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収入の低い母子家庭に支給されている児童扶養手当について,与党は来年4月からの削減を実質的に凍結しました。世論と運動が勝ち取った重要な成果です。 しかし,与党合意には「就業意欲」の定義や「凍結」期限など不明確な部分があり,監視が必要です。 与党合意は,母子の障害や病気など「就業が困難な事情がないにもかかわらず,就業意欲がみられない者」についてのみ,児童扶養手当の支給額を半減するとしています。 ひとり親家庭の支援などを行うNPO法人ウインク理事長・新川てるえさんは,「『就業意欲』が何をもって判断されるのかというのが,当事者がいちばん気になるところです。『就労活動をしているが,なかなか決まらない。二,三カ月仕事に就いていなければ意欲がないと見られてしまうのか』などの疑問が,会員からたくさん上がっています」と語ります。 この疑問について,与党プロジェクトチームの自民党参院議員は,「ハローワークに行って求職登録をした人や,市町村の就業支援センターなどに相談に行った人など」を,就業意欲があると判断される例として挙げました。 さらに,「紹介を受けたものを断った場合も,断った事情が勘案される。ケースバイケースの判断だ」と述べ,「『就業意欲がない』ということで切り捨てられる人は,そう出ないだろう」との見方を示しています。実際の運用でも,切り捨てにつながらないようにさせることが必要です。 もうひとつの問題は,「凍結」の期限です。今回の与党合意にそって政令が改定されれば,政令が再改定されない限り「凍結」は続きます。ただ,5年前に改悪された母子及び寡婦福祉法そのものは,“手当受給開始から5年経ち,末子が8歳以上に達した人については最大1/2まで手当を削減する”と明確に定めています。 与党は「自立を促すという立法の趣旨は正しい」として,法律そのものの改定を行おうとはしていません。 この点について先の参議院議員は,「片方で『手当はずっと出します』といいながら,片方で自立支援のための予算を上乗せするというのは,財政当局はたぶん認めない。予算も全体的に厳しいなか,やむを得ない」と述べました。 つまり,財政状況でいくらでも変わりうる危険があるのです。 母子家庭の実態を無視した児童扶養手当の大幅削減の矛盾が明らかになった以上,「凍結」でごまかすのではなく,撤回するのが筋です。 撤回へ向けた国会の力関係も変わりつつあります。5年前には手当削減を含む法改悪に賛成した民主党も,削減条項を削除する児童扶養手当法改正案を国会に提出する方針です。 大企業・大金持ちへの減税の大盤振る舞いや巨額の軍事費などにメスを入れれば,財政的にも十分賄えます。 民主党の活躍に期待しています。
2007年11月30日
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インド洋での海上自衛隊によるアメリカ艦船などへの給油活動を再開する新テロ特措法案の審議が参議院ではじまりました。 衆議院では自民,公明両党が採決を強行しました。日本の油がアフガニスタン国民の無差別殺りくやイラク戦争に使われた疑惑の解明さえ十分ではありません。 参議院では,アメリカのアフガニスタン「報復戦争」支援の実態を究明し,憲法を生かした日本の役割と方策について審議をつくす必要があります。それは参議院選挙で与野党の議席数を逆転させた国民に対する責務です。 アフガニスタンではいま,テロ根絶を旗印にしたアメリカの「報復戦争」が行き詰まっています。テロの拡散を防げず,アフガニスタン国民の反発を強めているからです。 アメリカ軍が海からの空爆を含む激しい武力攻撃を再開して以来,アフガニスタン情勢はかつてなく悪化しています。アメリカ軍だけでなく,国連安保理決議で治安任務に限定されているはずのNATO(北大西洋条約機構)中心の国際治安支援部隊(ISAF)をもまきこんだアメリカの攻撃作戦は,民間人の犠牲を大きく増やしています。 部族社会のアフガニスタンでは1人の殺傷も恨みが広がります。7年にわたる無差別殺りく攻撃が憎悪の輪を大きくしているのは明らかです。 国際人道機関による人道支援や医療援助も,戦闘激化で困難になっています。日本政府は,就学児童が増えたなどといって戦争を正当化しますが,その成果が戦争によって台無しにされているのです。 「報復戦争」をやめてこそ,復興事業と人道支援を加速できるのは明白です。 アフガニスタン問題でいま大事なことは「報復戦争」の継続ではなく,「何よりもアフガニスタンの現実がいま何を求めているのかから出発した冷静な議論」が必要です。 これは,アフガニスタン政府や議会が和平努力にふみだしているだけに重要です。 カルザイ大統領は,テロと関係のないすべてのタリバンと交渉するという「平和と和解のプロセス」をすすめています。議会上院も,この和平プロセスの実施のためにアメリカ軍などにタリバンなどへの軍事掃討作戦を中止するよう求めています。 日本政府がなすべきことは,このアフガニスタンの和平のとりくみを促進する外交努力であり,和平の障害となっている軍事作戦の中止をアメリカに求めることです。 福田康夫首相は和平のプロセスを「重要だ」といいつつ,和平と軍事作戦の「同時並行」を強調しました。こん棒で殴りつけながら話し合いをするなどできるはずがありません。 政府は,戦争支援ではなく,アフガニスタンの現実をふまえた,政治的・外交的役割を積極的に果たすべきです。 政府は,海上自衛隊の給油活動が国際社会のためなどとごまかしています。しかし,今年8月までのアメリカ軍艦船への給油量が全体の約80%だったことが示すように,アメリカのためであるのは明白です。 しかも,テロ新法はアフガニスタン空爆を行うアメリカ艦船への給油も認めています。政府見解でも憲法違反である「報復戦争」支援を許すわけにはいきません。 国会の会期を延長してまで強行成立を狙う政府・与党の策動を許さず,新テロ特措法案を廃案においこむ国民のとりくみが急務だといえます。
2007年11月29日
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軍需専門商社「山田洋行」から過剰な接待を受けていた守屋武昌前防衛事務次官が,収賄の疑いで逮捕されました。東京地検特捜部が,先に業務上横領などの疑いで逮捕していた「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者らを新たに贈賄の疑いで逮捕,守屋前次官についても収賄容疑で逮捕したものです。 守屋前次官への過剰接待がきっかけになった軍事利権疑惑は,ついに汚職事件へと発展しました。疑惑の解明をさらに進め,歴代防衛庁長官経験者など政治家とのかかわりや,「山田洋行」以外の軍需企業からの働きかけなど,政軍財の軍事利権の全体を明らかにすべきです。 守屋容疑者が,宮崎容疑者を通じ「山田洋行」から受けたゴルフや飲食などの接待や贈り物,現金などの受け渡しは巨額で,その癒着は底知れぬものがあります。 長期にわたった接待ゴルフだけで,数百万から一千万円を超すというのです。通常の付き合いとしては異常きわまるもので,4年余りにわたって防衛次官を務め「天皇」とまで呼ばれた守屋容疑者が,その見返りに「山田洋行」に便宜を図った疑惑は濃厚です。 東京地検特捜部は逮捕にあたって,守屋容疑者に提供されたゴルフ旅行など12回計約389万円相当を「賄賂」と認定しました。 「山田洋行」と守屋前次官をめぐっては,「山田洋行」が装備品納入の際,価格を水増し請求したのを守屋容疑者がもみ消した疑惑,航空自衛隊の次期輸送機(CX)や海上自衛隊の新型護衛艦のエンジンの選定や納入で守屋容疑者が「山田洋行」に便宜を図った疑惑などが指摘されています。 宮崎容疑者が「山田洋行」をやめ「日本ミライズ」を立ち上げたあとは,引き続きアメリカの軍需メーカーGE社の代理店となり,CXのエンジンが防衛省から受注できるよう働きかけた疑惑もあります。 いずれも重大であり,すべての疑惑は徹底して解明されるべきです。 同時に,ことは守屋容疑者の個人的な犯罪にとどまりません。「山田洋行」は守屋容疑者だけでなく,自衛隊制服組を含め,広範な防衛庁関係者に接待攻勢を続けてきたといわれます。現職,OBを問わず,癒着の実態とその責任は,徹底的に明らかにされる必要があります。 とりわけ重大なのは政治家とのかかわりです。守屋容疑者は参議院の証人喚問で,宴席に同席したことのある政治家として,額賀福志郎元防衛庁長官・現財務相と,久間章生元防衛相の名前をあげました。 調べによれば,「山田洋行」から政治献金を受け取ったことのある政治家は,17人に上っています。これらの政治家が接待や政治献金と引き換えに,「山田洋行」のために自らの職務権限を行使したことはなかったのか。 疑惑を抱かれる政治家は,みずからすすんで事実を国民の前に明らかにする責任があります。 「山田洋行」をめぐる疑惑は,政軍財が絡む軍事利権疑惑の,あくまで「氷山の一角」にすぎません。 日米軍事同盟のもと「聖域」化した巨額の軍事費と,それにたかる日米の軍需大企業,高級官僚,政治家による癒着が疑惑の温床です。守屋容疑者の証言では,日米の軍事利権のフィクサーといわれる秋山直紀「日米平和・文化交流協会」常勤理事らの名前も登場しました。 いまこそ軍事利権の全ぼうを明らかにし,疑惑の根を断ち切る好機です。徹底追及が求められます。
2007年11月28日
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過去へ巻き戻されていた時計の針が,憲法九条が示す未来へと進められている。 11月1日のテロ特措法の失効に続き,イラク特措法廃止法案が11月27日の参議院外交防衛委員会で可決された瞬間,そう感じました。 大義なき「ブッシュの戦争」は音を立てて崩れています。アメリカの同盟国は相次いでイラクから撤退し,アメリカ国内でも「イラク撤退」の声が多数になっています。 オーストラリアでも総選挙で「ブッシュの戦争」を支持してきた与党が大敗し,イラク撤兵を掲げる新政権が誕生します。 日本でも政府の派兵政策が民意によって否定され,平和的手段による紛争解決・復興支援への転換が迫られているのです。 11月27日の質疑で政府・与党は,「国連支援」を強調してイラク派兵継続の正当性を主張しました。しかし,その実態は,破たんしたアメリカ軍のイラク軍事作戦への支援そのものです。 防衛省によると,空自は2006年9月から今年9月までの間,イラク北部アルビルに国連職員や物資を44回,のべ1,300人空輸していますが,同時期の空輸の総回数は213回です。つまり,国連関係の空輸は約21%にすぎません。 物資の輸送では,同時期の輸送総量約160トンに対して,国連関係はわずか2.3トンです。 イラクに駐留する外国軍の93%がアメリカ軍であることから,国連以外のほとんどは「掃討」作戦などを行っているアメリカ兵輸送だと断定できます。 政府も,「月あたりの輸送回数は17回から20回。うち国連関係は4回-5回」(高見沢将林運用企画局長)と認めざるをえませんでした。 一方,政府は「国連職員は民間機でのイラク国内の移動を禁止されている」(石破茂防衛相)とも述べています。それが事実であっても,空自の空輸能力がなければ国連の活動が困難になるのか,政府からの説明はありません。 廃止法案は11月28日の参議院本会議で可決された後,衆議院に送付される見通しです。衆議院の2/3を占める自民党・公明党両党は,「イラク戦争支持は正しかった」という立場に固執し,同法案を廃案とする構えです。 しかし,参議院で示された結果こそが民意です。これを無視して,いたずらに数の横暴でイラク派兵を継続すべきではありません。政府・与党は衆議院でイラク特措法廃止に踏み切り,軍隊によらないイラク復興支援に転換すべきです。
2007年11月27日
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守屋武昌前防衛事務次官の接待疑惑に端を発する問題は,日米両国にまたがる巨大な軍事利権疑惑へと発展しています。現職閣僚をはじめ歴代防衛庁長官,アメリカ政府元高官の名前まで浮上した疑惑を生み出した自民党政権の責任が問われます。 1,000億円にのぼるCX(次期輸送機)エンジン調達をめぐる疑惑,グアムでの米軍住宅建設など在日米軍再編にからむ疑惑,さらには沖縄県名護市に狙うアメリカ軍新基地建設をめぐる利権の疑い。 今回の疑惑で浮上している軍事利権だけでも,これだけあります。 大本にある防衛省(庁)の装備品調達は,2005年度実績で国内調達1兆8,917億円,一般輸入1,525億円,FMS(米国による有償の対外軍事援助)調達937億円で,合計2兆1,379億円に達する巨大な規模です。 このほかに,在日米軍再編経費やSACO(日米沖縄特別行動委員会)経費なども利権に絡みます。 戦車や艦船などの装備品の最大の特徴は特定メーカーしか生産していないため,市場価格がなく,事実上企業の「言い値」になっていることです。そのうえ,「労借り」といって,装備品の開発研究に企業が防衛省(庁)に社員を派遣し,莫大な日当を受け取った上に将来の受注を確実にするという癒着関係もあります。 企業側が見積もり価格にさらに上乗せする水増し請求も発覚してきました。 ところが,政府・自民党は,1998年に水増し請求・背任事件,2006年に防衛施設庁官製談合事件と,防衛省(庁)をめぐる政官業の癒着事件が相次いできたにもかかわらず,癒着の根本にメスをいれず,組織いじりに終始してきました。 背任事件では調達実施本部を解体,官製談合事件では施設庁を解体しましたが,癒着構造にはメスをいれてきませんでした。 疑惑は後を絶たず,今回も守屋前次官を接待してきた軍需商社「山田洋行」が水増し請求の事実を認めました。 癒着の温床とされる随意契約(防衛省が競争入札なしに業者と契約するもの)は,2005年度実績で金額で99.8%,同省の「見直し後」も40.3%を占めます(同省資料)。2007年度からすべて「一般競争入札」に移行するとしていますが,「選定に当たり個々の防衛装備品固有の高度な知識や技術的専門性が必要となる」として,「総合評価方式」という方法をとるとしています。 これでは癒着の構造は断ち切れません。 年間5兆円もの軍事費を「防衛」「安保」を口実に聖域扱いしてきたことが,浪費と癒着を生む根本原因であり,それを放置してきた歴代防衛庁長官や防衛相,自公政府自体の責任は重大です。 日米軍事利権が巨大化したもうひとつの背景に,小泉内閣以来の海外派兵・軍拡政策があります。 小泉内閣は2001年のインド洋派兵,2004年のイラク派兵と,海外派兵を常態化させ,有事法制などアメリカとともに「海外で戦争する国づくり」を進めてきました。 この路線が旧ソ連対応の兵器に加え,ヘリ空母や大型輸送艦など海外派兵型装備という無駄遣いにつながってきたのです。 2003年12月には,それまで「研究」段階だった「ミサイル防衛」で導入に踏み切り,総額1兆円ともいわれる巨大利権に道を開きました。沖縄新基地建設を加速させ,岩国・座間などの基地強化,グアムでの米軍住宅建設を日本が負担するなどの在日米軍再編も小泉政権下ですすめられました。 今回,軍事利権の中心にいる「黒幕」と指摘される「日米平和・文化交流協会」の秋山直紀常勤理事が中心となり,自民,民主,公明の国会議員や日米軍需産業が集合する日米安保戦略会議も,2003年から毎年開催されるようになり,ミサイル防衛を中心に兵器の展示・売り込みはもちろん,軍拡戦略が公然と語られるようになりました。 もともと利権の巣だった軍事費をめぐる癒着構造を巨大化させた責任が自公両党にはあるのです。小泉政権で長く官房長官を務めた福田康夫首相の責任も問われます。 疑惑の発端となった守屋前次官は,1995年に防衛庁内に設置された「弾道ミサイル防衛研究室」の室長を務めて以来,ミサイル防衛と深くかかわってきました。沖縄の米軍基地をめぐっても1996年のSACO合意を審議官として担当,その後は防衛庁幹部として沖縄問題を扱い,在日米軍再編まで主導した人物でした。 こうしたなかで,久間章生元防衛相,額賀福志郎元防衛庁長官といった「国防族」との結びつきも強くなり,軍需産業からの接待におぼれていったのです。 日米軍事利権の闇に徹底的にメスをいれるとともに,巨大な軍事費を抜本的に削減することが利権一掃のためにも必要です。【参考】自公政権の軍拡政策・《海外派兵》2001年10月アメリカのアフガン報復戦争を支援するためのテロ特措法成立2001年11月海上自衛隊艦船がインド洋へ2003年 7月イラク特措法成立2004年 1月空自部隊(本隊)がイラク戦争支援のためクウェートへ2004年 2月陸自部隊(本隊)がイラク・サマワへ2006年 7月陸自部隊がイラク撤収2007年11月 海自部隊がテロ特措法期限切れで撤収・《ミサイル防衛》2002年12月石破防衛庁長官が「開発・配備を視野に検討」と発言2003年 5月小泉首相が日米首脳会談で「ミサイル防衛」の「検討の加速」を表明2003年12月小泉内閣が「ミサイル防衛」の導入を閣議決定・《在日米軍再編》2005年 2月日米外交・軍事首脳会談で「日米共通の戦略目標」確認2005年10月同上,基本文書「日米同盟:未来のための変革と再編」を発表2006年 5月同上,「再編実施のための日米のロードマップ」発表2007年 5月同上,「同盟の変革:日米の安全保障及び防衛協力の進展」を発表
2007年11月26日
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来年度の軍事予算編成作業をにらみながら,在日米軍駐留経費(思いやり予算)をいくらにするかが日米政府の重大問題になっています。 財政事情を理由に基地で働く日本人従業員の人件費を削減するというのが日本側の方針で,これに反発しているのがアメリカです。福田康夫首相は,日米首脳会談でアメリカの言い分に反論さえしませんでした。 本来日本側に負担義務のない巨額の思いやり予算を存続させること自体が重大です。削減交渉に矮小化できる問題ではありません。 思いやり予算は,円高・ドル安で「苦しんでいる」アメリカ軍を支援するため,1978年に金丸信防衛庁長官(当時)が日米地位協定さえも無視してふみきったものです。 米軍基地整備費に加え,1987年から5年ごとの思いやり協定で基本給や光熱水料などへも対象を広げ,いまやアメリカ軍給与以外のほぼすべての経費を日本が負担し,負担額も当初は62億円だったものが今年度は2,100億円強にも膨れ上がっています。 アメリカが結んでいる他の軍事同盟諸国には,思いやり予算などという卑屈なしくみはありません。思いやり予算は世界の笑いものです。 米軍再編の関係で昨年期間を2年とした特別協定は,来年3月で期限切れです。思いやり予算を全廃する絶好の機会です。ところが政府にはその意思がまったくありません。 政府がアメリカに示すのは,日本人従業員の人件費のうち100億円ほどの削減をいうだけです。財政制度等審議会が人件費の見直しを要求していることを理由にしています。しかし,削減をいうのは,こののち米軍再編経費の負担が待っているからでもあります。3兆円もの新たな負担にふみだす危険は明白です。 本来,思いやり予算の内容はすべてアメリカが負担すべきものです。日米地位協定二四条は,「合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」は「合衆国が負担する」と明記しています。 基地の施設整備費はもちろん,日本人従業員の人件費も光熱水料も米軍駐留を維持するための経費です。日本が負担すべき筋合いのものでないことは地位協定でも明確です。 だからこそ,政府も思いやり予算を例外扱いにし,5年間という特別の時限立法にせざるをえなかったのです。 地位協定を押し付けたアメリカが思いやり予算全廃に反対する資格などありません。アメリカいいなりに思いやり予算を存続する卑屈な態度を政府は改めるべきです。 政府は,アメリカ軍が「日本防衛」の任務にあたっているからということを思いやり予算を正当化する理由にしてきました。それももはや通用しません。在日米軍がイラク戦争やアフガニスタンなど海外の戦争を実施するのが最大の任務であることは明白です。 日本の思いやり予算で浮いた米軍予算が無法な戦争にまわされています。世界平和のためにも思いやり予算は全廃させるべきです。 政府は社会保障費や教育費など生活予算を削減するとともに,増税につぐ増税で国民に大きな痛みを押し付けています。アメリカ軍ばかりを思いやる政府に国民の怒りが噴出するのは当然です。 財政難をいうなら,海外派兵のための経費ととともに思いやり予算を廃止し,米軍再編経費を中止すべきです。社会保障を支える財源を確保するためにも,5兆円にのぼる軍事費にメスを入れることがいよいよ重要です。
2007年11月25日
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憲法審査会の「始動」へ向け,自民党や民主党でにわかに動きが出てきました。 5月に強行された改憲手続き法に基づき衆参両院に設置された憲法審査会は,国会が発議する改憲原案の審査権限を持つ機関。参議院選挙での自民党・公明党連立与党の大敗の後,野党の強い反対で,審査会の組織や運営のルールを定める審査会規程の議決すら行えず,活動を開始できずにきました。 ところが11月20日の参議院議院運営委理事会で西岡武夫委員長は,笹川尭衆院議運委員長から「衆院で憲法審査会の運営規程の制定を検討したいので,参院でも検討をお願いしたい。衆参それぞれで規程を整備しなければ意味がない」と申し出があったことを明らかにしました。 しかし,笹川氏は同日開かれた衆院議運委員会の理事会の席上,「憲法審査会規程の制定について,参議院の西岡委員長に話をする」と発言したものの,各党に了承は求めていませんでした。 11月21日になると西岡氏は,「どうも衆議院では議論が確定されていないようだ」と述べ,改めて話すとしていったん論議を引き取りました。 西岡氏は11月22日の議運委理事会では,民主党の衆院議運委理事から“憲法審査会規程は衆参一緒に議論した方がよいとの旨を参院側に伝えることで一致をみた”との報告を受けたと説明。 審査会規程の作成へ向け,衆参合同の協議会の設置の検討を提起しました。各党持ち帰り,継続協議となっています。 しかし,11月20日以降衆議院で議運委員会は開かれておらず,衆参合同で審査会規程を協議することが改めて議論された経緯はありません。 この点に関連して,民主党国対関係者は11月20日,「(自民・民主の国対会談で)与党の呼びかけに,審査会規程を決めるなら衆参そろってではないかと返答してきた。安倍首相とは改憲論議は絶対しないという立場だったが,福田内閣になり状況は動いてきた。しかし,まだ早いのではないか」などと述べていました。 改憲派議員でつくる「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)は11月8日,都内で緊急総会を開き,審査会の活動開始を求める決議をあげました。 議員同盟では,決議への賛同を募っており,既に200人近い国会議員の賛同を得たとして,12月早々には衆参議長に対し憲法審査会の始動を求める申し入れを計画しています。 事務局によれば,同議員同盟には,自民党,国民新党のほか,民主党,公明党の議員も参加しているといいます。 民主党憲法調査会の幹部の1人は,「解散・総選挙前に,どこまで議論を進めるかは問題だが,審査会規程の議決についてはそろそろ考えないといけない」と語ります。 同氏は,自衛隊の海外派兵をいつでも可能にする恒久法や,民主党の主張する国連決議のもとでの自衛隊の海外派兵について「憲法上の問題は,憲法審査会で議論すべき問題だ。参議院では民主党が主導権を握っているのだから,そこの議論はしてもいい」と述べます。 憲法審査会は,集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈の変更の問題など,解釈・立法改憲の舞台としても機能する仕組みです。テロ新法案への対案づくりや,恒久法論議を通じて改憲の動きを促進する流れが新たに強まる恐れがあります。
2007年11月24日
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初の日米首脳会談のために11月15日-11月17日にとんぼ返りで訪米した福田康夫首相は,11月19日-11月22日にシンガポールを訪問し,東アジア首脳会議や,中国,韓国との首脳会談,東南アジア諸国連合(ASEAN)との会談を重ねました。 来年7月の洞爺湖での主要国サミットまで一連の外交攻勢をかけ政権浮上につなげようと躍起となっています。 シンガポールでは,これまでASEAN会合の場を利用して開いてきた日中韓首脳会談を独立して開催することで合意。首相は,年内または年初に訪中する意向を表明するとともに,来春の胡錦濤中国国家主席の訪日を重ねて招請しました。 サミットに向けては,環境相(5月),エネルギー相(6月)の個別会合が連続して開かれ,サミット直前には主要途上国も含む気候変動サミットを洞爺湖で開く意向。第4回アフリカ開発会議(TICAD)も5月に開催されます。 安倍前政権が打ち上げた「自由と繁栄の弧」や「価値観外交」は,中国包囲網だとしてアジア諸国から非難され,アメリカさえも批判しました。それを踏まえて福田首相が掲げる外交理念は,「日米同盟とアジア外交の共鳴」(?)です。 対北朝鮮外交での対話姿勢の強調や,日中韓首脳会談の独立開催の合意,中国との関係強化は,関係国から肯定的な反応を呼んでいます。 問題は,この「共鳴」外交が,あくまで日米軍事同盟の強化を大前提としたものだという点です。福田氏はブッシュ氏との会談後の共同記者発表で,「わが国唯一の同盟国であるアメリカ」と表現(11月16日)。 シンガポールでの記者会見では「共鳴」外交について,「外交の要としてしっかりもっている日米同盟関係を基礎として,筋の通ったアジア外交を展開する」と説明しました(11月21日)。 「まず対米同盟ありき」だというのです。 もちろん日本にとって対米関係は重要です。ところが今日の日米関係は軍事同盟を軸に展開され,福田政権も「アメリカとともに戦争する国づくり」路線を推進しようとしています。 福田氏は,アジアの国,アフガニスタンに対するアメリカの「報復戦争」を支援する自衛隊のインド洋派兵の再開に固執。 日本をアジアと全世界に対するアメリカの先制攻撃戦争の最大の拠点とする米軍再編を積極的に進めようとしています。 現首相の父,福田赳夫元首相と親しかったシュミット元西独首相は,「日本が世界で真の友人をもっていない」と繰り返し忠告しました。 同氏は,「日本は,広いこの世界で,友であり同盟者である国をひとつもっているだけ」だが,「唯一の盟友であるアメリカとの関係は,流動的であやふやな状態」だと指摘(1995年の広島での演説)。 ドイツが行ったように,過去の侵略戦争についてアジア諸国に明確に謝罪するよう助言しました。 軍事協力最優先の対米追随と侵略戦争への無反省を続けるならば,外交日程をどんなに多く組んでも,アジア近隣諸国の「共鳴」を得ることはできず,日本の安全にも役立たないでしょう。
2007年11月23日
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世界の科学者が地球温暖化の原因や対策について話し合ってきた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の総会がこのほど開かれ,第四次の評価報告書を発表しました。ここ二,三十年の努力がヤマになると指摘しています。 報告書は12月に開かれる気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)などでの論拠となります。今週開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議や東アジア・サミットでも,温暖化が焦点になりました。 温暖化を抑えるために,いまこそ政治の力を発揮するときです。 数年前までは,政治家や企業経営者などの間では,地球の温暖化そのものについても,人間活動が生み出す二酸化炭素(CO2)などが原因となっていることにも,疑問視する声が少なくありませんでした。 もちろん科学者には知られていましたが,今回のIPCC報告書は,「気候変動の温暖化には疑う余地がない」「20世紀半ば以降観測された世界平均気温の上昇のほとんどは,人為起源の温室効果ガスの大気中濃度の増加によってもたらされた可能性がかなり高い」と,強い調子で,地球の温暖化とその原因を指摘しています。 地球の温度が上昇を始めたため,異常豪雨やかんばつなどの気候変動が激しくなり,生態系にも大きな影響が及んでいます。 報告書は,今後も温室効果ガスの排出が続けば,21世紀にはさらに温暖化がすすみ,20世紀に観測されたよりも大きな気候変動が引き起こされかねないとしています。 しかもその変化は,海面の上昇や生物種の絶滅など,急激でもはや「後戻りのできない」大規模な影響をもたらしかねないと,厳しく警告しています。 温暖化によって,今世紀中に気温は最大6.4度上がり,海面は18センチ-59センチも上昇,北極やサハラ砂漠以南のアフリカ,小さな島やアジアのデルタ地帯などが大きな影響を受けます。 アジアでは穀物の生産量が減り,飢餓が広がる可能性があるというのですから被害は甚大です。 もちろん,現在起きている温暖化は,人為的な温室効果ガスの排出が原因ですから,排出を減らせば徐々にでも温暖化を抑えることができるはずです。 報告書は,「今後20年から30年の緩和努力とそのための投資が,より低い安定化濃度の達成に大きな影響を与えるだろう」と述べ,「排出の削減が遅れると…より厳しい気候変化の影響のリスクを増大させる」としています。 報告書の試算によれば,今世紀末の気温の上昇を2.0度から2.8度に抑える排出削減策をとった場合でも,今世紀半ばの世界の国内総生産(GDP)の成長率の低下は,平均0.12%以下にとどまるとしており,温室効果ガスの排出量削減は決して不可能な数字ではありません。 温室効果ガスの排出抑制は,地球全体の課題ですが,とりわけ重い責任を負っているのは,先進工業国と産業・企業です。世界の人口では20%にすぎない先進国は温室効果ガスの排出では60%を占めます。 しかも大半が産業用やエネルギー用です。 1997年に京都で開かれた気候変動枠組み条約の締約国会議(COP3)は,「京都議定書」でまず先進国が2008年から2012年までに排出量を6%削減するときめました。 削減どころかその後も排出量が増えている日本政府の責任は,いよいよ重大です。
2007年11月22日
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自民党の財政改革研究会(会長・与謝野馨前官房長官)は11月21日,消費税を社会保障財源に使途を限定した「社会保障税(仮称)」に改組し,2015年度に向けて消費税率を現行5%から10%程度に引き上げることを柱とする報告書をまとめました。 11月26日から本格化する自民党税制調査会での論議のたたき台にする方針です。 報告書は,社会保障給付費が「将来にわたりわが国財政を大きく圧迫する要因となっている」として,今後も「給付面での効率化・適正化を引き続き推進する」と福祉のいっそうの切り捨てを提言。 同時に,「歳出削減のみに頼った財政健全化は,社会保障等の国民への適切なサービス供給…に支障をもたらす恐れがある」と述べ,「歳出改革と一体的に歳入改革にも取り組む」と,引き上げ率と時期を明示して,消費税の増税に踏み込みました。 この間の社会保障制度改悪が,国民に将来不安をもたらし,参議院選挙での自民党惨敗につながったことから,これ以上の社会保障費削減に困難があることを認め,「社会保障税」という名目で増税を求めたものです。 財政を,社会保障と非社会保障の二部門に分割し,社会保障部門については「給付に見合った負担を求め」るとしています。「社会保障を充実したければ,消費税増税を」という方向を国民に迫るものです。 具体的な引き上げ時期は「自民党税制調査会で論議する」(園田博之座長)としています。 2009年度には,基礎年金の国庫負担率を現行の1/3から1/2に引き上げることが法律で決まっているため,報告書は「安定財源確保」のため「早期に税制上の措置を講じる」として,早ければ2009年度税制改正で増税に着手する必要性を述べています。 事はゆき過ぎた大企業・大資産家減税や軍事費を「聖域」化して,国民にいっそうの負担を押し付けるものではないのでしょうか。
2007年11月21日
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太田述正元仙台防衛施設局長(58)は,在職中の業務日記をパソコンに記録し保管しています。そこには,口利きを依頼してきた額賀福志郎財務相への怒りの言葉が…。 日記には,太田元局長が在職中,部下に命じて作成した「口利きリスト」の記録もあり,額賀財務相をはじめ,4人の防衛庁長官経験者の名前が記されています。太田氏の証言や日記から浮かび上がる,軍事利権をめぐる口利きの実態とは…。 「政治家からの口利き一覧を出してほしい」。2000年7月,当時現職だった元局長は,部下に口利きリストの作成を命じました。 太田氏は1999年8月から2001年3月まで同局長を務めました。リスト作成は「パーティーや会合で顔を合わせたときのため,政治家の要求を知っておく必要があった」と話します。 リストには,同施設局の建設部や施設部に対して,防衛庁長官経験者や同庁出身者などの防衛族議員らが行った口利きの内容や日付,結果などが書き込まれています。 額賀氏の口利きも1999年4月23日と2000年3月2日にあったと記載されていました。 元局長は,「山形県の建設業者を入札で指名するようにという話だったが,その業者の営業活動が弱かったため1999年は指名しなかったと部下の報告をうけた。額賀氏側のクレームを受けて,本庁では技術審議官が額賀氏側に説明におもむいたと聞いた」と説明します。 さらに12日後の3月14日,この建設業者の役員ら2人が仙台施設局を訪れ元局長と面会。日記には「例の額賀議員がらみの話。建設部長から,本庁技術審議官より丁重な対応をといわれている」と記載されています。 リストには,口利きをした14人の名前が。国会議員は額賀財務相ら10人です。そのうち6人が土木・建築工事の発注がらみで,山形県や仙台市など,東北地方の業者を指名競争入札の参加業者に指名するよう求めたといいます。いずれも長官経験者など防衛族です。 元局長自身も1999年末,元防衛総括政務次官の議員から秋田県内の業者を工事入札で指名するよう依頼されるなど,3人から直接の働きかけがあったといいます。 額賀財務相をめぐっては,軍需商社「山田洋行」からの宴席接待など,不透明な関係の解明が焦点になっています。軍事利権をめぐる疑惑の全容解明が必要です。 太田氏の記録から見えてくるのは,政治家は,当時の防衛庁長官など職務権限を問われるときは口利きを控え,退任すると,これからがかきいれどきとばかりに露骨な働きかけをする実態です。 政治家,官僚,企業がそろって防衛予算という甘い蜜を吸っている実態にメスを入れないと,国民の税金が“安全保障”という聖域で無駄に使われるからです。 国民も政治家の「口利き」で儲けようとする企業を赦してはいけません。
2007年11月20日
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財務相の諮問機関である財政制度等審議会が来年度の予算編成に関する建議(意見書)をまとめ,額賀福志郎財務相に提出しました。 建議は社会保障や地方予算を標的に「一層の削減努力」を要求し,「国民共通の課題として」「消費税を含む抜本的な税制改革を実現させる」ことを掲げています。 庶民負担増や地方へのしわ寄せに対して「もう我慢ならない」と,国民は参議院選で政権・与党に厳しい審判を下しました。この国民の審判に真っ向から挑戦する方針です。 参議院選後も政府・与党は,財政悪化を過大に試算し,その元凶が社会保障であるかのように描いて,国民に負担増と給付削減を強いるキャンペーンを続けてきました。 経済財政諮問会議は10月に,2011年までの短期の試算に加え,GDP(国内総生産)比の債務残高を増やさないことを目標にした2025年までの長期試算を示しました。 その間は軍事費も公共事業費もどんどん増えるといういいかげんな試算で,2025年には最大で31兆円の増税が必要だというものです。 財政審は,それをさらにエスカレートさせています。 建議は諮問会議よりも2025年先の2050年まで試算を延ばし,2007年に30兆円の収支改善が必要で,何もしなければ2050年の債務残高は2,000兆円を超えるなどとしています。 2050年時点でGDP比の債務残高を今年度末の半分以下の60%に圧縮する無謀な設定や,2033年から2050年の名目成長率をわずか1%と想定するなど税収を低迷させる前提を置いています。 財政の悪化度合いや必要な収支改善の規模を意図的に膨らませて試算し,架空の数字で国民を脅迫するようなやり方は許せません。 地方財政について建議は,地方法人二税(法人事業税と法人住民税)を「共同財源」として再配分し,都市と地方の税収格差を是正するとしています。地方法人二税には大きな税収格差がありますが,地方税は地方自治体の歳入の37%にすぎません。 最終的には地方交付税で財政力格差が是正され,必要な行政サービスを保障することになっています。 全国知事会も指摘しているように,都市と地方の格差拡大を招いた根本的な原因は,政府が「三位一体改革」で地方交付税を5.1兆円も削減したことにあります。 地方を痛めつけた政府・与党の責任は重大であり,地方の疲弊と格差に歯止めをかけるには,地方交付税の財源保障・調整機能を強化し,地方財源を充実させることこそ必要です。 財政審の試算をまとめた富田俊基部会長代理(中央大教授)は,記者会見で「何もしなければ,この国の余命は何年か」と聞かれ,「投資家が判断することだ」と答えました。 日本が巨額の借金を抱えていることは事実であり,無軌道な膨張が許されないのは当然です。しかし,富田部会長代理が認めているように,累積債務の大きさが財政破たんに直結するわけではありません。 日本の国債は主に日銀や郵政,銀行や保険会社が保有し国内でまかなわれており,国債市場は安定しています。 重要なのは,くらしと経済の安定を図りながら,軍事費など財政の無駄を削り,大企業・大資産家ら負担する力があるものに相応の負担を求めることです。 庶民や地方自治体へのしわ寄せは,これに完全に逆行するやり方です。
2007年11月19日
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福田康夫首相とブッシュ大統領は11月16日午前(日本時間17日未明),ホワイトハウスで初めての首脳会談を行いました。 福田首相は,海上自衛隊によるインド洋での給油活動の再開にむけて「全力を尽くす」と約束。北朝鮮の核問題については,両首脳が完全な核放棄に向けての連携を確認しました。 日米同盟をめぐっては,ブッシュ大統領が「平和と安全保障のために死活的に重要」と述べ,福田首相は,日米同盟は「両国がグローバルな諸問題に対処していく上で不可欠」,「アジア外交を展開する上でも極めて重要な基礎」と語りました。 両首脳は,日米安保体制が日米同盟の基盤であるとして,「抑止力強化」の重要性を強調。在日米軍再編についても着実に実施することで合意し,日米軍事同盟を地球規模に拡大・強化する方向を確認しました。 アメリカ軍が求める駐留経費負担についても福田首相は「担当閣僚にしっかり交渉させ,早期にまとめたい」と明言しました。 福田首相は海上給油問題で,現在国会で審議中の新テロ対策特別措置法案の「早期成立に全力を尽くす」と約束しました。ブッシュ大統領は,給油活動の再開に向けた福田首相の「卓越した指導力を称賛する」とし,同法案の成立に期待を表明しました。 北朝鮮の核問題については,両首脳が「六カ国協議を通じて,核兵器,核計画の完全放棄に向け,日米が緊密に連携,努力していく」ことで一致しました。 北朝鮮の「テロ支援国家」指定解除については,これまで日本政府が慎重な対応をアメリカに求めてきましたが,会談の具体的な内容は明らかにされませんでした。 ブッシュ大統領は会談後の声明でもこの点に触れず,拉致問題について「われわれは忘れない」,「日本にとって重要問題だと理解している」と述べるにとどめました。 アメリカ産牛肉の輸入再開問題では,ブッシュ大統領が「日本市場が完全開放されることを望む」と要請。福田首相は「科学的な知見に基づいて対応していく」と答えました。 福田首相とブッシュ大統領の日米首脳会談では,「日米同盟が平和と安全のために死活的に重要だ」として,グローバルな問題で両国が「不可欠な役割を果たす」ことを合意しています。 特に,福田首相は,国民の反対によって中止に追い込まれた海上自衛隊の補給活動再開に向け,新テロ特措法案の「早期成立に全力を尽くす」ことを約束した。 しかし,この法案は,野党の国会での追及によって,(1) “報復戦争支援法”だという本質,(2) “テロ根絶逆行法”という問題,(3) この活動を担う組織,部隊が疑惑まみれだという重大な問題点,が浮き彫りになっています。 にもかかわらず,福田首相が,アメリカの強い要求にしたがって,「法案の早期成立」を約束したことは,根深い対米追従姿勢を示したものとして厳しく批判しなければいけません。 福田首相は,「日米同盟の抑止力強化」として,米軍再編の日米合意の着実な実施を約束しましたが,米軍再編は,アメリカの先制攻撃戦略にそって,日米軍事同盟を侵略的に大変質させ,地球規模に拡大・強化し,在日米軍の基地強化と海外派兵を推し進めようとするものであることが分かっています。 再編にかかわる自治体と住民をはじめ,多くの国民の「基地強化反対の声」をふみにじって強行することは断じて許されません。 また,3兆円にのぼる無法な米軍再編への国民の税金の支出をやめさせるとともに,在日米軍への「思いやり予算」,米軍駐留経費負担に対する特別協定の改定に反対する闘いとあわせて,米軍再編をやめさせなくてはいけません。 国会軽視,国民の声無視の福田康夫首相ですが,こんなことがいつまでも許される政治を続けることは,国民にとって『百害あって一利なし』です。 安全保障も結構ですが,国民あっての国家であり,国家あっての安全保障であることを忘れてはいけません。国民もいつまでもこんな政治を決して許してはいけません。
2007年11月18日
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福田康夫首相は首相就任後初の外遊先にアメリカを選び,ブッシュ大統領と会談しました。 首脳会談で両首脳は,日米安保条約=日米軍事同盟強化が世界とアジアの平和と安定の「基礎」だと強調しました。世界とアジアで大きくなっている平和への取り組みをかえりみもせず,ことさら同盟強化を謳いあげたのは,軍事力で世界を主導できるという傲慢な態度のあらわれです。 憲法の平和原則を踏みにじり,アメリカいいなりにアメリカ先制攻撃戦略への協力・加担を強める首相の責任は重大です。 首脳会談で両首脳は,アジア外交,北朝鮮,地球温暖化,牛肉輸入など多岐にわたる課題をとりあげました。特徴は,ブッシュ大統領の歓心を買うために汲汲とした福田首相の卑屈な態度です。 それを端的に示したのがインド洋でのアメリカ艦船などへの給油支援活動の再開と,それにむけたテロ新法成立の決意表明です。ここには国民の意思と国会の判断で法律の成否が決まり,政府はそれに従うという自覚がまるでありません。 旧テロ特措法が延長できなかったのは,参議院選挙で国民が自民・公明の政治にノーをつきつけ,野党が参議院で多数を占め,政府が延長法案の提出さえできなくなったからです。テロ新法審議が政府の思い通りにすすんでいないのも,そのためです。 給油支援が否定されたことを何か悪いことをしたかのように受け止め,訪米して言い訳し,あげくのはてに早期再開への決意を表明した首相の態度は卑屈としかいいようがありません。 だいたい法案の審議中に,早期成立をアメリカに公約するなどというのは民主主義にとっての大問題です。参議院では野党が多数を占めており,徹底審議の結果では法案が廃案になる可能性さえあります。 首相がそれを承知で早期成立を公約したのは,政府は国会の判断を力で覆すという立場の表明なのか。それこそ国会の立法権にたいする侵害であり,許されることではありません。 福田首相が在日米軍への「思いやり」予算継続の要求を受け入れ,米軍再編強化の着実な実施を約束したことも重大です。在日米軍の再編・強化は,日本を国連憲章にも違反したアメリカの「先制攻撃」戦争の足場に変えるものです。 憲法で戦争を放棄した日本が受け入れられるものではありません。 米軍基地の再編・強化は,基地の所在地と周辺の広範な地域住民に,いま以上の痛みを与えます。それがわかっているからこそ,沖縄,岩国(山口県),座間(神奈川県)の自治体と住民をはじめ,全国各地で受け入れ反対の声があがっているのです。 ブッシュ大統領にたいする首相の約束表明がいかに日本国民の願いに反しているかは明白です。 ブッシュ政権の一国覇権主義と先制攻撃戦略は世界で孤立を深め,イラクやアフガニスタンからの撤退を求められています。福田首相が日米同盟の強化を謳いあげたことは,泥沼につかっているブッシュ政権に手を貸すものでしかありません。 日本をアメリカとともに孤立の道に追い込み,日本と世界の平和を脅かす新たな元凶となることは目に見えています。 こうした日米同盟を「きわめて重要な基礎」にするという福田首相の方針では,アジア諸国や世界とも矛盾をひろげることにしかならないのは明らかです。
2007年11月17日
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米軍再編をめぐる全国のたたかいが,正念場にさしかかっています。 今月末から来月初めにかけ,沖縄では「日本平和大会」(11月22日から)と「キャンプ・シュワブ」を包囲する「人間の鎖」行動(11月25日)が,岩国では12月1日に「国の仕打ちに怒りの一万人集会」が,神奈川では「戦争司令部ノー,爆音も原子力空母もゴメンだ首都圏大集会イン座間」が12月2日に計画されています。 米軍再編に反対する,自治体ぐるみ,住民ぐるみのたたかいの総結集が求められます。 在日米軍の「再編」計画は,2005年10月の合意から2年,2006年5月の最終合意からでも1年半が経過したにもかかわらず,沖縄での新基地建設,山口・岩国への空母艦載機移転,神奈川での新「戦争」司令部移転や原子力空母配備など,主要な計画でいずれも進んでいません。 米軍再編が,日本をアメリカの先制攻撃戦争の出撃基地として強化する点でも,住民の安全,安心のくらしを破壊する点でも,言語道断の基地強化計画であり,地元自治体や住民が「これ以上の基地強化は受け入れられない」と,反対の声を上げているからです。 沖縄では,県知事や名護市長が基地移設は受け入れましたが,2本のV字形滑走路をふくむ巨大な新基地建設計画には「反対」を表明しています。 岩国では,さまざまな圧力と攻撃が加えられるなか,井原勝介市長は,昨年3月の「住民投票」の結果にもとづいて,反対を貫いています。 神奈川での戦争司令部移転問題には,座間市長がひきつづき反対運動を繰り広げています。 ところが政府は,地元自治体や住民に十分説明し,その声に耳を傾けるのではなく,日米合意を押し付けることだけに汲々とし,米軍再編交付金を使って,反対する自治体には交付金を支給しないなど“札束”を使った卑劣な攻勢をしかけています。 この結果,岩国市ではこれまで約束し実施してきた市庁舎建設補助金35億円が突然カットされることになります。住民の声を押しつぶす無法で理不尽なやり方に,あらたな怒りと反発が高まっています。 日米両政府は,教科書検定での「集団自決」の記述書き換えに抗議しその撤回を求め11万人余の県民が参加した沖縄県民大会や,自衛隊の海外派兵に反対する国民世論によって追い込まれたテロ特措法期限切れなどの影響が「米軍再編」に及ぶことを警戒しています。 守屋武昌前防衛省事務次官の「防衛利権」疑惑問題では,守屋氏が米軍再編を進めた中心人物であることから,自治体や住民からも強い怒りが突きつけられています。米軍再編は,たたかいの発展によって計画をくい止めることのできる局面が開かれています。 先日来日したゲーツ米国防長官が記者会見で,「(日米合意は)一本の糸を抜けば,全体がほどけてしまう」とのべたように,ひとつひとつのたたかいいかんで計画が打ち破れます。 そのためにも,沖縄,岩国,座間でのそれぞれの集会を成功させることが重要になってくるように思います。神奈川での首都圏大集会には,東京,埼玉,千葉からも,岩国では,隣県の広島をはじめ,中国,四国や近畿各県からも代表が参加する取り組みが進んでいます。 「米軍再編」反対,基地強化ノーの声をいまこそ広げ,全国の運動と連帯し,新テロ特措法案の成立を阻止するたたかいとむすんで,政府を追い詰める好機だといえます。 国民がこの好機をどのように考え行動するのか,これまで以上に重要になっていると感じます。
2007年11月16日
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「久間先生と額賀先生でなかったかと思う」。守屋武昌前防衛事務次官に対する参議院の証人喚問で,軍需専門商社「山田洋行」の元専務・宮崎元伸氏との会食に同席した2人の政治家の名前が飛び出しました。 「久間先生」とは久間章生元防衛相,「額賀先生」とは額賀福志郎元防衛庁長官(現財務相)です。 宮崎元専務による守屋前次官の過剰接待問題は,その見返りとなった便宜供与をめぐり,贈収賄事件の様相を濃くしています。守屋氏は肝心なことになると「記憶がない」を連発します。 守屋氏はもちろん,明らかになった2人の政治家もすすんで疑惑に答えるべきです。 守屋氏の証人喚問は2回目ですが,この日も守屋氏は言を左右にしたあげく,ようやく宮崎元専務との会食に同席した2人の名前を明らかにしました。 久間氏,額賀氏とも防衛庁長官や防衛相を経験しており,「防衛利権」とのかかわりは重大です。 両氏とも,前回の守屋氏の喚問後,同席を否定する発言をしています。しかし,守屋氏の証言は,記憶に基づくとはいえ,会食の状況まで具体的に明らかにしており,否定できることではありません。 あくまで否定するなら,対決尋問も含め,国民の前で事実を明らかにする必要があります。現・元の閣僚として,責任逃れは絶対に許されません。 とりわけ,日本共産党の井上哲士議員の尋問では,久間氏との会食に誘ったのは,日米平和・文化交流協会専務理事の秋山直紀氏であることも明らかにされました。日米の政界と軍需産業の「フィクサー」といわれる人物です。 「防衛」族の大物議員,軍需商社の専務,防衛省の官僚トップ,フィクサーの4人が密室の料亭で会合するというのは,あまりにも胡散臭く,疑惑を呼ぶ行動です。 守屋氏は何が話されたかまでは明らかにしませんでしたが,事実は徹底的に究明する必要があります。 野党が,証人喚問終了後,ただちに2人の政治家と秋山氏らの証人喚問を提起したように,なによりもまず国会での徹底した究明が不可欠です。 守屋前次官をめぐる過剰接待問題は,その見返りに,国の「防衛」政策が歪められ,国民の血税が浪費された疑惑がいよいよ明白になっています。文字通り政軍財が癒着した「防衛利権」の歪んだ構造です。 この日の委員会で参考人として出席した「山田洋行」の米津佳彦社長は,会社が支出した守屋氏へのゴルフ接待が8年間で300回,1,500万円以上になることを明らかにしました。まさに底なしの癒着です。 その見返りとして疑惑が持たれているのは,自衛隊次期輸送機(CX)のエンジン納入,装備品納入での「水増し」請求,さらには米軍再編をめぐる過大な支出などです。 巨利を求め裏金を使ってまで受注を狙う軍需産業,私腹を肥やす防衛官僚,この利権に群がる「防衛」族議員という癒着が,いよいよ姿を現しつつあります。徹底した検証が不可欠です。 政府と与党は「防衛省の信頼確立,綱紀粛正と補給を続けるかどうかの議論は分けて行うべき」(石破茂防衛相)と,あくまで今国会でのテロ新法成立に固執しています。 しかし,防衛省中枢の癒着をそのままにして,テロ新法の審議を進めることなど許されることではありません。防衛省は自らすすんで疑惑を明らかにすべきであり,国会もまず疑惑解明の責任を果たすべきです。
2007年11月15日
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少子化社会といわれる中でも毎年100万人を超える新生児が誕生しています。ところが妊娠した女性が安心して出産するための体制が危機的状態にあります。新しい子どもの命と女性の命を守るために,いますぐ緊急の対策と医療のあり方の大本を見直す抜本策が求められています。 救急車が患者の搬送先が見つからず死産したり,妊婦が死亡するなどの痛ましい事故が後を絶ちません。 10月末に総務省消防庁・厚生労働省が発表した初の妊婦救急搬送実態調査でも事態の深刻さが示されています。 照会1回で92%が搬送されている一方,照会5回以上が220件,うち10回以上45件,現場滞在時間も60分以上90分未満84件,90分以上21件など緊急事態に対応できていません。なかには照会27回,滞在時間217分の事例も含まれています。 受け入れ困難の理由は96%が処置困難,患者に対応中,医師不足など,多くが医療体制の問題です。(2006年度) 事態の根底にあるのは世界でも異常な医師不足です。日本の医師数は人口10万人あたり200人,OECD(経済協力開発機構)加盟30ヶ国平均の310人を大きく下回り,27位です。 各国が医師養成をすすめるなか2020年には最下位になる恐れも指摘されています。1980年代以降「行政改革」の名のもとに「医療費適正化」をかかげて医師抑制政策をとり続けてきたためです。 なかでも産科医は1994年から2004年の10年間に7%減少しています。24時間体制を必要とする産科では医師不足が過酷な勤務実態をうみ,また医師不足をうむという悪循環をひろげてきたことが要因です。仕事と子育ての両立が困難で,退職せざるをえない女性医師も少なくありません。 個々の病院ではチーム医療体制で子育て中の女性医師の短時間勤務時間を保障し,残業・当直を免除するなど,独自の努力が始まっています。こうした努力を促進するためにも労働条件の改善と抜本的な診療報酬引き上げをおこなう必要があります。 また,国・自治体が国公立病院の統廃合を促進したことが,地域から産科を奪ってきました。産婦人科のある病院は1996年から2005年に28.7%も減少していますが,なかでも国立病院産婦人科の減少は35%と突出しています。 統廃合をやめ,住民の要求に応え産婦人科を復活させることです。医師抑制政策を転換し,勤務時間・当直回数の規制・当直明けの休みの保障,女性医師の産休・育児休業取得の保障,夜間・病児保育所の設置などを前提に医師確保に計画的にとりくむべきです。 出産事故訴訟の対応として,客観的に原因を究明する第三者機関,無過失補償制度の創設も必要です。 福田康夫首相は所信表明演説で小児科や産婦人科の「救急医療の充実」を明らかにしました。どのように促進するのかが問われています。救急体制の改善は一刻の猶予もできません。 産科の在宅輪番制,救急車へのドクターの配置(ドクターカー),広範囲搬送情報システムなど,あらゆる手立てを積極的にとる必要があります。さらに病院と助産院の連携,助産師外来や院内助産などをおこなう病院への助成,出産を前後する時期(周産期)医療の拠点の確保などただちにおこなうことです。 安心して出産できる条件の整備を,国と自治体の責任ですすめることがもとめられています。
2007年11月14日
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内閣府が11月13日発表した2007年7月-9月期国内総生産(GDP)速報は,物価変動の影響を除いた実質が前期(4月-6月期)比0.6%増(名目は0.3%増),年率換算で2.6%増(同1.4%増)となりました。 プラス成長は二・四半期ぶり。輸出がけん引役となりました。ただ,先行きについては,アメリカ経済の減速を背景にした円高,株安や原油高など下振れリスクが根強くなっています。 このため,大田弘子経済財政担当相は同日の記者会見で,今年度の政府経済見通し(実質,名目ともに2.1%増)の達成は「相当厳しくなっているのは事実だ」と認めました。 実質GDPの55%を占める個人消費は0.3%増と足踏み状態。猛暑によるビールの販売増などがあったものの,6月からの住民税増税や夏のボーナス減少などが響きました。住宅投資は改正建築基準法の影響で住宅着工が大幅に減少し,7.8%減と1997年4月-6月期以来の低水準となりました。 輸出は2.9%増となりましたが,アメリカ住宅ローン問題やドル安・円高の影響は10月-12月期以降に本格化することが懸念されています。【参考】国内総生産(GDP) 一定期間内に国内で生み出されたサービスやモノといった付加価値の総額を示す指標。この伸び率が国の経済成長率を表します。日本では内閣府が四半期ごとに作成。物価変動の影響を含んで生活実感に近い名目と,物価の影響を除いた実質の2種類があります。 二・四半期ぶりにプラス成長となった7月-9月期の国内総生産(GDP)速報について,大田弘子経済財政担当相は,「しっかりした景気回復基調が確認された」としています。 しかし,個人消費は,伸びたとはいえ,名目・実質ともに前期比0.3%と,依然,足踏み状態を脱していません。その上,個人住宅は前期と比べ大幅に減少。今年に入って三・四半期連続で減少し続けています。 毎月勤労統計調査(9月分結果)によると,サラリーマンの所定内給与は17ヶ月連続で減少しています。夏のボーナスは3年ぶりにマイナスになりました。 消費者物価指数をみると,食料品やガソリンなどの光熱費などが高騰しています。 今期の個人消費の伸びは,家計のゆとりの結果というより,猛暑の影響と生活必需品価格の上昇が作用したものでした。これでは,庶民に「景気回復」の実感がわきようもありません。 こうした状況を受け,日銀の「生活意識に関するアンケート調査」(9月調査)では,現在の景況感が1年前と比べて「悪くなった」と答える人が前回調査(6月)と比べて増加しました。 引き続く原油や原材料,穀物価格の高騰を受け,今後さらに物価の上昇が懸念されています。 依然,バブル期を超える空前の大企業の利益は,労働者に還元されていません。その上,増税や社会保険料引き上げの懸念が,庶民を襲っています。 日本経済は,庶民負担増や,いや応なし支出増に頼るしか,個人消費の増加を期待できない歪んだ経済成長の姿を示しています。 さらに,低信用層向け住宅ローン問題などで,アメリカ経済の先行きが懸念されています。外需(輸出)頼みで成長を維持してきた日本経済に黄信号がともっています。 民間シンクタンクのニッセイ基礎研究所の斎藤太郎シニアエコノミストは,10月-12月期の見通しについて,「消費は所得が伸びておらず高い伸びが期待できない。アメリカ経済の減速も今後,本格化するため輸出の伸びが鈍化するだろう。景気は減速の色合いが強くなり,これから厳しくなる」と述べています。 この上,個人消費を冷え込ませる自民・公明政権による増税・負担増路線などもってのほかです。 日本経済を,庶民が実感できるような回復軌道に乗せるためにも,空前の利益をあげる大企業に応分の負担を求め,家計を温める政治への転換が求められています。
2007年11月13日
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自民党と公明党が衆議院の委員会で新テロ特措法案の採決を強行したことにつよく抗議します。 自衛隊のインド洋での給油活動の全容はいまだに解明されず,日本の油がアフガニスタン国民の虐殺やイラク戦争に使われていた疑惑も曖昧なままです。 守屋武昌前事務次官をめぐる防衛利権の究明はこれからが正念場というときです。福田康夫首相の訪米の土産にするため,民主党など野党の徹底審議要求に背を向け,採決を強行するなどもってのほかです。 自民・公明両党の責任が厳しく問われます。 新テロ特措法案は,アメリカのアフガニスタン「報復戦争」を支援する“報復戦争支援法”です。インド洋からアフガニスタン空爆を実施するアメリカ艦船に日本が実施してきた給油支援が,新テロ特措法案のもとでも可能だと政府は明言していることでも明らかです。 日本共産党の赤嶺政賢議員が空爆を行う艦船に給油できるのかとただしたのにたいし,町村信孝内閣官房長官は,アフガニスタン作戦の活動にあたっていれば「問題はない」と答弁しました(10月31日)。 罪のないアフガニスタン民間人にたいする無差別殺りく支援を「問題ない」などというのは人道的見地からみてもとうてい認めることはできません。「武力の行使と一体化」した支援は憲法違反という政府見解にてらしても,新テロ特措法案が憲法違反の法律であるのは明らかです。 日本の油をイラク作戦に転用している問題も大きな問題として残ったままです。 アメリカ軍はインド洋で,アフガニスタン作戦,イラク作戦,海上安全活動を一体にした軍事活動を行っています。政府が「複数の任務をもっている艦船への給油もできる」という以上,アメリカ政府と口裏をあわせて海上阻止活動に使うと政府がいくらいってみても,イラク作戦などへの転用は今後も続くことになります。 新テロ特措法案は,テロの根絶どころか,テロを世界に拡散し,アフガニスタンでのテロと武力報復の悪循環を助長する“テロ根絶逆行法”にほかなりません。 7年にわたる「報復戦争」は,戦争ではテロをなくせないことを教えました。それどころか戦争が国際社会の人道・復興支援を妨げる障害物だと世界の人道支援団体が共通して告発しています。 日本政府はアフガニスタンを深刻な状況にしている元凶が「報復戦争」の継続にあることを認めようともしていません。福田首相は,野党議員にたいして,多くの民間人がまきこまれていることを認めながら,戦争を「いま続けることは意味がある」といっています(11月12日)。 民生支援と戦争継続は両立しません。アフガニスタンでは「平和と和解のプロセス」が始まっています。福田首相は「和平のプロセスは賛成」といっています。それなら,戦争はやめさせるべきだし,戦争支援をきっぱりやめるべきです。 参議院の審議で大事なことは,戦争ではなく,テロを根絶するための政治的とりくみについての道理ある道筋と日本の外交的役割をほりさげ,新テロ特措法案を廃案に追い込むことです。 さきの参議院選挙で与野党の議席数を逆転させた国民の意思をいまこそ生かすべきです。 参議院での状況の変化を生かし,国会と国民運動が一体になればテロ新法を廃案にすることは十分に可能だと考えます。
2007年11月12日
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防衛省が先月31日,米軍再編交付金を交付する自治体として33自治体を指定する一方で,基地再編に反対する自治体をすべて排除したことに怒りが広がっています。 地方の財政危機につけこんで,自治体に札束をちらつかせ,国策に従わせるのは極めて卑劣なやり方であり,認めるわけにはいきません。 防衛省は,再編交付金を交付する自治体の指定にあたって,基地再編を受け入れていない神奈川県座間市,山口県岩国市,沖縄県名護市,金武町,宜野座村,恩納村を指定から排除しました。 地域の安定と住民の安全に責任をもつ自治体が,基地被害を増幅させる基地再編強化の押し付けに反対するのは当然です。再編に反対する自治体を見せしめにするような強権的なやり方が民主主義のもとで許されるはずはありません。 再編交付金制度は現在の基地交付金制度とも異質です。現在の制度は,基地があることによる環境悪化,自治体や地域住民の損害への補償という意味で配分されています。 しかし,再編交付金は,(1) 米軍基地を受け入れたか,(2) アセスメントに応じたか,(3) 着工に応じたか,(4) 完了したか,という四段階にわけ,進捗状況に応じて,自治体が協力したかどうかを政府が一方的に判断して,交付金を配分するものです。 自治体を国策に従わせるテコにするのが政府の狙いです。 もともと米軍再編は,世界各地でアメリカが先制攻撃戦争を行うための新たな拠点づくりが狙いです。基地再編の受け入れは,アメリカの軍事介入を助長することにもつながります。侵略戦争を反省し,憲法で戦争放棄をうたう日本国民が戦争態勢づくりに反対するのは当然です。 しかも基地の再編によって「基地の痛み」は確実に増幅されます。自治体が反対したからといって交付金を配分しないということは,住民に与えた被害の補償は一切しないということにもなります。 岩国基地には厚木基地(神奈川県)からアメリカ空母艦載機57機をはじめアメリカ軍機が追加移駐します。騒音と墜落の危険,米軍犯罪の激増で市民の苦痛が増すのは必至です。 井原勝介市長が政府に再編中止を求めているのは市民の悲痛な思いを代弁したものです。政府がこの訴えを正面から受け止めるのが道理です。 座間市もキャンプ座間の返還を要求しています。市民の意思を代表して星野勝司市長が基地恒久化解消策を求めているのに,「実現不可能」といってつっぱね,指定から排除するなど言語道断です。沖縄も同じです。 政府は,住民を代弁して基地再編に反対する自治体を札束で変節させる卑劣なやり方をやめるべきです。 重大なのは,政府のやり方が憲法の定める地方自治の原則をふみにじっていることです。地方自治の原則は,自治体を戦争政策の手足にした過去の誤りの反省のうえに明記されました。 米軍再編に反対したからといって交付金を交付しないのは,自治体を国策に従わせ多大の犠牲を住民に押しつけた,戦前の天皇制政府の過ちと同じ発想です。 地域住民の生活を守るために自治体が国策を批判し反対するのは当然です。自治体を脅すやり方がこんにち許されるはずはありません。 再編交付金というアメとムチで自治体を脅しつけ,米軍基地の再編強化を強要する卑劣なやり方を政府はやめるべきです。
2007年11月11日
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最近,地球温暖化ガスの「排出権取引」という言葉を目にすることが多くなりました。 地球環境を破壊するCO2などの排出権を資本主義市場で取引することは,なんとなく,胡散臭い感じがします。投機的資本のマネーゲームが横行する市場に,CO2の排出権を委ねて良いのか。 「金持ち国」が排出権を購入すれば,温暖化防止に逆行するのではないのか。こうした懸念があるからです。 しかし,排出権取引の仕組みを研究してみると,通常の市場とは異なった特徴をもっていることがわかります。 排出権取引市場が動き出すためには,国家が,CO2排出の削減目標を決めて,それを個々の企業に割り当てること,CO2排出の上限(排出枠)を企業に課すことが前提になります。 排出権の“流通”だけをみると,利潤目当ての市場原理にCO2を委ねる感じがしますが,排出権という「特殊な商品」が生み出される“仕組み”に着目すると,それはCO2排出の削減目標を企業に配分し,企業に義務付けることにほかなりません。 排出枠は,企業にとって,一面では「権利」を意味するが,他面では「義務」でもあるわけです。(図参照) そこで各企業は,排出枠の「権利」と「義務」をめぐって市場で競争し,もっとも省エネ技術に勝る効率的な企業が全体のCO2削減のコストを引き下げ,国家的な削減目標を効率的に達成できるといわれます。 排出権取引には,CO2を排出する企業だけでなく,仲介業者として証券業や個人の参入まで予定されています。たとえば,ある環境ベンチャー企業は,来年1月からネット上でCO2排出権を1キログラム3円で個人向けに販売する予定です。(「日経産業」10月25日付) 温暖化ガス削減の方法として排出権取引を提起したのは,1997年の京都議定書でした。 いま世界で,排出権取引市場の発展に,いちばん熱心に取り組んでいるのは,EU(欧州連合)です。EUは,2020年までにCO2排出を1990年比で20%削減する目標をかかげ,2005年1月に欧州排出権取引制度(EU・ETS)を発足させ,2006年の世界の排出権取引推定額300億ドル(約3兆5,000億円)の80%は,EU・ETSだといわれます。 アメリカのブッシュ政権は,「排出権取引は企業活動の規制強化になる」と,いまのところ消極的です。 日本の経済産業省と財界も,排出権取引制度の国内創設には反対しています。日本経団連は,最近の提言のなかで,「日本では導入すべきではない」と,次のように述べています。 「排出枠を行政が決定することは官僚統制を招き,企業の自主性を阻害する。また,産業構造等,将来の経済状況が正確に予見できない中,衡平な排出枠の割当を行なう仕組を構築するのは困難である」(日本経団連「ポスト京都議定書における地球温暖化防止のための国際枠組に関する提言」2007年10月16日)。 国会では野党が,こうした財界と政府の態度を厳しく批判しています。「政府は日本経団連の『自主』行動計画まかせにせず,経済界と政府の間で削減協定(自主協定)を締結し,達成責任を公的に裏うちすることが大切です。 排出権取引を実施し,その際各企業の排出状況と実効性のある削減目標を明らかにさせることが重要です」(2007年参議院選挙「個別・分野別政策」) IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のパチャウリ議長も,来日した際の記者会見で「日本も排出権取引を導入すべきだ」と述べています。(「日経」10月19日付) 排出権取引市場の動向は,現代の経済学にとって,たいへん興味深い理論的課題を提起しています。 排出権取引制度は,国家的規制のルールと市場の競争原理を組み合わせる点に特徴があります。国家による「計画の機能」と資本による「市場の機能」とを結びつける実践的事例のひとつといってよいかもしれません。 排出権取引の政策は,近代経済学の「費用便益分析」(注)という手法を環境政策に適用したものです。この分析手法の理論的な矛盾と限界を批判し,「排出権市場に期待するのは幻想だ」という指摘もあります。 確かに,排出権が市場でいくら取引されても,それ自体はCO2の削減を意味するわけではありません。大事なことは,個々の企業が公的に確認されたCO2削減の目標と排出状況を公表し,責任をはたすことです。 そのためにも,世界的に動き出した排出権市場が有効に機能するよう途上国を含めて国際的枠組みを強化し,決して「金持ち国」や「金持ち企業」が削減義務を逃れる抜け穴にならないようにしなければなりません。 また投機的資本の市場にならないようしっかり監視して,理論的政策的にも制度のあり方を研究・発展させていくことが必要でしょう。 マルクスの『資本論』は,資本の活動が自然と人間の間の正常な物質循環をかく乱し,自然を破壊すると指摘しています。 マルクス経済学は,資本主義のもとでは,労働者が搾取され貧困が累積していくことと,際限なく自然が奪いつくされ破壊されていくこととを統一的にとらえて,その両方の歪みを根本的に正していく社会をめざしています。 21世紀は,「地球環境を守る経済学」としてのマルクス経済学の真価が問われている世紀といえるかもしれません。(注)「費用便益分析」とは,ある事業にかかる費用と便益(効果)を比較して効率性を分析すること。
2007年11月10日
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汚染された血液製剤フィブリノゲンでC型肝炎に感染した患者らが国などを訴えた薬害C型肝炎大阪訴訟で,控訴審の口頭弁論が11月7日,大阪高裁で開かれ,横田勝年裁判長は原告と国,被告企業に和解を勧告しました。 全国5ヶ所の裁判で,正式な和解勧告は初めてで,早期の全面解決に向けて,動き出しました。 同裁判長は,前回9月の弁論で,原告からの和解要請を受けて和解の可能性を判断するための意向の確認を表明していました。 国,企業側からも和解の座につくとの表明があり,「和解成立の可能性があると判断した」と説明。そのうえで,「12月7日までに,裁判所としての和解骨子案を提示したい。当事者との面談の機会も持ちたい」と表明しました。 裁判所の和解勧告の表明をうけて,大阪訴訟原告団の代表,桑田智子さん(47)は,「勧告を受けてほっとしました。予断は許さないと思いますが,裁判長は私たちの声を聞いて決めるということなので,私たちの望む和解案になると期待しています。 国と企業の被害を拡大させた責任は重い。被害を認めて謝罪してほしい。早期に全面和解に応じて成立にこぎつけてほしい」と話しています。 訴訟は2002年10月以降,東京,大阪,名古屋など5地裁でおこされ,仙台地裁を除く4地裁が国の責任を認定しています。 和解勧告を受けて,大阪訴訟の原告団と弁護団が記者会見しました。弁護団事務局長の山西美明弁護士は,「全面解決に向けた大きな一歩」と評価しました。 薬害肝炎全国原告団の山口美智子代表と薬害肝炎全国弁護団の鈴木利廣代表の声明を発表。「この間に全国で5人の原告が亡くなるなど,病状の進行による被害の拡大はいまなお続いています」と指摘。 「国及び製薬企業は,本日の和解勧告を真摯に受け止め,原告らに対し,すみやかに責任を認め謝罪すべきです」とのべ,早期の全面的な解決とともに350万人のB型・C型肝炎患者の治療費助成などの対策を求めています。 薬害肝炎大阪訴訟で,大阪高裁(横田勝年裁判長)が11月7日,原告と被告の国と製薬企業に和解を勧告したことで,薬害肝炎問題は,早期全面解決へ大詰めを迎えました。被害者の命をかけたたたかいと世論が国と企業を追い詰めた結果です。 横田裁判長は4月,国に和解を打診しました。しかし国は「立証を尽くしたい」と和解を受け入れませんでした。 国を和解のテーブルに着かせる大きな転機となったのは,厚生労働省が418人の薬害被害者リストを知らせずに放置していたことが発覚し,国民の怒りが沸騰したことからです。 被害者との面談さえも拒否し続けてきた厚労相が「肝炎問題は11月中には片付ける」と言わざるをえませんでした。 リストとともにあった資料には1987年5月当時,薬害を合理化するために「理論武装の用意が必要と考える」と,製薬企業に示した厚生省の見解が書かれています。(1) 血液製剤が使われた場合の患者の不利益は,やむを得ないと述べている文献を用意できるか,(2) 現在の学問レベルでは原因究明,予知は無理との文献はないか,などです。同省には被害者の健康・命を守る視点がありませんでした。 厚生労働省の前には「薬害根絶の碑」があります。1999年8月24日,「薬害エイズ」事件の和解にあたって建立されました。「医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」と書かれています。 建立から1年後の薬害根絶デーのことでした。「われわれの深刻な被害の現実に口をつぐんだまま目を伏せることしかできなかったならば『誓いの碑』はただの石の塊だ」。 薬害肝炎被害者がC型肝炎に感染させられた怒りを訴えました。 国は,肝に銘じて欲しい。今度こそ法的責任を認め真摯に謝罪をして,実効性ある薬害防止の薬務行政に取り組むべきです。
2007年11月09日
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小泉内閣以来,年金課税の強化や老年者控除の廃止,国保料・介護保険料の値上げ,医療の窓口負担増と,とりわけ高齢者に冷たい政治が続いています。 来年4月からの「後期高齢者医療制度」は一連の高齢者いじめの極みです。自民党と公明党が,その負担増の一部凍結で合意しました。 自民党・公明党連立与党の合意は負担増の一部を先延ばしにする一時しのぎです。同時に,世論が政権を追い詰めて,実際に政治を動かす可能性が広がっていることも示しています。 自民党・公明党連立政権の合意は,(1) 新制度導入に合わせて始める70歳から74歳の窓口負担増(1割から2割へ倍加)を1年延期,(2) 75歳以上の「被扶養者」が新制度で負担を迫られる保険料を半年凍結,後の半年は保険料を1割に減額する,というものです。 後期高齢者医療制度は75歳以上の人を「後期高齢者」と呼び,ほかの世代と切り離して際限のない負担増に追い込むとともに,受けられる医療も制限します。 負担増は過酷です。国会審議の中で,後期高齢者の保険料(所得割と均等割の合計)が,全国平均で年80,000円を超えるおそれもあることが明らかになっています。都道府県ごとに決まる保険料は,北海道,埼玉,東京などでは平均で年90,000円-100,000円程度にも上ると試算されています。 被扶養者として健保に加入している人の場合,新たな保険料がまるまる負担増になります。国保から移される人の保険料負担も,東京の試算では二十三区で最大1.6倍,市町村で1.4倍に膨らみます。 与党合意の保険料凍結は被扶養者にかかわる部分だけで,国保から移される人など大多数の負担には配慮がありません。もともと被扶養者の保険料は,当初の2年間,保険料の所得割を凍結し,均等割を5割に抑える「激変緩和措置」が法律に盛り込まれています。与党合意は激変緩和措置の手直しにすぎません。 新制度は保険料を2年ごとに見直し,医療給付費の総額が増えても,後期高齢者の人口が増えても保険料を引き上げます。将来の保険料の値上げを自動化するような,情け容赦のない仕組みです。 その保険料を,月15,000円以上の年金受給者からは介護保険料とともに「年金天引き」にします。これに便乗し,65歳から74歳の国保料も「年金天引き」に変わります。高齢者の生計費から有無を言わせず取り立てて,生存権をおびやかすやり方です。 政府・与党は「世代間の公平性確保」,「高齢者に応分の負担」など,依然として制度自体の目的を正当化しています。 だれしも高齢になるほど病気がちになり,いくつかの病を併発することも珍しくなく,必然的に医療費はかさみます。それを無視して負担をそろえることは,現実には不公平そのものです。 負担増は「応分」の域をはるかに超えています。生活基盤の弱い高齢者が現役並み負担を強いられ,おいそれと病院にいくこともできなかった40年前に逆戻りさせるような時代錯誤の制度です。 弱い立場の国民には過大な負担を迫る一方で,空前の利益を上げている財界・大企業には過分の減税を続けるというのは,弱いものいじめ以外のなにものでもありません。 部分的な凍結に終わらせず,後期高齢者医療制度そのものを中止に追い込むために,いっそう世論を広げようではありませんか。
2007年11月08日
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食品の偽装・不正の発覚が続き,報道を目にしない日が無いほどです。 老舗といわれる名店,地域を代表する新興企業,トップブランドの大手メーカーまで,不正は全国いたるところにとめどもない広がりようで,多くの消費者は「何を信じたらいいのか」というやりきれない思いをさせられています。 消費期限や賞味期限の改ざん,売れ残り品の再出荷,原材料の偽装など手口は悪質です。摘発された会社は,まず指摘された事実をしぶしぶ認め,その後の調査で,底無しのずさん経営が明らかになるのもお決まりです。 「消費者に分かるはずがない」という甘えや驕り,「儲けのためならなにをやってもいい」という発想が蔓延しており,消費者への責任を欠く企業道徳が厳しく問われることはいうまでもありません。 一連の不正について若林正俊農水相は「企業のコンプライアンス(法令順守)の問題」などと,責任を企業に求める発言を繰り返しています。しかし,行政のトップがもっぱら企業モラルの問題と認識し,自らの責任にほおかぶりするのは疑問です。 偽装表示の規制は,農林水産省の所管するJAS(日本農林規格)法,厚生労働省の食品衛生法,公正取引委員会の景品表示法などが根拠となりますが,行政が縦割りで,相互の連携は全くといっていいほどありません。 それぞれの担当者も少なく,保健所の統廃合で地域の監視体制はむしろ弱まっているといわれ,内部告発でも無ければ偽装の発見などできないというのが実態です。 事実,北海道のミートホープ事件では,農林水産省が調査に動いたのは最初の内部告発の1年4ヶ月後でした。保健所は,告発をもとに5回の立ち入り調査をしても偽装を発見できませんでした。JAS法自体にも,業者間の売買での表示は規制していないという大穴があり,農林水産省は大慌てで法改正に着手するという状況で,行政は常に後手後手です。 1995年まで「製造年月日表示」だったのを,いまの「期限表示」に改めたことの是非にも議論があります。JAS法の運用でも,よほど悪質でなければ「指示」,「命令」などの処分にとどまり,懲役や罰金などが科されることはまずありません。あまりに業界寄りで,消費者保護のためのものとなっていないのです。 2000年の雪印乳業の食中毒事件を機に世論が高まり,国会は2003年に国民の「健康保護」と「食品の安全確保」を明記した食品安全基本法を成立させました。 しかし,政府は総合的な食品安全確保の対策を確立させるどころか,規制撤廃路線のなかで,事業者への監視や消費者の救済に実効ある対策をとってきませんでした。それが,今回の事態の大きな背景になっていることは見逃せません。 野党は国会で,食品の安全対策の強化を一貫して求め,偽装の一掃のために,独立行政法人まかせの食品表示の検査を国の責任で行うこと,その予算確保や必要な法整備,内部告発への対処の迅速化などを具体的に要求してきました。 福田首相は今国会の所信表明演説で「消費者の立場に立った行政により食品の安全,安心を守る」とのべました。それを実行に移すべきです。 食の安全にとりくむ消費者のさまざまな運動も,全国で営々ととりくまれています。そうした力とも結び,国民の命と健康を守る国の責任を果たすべきです。
2007年11月07日
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民主党の小沢一郎代表が,自民党の福田康夫総裁(首相)との党首会談で協議した自民党・民主党の「大連立」が党内から拒否されたことを理由に,代表辞任を表明しました。慰留が続いているものの辞任の決意は固いともいわれ,衝撃が広がっています。 この夏には,参議院選挙での敗北にもかかわらず居座り続けようとした安倍晋三前首相が,ついには政権を投げ出さざるをえなくなったばかりです。自民党・民主党の党首が相次いで辞任するという事態は,国民の意思に逆らう政治は,どんなにあがいても,結局は続けられなくなることを示しています。 政治の主人公は国民であり,政治の行方を根本的に決めるのは,国民の意思です。参議院選挙後の相次ぐ党首の辞意表明は,こんな当たり前の原則を改めて思い起こさせます。 7月におこなわれた参議院選挙の結果は,自民・公明の連立与党が大幅に議席を減らし,「自公政治ノー」の国民の意思を示しました。安倍前首相が,その審判を突きつけられてもなお政権に居座ろうとしたのは,民意に反したものです。 結局は,国会で所信表明演説したあと,代表質問の目前という最悪のタイミングでの辞意表明です。民意に照らせば当然というほかありません。 「反自公」をかかげて参院選挙をたたかった小沢氏が,福田首相と「密室」で自民党・民主党の「大連立」を協議し,小沢氏がいったんは持ち帰って検討すると約束したのは,それ自体,民意に反します。 自民党・民主党の「大連立」は,参議院選挙で国民が「ノー」の審判を下した自民党の政治を,延命させるものです。民主党は,自公の政治を批判し,「政権交代」を掲げて議席を伸ばしました。そのほとぼりも冷めないうちに,自民と連立して政権に参加するなどといいだすのは,まさに国民の意思を裏切るものです。 小沢氏は辞意を表明した記者会見で,自民党との連立に参加することで,参院選での公約を実現し,政権運営への実績を示すといいましたが,自公政治ノーという国民への公約を裏切って,政権に参加すれば多少の要求が実現できるなどというのは,民主党に一票を投じた国民を愚弄するものでしかありません。 小沢氏の「密室談合」を容認し,辞意表明に対しても慰留を続けている民主党も,その責任が問われます。 自民党にも民主党にも求められるのは,参議院選挙で国民が下した審判を謙虚にうけとめることです。いま開かれている国会は,参議院選挙後最初の,本格的な国会です。 直面する国政の重要問題について国民の前で堂々と論議をおこない,そのうえで衆議院の解散・総選挙で国民の信を問うべきです。主権者である国民の意思を尊重するという当たり前の原則が守れない党では,政権を担当する資格がないことになります。 いま,参議院選挙の結果がもたらした新しい政治状況の下で,国民の世論と運動が政治を動かし,願いを実現していく新しい条件が広がっています。国民の意思を裏切る「大連立」などの数集めで,これまでどおりの政治を続けようとするのは,国民の審判をないがしろにし,政治を変える機会を失わすものです。 国民の世論と運動をいっそう強め,新しい政治を切り開く必要があります。福田政権に正面から対決し,国民の切実な願い実現を迫るとともに,自民党政治を大本から変えるために力を尽くすことを野党政党に期待します。
2007年11月06日
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「連立政権の樹立をめぐり,政治的混乱が生じたことを受け,けじめとして,民主党代表の職を辞する」。民主党の小沢一郎代表は11月4日の記者会見で,辞任の理由をこう表明しました。 しかし,小沢氏は連立協議に乗ろうとした自らの立場をあれこれ正当化しようとしたものの,最後までなぜ「政治的混乱」を生じさせたかには触れませんでした。 「政治的混乱」が生じたのは,ほかならぬ小沢氏の行動が参議院選挙で示された自民党・公明党連立政治ノーという国民の審判に背いた結果です。 貧困と格差を拡大し,「戦後レジームからの脱却」などと称して憲法改悪を企てた自民党・公明党連立政治に,国民は“与党の歴史的惨敗”という結果で厳しい審判を下しました。民意が政治を動かし,新しい政治の流れができたのです。 ところが,小沢氏はそのことを理解せずに,首相との密室談合でことをすすめようとする最も古い政治手法で,しかも自民党・公明党連立政治ノーの民意を真っ向から踏みにじる連立政権協議をすすめようとしました。 当然,民主党内からも「大政翼賛会だ」,「国民から批判を受ける。とても持たない」などと批判が噴出,「政治的混乱」が生じたのです。 連立協議に乗り出そうとしたことは,参議院選挙で「自民党・公明党連立政治,弱者切り捨て,地方切り捨ての政治をこのままにしておくのか」,「本当に国民本位の政治を打ち立てる最大で最後のチャンス」(7月12日)と訴えていた小沢氏自身の言明とも矛盾するものでした。小沢氏はどこからみても説明がつかない自らの行動を正当化するために,3つの理由として,『首相が安全保障政策で重大な政策転換を決断した』,『与党と政策協議を行えば民主党の参議院選挙の公約が実現可能になる』,『総選挙での勝利は厳しい情勢にあるが,政権の一翼を担い政策を実行すれば政権運営の実績を示すことができる』,をあげました。 しかし,これらはいずれも密室での連立協議を正当化する理由とはなりません。なにより,安保政策の重大な転換という国の進路にかかわる重大問題を,首相と民主党の党首だけの密室談合で決めるなどということは言語道断です。 しかも,その内容は,国連のお墨付きさえあれば海外での武力行使も認めるというもので,国際紛争の解決の手段として武力の行使を禁じた憲法に真っ向から反します。 小沢氏自身が認めるように政府の「憲法解釈の変更」にさえつながるもので,それ自体許されません。 また,野党にとっての選挙公約は,国会での論戦と,国民の運動との連携や世論への働きかけなどによって,政府・与党の姿勢を変えさせることで実現させるべきものです。政策路線の異なる与党との野合ともいうべき連立政権によって,実現する筋合いのものではありません。 総選挙での勝利が見えてこないという嘆きにいたっては野党党首としてのギブアップ宣言ともいうべきではないか。政権に入って政策を「実行」したからといって,自民党・公明党連立政権打倒という最大の公約を投げ捨てて政権入りした政党の「実績」を国民が認めるはずがありません。 結局,小沢氏の議論は,「二大政党制の定着」どころか,民主党の路線が自民党政治に代わる新しい政治の中身をもたないこと,「二大政党制」づくりの破たんを自ら告白するに等しいものです。
2007年11月05日
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自民党の福田康夫総裁(首相)と民主党の小沢一郎代表との党首会談が開かれ,11月1日で期限切れしたテロ特別措置法にもとづく給油活動の継続などが話し合われました。 テロ特措法の延長が不可能になり,新しい法案の審議が始まったばかりなのに,その審議まで中断して二党だけで協議すること自体,国会軽視の「密室談合」そのものです。しかも,驚くことには,自民党・民主党の「大連立」まで話し合われたというのです。 「大連立」は民主党内の反対で拒否されたとはいえ,こうした会談がもたれ,「大連立」が話し合われたこと自体,夏の参議院選挙で示された国民の意思を裏切るものです。 もともと,テロ特措法にもとづくインド洋での海上自衛隊の給油活動は,アメリカが始めたアフガニスタンへの「報復」戦争を支援するためのものです。 「報復」戦争ではテロがなくせないことが明らかになり,自衛隊の給油活動がアフガニスタン国民などの殺りくを支援しているとの批判が高まるなかで,政府がもくろんだテロ特措法の延長は不可能になりました。 国民世論が政府を追い詰めた結果です。 政府は,給油活動継続のための新テロ特措法案を提出しましたが,その審議はようやく10月末に始まり,委員会での野党質問は10月30日が初日でした。 ところが突然党首会談が開かれることになったため,午前中の委員会は中止,会談が継続されたことを理由に,10月31日に予定された福田政権初の党首討論も中止になったのです。 本来全会派でおこなうべき政党間協議が二党だけというのも異常です。「密室談合」による,議会制民主主義の蹂躙は明らかです。 しかも,11月2日の党首会談で突然明るみに出たのが,自民党・民主党の「大連立」の話し合いです。参議院選挙で民主党は「反自公」を掲げて選挙をたたかい,自民党も激しい民主党「批判」を繰り広げました。 選挙の結果,国民は自民党・公明党連立政治に厳しい審判を下し,民主党は議席を伸ばしました。そのほとぼりも冷めないうちに,なぜ自民党と民主党の「大連立」の話になるのか。 しかも即座に拒否することなく,なぜ小沢代表は提案を持ち帰ったのか。参議院選挙での国民の審判を足げにする民意無視のきわみであり,福田氏にも小沢氏にも,国民の納得のいく説明が求められます。 福田氏は「大連立」について,滞っている政策を実行する「新体制」をつくるものだと発言しています。自民党と民主党が「大連立」すれば,衆議院でも参議院でも議席の80%,90%を占めることになります。テロ新法どころか改憲まで,国民の意思にかかわりなく,思いのままです。 戦前の「大政翼賛会」を復活させるような企てを,絶対に許すことはできません。 党首会談の議題となった給油活動の継続についても重大な問題が浮上しました。自衛隊の海外派兵を個別の特措法でおこなうのではなく,恒久的な派兵法をつくるというのです。憲法違反の海外派兵のための,まさに恒久的な憲法違反法です。 11月2日の会談では,小沢氏が恒久法を検討するなら新テロ特措法案成立に協力するとまで,発言したと伝えられました。いったい,給油は憲法違反だとまでいって反対してきたのはどうなるのか。 この点でも福田,小沢両氏の説明責任は免れません。
2007年11月04日
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政府は11月2日の閣議で,少子化の現状と対策をまとめた2007年版少子化社会白書を決定しました。 白書は,昨年12月の新人口推計(中位推計)に基づき,2055年には総人口は約9,000万人,出生数は50万人を切ると記述。14歳以下人口は752万人(2007年は1,724万人),総人口に占める割合は8.4%(2007年は13.5%)にまで減少するとしています。 同時に,国民の結婚や子どもを持ちたいという希望は高く,希望子ども数の平均は男女ともに2人以上となっている調査をあげながら,希望と実態との乖離を解消することで少子化の流れを変えることは可能だと強調しています。 2006年の日本の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子どもの数)は1.32と,欧米諸国と比べて低い水準にあります。 白書は,急速な少子化の進行の背景として「就業継続と子育てとが二者択一的となっている状況」や,非正規労働者の増大,長時間労働などの「働き方をめぐる様々な課題」があると指摘。「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に向けた働き方の改革」を最優先の課題に位置づけています。 また,スウェーデンやフランスのように,2000年以降,出生率が回復する国が出てきていることに注目しています。家族関係社会支出の規模(対GDP比,2003年)がフランスで3.02%,スウェーデンで3.54%と,日本(0.75%)に比べ非常に高いことや,児童手当などの手厚い経済的支援とともに,仕事と育児・家庭の両立支援に多くの公的支出がなされていることを報告しています。 今年の少子化白書は,国民の「子どもを持ち,育てたい」という希望と,それができない実態との乖離に焦点を当て,「障害」を取り除くための施策の必要性を説きました。 子どもを産み育てていく上での日本社会の「障害」を,国民は日々,肌身で感じています。白書発表直前の10月末,さいたま市で開かれた少子化対策についての政府と国民との対話集会でも,そうした思いが噴き出しました。 「子どもともっとかかわりたいが今の働き方では無理だ。でも,生活のためには仕事を辞めるわけにもいかない」(栃木県の男性),「放課後子ども対策が貧弱だ。マンションの1室に50人が詰め込まれている」(横浜市の女性),「不妊治療で授かった命を6ヶ月で早産。受け入れ病院がなかなか見つからなかった」(東京都小平市の女性)。 北は秋田,南は福岡から駆けつけた人たちが,最後まで発言の機会を求め,手を挙げ続けていました。 白書が強調する働き方の改革=「ワーク・ライフ・バランス」は,財界の狙う雇用の多様化・柔軟化促進のテコとしてでなく,男女がともに人間らしく働き生活できる社会を実現する力として生かされなくてはなりません。 具体的な施策は,年内に政府の「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略検討会議」の報告書でまとめられる予定です。どれだけ国民の願いに沿った中身が打ち出されるのか,注目されます。
2007年11月03日
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テロ特措法が11月2日午前零時で失効し,インド洋でアメリカ艦船などに給油支援活動をおこなっていた海上自衛隊が撤退することになりました。 アメリカが日本に給油支援の継続を激しくせまるなかでの撤退です。海外に派兵された自衛隊が任務途中で撤退においこまれたのは,日米軍事同盟史上はじめてです。 アメリカやそれに追随する日本政府の思い通りにことが進まない時代になったことを実感させる画期的なできごとです。政府にはこれを機会に戦争支援をやめ,問題の政治的解決のための外交とテロ根絶への民生支援に力を注ぐことが求められます。 6年間にわたるアメリカのアフガニスタン報復戦争の教訓は,“戦争ではテロをなくせない”ということです。戦争がもたらしたのは,テロと武力報復の悪循環であり,出口もみえない泥沼の事態です。 アフガニスタンで反政府勢力が勢いを盛り返し,自爆テロも激増するなど治安が最悪の状態になっている背景には,空爆や砲撃で多くの民間人を無差別に殺傷しているアメリカ軍などへの恨みが広がっていることがあります。 戦争を続ければ民間人の犠牲は増加し,恨みをさらに強めるだけです。それではアフガニスタン問題を解決することはできません。 国連事務総長は,戦闘が激化したため人道援助のための「国連機関の立ち入りが不可能」の地域さえ増えていると報告し,赤十字国際委員会も「人道援助団体は,主要都市以外では被害者への安全な接近をはかることが極めて難しい」とまでいっています。 日本国際ボランティアセンターも「人道復興支援の実施を困難にしている」といっています。 戦争を続けていては事態の改善もテロの温床になっている貧困もなくすことなどできるはずがありません。戦争で問題を解決できないことはもはや誰の目にもあきらかです。そのなかで軍事的解決から政治的解決への転換の動きがでているのは重要です。 アフガニスタンのカルザイ大統領は反政府勢力のタリバンとの交渉に踏み出しています。潘基文国連事務総長も「政治的対話の推進」を呼びかけています。 福田康夫首相は,「人道支援や復興支援によって治安・テロ対策は代替できない」といいます。しかしこれは戦争が人道復興支援を妨害している現実を歪める本末転倒の議論です。 日本が国際機関などを通じておこなっている人道復興支援を進めるうえでも,戦争をやめさせることが不可欠です。日本政府は,戦争支援をやめ,アフガニスタンの「平和と和解のプロセス」を後押しする外交に力を注ぐべきです。同時に,貧困,飢餓,干ばつ,教育など民生支援を強め,テロの土壌を取り除くべきです。 自衛隊の撤退に追い込まれたにもかかわらず,政府・与党は新テロ特措法案を早期に成立させ,インド洋でのアメリカ艦船などへの給油再開を狙っています。 政府はアフガニスタンを空爆するアメリカ艦船であっても,海上阻止活動を任務とする限り給油は「問題ない」(町村信孝内閣官房長官)という態度です。武力行使と「一体化」した給油自体,憲法違反です。 アフガニスタンの事態打開とテロ根絶のために何が必要かのまともな探求もおこなわず,ひたすら戦争支援をめざすのでは憲法にもとづく役割ははたせません。 アフガニスタン情勢の安定にとってもテロ根絶にとっても,有害・無益でしかない新テロ特措法案は廃案しかありません。
2007年11月02日
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高齢者医療費に関する自民党・公明党連立与党のプロジェクトチーム(鈴木俊一座長)は10月30日,『 2008年4月に予定していた70歳-74歳の窓口負担の一割から二割への引き上げを,1年先送り』,『75歳以上の被用者保険の被扶養者が同月から新たに負担する保険料も半年間凍結し,続く半年間は一割に減額する』ことで正式に合意しました。 今回の合意内容の実施には,窓口負担の据え置きで約1,100億円,保険料減免で約360億円の財源が必要。保険料徴収システムなどの改修費と合わせ,政府・与党は今年度に補正予算を編成して対応する方針です。 70歳-74歳の窓口負担の引き上げや,75歳以上のすべての人が保険料を負担する後期高齢者医療制度は,2006年医療改悪法で政府・与党が決定していたものです。 実施を目前に「修正」を行わざるをえない異例の事態となりました。 後期高齢者医療制度は,サラリーマンの子どもに扶養されるなどしていた約200万人に新たな保険料負担を強いることになっていました。もともと当初2年間は保険料を半額にする負担軽減措置が設けられていました。 今回の与党合意で,同月から半年間は負担ゼロ,その後半年間は一割,2009年4月から1年間は半額負担となりますが,制度そのものには手をつけていません。 保険料の凍結期間については,自民党が6ヶ月,公明党が9ヶ月を主張して調整が続いていました。 自民党・公明党連立与党はまた,2009年度以降の高齢者の医療保険制度の在り方について,今後も議論を継続することでも合意しました。 自民党,公明党の連立与党が,来年4月実施を目前にした高齢者医療費負担の「一部凍結」に追い込まれました。参議院選挙での与党大敗北という国民世論の怒りが,政治を動かすことを示したものです。 しかし,今回の与党の合意は,4月実施の医療制度改悪・負担増の対象の一部に過ぎません。75歳以上の後期高齢者制度によって,保険料が天引きされるなどの対象は1,300万人の規模にのぼります。 これに対し,保険料の「凍結」対象は200万人です。圧倒的多数に保険料負担がのしかかります。 自民党・公明党連立与党の合意には,今回の「凍結」は,「本制度(後期高齢者医療制度)を円滑に施行するため」の「激変緩和措置」と明記しています。制度改悪を確実に実行するため,世論の反発を和らげるという意図は明白です。 昨年の国会で,「高齢者に応分の負担を」といって医療改悪を強行したことへの反省もなく,世論を恐れたための与党の「凍結」には,マスメディアからも「露骨な選挙対策」という批判が上がっています。 制度の欠陥が明らかになった以上,一部の「凍結」や「実施の延期」でごまかすのでなく,後期高齢者医療制度そのものの中止・撤回しかありません。
2007年11月01日
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