達人のひとりごと(JKLab)
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またまた、しばらく「積ん読」状態が続いていた。8月号から10月号までのMJ誌をまとめ読みしてみた。 何と言っても興味深いのは、8-9月号に連載された金田明彦氏の電流入力300Bシングルアンプである。基本回路は極めてシンプルだが、高性能を目指したものである。ただ、電圧積み上げ方式のため供給電圧が800Vと高く、少し大げさな感じがある。初段にもなんと800Vかけられていて、真空管を保護するためにB電圧に遅延がかけられている。特性を見ると、まさに300Bの生の歪みが出ている感じである。18Wという出力は多い方だろう。ダンピングファクターの値が報告されていないのだが、300Bであるから無帰還でも問題ない値ではないかと思われる。 9月号の特集は5万円台で楽しむ真空管のオ-ディオアンプ、10月号の特集はハイパワー真空管アンプの作成であった。こういう企画ものはなかなか楽しい。9月号では1人だけプッシュプルアンプを持ってきた岩村氏のアンプのバランスが良さそうであった。他の2台も変わり種で、普通のシングルアンプが1台あっても良かったのではないだろうか。 10月号のハイパワーアンプでは、各作者の苦心の跡が見えた。佐藤氏のEL34プッシュプルは橋本トランスを用いて高性能だが、周波数特性を100kHzまでしか測っていないので、ちょっと安定性が心配だ。8Ω負荷でも10kHzの方形波にリンギングが乗っている。面白いのは容量負荷とするとかえって安定になることだ。前段をSRPPにしなければならない理由はよくわからない。岩村氏のKT120プッシュプルは、無難な回路であるだけに完成度が高い。ただ、かなり強烈な積分補正をかけているようだ。ノグチの出力トランスは使い方が難しいのかも知れない。それにしても、せっかくKT120を採用したのなら、もう少し高電圧をかけてさらにハイパワーを狙って欲しかったところだ。征矢氏の36LW6プッシュプルは氏独特の4DC出力段を用いた複雑な構成のアンプで、これもノグチの出力トランスを使っている。無帰還でも比較的高性能だが、歪み10%はちょっと多いのではないか。長島氏の6JA5プッシュプルは出力トランスがオーディオ用としては使い物にならないという感じであった。総じて力作が多く、出力トランスの重要性が痛感される特集であったと思う。
2014.09.21
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