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龍の森さんComments
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あの名作ミュージカル『エリザベート』を観劇してきました。
いつもの帝国劇場は改修工事中。今回は渋谷の東急シアターオーヴでの上演です。
開演前から渋谷は“熱狂”の渦
開演の1時間前に到着したにもかかわらず、すでに劇場前は大勢の人・人・人。
なんでも、当日出演者のキャスト写真を撮るためだけに集まった人たちも多いのだとか。
チケットを持っていないファンまでがカメラを構え、まるでコンサート会場のような熱気。
劇場ロビーでは、ポスター前で記念撮影をする人たちの長い列。
プログラム販売コーナーにも行列ができ、スタッフの声が響く。
幕が上がる前から、あたりはワクワクとソワソワで満ちていました。
まさに「日本一チケットが取れないミュージカル」の名にふさわしい光景です。
実はこのチケット、井上芳雄ファンクラブに入っている顧問先の奥様が取ってくれたものです。
抽選の難易度を考えると、まさに“奇跡の一枚”でした。
感謝の気持ちを胸に、席に着いた瞬間、心の中でつぶやきました。
「行くぜ ルキーニ 頼むよ、ルキーニ。案内を始めてくれ。」
物語は1853年から──日本ではペリー来航の頃
舞台はオーストリア帝国、1853年。
日本ではペリーが来航した年にあたりますね。
ヨーロッパの華やかさと、時代のうねり。
その中で生きた“美しき皇后エリザベート”の波乱の人生が幕を開けます。
豪華キャスト、輝く個性
エリザベート役は元宝塚トップスター・明日海りおさんです。
今回、このエリザベートカンパニーへの初参加とは思えないほどの存在感。
透明感の中に、皇后としての気高さと孤独を感じさせる見事な演技でした。
トート(死の帝王)は井上芳雄。
年を重ね、ますます円熟味を増した歌声と演技で、観客を完全に支配。
彼が微笑むだけで、会場全体の空気が変わる――そんな圧を感じます。
そしてゾフィー役には涼風真世。
母としての威厳と執念、その一言一言が鋭く、深く突き刺さります。
まさに“凄みを増した”という表現がぴったりでした。
カーテンコールが終わっても、なかなか拍手は止まらない。
劇場を出る人々の顔には、まだ物語の余韻が残っているようでした。
エレベーターの前には長い列が。
その列に並びながら、気づけば私はうっかり「闇が広がる」をハミングしていた。
まるでまだ、舞台の中にいるような気分が抜けません。
渋谷の雑踏の中でも、耳の奥にはあのメロディが残っていました。
安西節雄