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ここ数日の間に何度か雨が降り、その度に木々の葉が落ちて、我が家の庭もかなり冬の様相を呈してきた。植物ネタも兪々乏しくなりつつあるが、まだ花を着けた雑草が1本だけある。道路に面した外庭に生えているイヌホオズキの1種である。 北向きの夕日しか当たらない場所に育っているせいか、徒長気味でおよそ頼りない代物である。茎は細く、自分で立っていられない。サツキの上を這う様に拡がっており、そのサツキの縁を越えた部分は垂れ下がっている。葉は小さく薄くペラペラ、イヌホオズキの仲間は茎が黒ずむことがあるが、茎は緑色で黒化した部分は見られない。果実は熟すと紫を帯びた黒色となり、直径は約6mm、多くは一つの果穂に2~3個の果実が着いている。 一見してアメリカイヌホオズキと思われるが、このイヌホオズキの仲間、先日のタネツケバナと同じく、類似種が色々あって紛らわしい。キチンと種類を見極めなければならない。アメリカイヌホオズキ.サツキの上を這っている茎も葉もイヌホオズキより細く薄く頼りない(2008/11/29) どんな類似種があるかというと、只のイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ、カンザシイヌホオズキ、オオイヌホオズキ、ムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキ、ケイヌホオズキ等がある。 多くは帰化種であるが、イヌホオズキやテリミノイヌホオズキなどは史前帰化種、或いは、在来種の可能性もあるらしい。今は花は殆ど無く実ばかり(2008/11/29) この内、ムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキについては情報不足で、どの様な形態的特徴を持つのか良く分からない。しかし、ムラサキ(以下「イヌホオズキ」を略すこともある)は植物全体に紫色が強い様で、アカミノは赤い実が着くのだろうから、今日の写真のイヌホオズキには該当しないと思われる。また、ケイヌホオズキは全草に腺毛が多くてベタ付くとのことなので、これは明らかに異なる。唯一残っていた花穂(2008/11/29) カンザシは「簪」で花序が上向き、また、テリミノの果実は名の通り光沢が強く、萼片が著しく反り返るので、この2種も候補から脱落と相成る。後は、イヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、オオイヌホオズキの区別がつけばよい。花の拡大.最後の花だが、既に少し傷んでいる(2008/11/29) イヌホオズキは少し前に別のWeblogに掲載したが、果柄は下の写真の様に果梗の先端から放射状に出るのではなく、果梗の先にほぼ左右交互に並ぶ感じで付く。また、花冠は常に白で青味や紫を帯びることはないとのこと。従って、イヌホオズキも落第。残るはアメリカとオオの2種である。果柄は果軸のほぼ1個所から散形に出る(2008/11/29) アメリカは花冠が写真の様に青~紫色を帯びることが多い。しかし、オオも花冠が時に青~紫色になるので紛らわしく、しかも、植物体全体の雰囲気がイヌホオズキに似たものや、アメリカに似たものなど色々あるそうで、かなりややこしい種類の様である。 両者の相違点を挙げて見よう。先ず、一つの花序に着く花(果実)の数が異なる。アメリカでは2~4で稀に5、オオでは普通は5~8とずっと多い。また、花柄の付き方も少し違い、オオでは先端の1個所から数本出るが、その他に基部寄りのやや離れた個所からもう1本出ることが多い(一般的?)らしい。アメリカイヌホオズキの果実.多少の艶がある萼(ヘタ)は僅かに反り返る(2008/11/29) 写真の個体全体を調べてみると、果実の数は1~4、5個付いている果穂は無かった。また、果柄はほぼ1個所から散形に出ており、離れてもう1本出ている果穂は見当たらなかった。 ・・・これで、この植物はアメリカイヌホオズキに落ちた、と言えるだろう。しかし、何となく不安が残る。実際の個体変異の幅はもっと広くはないのか。自然交雑種は生じないのか・・・。 対象がややこしいにも拘わらず、キチンとした文献で調べていないのが難点である。この様な帰化植物も全部含めた、大井次三郎氏の「日本植物誌」の様なシッカリした植物誌を出版して欲しい、と思うのは私だけではないであろう。
2008.11.30
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今日は一寸色彩鮮やかな虫を紹介しよう。オオヒメヒラタアブ(Allograpta iavana)、九大その他の目録でも日本産は1属1種で、この辺りにも多いフタホシヒラタアブ属(Eupeodes)やヒラタアブ属(Syrphus)とは一寸違った雰囲気を持つヒラタアブである。和名は他にもあり、九大の目録ではオオマメヒラタアブとなっている。何方の名前で検索しても数十しかヒットしないが、こんな住宅地の狭い庭に来る位だから、決して珍しい種類ではないだろう。オオヒメヒラタアブ(雄).オオマメヒラタアブの別名もある体長は約1cm.小楯板と胸側の黄色が目立つお尻先端近くの模様はこの種の特徴らしい(2008/10/29) このオオヒメヒラタアブ、強い光沢があり、また、黄色と黒の対照が際立っていて、大袈裟に言えば、ハッとする程の美しさがあった。 このWeblolgに載せている写真は、何れも最大限圧縮してある。その結果、やや彩度が低下し、また、緑色が少し茶色っぽくなってしまう。今日の写真の原画は、一寸彩度が高すぎるのではないかと思うほど色鮮やかなのだが、此処に載せた圧縮した写真ではそれ程でもない。写真の調整をやり直そうかとも思ったが、メンドーなので止めた。後脚だけが妙に黒っぽい(2008/10/29) フタホシヒラタアブ属(例えばフタホシヒラタアブ)やヒラタアブ属(例えばオオフタホシヒラタアブ)のアブ(本当はハエなのだがアブとしておく)も似たような黄色と黒の図柄である。しかし、小楯板(胸の腹側中央にある半月形の部分)と胸側の黄色が目立つ種は、これらの属には居ない。ヒラタアブ族(Syrphini)の中でこの2個所の黄色が目立つのは、キタヒメヒラタアブなどのヒメヒラタアブ属(Sphaerophoria)とキベリヒラタアブ属(Xanthogramma)、それにこのオオヒメヒラタアブである。但し、オオヒメヒラタアブは、南の方へ行くと、腹部が真っ黒になったり、小楯板が黒ずむ場合もあるとのこと。顔面に黒色中条はない(2008/10/29) 腹部が真っ黒になった個体は別にして、普通のオオヒメヒラタアブでは、お尻の先端に近い第5腹節に、一寸人の顔の様にも見える独特の斑紋がある。最初は、こんな模様は個体変異でどうにでも変化するのだろうと思っていたが、調べてみるとこの模様は非常に一定しており、第4腹節後縁が黄色いのと並んで、この種の特徴と言えそうである。花に留まると直ぐに半逆立ち状態になる(2008/10/29) 我が家にやって来たのは、1ヶ月程前に掲載した「北米原産シオンの1種(紫花)」の花がお目当てだったらしい。しかし、このヒラタアブ、花に留まると直ぐに半逆立ちの状態になって花粉を舐め始めるので、写真を撮るのには苦労した。本当は、紫色の花丸1個を背景にした背面からの写真を撮りたかったのだが、遂に撮れなかった。一番上の背側からの写真は、このシオンの直ぐ横にあるコデマリの葉に留まったところを撮ったものである。オマケにもう1枚、斜めから(2008/10/29) 体長は約1cm、決して大きなヒラタアブではない。しかし、色彩が際立っていたせいか、妙に大きく見えた。 一流の女優を眼のあたりにすると、何か後光を放っている様に見えることがある。それと同じようなものかも知れない。
2008.11.27
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とうとう4日も更新をサボってしまった。虫ネタはあるのだが、何故かまた植物ネタを出したい。そこで植木鉢に寄寓している雑草を撮ったところ、その種類がどうもハッキリせず、判断に時間が掛かってしまったのである。 ・・・と言っても、最終的に種が判明した訳ではない。結局は情報不足で「アキノタネツケバナ?」と「?」を付けざるを得なかった。アキノタネツケバナ?.周りの草を取ったら倒れてしまった(2008/11/23) タネツケバナと言うのはよく似た種類の多いややこしいグループで、日本全土には10数種あるらしい。しかし、住宅地に生える雑草としては、タネツケバナ、ミチタネツケバナ、コタネツケバナの3種位しか手元の図鑑には載っていない。 ところが、この写真のタネツケバナはその何れとも一致しない。先ず、基本的にヘナヘナな植物で、根系は貧弱、どんなに繁茂してもごく簡単に抜くことが出来る。我が家の雑草の中では、抜き易さにおいて最優等生である。 上の写真は、植物体が見易い様に周囲りのカタバミの実生などを取り除いてから撮ったのだが、自分では殆ど自立出来ないほど頼りない植物である。タネツケバナやミチタネツケバナの様なロゼット状なんぞには決してならない。葉と花序(2008/11/13) 茎や葉は無毛である。この点で、タネツケバナとは明らかに異なる。また、葉の形も違う。「小葉」(複葉ではないので本当は小葉ではない)の殆どは、粗くてかなり深い鋸歯を持つ丸い形をしており、細い「小葉」は殆ど見られない。また、低出葉は普通の葉の先端部だけの様な形をしている。上に挙げた3種のタネツケバナの場合、先端以外の「小葉」の多くは細長いのとは大いに異なる。右が一番開いた状態、左は花後で伸長中の花柱(2008/11/13) 花は極く小さい。時期的に寒くて良く開かないのかも知れないが、一番開いたときで上の写真の様な状態。花弁の長さは2mm程度、もし花が完全に開いても花弁の上部しか開かないので、花の直径は3mmに達しない筈である。タネツケバナの花弁は3~4mm、ミチタネツケバナは2~3mm、コタネツケバナは2mmとのことなので、この花はコタネツケバナに一番近い。 しかし、花期は何れも春である。今咲いているのは狂咲きなのだろうか?別の花穂.この程度の開き方が普通(2008/11/13) どうも総合的にはコタネツケバナが一番近いのだが、やはり植物体の外観、葉の形や開花時期など、環境で変化しそうな形質で種を見極めようとするのは無理な様である。そこで、植物分類学の伝統的な基準(最近は違うやり方が色々ある)に従って、花、実や種子の詳細を見てみることにした。 アブラナ科はかつて十字花科と呼ばれた位で、花弁は4枚と決まっている。しかし、雄蕊の数は種によって異なり、タネツケバナとコタネツケバナは6本、ミチタネツケバナは4本が標準とのこと。写真では花が開いていないので、雄蕊の数は数えられない。其処で、花を解剖してみることにした。花の拡大.中々開かない.この状態で直径1.7mm(2008/11/23) 本来ならば、実体顕微鏡下でこの種の作業専用の細いピンセット(1本数千円~1万円以上する)で行う作業だが、顕微鏡は無いし、ピンセットは2回の引っ越し作業の間に行方不明になってしまった。仕方なく、細かい作業をするとき用の「+3」の老眼鏡を掛け、普通のピンセット2本を両手に持って花を分解した。 幾つかの花をバラしてみたが、何れも雄蕊は6本、これでミチタネツケバナは「失格」と相成った。アキノタネツケバナ?の果実とそれを裂いたもの(2008/11/23) 果実の形は何れも似たようなものなので、次は種子の形状である。ミチタネツケバナの種子は長さ約0.8mm、やや細長く白っぽい翼(ヒレ)がある。タネツケバナのは長さ約1mm、かなり丸い厚みのある種子で翼はない。この2種の種子は、全農教の「日本帰化植物写真図鑑」に写真が載っている。また、コタネツケバナの種子は長さ0.7~0.8mm、やや四角っぽくやはり白い翼がある。これは保育社の「原色日本帰化植物図鑑」に図が出ている。 それでは、このタネツケバナの種子はどうであろうか。種子を超接写したのが下の写真である。種子はかなり細長く、長さ1.3mm弱、厚み無く縦に細かい皺が沢山あり、周囲には暗色の翼がある。何れとも全然一致しないではないか!!アキノタネツケバナ?の種子.縦に細かい襞があり、周囲には暗色の翼がある.超接写した写真の部分拡大なので、余裕があり表面の皺は鮮鋭化処理に因るartifactではない(2008/11/23) 其処で、もう一度Internetでタネツケバナを調べてみることにした。すると、アキノタネツケバナ(Cardamine autumnalis)と言う種があることが分かった。秀和システムの「雑草や野草がよーくわかる本」に載っているとのこと。情報は不足しているが、茎は有毛乃至無毛、葉の形はこの写真にソックリ、花期は秋、雄蕊は6本とあるので正にピッタリである。更に、葉腋の枝基部周囲から長い根が多数出るのが大きな特徴らしいので、庭に出て確認したところ、葉腋付近から根が出ている個体が少なからずあった。 しかし、どうもこのタネツケバナと言うのは、環境で外部形態が相当変化するグループらしい。キチンとした文献で種子の形を確認するまでは、アキノタネツケバナと断定するのは止めておくことにする。
2008.11.26
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この秋になってから、ハラナガツチバチを4回掲載したが、今日は同じハラナガが付いても、ハチではないハナアブの1種、ナミルリイロハラナガハナアブ(Xylota amamiensis)を紹介する。少し古い写真だが、種類が分からず、暫く倉庫に入れたままになっていたのである。 このアブ、余り見た記憶がない。この辺りでは比較的稀ではないかと思われるが、遠目にはクロヒラタアブやハイジマハナアブの仲間と区別が付き難いので、気が付かなかっただけの可能性もある。体長は9mm。ナミルリイロハラナガハナアブ(雄)後腿節が太く棘がある.肩が白い翅の後端からお尻が出ている(2008/09/23) このWeblogを以前から御覧になっておられる読者の想像される通り、私が自分でこのアブがナミルリイロハラナガハナアブであると判断したのではない。自分で調べることが出来たのは、ハラナガハナアブ族(Xylotini)に属すと言うところまでであった。九大の目録に拠ると、この族には4属26種が記録されており、似たような種類が多い。これ以上進むには、「一寸のハエにも五分の大和魂」の御世話になるしかない。 投稿すると直ぐに応答があり、以前にも御世話になったハナアブの研究者である市毛氏とpakenya氏の御助力により、ルリナミイロハラナガハナアブであることが判明した。斜めから見たナミルリイロハラナガハナアブ(雄)(2008/09/23) この仲間はまだかなり混乱している様で、少し古い九大の目録とそれよりも新しい市毛氏の「ハナアブの世界」では色々と相違がある。また和名では、九大の目録では○○ナガハナアブとなっているが、市毛氏の方では○○ハラナガハナアブとなっている。これは他にナガハナアブ族(Milesiini)があり、それと区別するためにハラナガハナアブ族(Xylothini)の和名には基本的に「ハラナガハナアブ」を付けることにした為であろう。顔は大部分が白い.真横や正面からは撮る機会が無かった(2008/09/23) 種類は少し違うが「ルリイロナガハナアブ」(X.abiens)をInternetで検索してみると、半分近くが全く別のグループに属すハナアブの写真を載せている。ハラナガハナアブの仲間は、何れも後腿節が非常に太く、また、多くは肩が白い。この2つが分かっていれば、少なくとも大間違いを侵す恐れはずっと少なくなるであろう。
2008.11.21
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今日は一寸サボって、写真が少ししか撮れなかった虫を紹介しよう。写真が少ないと、それにほぼ比例して文章の量も少なくて済むので、書く方は楽なのである。 インドツヤホソバエ(Sepsis indica)、ツヤホソバエの中でも明るい茶褐色と黒の色彩の豊かな種類である。体長は丁度5mm、ツヤホソバエとしては大きめと言える。 数日前の曇天の日に、クチナシのテッペン、丁度目の高さ位の葉の上に赤っぽいツヤホソバエが留まった。すかさずカメラを引っ掴んで真横から撮ったのだが、前から撮ろうとして一寸動いたら、逃げられてしまった。その後も、クチナシの葉のテッペン等、写真の撮れない高いところに留まったりしていたが、今までのツヤホソバエが下草の上に留まるのとは、一寸行動様式が違う様に思われた。結局、撮れたのは最初の真横からの写真だけ。 暫くしてから、下草の上にまたツヤホソバエを見付けた。しかし、それは残念ながらこの赤っぽいツヤホソバエではなく、これまでに掲載したのと同じと思われる真っ黒な種類であった。インドツヤホソバエ.雄の前腿節には大きな棘がある露出不足と絞り過ぎで酷い写真なので小さくしてある(2008/11/15) 勿論、このツヤホソバエを見て、直ぐにインドツヤホソバエと分かった訳ではない。ツヤホソバエに関する情報は少ない。保育社の図鑑に2種あるが、北隆館の大圖鑑には何故か1種も載っていない(検索表に科は出ている)。一番詳しいのは「日本の有害節足動物」で5種載っているが、この茶褐色のツヤホソバエに該当すると思われる種は無かった。・・・となると「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立てる以外にない。 早速、以前も御世話になった市毛氏より、恐らくインドツヤホソバエであろう、との御回答をいただいた。実は「一寸のハエにも五分の大和魂」の掲示板に出ているインドツヤホソバエは見ていたのだが、そこに出ていた写真とは一寸違うので、文章をキチンと読まなかったのがいけなかった。かなりの個体変異があり、その範囲内に入る様である。反省、反省・・・。上と殆ど同じ写真だが1枚では寂しいのでもう1枚出しておく糞食の衛生昆虫でも、見かけは綺麗(2008/11/15) 名前に「インド」と付くので、最近多い外国からの移入種かと思った。しかし、在来種の様である。「インド」は、単に学名の種名indicaから来ているのであろう。外国のサイトを調べてみると、東洋には広く分布し、ロシアのウスリー地方からも記録があるとのこと。 市毛氏はその後、日本産ツヤホソバエ科の目録をチェックして下さった。日本産ツヤホソバエ科は、これまで11属35種とされていたのが1種増え、現在は11属36種になっているそうである。 このインドツヤホソバエ、我が家で見付けた4種目のツヤホソバエである。4種とは、日本産全種の1/9に相当する。ツヤホソバエ類は見かけは綺麗だが、基本的に糞食のバッチイ昆虫である。以前にも書いたが、こう言う衛生昆虫が我が家に多いと言うのは、どう考えてもあまり名誉なこととは言い難い。ノラ猫の「ババ」からでも発生しているのだろうか? 今年は紅葉が早い。昨年、掲載した「シジミバナ(紅葉と花芽)」は、12月4日撮影した写真を使っている。今、その約2週間まえの11月19日なのにも拘わらず、ほぼ同じ程度の紅葉(今年は黄葉)である。また、一昨年掲載した「柿の葉(善寺丸:落葉)」の写真は12月1日に撮影しているが、現在既にかなりの葉が落ちている。今年は、例年よりも寒いのだろうか。寒さに弱い私としては気になるところである。
2008.11.19
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どうも最近は何故か植物ネタを掲載したくなる。丁度、ベランダの椅子の横にスミレ(種としてのスミレ:Viola mandshurica)の閉鎖花が開いているので、これをネタとすることにした。 今年は、秋になってからツマグロヒョウモンが余り姿を見せない。昨年は我が家のスミレの彼方此方に越冬幼虫がいたのだが、今年はサッパリである。御蔭でスミレにはシッカリ葉が残っており、閉鎖花も開放花(普通の花)も沢山着いている。スミレ(Viola mandshurica)の開放花(左)と閉鎖花(右)(2008/11/17) 実を言うと、閉鎖花の時期はもう過ぎていて、今は狂咲きの開放花の方がずっと多い。しかし、この開放花、キチンと開かないので観賞には堪えない。何とも中途半端な代物である。上の閉鎖花を拡大(2008/11/17) 閉鎖花と言うのは、花を開かず、と言うか、花弁が無く、開く前に自家受粉で受精して、開いたときには成熟した種子だけが出て来る「花」である。始めは、上の写真の様に下を向いているが、やがて上を向き、果実は3つに開裂する(下)。開いた閉鎖花.種子が詰まっている貧弱な種子は縦に皺が寄っている(2008/11/17) 上を向いたときには、成熟した種子はもう休眠に入っているのが普通である。休眠に入った種子は、播いても一定期間の低温を経ないと発芽しない。しかし、上を向く前のまだ白っぽい種子はまだ休眠に入っておらず、これを播くと、直ぐに発芽する。今はもう秋なので意味はないが、スミレを増やすときには、この白い種子を使うと、年内に充分成長し、翌年にはシッカリ花を咲かせることが出来る。別の閉鎖花(2008/11/17) 個々の種子はどの様な顔をしているのか、超接写システムで撮影してみた(下)。種子の長さは約1.5mm、直径は1.2mm前後である。種子の上側にヘソの様なものが見える。一体何であろうか?スミレの種子.種子の上部にヘソの様なものが見える(2008/11/17) こう言う構造を見ると、これは種子に栄養を供給した組織(胎座)が付着していた跡ではないかと思ってしまう。しかし、このヘソは果実の中心を向いている。閉鎖花が開いたときには、果実の中心には何もない。スミレの種子に栄養を供給する胎座は何処にあるのであろうか。1、2番目の写真に見える閉鎖花を分解したところ(2008/11/17) そこで、まだ若い閉鎖花を裂いて中を見てみることにした。何と、残っている若い閉鎖花は最初の2枚の写真に写っている閉鎖花、ただ1個だけであった。これを裂いて中を見たのが上の写真である。 果皮の内側に、何やらペラペラしたものが沢山付いている。恐らく、これが栄養を供給する組織(胎座)なのであろう。また、左下の種子には、何か半透明の組織がくっ付いているのが見える。これが剥がれたのが、そのペラペラした物と思われる。そこで、右側の2個の種子を除去して、反対側から撮影してみた。上の写真の右側2個の種子を除去して反対側から撮影(2008/11/17) この半透明の組織は、確かに種子にピッタリとくっ付いている。これが栄養を供給する組織(胎座)であるのは間違いないであろう。種子の無いところにあるペラペラした物の形を見ると、恐らく、写真では見えない裏側にも、この半透明の組織がくっ付いているものと思われる。 しかし、そうだとすると、種子の上側にあるヘソのような構造は一体何なのであろうか? 本当は、開放花にくっ付いた種子の写真だけを掲載して終わりにするつもりであった。しかし、何時もそうだが、細かい構造を見ると何やら疑問が湧いてきて、更に何かをせねばならなくなる。その何かをすると、また更に疑問が湧いて来て・・・となり、結局のところ???で終わるしかないことと相成る。
2008.11.17
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今日はまた人気のないアブラムシを紹介する。ワタアブラムシ、極めて広食性で、しかも世界中に分布する、農業・園芸の害虫として最も悪名の高いアブラムシの一つである。我が家では毎年、春~初夏と秋の2回、フヨウの葉裏に発生する。昔、ムクゲの木があった頃は、その新梢が真っ黒になる位に集っていて、これが原因でムクゲという植物が嫌いになった程である。フヨウの葉裏に集るワタアブラムシの幼虫一昨日撮った写真(2008/11/13) 今、丁度ワタムシ(雪虫)の季節である。しかし、このワタアブラムシの名前は、寄生植物である植物のワタ(アオイ科ワタ属)から付けられたのであって、体に綿状の衣を纏うワタムシ(主にタマワタムシ亜科の有翅形)とは全く無関係である。 なお、以前紹介したエノキワタアブラムシは、ワタムシ同様、有翅形が綿状の衣を纏うので「ワタ」の名が付いているが、これはタマワタムシ亜科ではなく、マダラアブラムシ亜科に属し、寄主転換も行わない。アブラムシの名前も結構紛らわしい。無翅胎生雌の終齢幼虫(右)と成虫(左).角状管から、前者は黄色後者は黒っぽい液体を出している.体長は何れも1.5mm前後7月にテレプラスを使って撮った超接写写真(以下2枚も同じ)(2008/07/01) ワタアブラムシは、アブラムシ科アブラムシ亜科に属し、図鑑に拠れば、温帯では完全生活環(春~秋は単為生殖で増殖し、晩秋に有性世代が出て交尾、産卵する)を持つアブラムシとして代表的な存在だそうである。ワタやムクゲなどに冬寄生(晩秋~初夏)し、夏(真夏~秋)は多岐に亘る植物(主に草本)に寄生する。図鑑に拠れば、暖かい地方では、有性世代を生じないで、単性世代のまま越冬する(これを不完全生活環と言う)個体群もあるとのこと。終齢幼虫の拡大(2008/07/01) このアブラムシ、体色の変化が著しい。我が家に居る無翅成虫は黒と緑の斑だが、図鑑を見ると、黄、橙黄、緑、濃緑、殆ど黒などの個体もある。また、幼虫は別の色をしており、我が家に居る終齢幼虫は暗青灰色に白い粉を吹いた様な色をしている。無翅胎生雌成虫.角状管から出ているのは警戒フェロモンか?(2008/07/01) 多くのアブラムシでは寄生する植物が決まっている。しかし、このワタアブラムシは実に多くの植物(作物ならば、ワタ、タバコ、キウリ、カボチャ、サトイモ、ジャガイモ、ナス、ミツバ・・・、図鑑に小さい字で約2/3ページ分載っている)に寄生する。しかも、その色が様々なので、かつては別々の種類と見なされ、個々に固有の名前が付けられていた。シノニム(synonym:同じ種に付いていた別の学名)が41もあると言うからかなりのものである。 我国では、ムクゲアブラムシ、イモアブラムシ、イヌゴマアブラムシ、ビンボウカズラアブラムシその他の和名があり、それぞれに異なった学名が付いていた。このアブラムシの被害が、どれだけ広い範囲に及んでいるか御分かり頂けるであろう。因みに、北アメリカではメロンアブラムシ(melon aphid)と呼ばれているそうである。葉脈を歩く終齢幼虫(産卵雌の幼虫?)(2008/11/13) 大きさを書かなかったが、このワタアブラムシ、アブラムシとしては小さめである。無翅成虫の体長は1.5~1.7mm、有翅虫はこれより更に小さい。先日紹介したイバラヒゲナガアブラムシの1/2位である。図鑑に拠れば、春に出現するものは、これらよりもかなり大きいとのこと。それでも、アブラムシとしては小さい方に属す。 今日掲載した写真の内、2~4番目の3枚は、テレプラスを使って約2倍の倍率で撮影してある。その他は、普通の等倍接写なので、この3枚以外がやや見劣りするのはやむを得ない。 緑と黒の斑模様をしているのが無翅成虫である。角状管から何か液体が出ているのが見える。角状管はワックスやフェロモンを出す器官とされているので、警戒フェロモンを放出中なのかも知れない。くっ付いている葉っぱを散々に動かされたり、ストロボの光を浴びたりして、屹度アブラムシもビックリしているのであろう。背中にダニを付けた終齢幼虫.ダニの体長約0.13mm!!(2008/11/13) その小さいアブラムシの背中にずっと小さな黄色いものが乗っている(上の写真)。良く見てみるとダニの形をしている。此処には掲載していない隣接するコマを調べてみると、この黄色い「物体」はアブラムシの背中の上を少しずつ移動している。明らかに生き物であり、ダニであることは間違いないと思われる。 ダニの体長は約0.13mm。こんなに小さなダニは見たことがない。寄生性のダニには随分小さいのも居るものである。認識を新たにした。ワタアブラムシの有翅形.腹部に多少の模様があるが良く見えない(2008/11/13) このアブラムシ、普通はかなり密度の高い集団を形成するが、今はもう晩秋のせいか、最初の写真の通りかなり疎らである。しかも、幼虫ばかり。有翅虫を見る機会は余り多くないが、先日漸く見付けたので掲載することにしたのである。無翅虫だけだと、何となく物足りないと言うか、絵にならない。横から見た有翅形.虫が小さいのと通常の等倍接写なので画像の質が低い(2008/11/13) ワタアブラムシでは産性雌(有性生殖をする雌を産む雌)と雄の双方にそれぞれ無翅形と有翅形があることが知られている。この写真の有翅形が雄なのか、或いは、産性雌なのか、私には区別が付かない。 フヨウは冬寄生の植物である。だから、ここで産性雌が産んだ産卵雌(有性雌)と雄との間で有性生殖が行われ、産卵雌は越冬卵をこの辺りの何処かに産むはずである。と言うことは、今居る幼虫は産性雌の産んだ産卵雌(有性雌)の幼虫なのであろうか?それにしては、随分前から此処にアブラムシが付いている様な気がする。もどうも良く分からない。 そこで、もう一度フヨウを見に行った。・・・すると、何やらややこしいことになっていた。さて、何があったのかは、次回のお楽しみ。
2008.11.15
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先日、ヒメハラナガツチバチの雌を掲載したが、今日はその雄の方を紹介する(ハラナガツチバチ類は雄と雌で外見が非常に違うので、別々に紹介している)。 これで黒と黄色のハラナガツチバチを紹介するのは4回目である。順序として、一番沢山居るキンケハラナガツチバチ(以下、キンケと略す)の雌から始めたので、このヒメハラナガツチバチ(以下、ヒメ)の雄が最後になってしまったが、これを撮影したのは、キンケの雌を撮ったのと同じ頃(10月10日前後)である。北米原産シオンの1種で吸蜜するヒメハラナガツチバチの雄小楯板、後胸背板、前胸背板後縁に黄紋がある(2008/10/09) 写真でみると、キンケの雄とよく似ている。しかし、黄色い部分がキンケよりも一寸多い。特に、小楯板に2紋あるのが目立つ。その後にある後胸背板と、頭部に続く前胸背板の後縁も黄色い。また、一寸見たときには気が付き難いが、ヒメの腹部の黄色横帯は第1~第5節の5本あるのに対し、キンケでは第4節までで4本しかない。なお、前肢と中腿の腿節外側先端と脛節外縁が黄色いのはキンケと同じだが、一般にヒメの方がその範囲が広い。 これらの斑紋の色は、同じ黄色と言っても、キンケの方は正に黄色なのに対し、ヒメではかなり白っぽく、時として象牙色に近い。 キンケとヒメの雄は、多くの場合、これで区別が付く。しかし、ヒメの雄は小型になると小楯板の2紋が消失することが多いそうで、また、小型のキンケ雄の黄色はかなり白っぽくなってヒメの色に似てくる。更に、ヒメの第5節の黄色横帯は細いし、また、ハラナガツチバチ類は花に留まると体を丸めるので、写真には第5節の横帯が写らないことが多い。なお、ヒメの雌はキンケの雌とは異なり、翅端近くに明確な暗斑を持つが、ヒメの雄はキンケの雄や雌と同じく、この暗斑を持たない。横から見ると、腹部の黄色横帯が5つあるのが分かる横帯の色は白味がかった黄色(2008/10/10) ところで、ヒメの雄はキンケの雄よりもずっと小さい。写真では、虫体を出来るだけ大きく表示する様にトリミングしてあるので、虫の大小が分かり辛い。そこで、キンケの雄の写真を見ていただきたい。キンケ雄の体長は「北米原産シオンの1種」の花径の1.2倍以上あるのに対し、ヒメではその径よりもかなり小さい。 北隆館の圖鑑に拠れば、キンケの雄16~23mm、ヒメの雄11~19mmである。写真の雄は体長2cmに近かったから、これでも最大級と言える。 前述の様に、小型のヒメの場合、小楯板の黄紋は時に消失することがあるが、実際的には、キンケの雄が幾ら小さくても普通のヒメの雄程度の大きさはあり、一方、ヒメの場合その程度に大きければ小楯板の2紋は必ずあると言って良い。言い換えれば、体長15mm以下であれば、背中の黄紋の有無に拘わらずヒメ、それ以上で背中に黄色い紋があればヒメ、無ければキンケである。また、腹部に横帯が5本あるのを確認できればヒメ、どう見ても4本しか無ければキンケとなる。ハラナガツチバチ類の雄は触角が長い(2008/10/10) ヒメの雌の所で書いた様に、ハラナガツチバチ類の雌は触っても逃げないことがある位落ち着いているのに対し、雄は非常に臆病で直ぐに逃げてしまう。逃げるにも色々な逃げ方がある。ツマグロキンバエやハナアブ類は、逃げても直ぐ隣の花に留まったりするので写真を撮るのに大した問題は生じないが、このヒメの雄は、隣の花ではなく、隣の敷地まで逃げてしまう。全く気弱なヤツである。腹部腹板にも黄帯があるのが見える前肢、中肢の脛節外縁にある黄斑が目立つ(2008/10/10) キンケの雄もかなりの臆病者だが、それでもまだ、充分に近づいて、少しはカッコウの付いた写真を撮ってやることが出来た。しかし、このヒメの雄は全然ダメであった。ソモソモ、等倍接写出来るまで容易に近づけないのである。何とか接近して撮ったのが、下の写真。しかし、何とも頼りない格好である。口吻を筒状花に差し込むヒメの雄.何とも頼りない感じ(2008/10/12) これで夏から秋にかけて、この辺り(東京都世田谷区西部)で発生するハラナガツチバチ類の雌雄はほぼ全部紹介した。キオビツチバチの雄は紹介していないが、これはもう一つのWeblogに掲載してあるので、興味のある読者はこちらを参照されたい。 他に、この辺りで夏期~秋期に出現する可能性のあるハラナガツチバチはアカスジツチバチだけである。しかし、このハチは中学~高校の頃に数回見たことがあるだけで、その後は、残念ながら、一度も見ていない。
2008.11.13
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此処暫く、気力の充実が今一つ足らない日が続いている。虫ネタは幾つかあるのだが、何か植物を掲載したいと思っている間に1週間近く更新をサボることになってしまった。 雑草が咲くのを待っていたのである。しかし、気温の低い日が続いて、中々花が開かない。その内、季節外れのユキヤナギが少し咲き始めたので、代わりにこれを出すことにした。開き始めたユキヤナギの花(2008/11/11) 自然に生えてきたユキヤナギである。鉢に植え換えて2~3年、もう充分大きくなったので、来春、外庭のアベリアを少し引っこ抜いて、代わりにこれを植えようと思っている。 アベリアは、我が家では評判が宜しくない。やはり、我が家で育った者は茶人の薫陶を受けているせいらしい。兄でさえ、代わりに植えるコデマリを自分で買ってきた位である。尤も、植え換えるのは、私なのだが・・・。ごく少し、葉の間から花が見えている(2008/11/11) 普通、春に咲く花木の花芽分化は、前年の7月頃に始まるのが普通である。ジンチョウゲ、ウメ、サクラ、ツツジ類、ツバキ類等、みな7月前後に花芽分化を開始する。しかし、シモツケ属(Spiraea)のユキヤナギ、シジミバナ、コデマリなどは、春に咲くにも拘わらず、花芽が分化するのは10月中下旬になってからである。普通はその後休眠に入り、低温で休眠が打破され、春に開花する。 それが、何故か今咲いてしまった。我が家では初めてだが、調べてみると、ユキヤナギの狂咲きは珍しくないらしい。しかし、多くは12月のことで、11月上旬とは随分早い狂咲きである。尤も、狂咲きは、狂って咲くのだから、遅いも早いもないかもしれない。完全に開いたユキヤナギの花(2008/11/11) 花が少ないので、例によって拡大写真を出すことにした。バラ科らしく、5が基数になっている。花弁5、見えない萼片5、雌蕊5、雄蕊5×4=20、花糸の基部内側に腺5×2=10。 下に上の写真の部分拡大を示した。雌蕊の基部にある黄色味の強い子房の外側に、黄緑色に近い色をした俵の様な構造が10個見える。これが腺らしい。腺というからには、蜜線であろう。随分大きいが、余りユキヤナギの花に虫が来ているのを見た記憶がない。ユキヤナギの咲く頃は、まだ、虫が来るには寒すぎるのだろうか。無駄に花蜜を出すとも思えないのだが・・・。上の写真の部分拡大.花の構造に関しては本文参照のこと(2008/11/11) 春になったら、もう一度、賑やかに咲いているところを紹介する予定である。実は、今年の春も、蕾の頃から経時的に写真を撮って置いたのだが、花が充分に開く前に「南方に出撃」と相成った為、掲載の機会を失ってしまったのである。 今春は、多分、掲載出来ると思う。しかし、余り来年のことをハッキリ言うと鬼に笑われるので、断言するのは止めておく。
2008.11.11
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今日は「北米原産シオンの1種(紫花)」とセイタカアワダチソウにやって来た新顔のハナアブを紹介しよう。キゴシハナアブ、この辺り(東京都世田谷区西部)ではかなり少ないハナアブで、我が家で見るのは初めてである。 しかも、1回ではなく、数回やって来た。写真の最初の2枚は雌で、それ以降は雄だから、少なくとも2頭は来たことになる。キゴシハナアブの雌.メスは左右の複眼が離れている背中の縦筋が鮮やか(2008/10/29) このハナアブ、写真の様に中々際立った模様をしている。しかし、この辺りにも沢山いるアシブトハナアブやナミハナアブ等よりかなり小さく、肉眼ではその折角の模様が余り目立たない。体長は僅か10mm程度。平均すれば、体長に関してはホソヒラタアブの方が大きいと言える。上と同じ個体.複眼に胡麻塩模様がある(2008/10/29) 背中(胸背)に強い艶があり、縦筋が鮮やかである。しかし、このハナアブの最大の特徴?は眼にある。これまでに複眼に縞模様のあるアブを何種(ツマグロキンバエ、アメリカミズアブ、オオハナアブ)か紹介したが、このアブの複眼には縞模様ではなく、胡麻塩的な不規則な模様がある。 実は、その複眼の模様をシッカリ撮りたかったのだが、中々敏感なヤツで、遂に等倍で撮ることが出来なかった(このハナアブの正面からの写真は、既に別のWeblogに載せてあるので、興味のある読者はこちらを参照されたい)。キゴシハナアブの雄.花はセイタカアワダチソウ(2008/10/31) この様な背中に顕著な縦筋があり、眼に不規則な胡麻塩模様をもつハナアブは日本に10種近く棲息する。しかし、関東に産する種類で橙色の小楯板を持つのは、このキゴシハナアブだけの様である。同じ個体を横から見た図.全身に毛が多い(2008/10/31) しかし、妙なことに気が付いた。雄(3~5番目の写真)の複眼には毛が生えているのがハッキリ見えるのに対し、雌(1,2番目の写真)では毛がよく見えない。ハナアブ類では、複眼の毛の有無は、屡々重要な種の指標となる。そこで、種類が違うのかと思ってもう一度調べてみたが、やはり両方ともキゴシハナアブ以外には考えられない。色々なサイトを参照してみると、どうも雄の方の毛は長くて明瞭なのに対し、雌の方は短くて見え難いらしい。複眼ばかりでなく、体全体の毛も雄の方が長い様に見える。キゴシハナアブの顔.雄では左右の複眼が頭頂で接している真っ正面からは遂に撮れなかった(2008/10/31) 東京では、数日前から急に気温が下がり、それに連れて我が家のキク科植物の花にやって来る虫達も激減した。このキゴシハナアブはその後一度も見ていない。紫花のシオンに群れていたハラナガツチバチも、今や全く姿を現さなくなってしまった。 兪々、冬の到来が迫ってきた様である。
2008.11.05
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今日は久しぶりにアブラムシを紹介しよう。余り人気のある虫ではないが・・・。 イバラヒゲナガアブラムシ、バラの新梢に集る緑色のアブラムシである。バラに寄生するアブラムシには色々種類があるだろうと思っていたのだが、「日本原色アブラムシ図鑑」の一覧表を見てみると、このアブラムシとハマナスオナガアブラムシの2種しか載っていない。そんな筈はないだろうと思って、Internetで調べてみると、他にバラミドリアブラムシ、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ等の名前が出て来た。この内、モモアカアブラムシとワタアブラムシは、極めて広食性でしかも全世界的に分布する、農業害虫として最も悪名の高いアブラムシである。 しかし、バラに寄生するアブラムシの大半は、このイバラヒゲナガアブラムシだそうである。イバラヒゲナガアブラムシの集団.逆立ちに近い格好で吸汁する(2008/10/26) このイバラヒゲナガアブラムシ、バラ専門のアブラムシである。名前の通り、園芸種のバラだけでなく、ノイバラにも寄生する。寄主転換はしないので、1年中バラの何処かにくっ付いている筈である。イバラヒゲナガアブラムシの無翅形成虫頭部付近と脚の大部分は赤い(2008/10/12) イバラヒゲナガアブラムシは、肉眼では殆ど全身緑色に見える。しかし、拡大してみると、胸部の前の方と頭部は赤く、脚も腿節の半分より先は赤味を帯びている。角状管は黒く長く、先端が膨らんでいる。 有翅形は無翅形よりもやや小型で、全体にやや赤黒く、脚も腿節の後半以降は黒に近い色をしている。しかし、図鑑の写真を見ると、無翅形にもこの様な色をしたものがある。上と同一個体.角状管は黒く長い(2008/10/12) このアブラムシ、最初の写真に見られる様に、吸汁するときに殆ど倒立に近い態勢を取ることが多い。これは肉眼で見ても良く分かる。始めは、逃げようとして口吻が抜けなくてこんな変な格好をしているのかと思っていたが、別にそう言う訳でもないらしい。かなり密な集団を作ることが多いので、面積当たりの頭数が増えると自然にこうなると思うが、それを繰り返している内にそれが習性になってしまったのかも知れない。イバラヒゲナガアブラムシの有翅形.無翅形よりやや小さい全体に赤黒い.角状管の先端が膨らんでいるのが見える(2008/10/21) このイバラヒゲナガアブラムシ、我が家では、春と秋、家の南側の生垣となっているツルバラの新梢に必ず発生する。特に春は手の付けられないくらい沢山付くことがある。夏にはバラの生長が止まるので、このアブラムシも何処かに姿を潜める。 数年前、このアブラムシに関連して面白い経験をした。我が家は南に面しており、南側は隣家の駐車場になっているので、強い南風が吹くと我が家の庭は一種のビル風を生じて一寸スザマジイことになる。数年前の春、日本海に大きな低気圧が入り、東京では南風が吹き荒れた。台風クラスの風であった。この年、ツルバラにはこのアブラムシが例年よりずっと多く発生し、正にゴマンと付いていたのだが、この暴風で実に一匹残らず吹き飛んでしまった。余りに完璧に吹き飛んだのでビックリしたが、さぁ、その後、これまた沢山いた捕食者、特にテントウムシの幼虫が餌を失い、アブラムシを探して庭中をウロウロしているのにはもっとビックリした。後にも先にも、テントウムシの幼虫をこれ程沢山見たことはない。上と同一個体(2008/10/21) 2番目以降の写真の集団は、写真を撮り終わった数日後にヒラタアブ類の幼虫がやって来て、2~3日後には全滅した。最初の写真に写っているのは、その後で別の新梢に付いた集団だが、これも撮影した数日後には一匹も居なくなっていた。捕食者の威力と言うのは大したものである。 今年は、昨年と較べてアブラムシやコナジラミの発生がかなり少ない様である。昨年、コナラの葉裏にビッシリ付いていたコナジラミの蛹殻と思われる微小な斑点も今年は殆ど着いていない。今年はこのコナジラミの正体を見極めるつもりだったのだが、空振りに終わってしまった。この種の小さな寄生性昆虫の発生は、年により思ったよりもずっと大きく変動する様である。
2008.11.04
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