窓辺でお茶を

窓辺でお茶を

August 6, 2008
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 今日は広島の原爆忌です。黙祷。

 柳澤桂子著「いのちと放射能」(ちくま文庫)を読みました。
柳澤さんは、学者として原子量の人体におよぼす影響を良く知っていたのに、原子力発電のおそろしさについては無知だったと、慄然として、これからでも遅くないと信じてこの本を著したのだそうです。最初に出版されたのは昭和63年、文庫版は2007年です。

 宇宙の始まり、星の誕生、十億年後の最初の命の誕生…地球ができてからの45億年を一週間に縮めると、人間の歴史はたった3分間の歴史しか持っていません。
私たちが息をして、食べ物を消化してそのエネルギーを使って動けるのはDNAにその方法が書かれているからです。

 私たちの身体は60兆個の細胞でできていて、ひとつの細胞にあるDNAはのばしてみると1メートルになるのだそうです。46本にきれてらせん状に巻かれ、そのらせんがさらにらせん状に巻かれて染色体になっています。

 私たちのひとつの細胞にあるDNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の分子が繰り返し連し30億個連なってできています。
ひとつのタンパク質は数百から千のアミノ酸からなっていますが、アミノ酸の並び順を決めているのがDNAです。アミノ酸の並び順が細胞の中の化学反応を制御しています。
DNAは卵や精子を通して子孫に伝えられます。



 短時間に6シーベルトの放射能を浴びると人は死んでしまいますが、0、25シーベルト以下で目に見える変化がなくても身体のなかで有害な変化が起きています。放射能によってDNAに起きた間違いはそのままコピーされて行きます。さかんに分裂している細胞ほど放射能に弱いということなので、子どもの方が影響を受けやすく、おとなでも、骨髄、胃や腸の内壁、精子を作る細胞、髪の毛の根元などさかんに増える細胞が影響を受けやすいそうです。
ガン、鎌形赤血球貧血症、奇形児の原因になります。

 自然界にも放射能が年間0,0005シーベルトほどありますが、このような数字でも、一部のガンの原因になっていると考えられているそうです。ある程度DNAの傷を治す能力が備わっていても、高濃度の人工的な放射線には間に合いません。
放射能の本当の恐ろしさは、突然変異の蓄積にあるということです。子々孫々伝えられて行くのです。

 ひとりが1年間使う電気を原子力発電で生産するため出る放射能のごみを、まあまあ安全といえるところまで水で薄めようとすると、100万トンの水が必要になります。1000年たっても1000トン、100万年たっても10トン。

 私たちは何を本当に必要としているのか、そんなに電気を使う必要があるのか、何が人の世に大切なのかを考え直すべきと、柳澤さんは提言しています。

 2007年文庫版のあとがきによると、志賀原発の制御棒事故があきらかにされてから明らかになった事故、不正(公表されなかったなど)は、日本中で89件もあるそうです。東電では事故隠しは一切しないと誓ったあと隠していました。

 原発では公衆の被爆は年間0、05ミリシーベルト以下と決められているのに、六ヶ所村では、「合理的な達成できるかぎり低い」としか決められていないのだそうです。そして、六ヶ所村の再処理施設が大気に放出するクリプト185は、自然状態の5万倍、海洋へも年間3億3000万ミリシーベルト(4万7千人分の傾向摂取致死量)垂れ流されます。

 高速増殖炉もんじゅは6千億円かけて建設され、冷却ナトリウムの維持などのために年間百億円かかっているそうです。


参考
原子力は地球温暖化に貢献しない














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最終更新日  August 7, 2008 10:51:39 PM
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