性たちであった。自分の息子を戦場に送り出すときも、涙を呑んでというのは嘘ではなかっただろうが、反面、息子の生命を死なしめることをおおいに誇らしく思っていたことも事実であった。・・・母親だから、女性だから、生命を愛おしむ優しい普遍的な心性をもっているわけではないのである。そのてんに期待することはできないのである。 さてそこで、高市早苗氏が首相になった場合だ。この人の変わらない政治主張に「憲法改正」がある。私に言わせてもらうと、その主張の本意は、現・平和憲法を積極的戦争行為が可能なものに「改悪」することだ。彼女の言い分は、現在の国際情勢に鑑みて「専守防衛」で日本を保持できない。自衛隊を武力攻撃可能な軍隊にする必要がある、ということだろう。この考えは、もちろん彼女ひとりのものではない。憲法改正論者の一番の目論見である。そして、私はその心情をあまり理解できないのだが、戦争を知らず、戦争ゲームで育った若者が戦争指向の「憲法改正」に賛成しているらしい。この若者たちは戦争による自分の死を想像できないのかもしれない。戦争が起これば、戦死からもっとも遠くにいて威張り腐った指揮をしているのは、平和憲法を踏みにじった年寄りたちなのだが。 高市氏が目先の判断でヒステリックな政策を発言する危険性があることは、彼女が政府の見解と異なると見たテレヴィ番組をもって、いきなり電波停止を言い出し、「放送法」改正を提議した一件でもわかる。都合の悪い言論を封殺する。・・・このような言論封殺がいかに社会を政治的に堕落させ、ファシズムへの道を開くかは、歴史が示している。ファシズムは外からやって来るのではない。常に内側で芽を出すのである。高市氏の言論が、事実確認をせず伝聞にもとづく情報を公言して自分の御都合主義に傾くことがあるのは、このたびの自民党総裁選のさなかにも起こった。首相として御都合主義な言論が自国を崩壊させることは某国の大統領の言動が示しているとおりだ。 高市氏に何が期待できるだろうか、と私は思わずにはいられない。首相の眼前には喫緊に解決しなければならない問題が山ほどあろう。高市氏も「働いて、働いて、働く」と言っているが、所詮麻生氏の傀儡。しかし戦争志向だけは私は願い下げである。ギリギリのところで戦中に生まれ、いま(たぶん)死を目前にした私の気がかりは、ただ戦争のことだけだ。
Oct 5, 2025
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ちょっと忙しいのでCNNのURLだけ掲載。CNN 「国家非常事態」トランプ氏が介入する芸術
Oct 2, 2025
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