2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
全36件 (36件中 1-36件目)
1

「湾岸戦争以来の日本の国際貢献の経験と体制が後退するのではないか」。 1990年代から自衛隊の海外派兵を推進してきた元政府高官の“危惧”です。1992年のカンボジアPKO(国連平和維持活動)以来,拡大の一途をたどってきた自衛隊派兵は,2004年をピークに縮小傾向に転じています。 11月には,テロ特措法廃止に伴ってインド洋から海上自衛隊が撤収しました。戦後初めて,派兵継続に反対する国民世論を受けて派兵が中断されました。最近の世論調査でも,インド洋への再派兵は「反対」が多数を占めています。 これに対して福田内閣は,インド洋再派兵のための新テロ特措法案可決に執念を燃やし,派兵恒久法制定も視野に入れています。 安保政策にかかわる政府関係者は異なる見方も示しています。「実は,テロ特措法が廃止されていちばん喜んでいるのは,自衛隊員とその家族だ」 近年,海外任務や「海外派兵隊」化の部隊再編に伴う転勤で自衛隊員に重い負担が課せられています。イラクやインド洋に派兵した隊員のうち,16人が在職中に自殺しました。(表) 陸上自衛隊第二次イラク派兵部隊(2004年5月-8月)の警備中隊長を務めていたA三佐も,その1人でした。イラク南部サマワからの帰任後,「アメリカ兵に近づくな,殺される」などの言動を繰り返し,2005年8月,札幌市内の山中で練炭自殺しました。 A三佐と同時期にサマワにいた元幹部は,こう証言しました。 「自衛隊の物資を運んでいたイラク人の業者がアメリカ軍の誤射を受けたことから,『アメリカ軍のコンボイ(車列)には絶対に近づくな』と部下に徹底してきた。われわれがアメリカ軍のことをよく知っていても,向こうは知らない。特に,着任したばかりのアメリカ兵には東洋人もアラブ人も区別がつかない。友軍への誤射は少なくないはずだ」 もともと,「(日米)同盟重視ゆえの決断」(自民党閣僚経験者)だったイラク派兵ですが,「武装勢力」だけでなく,アメリカ軍からも命を奪われかねない泥沼の戦場で,自衛隊員の心身は蝕まれていきました。 最後のイラク派兵部隊である第十次部隊の「成果報告書」には,2006年6月26日,サマワからイラク南部のタリル空港に向かった軽装甲車が転倒し,3人が負傷する事故が発生したことも記されています。 イラクやアフガニスタンでは敵の襲撃を避けるため,アメリカ軍などは猛スピードで車両を走らせます。このため,兵士の交通事故死が相次いでいます。 「全員無事帰国」という,イラク派兵部隊の「必達目標」を達成したこと自体,奇跡的でした。 とはいえ,自衛隊の幹部からは,相次ぐ海外派兵で「各国の軍隊と肩を並べられるようになった」などの自負も表明され,新たな派兵を渇望する声も絶えません。 第一次イラク派兵部隊を率いた番匠幸一郎陸将補(陸自幹部候補生学校長)は,アフガニスタンへの派兵について問われ,こう答えています。 「法律があり,政府から命令があれば,われわれは問題なく実施できる。粛々と任務をこなします」(12月8日,国際安全保障学会での発言) 自衛隊派兵の拡大の契機となったブッシュ政権の先制攻撃戦略は破たんしました。イラクは出口の見えない泥沼に陥り,アフガニスタンでは政治的手段による和平の道が模索されています。 大義が失われたインド洋とイラクへの派兵ですが,それを継続することが日米同盟重視の姿勢を示すことであり,「国際貢献」だと信じる政府に,発想を転換する兆しはみられません。
2007年12月31日
コメント(0)
いよいよ大みそかを迎えました。例年と違い,年末・年始も国会が開かれている,異常な越年国会のもとでの年越しです。 政府と自民党・公明党与党は,年明け早々にも,アメリカの「報復」戦争を支援するために自衛隊のインド洋での給油活動を再開する,新テロ対策特別措置法案を成立させようとしています。 党略的な大幅会期延長や衆議院での再議決で悪法の採決をごり押しするのは,許されないやり方です。 国会が開会したまま年を越す越年国会は,最近では1993年から1994年にかけ,当時の細川内閣が,衆院の選挙制度に小選挙区制を導入するなどの「政治改革」法案をごり押しするために行って以来14年ぶりです。 臨時国会の会期が二度にわたって延長されたこと自体,消費税導入とリクルート疑惑で各党が対立した,1988年11月以来という事態です。いずれの場合も国民の同意していない悪法をごり押しするため行われたもので,党利党略の異常事態だったことは明らかです。 今回,臨時国会の会期が2回にわたって延長され,異常な越年国会となっているのも,福田政権がアメリカの戦争を支援する新テロ法案を何が何でも成立させようとしているためで,国民が望んだからではありません。 それどころか,どの世論調査でも国民の多くが給油の再開や,今国会での法案の成立強行に反対しています。にもかかわらず,福田政権は,福田康夫首相がアメリカのブッシュ大統領に誓った新テロ法案成立の約束を果たすため,異常な国会運営を続けているのです。 これまでの審議を見ただけでも,自衛隊のインド洋での給油再開が,テロをなくすどころか世界各地に拡散しているアメリカの無法な「報復」戦争を助けることになるのは明らかです。 それは,テロや紛争を平和的・外交的に解決するのを妨げるだけです。日本の給油がアフガニスタンの罪のない住民を殺戮するために使われ,それどころかアフガニスタンとは関係のないイラク攻撃などに転用されているという疑惑も解消されていません。 連立与党の自民・公明両党は,年が明ければ早々にも参議院の外交防衛委員会でテロ新法の採決を求め,参院で否決されても,衆議院で2/3以上の賛成で再可決すれば成立させられると主張しています。 あるいは,1月12日になっても参議院が法案を採決していないときには,「否決されたとみなす」という規定にもとづいて,衆議院で再議決のうえ成立という手続きをとるとしています。 悪法を成立させるために,何が何でも“数の力”で押し通すというのは民主主義に対する蹂躙であり,絶対に容認できません。自衛隊の給油活動再開に反対する世論を高め,悪法のごり押しを許さないことが重要です。 もともとアメリカのアフガニスタンでの「報復」戦争を支援するためのインド洋での自衛隊の給油活動は,参議院選挙で敗北した政府がテロ特措法の延長法案を出すこともできず,11月1日で期限切れとなったものです。 インド洋に派兵されていた自衛艦は帰国しました。 自衛隊を撤退させたのは,主権者・国民の意思であり,それに逆らって派兵を再開しようとすること自体,国民への挑戦です。年明け早々の国会で,新テロ法案を廃案に追い込むために,国民の世論と運動を強めることが何より求められます。
2007年12月31日
コメント(0)
2008年度政府予算案のなかで,生活保護を必要とし適用しなければならない生活状況にある世帯への給付もれがないよう「漏給の防止」について厚生労働省が対策強化をうちだしていることがわかりました。 生活保護の適正な実施の項目のなかで「生活保護を受けられるべき者が受給できるよう『漏給の防止』についても徹底を図るための対策を強化する」と明記しています。 生活保護を利用している世帯は109万世帯です(2007年7月)。 ところが行政による違法な申請拒否や排除が相次ぎ,生活保護を必要とする人で生活保護を利用している割合は,20%前後にとどまっていると見られています。このため,北九州市はじめ各地で餓死・孤独死が相次ぐ事態を招いています。 「政府・行政は憲法二五条にもとづく生存権保障義務を果たせ」との市民運動が起き,野党議員の追及によって厚生労働省が「漏給の防止」をいわざるをえなくなったもので運動の成果といえます。 福田首相は野党の代表質問に「生活保護の申請権を侵害しないことはいうまでもなく,侵害していると疑われる行為自体も厳に慎むことが必要だ」(10月4日)と答弁していました。 厚生労働省は「漏給の防止」対策として「生活保護の申請があった場合,申請を受けつけ申請権を侵さないこと,辞退届では本人の収入や生活状況など,自立のめどを調査し,一方的な保護打ちきりはしない」ことなどを徹底するとしています。 厚生労働省が「漏給の防止」をうちだしたことは,各地で進められている違法な申請拒否,排除をただす運動の力になるものです。生活保護(扶助)の引き下げを見送らせたこととあわせ,国民の声が政治を動かしたものといえます。 この対策を実りあるものにし,生活保護を必要とする人にゆきわたるようにするため,実効性のある対策が課題になっています。
2007年12月30日
コメント(0)

赤ちゃんからお年寄りまで国民1人250円の税金が充てられる政党助成金の2007年の最終分(79億7,800万円)が,自民,民主,公明,社民,国民新,新党日本の各党に交付されました(12月20日)。 この結果,1995年の制度実施から13年間の支給総額は4,080億円に達しました。「財政再建」の名で国民に負担増・福祉切り捨てを押し付けながら,政党助成金の受け取りを拒否している日本共産党以外の政党が労せず税金を山分けしています。 自民,民主,公明,社民などの賛成で12月21日に成立した「改正」政治資金規正法。国民の税金を原資としている政党助成金の使途を全面公開するのは当然なのに,今回の「改正」では,全面公開の対象から除外されました。 実務担当者の協議では賛成したのに,土壇場で自民党が先送りしたのです。マスメディアも「本来ならば真っ先に公開されてしかるべきだ」(山陽新聞12月7日付社説),「改善すべきことが残っている」(東奥日報,12月7日社説)と問題にしています。 一方,12月24日に閣議決定された2008年度予算案では,今年と同じ319億4,000千万円が計上されました。 政府は,ひとり親家庭に支給される生活保護費の母子加算(15歳以下)を今年度から2009年度にかけて廃止しようとしていますが,その削減額は今年度で約50億円。 公明党が今年受け取った政党助成金28億600万円の1.7倍にすぎません。母子加算削減は3年間では180億円が見込まれます。政党助成金の一部を回せば廃止しなくて済みます。 小泉内閣は2004年度から3年かけて生活保護の老齢加算を廃止し,生活保護を受けている高齢者から総額370億円(3年間)の収入を奪いました。319億円にのぼる政党助成金をやめれば,老齢加算の復活も可能になります。 政党助成金は,いったん政党に渡れば,あとは何に使おうと勝手放題の“つかみ金”です。 政党助成金と企業・団体献金,こんなものを許していては,どんなに選挙のときにアピールしても『国民のための』政治など実際問題,実現するはずもありません。【参考】政党助成金 1994年の「政治改革」関連法で小選挙区制とセットで導入。受け取りを請求した政党に,国政選挙の議席数と得票数に応じて年4回(4月,7月,10月,12月)に分けて配られます。
2007年12月30日
コメント(0)
独立行政法人「都市再生機構」(本社・横浜市,小野邦久理事長)は12月26日,現在77万戸ある賃貸住宅ストックのうち,当面10年間で8万戸を削減することなどを内容とした「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」を発表しました。 これは,「すべての賃貸住宅団地を対象に,削減目標や団地ごとに建て替え,リニューアル,規模縮小,売却等の方向性を明確にした再編計画を2007年内に策定」とした12月24日の閣議決定「独立行政法人整理合理化計画」の内容に沿うものです。 「再編方針」では,さらに40年後の2048年には,現在のストックの30%,23万戸程度を削減,50万戸程度にスリム化することを明記しています。 この流れは,6月に閣議決定された「規制改革推進のための3ヶ年計画」で明らかにされた『(1) 削減計画を明確にせよ』,『(2) 収支率の悪い(赤字に近い)団地は削減せよ』,『(3) 余剰地を民間に売却し,資産圧縮せよ』などの財界・大企業の要求を丸呑みするものです。 また,「20万戸削減計画」を具体化した機構内部文書にも見合ったものとなっています。 政府は12月24日,閣議決定した「独立行政法人整理合理化計画」で,都市再生機構(UR)について,民営化を含めた組織見直しを3年先送りしました。「都市再生機構」が今回,発表した「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」は,その“地ならし”を図るものともいえます。 なぜなら,スリム化し現在の累積赤字を減らすメドを表明することにより,スムーズに民営化に移行できるからです。 野党が再三にわたって指摘してきたように再編方針は居住者との話し合いぬきで機構が一方的,強権的に決めたものです。冬柴国交相は,「居住の安定に配慮」と国会で答弁していますが,このような一方的な発表はそのことが「絵に描いたもち」にすぎないことを示しています。 この再編方針にもとづく住宅削減・売却の実施は,格差社会が進行し,貧困が拡大するなか,公共住宅政策のいっそうの充実を求めている願いに真っ向から反するものです。 UR住宅居住者をはじめとする「削減・売却,民営化反対」の声はいっそう広がることは間違いありません。
2007年12月29日
コメント(0)
一時金150万円,療養手当月額1万円を支給する。与党プロジェクトチーム(与党PT)が打ち出した水俣病救済策について,水俣病の患者団体らは「患者を大量に切り捨てるもの」として断固拒否を表明しました。 与党案の問題点と患者団体が望む解決案はなにか,をみてみました。 水俣病救済については,2004年の最高裁判決という司法判断がすでにあります。 この判決では,加害者の国・熊本県と加害企業・チッソの法的責任を明確にしたうえで,賠償一時金は,患者の症状などによって,450万円から850万円を補償するというものです。 これにたいする与党PT案は,加害責任に触れずに,一時金150万円,療養手当月額1万円の支給などを中心としています。 最高裁判決を大幅に下回る与党PT案について「何の根拠もない」と批判するのは,ノーモア・ミナマタ国賠訴訟の園田昭人弁護団長。 「1995年の『政治解決』では一時金は260万円だった。平たくいうと,『あのとき手をあげなかったから,今回金額を下げてもいい』という考え方です。最高裁判決は頭の中にまったくない」と指摘します。 もともと与党PT案は,費用負担を求められるチッソが応じなければ成立しません。ところが,与党PTの園田博之座長は,チッソの態度表明を前に,受け入れを表明している団体との非公開の会談で「申請者数を2万人,救済費用を200億円」と発言したと報道されています。 1人150万円で単純計算すると申請者の66.7%しか救済されません。療養手当などを計算に入れると,申請者の半分以下しか救済されません。予算に合わせた患者の大量切り捨てを前提としているものなのです。 与党案には,申請期間に期限を設けるほか,「公的診察が必要」としています。国や県が選んだ医療機関が,患者の症状を判断するというのです。 園田団長は「交通事故で加害者に診断してもらうことはない。国・県は加害者。その加害者が被害者を診断するのはおかしな話」と批判します。 公害をなくす熊本県民会議医師団事務局長で,医師の高岡滋氏は,国の「審査」が,「医学的根拠のない判断条件を基準とし,診断プロセスも不明確。国に任せていたら,水俣病の診断はできない」と指摘します。 費用を負担すべきチッソは,与党PT案の受け入れを拒否しました。与党PT案は根拠のないものであることがますます明確になりました。被害者らは「チッソは被害者のことを二の次にして利益優先。責任逃れは許されない」と訴えています。 被害者がどれだけいるかもわからないのが,公式発見から半世紀以上もたった水俣病の現状です。水俣病の全容も明らかになっていません。 約1,500人の原告となっている水俣病不知火患者会(大石利生会長)のノーモア・ミナマタ訴訟にくわえ,水俣病被害者互助会(佐藤英樹会長)も裁判を起こしました。 大石会長は「救済を求める被害者は今後も出てくる。不知火海沿岸全住民の健康調査なしには,本当の意味での水俣病問題の全面解決はない」と訴え,期限を設定しない恒久的な救済策の必要性を強調しました。 被害者は「国・県,チッソの法的責任にもとづく解決」「司法基準による賠償,医療費の無料化,療養手当」を実現する司法救済システムを求めています。
2007年12月28日
コメント(0)
政府,自民党・公明党連立与党が再延長した今国会での成立を狙う新テロ特措法案。 アフガニスタン問題で国際社会はいま,軍事中心から対話による政治的解決へと戦略を切り替えつつあります。この世界の流れに逆行し,あくまで再派兵に固執する政府・与党の異常な姿が,この間の参議院審議のなかで浮き彫りになっています。 アフガンのカルザイ政権は,タリバンを含む武装勢力との交渉による和平を追求する「平和と和解のプロセス」を進めています。 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長も「国内の和解のための包括的な政治的対話の推進にいっそうの努力をおこなうべきだ」と発言し,支持する考えを示しています。(9月) 最近では,アフガン派兵国からも,軍事中心ではなく,対話による政治解決の重要性を指摘する声が次々とあがっています。 野党議員が,参議院外交防衛委員会(12月20日)で指摘したのは,イギリスと豪州の例でした。 イギリスのブラウン首相は12月12日の下院演説で,「すべての勢力を民主的憲法の下に和解させるアフガン政府の努力を支持する」と表明。この方針については「力でねじ伏せる手法には限界」,「軍事中心の手法から,和解を促進させる戦略に重心を移していく考え」(「朝日」12月13日付夕刊)とも報じられています。 豪州のフィッツギボン国防相も,12月15日,12月16日の北大西洋条約機構(NATO)国防相会議で,アフガンでの軍事作戦について「大幅な方向転換をしない限り,敗北するおそれがある」とし,アフガン国民の「心をつかむ」努力が必要との考えを示しました。 野党議員の指摘に高村正彦外相は,海上自衛隊の再派兵という軍事対応は具体的に語れても,対話を通じた政治解決になると「カルザイ政権が何をやってほしいかをよく聞きながら,お手伝いする」と,主体性のない答弁をしました。 カルザイ政権や派兵国が,こうした戦略的転換に足を踏み出そうとしているのは,派兵国のひとつであるカナダのハーパー首相が「アフガンは非常に困難な状況にある」というように,軍事中心の手法が限界に直面しているからです。 野党議員が参議院外交防衛委(12月11日)で,ロンドンに本部をおく外交政策のシンクタンク・SENLIS評議会の報告書(11月)を示しました。 同報告書は「いまや問題は,タリバンが首都カブールに現れるかどうかではなく,それがいつ,どのような形で起きるかだ」と指摘しています。アフガン民衆がタリバンに加わっていく理由に「戦闘の拡大と地方への爆撃によって引き起こされた,極めて多数にのぼる民間人の殺傷」を挙げています。 民間人を殺戮する掃討作戦が,政治解決の障害になっていることの明確な指摘です。 高村外相も「今おっしゃったような面があるだろうと私も思う」と認めざるをえませんでした。 日本政府はかつて,民間人に犠牲をもたらすことを理由に,他国の軍事作戦を批判したことがないわけではありません。 たとえば昨年7月にイスラエルが,拉致された同国兵士の解放を理由に,レバノン国際空港を空爆した際,日本政府はイスラエルに対し「軍事行動は,問題の解決に資さない」とし,「強く自制を求める」との談話を発表したことがあります。 この事例のように,アメリカ軍のアフガン空爆も,同様に中止するようアメリカ政府に求めるべきです。 しかし高村外相は「われわれが口を出すことではない」などと答弁しているように,相手がアメリカになると,追従してしまう日本政府の姿勢があらわになるばかりです。 アメリカになにひとつ意見することもできない日本は本当に独立国家なのでしょうかと考えてしまいます。
2007年12月28日
コメント(0)
沖縄戦「集団自決」での軍の強制は,「南京大虐殺」や日本軍「慰安婦」問題とともに,侵略戦争の正当化を狙う「靖国」派が,教科書などから消すことを目標にしてきたものです。 侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の現会長,藤岡信勝氏らは2005年に「軍の強制」を削除する運動を開始しました。 同年,「集団自決」を命令していないと主張する元守備隊長らが,軍の命令を記述した著書は名誉棄損などにあたるとして岩波書店と大江健三郎氏を訴える裁判を起こしました。 この裁判の支援者や弁護団には,藤岡氏をはじめ「つくる会」の関係者が多数参加しています。文部科学省は「軍の強制」を削除した検定意見の根拠のひとつにこの裁判での原告の主張をあげています。 政府・文部科学省はこの検定意見について,教科用図書検定調査審議会が「専門的,学術的観点」で調査・審議して決めたものだとしてきました。 しかし,検定意見の原案である「調査意見書」は文部科学省の職員である教科書調査官がつくり,初等中等教育局長らが決裁したもので,それが審議会では意見が出ないまま検定意見になったことが,野党議員の国会質問で明らかになりました。 さらに,日本史担当の教科書調査官や審議会委員の中に『新しい歴史教科書』監修者の門下生や共同研究者が多数いることが,他の野党議員の追及で浮かび上がりました。 検定意見は侵略戦争を美化する勢力が,沖縄戦研究の到達点に反して持ち込んだ政治介入だったことが明白になったのです。 沖縄県民をはじめとする検定意見撤回の声が高まり,各出版社は「軍の強制」を明らかにした訂正申請をしました。これに対しても「つくる会」は数回にわたって「訂正を不承認にせよ」と文部科学省に要請し,宣伝や集会を繰り返しおこないました。 こうした中で,審議会と文部科学省は,検定意見撤回要求を拒否,訂正申請で出された「軍による強制」という記述も認めませんでした。 沖縄県民の思いに応えるには,文部科学省が誤りを認めて検定意見を撤回し,「軍の強制」の記述を復活させ,政治的介入で歪められた教科書を事実にもとづいたものにする以外にありません。
2007年12月27日
コメント(0)
労働者派遣法の見直しを検討してきた労働政策審議会の労働力需給制度部会が12月25日まとめた中間報告で,派遣法改正の見送りを決めたことは,労働者・国民の願いに背くものです。 派遣法の相次ぐ規制緩和によって非正規雇用を増大させ,ワーキングプアや偽装請負,日雇い派遣など社会問題まで引き起こしているもとで,雇用の安定と労働条件の向上を図るために,抜本的見直しを行うかどうかが焦点になっていました。 中間報告では労使の間で「根本的な意見の相違がある」ことを見送りの理由に挙げますが,言い訳になりません。厚生労働省はこれまで労働者側が反対しても強引に法改定を進めてきました。 長時間労働野放しのホワイトカラー・エグゼンプションも昨年,労働者側が強く反対したのに審議会の報告に盛り込みました。それが財界に反対されると,改正を見送るなど許されないことです。 もともと財界側は,審議会を労働者派遣法のさらなる規制緩和にお墨付きを与える場にしようと狙っていました。 ところが,非正規雇用の増大に国民の怒りが高まり,参議院選挙では自公政治に“ノー”の審判が下されました。「これでは規制緩和どころか逆規制をかけられかねない」と慌てた財界側は,身勝手な言い分を並べ立てて抜本改正に逆らってきました。 審議会では,派遣労働を増大させている「登録型派遣」について労働者側が,「雇用が不安定で技能も向上しない」と禁止を求めましたが,財界側は「ニーズがある」と反対。 不法行為が相次ぐ「日雇い派遣」についても「適正に運営されている業務もある」として禁止に反対しました。 違法派遣の場合,派遣先に雇用されているとみなす「みなし雇用」についても「一定期間で契約が終わり,雇用が不安定になる」として逆に制限の撤廃を主張しました。不安定になるというのなら正社員化すればいいのであり,こんな身勝手な言い分はありません。 中間報告では,労働者派遣が原則自由であるべきか,本来は限定的なものであるべきか基本的考え方の違いがあるため,根幹にかかわる問題について,研究会で検討をすすめるとしています。 しかし,「期限の定めのない直接雇用が基本。派遣は臨時的,一時的なものであり,常用雇用の代替にしてはならない」というのが派遣法制定時の原則です。政府も繰り返し,この立場は不変だと言明してきました。 ところが,財界の要求に従って,1996年に対象業務を16から26に拡大。1999年には原則自由化し,2003年には製造業への派遣も解禁され,ほとんどの業務で派遣労働ができるようになっています。 派遣法制定の原則に立ち返って,規制緩和の流れに歯止めをかけ,労働者派遣法から派遣労働者保護法に切り替えることこそ求められています。 労働組合と野党などが一堂に会した抜本改正を求めるシンポジウムに与党議員も出席するなど,世論と運動の広がりを与党も無視できなくなっています。 審議会が見送りを決めても,参議院で与野党が逆転した情勢を生かして抜本改正を実現するため,いよいよ世論と運動の出番となっています。
2007年12月26日
コメント(0)
政府の教育再生会議(野依良治座長)は12月25日,首相官邸で総会を開き,第三次報告を決定しました。 報告は,国が特定の価値観を子どもたちに押し付けることにつながる「徳育の教科化」を盛り込みました。「徳育の教科化」は,中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)で批判が相次ぎ導入が見送られたものですが,再び提言しました。 また,検討課題となっていた教育バウチャー(利用券)制度導入は,「学校選択制と児童生徒数を勘案した予算配分」をモデル事業として実施すると明記しました。 子どもが集まらない学校には少ない予算しか与えないもので,教育の機会均等という公教育の根幹をゆるがすことにつながります。さらに,学校の「適正配置」として,統廃合を推進する市町村を国が支援することを提起しました。 「大学改革」では,授業の三割を英語で行うことや,国立大学の学長選挙廃止を打ち出しました。国立大学法人運営費交付金について,「一律的な配分は行うべきではない」としています。 また,小中一貫校の制度化検討など,小中高大学の「六・三・三・四制」の弾力化も求めました。 同会議は来年1月中に,いままでの3回の報告を総括するために最終報告をまとめる方針です。 12月25日に決定した教育再生会議の第三次報告は,同会議の掲げる「教育再生」が国民の願いと相いれない姿を浮き彫りにしました。 同会議は,昨年10月に安倍晋三前首相の肝いりで発足しました。委員には教育研究者を含めず,会合はマスメディアにも完全非公開という異常な状態で行われました。 同会議は1月の一次報告で,教員の身分を不安定にする教員免許更新制の導入や,副校長・主幹などの新たな管理職の設置などを提言。これらは通常国会での教育三法成立で,実施が強行されました。 6月の第二次報告では,授業時間数10%増や,教員評価を踏まえた「メリハリある教員給与体系」の実現などを提言しました。教員の目を子どもではなく管理職に向けさせ,権力統制を強めると批判されているものです。 現場の声に耳を貸さず,上からの統制と競争を強める同会議の方針は,教育現場の混乱を招き,真剣な教育改革を求める国民との矛盾を広げてきました。内閣の中からも,「地方では,あそこ(再生会議)でなされている議論でどうかなというのはある」(増田寛也総務相)などの異論が出ていました。 にもかかわらず,三次報告は,学校を競争と混乱に陥れた全国学力テストの活用や,児童・生徒が少ない学校を予算で差別する教育バウチャー制度のモデル事業実施など,いっそう教育現場を困難にするものを盛り込みました。 安倍前首相が退陣したにもかかわらず,国家統制の強化・競争と選別の激化という安倍流「教育改革」路線にしがみつこうとする福田内閣の姿勢も問われます。 教育再生会議は一刻も早く解体し,広い国民の英知を集めた,憲法と教育の条理に立脚する抜本的な教育改革をする方向に踏み出すことが必要です。
2007年12月25日
コメント(0)
福田康夫政権が発足して,3ヶ月を迎えます。(9月26日発足) それに先立ち,相次いで発表された新聞,テレビなどの世論調査で,内閣支持率の急速な下落が明らかになりました。「朝日」の調査では31%,「毎日」の調査では33%,共同通信の調査でも35%と,軒並み30%台です。 もちろん世論調査の結果は現在の情勢の一断面にすぎませんが,それにしても政権発足からわずか3ヶ月で当初の半分近くにまで支持率が急落し,30%を割り込む寸前になるというのは異常です。 自民党・公明党連立の福田政権のゆきづまりは深刻だといえます。 福田政権は3ヶ月前,参議院選挙で大敗した安倍晋三前政権が居座りを続けられず,臨時国会での論戦を前についに政権を投げ出したのを受けてスタートしました。 それでも発足直後には53%(「朝日」),57%(「毎日」)程度の支持率で,「支持」が「不支持」を上回っていましたが,3ヶ月足らずで支持が急落,「朝日」「毎日」「共同」「日経」など,どの調査でも「不支持」が上回りました。 なかでも「朝日」の調査では,わずか20日前の今月1日,2日両日の調査では支持が44%だったのに,19日,20日両日の調査では「支持」が31%まで急落し,「不支持」と逆転しました。 「不支持」の最大の理由は「政策の面」で,年金問題で「期待できない」が72%,福田政権が目指しているインド洋での給油再開は「必要ではない」が48%など,福田政権の政策への批判が顕著となっています。 解決のめどが立たない5,000万件にのぼる年金の記録漏れや,薬害肝炎での患者救済への冷たい態度,さらに軍事利権や新テロ法案の強行姿勢などが批判を招いています。 安倍政権から福田政権にかわり侵略戦争を肯定する露骨な「靖国」色は影を潜めました。しかし,小泉・安倍の二代の政権にわたった「構造改革」路線はそのままで,消費税増税に向けた策動が強まるなど国民犠牲の政治が続いています。 アメリカいいなりの政治も続いており,福田首相は11月半ばには最初の外国訪問でブッシュ大統領と会談し,自衛隊の給油活動を再開するテロ新法の早期成立を約束しました。 福田政権の支持率急落の根底に,日本の政治の根本的な害悪ともいえるこうした大企業本位・アメリカいいなりの基本路線への,国民の批判があるのは明白です。 大企業に大儲けを続けさせるだけで国民には貧困と格差を押し付ける「構造改革」路線や,アメリカの戦争を支援し憲法違反の自衛隊の海外派兵を推進してきた政治は,先の参議院選挙で国民にノーの審判を突きつけられたものです。 この路線を変える意思も力も持たない福田政権が,国民の批判にさらされるのは当然です。福田自公政権の支持率急落は,この政権の限界にとどまらず,自民党政治そのもののゆきづまりの深刻さを浮き彫りにしています。 福田自公政権が発足から短期間で国民の支持を急速に失いつつある中で,自民党の政治にかわる新しい政治を実現することが痛切に求められています。それに応えることができるのが,どの政党であるのか国民は判断をしなければいけない時期にきています。 大企業中心主義とアメリカいいなりの政治を根本からただすことができる政治・政党です。 来年には衆議院解散総選挙があると言われていますが,国民は真剣に選択する必要があります。そしてその結果責任を負うことも忘れてはいけません。
2007年12月24日
コメント(0)

財務省が内示した2008年度の軍事費は,前防衛事務次官の守屋武昌容疑者逮捕を発端に防衛省・自衛隊の装備調達をめぐる疑惑に対して国民の怒りが広がっているにもかかわらず,これまでの約5兆円規模をあくまで維持し続けるものになっています。 2007年度予算で初計上した在日米軍再編経費は,今回の財務省原案では大幅増の529億円(216億円増)となりました。「ミサイル防衛」関連経費は,2007年度に比べ若干減ったものの,1,714億円です。いずれも,日米の軍需企業などが利権の対象にして群がっている事業です。 たとえば在日米軍再編に基づく在沖縄海兵隊のグアム移転事業には,守屋容疑者に接待を繰り返した宮崎元伸容疑者の「日本ミライズ」や,同氏が専務を務めていた軍需専門商社「山田洋行」が参入しようとしていました。 また,東京地検特捜部が,防衛省への捜索の際,米軍再編に関する資料を多数,押収したとも報じられています。 特捜部が家宅捜索した「日米平和・文化交流協会」(秋山直紀常勤理事)が主催団体のひとつになり,毎年,アメリカと日本で開いている日米安全保障戦略会議。そこで日米の軍需企業などが声高に求めているのが,「ミサイル防衛」システムの日本への配備のいっそうの推進です。 現在,進めているシステムの導入経費だけでも,1兆円をつぎ込む計画です。同時並行で開発を進めている次世代の迎撃システムを導入すれば,経費はさらに膨らみます。 その巨大利権に軍需企業や政治家,防衛省幹部が群がっているのです。 これだけの疑惑が指摘されても,福田・自公政権が在日米軍再編や「ミサイル防衛」を進めるのは,いずれもアメリカの要求があるからです。 米軍再編も「ミサイル防衛」も,ブッシュ政権が掲げる先制攻撃戦略を支える一環です。アメリカの要求に応え,日本政府は,「ミサイル防衛」を含む再編計画を「徹底して実施する」(2006年5月)ことを合意しています。 財務省原案に盛り込まれた次期哨戒機(PX)4機調達(646億円)も,海外での作戦まで想定したものであり,地球規模での日米軍事協力を「同盟の重要な要素」とした日米合意に基づいています。 日米地位協定は,基地提供以外はアメリカ側負担としています。それにも違反する在日米軍への「思いやり予算」が今回,わずか90億円減にとどまったのも,アメリカの負担増要求に屈したからでした。 国民はいま,度重なる負担増にくわえ,原油高騰などによる物価高に苦しめられています。 それでもアメリカの要求であれば,疑惑があっても,法的義務がなくても負担する。財務省原案からは,こんな福田・自公政権の卑屈な姿勢が浮かび上がってきます。
2007年12月23日
コメント(0)

福田内閣初の予算となる2008年度予算の財務省原案が省庁に内示され,復活折衝が始まっています。 12月4日に閣議決定した「予算編成の基本方針」が,小泉・安倍両内閣の「骨太方針」を「堅持」すると明記しているとおり,「構造改革」路線を継続する予算となっています。 小泉・安倍「構造改革」は,大企業とその役員・大株主に空前の利益をもたらす一方で国民のなかに深刻な貧困を広げてきました。「三位一体改革」と称して国の赤字をしわ寄せし,地方交付税を削減して地方を切り捨ててきた結果,地方の疲弊が一気に進みました。 参議院選挙での自民党・公明党連立与党の大敗は弱肉強食の政治への国民の明確な審判です。予算案はそれに対する政権の「回答」であり,福田内閣にはゆきづまった路線を変える意思も能力もまったくないことを示しています。 財務省原案は,高齢化などで増える社会保障予算を,毎年2,200億円も削減する小泉「改革」の方針を来年度も続けようとしています。 「これでは暮らしていけない」と,母子家庭から悲鳴が上がっている生活保護の「母子加算」の段階的廃止を,今年度に続いて継続します。最近の灯油高騰や生活必需品の値上がりで暮らしがますます圧迫されているにもかかわらず,母子家庭の生活保護費を減らすなど,あまりにも非人道的な冷たい仕打ちです。 高齢者に医療負担増と差別的な医療抑制を押し付ける後期高齢者医療制度は,ごく一部を一時的に凍結するだけで4月から強行します。 中小企業の従業員が加入する政府管掌健康保険の国庫負担を1,000億円も削減し,組合健保に肩代わりさせるといいますが,筋違いの数字合わせであり,国の責任放棄です。 暮らしがどんな困難に直面しようと社会保障の削減路線を絶対の枠組みにするやり方は,社会保障を必要とする国民を制度からつぎつぎと排除する暴走装置となっています。 この路線をやめない限り,社会保障が国民の命綱を断ち切る悲惨な事態はなくせません。 他方で福田内閣は大企業向けには研究開発減税を拡充して法人税負担をさらに軽くしようとしています。これで一部の大企業の法人税率は最大で9%引き下げられ,中小企業の軽減税率の22%より低い21%となります。 もともと昨年で終了するはずだった証券優遇税制は,来年も一部を存続し,さらに大資産家を恒久的に優遇する金融課税の新制度を検討する方針です。 軍事利権の疑惑で巨額の水増し受注が明らかになってきたにもかかわらず軍事費は約5兆円を維持し,米軍再編経費も追加しました。道路特定財源を10年先まで続け,道路建設のためのガソリン税の増税措置(暫定税率)も固定化を図っています。 額賀福志郎財務相は12月20日の記者会見で,予算案は「将来の改革への橋渡し」だと述べました。 政府・与党は消費税増税の大合唱です。消費税を社会保障財源だといって増税すると同時に,増税がいやなら社会保障は我慢しろと国民を押さえつけるテコにする狙いです。 同時に,大企業減税と軍事費の「二つの聖域」を温存する財源に利用しようとしています。 額賀大臣の言葉を借りれば,福田内閣の来年度予算案は「消費税増税への橋渡し」です。こんな予算に未来はありません。「二つの聖域」にメスを入れて財源を確保し,社会保障と暮らしを守る予算に組み替えるよう強く求めます。
2007年12月23日
コメント(0)
日本経団連が12月19日に発表した経営労働政策委員会報告は,成果主義賃金と非正規雇用の拡大が行き詰まり,国民・労働者との矛盾を広げていることを示しています。 大企業が史上最高の収益を謳歌する一方で,年収200万円以下の低所得者が1,000万人を超えるなど貧困と格差が拡大し,社会問題になっています。 日本経済の健全な発展のためにも,賃上げや安定雇用によって国民の家計を豊かにするとともに,政府の国民負担増路線を改めることが急務になっています。 報告でも,「手取りの収入が伸び悩み,個人消費の増勢鈍化が懸念されている」と指摘。「安定した成長を確保していくためには,企業と家計を両輪とした経済構造を実現していく必要がある」,「付加価値額の増加額の一部は,総額人件費改定の原資とするべきである」と言わざるを得ません。 財界は昨年も「生産性の向上の如何にかかわらずベースアップはありえない」としていましたが,ボロ儲けを還元せよとの世論を無視できないことを示しています。 今春闘で労働側は,労働者より経営者と株主への配分が優先されていることや,異常な内部留保(ため込み利益)を批判し,全労働者の賃金底上げを求めてきました。 そのため報告は,「配当や内部留保を減額して労働分配率を引き上げるべきとの議論は現実的でない」と打ち消しに懸命です。しかし,労働分配率の低下は政府でさえ指摘する問題であり,内部留保を10年で3.5倍にも増加させながらもため込みを続ける道理はありません。 鳴り物入りですすめた成果主義賃金についても言い訳に回っています。 財界は,「働けば報われる」といって成果主義賃金をすすめてきました。ところが,厳しい競争とノルマの一方で労働者の多くは賃金・処遇が低下し,過労やストレスが増大。 目先の利益を追いかけるため現場力や開発力が低下し,事故やミスなど経営基盤を揺るがす事態が生じ,見直しを迫られています。 そのため報告は,「透明度と納得性の高い人事評価システムの構築」を謳い,「勤続年数にもウエートを置く」など成果主義と矛盾することまでいいだしています。 しかし,「総額人件費の増加額はあくまで付加価値の増加額の範囲内」とし,「生産性向上で付加価値額を高めていく努力が求められる」として労働強化に駆り立てるとともに賃金を抑え込む姿勢に固執しています。それだけに,国民の闘いがいっそう重要になっています。 報告が強調するもうひとつの課題は,ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現です。 「調和」というのなら長時間労働の短縮が問われます。ところが,「効率的な働き方」が必要だとして,成果主義賃金の導入で「就業時間中の集中度を高め,無駄な残業を抑制することができる」と強調しています。 成果主義によって際限のない長時間過密労働が押しつけられているのが現実であり,こんな理屈はなりたちません。 さらに,「時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を推進」として,長時間労働野放しのホワイトカラー・エグゼンプションとともに,自宅で働く「テレワーク」など,労働基準法の適用除外にされかねない不安定雇用の拡大を求めています。 これでは,長時間労働をひどくし,貧困と格差を拡大するだけであり,社会的責任が問われます。 石油ショックが起きた1970年代,ぼろ儲けを続ける大企業に批判が集まり,経団連会館をデモ行進が包囲する事態になりました。おりしも再び石油高騰が庶民と中小企業を直撃しています。 財界・大企業が横暴勝手を続けるのなら,参議院選挙での自民党・公明党連立政治への審判につづき,国民・労働者の厳しい批判が今度は財界にも向けられることは避けられません。
2007年12月22日
コメント(0)
「宙に浮いた年金記録」に関する参議院選挙の自民党公約をめぐり,福田康夫首相が12月17日,「誤解を招く表現があった」として陳謝しました。 本人特定が難しい記録が相当数に上るという舛添要一厚生労働相の12月11日の発表に,「公約違反だ」と厳しい批判が噴出しています。これに対して福田首相は「公約違反は大げさ」「(公約で)どう言っていたのかさっと頭に浮かばなかった」などと人ごとのように答えていました。 国民に陳謝するのは当然ですが,福田首相が本当に謝るべきなのは,国民に対する公約をないがしろにした自身の姿勢についてです。 当時の安倍晋三首相は,舛添参院議員・現厚生労働相の質問に答え「最後の一人に至るまで必ずチェックする,そしてすべてお支払いする」と答弁しています(6月の厚労委)。 選挙演説でも2人は同じ発言を繰り返しました。ところが,相当数の年金記録の本人特定が困難だと公表した途端,舛添大臣や町村信孝官房長官は「選挙中の意気込みで言ったが,誤解があった」などと言い逃れようとしました。 「選挙中」の発言なら,なおさら有権者に対する選挙公約として重いはずです。 福田内閣の本末転倒の姿勢が国民の怒りに油を注いだのは当然です。 厚生労働省によると,5,000万件を超える「宙に浮いた年金記録」と年金受給者・加入者の第一次の照合で,約40%に当たる1,975万件の本人特定ができていません。 本人が死亡していると思われる記録,結婚で名字が変わっていると考えられる記録,入力の際の変換ミスや転記ミス,届け出そのものが誤っていると思われる記録などです。1,975万件のうち945万件が特に困難だとしています。 一次照合は氏名,住所,生年月日の三条件の一致を見るものです。厚生労働省は,一次照合で本人特定ができなかった記録は,条件を緩和した二次照合や記録の内容に応じた調査を進めるとしています。 政府は公約通り,最後の一人までチェックして年金を支払うよう,あらゆる手立てを講じるべきです。 残りの約3,000万件のうち1,550万件は厚労省が対応済みとしている記録です。また,約500万件は氏名などが欠けた記録ですが,帳簿との照合で補正が進んでいます。 一次照合の結果,記録と本人が結びつく可能性がある1,100万件,850万人にまず,「ねんきん特別便」が発送されています。 「ねんきん特別便」は,もともと日本共産党が提案した「1億人レター作戦」などを反映して実施されるものです。政府は来年10月までかけて段階的に全加入者に送る計画ですが,スケジュールを前倒ししてすべての国民への通知を早急にやるべきです。 照合作業が困難であればあるほど,国民の知恵と情報に依拠して解決を図ることが重要になってきます。 その際に,政府はすでに死亡した人の記録は送付しないとしていますが,遺族年金の受給資格が回復できる可能性もあり,送付の対象に遺族を加える必要があります。 「特別便」の内容にも,もっと配慮がいります。「特別便」に本人に結びつく可能性のある記録の加入期間や標準報酬月額,事業所の住所など,記憶をたどるヒントを工夫して盛り込むべきです。 これらを含め,国民が本当に信頼と安心を持てるような計画に,急いで作り直すことを政府に求められます。
2007年12月21日
コメント(0)

来年4月実施予定の75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度で,保険料の高さが各地で大きな問題になっています。しかも,今後さらに保険料を引き上げる仕組みになっており,いったん制度が始まれば,際限ない負担増を強いられることになります。 後期高齢者医療制度では,75歳以上のすべての人が保険料を支払います。原則として,年金から天引きされます。 保険料は都道府県ごとに決まります。厚生労働省が「平均的な厚生年金額」としている年金収入208万円の単身者でみると,42道府県で同省の試算(年74,400円)を上回っています。 しかも,保険料はこれにとどまらず,2年ごとの改定のたびに値上げされる仕組みです。 ひとつは,医療費の増加による値上げです。 患者の増加や医療技術の進歩などによって,医療給付費は今後も増える見込みです。その「10%」を75歳以上の保険料でまかなう設定にしているため,給付費が増えれば保険料も増える仕掛けになっているのです。 同じ仕組みの介護保険では,3年ごとの保険料改定のたびに値上げが繰り返されてきました。後期高齢者医療制度でも,将来の値上げは確実です。 さらに,75歳以上の人口が増えると保険料を引き上げる仕組みもあります。高齢化の進行に応じて,75歳以上の保険料の割合を,当初の「10%」から「12%」「15%」などと引き上げるのです。 厚生労働省はすでに2006年に,75歳以上の負担率が2015年度には10.8%になるという試算を出しています。 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(2006年12月)をもとに試算すると,75歳以上の保険料の割合は2035年度には14.6%に達し,保険料は約34,000円もの値上がりとなります。(表) 年をとれば自然に医療費がかかる高齢者だけをひとつにまとめた制度の,根本的な欠陥といえます。
2007年12月20日
コメント(0)
汚染された血液製剤でC型肝炎になった患者らが国と製薬会社を訴えている薬害肝炎訴訟の控訴審で,大阪高裁(横田勝年裁判長)が和解案を提示しました。 これを受け,福田康夫首相は12月14日,舛添要一厚生労働相と町村信孝官房長官に,解決にむけて「厚生労働相を中心に関係省庁と連携して対応を」と指示しました。 大阪高裁の和解案は,血液製剤が投与された時期によって,救済の範囲を限定したものです。原告団と弁護団は「同じ被害を受けた仲間を線引きし,切り捨てる案だ」と即刻拒否しました。 原告が求める「被害者全員の一律救済を」という当然すぎる要求に応えるのは国の責任です。 ウイルス性肝炎の大半は,医療行為に起因する医原性の感染です。感染被害を防ぎ,国民の生命の安全を確保することは国・厚労省の責任です。放置すれば肝硬変や肝がんなど生命にかかわります。 C型肝炎ウイルスが混入した「フィブリノゲン」など血液製剤は,多くの妊産婦や赤ちゃん,外科手術を受けた人の止血剤などに使われ,感染が広がりました。 フィブリノゲンは1964年,第9因子製剤は1972年に,それぞれ製造・販売が開始されました。 薬害肝炎訴訟は5年前の2002年10月,C型肝炎患者を代表するかたちで,東京,大阪の血液製剤の被害者が原告となり,国と田辺三菱製薬を相手取り提訴されました。 被害者らはその後も福岡,名古屋,仙台の各地裁に相次いで訴えました。 薬害肝炎訴訟の原告や被害者が願っているのは,『ウイルス性肝炎の感染拡大への国・製薬会社の責任の明確化と謝罪』,『すべての被害者の救済』,『真相の究明と薬害の根絶』などです。 これに対し仙台を除く各地裁で,国と製薬会社の責任を認める判決が続きました。名古屋地裁の判決は,フィブリノゲンは止血剤としての有用性はなく,国と製薬会社は「安易に止血剤として使用されないように説明する義務を怠った」と指摘し,1976年以降の国と製薬会社の責任を認めました。 大阪高裁の和解案は,国に「解決責任がある」としたものの,責任を認める範囲を国については1987年4月-1988年6月,製薬会社には1985年8月-1988年6月に限定しています。 これでは多くの患者が救済対象から排除されてしまいます。「命の重さを差別するのか」,「国民の健康を守るという基本を忘れているのではないか」という原告の怒りは当然です。 しかし被害者全員の一律救済を求め,『この大原則は譲れない』と主張する原告の姿勢は,当然の態度です。そして首相自らが政治的な決断によって,すべての被害者の一律救済をはかるべき問題でもあります。 C型肝炎をはじめ薬害の被害者には何の落ち度もありません。血液製剤が投与された時期にかかわらず,感染とその被害を拡大した国・厚労省と製薬会社に大きな責任があります。 とりわけ国民の安全に責任を負う政府は「どうか命を助けてください」との原告や被害者の悲痛な訴えを正面から受け止めるべきです。 福田首相は原告らとの面会さえ実行していません。患者らの救済に責任を負うなら,首相自らのイニシアチブを発揮し,国・厚生労働省が直ちにすべての被害者の一律救済と薬害根絶に踏み出す決断をすべきです。
2007年12月19日
コメント(0)
軍事利権をめぐる疑惑追及を契機に,防衛省が購入する兵器の価格があまりにも高いことに国民の批判が高まっています。 防衛省は,兵器は政府しか買わないので製造コストは割高になるなどといって高価格を正当化しています。しかし,兵器が高いのは,軍事費を聖域にする政府の政策のもとで,軍需企業いいなりに価格を決める政府・防衛省と軍需産業のもちつもたれつの構造にそもそもの原因があります。 それを放置したままでは兵器価格の適正化は不可能です。 たとえば,2008年度購入予定のAH64D戦闘ヘリコプターは,1機で216億円もします。2009年度にも2機調達する予定です。 機体本体の価格だけでも,同型機を購入するギリシャよりもはるかに高く83億円もします。それに,アメリカ・ボーイング社との契約で軍需企業・富士重工がライセンス生産するために作った設備の経費400億円をふりわけ,1機ごとに133億円を上乗せするというのです。常識では通用しない発注です。 防衛省は富士重工から62機を買う予定でしたが,ボーイング社が製造を中止したため,購入機数はこれまで購入した10機を含め13機に減りました。 富士重工が作った設備費の上乗せは,同社があてにした儲けをあげられなくなったためです。儲けが減った分を税金で穴埋めするのはまったく筋違いです。 投資分を回収できないというなら製造元に請求すべきです。 問題は軍需企業の言い値をうのみにする政府・防衛省の姿勢です。 富士重工は,1995年に防衛庁(当時)に初等練習機T7一機の価格を5億5,000万円と提示しながら,スイスの企業も参加した3年後の入札では半額にして落札したことがあります。1995年の価格の半分が水増しだったということです。「中期防衛力整備計画」で富士重工の言い値を鵜呑みにしたのは間違いです。 企業の言い値で価格を決めるのはいまも変わりません。12月13日の参議院外交防衛委員会で野党議員が示したように,山田洋行の水増し事件をのぞいても,1988年から2004年までに16社が合計1,143億円も不当な水増し請求をおこなっています。 軍需企業いいなりでは水増し請求の再発は防げないことを物語っています。 アメリカの言い値で米軍再編経費を負担するのも重大です。沖縄米海兵隊のグアム移転を口実に,日本が負担する米軍家族住宅3,500戸の建設費は,総額25.5億ドル(約2,800億円)です。1戸当たり8,000万円というのは異常です。 ところがこれは,「アメリカの見積もり」(5月22日参議院外交防衛委員会,安倍晋三首相=当時)をそのまま日米合意にしたものだというのです。 日本政府はグアムでの住宅建設費を比較検討もしていません。まさにアメリカいいなりのきわみです。 軍需産業やアメリカのいいなりに防衛政策を進める姿勢を抜本的に改めることがいよいよ必要です。 政府は財源がないといって社会保障費も教育費も情け容赦なく削りながら,軍事費を聖域扱いにしてきました。戦争放棄と戦力不保持を決めている憲法に照らせば,本来許されないのが軍事費です。 海外で戦争するための予算を全廃し,すべての兵器,維持経費を洗い直し,5兆円もの軍事費に削減のメスを入れることが重要です。
2007年12月18日
コメント(0)
自民党と公明党の連立与党は12月14日,12月15日まで延長されていた臨時国会の会期を,来年1月15日までさらに1ヶ月間延長することを,民主党など野党の反対を押し切り決定しました。 インド洋でアメリカなどの軍艦への海上自衛隊の給油活動を再開する,テロ対策特別措置法案(新テロ法案)をなにがなんでも成立させるためです。 会期の再延長により,規定では,新テロ法案はたとえ参議院で採決されなくても,参議院に送付されてから60日を超す1月12日以降は否決されたものとみなされ,衆議院で2/3以上の賛成で再議決されれば成立する仕掛けになります。 当初今国会は,11月10日までが会期でした。新テロ法案が大幅に会期が延長されても成立していないのは,自衛隊の給油活動を再開しアメリカの「報復戦争」を支援する政府の説明が成り立たず,国民が反対し続けているためです。 一度ばかりか二度までも会期を大幅に延長し,異常きわまる越年国会を押し付けたうえ,参議院の意思を無視して衆議院の数の力で成立させようというのは,会期制の原則も二院制の原則も踏みにじる“数の横暴”そのものです。 国民の多くが,給油活動の再開も,与党による数の横暴も望んでいないことは,最近の世論調査の結果でも明らかです。NHKの世論調査では新テロ法案について,「今の国会にこだわらず」が50%を占めます。 新テロ法案が参議院で否決された場合の衆議院での再議決は「どちらかといえば適切でない」,「適切でない」があわせて47%です。JNNの世論調査でも,自衛隊の補給活動を「再開する必要がない」は50%で「再開すべき」の42%を上回りました。 国民世論の多数が給油再開を支持しないのは,給油がアメリカの「報復戦争」を支援するだけでテロ対策にならないのではないかとか,日本の給油がアフガニスタンなどでの罪もない市民の殺戮に使われているのではないかという,当然過ぎる疑問に政府が答えられないからです。 日本の給油がアメリカのイラク攻撃に転用されたのではないかとの重大な疑惑にも政府は答えていません。 とりわけ,アメリカがアフガニスタンでの「報復戦争」を始めてから6年以上たつのに,テロはなくなるどころか世界中に拡散しており,アフガニスタンでも状況を悪化させているという現実が,政府の説明の説得力を欠くことになっています。 いまや「報復戦争」ではテロはなくせないというのが世界の常識であり,やみくもに給油を再開し,アメリカを支援するというだけでは国民を納得させることはできません。 福田政権が国民の合意がなくても新テロ法案を成立させようと無理を重ねるのは,先月中旬の訪米でアメリカのブッシュ政権に約束した,給油再開の公約を果たすためです。 福田首相は訪米で「ハラを固めた」と説明する政府高官の証言もあります(「日経」12月7日付)。それこそ国民の意思よりアメリカのご機嫌を取り結ぶことを優先する卑屈な態度です。 もともと,軍事利権の解明を抜きに,自衛隊の給油再開を強行する資格など,政府にはありません。新テロ法案は廃案にし,「報復戦争」の支援はやめアフガニスタンの事態の平和解決にこそ貢献すべきです。 政治の方向を最終的に決定するのは主権者・国民の意思です。再議決の強行を許さないため,国民の反対の声を広げることが急がれます。
2007年12月17日
コメント(0)
自民党と公明党が2008年度の与党税制大綱をとりまとめました。 2009年度以降の税制「改革」で消費税を社会保障の主要な財源にすると謳っています。「社会保障」を口実にして消費税を増税しようという狙いです。 自民党・公明党連立与党は世論の反対が強い消費税増税にどう道筋をつけるかに腐心しました。自民税調の津島雄二会長は,増税に反対しにくい空気をつくるために,消費税を「社会保障税」と改名することまで打ち出しました。 「社会保障」を謳っても,看板を付け替えても,消費税の実態が変わるわけではありません。 消費税は一部の例外を除くすべての取引と消費にかかります。 庶民の目から見れば,消費税は,生計費には課税しないという税制の民主主義を踏みにじり,生活を悪化させる生活破壊税です。 生活に追われる低所得者は所得のほとんどを消費に回さざるを得ない一方で,余裕のある高額所得層は貯蓄を積み上げて金融資産とし,巨額の遺産を残します。 例えば,自民党の財政改革研究会の報告にあるように税率が10%に引き上げられたとすれば,200万円の所得をすべて生活費として消費する人の負担率は10%なのに,1億円の所得で5,000万円消費する人の負担率は5%にとどまります。 消費にかかる消費税は,所得の低い人ほど所得に対する負担が重くなる逆進性から逃れられません。 負担できる余裕の大きな人が,より多くの割合を負担する「応能負担」の原則は税制の民主主義の根幹です。最低生活費を除いた所得は,所得額が高い人ほど大きくなるため,同じ税率では高所得者ほど実質的な負担の重さが軽くなります。 応能負担の具体的な姿が所得税のような累進課税となっているのはこのためで,それと正反対に実質的な負担が低所得者ほど重い逆進性を持った消費税は,応能負担の原則をひっくりかえす不公平きわまりない税金です。 「構造改革」路線によって貧困と格差が広がり,いまや貯蓄のない世帯が20%を超えているのに,個人の金融資産は1,400兆円に上ります。この現実に照らして消費税増税は,これまでに増して低所得層ほど厳しい打撃を与えることになります。 消費税を税務署に納める義務を負っているのは事業者です。 ここにも力関係による甚だしい不公平があります。強い市場支配力を持つ大企業は消費税分をすべて価格に上乗せして自己負担をゼロにすることもできますが,弱い立場の中小企業は価格に転嫁することもできずに自腹を切っているのが実態です。 消費税増税は,経営難に苦しむ地域の中小企業の経営をいっそう悪化させ,大企業に比べて所得が低い中小企業労働者の生活を脅かします。 これほど「社会保障」の目的に相反する税制はありません。 一方で自民党・公明党連立与党が“心を砕いた”のは,自民党・公明党連立与党の中からも「金持ち優遇だ」と声が上がっている証券優遇税制をどう続けるか,大企業減税をどう拡充するかということです。 日本経団連が12月11日に発表した「優先政策事項」は,消費税増税と法人実効税率の引き下げ,証券優遇の永続化を要求しています。 恒例の「今年の漢字」は「偽」に決まりましたが,「庶民のため」を装って,財界言いなりに庶民増税をすすめる自民党・公明党連立与党のやり方は最悪の偽装,欺まんというほかありません。
2007年12月16日
コメント(0)
平穏にマンションのドアポストにビラを入れることが犯罪にあたる? 12月11日控訴審の判決があった東京・葛飾のマンションでのビラ配布事件で,東京高裁は一審の無罪判決を覆し,被告人の荒川庸生さんに罰金5万円の有罪判決を言い渡しました。 憲法の守り手であるべき裁判所が,憲法で保障された言論・表現の自由や政治活動の自由を乱暴に踏みにじる,まったく不当な態度だといわなければなりません。 事件とされたのは,多くの人が日常的に何の問題もなくおこなっているマンションへのビラ入れにすぎません。政治的ビラだけでなく,催し物の案内,営業の宣伝広告,公共機関のお知らせなど多種多様な宣伝物が,毎日何枚も各戸のポストに入れられているというのが市民の常識です。 マンションといっても,廊下や階段はふつうは閉鎖されているわけではなく,ビラ配布のほか,各戸を訪問する友人や子どもたちの交流,郵便物や運送物の配達,新聞の配達などなど,いわば公共道路のように使われている面があるのは,誰にも否定できない事実です。 荒川さんの場合,3年前の年末,いつもやっているように,日本共産党葛飾区議団発行の「葛飾区議会だより」や区民アンケートなどを,開放型マンションのドアポストに順次投かんした行為が罪に問われました。 住民の1人に見とがめられて,本人も知らない間に逮捕されたことになり,不当にも「住居侵入罪」という罪名をつけられ,起訴,裁判という経過をたどってきました。 それでも一審の東京地裁判決(昨年8月)は,ビラ配布の実態をつぶさに検討し,マンションへの立ち入りは正当な理由がある,違法かどうかは「社会通念」を基準にすべきで,現在の社会通念はそのようなビラ配布員の立ち入りを違法な行為とはみない,ということを詳細に論証し,無罪としました。 今回の東京高裁判決は,社会的なビラ配布の実態を総合的にみた地裁判決を口先だけで否定し,オートロックマンションではない,管理人も常駐していないなど部外者の立ち入りが事実上許されているという実態があるのに,立ち入りを禁じた理事会の決定が張り出されており,居住者の異議がないから管理組合の総意が存在すると強弁しているのです。 しかも,そのうえにたって,「たとえ思想を外部に発表するための手段であっても,その手段が他人の財産権等を不当に害することは許されない」などと述べています。 実際には居住者の「財産権」など侵されていないのに,憲法21条の言論・表現の自由の規定を無視し,それが「公共の福祉」などの理由で簡単に制限できるかのような,極めて不当な,転倒した立場にたって,地裁判決を破棄して有罪としたのです。 国民の権利や社会常識を無視した東京高裁判決を認めるわけにはいきません。 弁護団は直ちに上告の手続きをとりました。ビラ配布の正当な権利,言論・表現の自由は,このような判決によっても,変えることはできません。 葛飾マンションビラ配布事件の勝利のために引き続く闘いを支援するとともに,大分・豊後高田市での大石忠昭さんの公選法事件,東京での堀越・世田谷の2つの国公法事件の3事件と合わせ,ビラ配布の権利と選挙活動・政治活動にたいする異常な規制を打ち破る闘いを,全国に広げることが重要です。
2007年12月15日
コメント(0)

5,000万件にのぼる「宙に浮いた」年金記録のうち約40%にあたる1,975万件が「特定困難」になっていることが判明し大問題になっています。 ところが,政府側は「3月までに5,000万件のすべての行き先を確定するということまで説明したつもりはない」(町村信孝官房長官)などと述べ,公約違反ではない,と居直っています。 参議院選挙での発言からしてそんな言い逃れは通用しません。▲年金記録問題を報じる政府広報「あしたのニッポン」7月号▲参院選の自民党政策パンフ 「宙に浮いた」年金記録問題が大問題になった直後,安倍晋三首相(当時)は,来年3月までに,年金記録を突き合わせるという緊急対策を発表。「最後のお一人に至るまですべて記録をチェックする」(7月5日の記者会見)と断言。 参議院選挙では,自民党政策ビラなどで「来年3月までに,未確認の年金記録は確実に名寄せを完了させます」と公約しました。 さらに参議院選最中に「年金記録問題への対策」という特集を組んだ政府広報「あしたのニッポン」を大量配布。 「最後のお一人まで正しく年金をお支払いできるよう着実に対策を進めています」と大宣伝しました。 街頭演説で「最後の一人に至るまでチェックする」と絶叫して回ったのは安倍氏だけではありません。公明党の浜四津敏子代表代行も「1年以内にこの問題を解決する」(7月22日,大阪市)などと明言していました。公明新聞6月21日付でも,「必ずやります」,「1年以内に名寄せを完了」などと書いています。 参議院選挙で自民党・公明党連立与党が大敗した後も,政府・連立与党は公約として掲げ続けます。 安倍改造内閣発足直後の記者会見で,舛添要一厚生労働相は,「私も,各地で街頭演説をやるとき,最後の一人,最後の一円までがんばってやるということを公約として申し上げた」(8月28日)と表明。 記者から「公約に政治生命をかける意気込みか?」と問われると,「それは全力をあげて命がけでやらないといけない」と大見えをきったものでした。 それが「特定困難」になったことが判明したとたん,「解決するといったかな」(12月11日,福田康夫首相が記者団に),「3月が終われば,すべて年金問題がばら色の解決ができて,全部終わっているという誤解があったんだろう」(同12月11日,舛添厚労相)などという発言を連発しはじめる無責任ぶりです。 国民の老後のくらしにかかわる大問題をこれほど軽く扱う政府の姿勢に,「こんな開き直りは許せない」(「毎日」12月12日付社説)という厳しい批判が上がっています。参院選公約では■参議院選挙直前(7月5日)安倍晋三首相「最後のお一人に至るまで,すべて記録をチェックし,保険料をまじめに払っていただいた方々に正しく年金をお支払いしていく」,「1年以内に名寄せを行い,突き合わせをおこなう」(通常国会終了後の記者会見)■安倍改造内閣発足後(8月28日)舛添要一厚生労働相 「最後の一人,最後の1円まで頑張ってやるということを公約として申し上げました」,「まさに公約を果たしたい」それが一転 !! …福田康夫首相「解決するといったかな」(12月11日)町村信孝官房長官「選挙中ですから,ある程度こう,簡略化して物をいってしまっているところが確かにあった」(同12月11日)舛添厚生労働相「3月が終わればすべて年金問題がばら色の解決ができて,全部終わっているという誤解があったんだろう」(同12月11日)
2007年12月14日
コメント(0)

約5,000万件の「宙に浮いた年金」問題で,このうち約1,975万件(38.8%)はコンピューター上での照合作業で本人を特定するのが困難であることが12月11日,社会保険庁の推計でわかりました。 政府の対策が長期化するのは必至で,舛添要一厚労相は記者会見で「期限はエンドレス。できないこともある」と居直りました。 7月の参議院選挙前に,政府は「最後の一人,最後の一円まで年金を払う」と公約してきましたが,実現は難しくなり,政府の公約違反は明白です。 舛添厚労相は「来年3月が終わればすべて年金問題が,ばら色の解決ができて全部終わっているという誤解があったんだろう」などと述べました。 福田康夫首相は「解決するといったかな」と開き直りました。 社会保険庁の推計によると,該当者がすでに死亡しているなどの記録は約1,550万件。今週から実施しているコンピューター上の照合作業記録を統合できそうだとわかったのは,約1,100万件(21.6%)にとどまりました。 コンピューター上の照合作業で本人を特定するのが困難な約1,975万件のうち,死亡していると考えられる人の記録,漢字カナ変換が正しくされていない人の記録などを除いた「なお対応困難な記録」は約945万件にのぼります。 大変な公約違反であり,国民にたいする裏切りです。払うべき年金を払わなかったという,まさに国家的犯罪のなにものでもありません。 (政府は)『必ず最後の一人まで支払う』と,何度も約束をしてきた。これほど酷いことはいまだかつてなかったと思うくらいです。 また,年金記録問題は「安倍政権時代」におこった問題だが,福田康夫首相も,舛添要一厚労相も,『最後の一人まで』という答弁を繰り返してきた。現政権,そして現担当相の責任も追及されなければいけません。 この年金記録問題について,野党がかねてから主張してきたように,年金加入・受給者に,現在のありのままの年金記録をただちに送ることによって国民の協力をえて解決すべき問題です。そうでなければこの問題は決して解決できないことが明白になったともいえます。 そして,今回のコンピューター上の照合作業記録で,またまた無駄な税金投入した政府の責任を厳しく追及しなくてはいけない結末になってしまいました。 国民は長い間,老後の生活のために支払い続けた年金が政府のよって無駄に使われ,あげくにその記録すらなくなってしまった。政府が国民を騙し続けた自民党政治をしっかりと再度見直す必要がある時期だと思います。
2007年12月14日
コメント(0)
1937年の盧溝橋事件を機に,日本は中国大陸への全面的侵略に突き進みました。5ヶ月後の12月13日,日本軍は当時の中国の首都・南京に攻め入り,約4ヶ月にわたって,中国兵だけでなく,捕虜や一般住民を含めて大量虐殺をほしいままにしました。 この南京事件から70年,いまこの事件をどうとらえればいいのか,加害の実相をいっそう深くつかみ,そこから何を教訓とすればいいのかを考えます。 南京事件が日本の侵略戦争の象徴とされるのは,兵士だけでなく多くの人々を大量虐殺したことにあります。 捕虜,投降兵,敗残兵の虐殺は,日本も加盟していた戦時国際法に明確に違反したものでした。ハーグ陸戦条約(1899年採択,1907年改正)は,降伏の意思を示した兵士は捕虜にして収容しなければならないと取り決めています。 しかし日本軍による中国敗残兵狩りでは,数多くの一般難民や市民が巻き添えになりました。また強かんされた婦女は20,000人近くに及ぶとされます(南京安全区国際委員会記録)。 南京事件の実態は,国際的にも日本政府も含め多くの当事者が認めており,歴史的にも学問的にもすでに決着がついた問題です。 戦後の東京裁判は1948年,南京事件について「日本側が市を占領した2,3日の間に,少なくとも12,000人の非戦闘員である中国人男女子供が死亡した」,「最初の6週間に南京とその周辺で殺害された一般人と捕虜の総数は,20万人以上であったことが示されている」と認定。 南京事件の責任を問われて広田弘毅(事件当時の外相),松井石根(当時の支那方面軍司令官)が死刑になっています。 1946年から始まった中国での国防部戦犯裁判軍事法廷(南京軍事法廷)は,事件の直接当事者として谷寿夫元中将ら4人を死刑に処しました。 1951年に日本が調印したサンフランシスコ講和条約は,「日本国は,極東軍事裁判所ならびに日本国内および国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し」と明記しています。 今日,日本の外務省はホームページで「日本政府としては,日本軍の南京入城(1937年)後,多くの非戦闘員の殺害や略奪行為があったことは否定できないと考えています」と明確に認めています。 日本政府や企業を相手に中国人が起こした一連の戦争被害賠償裁判は,「中国人の請求権は放棄されている」などの不当な理由で上級審で敗訴になっていますが,裁判の事実認定では日本軍の非人道的行為を認めています。 1999年の東京地裁判決は,原告の被害を認めた上で,日本軍について「中国国民に弁解の余地がない帝国主義的,植民地主義的な侵略行為」だと断じています。 先月2日の東京地裁判決も記憶に新しいところです。南京事件の「ニセ被害者」呼ばわりされた夏淑琴さんが名誉を傷つけられたと本の著者と出版社を訴えた裁判で,原告勝利の判決がありました。 判決は「原告は南京事件の生存被害者として広く知られた人物である」と明確に認定。“ニセ被害者”宣伝がいかに歴史的事実に背くものかを示しました。 これだけの具体的事例がある南京事件を,「まぼろし」,「虚構」などとして否定する動きがあります。あの戦争は正しかったとする自民,民主の一部議員や研究者を名乗る論者ら,いわゆる「靖国」派勢力です。 「靖国」派の“期待の星”だった安倍首相が退陣した今でも,自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長=中山成彬元文科相)には「南京事件小委員会」があり,今年6月には「南京攻略戦争は通常の戦場」であり,大虐殺があったというのは「過去の日本人の名誉を貶める」ものだとする報告を出しています。 安倍「靖国」派政権が崩壊したように,侵略戦争を賛美し,歴史を歪める潮流は国際的にも国内的にも孤立を深めています。南京事件を否定しようとする勢力をいっそう孤立させ,歴史の真実をさらに広く明らかにしていくことがいま求められています。 南京事件の真実を明らかにしようという国際的連帯も広がっています。先月下旬の南京に続いて,南京事件の国際シンポジウムが今月15日,16日の両日,東京で開かれます。 南京事件と向き合うことは,日本人が日本軍の残虐行為を直視し,二度と繰り返さない決意を世界に発信することです。 日本政府はいまこそ真の反省に立って謝罪や補償に乗り出すときです。南京事件70年は,そのことを訴えかけています。
2007年12月13日
コメント(0)
偽装請負や日雇い派遣など派遣労働の違法・脱法行為が後を絶ちません。労働者派遣法のたび重なる「規制緩和」によって,事態は悪くなるばかりです。 「未来に希望を抱き,人間らしく働きたい」という派遣労働者の願いは切実です。その願いを実現すれば,社会と経済の発展をもたらします。 厚生労働省はいま,労働者派遣法の見直しの議論をしています。働く人の立場に立った抜本的な改正が緊急の課題となっています。 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律)は1985年7月に成立以来,連続して改悪されてきました。 最初は限定的で専門職に限られていた派遣労働の業種は,1985年の13から16(1986年),26(1996年)と次々に拡大され,1999年には「原則自由化」とされました。2004年3月からは,それまで禁止されてきた製造業にも広げられました。 財界・大企業の強い要求によるもので,大きな狙いは自由に調達・解雇できる労働力の確保であり,国際競争力の名で人件費を低く抑えることでした。 その結果,いまや非正規労働者が全労働者数の約1/3を占めるようになっています。若者にいたっては半数近くが非正規です。派遣期間(現行3年)を超えて働かせた場合は派遣先に直接雇用の義務があるにもかかわらず,積極的に指導しない厚生労働省の姿勢と相まって正規雇用は一向に増えていません。 登録型派遣である日雇い派遣は,特に深刻です。仕事がある日だけ携帯電話にメールが届き,指定された仕事先に行くという働かされ方で,極端な不安定雇用と低賃金のうえ,賃金のピンハネ,多重派遣などの違法行為が蔓延しています。 人間らしく働けるよう雇用のルールを確立することは,いまや国民共通の願いであり,労働者派遣法の抜本改正を求める声は党派を超えて強まっています。 先月末には,幅広い労働組合と与野党の国会議員が参加して「今こそ派遣法改正を実現しよう」と集会も開かれました。 派遣法改正で大事なことは,これまでの無原則な規制緩和路線ときっぱり決別し,雇用は直接・常時雇用を原則とし,派遣は臨時的・一時的な業務に限ることを明確にすることです。 そして派遣の形態は常用型を基本とし,登録型派遣は例外にし,日雇い派遣は直ちに禁止すべきです。また派遣期間を超えたり違法行為があったり場合は派遣先に直接・常用雇用を義務づけること,派遣元のマージン率の上限を規制することが重要です。 福田康夫首相は所信表明演説で「若者が明日への希望を持てる国づくりをめざす」と述べました。福田首相はその言葉に責任を持つべきです。 派遣労働者の雇用と権利,生活を保護する措置を直ちに拡充するよう,国民の草の根の運動と国会の力を結んで迫っていく必要があります。
2007年12月12日
コメント(0)
原爆症認定基準の見直しをすすめている厚生労働省の「原爆症認定の在り方に関する検討会」(座長・金沢一郎日本学術会議会長)は12月10日,丹羽太貫座長代理が検討会の議論のまとめ案を提示しました。 まとめ案は,「実態に合わない」と原爆症認定集団訴訟の各地裁判決で批判された現行の「審査の方針」を維持し,残留放射線や内部被ばくを線量に換算し,現行基準に加味するとしています。その結果を参考に,認定かどうかの個別判定をおこなうというものです。 原爆爆発直後の初期放射線量を推定する現行の放射線量評価システムを妥当性があるとし,この推定被ばく線量から求めた「原因確率」(病気の発症原因が原爆放射線である割合を確率で示すもの)を審査の指標として使うのは合理性があると追認しました。 「原因確率」で,現行の審査では病気が放射線に起因するとほとんど認められない10%以下の確率であっても,被爆後の急性症状については勘案するとしました。 これに対し,鎌田七男委員(広島原爆被爆者援護事業団理事長)は,「原因確率」によらない,見直し案を示しました。疾病の重さ,初期放射線と原爆投下後の入市時の被ばく線量,被爆から現在までの身体的・精神的・社会的障害度―の三要素から全体の障害度を算定するとしました。 被爆者や集団訴訟弁護団は会合後の記者会見で座長代理まとめ案について,「『審査の方針』を廃止する方向になっていない」と批判。「委員から原因確率を否定する意見もでており,『まとめ案』でまとめるべきではない」と語りました。 「原爆症認定の在り方に関する検討会」の座長代理のまとめ案は,司法の6度にわたる現行基準への批判や「被爆の実態にあった制度を」との被爆者の願いから離れた手直しにとどまっています。 残留放射線や内部被ばく,急性症状について考慮することを加えたものの,現行基準による初期放射線の被爆線量の推定と,これに基づく病気の発症確率の算出は妥当性があるとしました。 数字で被爆者を切り捨てる厚生労働省の基本姿勢を大枠で受け継ぐものです。これには委員から異論がでました。法学者の委員は「厚生労働大臣は司法審査(裁判)に服することだ」として,新たにつくる基準は司法審査と一致させる必要があると指摘していました。 日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)は,現行基準を廃止し,被爆の影響と考えられる病気は審査なしで原爆症と認めるという基準を提案しています。 同検討会は,今月中に議論を終え基準見直しを提言する予定です。被爆者の平均年齢は74歳を超えました。その救済には一刻の猶予もありません。被爆者援護法の精神にたって,国が原爆被害と真剣に向きあうことが求められています。
2007年12月11日
コメント(0)
新テロ特措法案をめぐるたたかいは,国会会期末を前に大きなヤマ場を迎えています。政府,自民・公明両党は,国会の再延長や衆議院での再可決を視野に入れつつ,法案を成立させ,インド洋での自衛隊の給油支援活動を再開しようとしています。 新テロ特措法案を廃案にするには,軍事利権の徹底糾明と新法反対の世論と運動を職場,地域から高めることが大切です。 「戦争でテロはなくならない」-アメリカが始めた「報復戦争」の6年間の「実績」とこれまでの国会論戦から,自衛隊の派遣になんの大義もないことは明らかです。 日本の給油支援は,アフガンの市民を殺傷する作戦にも使用されており,戦争支援そのものです。さらにイラク作戦に従事しているアメリカ艦船にも給油されているのです。 いまアフガンでカルザイ大統領も探求している,テロリストでないタリバンを含む話し合い解決の道「平和と和解のプロセス」にも逆行します。 日本国民の支持も得られず,日米両政府が固執してきたテロ特措法の「継続」ができなくなり,自衛艦部隊が引き揚げざるを得なくなったのは当然です。再びインド洋に派遣する理由は,ひとつもありません。 いま,新しい情勢のもとで,国民の運動が力強く前進しています。新テロ特措法案に反対する運動は草の根で広がりを見せています。新テロ特措法案反対の集会・宣伝・署名行動が全国各地で取り組まれています。 また新テロ特措法案反対の闘いとこだましあいながら,米軍基地再編・強化反対の運動も新たな高まりを見せています。キャンプ・シュワブ(沖縄県名護市)での「人間の鎖」行動,岩国の「怒りの一万人集会」,座間の「首都圏大集会」が続けて10,000人を超える規模で成功しました。 どの集会も,政府の卑劣な仕打ちへの怒りとともに,自治体首長や地元住民と各団体の共同の広がりが見られ,また全国的連帯が強調されていることが特徴のひとつです。 さらに,国民のくらしを破壊しながら巨額の日米軍事利権にむらがる政軍財の疑惑への批判と怒りが重なり,政府・防衛省を大きく包囲する動きが広がっています。 逮捕された守屋武昌前防衛事務次官は,自衛隊の海外派兵と米軍再編を推進してきた中心人物ですが,個人の問題に終わらせず,日米軍事利権疑惑の全容を解明することが不可欠です。 いま,巨額の軍事費にむらがる日米軍事利権の徹底糾明を求める声が,列島に満ちています。
2007年12月10日
コメント(0)

参加者180人で1,500万円の収入,支出はわずか130万円。 軍需商社「山田洋行」に,計220万円分のパーティー券を購入してもらっていた額賀福志郎財務相が防衛庁長官在職時に開いた資金集めパーティーの実態が明らかになりました。 大規模パーティーを禁じた「大臣規範」に抵触する恐れがあります。 額賀氏は,2005年10月31日から2006年9月26日まで,小泉内閣で防衛庁長官を務めています。この間,額賀氏の資金管理団体「福志政経懇話会」は,「額賀福志郎君と新しい時代を創造する会」と銘打った政治資金集めパーティーを4回,いずれも東京・港区の東京全日空ホテルで開催しています。 山田洋行によるパーティー券購入を認めた11月19日の参議院決算委員会で,額賀氏は,「大臣規範」があることは「承知している」としたうえで,「私がおこなっているのは,朝食勉強会で100人から120人くらい」で,「大規模なものではない」と胸をはりました。 確かに,福志政経懇話会が総務相に提出している政治資金収支報告書によると,収入が1,000万円以下のため,「対価の支払いをした者」の報告義務がなく,参加者数が不明の2006年9月のパーティーを除くと,“参加者”は,171人-237人と「小規模」です。(表参照) ところが,売り上げは,968万円-1,810万円で,4回あわせて5,710万円ものカネを集めています。 とても「小規模」とはいえません。パーティー券1枚20,000円として,参加者の4倍前後の券を売ったことになります。 野党議員が同委員会で追及したように,そもそも購入した人数分の参加を想定していない,形を変えた企業・団体献金というべきものです。 しかも,パーティー券などの印刷費や,会場費をあわせた「開催事業費」は,約100万円-約166万円,計500万円たらずで,収入の10%以下です。 一方,報告義務のある20万円超のパーティー券購入者は,4回とも日本医師会の政治団体「日本医師連盟」の40万円と,製薬企業でつくる製薬産業政治連盟の70万円だけです。 毎回,20万円分のパーティー券を購入していた山田洋行の名前もありません。 自衛隊の装備・弾薬・燃料などを受注している軍需産業大手に,過去5年間に額賀氏ふくむ主要防衛族議員のパーティー券購入の有無について,質問状を出してみました。 「質問状に記載のあった国会議員にかかわらず,パーティー券を購入している場合もあるが,購入内訳についてはご容赦を」(三菱重工業),「必要最低限のパーティー券を購入しているが,個々の議員の購入実績については回答を控える」(三菱電機)などという回答でした。 額賀氏は,山田洋行だけでなく,どういう軍需企業にパーティー券購入などの資金提供をしてもらっているのか,職務に関連して便宜を供与したことはないのか,などの説明責任があります。
2007年12月09日
コメント(0)
今から66年前の12月8日未明,日本軍は,東南アジアのマレー半島北端に位置するコタバルに上陸する一方,ハワイ・真珠湾のアメリカ海軍を爆撃し,太平洋戦争を開始しました。 310万人を超える日本国民の命を奪い,アジアで2,000万人を超える人々を犠牲にした日本の侵略戦争から何を学ぶのか,いまに問われています。「慰安婦」問題-国際的に広がる批判 太平洋戦争開戦で日本政府は,「南京大虐殺事件」に象徴される中国侵略戦争を継続するための資源獲得をもくろみ,アジア・太平洋地域に侵略の手を広げました。 予算編成上も「支那事変(日中全面戦争)と大東亜戦争(太平洋戦争)とは一体のもの」(1941年12月16日,貴族院予算委員会で賀屋興宣蔵相)でした。 侵略戦争をつきすすんだ日本は,ドイツ,イタリアとの間でファシズムと軍国主義の軍事同盟を結び,世界に巨大な惨禍をもたらしました。戦後,この反省のうえに「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやう」(憲法前文)決意したのでした。 ところが,戦後自民党政治は一貫して侵略戦争に無反省な態度をとりつづけ,とくに侵略戦争肯定の「靖国」派が中枢を占めた安倍前内閣では,歴史を逆行させる動きが表面化しました。 特に日本軍「慰安婦」問題では,安倍前首相自身が「強制性」を否定し,「軍や官憲による強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」(3月16日)という政府答弁書まで決定。 自民党,民主党の国会議員はアメリカ紙ワシントン・ポスト6月14日付に同様の全面広告を掲載し,アメリカ国内で大きな怒りを買いました。 こうした動きに対し,アメリカ下院が7月30日,「慰安婦」問題で証拠がないという日本政府に対して明確な謝罪を求める決議を全会一致で採択しました。 その後,オランダ下院が11月8日,日本政府に元「慰安婦」への謝罪と賠償を求める決議を全会一致で採択。 カナダ下院も11月28日に謝罪を求める動議を全会一致で採択しました。 国際社会からの批判はいっそう強まっています。 国際社会で連続して日本政府が断罪されているのは,侵略戦争への無反省ぶりが世界からみて異常だからです。 「戦後レジームからの脱却」など極端な復古的・反動的スローガンを掲げた安倍「靖国」派政権の崩壊は,歴史の改ざんを許さない内外の良識の成果といえます。教科書検定-問われる「負の遺産」 安倍政権下での歴史逆流の動きに,高校日本史の教科書から,沖縄戦で起きた「集団自決」への日本軍の強制が削られた問題があります。今年3月の教科書検定で,文部科学省が強行したものです。 その後の野党などの追及で,「軍の強制」削除が専門的な検討もなく,文科省ぐるみでおこなわれたことが明らかになりました。 「靖国」派は沖縄戦「集団自決」問題を,南京虐殺,日本軍「慰安婦」問題と並ぶ「自虐史観象徴の三点セット」と位置づけて教科書の書き換えを求めてきました。 教科書執筆者の一人である石山久男・歴史教育者協議会委員長は,その狙いについて「過去に日本の軍隊がやった残虐行為を隠し,軍隊や戦争を美化したい。そうしないと,憲法を変えて,国民が戦争に参加するようにならない。それに尽きる」と指摘します。 この検定問題は,沖縄県民の悲憤を呼び起こし,9月29日,検定意見撤回を求める県民大会には沖縄県内のすべての首長を含む11万人が参加しました。 戦場で「軍官民共生共死」を強いられ,手榴弾で「集団自決」を図り,死に切れなかった家族を手にかけるという悲痛な体験の記憶は,62年経ったいまも鮮明なのです。 ところが,文部科学省は検定意見の撤回を拒否し続けています。アジア外交で安倍内閣から一定の変化を見せる福田康夫首相ですが,歴史認識では曖昧なままです。 11月28日には,「靖国」派の中心である日本会議国会議員懇談会が総会を開き,「事実に反する『軍命令による沖縄住民に対する自決の強制』が教科書記述となることは許されない」とする決議をあげるなど,巻き返しを図っています。 アジアの平和に貢献するのか,それとも再び海外で戦争する国にするのか。安倍政権が残した「負の遺産」を克服し,歴史を歪める異常な潮流を日本の政治から一掃することは,引き続き重要な課題です。
2007年12月08日
コメント(0)
日米両国の在日米軍再編合意に盛り込まれている在沖縄米海兵隊のグアム移転計画で,日本側が全額負担するアメリカ軍家族住宅の建設費が極めて高額であることから,軍事利権をめぐる疑惑が強まっています。 グアム移転をめぐる日米の経費分担については昨年4月,額賀福志郎防衛庁長官とラムズフェルド国防長官(いずれも当時)との間で合意。 移転に必要とされるグアムのアメリカ軍家族住宅約3,500戸の建設費25.5億ドル(約2,800億円,1ドル=110円で計算)を日本側が全額負担することになりました。 一戸あたりの平均単価は,約73万ドル(約8,000万円)にものぼります。 一方,グアムでは現在,この移転計画とは別に,アメリカ側によるアメリカ軍家族住宅(204戸)の建設計画が進んでいます。 これの一戸あたりの平均単価について,石破茂防衛相は12月4日の参議院外交防衛委員会で,約44万ドル(約4,800万円)だとアメリカ側が説明していると答弁しました。 グアム移転のために日本側の負担で建設する家族住宅の方が一戸あたりおよそ1.7倍,約29万ドル(約3,200万円)も高いことが明らかになりました。 石破氏はまた,建設費総額25.5億ドルから「民活による効率化」が見込まれる4.2億ドルを除けば21.3億ドルであり,一戸あたりの平均単価は約61万ドル(約6,700万円)になるとも説明しました。 それでもアメリカ側が建設する住宅との差額は約17万ドル(約1,900万円)です。 石破氏も「そんな金(61万ドル)があれば大豪邸が建つはずだ」,「全部精査して,なぜこの価格になるのかについての情報公開をすべて行った上で,予算を審議いただく国会に納得がいただけるものでなければ,国民の税金を使うつもりはない」と答弁せざるをえませんでした。 在沖縄アメリカ海兵隊のグアム移転計画には日米の軍需企業多数が群がっています。 移転計画に伴うアメリカ軍家族住宅の建設費がなぜ異常に膨れ上がっているのか,徹底解明が求められます。
2007年12月07日
コメント(0)
経済開発協力機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)の結果が公表されました。対象は15歳で,日本は高校一年生が2006年にうけました。 PISAの調査は,学校で学習した知識量ではなく,知識をもとに思考力や自分で問題を見つけて解決する能力などを見るものです。 日本の順位の「低落」が言われますが,考えなければならないのは順位よりその中身です。 特に学ぶことへの意欲の低さが心配です。日本の生徒は科学に興味や楽しさを感じず,「科学を必要とする職業につきたい」と思う割合もたいへん低いのが特徴です。科学への関心は調査した57ヶ国中最低と評価されました。 今回の調査は「科学」が中心でした。日本の生徒は,さまざまな現象を科学的に説明したり,あるテーマについて科学的調査で答えがでるかどうかを考えるなど論理的な問題が苦手です。 また前回調査で増えた成績下位層の割合も大きな変化がありませんでした。 なぜ,学習への意欲が「ずば抜けて低い」(文部科学省)のでしょうか。何より,「高度に競争的」と国連から勧告されている教育制度の問題に目をむけないわけにはいきません。 高校受験のため,学習が知識のつめこみになり,ひとつの「正答」を知ればいいという風潮が顕著です。たとえばテストのため顕微鏡の各部分の名前を暗記,国語は問題文を読まずに設問から正しそうなものを選択する。入試体制がうみだす風景です。 調査でも「生徒が実験室で実験をおこなう」,「先生は習った考え方が多くの異なる現象に応用できることを教えてくれる」と答えた割合は平均の半分でした。「生徒は課題の話し合いをする」はOECD平均42%に対し日本は9%にすぎません。 政府や地方行政が学習指導要領などにより教員の教育活動を統制していることも問題です。今回浮き彫りになった意欲や関心にしても,文部科学省は「関心・意欲・態度」の点数化を教員に強制してきました。 その結果,関心などのチェックに忙しく肝心の授業がおろそかになると教員から悲鳴が上がりました。これで生徒の関心が育つはずがありません。 学ぶことは繊細な精神的営みであり,教育には自由が欠かせません。統制をもちこめば,教える側,学ぶ側の双方の意欲を損ない,結局は失敗することを政府は知るべきです。 また教育条件も「40人学級」などでは丁寧に教えるには困難です。さらに本格的には,子どもから進学や将来の夢をうばう格差社会の影響など広い視野の検討が必要です。 文部科学省は「全国学力テスト」などの競争と詰め込みを強めるなど従来の方針の踏襲を表明しています。財務省は「教員の数が多すぎる」と人員削減すら求めています。 しかし目を世界に転じれば,こうした日本の方向に未来がないことは明らかです。 PISA調査で3回連続1位となったフィンランドは,大胆な教育改革をおこなっています。習熟度別学級の廃止など競争教育が大きく見直されました。学習指導要領の簡素化など教員の自由を保障し,教科書も教員が自由に選べます。 「20人学級」にして,学習が遅れている子どもへは特別な体制をとり「一人も落ちこぼさない」が貫かれています。政府はひろく世界にも目をむけ,憲法にもとづいて,教育政策をおおもとから改めるべきです。
2007年12月06日
コメント(0)
母子家庭の命綱・児童扶養手当の削減をめぐる新たな動きがすすんでいます。 政府は2002年の法改悪で,児童扶養手当の支給開始から5年を超えたら最大半額の削減を来年4月から実施すると決め,準備をすすめていました。しかし,「中止」をもとめる国民の声と運動の高まりのなか,自民党・公明党連立与党は一部見直しを打ち出さざるを得ませんでした。 いま必要なのは一時の「凍結」ではなく,削減そのものを撤回させることです。 与党合意は,本人や子ども等の障害や病気などで仕事につけない事情がないのに「就業意欲がみられない者」には,支給額を半額にするというものです。ほぼすべての人が継続して受給できるといっています。 しかし,「就業意欲」を支給額の基準にすることに,母子家庭の母親たちから不安の声があがっています。生活保護をめぐって,病弱でも就労ができるとして辞退届の提出を強要され餓死した例まで生まれています。 曖昧で意図的な対応が可能な基準であり,不安は当然です。 現在,与党合意をうけ,厚生労働省で「就業意欲がある」と判断する方法などの検討がすすめられています。ハローワークや訓練所,自立支援センターなどの証明書添付などを義務づける方向だとされています。 母子家庭の母親のなかには,「子どもの世話をしてくれる人がいない」ために就労していない人,「年齢的」,「時間的」に「条件のあう仕事がない」人もいます(厚生労働省「全国母子世帯等調査」)。 もともと児童扶養手当には所得制限があり,低所得者に支給されているものです。そのうえ,こういう条件にある人たちが,時間も交通費もかけて,ハローワークなどに行かなければ,「就業意欲なし」となるのでしょうか。 日本の母子家庭の母親は80%以上が働いています。しかも臨時・パートなど非正規で働く母親が増加し,2ヶ所以上,深夜も働く母親も少なくありません。 年収は,児童扶養手当や生活保護費をいれても平均213万円,一般世帯の収入の38%です。先進諸国のなかでも,とくに低い水準におかれています。 自民党・公明党連立政府はこれまでも,児童扶養手当の削減をすすめてきました。2002年には所得制限の引き下げによって33万人が支給額の減額をされています。児童扶養手当が「就労の妨げ」になっており,「自立」を促進することが必要だということでした。 ところが自民党・公明党連立与党も認めるように「就業支援」は前進していません。 現状を考えても,母子家庭の命綱・児童扶養手当を削減すべきではありません。OECD(経済協力開発機構)も,貧困状態にある日本の母子家庭にもっと公的支出を重点配分すべきという勧告をしています。 2002年の法改悪のときには,自民党,公明党,民主党などが賛成してきましたが,憲法二五条で保障された国民の生存権を侵害しており,児童扶養手当削減はきっぱりと中止をすべきです。 今回,対象者全員,最大で半額削減した場合の金額は160億円程度で,アメリカの思いやり予算2,326億円(2006年)のわずか1/15です。アメリカではなく,国民への思いやりこそがなにより求められます。
2007年12月05日
コメント(0)
ベネズエラで12月2日,チャベス大統領が「二十一世紀の社会主義」への前進を掲げて提案した憲法改正案の賛否を問う国民投票が実施され,中間集計で反対票が小差で過半数を占めました。 開票が進んでも賛否の逆転はないとされ,チャベス大統領は改憲案否決の結果を受け入れると語りました。 全国選挙評議会の12月3日未明の発表によれば,開票率88%の段階で,反対は50.70%,賛成49.29%。投票率は約56%でした。賛否の票差は実数で12万票とみられます。 チャベス大統領は敗北を認めた会見で,過去に選挙不正などが繰りかえされたことに触れながら,自分たちが結果を受け入れたことに示される今日の同国の「民主主義の前進」を強調しました。 大統領は,投票や集計活動にたずさわった関係者や賛成票を投じた支持者だけでなく,反対票を投じた人にも明確に意思を示してくれたとして謝意を表明しました。同時に,「49%の人が社会主義に投票したのは政治的躍進だ」と述べ,現行憲法の枠内で社会主義をめざすたたかいを続けると強調。 今回の提案は生きており,いっそう深めていくと述べました。 ベネズエラの国民投票では,反対派が,改正案に「社会主義」の文言があることを取りあげて,「破綻したキューバ型国家にされる」,「所有権が奪われる」と攻撃を加えて,国民の不安を煽りました。 アメリカからの資金援助を得て政府批判を続けている市民団体「スマテ」は,「家も車も商店も取られる」という内容の各種ビラを配布。民放テレビ局グロボビジョンも「キューバ型への投票」と改革の内容をねじ曲げる宣伝を連日流しました。 カトリック教会の大司教は11月19日,「社会主義者でないものはベネズエラ国民でなくなり,迫害される」と語り,恐怖心を煽りました。 国際的にも,ホワイトハウス報道官が投票が公正に実施されるかどうかに懸念を表明したほか,アメリカ共和党議員からは「ベネズエラでの自由の終焉を許すな」などの干渉的発言が相次ぎました。 スペインのアスナール右派政権下で内相を務めたマヨール・オレハ氏は11月16日,ベネズエラ紙で,反対票を投じるよう公然と呼びかけました。 政府と賛成派は,憲法改正を解説した小冊子を活用して反撃。国民の私的所有権や市民的自由は引き続き保障されると説明。改正の目的は,国の富のより公正な配分にあり,「国民が人間として必要とする要求にこたえる社会を描く」ことだと訴えました。 今回の国民投票はベネズエラの国民投票でしたが,日本国民もどういう社会が自分たちの望む社会・国家なのか十分な議論を必要です。日本の場合,国民的議論というよりマスメディアによって作られた(操作)議論に過ぎないのが現状です。 国民ひとりひとりが考え,学ぶことなしに,憲法改正を議論することは,ベネズエラの反対派勢力のように,事実を歪められたまま選挙をすることになり,取り返しのつかない事態を招きかねません。 憲法は国家の基本方針となる憲法です。日本における憲法改正を推し進めようとしている人たちが何を考えてそうしているのか,よく考える必要があります。
2007年12月04日
コメント(0)
経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)が,来年度の「予算編成の基本方針」を取りまとめました。 「基本方針」は,社会保障の削減路線や消費税増税の方針を掲げた小泉・安倍両内閣の「骨太方針」を「堅持」すると明記しています。 経済財政諮問会議をてこに強引に進められた社会保障の削減路線は,国民のくらしの破たんをますます深刻にしています。一方で大企業・大資産家に減税の大サービスをしながら,社会保障の支えを必要とする多くの国民を医療や介護,生活保護などの制度から排除してきました。 世論の厳しい批判に対して,福田内閣は高齢者医療の負担増や児童扶養手当の削減などを見直す姿勢を示しています。しかし,その中身は,負担増の一時的・部分的な先送りや,いずれ“解凍”する「凍結」措置にとどまっています。 加えて厚労省が,低所得層の消費支出が減っていることを理由に,生活保護のうち日常生活費に当たる生活扶助費を引き下げようとしています。2006年版「骨太方針」が社会保障削減の具体策として,「生活扶助基準について,低所得世帯の消費実態等を踏まえた見直しを行う」と掲げていることを受けた方針です。 国税庁の民間賃金の調査によると年収200万円以下の人が1,000万人を突破しています。いくら働いても生活保護の水準を下回る生活しかできない多くの若者たち,母子家庭,高齢者ら,「ワーキングプア」が深刻な社会問題になっています。 「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障した憲法二五条のじゅうりんにほかなりません。貧困を生む政治を改め,人間らしい雇用と生活を取り戻すことは緊急の課題です。 問題は,低所得世帯が生活保護を下回るような貧困に苦しめられていることにあります。それにもかかわらず厚労省は,貧困世帯に合わせて生活保護費の方を引き下げるというのです。とても血が通っているとは思えない冷酷で乱暴な政治です。 国民の生存権を脅かすやり方の根っこにあるのが,小泉内閣以来の社会保障の削減路線です。必要な社会保障予算を2002年度に3,000億円減らしたのを皮切りに,その後も毎年2,200億円ずつ減らしてきました。 2006年版「骨太方針」は,さらに2007年度から5年続けて毎年,2,200億円ずつ削る計画を盛り込んでいます。 この路線を転換しない限り,福田首相のキャッチフレーズであり,「予算編成の基本方針」にも掲げている「安心して暮らせる社会」は,看板倒れにならざるを得ません。 社会保障の削減を続けながら,政府の審議会や自民党の研究会が,いっせいに消費税増税を打ち出していることは重大です。 「基本方針」は,「無駄や非効率を放置したままでは国民に負担増を求めることはできない」としています。日本の社会保障給付(国内総生産比)はイギリスの3/4,ドイツ,フランスの2/3以下であり,社会保障は「無駄や非効率」ではなく貧弱すぎるのが実態です。 軍需産業との癒着で大幅に水増しされた軍事費にはまったくメスを入れず,大臣らは口をぬぐったままです。無駄な道路をつくり続ける道路特定財源を温存し,大企業・大資産家への大減税を続けるなど「無駄と非効率」があふれかえっています。 福田内閣と自民党,公明党には,「国民に負担増を求める」資格のかけらもないことは明らかです。
2007年12月03日
コメント(0)
日本が中心になって国連に提出した「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」決議が,10月末の国連総会第一委員会で賛成165,反対3(アメリカ,インド,北朝鮮),棄権10(中国,フランスなど)で採択されました。 今月初旬予定の本会議で表決に付されます。 決議は昨年とほぼ同じで,「全面的廃絶」を謳ってはいるものの,全面禁止条約も条約作成のための交渉など実効的措置がないことに変わりありません。これで核兵器廃絶のための実効性があるのかと疑問の声がでているのは当たり前です。 唯一の被爆国である日本政府の基本姿勢が問われています。 政府が48ヶ国と共同で提出した今回の決議は,核兵器保有国に核兵器廃絶を要求していません。 核兵器保有国に「核兵器廃絶の明確な約束」を義務付けた2000年の核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議の最終文書を「想起する」としながら,核兵器保有国に約束を履行し,核兵器廃絶にふみだせといわないのは重大な後退です。 日本の決議が全面廃絶のための実効的措置を求めず,廃絶一般で済ますのは,強まっている全面禁止条約作成交渉を求める流れを押しとどめる狙いがあることは否定できません。 それは,マレーシアなど28ヶ国が提出した全面禁止条約の早期締約に向けた交渉の開始を求める「国際司法裁判所の勧告的意見の後追い」決議や非同盟諸国が提出した核兵器の開発,製造,貯蔵の即時停止を求める「核軍縮」決議に,日本が棄権したことでも明らかです。 しかも政府は,マレーシア案にたいする投票理由のなかで,全面的禁止条約の早期締結につながる多国間交渉の開始を「求める」のは「時期尚早」と述べ,交渉開始それ自体に反対しました。これでは廃絶への道筋がみえません。 「全面的廃絶」を口にしながら,実際には,全面禁止条約の作成を押しとどめる役割を果たしているとしかいいようがありません。一日も早く核兵器をなくしたいという国民の願いを裏切るようなことを政府はすべきではありません。 政府が廃絶の実効性がない決議をだすのは,アメリカの核兵器政策に従属しているからといわれても仕方がありません。 今年7月,アメリカのエネルギー長官,国防長官,国務長官が連名でアメリカ議会に提出した文書は,「核兵器は予見できる将来にわたって必要であり続ける」と明記しています。 日本国民をはじめ世界の「核兵器をなくせ」の願いに背を向けた核態勢の恒久化の表明にほかなりません。 アメリカの核態勢強化路線の恐ろしさは,アメリカ科学者連盟が最近公表したアメリカ政府の核戦略資料が,イラク,イラン,北朝鮮,シリア,リビアなど比較的小さな国にまで攻撃対象を広げていることでもあきらかです。 アメリカの核態勢に反対することが緊急の課題です。政府は曖昧な決議に固執せず,アメリカに核兵器廃絶を要求し,核兵器全面禁止条約の作成とそのための交渉を開始する方針に大きく転換すべきです。 日本は唯一の被爆国であり,政府が世界の核兵器廃絶運動の先頭にたつのは当然です。形だけにせず,実質が問われています。 核兵器廃絶を中心にすえた外交を進めてこそ日本への国際的信頼を広げ,新たな核兵器保有国づくりの動きを阻止するための日本の主導権にもつながります。
2007年12月02日
コメント(0)
県内でお産ができない,妊婦の救急搬送先が見つからず10回も断られた,産科医療の危機や小児科廃止など地域医療の崩壊が各地で重大問題となっています。医師,看護師不足の下で患者が「医療難民」となっている事態は一刻も放置できません。 これは「構造改革」の名ですすめられた公的医療費抑制の結果です。2年に一度の診療報酬改定の論議が始まっていますが,医療危機打開の重要な転機にする必要があります。 診療報酬は公的医療保険から患者への診療の対価として医療機関に支払われるもので,これによって医療の内容と質,価格が決まります。 医療機関の経営にも,患者が受ける医療にも直接に影響し,事実上,日本の医療費の総枠(2004年度の国民医療費は32兆円)を決定する意味をもっています。 たとえば,前回2006年度の診療報酬改定では,マイナス3.16%の改定となり,医療費で1兆円が削られることになりました。 その結果,療養病床の削減と患者の追い出しやリハビリ打ち切り,手術料,入院料の減収をもたらしました。そして全国で,大学・国公立病院から地域医療を担う中小病院に至るまで,不採算や体制縮小,廃院を余儀なくされる深刻な事態を広げました。 報酬を抑えられている歯科医療では「歯科医師の年収300万円」時代などといわれるありさまです。 国民のいのちと健康をまもり,安全な医療を提供するためには,ここで思い切って医療費の総枠を拡大することが不可欠です。 医療改悪の際に自民党・公明党政権は,高齢化で医療費がかさむと大宣伝しました。しかし国内総生産に占める医療費の割合は,わが国はカナダ,フランス,ドイツの10%より2%も低く,経済規模からすると10兆円程度も医療費が少ないのです。 この上,医療費抑制を続け,勤務医の診療報酬引き上げは開業医の初再診料を引き下げて賄うというのでは,矛盾と「崩壊」を拡散するだけです。 舛添要一厚労相でさえ医療費抑制では「とてもではないが地域の医療ニーズに対応できない」(経済財政諮問会議)と述べている通りです。削減の標的にされている「後期高齢者の診療報酬」でも,「うば捨て山」同然の差別医療を押し付けるようなことは絶対に許されません。 見過ごせないのは診療報酬引き下げを主張する財界が,公的医療保険の範囲の縮小と株式会社による医療サービス解禁を要求し,薬代などの保険はずし=自己負担化を求めていることです。また「混合診療解禁」といって自由診療拡大を強調していることです。 財界がこんな要求をするのは,自らの税・社会保険料の負担を免れるためであり,もっぱら患者負担の増大により医療を儲けの場に変えようとしているからです。 これが財政制度等審議会の意見書や,規制改革会議の答申に色濃く表れています。本末転倒というほかありません。 公的医療費の総枠を確保すること,そのための診療報酬引き上げがいまこそ求められています。あわせて「新薬」などの高薬価や高額医療機器など,医療費のムダにメスを入れるのは当然です。 受診抑制を生んでいる重い患者負担を軽減し,歯科でも医科でも保険適用の診療を拡大して,患者が安心してかかれる保険制度に改善すべきです。
2007年12月01日
コメント(0)
全36件 (36件中 1-36件目)
1