都市封鎖令に違反すれば罰金を取られるし、禁錮もされる。
フィリピンではドゥテルテ大統領が、移動制限など政府の政策に抗議した場合、射殺を含めた強硬措置をとる意向を表明し、実際に射殺された違反者もいた。
各国必死に感染拡大を防ぐ方策を苦心する中、はっきり『都市封鎖をしない政策』をとった国もあった。
特筆すべきはスウェーデンとブラジルだ。
両国は同じ反都市封鎖策をとったが、主旨がちょっと違う。
ブラジルは国民の不安を無視して、経済対策を主眼において『都市封鎖』を拒否した。
(他にもアフリカのタンザニアの大統領も「神に祈れ、経済を回せ」と都市封鎖を拒否している。)
今回はスウェーデンについて述べる。
スウェーデンは北欧のバルト半島に位置し、人口約1000万人、GDP・5560億ドル(世界23位)で、よく東京都(人口1300万人、DNP約1兆ドル)と比べられる。
思いつく有名人は、ABBA、ビヨン・ボルグ、ドルフ・ラングレン、イングリッド・バーグマン・・・。
僕らの年代の若いころは、フリーSEXの国として、わけもわからずスウェーデンに憧れていた。
第1次・第2次大戦では中立を守り、国王のいる立憲君主制であり超福祉国家であり、ノーベル財団も運営するという、なにやら常に正しい国というイメージだ。
僕の印象は、「スウェーデンはいつも正しい」
そのスウェーデンが、先進国には珍しく『都市封鎖』をしなかった。
それも、ブラジルやタンザニアの変わった大統領の強権によるものではなく、国民が納得した上の政策として。
しかもその理由が、経済重視のためではなく、『集団免疫』を獲得する目的だったのだ。
『集団免疫』とは多くの人がワクチン接種や自然感染によって免疫を付けることでウイルスを封じ込め、新たな感染を防ぐ考え方。
集団の多くが感染すれば、感染者の体内につくられた抗体や細胞性免疫が病原体を抑え込むため、感染が広がりにくくなる。
ただし、免疫が広く獲得されるまでに多くの重篤な患者が出て、医療崩壊や社会機能のまひを招きかねない。
もちろんスウェーデンもそこは理解していて、万全の策を持って迎え撃つ態勢であった。
にもかかわらず・・・。
スウェーデンの新型コロナ対策の指揮を執ったのは、スウェーデン公衆衛生局に勤務するアンデシュ・テグネル氏だ。
テグネル氏は、WHOでエボラ出血熱や、炭疽症、天然痘などの感染症の対策の活動をしていた、公衆衛生の専門家だ。
スウェーデンは法的な罰則を伴う『都市封鎖』を実施しないどころか、店舗の休業や学校の休校、外出禁止も行わない。
それは国民を信頼し、行動制約を最小限にとどめ、国民の理性的な行動に新型コロナウイルス感染症への対応を委ねているからである。
ところが、「いつもと変わりなく人生が流れている」というスウェーデンの対応は、世界中から激しい罵詈雑言の集中砲火を浴びた。
「スウェーデンは他の惑星にあるのか。国民に簡単な指示を与えるだけで新型コロナウイルス感染症を撲滅できると信じている!」などの表現を使って、ヨーロッパの主要メディアが困惑や驚きよりも軽蔑と怒りを爆発させていると伝えられる。
しかし、都市封鎖否定論者には希望の国であった。
僕も「薄ーく罹って、いつの間にか免疫が付いているのが一番いい」という考え方だったので、スウェーデンの挑戦を支持している。
世界が同じ問題に対し、同じ対策の手法を取ったら、それが正しかったかどうかが検証できない。
初めてのことには、いろいろな試みがあってよい。
スウェーデンの勇気に対し、エールを贈って見守っていた。
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