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原発を再開し、または新設できる条件福島原発事故の一つの原因が「地元に交付金(危険手当)をだしたこと」である。日本社会は「誠実、真面目」と思っていたが、よくよく考えてみると「乞食社会」でもあった。原発は安全という御札を床の間に貼って、首相から市長まで偉い人はすべて「原発は安全」と言い、本当は危険だから僻地に作って消費地まで延々と送電線を引き、地元に危険手当を出してなだめてきた。危険手当を出すぐらいだから、危険なのに決まっている。地元も危険を承知で危険手当を貰ったのは間違いない。安全なのに危険手当を貰うということになると、乞食というより詐欺になる。でも、このようなことが原発の安全議論をおろそかにし、事故を起こした。事故が起こってみると、交付金(危険手当)を貰っていないところも被害を受けることが明らかになった。このような不合理で不真面目な制度を残しておくとまた事故が起こるのは間違いない。「原発を安全にする」というのは、1)耐震・耐津波設計をする、2)日本の気候風土にあった原発を設計する、3)御札主義を止めて事実を元に判断する、4)救命ボート(非常時の通報、避難、救助のシステム)を備える、5)被曝と健康の関係をハッキリさせるか1年1ミリの予防原則を堅持する、などが必要であるが、それに加えて社会システムの整備も大切だ。まず、1)現在行われている地元への交付金、補助金の類を全廃すること、2)原子力基本法に定められた「自主民主公開」の原則を厳格に実施する、3)原子力安全委員会・同安全委員会の独立性を確保する(今の二つ委員会のメンバーは辞職し、あるいは傷害罪で取り調べが必要)、などを行い、「世界で初めて日本が通常運転時の事故を行った恥」をそそがなければならない。・・・・・・・・・もう一つ、これは機会を見て再度、取り上げたいが「推進派、国民一般、反対派」のいずれもが「アウトロー的な言動」を避けるということだ。原発を進めるかどうかは日本人、特に子供にとって大切なことだから、思想でものを言うことを後退させて、真摯な議論をしなければならない。日本人の多くが原発に不安を持ち、同時に電気も必要と感じている。だから、その現実を直視して、「絶対推進」でも「絶対反対」でもなく、なにが問題なのか、どうしたらよいのかを前向きに議論するべきである。少なくとも、「地震が起こらない外国では1つも破壊されていない」、「震度6では100%破壊した」という現実をよく認識することだ。チェルノブイリもスリーマイル島の原発事故も通常の運転をしている時ではない。その意味で、まずは事実を見るということにもっと力を注がなければならない。東電が自分で放射性廃棄物をまき散らし、被害を受けたゴルフ場に対して屁理屈をこねて裁判に勝ったりしているので、ますます国民は原発から離れるだろう。電力会社はこれまでズッと威張ってきたから頭の下げ方を知らないのは仕方が無いが、このままでは国民はほとんど全部が電力を支持しなくなる。(平成23年11月29日)武田邦彦
2011年11月30日
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新米は食べられるか? その顛末2011年の新米ができたとき、福島県は「コメは汚れていない」と安全宣言をしました。その時、このブログでは、「新米は来年まで待った方がよい」と書きました。新米が汚れているかどうかは「政治の問題」ではなく、まぎれもなく「科学の問題」です。科学は「データ」だけでは判断しません。私が「新米は注意」と言ったのは、今までのデータでは「どのぐらい畑が汚れていたら、お米はどのぐらい汚染される」という「移行率」のデータがあるからです。科学は、1)データをウソ偽りなく、詳細にとる、2)そのデータが過去の知見と合致するかどうかを見る、3)合致したら一応、データが正しいとする、4)合致しない場合はペンディングとして再実験する、というのが普通だからです。福島の新米は安全なはずはないのです。これは農家の方が「懸命にやった」という人間的なこととは無関係で、汚染された畑からセシウム、ストロンチウムが稲に移るのは科学の問題です。 また、悪い人は東電であって、汚染米を買わない消費者でも、汚染米を予測する私でも無いのです。また日本人の誠意という点から考えてみましょう。福島県はコメの安全宣言を出してから、危険なコメが多く見つかっています。それも暫定基準値です。だからすっかり信用を失いました。人間にとって間違ったことを言って信頼を得るのは困難です。誠実になってください。・・・・・・・・・安全宣言をしたコメが汚染されていたのですから、当然、福島のコメは汚染されているということになります。それも政府の暫定基準ですから、子供には危険な1年5ミリの被曝を受けます。また福島産のお米を宮城産と偽って販売していますから、宮城産もダメということになります。すでに稲を植えるときに畑を耕してしまったので、あと30年、泥沼のようなコメ作りになる可能性があります。農業の人は「苦労しているからみんなも汚染米を食べてくれ」という考えから、「生活は政府に補償して貰い、汚染米を出さない」ということに変更して貰いたいと思います。できれば、1年5ミリではなく、日本の法律(これまで日本人を被曝の被害から守ってきた法律)を守って、外部被曝を含んで1年1ミリにしてください。それを福島から率先して実施して貰いたいと期待します。事実は覆りません。(平成23年11月29日)武田邦彦
2011年11月30日
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日本の歴史を変えた内閣・・・菅内閣日本のお城には殿様がおられ、住民は無防備でお城の外にいます。これに対してパリ(フランス)でも南京(中国)でも、城壁の中に住民が住んでいます。この違いは、日本が「国」であったのに対して、フランスも中国も「地域」はあっても「国」ではなかったことを示しています(現代のコペルニクス参照) 日本が「国」だったのは、四面を海で囲まれ、天皇陛下をいただいていたことによります。だから、アメリカでは銃が必要になり、中国人は我が身を守るためにウソを言うと言われます。日本人が銃を持つ必要もなく、ウソをつくこともないのは、「国」が常に正しく、国民を守ってくれるからに他なりません。・・・・・・・・・ところが、原発事故が発生してから、日本は国を失いました。政府が国民を被曝させることに熱心になったからです。そして巷では「自分の身は自分で守ろう」、つまり「銃を持とう」という考えが支配的になっています。ある若い人を対象としたアンケートでは、実に97%の人が「政府は信用できない」と言い、政府を信用できるという人はわずか1%(残りの2%は回答なし)でした。まさに政府というより、日本国の崩壊です。・・・・・・・・・当然です。原発事故が起こったら、「直ちに健康に影響はない」といって逃げるのを遅らせ、ウシが汚染された草を食べました。「規制値の3355倍でも健康に影響がない」と言って法律の価値を失わせました。「遠くに逃げろ。放射線は距離の2乗に反比例する」と言って長い時間、被曝させました。「1年20ミリまで大丈夫=1年400回の胸のレントゲン」と言って福島の人を被曝させ、「1年5ミリの給食を食べさせる」、「ストロンチウムは測定しない」、「横浜市は給食に暫定基準値も超える食材を児童に食べさせる」、「農水省は農作物の産地表示を曖昧にせよと指導する」、「裁判所は東電からの放射性物質はそれが降った土地の人のものだから、東電はかたづけなくて良い」と言う。ここまで繰り返されれば、2000年の長い伝統を誇った日本の「国」も菅政権でもろくも崩れ去ったのである。いま、「私にできること」というのがはやっている。つまり、「国は何もしないから、私がする」ということであり、国はなくなった。・・・・・・・・・絶対にそれではいけない。子供たちが銃を持たなければ安心して生活できないような国、城壁の中に住民が住む国にしてはいけない。もう一度、「清貧」、「誠実」、「礼節」を重んじる国にしなければならない。それが大人の責任である。(平成23年11月29日)武田邦彦
2011年11月29日
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自治体やマスコミは法律・倫理違反を推奨してはいけない原発事故の後、自治体もマスコミもまるで「17歳のぐれた青年」のようだ。17歳の頃、むやみに社会に反抗したくなり、「俺、免許なんかねえけど、高速を160キロで飛ばしてるぜ」とか、そんなことを言って他愛なくカッコをつけたくなるものだ。長じてもそんな若い頃の癖が抜けない人がいて、「俺なんかいつも酒飲んで運転しているけど、別に交通事故なんか起こさないぜ」といってカッコをつけている。でも、法律や規則違反を推奨するのは感心したことではない。私はよく週刊誌などのマスコミで「武田は1年1ミリと言って危険を煽っている」と言われるが、「1年1ミリ」という法律や規則があるからこそ、これまで日本人は被曝から守られてきた。それでも「日本人は医療被曝でかなりのガンが発生している」という報告もあるぐらいだ。私が法律による被曝限度を説明すると、「法律を説明する=危険を煽る」というのだから、こんなことはこれまでの日本にはないことだった。東電の手先であることは確かだが、なんでそんなに東電にゴマをすりたいのだろうか?福島原発事故以来、誠実で遵法精神の高い日本人としては驚天動地のことが続いている。NHKは「被曝限度の法律」についてほとんど触れずに、「大丈夫」を繰り返している。地方裁判所は「東電からゴルフ場に降ってきた放射性物質の所有権はゴルフ場だから、ゴルフ場が勝手に片付けろ」などという非常識な判決を出している。今後、日本社会は、時速80キロの高速道路を120キロで走ってもNHKは「大丈夫だ」というだろうし、誰かが他人の敷地に毒物をまいても「まかれた方が片付けろ!」と怒鳴られるという、とんでもない日本社会になりそうだ。・・・・・・・・・福島原発事故で気が動転したのはわかるが、それにしても日本全体の慌てようはどうしたものだろうか? 流山市長も17歳では無いのだから責任のある態度をとって法律ぐらい読んでください。また、報道関係もしっかりした遵法態度、危険に関して慎重な報道を望みます。(平成23年11月27日)武田邦彦
2011年11月29日
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今後の生活設計のための計算(4) 食材からの被曝食材からの被曝を正確に計算し、今後の生活設計に活かす、「簡便で計算が可能な方法」を考えていますが、食材の汚染度(ベクレル数)が政府の妨害で示されていないので、もう少し考えます。でも、食材からの被曝計算は考え方が難しいので、とりあえず、考え方だけ先に示しておきます。まず、「ある一つの食材だけが汚染されている」という場合と、「ほぼすべての食材が汚染されている」という場合の二つがあります。「一つだけが汚染されている」という仮定は、原発事故のあと政府や東大教授が説明していたもので、ほうれん草が汚染されると、「ほうれん草は一日、平均して**グラムたべるので、汚染されたものを1年間食べ続けても**ミリシーベルトにしかならない」というものです。この場合は、説明の裏に「食材の内、ほうれん草だけが汚染されている場合」という注釈が必要ですが、それを省いているのです。もう一つは、私が説明していたもので、「いずれ、多くの食材が汚染されるので、ほぼすべての食材が汚染されている」として計算するという方法で、これは「私独自の方法」ではなく、食品安全などで広くとられている考え方です。・・・・・・・・・たとえば、農薬の規制というものを考えると、お母さんがスーパーに買い物に行き、ほうれん草を買うとします。そのほうれん草についている農薬が「他の食材にはまったく農薬がついていない」ということを仮定して決められていたとすると、お母さんはほうれん草を買ったら、他の食材は「規制値以下」ではだめで、「農薬ゼロ」だけしか買えないことになるからです。つまり、ある農薬の摂取制限が赤ちゃんで1日1ミリグラムとして、ほうれん草だけで1日1ミリになるようなものが売られていると、それだけで一杯になるからです。このような規制は不可能です。つまりほうれん草だけ1日1ミリにして、小松菜はゼロ、大根もゼロということになると、「なぜ、ほうれん草だけ農薬が認められるのか」ということになり、またほうれん草が好きな人と、買わない人で大きく農薬の摂取量が違うことになります。だから、毒物の規制というのは原則として、1日に買うものがすべて汚染されているとして規制値を決めるということになります。それで初めてお母さんは農薬のことを気にせずに買い物をしても子供の健康を損なうことはなくなるのです。このようなことは少しでも毒物規制のことを知っている人は、十分に判っているので、政府、東大教授、NHK、大丈夫おじさんなどは「故意に人を被曝させた」と言えると思います。・・・・・・・・・もう一つは「値」そのものです。私の4月、5月のブログに細かく書いてありますが、食材の内部被曝は預託実効線量というのを使い、50年間の被曝量を出すという面倒なもので、しかもセシウムやストロンチウムなどによって異なり、さらに厳密に言うと年齢、臓器の個人差なども考慮しなければなりません。科学的にはそうなのですが、現実に毎日忙しく働いているお母さんにとってみれば、そんな計算をしている時間はありません。そこで、私は「1キログラムあたりのベクレルを100で割ると、1年のミリシーベルトになる」と言ってきました。これは被曝の主要なものがヨウ素とセシウムであり、そのほかにストロンチウムなどの被曝が少しあるので、セシウムだけなら130ぐらいで割るのが良いのですが、測定されていないストロンチウムや最初のころのヨウ素のことを考慮して、100でわることをお勧めしていました。これに対して「NHKや大丈夫おじさん」などがゆるめの計算をしているので、迷う方もいるようです。 この説明は横浜市が「大丈夫市長」と「大丈夫おじさん」の連名で作った市民向けパンフレットで、水を含んで1年5ミリ、水を除く食材ではセシウムの内部被曝だけで年間4ミリシーベルトを基準にしています。そうすると、平均として1キログラムあたり425ベクレル((200+500+500+500)/4)としています。これに対して私の計算では食材からの被曝を1年0.4ミリシーベルトとして、1キログラムあたりの基準を40ベクレルです。若干の差がありますが、これは私の計算がヨウ素やストロンチウムを考慮して少し安全側で計算しているからですが、ほぼ同じで、違いは1割程度です。先日、初めて名指しで批判した流山市長や「順一」という人の場合、1)日本人を被曝から守ってきた現行法を無視している、2)食品安全委員会の1年5ミリも触れない、という二つのことを隠していますので、注意をしてください。間違った情報で子供を被曝させることはできないからです。流山市長は私が間違っていると言われていますが、無責任なことを言わずに、具体的に何が問題かを指摘しなければなりません。私が人を批判しないのは、事実が問題で「有名教授の間違い」などと書くなら、その代わりに「どこが間違っている」とか、より積極的に「このように考えなければならない」と書く方が、流山市の子供を守るのに役に立つと思います。さらに、国は1年5ミリの暫定基準を改定し、食材だけで1年1ミリとする方針を出していますが、これも中途半端で、国も早く遵法精神を思い出し、{外部、内部合計した実効線量が1年1ミリ}で実施してください。(平成23年11月27日)武田邦彦
2011年11月28日
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節約と環境・・・心と科学「ゴミを減らすと環境が悪くなる」というと、多くの人がビックリして「ゴミが増えれば」の間違いではないですか?と言われます。でも、本当は「ゴミが増える」ことが「環境を良くしてきた」のです。このことの本当の理由はこのブログでも何回か書きましたが、なぜ、多くの人が「ゴミを減らすと環境が良くなる」と考えたのかといいますと、「心の問題」を「科学の問題」にすり替えたマスコミの誘導に引っかかったにすぎません。人間の一生を幸福に過ごす条件の一つに「節約する」というのがあります.贅沢はすぐ心をお金に奪われて人生を見失いますが、節約は人に考える時間ときっかけを与え、その結果、充実して幸福な時を過ごすことができます。イエス・キリストが「貧乏は神に近く、裕福は神から遠い」と言われたのも同じ意味です。人間の心は弱く、お金が手に入ると心を失っていく、つまり{心+お金=一定}というような関係にあるのです。だから、「節約」とか「もったいない」というのは実は「心」の問題で、そのような生活をした結果、「環境」という科学がどうなるかは別問題だからです。環境は、空気の中の不純物、水の清浄さ、食品中の毒物、あるいは放射線量などですから、「心」とはまったく無関係です。・・・・・・・・・ところで、人間が生活すると自然を破壊しますが、あまりひどくなければ自然は自然の治癒力で人間の汚したものを始末します。でも、現代の人間の活動は自然の治癒力を遙かに超えているのです。今から200年前のイギリスで、現在の日本人の500分の1の物質消費量になったとき、自然は破壊を始めました。だから、日本の自然に人間の活動のゴミを片付けて貰うためには、生活を500分の1にしなければならないのです。そんなことは到底できません。日本の人の10人に9人は死んで貰い、水洗トイレ、冷蔵庫、自動車、新幹線、携帯電話などを一掃しなければ500分の1にはなりません。今の日本の環境が素晴らしいのは、産業が物を作り、それを販売して利益をえて、その利益で日本人のゴミ(汚れ)を自然の代わりに綺麗にしているからです。つまり、ゴミを出す(=購買量が多い=企業が収益をあげることができる)から環境が綺麗になるというのが「科学的事実」なのです。・・・・・・・・・私がこれまでこのようなことを言ってきたのは、「事実を直視する勇気」が大人になければ、子供は守れないということですが、その一つが今回の原発事故になりました。地震は東海地震だけではなく、原子炉が耐震・耐津波設計をしていない、救命ボートもないという事実に目をふさいでいたのです。さらに、現在でもなお「原発は安全だ」、「1年1ミリの被曝の規定は意味ない」などと言っていますが、すこしでも子供たちの被曝を減らすために、ここでもう一度、あらゆる面で私たちは事実を見る勇気を持つべきです。(平成23年11月26日)武田邦彦
2011年11月28日
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横浜のストロンチウム問題横浜でストロンチウムが見つかり、これが福島原発のものかどうか議論されている。相変わらず、国(文科省)は「事故は小さく見せる。東電の責任ではない」というのに必死だが、文科省は国民の側に向いて、次のことに答えて欲しい。この写真はプルトニウム燃料を使っていた3号機の爆発だ。この炉の中にあった、いずれも6%のセシウムとストロンチウム、それにプルトニウムがどこに行ったのか、心配している国民に答えるのが、まず文科省がすることだ。東電のミスを隠すのに一所懸命になるのは一国の科学技術を所管する官庁としては恥ずかしい。まず、第一に「噴煙がなぜ上部に上がっているか」ということだ。何かの爆発が起こったとき、なにの制限がなければ四方八方に散る。1号機の爆発が水素爆発で、その煙が四方八方に散っているのは納得できる。原子炉の冷却水が無くなると、温度が上がって表面に付着している水や水蒸気と金属が反応して水素が発生し、それが炉から部屋の中にでる。水素は軽いので上に上り建物の天井付近で爆発する。それが1号機の煙だ。写真を見ると白い煙が四方八方に散っている。ところが、3号機は「ボン」と上に上がっている。上に上がるということは方向性を持っているのだから大砲のような「筒」が必要になる。3号機の簡単な図を示したが、建物の上のほうに空間があり、ここに水素がたまって、空気中の酸素と一気に反応して爆発する。それが水素爆発だ。ところが方向性をもって爆風が上部に上ったのだから、原子炉建屋の下の方で爆発が起こらなければならない。しかし、原子炉建屋の下は格納容器で囲まれていて、それが破裂するしか爆発することができない。たとえば格納容器の下部に温度が高い核燃料が落ち、その時に水蒸気爆発したか、あるいは臨界に達して小規模な核爆発が起きたかが考えられるが、それもやや疑問がある。・・・・・・・・・ところで、3号機はプルトニウム燃料を使っていて、プルトニウム濃度は9%程度だったと考えられる。またセシウム6%、ストロンチウム6%があった。1号機のように水素爆発なら揮発しやすいセシウムが多くなるが、下からの爆発なら、ストロンチウムもプルトニウムも同じように大気中に放出されたはずだ。プルトニウムは格別に重いので、あまり飛ばないことも考えられるが、ストロンチウムの酸化物はセシウムとそれほど変わらないので、同じように大気中を移動すると考えられる。そうすると、「ストロンチウムは無い」と繰り返す政府の根拠は論理的ではない。つまり、「事故を小さく見せて、国民を被曝させ、東電を守る」ということで終始一貫している政府の言動としては予想されることだが、「横浜や東京にストロンチウムもプルトニウムも飛んでいない」という研究を素早くやるなら、その前に、3号機の爆発を丁寧に説明する必要がある。国は国民の税金で運営されているだから、隠すのではなく、積極的に疑問点を説明する態度に180度切り替えなければならない。(平成23年11月26日)武田邦彦
2011年11月27日
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11月から12月のネットテレビご案内 1) 小学館 BOOK PEOPLE(ブックピープル) 「ガリレオ放談 -日本を斬るー」毎週金曜日あたりに新しいものになります。11月から12月は「被曝とホルミシス効果」です。 http://bp.shogakukan.co.jp/takeda/ 2) シアターテレビジョン:現代のコペルニクス 私の主戦場。11月24日に男性向け原発質疑応答を企画しています。 http://ch.nicovideo.jp/channel/ch2620 3) 竹書房 (すくパラ) お母さん支援。12月2日にお母さん向けの質問の時間を予定しています。 http://www.nicovideo.jp/watch/1318570079 4) やしきたかじんのそこまでやって委員会 ご存じ、やしきたかじんの人気番組「そこまで言って委員会」のネット版。1週間後と最新ニュースを中心に。 http://ex-iinkai.com/free/ 5) 岩上安身さんのユーストリーム 現代の日本を代表する「事実を伝える」ジャーナリストの岩上さんの放送です。 http://www.ustream.tv/recorded/15710358 武田邦彦
2011年11月27日
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12月4日と6日の講演•1. 12月4日 長野県中野市日 時 : 平成23年12月4(日) 13:30~15:00主催者 : 中野市豊田公民館対象者 : 一般の方々 約200~300名様予定会 場 : 中野市豊田文化センター(長野県中野市) *JR長野駅より会場まで約50分 •2. 12月6日 新潟県新潟市12月6日午後2時から新潟 新潟テレサのホール武田邦彦
2011年11月26日
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なぜ、医師の発言が禁止されるか(2)・・・予防原則適応時に許される行為多くの人は学校教育の内容が不正確であることもあって、「水俣病」というのは「企業が水銀が毒物と知っていながら、垂れ流した」と思っています。でも、企業は国や熊本県が認可した排水基準を守っていました。つまり、時として企業は収益に走り、国民に被害を与えることがあるので、県や国が審査をして法律などに合格すれば認可をするのです。自分がその工場の人だったとします。あるものを使って運転をしようとして計画し、書類を役所に出して認可を受ければ、それを守って仕事をすることで非難されることなど考えないでしょう。水俣病が「水俣病」という名前がついているのは、水銀で本格的な病気が発見されたのが、水俣が初めてだったからです。それまで、女性のおしろいは酸化水銀、神社の鳥居の朱色は硫化水銀、そして歯医者に行くと水銀アマルガムを詰められました。水銀は普通に使われていたのです。今でも、「水銀」というものが常に毒性を持つのか、メチル水銀などのある状態の水銀が毒物なのか、ハッキリしないところがあります。しかし、人間はあることが起こる度に、反省し、知識を増やして、より安全で快適な社会を作ってきました。その一つが「予防原則」です。水俣病の時に、水銀が毒物であるということが学問的に判ったのは最初の患者さんが出てから6年後でした。その時に、漁民は操業の停止を求めたのですが、水俣市民の多くは操業を続けることを望んだのです。つまり、法律もなく、学問的にも不明で、患者さんが出ているという状態で仮に操業を止めさせた場合、その損害を誰が補償するのかハッキリしないからです。そんな経験を経て、1992年の環境サミットで「原則15:予防原則」が世界的に合意されました。その趣旨は「科学的に因果関係が不明な場合でも、怪しいときには予備的に規制することができる」というものでした。これが人間の知恵というものです。・・・・・・・・・1年1ミリシーベルトというのは、予防原則の思想で決められています。学問的にハッキリするまで待っていたら、被曝による被害者が出るかも知れないので、予防的に合意をしたのです。自然界から受ける自然放射線は仕方が無いのですが、原発からの放射線は「余計なもの」です。もし日本に原発がなければ、1年1ミリなどと言う規制もほとんど要りません。福島原発の事故が起こると、多くの医師が「1年1ミリを守る必要はない」と発言し、今でも言い続けています。でも、医師の人は「予防原則」というのが悲惨な多くの犠牲のもとに、人間の知恵で創り出したものであることを勉強してください。というのは、「1年1ミリを守る必要がない」と言っている医師、テレビや新聞などの記者はどうも、これまでの公害の歴史、予防原則、人間の知恵について、よく知らないようなのです。でも、社会に責任を持って発信するためにはこのぐらいは知らなければなりません。私が「なぜ、1年1ミリか」というのを科学的に説明せず、「法律、合意」として示しているのは、それが「予防原則」ですから、もともと科学的な根拠を議論できないものだからです。・・・・・・・・・ところで、私は「人を批判せず、内容を批判する」ということを守ってきました。今まで、首相、大臣、東大総長、特定の権力者を別にすると個別の名前を挙げて批判することはしませんでした。でも、今は福島をはじめとした子供たちが被曝しています。この被曝を止めるために、今日から個別の名前を出すことにしました。流山市長と福島の「順一」(聞くところによると塾の先生)という人が、「1年1ミリを守る(法律を守る)必要はない」という趣旨と、私を関係の無いこと(私がバナナを食べたことがないと推定していること)で個人的に批判しています。私の批判などはどうでも良いのですが、この二人の言動の目的は福島の子供たちに余計に被曝させることなので、放置できません。予防原則を勉強して、すぐ子供たちを被曝させることを止めてください。子供の健康はあなたたちのものではありません。(平成23年11月25日)武田邦彦
2011年11月26日
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もう一度、思い出そう:原子力基本法の「ダダ漏れ原則」日本が原子力の開発に乗り出すにあたって、当時の政府は国民に大きな約束をしました。それが「自主、民主、公開」です。アメリカの指示を受けず、どんな手続きも民主的に、そしてすべてを公開することを約束したのです。このような民主的な手続きが国民と政府との間に取り交わされた場合、それを守る誠意こそが民主主義を発達させ、こそこそと破るようなことがあれば、それは民主主義を崩壊させることになるでしょう。このとき、日本学術会議は声明を出し、「この場合の「公開」とは、原子力についてのすべてのことを公開することであり、それは例外を許さない」ということでした。・・・・・・・・・当時から見ると、日本社会はかなり弱くなっているようです。政府は断固たる態度をとっていません。民主党政権の中にはかつて社会党で原発に反対した人が多いのに、東電の「片付けない、お金を出さない、被曝させる」という基本的な態度を指示しています。日本学術会議(学者の集合体)も今度の事故で動かないというより、逆方向の言動が目立ちます。気象学会は事故直後、「誤解を招くといけないので、福島の風向きの研究は発表するな」と憲法に違反する疑いのある指令を理事長から出しますが、学会を監督する立場の学術会議は動きません。また、横浜市が1年5ミリまで被曝する食材を提供して良いという市報を出すときに、日本学術会議の幹部を名乗る東大教授が「被曝は大丈夫」との解説をします。オープンで国民のための原子力という日本の方針は有名無実になっていました。・・・・・・・・・もう一度、「原子力は公開」、つまり「ダダ漏れ」であることを再確認したいと思います。東電が原子力発電を使った商売をすることができるのは「公開の原則」を守るという前提付きです。決して、一般の商売のように「ビジネス上の秘密」などを作ってはいけないのです。それでは「東電が蓄積したビジネス上の秘密を保護しないと、日本のためにならない」という反論があるでしょう。でも、その反論だけではダメなのです。原子力というビジネスをする前提条件は「公開」です。だから、「公開の原則を守りつつ、会社が蓄積した知識などを守るにはどうしたらよいか」ということを実施者(東電)自身が研究して、開発しなければなりません。つまり、原子力を商売にするのは良いのですが、商売する人が自分の儲けのために、あるいは勝手に「日本のため」ということで「秘密にして良い」と自分で決めることはできませんし、政府も国民の了解なしに勝手に「これは秘密にしてもよい」などと決めることもできないのです。日本は主権在民ですから、首相はお殿様ではありません。(平成23年11月25日)武田邦彦
2011年11月25日
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フランス人と日本人・・・論理と御札の違いフランスと日本は原子力を中心的な電力源として進めてきた国ですが、その内容はかなり違います。この図はフランスの原発が立っているところを示していますが、ほとんどが内陸で、パリのすぐ南にも、またパリの中を流れるセーヌ川の上流にも原発があります。原発は水で冷やさなければならないので、海か川が必要です。日本なら、「原発は危険なのだから僻地に作れ」とか、「原発の廃液を琵琶湖に流す?!」と強烈な反対運動が起こりますが、なぜ、フランスと日本でこのように大きく違うのでしょうか?・・・・・・・・・日本人の考え方は次のようにまとめることができるでしょう。1) 「原発は安全である」という御札を床の間に飾る。理由は原発が安全なのではなく、電気が欲しいし、地元では交付金がでるから。御札が貼られると首相から市長まで全員が「安全だ」と言う。2) 「原発は危険である」と心の中で思っているので僻地に作って、危険手当として交付金を出す。心の中で「原発は安全だが、危険だ」という相矛盾した結論を受け入れることができる。・・・・・・・・・これに対してフランスでは次のように考えるようです。•1) まず原発が安全かどうかを考えて決める。•2) 安全ならパリの近くだろうが、排水がセーヌ川に流れようが、安全を保って運転する。•3) いったん運転を開始しても(スーパーフェニックス:高速増殖炉のように)危険と考えたら廃炉にする。・・・・・・・・・原子炉はまあまあなあなあの日本人の文化には合わないようで、フランスのように論理でしっかり考えていくことが必要なのでしょう。その点で、日本の原発を再開するかどうかは、まず京都の電気を原発でまかなうことを決め、原子炉を琵琶湖湖岸に作って琵琶湖の水で冷却することが認められること、その時に滋賀県にも立地の自治体にも交付金は出さないということで日本人が判断することが良いと思います。(平成23年11月24日)武田邦彦
2011年11月25日
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論理不整合003 熱容量と海洋性気候リサイクルが始まった頃、なんでこれほど近代科学で確立されたエントロピー増大の原理に反する行為を多くの学者が支持するのか不思議でたまりませんでした。もちろん、学問は間違いを含み、それを訂正しながら進むのですが、学者ならエントロピーの増大の原理(分離のエントロピー、純度低下(不純物拡散のエントロピー)など)がリサイクルに限っては成立しないことを示すのが最初にやるべきことだからです。宇宙が膨張を続けている間は、時間が元に戻らず、エントロピーが増大し続けるのは避けることができないからですし、人間の活動はまさに自らのエントロピーを下げるために外界の増大を伴うことだからです。それでも「ゴミは分けると資源」などという非科学が社会に通っていったのです。節約は心の問題ですし、環境は科学が計算できるものです。それを利権派の誘導で、混同したようです。・・・・・・・・・地球温暖化問題が起きたときも、私はなんでこれほど近代科学を無視した話が出てくるのかと不思議に思いました。アメリカや中国などの大陸国の内陸部はともかく、日本のように四方を海に囲まれている国が大気の温度の上昇が気温の変化に結びつくはずもないからです。物理学の初歩に「熱容量、熱バランス、伝熱」などがあります。物理学ばかりではなく、化学工学、材料工学、機械工学などあらゆる分野でこの基本的な学問は考慮されます。およそ技術者なら地球温暖化に疑問を持たないことはないでしょう。大気中にあるCO2が太陽の反射光(長波長)を受けて振動し、その振動が窒素や酸素に移って2℃ほど上がったとします。そうすると海洋との間の平衡が失われますから、熱が大気から海洋に移動して海洋の熱を上げますが、水は空気に対して3500倍の比熱を持ち、かつ海水面から垂直方向で水温が低下しますので、大気で海洋を暖めることはできません。また、地表の3分の2が海洋ですから、海洋から1000キロほど内陸に入らないと、海洋の影響を受けない状態にはならないのです。つまり、簡単に言うと、「地表の熱のほとんどは海洋の熱である」と言えます。お風呂を沸かすのにお風呂場の空気を80℃に暖めても風呂は沸かないのですが、このことはCO2による短期間(100年、200年スパン)での気温上昇は難しいことを示しています。また日本のような海洋国家では、CO2のコントロールで気温に変化をもたらすこと自体、不可能です。このような伝熱や熱容量の問題は、大学の物理で出題するなら計算は簡単に手でできる範囲であり、なにもスーパーコンピューターが出場するものではありません。地球温暖化の問題は科学的な論理が不整合です。・・・・・・・・・さらに、アメリカと中国はCO2をほぼ世界の半分、排出していますし、大陸ですからもっとも影響を受けやすいのですが、まったくCO2の削減を行っていません。これに対して、「アメリカと中国はバカだから」という理由が述べられますが、国際社会のおける日本の存在価値の低さからいっても、アメリカや中国より日本の外交がより深く戦略を練っているとは考えられません。その意味では、地球温暖化は日本の田舎芝居(NHKに代表されますが)の様相が強く、到底、論理が通っているとは考えられないのです。現代の子供は、地球温暖化やリサイクルで利権を貪る人たちによって不景気になり、技術は停滞し、お金を配る政治がはびこり、将来の日本の夢を奪われているように感じられます。(平成23年11月23日)武田邦彦
2011年11月24日
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外部被曝 それでも地図がぼけている人に地図を直接貼り付けましたが、少しぼけているようです。そこでファイルを貼り付けてみました。クリックかダブルクリックすると図が立ち上がると思います。JPGとPDFです。「110911map.jpg」をダウンロード「110911PDF.pdf」をダウンロード(平成23年11月23日(水))武田邦彦
2011年11月24日
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外部被曝 地図が見にくい人へ(追加)地図が見えにくいので、貼り付けてみました。クリックしてお聞くすると見やすい場合もあります。武田邦彦« 今後の生活設計のための計算(3) 空間線量の確定 | | 外部被曝 それでも地図がぼけている人に »[トップページへ戻る]>[■■■■ 特設の2](C) 2007 武田邦彦 (中部大学) 引用はご自由にどうぞ
2011年11月23日
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今後の生活設計のための計算(3) 空間線量の確定空間から被曝する量は外部の放射線の量(1時間あたりのマイクロシーベルト)に1年の時間、普通なら8760時間をかけて1000で割るとミリシーベルトになるから簡単なように見えます。たしかに、事故の最初の頃はなんといっても、「おおよそどのぐらい」というのが判れば、逃げるかそこにいて良いかなどが判断できました。でも、これからの生活を設計するためにはもう少し詳細にわからなければなりません。最初のころは食材の被曝や土ホコリの影響が不明でしたので、外部被曝の計算に入る自然放射線などは除く必要は無かったのです。でも、今は汚染が拡がってきましたから、外部被曝から自然放射線の量を除き、それに食材などの被曝を加える必要がでてきました。でも、ここで重要なことは、放射線というのはなかなか難しいものですから、厳密にやろうと思うと疲れて失敗することになりがちです。「完全にやろう」というのではなく、子供を守ることができる範囲で判れば良いぐらいの方が役に立つでしょう。・・・・・・・・・まずは、この図を参考にしてください。自分の住んでいるところがおおよそ0.25(1時間マイクロシーベルト)なのか0.5なのかの検討をつけます。ちょうど、0.25と0.5の間の時には、「比例配分」というのをします。0.5の線に近ければ「0.4ぐらいかな」と見当をつけ、0.25に近いところなら「0.3あたりかな」と思うのです。キチンとやる場合には、図を右クリックでコピーをして、それをパソコンの図として出して、拡大し、ご自分がお住みのところだけが大きく見えるようにします。そしてそれをプリントして定規で自分がお住みのところが線に乗るようにして0.25と0.5の間に線を引きます。そしてその線を5等分して、0.25の次が0.3、次が0.35、0.40、0.45、そして0.50と繋がるようにします。これで「有効桁 小数点以下2桁」になりますから、これ以上細かくすることはありません。もちろんプリントしなくても目分量でだいたい決定できるでしょう。また0.125以下のところにお住みの方は0.125に近い場合は0.10とし、そこからかなり離れていたら0.08もあり得ると考えてください。でも関東から岩手までの場合は0.1がもっとも小さな値でしょう。日本海側、北海道、中部から関西なら0.08もあります。・・・・・・・・・まず、外部線量の見当をつけたら、それから前回示した自然放射線の量を引いて、「福島原発事故で余計に浴びた外部線量」を計算します。つまり、{0.25(図から決めた外部線量)-0.04(自然放射線の量)}=0.21マイクロシーベルト(1時間) を出して、それに{8760時間÷1000=8.76}をかけますと、1.8396という数字が出てきますから、小数点3桁目の9を四捨五入して、1.84ミリシーベルト(1年)となります。いつも「小数点2桁まで」と覚えておいて、それより下は四捨五入します。この場合は外部線量だけで1年1ミリを超えますので、栄養や転地なども考えなければならないでしょう。・・・・・・・・・最初から細かく計算してはいけないのは、全部を計算してまた細かく見直す必要があるからです。科学ではこのような計算を第一次近似、第二次近似などと呼び、事実を知るには良い方法です。また、3月は週ごと、4月は上旬と下旬、5月からは1ヶ月ごとに分けて下のような表を作っておくとこれから便利です。モデル表を作ってみました。表の「3月の1」と「3月の2」は避難した人は「避難前」と「避難後」になるでしょう。水と土ホコリのところは私の感じで入れておきました。外部の自然は先回の自然放射線の量を入れ、今回、地図から見た線量率を次の欄に書き入れ、それを差し引いて「外部線量差引」に書き込み、それに時間をかけて一番右端のミリシーベルトを入れます。それと水、土ホコリを合計すると食材以外の被曝がでます。表の作成に慣れていない方はイヤになってしまうと思いますが、ここは頑張って間違っても良いから入れてみましょう。少しずつ慣れます(習うより慣れろ!)。(平成23年11月23日)武田邦彦
2011年11月23日
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損なった日本人?・・・ある会館職員のにらむ目先日、名古屋である大手の会社の会館に行く機会があり、少し早く着いたのでロビーで座っていました。誰か背の高そうな男性がソファの方に歩いてきたので、つい見上げるとにらむような目で私を見ているのです。「なんだ、こいつ!」という感じでした。それから数分後、私はその人が会館の受付係の一人であり、残りの二人の女性も同じように仏頂面をして接客のカウンターに座っていることがわかりました。営利を目的としているホテルなどで客にこんな顔をする人もたまにいるのですが、さすが大きな企業の会館だと感心しました。もともと日本人というのがこんなにぶっきらぼうだったのか、それともほとほと生活に疲れてその精神的なストレスが顔にでているのか、もう少し陽気に勤めた方が本人も楽しいのにと可哀想に思いました。暫くすると、その職員さんは威風堂堂、肩で風を切ってロビーを横切ると玄関先で腰に手を当ててあたりを睨んでいました。ちょうど、5時を少し回る夕刻で、私はその人のおかげで日本人というものの変化について考え、時間をつぶすことができたのです。・・・・・・・・・江戸末期、多くのヨーロッパ人が日本を訪れたとき、ほとんどの人が「なんて陽気な民族なのか!」と驚いています。いたずらはする、笑い転げる・・・彼らの目に日本人(庶民)は、礼儀は正しいし、働き者なのに無邪気な国民に映ったようです。今でも地方に行くと、客に対して情あつく迎えてくれるかつての日本人の面影をみることが多いし、都会の人より地方の人の方が日本人の良いところを残しているような気がします。ペリーの浦賀来航によってすっかり心が裂かれ、何が何だか判らなくなった日本人。身分制もなく、皆殺しもせず、笑いながら過ごしていた日本列島の素朴な民族はすでに失われていったのでしょうか?東京電力は福島の大地と多くの人を苦しめ、それでも頭を下げず(本人たちは十二分に頭を下げていると思っていますが)、名古屋の中部電力も未だにかなり居丈高です。中央官僚や政治家の多くは「日本の中枢としての魂」より、税金を増やして国民を支配するということに興味があるようです。その一方で、多くのお母さんが子供の被曝に苦しんでいるのに流通はベクレルを表示してくれません。社長が1億円を超える年俸をとる中でわずか200万円の賃金で臨時雇用されています。力があれば少しの贅沢は良いとしても、同じ日本人としてあまりに不適切な分配のように思えます。礼儀正しく、善良で、陽気な日本人。若干の能力差があっても、神様や天皇陛下に比べれば、自分たちの差など同じようなものだと謙虚に分け合った日本人。何の役にも立たないマネーに目がくらんだ哀しい日本人を見るような気がします。(平成23年11月22日)武田邦彦
2011年11月22日
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11月25日 留萌市講演11月25日 留萌市で講演をします。 夕刻6時からで、留萌市中央公民館ホールです。主催は留萌市で広く留萌市にお住みの方ばかりではなく、一般の方に公開されると言うことです(無料と思います)。 武田邦彦
2011年11月22日
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なぜ、医師の発言が禁止されるか(1)・・・安楽死と被曝相変わらず「被曝しても100人に0.5人がガンになるだけ。被曝は大したことは無い」と講演する医師が後を絶たない。日本社会はまだ未成熟なところが多いが、本当は「そのような医師は、医師会が除名処分をして医師の資格を剥奪しなければならない事例」に当たり、見方によっては重大な医療過誤として警察が逮捕してもよい可能性が高い。・・・・・・・・・まず簡単な法律論から考えてみたい。 一般大衆の被曝に関する法律や規則は数多いが、すべて「1年1ミリが限度」となっていて、一般公衆をそれ以上の被曝の危険にさらすと、「晒した人」が罰則を受ける。つまり放射線を出す原因を作った人が罰則を受けるのであって、(当然だが)被曝した人が罰を受けるのではない。日本のすべての法律が「1年1ミリ」だが、そのうち、もっとも最近になって改正されたのが「電離放射線障害防止規則」で、今年{2011年1月}に改正されている。だから、「古い法律だから」という言い訳も成立しない。今回の福島原発事故の場合、罰せられるのは東電だが、「逃げれば被曝しないのに逃げなかったので、1年1ミリ以上の被曝(実効線量だから外部被曝と内部被曝を合計した被曝量)」について法律的な記載はないように思う。つまり、放射線で被曝するのに「逃げない」ということは考えられないからだ。ところで、医師などの専門家が「逃げなくても良い」と言った場合、それは法律違反なのだろうか? 私は法律違反かどうかはあまり厳密に議論したくないが、日本国が「その場にいたら病気になる可能性がある」としているところに、医師などの専門家が「そこから立ち去らなくても良い」と積極的に発言したら、倫理的には少なくとも不適切と思う。このことを医師はよく考えて貰いたい。・・・・・・・・・第二に、「医師」という専門職が「自分の見解を独自に」述べることができるかという問題だ。これはこのブログで再三、解説したので重複を避けるけれど、「医」という領域について社会が「医師」を認定しているのは、専門家として「医師会、あるいは国会など」で公的に承認された診断、治療しか行えない、ということである。わかりやすく言うと、医学者は安楽死を研究しても良いが、医師は自分の判断で安楽死の診断、治療(安楽死を治療というのも変だが、医師は治療の一環として安楽死を行う)をしてはいけない。それをするにはあらかじめ医学会か国会などの承認が必要となる。実施者が自ら実施することの適否を考えてはいけないのは、「裁判官が法律を作って裁く」とか「牧師が聖書を書き直して教会で使う」などがそれにあたり、専門家には許されてはいない。・・・・・・・・・この2つの当たり前のことがあるのに、多くの医師や専門家が「1年1ミリより多くの被曝はかまわない」と言っていることは理解に苦しむ。もう少し職業倫理をしっかりしてもらいたい。「その場にいて被曝を増やす」とか「汚染されている食材を給食に出すのを認める」というのは、「安楽死=能動的な医療過誤」であることと同じように、「被曝許容=受動的な医療過誤」であることは間違いない。医師の治療は自ら能動的に行う場合と、患者や一般人が健康を害することが明らかであったり、法律で定められていることに違反して直接、国民に呼びかけることはできない。医師も理性と倫理観を持って貰いたい。・・・・・・・・・ところで、このような場合でも、「国民の被曝が終わったら」議論は大切である。つまり1年1ミリという規制は時代とともに変わるので、大いに議論が必要である。しかし、第一に専門家同士の議論が先になければならず、被曝中に国民に呼びかけてはいけない。時速80キロに制限されている高速道路を走っている最中に、時速160キロに変えてはいけないということだ。医学者や医師は判断能力があるのだから、ここで書いた内容を理解していただき、国民の健康を守る確たるルールを作ってもらいたいと思う。(平成23年11月21日)武田邦彦
2011年11月21日
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論理不整合002・・・規制値と電気代事故が起こる直前までの被爆の規制値は、1)人(一般、子供、原子力作業者、医師)が1年1ミリ、2)原子力発電所境界が1年0.05ミリ、3)「これなら捨てられる=クリアランスレベル」が1年0.01ミリ、だった。そして、この値を基準にしてすべての設計、施工、運転、管理、測定などが行われていた。特に注目すべきは、原子力作業者で1年20ミリの許可を得ている人についても1年1ミリの自主規制をして、そのために3万人の従業員を8万人に増やして、その人件費も電気代に入れていた。つまり規制値が1年1ミリと1年100ミリでは、設備から人数まですべてまったく違う取り扱いになる。私の経験も考えると、もし1年100ミリなら電気代は2分の1(半分)になっただろう。すべての設計が緩くなり、安全設計が軽くなり、管理が弱くなり、人数が減り、測定器が激減するからだ。•1) 3月11日まですべての規制を1年1ミリでやってきた。最後の法律規則の改正は、2ヶ月前の2011年1月(電離放射線障害防止規則)である。•2) その結果、厳重な設計、管理が行われ、人件費も含めて世界でもトップクラスの高い電気代を払っていた。•3) 3月12日に事故が起こると、1年100ミリを主張する人が多く出てきた。その人は「これまで過剰な設備と管理で、高い電気代を払っていたのは不当だった」と言わなければならない。•4) 1年1ミリとか、土壌の汚染(1平方メートル4万ベクレル)などを違反すると法律に基づいて罰せられていた。「規制値と電気代」はこれまで論理の整合性があったが、1年100ミリとなると、突然、論理不整合が起きる。・・・・・・・・・福島事故が起こってから、子供たちを被曝させるのに懸命な人が多く出現した。ほとんどが法律違反をしているのだが、今のところ逮捕されていない。野菜を売りたいから法律を違反して汚染されたものを売り、子供たちを被曝させても罰せられないというのは実に奇妙だが、今の検察や裁判所なら仕方が無いだろう。しかし、電気代が高かったというのはそれとは別の「社会正義」の問題だが、電力会社の収益が「コストに比例する」というのを利用して、1年1ミリという「過剰な規制」を作り、「自主規制」を行い、コストを高くして、収益を増やしていた疑いもある。どちらでも(1年1ミリ違反でも1年100ミリでも)、法律遵守、あるいは粉飾決算なみの正義に反する行為として、電力会社とそれを応援する人が「善良な国民」に復帰するのを望む。(平成23年11月20日)武田邦彦
2011年11月21日
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今後の生活設計のための計算(2) 自然放射線を引き算する今後の生活設計をしっかりするために、一にも二にも、これまでの被曝を計算し、これからどのぐらい余裕があるかがわからないと、生活も転居も決意できません。ホールボディーカウンターや尿の検査より遙かに正確です。計算してみると思いがけなく被曝が少ないこともあるでしょうし、逆の場合も考えられます。とにかく、事実を把握するのが大切なので、今の内からコツコツと計算しておきたいと思います。全体像は先回に示しましたが、頭の中に、1)空間(外部)、2)食材、3)水、4)ホコリ の4つを念頭に置いておきます。おおよそ、0.4+0.4+0.1+0.1=1.0 が目標値です。今回は空間(外部)からの放射線で、自然放射線の分をどのぐらい差し引けば良いかをハッキリさせたいと思います。まず、次の値を使って、自分が住んでいるところの空間線量から差し引くことからはじめます。たとえば、自分の住んでいるところが0.58として、下の表の値が0.04なら、0.58-0.04=0.54(マイクロシーベルト/時間あたり)が福島原発の事故で自分や家族が被曝した空間線量ということになります。表には都道府県別に自然界に存在する空間線量を示しました。このデータは今から10年ほど前の、10年ほどの平均値で事故の前の測定だから信頼できるものです。岩手から静岡と違う地域にお住みになるかた、もしくはこれからの移住を考えている方は最後尾の地図(都道府県別の白い地図)を見てください。移住先は冬なら、沖縄(0.029)、大分(0.033)がお勧めです。中国の黄砂の影響が少なく、低線量率だからです。また、来年の春からなら北海道(0.032)や秋田(0.036)がお勧めです。秋田は海からのものが汚染されていないことがポイントです。・・・・・・・・・より詳しく納得したい人には、注意点がいくつかあります。まず第一に自然放射線は、0.042とか言うように少数点第3桁まで示してあるものが多いのですが、最後の"2"は四捨五入しなければなりません。というのは科学の計算をするときには、「有効桁」というのがあり、人工的な放射線量の測定精度(せいぜい小数点2桁)に合わせなければならないからです。第二に、地質学上の自然放射線(この記事の一番下にグラフを示します)と生活空間のものは違いますので、それに振り回されないことです。また類似したことですが市町村単位であまりに詳しい自然放射線量を考えないことです。もし自分が3月12日からの「1時間ごとの居場所」をすべてリストアップとして、車で運転している時には短い時間でも細かく思い出して計算する覚悟があれば、細かい地域を問題にするのが良いのですが、普通はそんなことはできません。ですから、「ぼんやり」がこの場合は良いのです。最後に、より深く理解するために一つのグラフを示します。東海道新幹線に乗って、関西から東京へ向かった人が測定した空間線量で、最初のうち(左)は高く、東京に向かうと低くなることがわかります。さらに、その途中にガクンと低くなりますが、これが日本列島を二つに分けている中央構造線です。つまり、この線の南側(西側)の日本は花崗岩などの放射性物質を多く含む岩石が多く、東側は関東ローム層などの低い放射能の土壌が多いことを示しています。計算は一つ一つになりますが、よく内容を理解して、いろいろな情報に惑わされず、しっかり子供を守ってください。(平成23年11月20日)武田邦彦
2011年11月20日
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ダブルBからシングルMへ・・3 ゲンゴロウとトキ「トキ」はあまりにも大きい。背のたけ80センチ。羽を広げれば1メートル30センチもある鳥だ。こんな大きな鳥がこの狭い日本に野生で棲むことはできない。歴史を調べてみるとトキが減り始めたのは江戸時代で、ニホンオオカミ等とともに徐々にその数を減らして行き、明治(まだ農薬を使っていない時期)には絶滅寸前になっていた。・・・・・・・・・「ゲンゴロウ」はありふれた虫だった。60年前、東京のどこでもかしこでもゲンゴロウを見ることができた。愛嬌のある虫だったから女性にもそれほど嫌われず、水たまりにはゲンゴロウが泳いでいる姿があった。そのゲンゴロウが東京で静かに絶滅した。誰も気がつかず、「保護運動」は盛り上がっていない。なぜ、東京に住んでいる人がトキの保護運動をするのだろうか? そう聞くと答えは決まっている。「トキを保護しようとしているのではない。自然を守る象徴として運動している。」でも、その人はコンクリートジャングルに住み、エアコンの中で過ごし、コンビニが500メートル以内にないと文句を言う。もちろんゲンゴロウの絶滅や舗装で根絶やしになったミミズなど関心はない。命の尊さ、自然との共生・・・東京のゲンゴロウの絶滅・・・まさに現代日本人のダブルBだ。く考え、現実を見、人生を考え、シングルMに戻りたい。(小学館から「生物多様性のウソ」という書籍を今年、出しています。私は自分の心の中にあるダブルBが子供たちを被曝させたのではないかと強く思います。)武田邦彦
2011年11月19日
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論理不整合・・・耐震・耐津波設計のない日本の原発福島原発事故は、世界430基あまりの原発で、はじめての「通常運転時の大事故」です。「2番目でなにが悪いのですか?」という発言が話題になったことがありますが、「ビリ」なのですから本当に恥ずかしいことです。国際的にみて日本だけが失敗をするようなときには、その裏に大きな「論理の不整合」があると私は思います。なにか、社会的な狂乱状態になり、日本人の力が発揮できなくなるのです。そこで原発の論理不整合を少し整理してみます。論理を整理するときには例外や細かいことにあまりとらわれず、本質だけを見るようにしてください。・・・・・・・・・•1) 世界の原発で震度6クラスの地震地帯に建設されている原発は日本だけと言ってよい。•2) 地震や津波が来ないところで設計されたものは、地震や津波に対して十分な考慮がされていない。•3) 日本の原発はアメリカで設計されたものであり、日本の技術者が日本の原発を設計したことはない。•4) 「耐震設計」と「耐震補強」、「耐津波設計」と「耐津波補強」とは違う。たとえば、「防潮堤」は原子力発電所の耐津波設計が無いので、外側に波を防ぐ壁を作るというものである。【結論】 論理の整合性から言えば、日本が独自に耐震・耐津波性の優れた原発を設計しないで、単に「防潮堤」などのその場しのぎの対策に終始していたので、福島原発は爆発した。・・・・・・・・・「防潮堤の高さを高くしたら原発は安全になる」ということも言われますが、上記の論理からは「安全になるはずはない」ということになります。たとえば今回の東海第二の事故のように、「どこからか水が漏れてきた」というだけで電源が泊まってしまうからです。なぜ、「原発は海岸に経っていて、電気は塩水に弱いのに、電気関係の機器が地下にあるのか」というと、それは「津波など予想もしていない人が設計した」からです。私たちはここで「賛成・反対」という前に「論理は整合しているか?」に注目してみる必要があると思います。(久々、音声あり)。「takeda_20111119no.306-(7:10).mp3」をダウンロード(平成23年11月19日)武田邦彦
2011年11月19日
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11月24日 川口市・草加市講演のお知らせ11月24日 川口市・草加市で講演会を行います。時間 午後6時から場所 アコスホール(東武伊勢崎線・草加駅東口より徒歩1分)クリックするとすこし見やすくなります。武田邦彦12月1日 名古屋 スペシャルセミナーのご案内12月1日ウィンクあいち大ホールで日経新聞主催のスペシャルセミナーがあります。開場は午後6時30分、終わりが午後9時過ぎです。入場無料。森永さんが11月24日、重田さんが12月7日、私が12月1日です。武田邦彦« 11月24日 ニコ生・原発・理
2011年11月18日
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今後の生活設計のための計算(1) 全体のこと原発事故から8ヶ月経って、多くの人が「これからどうしようか?」という段階にあります。人によっては4月に注意しなかったので、大丈夫だろうか?とか、来年からどこに移住しようか?など考えておられるとおもいます。そこで、何回かに分けて「被曝計算」をしてみたいとおもいます。これまでもブログに被曝計算を載せてきましたが、爆発直後は、これからどうなるか判らないという状態でしたし、「直ちに健康に影響がない」などという間違った報道も行われていたので、不確実なことが多い状態でした。しかし、すでに8ヶ月を経った現在時点での計算の方法を示します。これまでの被曝量、そしてこれからの被曝量の検討をつけておくためには「健康のため」にも「安心のため」にも必要です。2011年11月17日、福島のお米が国の審査を通って「安全宣言」が出た後に、1キロあたり600ベクレルを超えるセシウムが検出されたりしています。このような報道はこれからも続きますから、その度にドキッとするのではなく、安心な生活をするためには、1にも2にも「正しくわかること」です。そこでここでは「ご家族が安心して暮らすため」に具体的な計算をしたいと思います。ホールボディーカウンターは尿の検査などより、計算の方が正確にわかります。ホールボディーカウンターはすでに体の中のヨウ素が半減期(8日)を遙かに超えているので、初期の被曝が判らないこと、尿はさらに体の代謝を考えなければならないので、難しいことから心配が増えるだけと思います。・・・・・・・・・被曝は「足し算」です。国などの計算では「牛肉だけ」とか「外部被曝だけ」を計算していますが、それではまったくダメです。医学的にも法律でも「実効線量」と言って、すべての被曝を足さなければなりません。計算に際してのメヤスは、4つの項目があり、全体は1年1ミリです。どうしても1ミリを超えてしまう場合は5ミリが次の制限です。その場合は別途、子供(若い女性を含む)を守る方法が違うますので、一応、計算をしてから考えたいとおもいます。計算する項目は、水、土ホコリ、食材、それに外部からの被曝です。それを、{水0.1ミリ、土ホコリ0.1ミリ、食材0.4ミリ、外部0.4ミリ}と割り振り、それを元に計算するのが良いでしょう。事故直後は、「死の灰」が空中に飛んでいたので、土ホコリなどから体内に入るものが多かったのですが、今はほとんどの死の灰が地面に落ち、一部はしみこんでいますので0.1ミリとしました。また、場所によってはまだ空間線量(畳、土や屋根、木の葉っぱなどについている死の灰から自分に来る放射線による)が高い場合もあり、その場合は外部が1ミリ以上になる場合もあり、そのような場合についての考え方も書いていこうと思います。外部被曝から順次始めていきます。(平成23年11月18日)武田邦彦
2011年11月18日
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セシウムとストロンチウム(専門家は何を提供すべきか?)現在のように多くの人が科学的知識を求められているとき、専門家(解説者)はどのように社会に対して正しいことを発信するかは非常に難しい。もちろん、科学だから厳密に正しいことが求められるが、それを追究すると結果的に誤解を招くことがある。「伝達」や「情報」は相手のあることだから、相手がどのように理解するかを考えなければならない。原発事故の直後、国のミスリードもあって、多くのお母さんは「家の中の放射線は外から来る」とか「原発から放射線が来ている」と錯覚し、「家の中に放射性物質がある」とは思わなかった。そこで、今では常識になった「除染」の「染」が「染める(そめる)」という字なので「ぞうきんで拭く」というのとあまりに語感に開きがあり、なかなか理解されなかった。そこで、間違いを承知で「除洗」という用語を使ったら、部屋の中をぞうきんで拭いてくれるお母さんがでて、その人からの情報で多くの人が濡れたぞうきんで室内を拭いてくれるようになった。その結果、室内の放射線量は3分の1から5分の1になって、幼児の被曝の危機はひとまず回避された。ただ、「武田は除染という字を間違えている。アイツは専門家ではない」というバッシングも受けた。社会はすべてを一度に納得させることは難しい。・・・・・・・・・今、同じ問題がセシウムとストロンチウム、プルトニウムなどの「核種」、「化合物」にある。事故の時に原子炉からでる放射性物質は希ガスをはじめとして、ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウム、ウラン、バリウム・・・など膨大な元素があり、それぞれの元素にはまた同位体の種類があるという超複雑な状態だ。一方、それを理解しなければならないお母さんは、毎日、子育てと家事、あるいは仕事に追われて細かいことを勉強する時間などない。しかし、日本の子供を最前線で被曝から守っているのもまたお母さんである。そこで、どのようにお母さんにこの複雑な化合物、元素を伝えるか、そこに工夫がいる。すでに希ガスはどこかに行き、ヨウ素は半減期を大きく過ぎた。これからはセシウム、ストロンチウムを中心に考えなければならない。この二つの元素は、「プラスイオンになりやすく、原子炉では6%程度できる」という点では「双子」であるが、沸点、融点、化合物の形、水溶性などではかなり異なる。だから「双子」と書くと専門家からかなり批判されるが、といって、お母さんがこの2つを区別する必要があるかというと、それより大切なことが多いので、セシウムとストロンチウムは「双子、兄弟」としてもそれほど問題が起きないような気がしている。・・・・・・・・・やはり、希ガス、ヨウ素、(セシウムやストロンチウム)、プルトニウムぐらいを覚えるのが精一杯だと思う.その点では半減期が30年で筋肉や骨にたまり、病気の元になる物として防御した方が良いと私は思う。また時期によっても違うだろう。最初はヨウ素に注意して貰い子供の甲状腺ガンを防がなければならないが、事故から半年から数年はセシウムとストロンチウムが危険なので、徐々に個別の性質を理解することも必要と思う。ただ、何を言うにしても、専門家(解説者)はバランスよく、一つの面からや、自分の考えだけをそのままストレートに社会に言うのではなく、全体像を示し、その中で「標準的なこと」と「先端的な知識」を分けることも必要と思う。この場合、わかりやすいというのと、科学的間違いを厳密に区別しなければならない。(平成23年11月14日)武田邦彦
2011年11月17日
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11月24日 ニコ生・原発・理屈編「1124nikonama.pdf」をダウンロード11月24日、シアターテレビジョン演出撮影・ニコニコ動画生中継で、「原発・理屈編」をやります。なぜ、日本の原発だけが運転中の事故を起こしたのか?津波が防潮堤を越えると原発は爆発するのか?東大教授はなぜ間違いを連発したのか?なぜ、市長は法律違反を繰り返すのか?エネルギーは枯渇するのか?地球は温暖化するのか?自然エネルギーは自然に優しいのか?ご質問を事前に出していただき、皆さんと一緒に「理屈」を考えていきます。私にとっての深夜実施。ご質問など下記にお願いします。■ご質問はこ ちらから!■http://theatertv.co.jp/contact/mailform/※当日は、事前質 問の方を優先させて頂きます。※お時間の関係で 全ての質問にお答え出来ない場合がございます。あらかじめご了承ください。※「シア ター・テレビジョン」HPのトップからもご応募可能です。武田邦彦
2011年11月17日
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被曝のことを「公衆衛生」ではどのように教えているか?先回、高等学校の教科書に被曝と健康についてどのように書いてあるかをご紹介しました。それによると「一般公衆は1年1ミリ」と明記されていることを示しました。こんなにはっきり書いてあるのに「1年1ミリといって危険を煽る」と言う人がいるのですから驚いてしまいます。今度は「公衆衛生」の授業の教科書にはどのように書いてあるかをご紹介します。まず、日本では自然放射線は低いのに、医療被曝が世界でも断然、多いことが示されています。この点についてすでに2004年にもヨーロッパの論文で、日本の医療被曝でガンが4倍も多いとされていて、話題になったことがあります。お医者さんとしては、検査した方が患者さんも安心するし、もし十分な検査をしなければ医療ミスで訴えられるし、検査はお金になるので、どうしても過剰な検査をします。それに放射線の機械は高いのでメーカーはなんとしてもお医者さんに放射線の検査をして欲しいのです。もちろん公衆衛生の教科書でも「一般公衆の被曝限度は1年1ミリ」と明記してあります。ただ、ここで問題なのはこのような教科書を書いていた人たちが福島原発事故以来、「被曝しても大丈夫」とまったく正反対なことを発信している点です。お金のためとはいえ、みすぼらしく惨めな専門家ですね。次に胎児の被曝の影響について、広島長崎の例を引いています。妊娠8週目から25週目にかけて1シーベルト浴びた胎児のIQ(知能指数)は30ほど下がり、重度の知的障害になることが示されています。1年1ミリなら問題にはなりませんが、文科省大臣と食品安全委員会が児童生徒に被曝させているのが1年30ミリですから、そのぐらいになると知的障害が起こる可能性があります。ただ、広島長崎のデータは戦後まもなくであり、必ずしも十分なものではないのですが、それでも胎児の被曝も注意が必要であることを示しています。先日、校長先生にも呼びかけましたが、学校で使用している教科書の多くが、当たり前のこと、1)被曝は低く、2)1年1ミリ、3)ガン、遺伝障害、知的障害が起こる可能性がある、と書いてあるのに、「被曝が危ないと煽るな」と言うのは実に奇妙です。むしろ「被曝は安全と煽るな」と言いたいと思います。(平成23年11月15日)(注:教科書は読者の方から教えて貰いました。また事実の記載なので一般的資料として使わせて貰いました。)武田邦彦
2011年11月16日
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新幹線はセーフ、原発は爆発、この違いは?福島の原発事故の後ろに隠れていることで、とても大切なことが多くあります。たとえば、1)震度6で5つの発電所が全部、壊れ、回復の見込みがないこと、2)東海地震ではなく阪神淡路、東北に巨大地震が起きたこと、3)あれほどの地震だったのに東北新幹線の脱線が無かったこと、などです。最初の原因は「原発の耐震設計はなかったこと」、2)の原因は東大のレベルが地に落ちたこと、3)は国鉄マンの高いレベルと電力会社の低いレベルを証明したこと、です。ここでは3)について少し解説を加え、将来に備えたいと思います。JR東日本は2007年の中越沖地震で上越新幹線の脱線事故を起こしました。幸い、大事故には至らなかったのですが、JR東日本は深く反省し、「JRは絶対に事故を起こさない鉄道を目指す」ということで、時速300キロで走る新幹線を「どんな地震でも脱線させない」ということで研究し、対策をとりました。JR東日本はかつての「国鉄マン」の精神が残っていますから、「安全に運行する」というプライドがあります。普段少しぐらい威張っていても、高いプライドを元に仕事をしてくれれば、それもそれで評価できると思います。中越沖地震の時に、レールの脱線などの機械的な問題もありましたが、最も重要なことは「地震が来る」と判ったらすぐブレーキをかけて減速することです。そこで、JR東日本は「地震感知-非常ブレーキ」のシステムを導入したのです。地震には二つの波があり、伝わる速度が違います。また地震が伝わるスピードより、電波の方が速いのでそれも利用できます。そこでどこかで地震が起こったことが判ると、小さな信号を受けて即座に非常ブレーキを自動的にかけます。新幹線は体が大きいので完全に止まるまでに4キロもかかるのですが、時速が100キロ程度に下がっていれば、脱線しないですむのです。実際、3月11日に起こった東北大震災の時、27本の新幹線が高速で走っていたのですが、一本も脱線せずにセーフでした。今まで、私も新幹線に乗っていて「今、地震がきたらおだぶつだろうな」と思ったことが何回もありますが、どうやら大丈夫かも知れないのです。・・・・・・・・・これに対して東電はどうなっているのでしょうか? 同じように中越沖地震で柏崎刈羽原発が震度6で破壊し、3億ベクレルの放射性物質が漏れ、黒煙もうもうの火事を起こしました。でも、この教訓はほとんど活かされず、今回の東北大震災では、青森から茨城まで合計5つの発電所が破壊されたのです。その原因は柏崎刈羽の破壊のあとも「原子力は安全です。地震でも大丈夫です。火災は原子炉と関係ないところで起きたものです」と防御し、対策を怠ったのです。今と同じですが、御用学者が登場して、「3億ベクレルぐらい漏れたからと言って大したことは無い」という「大丈夫おじさん」が登場し、それが結果的には大事故に結びついたのです。もしJR東日本も中越沖地震で反省していなかったら、膨大な数の犠牲者を出し、会社は危機に陥っていたでしょう.人間は起こったことに素直にならなければなりませんが、玄海原発、泊原発の再開問題に見られるようにまだ「やらせメール」をやっているようでは原発はまた事故を起こすでしょう。子供を被曝から守る上でも「大丈夫おじさん」の退場を求めますが、日本の電力会社は自ら「大丈夫おじさん」に「余計なことをして欲しくない」という意思を示して貰いたいものです。(平成23年11月16日)武田邦彦
2011年11月16日
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全国の校長先生・・・これをどう思われますか?校長先生、校長先生ですから日本人を被曝から守る法律がいくつもあり(たとえば原子力なら原子炉等規制法、放射線なら電離放射線障害防止規則など)、それはいずれも1年1ミリと被曝限度が決まっていることをご存じと思います。事故の直後は、あるいはご存じなかったかと思いますが、事故から8ヶ月経ちましたから、ご存じと思います。そしてこの1年1ミリが「内部被曝と外部被曝を足した1年間すべての時間の合計」であり、その中で児童生徒に及ぼす学校の影響が大きいこともご存じと思います。問題は「ダブルスタンダード」であることです。たとえば文科省は1年20ミリと言っていますが、これは「暫定」がついています。また給食などに使う食材はセシウムだけで1年5ミリですから、常識的には1年10ミリです。従って、児童生徒は学校にいて給食を食べると1年30ミリになり、そのうち、1日の3分の1を学校にいるとすると、1年10ミリを浴びます。1年10ミリとは1年に胸のレントゲン200回分です。・・・・・・・・・もう一つ情報を提供します。それは、成人男子(児童生徒より3倍は被曝に強い)でも1年5ミリ以上の被曝で白血病になると労災が適用され、原子炉作業員(成人男子)は2000年から「被曝は危険」ということで平均1年1ミリにされていて、それで増えた電気代は児童生徒の親が電気代として払って来ました。・・・・・・・・・関東、東北の学校の校長先生の動きを見ますと、いずれも「1年30ミリの暫定基準の方を採用する」というお考えのようですが、ダブルスタンダードの時代に児童生徒の健康を預かる校長先生がなぜ、被曝量の多い方の基準を採用されているのでしょうか?日本には「法律や電力が定めている1年1ミリ出なくても良い」という学者などが存在することは確かですが、もともと学校は児童生徒に「法律や学校の規則を守るように」と呼びかけて、教育をしているのではないでしょうか? 学校で1年1ミリを守ることはできますし、できなければ疎開をさせなければなりません。ある学者が「酔っぱらい運転でも年間200人しか犠牲にならない。だからお酒を飲んで運転しても良い」と言ったら、校長先生は法律や規則を無視してそのように教育するのでしょうか? 被害が大きいか小さいかではなくもっとも重要なのは社会の規則と納得性です。お母さんは「今まで法律でも原子炉作業員でも1年1ミリなのだから、それ以上の被曝は子供の健康に不安」と言っておられますが、それが理解できませんか? 「被曝は平気」という親もいるでしょうが本来は校長先生が平気と言っている親をご指導される立場ではないでしょうか?・・・・・・・・・日本の子供はお母さんの宝であるとともに、日本人全体の宝です。家庭ではお母さんが必死に子供を守っておられる重要な役割を負っておられるのですから、学校では校長先生が身を賭して児童生徒を被曝から守り、あわせて「遵法精神」を子供たちに教育してください。私から見ると、校長先生は法律や社会道徳(子供にはできるだけ被曝させないように努力する)というより、日々の仕事に疲れ、面倒なことはしたくないと思っておられるように感じられます。それなら子供たちも「疲れたから規則を守りたくない」というのと同じレベルになってしまいます。・・・・・・・・・ある講演会で「給食を担当しているのですが、保護者から心配だと言われます。そうかといってベクレルを測定する訳にもいかず、困っています」という質問がありましたので、「保護者のかたのご心配はまともです。測れないなら給食を出さないでください」と答えました。セシウム137の経口致死量は青酸カリの1000倍以上です。つまり毒物が入っている可能性のある食材を給食に出す、その理由は毒物でも何でも給食を出すのが使命だからという間違った認識ではないでしょうか。わたしは「とにかく給食を出すのが私の役割」と思い詰めているような感じがしました。また給食を心配する子供にいろいろな形で教育者がいじめを行っているようですが、むしろ子供たちが給食を心配している子供(親)をいじめることはいけない、人は自分で自分が食べるものを選ぶ権利がある、理由があれば給食を食べないことはもちろんかまわないと教育していただきたいと思います。(平成23年11月14日(月))武田邦彦
2011年11月15日
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泣き笑い日本社会001 寒暖計の場所(福島原発事故は結局、日本社会のトンチンカンなところが出たのですから、どんなにバカらしいこどでもこの際、無くしておきたいものです。その第1話)全館冷暖房完備の高級マンションを買った人が、管理事務所に怒鳴り込んできた。「全然、部屋が冷えない。今、38℃もある!」 管理事務所にある各部屋の温度はほとんど25℃になっているので、「ちょっと見させていただいて良いですか」と行ってみた。部屋に入ったら結構、冷えていてどうしても38℃ではない。訝しげにしていると「ここに来い!」というから行ってみたら、ガスコンロの上に寒暖計が置いてある。コンロの上にはヤカンがあって、そこの温度を測っているのだ?!!・・・・・・・・・気象庁は「日本全国の平均の気温変化」というのを130年に渡って発表している。測定しているところは17の都市、田舎はまったく入っていない。都市はヒートアイランド現象で周辺部より気温が高いので、まさに「ガスコンロの上に寒暖計を置いている人」と同じである。なぜ、「日本全国の平均」というのに「17都市だけ」で測定しているのかと来てみると、「それしか測定値がない」からだというとんでもない答えが返ってきた。それなら「全国の平均」と言わずに「17都市の平均」と言うのが正しい。都市の平均だから人口が増え、エアコンが増えれば気温が上がるのは当たり前である。気象庁ともあろうもの(すでに昔のあの正直な気象庁ではない)が、「17都市の平均」を使って「全国の平均」と言うのは実に奇妙だが、それには理由がある。温暖化対策で膨大な研究費が気象庁にくるからだ。今まで地味で真面目な役所だったが、今ではすっかりお金まみれになり、温暖化で裕福になった「気象村」のなかで繁栄を誇っている。気象庁が裕福になった分、国民は間違った気象を教えられているが、なんでもプラスとマイナスがあるから仕方が無いか!かくして{お金のためには何を言ってもよい会}に気象庁も参加したのだが、気象庁だけを非難することもできないだろう。今では日本人全員が「ああ、そうか。彼はあそこからお金を貰っているからな」ということで納得する時代だから。(平成23年11月14日)武田邦彦
2011年11月15日
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高等学校の教科書と東京地裁 子どもは見ている(孤独の戦いをしているお母さん。少しでも武器がいるでしょうから。どんなに孤独でも10年後の子供を少しでも安全にすることは全力を挙げる価値のあることです。私もなんとかヨロヨロと頑張っています。どんなに辛くても、10年後に健康な我が子を見る幸運が苦労の成果です。お子さんは深く感謝してくれるでしょう。)・・・・・・・・・【ある読者の方からの情報です】* 高等学校 物理II (三省堂) p.265「私たちは,大地や食品中の放射性核種,大気中の放射性Rn(ラドン)や宇宙線から,年間2~3mSvの被爆をしていることになる.放射線の被爆は,癌の発生など,確率的な影響があるとされ,国際放射線防護委員会は線量限度を勧告値として定めている.1990年の勧告値は,職業人(放射線業務従事者等)の1年間の線量限度は,5年間平均で1年あたり20mSv,一般公衆は自然放射線を別として1年間で1mSvとしている.(これは成人男子(武田注))放射線は,巨視的に見ればわずかなエネルギーであっても,個々の分子に作用するので,細胞核内のDNAを損傷させる可能性がある.DNAには,損傷回復機能があるが,そのエラーによって突然変異,発癌の可能性がある.白血病,発癌などの確率的な影響は,10mSvにつき,100万人あたり100人の癌死増になるといわれる.」・・・・・・・・・ある裁判所が次のような判決を出しています。私は多くの裁判の鑑定をしてきましたが、裁判官が自分の出世を考えず、被告の人生を考えた例にあったことはありません。裁判官も人の子で、現在の日本では「自分の出世のために判決を書く」というのは普通です。「福島第1原発事故で、福島県二本松市のゴルフ場運営会社と敷地・施設所有会社が東京電力に対し、場内の除染と除染完了までの維持経費支払いを求めた仮処分申請で、東京地裁(福島政幸裁判長)が却下していたことが分かった。却下は10月31日付。2社は14日、高裁に即時抗告したことを明らかにした。 ゴルフ場は、第1原発の西北西約45キロにある「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部」。却下決定は、除染は国や自治体が計画的に行うとの方針があるため東電に現時点で独自に行わせることは困難として請求を退けた。 維持経費についても、9月に受け付けが始まった東電による賠償手続きなどを踏まえ、「さまざまな施策を利用することで、(2社の)負担を回避できる可能性がある」として請求を認めなかった。ゴルフ場の地上1メートル地点の放射線量が毎時3.8マイクロシーベルトを下回る点にもふれ、「ゴルフ場営業に支障はない」とも付け加えた。」3.8マイクロシーベルトは1年に外部被曝だけで33ミリシーベルトになり、法律は1ミリシーベルトだ。それでも3.8マイクロで合法的という。日本国民は法律では守られない。裁判官は司法が独立していない、司法が行政の奴隷であることをよく知っている。なにしろ「自分の身を守るだけの頭」はあるから。でも、子どもを出世だけを考えた裁判官の判断にゆだねることはできない。私たちはもの言わず、信頼している子どもを守るのだ。(平成23年11月14日 とりあえず速報)武田邦彦
2011年11月14日
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驚くべき教育コントロール・・・先生方の良心は?政府、NHK、校長先生、市長さん町長さんなどは必死になって「被曝は安全、被曝限度を決めた法律はない」と訴えている。特に驚いたのが、東京の学校の先生方(小中学校、理科)を集めて文科省のパンフレットを元に、法律に全く触れていない、被曝限度も触れない、ただ「自然界には放射線がある」ということだけのものを使っていることだ。それを解説した人が、「原子力安全研究協会・大畑勉」という人だが、私が名指しをするのは、この人が解説している実質的な内容は、先生方に「時速60キロの速度制限のところを100キロで走っても児童生徒に危険はない」と言っているようなもので、一刻も早く止めさせなければならないからだ。もう一つの方法はこのパンフレットを作った制作委員や大畑さんに「もしパンフレットやあなたの解説を聞いて、子供の被曝は大したことは無いと考え、法律を破って1年1ミリ以上の環境で児童生徒を教育し、そのうち一人でもガンがでたら、全財産をなげうち、自分の身を犠牲にする」という誓約書をとることだ。・・・・・・・・・低線量率被曝による人間への影響は「研究中」であり不明である。従って「予防措置」として1年1ミリで社会は合意し、電力会社の作業員でも1年1ミリにしている。だから、それ以上の被曝で10年後にガンにならないかどうかは「神様」しか判らないのは当然だ。パンフレットを作成した次の人は全財産を預託しておくことを求める。(パンフレットには被曝限度は一切、示していない.その代わり自然放射線のことが協調されている。)楽観的に考えれば、学校の先生にも良心があるから、ご自分で法律や1年1ミリの決定過程は勉強されるだろうから、それほど心配ないかもしれない。これほどのウソが通るはずもないから。●(線量についてパンフレットでは以下の文章しかない)もちろん記述は間違っています。全世界や国が決めたには膨大な数の論文などにより1年1ミリを決めたものです。もともと何の根拠もなく、決めることはできません。この文章はきわめて悪質で「1年100ミリ以下の場合、数の上ではガンが増えるが、一人一人のガンが被曝によって起こったということを医学的に証明することはまだできない」という意味です。(1年1ミリは文科省所管です)。●(先生に向かって「福島の事故は問題ない」を強調する大畑さん)解説の内容はよく練られていて、発言は1年1ミリを無視していないように十分に注意されています。たとえば、この発言は「福島の事故については触れません」ということで、その前から被曝はしていることを強調することによって、原発の被曝(東電のミス)を可能な限り過小評価する戦術を使っています。この方も専門家ですから、1年1ミリは十分に知っています。(執筆者一覧)連帯責任はとっていただけますね?(平成23年11月14日)武田邦彦
2011年11月14日
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「農耕民族・国家」が「近代国家」になるためには01狩猟民族はつねに頭を巡らすと言われます。それは狩猟する相手がクマでもシカでもどう出てくるか判らないので、常に頭を柔らかくしておかなければ獲物をとることができないからと言われます。ヨーロッパ人(アメリカ人)は狩猟民族とされます。また、勝ち負けがハッキリしていますから、どうしても競争を大切にします。それに対して、農耕民族は毎年、同じことをしてむしろあまり頭を巡らしたりすると大失敗をします。それに太陽や気象の影響をうけ、それは人智の及ぶところではありません。いきおい、おとなしく地味でコツコツと働く人たちになります。日本人や中国人は農耕民族とされます。また勝ち負けよりも安全に協調して生きることが大切になります。・・・・・・・・・・もう一つ、考えなければならないことがあり、それが「国家」です。国家とその民族の性質についてはシアターテレビジョン「現代のコペルニクス」で宮脇先生と何回かの対談をしていますが、国家がある民族と無い人たちでは大きく性質が異なります。たとえば、日本は四面を海に囲まれ天皇陛下をいただいて「国」としての体裁、実質を備えていましたが、中国は「地域」はあっても「国」はありませんでした(話せば長くなるので、現代のコペルニクスを参照してください)。だから中国の人は自分の身は自分で守る必要があり、都市や村落は城壁に囲まれ住民は「城壁の中」に住んでいたのです。これに対して、日本は「国」で守られていたので、国民は自らを守ろうとせず、城壁の中には殿様だけがいるという世界でも特別な状態を作っていました。ヨーロッパも基本的には「王族の支配」が続き、「国」ができたのは200年ほど前とした方が良いでしょう。ハフスブルグ家の支配、ブルボン家の領土に領民が住んでいるということに近く、さらに国境が陸続きでしたから、ある時にはどの国、また戦争があると別の国になることもありました。・・・・・・つまり、現代日本というのは、「農耕民族」で「国家」だった国が、突如として「狩猟民族」と「個人単位」の文化とシステム(ヨーロッパの文化)を取り入れた・・・それが戦後日本とも言えるのです。その大きなひずみが「小泉・竹中路線の改革」だったと考えています。このことで考慮しておかなければならないのは、岸田秀さんがご指摘になっているように、根本的に異なった文化を受け入れざるを得かなった明治維新が日本人の心を裂き、異なった価値観を2つ同時に受け入れるようになったということです。この学説は必ずしも万人が受け入れるものではないと思いますが、私も同じような考えです。クリスマスにはキリスト教、正月には神道、続いてお寺周りでは仏教と融通無碍なのは、「なんでも受け入れる日本人」だけではなく、明治維新における価値観の分裂があるのでしょう。・・・・・・・・・今回の東北大震災、福島原発事故の深層に思いをはせると、「農耕民族国家」が「個人単位の狩猟民族」が創り出した現代科学を咀嚼でいなかったということが最大の原因だったと思います。明治以来、日本は独立を果たし、戦争をやり過ぎましたが、有色人種では唯一、軍事と政治で独立するという離れ業をしました。でもこの大きな断層が理論的にも解決されず、戦後もぎくしゃくした社会になっていると思うのです。今回の東北大震災と福島原発事故を受けて、電力会社のシステムや原子力、科学といったものも考えなければなりませんが、より深く日本人の本質にも触れなければ解決はしないと思います。(平成23年11月13日)武田邦彦
2011年11月13日
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時には明るい話(ドーム、100年、石油、ゴミ) ドーム :「takeda_20111111no.295-(5:44).mp3」をダウンロード 100年 :「takeda_20111111no.296-(6:17).mp3」をダウンロード 石油 :「takeda_20111111no.297-(5:41).mp3」をダウンロード ゴミ :「takeda_20111111no.298-(7:21).mp3」をダウンロード (平成23年11月11日) 緊急 たとえ明日でも!!福島女子駅伝 すみません。ぼんやりしていました。明日福島女子駅伝があり、そこで主催者が「何が起きても責任をとらない」というのに中学生の女の子も含めてサインをさせているという情報を得ました。本来、管理区域になる場所を、卵子をおなかに抱えた女子が走るというのは、どうしてもやってはいけないことです。今、前日の18時。すみません。ぼんやりしていましたが、もし主催者に中止を求められる方がいたら、今でもお願いします。駅伝の本質は健やかな成長です。なんで放射線の強いところで走らせるのでしょうか?人の痛みがわからなければ駅伝などやるべきでもありません。力を合わせましょう!! 武田邦彦
2011年11月12日
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時には音声で(ニコ生、東電、イオン、新潟県)ニコ生 「takeda_20111111no.290-(3:56).mp3」をダウンロード東電 「takeda_20111111no.291-(4:33).mp3」をダウンロードイオン 「takeda_20111111no.292-(4:26).mp3」をダウンロード新潟県 「takeda_20111111no.293-(3:54).mp3」をダウンロード(平成23年11月11日)武田邦彦
2011年11月12日
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生活短信2011・11・11•1) 水:田畑の表面の線量を下げようと畑の土を上下、ひっくり返したり、水路に放射性物質が流れるのに任せていることが続いているので、地下水の汚染が心配です。ご自宅で地下水を使っている人、地下水を水源に使っている水道局は注意をしてください。しかし、富士山関係の水、中部地区以西の水など安全なものも多いので、地域で判断してください。 •2) ガイガーカウンターについて 福島原発が起こってから時間が経っていないときには、自分のまわりに放射性物質が来たかどうかが問題でした。だから0.1マイクロシーベルトか、2マイクロかということでしたから5万円から10万円程度のもので良かったのですが、事故後8ヶ月たち、もう少しきめ細かく測定をする必要がでてきました。 私が今まで「自然放射線量」の測定のことをあまり言わなかったのは、0.05マイクロシーベルトなどを考えるより、もっと危険なところに注目しなければならなかったからです。 でも、現在では0.1か0.15かが問題の時期になりました。そこで正確で「校正」された測定機器が必要です。そうなると個人では難しいのでなんとか共同とか公的なところで準備した物を使うとか、測定会社に頼むなどの方が良いと思います。 •3) キセノン、ストロンチウム、プルトニウム これも事故直後と少しずつ変わってくるものですが、事故当時はヨウ素が主でセシウムの2倍はあります。だから、{セシウムがこのぐらい}ということがわかると、それを3倍すると4月ぐらいまでの被曝を計算できます。 また、ストロンチウムはセシウムの10分の1と考えて良いと思います。ストロンチウムは化学的にはセシウムと双子の関係ですが、沸点、融点などが違うので原子炉が爆発すると空気中にはセシウムの10分の1ぐらいがでると思われます。水中は不明です。原子炉出口から海水に放出されたセシウムとストロンチウムの値は測定されていると思いますが、発表されていません.その点、サカナは北海道の太平洋側から静岡までダメです。 キセノンは人間の体を素通りしますから外部被曝と同じ取り扱いで、ものすごい量が放出されましたが、今ではどこに行っているのか不明です。 プルトニウムは海以外はそれほど危険性はないと思います。ただ、プルトニウムを9%含んだ燃料を使っていた3号機の爆発の時に大きな物体が吹き飛んでいて、それに対する調査がされていないので若干、問題を残しています。 全体的に見て、「セシウムの2倍」ぐらいに考えると現時点では良いと思います。 •4) 鼻血、下痢、マイコプラズマ肺炎など 福島原発以後、鼻血、下痢の子供が多かったのですが、報道も医学会も取り上げませんでした。その頃、質問してこられたお母さんには「病院にいっても相手にされないから、お子さんの健康により注意してあげてください」と言いました。かつて「シックハウス病」の時に最初は訴える人にたいして病院はとても冷たかったからです。 病院は「判っている病気を治す」のが本職ですから、「今までに無かった病気」を親切に診察して患者とともに悩んでくれる医者はとても少ないからです。しかし、そのことを覚悟して病院に行けば少しは良いというアドバイスでした。 最近は鼻血、下痢について報道も行われるようになり、さらにマイコプラズマ肺炎の流行にも注意が払われるようになりました。 実は、福島原発事故では「微生物を突然変異させる可能性」があります。だから今年の流行には特に注意が必要で、感染症関係の人は気を配って貰いたいし、お母さんはお子さんの体力をつけて無用な感染症にかからないように注意が必要です。 •5) 汚染の程度を自分で判定する 個人でセシウム濃度(ベクレル)を測定されてご判断される時には次の指標が便利です。 【ケース1】1キログラムあたりのベクレルを測定した方 セシウムは1キログラムあたり10000ベクレル以上になると「放射性物質」になり、厳しく管理され、普通の人は扱うことができません(できないほど危険) 現在はセシウムしか測っていませんが、原発事故の時には複数の放射性物質がでるので、セシウムの値を2倍する必要があるので、セシウムだけなら5000ベクレルが「ハッキリ危険」ということになります。 さらに、放射線の取り扱いでは、危険領域の10分の1になると「注意(黄信号)」になるので、結局、「1キログラムあたり 500ベクレルで黄色信号、5000で危険」と考えて良いでしょう。 【ケース2】1平方メートルあたりのベクレルの場合 法律で、危険領域をハッキリと「4万ベクレル(アルファ線が含まれない時)」となっていて、40万ベクレルを超えると法律に違反します。つまりこの場合は、4万ベクレルですぐ東電に連絡をしなければなりませんし、お役所は東電を呼んですぐに片付けさせる義務があります。 以上に関する法律などを参考までに示しておきます。クリックすると少し字が大きくなります。 (平成23年11月11日) 武田邦彦
2011年11月11日
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長野県佐久市・講演 11月21日 11月21日 午後1時30分から 望月駒が里ふれあいセンター 武田邦彦タイ洪水・寸評・・・よく考えているか? 川のエネルギーは、1)河畔の樹木を育てる、2)川のサカナや藻を育てる、3)土砂を運んで平野を作る、などに消費される。日本の東京、名古屋、大阪をはじめとして多くの日本人は川が作った平野に都市を造って住んでいる。 平野を作るのは洪水だ。ときどき、とんでもない規模の洪水が起こり、川上の岩石や土を運んで海を埋め立て、土の上に土をのせる。 ・・・・・・・・・ 「地層」というものがある。普通は地下にあって見ることが難しいが、その土地が隆起すると地層が目に見えることがありし、特に道路を造るときに山を削るとその山肌には決まって地層が見える。 地層は川の洪水、風で運ばれた土、そして火山の爆発などでできる。下に行くほど年代が古いが、それは木の年輪のように毎年、または何10年ぶりに洪水が起こった印(しるし)でもある。 ・・・・・・・・・ 今度、タイで起こった洪水はタイ政府の発表では「50年に一度」程度の大洪水であるという。タイの首都バンコクは万国平野(チャオプラヤ平野)にあり、もともと海だったところがメナム川(メナム・チャオプラヤ、正しくはチャオプラヤ川)の洪水でできた平野にある。 (日本ではチャオプラヤ川を「メナム川」と読んでいたが、これは日本人が「川の名前は?」と聞くと、「メナム・チャオプラヤ」と言ったので、「メナム川」と思ったのだが、実は「メナム」というのは「川」という名前なので、メナム川というと「川川」ということになる。) 【上流の保水能力】 日本企業はタイに進出し、奥地の山林を伐採して木材を輸入し、平野に組み立て工場(アッセンブル工場や縫製工場)を作った。 なぜ、タイの森林を伐採したかというと、日本の森林を伐採すると環境運動家がうるさいからだ。 日本の環境運動家の多くは日本の森林さえ伐採しなければ、木材や紙の消費量には関心がない。木材や紙の消費量に変化がなく、日本の森林を伐採しないということは、外国の森林の伐採が増えていることは明らかだが、それには興味がない。 【工場建設とリスク管理】 なぜ、タイの平野に工場を造ったかというと、人件費が安いからだ。日本の若者が就職先がなくてニートになろうが、地方に工場ができなくても、そんなことは日本の経営者には無関係である。彼らは日本人である前に商人であり、「商人である前に、日本の子供たちに仕事を作らなければならない日本人の大人」ではない。 計算高い日本人経営者のことだ。タイの洪水の歴史、バンコク平野の成因、そして森林伐採によるチャオプラヤ川の上流の保水力が低下していることもそろばん勘定に入っている。だから、今回の洪水はあらかじめ、彼らの収益計算には織り込み済みである。 ・・・・・・・・・ でも、災害による補助金も欲しいので、ビックリして見せ、それをマスコミ報道部も追従している。テレビのコメントを聞くと、「日本企業は歴史も、平野も、地層も何も知らないバカ」であると言っているようなものだ。それをさらに「温暖化が原因」といって温暖化防止のお金を取ろうとしている乞食もいる。 タイの洪水の教訓は、日本人がより長期的に、より深く、「子供たちに働く喜びをもたらすこと、そして世界の環境を守ること」について考えなければならないことを示している。それにはテレビも新聞も報道部の考察が不足しているように感じられる。 (平成23年11月6日) 武田邦彦
2011年11月11日
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「トンボタクシー」と「するが蕎」小さな窓から外を見ると「トンボタクシー」という看板が見える。あれは40年ほど前だっただろうか。よく静岡県富士市を訪れていた頃、トンボタクシーという一風変わった名前のタクシーによく乗ったものだ。富士にはこのタクシーの他に、岳南、富士、石川などのタクシー会社があり、私を運んでくれた。ずいぶん前のことなので、記憶はハッキリしないが、確かトンボタクシーの運転手さんに「トンボって珍しい名前ですね」と言ったら、「いや、行ったり帰ったり素早くやるんですよ」と言われて納得したことを覚えている。実は、新幹線に新富士駅の2階に「するが蕎(きょう)」というおそば屋さんがあるのだが、そこのお店に座って小さな窓からトンボタクシーの営業所を見たのだった。食事時に新富士に来る機会があるとこの「するが蕎」にのぼる。かつては東海道線の富士駅の近くにあった店だが、今では新富士と2つらしい。静岡でとれる新鮮なサカナと蕎麦、ここに来てホッとすると新幹線の揺れを忘れさせてくれる。うまい蕎麦、良心的な価格、素早い調理、笑顔の店員・・・広い店内も食事時には一杯になるのもうなずける。富士市には素晴らしい富士山の姿と、丘陵地帯に拡がる茶畑がある。福島原発からの放射性物質がここの茶葉を汚したと思うと痛々しい。それも今は少しずつ下がってもとの静岡茶を取り戻しつつある。日本の美しい風景、あつい人情、そんなものが私たち科学者の間違いで辛い環境を作ってしまった。また再び、江戸時代の美しい風景と人情を取り戻したい。・・・・・・・・......リンダウ。長崎近郊の農家にて。1858年。「火を求めて農家の玄関先に立ち寄ると、直ちに男の子か女の子が慌てて火鉢を持ってきてくれるのであった。私が家の中に入るやいなや、父親は私に腰をかけるように勧め、母親は丁寧に挨拶をして、お茶を出してくれる。家族全員が私の周りに集まり、子供っぽい好奇心で私をジロジロ見るのだった。......幾つかのボタンを与えると、子供達はすっかり喜ぶのだった。「大変ありがとう」と皆揃って何度も繰り返してお礼を言う。そして跪いて可愛い頭を下げて優しくほほえむのだったが、社会の下層階級の中でそんな態度に出会うのは、全くの驚きだった。私が遠ざかって行くと、道のはずれまで送ってくれて、ほとんど見えなくなってもまだ「さようなら、またみょうにち」と私に叫んでいる。あの友情のこもった声が聞こえるのである」・・・・・・イライザ・シッドモア。1884年からしばしば日本を訪れる。「日の輝く春の朝、大人の男も女も、子供らまで加わって海藻を採集し浜砂に拡げて干す。......漁師のむすめ達が臑をまるだしにして浜辺を歩き回る。藍色の木綿の布切れをあねさんかぶりにし、背中にカゴを背負っている。子供らは泡立つ白波に立ち向かって利して戯れ、幼児は楽しそうに砂のうえで転げ回る。婦人達は海草の山を選別したり、ぬれねみになったご亭主に時々、ご馳走を差し入れる。暖かいお茶とご飯。そしておかずは細かくむしった魚である。こうした光景総てが陽気で美しい。だれも彼もこころ浮き浮きと嬉しそうだ。」ああ、素晴らしい日本だったのに・・・(平成23年11月8日)武田邦彦
2011年11月10日
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日本に原爆は必要か?原発事故が起こる前、私はどちらかというと右よりの雑誌などに出ていました。ところが原発事故が起こって「原発撤退」という考えを書くと、私は左に押しやられたように感じます。もともと、東西対立も無くなった現在、右も左もないと思うのですが、まだそのような分類があるようです。そしていわゆる右の論客の人たちに「原発賛成」が多いようですが、その理由の一つに「日本は原爆を持たなければならないから、原発は必要」というのがあります。確かに、原発があって、ウラン濃縮設備を持ち、再処理技術を保有すれば原爆を作るのは比較的簡単なことで、その意味からは日本は実質的な核保有国です。だから原発から撤退するというのは同時に「潜在的核保有国から脱する」という意味にもなります。でも、本当に日本は核武装が必要でしょうか?その前に、私が重視していること、1)日本の子供、2)日本の土地、3)日本のコメ、が原発で失われるので、それは「右」の人も賛成するはずです。 これまで人間が作った原発で、1)地震や津波で破壊しなかった原発はない、2)地震の起こるところに立っている原発はほぼ日本だけ、3)日本の原発・再処理は地震のないといって良いアメリカ、フランスの設計である、などについての意見も聞いてみたいと思います。つまり、「右の論客」の人の多くが「原発支持」をしているのは、すでに7つの発電所が震度6ですべて壊れているというのは重視せず、今後は壊れないという視点に立っているものと思います。それ以外にも「これまで原発に反対してきた人は、訳のわからない左の奴だ」という気分もあるでしょう。都知事の「黙れ」の中にも私はそれを感じます。・・・・・・・・・戦後、60年を過ぎ、私は「核武装が必要」と考えておられるならそれをハッキリと表明した方が良いと思います。というのは、新聞などには決して「核武装賛成論」が出てきませんが、国の委員会などでは「核武装が必要なのだよ、結局」などと耳打ちされることが多かったからです。「日本に核武装は要らない」と私が考えるのは、「日本兵ほど世界で強い兵士はいない」というのが持論だからです。日清戦争(日露戦争ではない)の時の旅順戦、ガダルカナル玉砕戦、硫黄島殲滅戦、そして千島の占守島守備戦などで見せた日本兵士の強さには他国の将校はビックリしたものです(日本軍は特に兵士が強い)。その経験は日本を取り巻く強国、アメリカ、ロシア、中国に深くしみこんでいますから、日本を侵略する国はありません。むしろ平時の日本人は穏やかで譲りやすいので、戦争を仕掛けるより平和を維持して外向的に日本をやっつける方法をとるでしょう。「核」は抑止力として有効と言われていますが、かつての日本兵の強さの方が核より抑止力があるというのが私の考えです。その意味では今回の大震災における岩手、宮城の人たちの我慢、地震と原発に見舞われた福島の人の克服力、そして「痛みを分け合う」といって自らが犠牲になって被曝する日本人を見て、さらにその感を強くしたと思います。もし、右の人が、1)原発は地震に耐えられない、2)日本の子供、土、コメが大切、3)日本兵は強い、ということに同意してくれたら、右も左も原発廃止に向かってくれると思います。(平成23年11月9日)武田邦彦
2011年11月10日
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原発事故(災)を「福」に転じるためには福島原発からの放射性物質が降ったところは苦しんでおられるし、大震災の傷も治っていません。でも、過去に起こった不幸をできるだけ小さくすること(除染)とともに、「災」をいかに「福」に転じるかも大きな力が必要です。第二次世界大戦は人類にとって未曾有の災厄で、日本は原爆を2発落とされ、うち続いた大量虐殺(戦時にも許されない非戦闘員の大量爆撃死)を経験しました。ヨーロッパではドイツもほぼ同じ打撃を受けたのです。しかし、第二次世界大戦が終わって暫く経つと、日本とドイツの復興がめざましく、戦争が終わって30年もたった1970年代には世界は、日本、ドイツ、アメリカを中心として動くようにまでなったのです。戦勝国だったイギリスは衰退し、同じく勝ち組のフランス、オランダ、スペイン、ポルトガルなどの「持てる国(植民地を持った強国)」は衰退しました。勝つためには命をも投げ出す戦争なのに、負けた方が繁栄するのですから、この世はおもしろいものです。戦争中に「戦争は負けた方が子供たちのためになるから、負けよう」などと言ったら気が違っていると思われるでしょう。私たちの知能も大したことはありません。・・・・・・・・・大震災と福島原発事故も日本にとって大きな災厄でしたが、それでも大東亜戦争の敗北(犠牲者310万人)に比べれば小さいとも言えます。そこで、この災を福となすべく、なんとか頑張りたいと思います。「歴史に学ぶ」と言いますが、なぜ戦勝国が衰退し、敗戦国が繁栄したかというと、そこにはいくつかのヒントがあります。1)負けたので古い人が総退陣した(やり方は悪かったが戦犯として退陣した。そして松下幸之助、本田宗一郎に代表される新しい人が登場した)、 2)負けたので古い制度が一掃された(やや行き過ぎもあったが、もっとも強力な軍部、枢密院、貴族院などが無くなり、憲法も学校制度も何もかにも変わった)、 3)日本を占領したのが衰退するソ連ではなく発展するアメリカだった、 4)日本人がアッサリした、こだわらない性質だった、などと考えられます。今回も同じようなことが言えると思います。 まず、1)古い人に総退陣して貰う、 2)古く強力な組織を解体する、 3)日本の明るい将来像を描く、4)もちろん原発は廃止、 などができれば災いを転じることができるでしょう。 人間は過ちを犯すものですが、潔く責任をとり、後進に道を譲ることが大切でしょう。大東亜戦争を始めたのが間違っていたのか、正しかったのかはなかなか難しい問題です。単に戦争(力)で負けただけで正義が日本にあったかアメリカにあったかは判りません。でも、「勝とうと思って負けた」のは事実であり、「310万人を失った」のも事実ですから、自分が正しいかどうかは別にして「失敗したら後退する」ことによって新しい日本ができたのではないかと思うからです。310万人を失って徹底的にアメリカにやられたから人心を一新することができたけれど、東北大震災や福島原発ぐらいでは粘るということになるのか、それとも60歳以上の指導層が反省して、第一線から引き下がるか、そこに日本人の知恵と覚悟が示されると思います。(平成23年11月9日)武田邦彦
2011年11月09日
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朗報!!・・・自治体の追従を期待する長い道のりだった。福島原発事故の直後から、日本の国力、バスの量、食糧調達力などから言えば、1年1ミリを貫くことができたが、過ぎ去ったことは問うまい。少しでも早く子供の被曝を減らさなければならない。子供の命と健康は国会議員、東大教授、都知事より思い。ここに新潟県の正式要請を示す。「新たな食品中の放射性物質の規制値について国に要望します 2011年11月02日 現在、東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された大量の放射性物質が広範囲に拡散し、生活圏の汚染や農林水産物の汚染によって、多くの国民が不安にさらされています。 一方、食品等に定められている現在の暫定規制値は、事故直後の緊急事態など、生きるためにやむを得ず摂取するような際の基準です。新潟県は国に対し、国民の健康と安全、そして日本の信用を守っていくために、国際的にも信頼される基準に戻すよう要望してきたところです。 このような中、10月28日、厚生労働大臣は「新たな規制値設定のための基本的な考え方」を示し、食品から許容できる線量を年間1ミリシーベルトに引き下げることを基本に検討することとしました。しかしながら、従来、原子炉等規制法などでは、ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に基づき、外部被ばくと内部被ばく線量を合わせた一般公衆の被ばく限度を年間1ミリシーベルトとしており、従来の規制値と整合性をもった、内部被ばくと外部被ばくの合計を踏まえた規制値とすべきと考えます。 また、乳幼児からおとなまで一律の基準とすることなく、特に子どもへの影響について十分に考慮したうえで、子どもについては別基準を設定すべきと考えます。今後、厚生労働省で新たな規制値の設定について議論していくにあたっては、これらのことに十分配慮し、より安全サイドにたった議論を行うよう要請します。」素晴らしい!! 法治国家としては当然とも言えるが、異常な脱法思想が蔓延した日本で新潟県が正式なステートメントの形でこれを出したのは高く評価できる。今まで「1年1ミリなどなに言っているのだ」と言っていた自治体の首長、ホームページ作成者、週刊誌、新聞、テレビ報道部などは深く反省し、直ちに正道に戻って貰いたい。国民が一致団結して1年1ミリに戻ることで、日本の子供は危機を脱する。(平成23年11月7日)武田邦彦
2011年11月09日
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これからの生活設計のために(5) 埼玉、神奈川、東京なんでも人生には運不運があり、また時間が過ぎると不運が幸運に変わるものですが、福島原発からの放射性物質の飛び方にも運不運がありました。埼玉、東京、神奈川という日本でも人口密度の高い地域に放射性物質があまり来なかったことは素直に良かったと思います。もちろん、この地域以外の人が被曝して良いということではありませんが、日本の中心部が被曝しなかったことは日本としては良かったという思いもあります。でも、これは偶然でもあり、幸運だったとおもいます。というのは拙著「全国原発危険地帯マップ(全54基、周辺地域の危険度を風向きとともに解析!)」(日本文芸社)に詳しく載せましたが、原発ごとに「爆発したらどのような危険があるか」をまとめてみると、下の図のように茨城の東海第二原発が爆発したら、東京はかなりの被害があったと考えられるからです。図では気象庁の月ごとの風向きを参考に、原発から直接、放射性物質で襲われる場所を示しています。おおよそ300キロ程度に飛びますし、山があるとそこで遮られます。図の矢印はそれを示しています。東海第二発電所は、「防潮堤に穴が空いていた」ということで、せっかく5.4メートルの津波に対して、6.1メートルの防潮堤があったのに、水が進入して全電源を失い、爆発まで数時間という危機的な状態に陥ったのです。この図を見るにつけ、東海第二が爆発しなかったことを幸運に感じます。でも原発を運転するということはこういうことなのです。今回の東北大震災では、青森の東通から東海第二まで5つの原発(発電所)が破壊されましたが、マスコミ報道部は「事故を小さく見せる」ということでほとんど報道されていません。普通なら、5つのどの原発も大変な破壊だったので、報道されているでしょう。報道は大切です。正しく早い報道によって国民は事実を正しく知ることができ、その分だけ合理的な判断ができますから、感情的な対立も少なくなります。つまり情報は的確で多い方がもめることは少ないということです。その点で読者の方から送っていただいた川越の地域の線量測定値はとても役に立ちます。個人で丹念に測定しておられ、http://maps.google.co.jp/maps/ms?ie=UTF8&oe=UTF8&msa=0&msid=202534321844877431171.0004a50bd6ad110f8617aに公開されています。図では濃い青が0.1マイクロシーベルト(毎時)を下回りますから安全で、薄い緑の色の場所が0.1から0.2マイクロシーベルトぐらいですから、必要がなければ近づかない方が良いでしょう。この方もお子さんがおられるようですが、地域で情報を交換し、できれば自分でマップを作り、お子さんと勉強し、その際にお子さんも原子力のことを正しく理解することになれば、今後もとても力になると思います。・・・・・・・・・ 百獣の王ライオンは、人間に比べて比較にならないほどの運動神経と筋肉を持ち、ライオンと素手で戦って勝ち目のある人間はいないだろう。それでいて、ライオンは今ではすっかり人間に押さえつけられ、動物園の檻の中に入れられている。ライオンからみれば不思議なことに相違ない。 情報は力である。情報が隆々たる筋肉よりも大きな力であることを我々は知っている。私たちは多くの情報、正しい知のもとに子供たちを守る力を備えなければならないのだ。(平成23年11月7日)武田邦彦
2011年11月08日
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お金の世界もこれまでか? これまでにしたいが・・・あのリーマンショックが3年前、それからというもの、ヨーロッパ通貨危機、アメリカ信用不安、円高、ギリシャ経済危機・・・「お金」というのはもともと「主役」ではなく、生活をより円滑にするための道具なのに、いつのまにか私たちはお金に振り回されています。お金を扱い、それに失敗し、大きな事件になり、それが報道され、国が崩壊し、インフレになり、生活が困窮する・・・いったい、何をやっているのでしょうか?そう、リーマンショックに始まったものではありません。石油ショック、バブルの崩壊、銀行倒産、年金騒動、少子化対策、排出権取引、郵政民営化、エコポイント、赤字国債、高速道路無料化、消費税増税、・・・どれもこれもお金にまつわるものばかりです。でも、この理由は簡単で、もともと脇役だった「お金」を取り扱う人が増え、権力を持ち、複雑にし、自作自演で騒動を演じているということなのです。ものがあるだけ交換価値としてのお札を刷り、銀行は普通預金だけ、国債は止めて税金だけ、額に汗した分だけ給料を貰う・・・という単純なお金の役割に徹すれば、私たちはこれほど「マネー」に振り回されることはないし、TPPも消え失せるでしょう。・・・・・・もし、お金が主役でなければ「石油ショック」は起こりませんでした。石油はまだまだ1000年はあるのに、1バレル2ドルを30ドルまであげようと「石油は残り40年」などとでっち上げの情報を流したのです。すでに「石油の残りは40年」と言ってから40年が経った2010年、世界の権威は「石油はあと43年」と発表するではありませんか!人をバカにするのもほどがあります。石油が無くなると聞いて、どれほどビックリしたでしょうか? それが「お金目当て」だったとは! 少子化対策もそうです。子供を持つかどうか、人数は?というような人生や家庭に関わることは「お金」とは本来関係が無く、どうしたら充実した幸福な人生を送ることができるかということです。それがいとも簡単に「年金が不足するから少子化対策」ということになるのですから、哀しいものです。高速道路だって無料化できるはずはないのです。建設にも管理にも修理にもお金がかかるのですから。だから、この問題は単に「利用者が払うか」、「税金で払うか」の差があるだけなのに、なにか「空からお金が降ってくる」という感じで多くの人が民主党に投票したような感じすらします。・・・・・・・・・お金の社会はそれほど昔からあったわけではありません。生活でお金が大切になったのは、明治以後ですし、ヨーロッパでも200年ほどの歴史しかありません。どんなに昔にさかのぼってもせいぜい、500年です。だから「お金の社会」、つまり「貨幣経済」は本当は人間社会を不幸にし、害になるものなのかも知れないのです。日本国憲法は「勤労の義務」を定めていますが、その心は「日本人が豊かな生活をするためには、家もいるし、道路も、自動車も、食べるものもいる。だから、お金がある人でも無い人でも、それとは関係がなくみんなで働き、みんなが要るものを準備しようではないか」という共同体思想です。「額に汗してみんなで働き、安心した生活をする」、「ずるい人もいるから、一応、お金で換算しながら生活をする」というぐらいなら、リーマンショックなどが起こるはずもありません。いわゆるマネーゲームをして、実質的になにも働かず、大もうけするような社会だから、次から次へとお金に振り回されているのです。タイの洪水もそうです。本来なら洪水に見舞われた人たちが可哀想だという話題になるのに、「日本企業がどうだ、お金がどのぐらい損した」という話ばかりです。原発の事故もお金まみれで、お金が主役でなかったら、もちろん石炭を焚き、安心して電気を使っていたでしょう。銀行、証券会社、税務署、経理事務、伝票整理、経済学者、財務省・・・お金にまつわる仕事をしている人が、お金のシステムを簡素にして30%を5%にすれば、日本人のほとんどが「真に必要なこと」をするので、より豊かで安心した生活ができるというものです。(このブログが現代では遠く離れた話であることは承知しています。また、お金が創造的な仕事を実現したり、銀行券を印刷するだけで景気が良くなる可能性もあります。でも、本来、創造的な仕事を進めるために大切な役割を果たしていた銀行が、本来の役割を果たせなくなったことなど、やはり私たちは間違っていると思います。お金全廃ではなく、お金のシステムの簡素化が急がれます。金融界の方は手をこまねいているように見えますが、奮起を期待します。)(平成23年11月6日)武田邦彦
2011年11月08日
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(追記) 瓦礫について、私が適切と思う手続きまず、政府が最初にやるべきことは、 1) 福島原発の半径5キロ以内で処理することができるか?(放射性物質の閉じ込め) 2) その時に原子力国家予算4500億円や東電の資産売却(仮には国家が立て替える)金でまかなえるか(責任がある人が負担)、を一週間程度(5月ぐらい、今でも良い)で検討する。私はできると思うが、できないという結論がでた場合、それを丁寧に国民に説明する(民主主義)。その上で、 3) どうしてもそれが不可能な場合(すでに8ヶ月も経っているということも考慮して)、 4) 放射線の低い瓦礫を自治体で処理するようにして、 5) 自治体側では瓦礫を引き受けても(瓦礫ではなく、その地域の)放射線量が法律で定める値を超えないことを「大丈夫」ではなく「数値」で示す、 6) 以上のこと、あるいは他の方法でもその根拠と数値を丁寧に国民に説明する。決して「黙れ」などという言葉は使わない、 ということだ。都知事の会見の問題は「黙れ!」だけではない。「なんでもない瓦礫」というところにある。東京都が1年1ミリの法律を守るのか、それとも文科省の1年20ミリなのか、はたまた東京都の区が「1年100ミリまで問題がない」といったのを追認するのか、「なんでもない」の内容が不明なのだ。また、この「なんでもない」が原発事故が起こって以来、政府や専門家が言い続けたこと・・・コウナゴだけなら、牛肉だけなら・・・ということと同じで、「今回だけなら」ということなのか、それとも今後、どのぐらいのガイドラインを敷くのかそれも明示されていない。都民のことは都民が考えればよいが、こんなに曖昧なことで子供の健康を守れるのか私から見ればきわめて疑問である。(平成23年11月7日)武田邦彦
2011年11月07日
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「水飲み事件」と「黙れ!」事件・・・瓦礫に反撃政治家というのは人の心が判る人と聞いていました。私のような科学者は「物」は判るけれど「人」は判らない、人の心は政治家が知っているとよく言われたものです。最近、ある政務官の「水飲み事件」がありました。政務官が「放射性物質が含まれている水」をテレビの前で飲んで「安全性をアピールした」と言うのです。なにか、意味があるニュースなのでしょうか? 致死量の100分の1程度の放射性物質を含んだコップ一杯の水を飲んでも成人男子が健康を害することが無いのは誰でもわかりますし、今、問題になっているのは「わずかに汚染された水を飲み続ける子供の健康」の問題なのです。お母さんが心配しているのは政務官が直ちに倒れることではありません。5歳の子供が10年後に15歳で病気になることを防ごうとしているのです。なんの役にも立たず、何のニュースでもないものが流れたという印象を持ちました。こんなことをするならやるべきことは多くあるのに残念です。また倫理的にも糾弾しなければなりません。日本の法律ではみだりに被曝することを禁止しています。「直ちに」政務官の健康に影響がなくても法の精神に真っ向から反することをするというのは、国政に参加するものの最低の倫理にも悖るでしょう。・・・・・・・・・都知事が瓦礫を持ち込むことに反対している多くの都民に「(バカ!)黙れ!」と叫びました。()の中は私の補足ですが、もし都知事を選んだ都民がよく考えている人たちなら「黙れ」とは言わないでしょう。都民が心配しているのは、福島原発から漏れた量は政府発表でも約80京ベクレル(万テラベクレル)で、その2倍、3倍というデータもあります。これを日本人一人あたりで割ると、一人あたり80億ベクレルになります。人間が健康を維持する限度は1年1ミリで、かならず病気になるのが1年100ミリです。1キログラム100ベクレルの食品を1日で食べると1ミリシーベルトの被曝を受けますから、1年100みミリになるのは1万ベクレルの食品を食べることを意味しています。つまり80億ベクレルというのは毎日、必ず病気になる1年100ミリなる食事を80万日食べることを意味しています。人間の一生は3万日ですから、福島から漏れた放射性物質が瓦礫などによって日本中に飛散した場合、そのうち食材や空間線量として私たちを襲ってきますが、それは耐えられる量ではないのです。そこで、都民は知事に「瓦礫を受け入れるというのは、その瓦礫が東京の汚染より高いか低いかではなく、最終的に東京に住んでいる人が外部被曝、内部被曝、食材被曝などでどのぐらいまで引き受けるのか、その計画を示せ」と言っているのです。都民に「黙れ」というなら、知事が「黙らずに説明」をしなければなりません。一回の瓦礫がどんなに少なくても、東京はもともと汚染されていますし、葛飾の方は1年1ミリを守るのも難しい状態です。都知事は法律(1年1ミリ)を守らない違反者なのか、遵法精神なのか、国が法律に違反したらそれに唯々諾々として従うのか、知事の意思さえ示していません。・・・・・・・・・政治家がまともになるには、選挙もありますが、日常的に政治家の行動をチェックすることです。でも、私は知事の発言を聞いていると、到底、民主主義を支持している人には見えず、都民がなぜ今の知事を選出したのか、分かりにくいところもあります。(平成23年11月6日)武田邦彦
2011年11月07日
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ハッキリしたこと(2) 4500億円と無策・増税だち 消費税を5%から10%にするようですが、その理由は「税金が足りない」と言われています。聞いてみれば当然で、税金で生活している政治家や官僚が自分の給料や権益、それに天下り先を増やそうというのですから、政治家やその後ろにいる官僚が増税を唱えるのは「自分だけ得をすればよい」という今の日本ではよく理解できます。増税の一つの理由として、「赤字国債が多い」からと言うけれど、赤字なのに国債を出したのは政治家と官僚で、税金を増やすと票を失うからいつも「国債」で払っておけば自分たちが浪費できる。そして赤字になったから親(国民)に増税を迫るといううまい方法を考えたものです。国民にしてみれば「国債を買いましょう」といって買っていたら、その分だけ税金でとられた・・・考えてみれば国債を償還する力があるのは国民だけだった・・・という訳です。(拙著「国債は買ってはいけない」(東洋経済新社))・・・・・・・・・3月11日に大震災、12日に福島原発が爆発しましたが、まだ2011年度予算が執行される前で、国会で予算案が通っていない時期でした。もし議員や官僚が普通の人たちだったなら、なにはともあれ震災対策や原発対策に使用する予算を凍結し、人件費ぐらいは出すけれど、あとは政策が決まり次第、執行するのが決断力というものです。家計を考えたら判ります。3月11日に家族がなにかに巻き込まれ急に100万円を必要とするようになっても、給料をそれまでと同じペースで使っていくなどということはありえません。国家だから時間がかかるということもなく、内閣が閣議を開いて決めればそれですぐにでもできることでした。・・・・・・・・・特に原子力予算の使い方がひどいもので、毎年4500億円を使っています。福島原発が爆発した後でも原子力関係者は「心から反省」をしなかったのでしょう。4500億円から除染費用も、福島の人を助けるお金も一切、出さなかったのです。それをマスコミ報道部はだまっていました。汚染された農作物を全量、買い取るのに700億円。NHKの教育テレビが「2000億円も除染にかかるなら、除染はできません」と言いましたが、この両方を足しても、1年の原子力予算の約半分でした。直接的には福島県がこの予算を要求しなかったのが致命傷になったのですが、福島市は除染して綺麗な県を取り戻すより、汚染されたまま県民に1年20ミリを被曝させる道を選んだのですから、しかたがありません。福島県は原子力予算を十分に知っているのですから。それに「焼却してもリサイクル」ということで利権をとっているリサイクルが4300億円、ダイオキシン対策が1800億円、それに温暖化では1兆円とも言われ、合計すると実に2兆円を超え、納税者にとっては1年間2万円に当たります。増税は不要です。思えば、「事業仕分け」で官僚にうまいことやられました。実際に実施している事業の「細かい無駄使い」をいくら摘発してもせいぜい数1000億円規模であることは最初から判っていました。でもシナリオは、1)まず事業仕分けを体育館でやって注目を浴びる、2)議員には思いきり過激な発言をしてもらうがシナリオ(何をとりあげるか)は官僚に任せておくので肝心なものはでてこない、3)マスコミ報道部に取り上げて貰う、4)たいした効果をもたらさないで終わる、5)「節約は限度だから増税する」という、6)民主党の公約と全く違うが国民は2年経てば忘れてくれる、というものです。まんまと引っかかりそうですが、これからでも遅くありません。こんなに不誠実な政治家を選んでいれば子供たちの将来がないのは当然でもあります。(平成23年11月6日)武田邦彦
2011年11月07日
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子や孫を持つ日本人は「モンスター」になろう!!横浜市の公共施設が販売していた干し椎茸から実に2770ベクレル(1キロあたり)という高いセシウムが検出された。今までも汚染されているのではないかと何回も指摘されていたが、横浜市は市長が「放射線は大したことはない」と言い続け「被曝しても大丈夫」というパンフレットを税金で作っていて測定が遅れた。給食の担当者は「カロリー」を示すのではなく、「ベクレル」を示さなければならないと私は言ってきたが、原発事故以来、食事の提供者のもっとも重要なことは汚染を測定することだ。青酸カリの1000倍以上の毒物が含まれているのだから。それでも、横浜市は「すみません」と言い、「健康に影響はない」と言い訳をしている。これで市民を守る自治体なのか? 被曝した子供は横浜市が謝ると被曝が減るのか?? 例によって横浜市は「子供は椎茸だけしか食べない」と仮定して計算しているが、すでに横浜市の給食の牛肉からかなりの放射性物質が出ているし、空間線量率も高い。・・・・・・・・・この事件の持つ意味は大きい。自治体が自分の責任で「大したことはない」と言い続けてきたのだ。そして横浜市の場合、市長がその先頭に立ってきた。なんと言っても市長だ。それなりの判断があったはずだから、市長の辞職は当然だろう。それとも市長は干し椎茸を食べた子供たちの体内に入ってセシウムを回収して欲しい。もちろん、そんなことはできない。できないということは今まで市長が言ってきたことはまったく無責任だったことが判る。・・・・・・・・・子供たち、孫たちを被曝から守ろうとすると、横浜市長に「モンスター」と呼ばれるが、喜んで呼ばれよう。被曝から子供を守ろうとする人をモンスター呼ばわりする人など、日本人ではない。その人たちからモンスターと言われるのは名誉なことだ。かつて、私は大手の週刊誌に「1年1ミリシーベルト男」と名指しされたが、名誉なことだ。1年1ミリは法律であり、国際的な約束であり、あの東電すら従業員に1年1ミリを守らせるためにお客さん(国民)に多くの人件費を負担させていたのだ。幼稚園長、小学校校長、教育委員会、文科省大臣に大いに「モンスター」と呼ばれようじゃないか。彼らはやがて責任をとって横浜市長とともに辞めて行くだろう。(平成23年11月5日)武田邦彦
2011年11月06日
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ハッキリしたこと(1) 東電と1年1ミリ(原発事故から8ヶ月。ハッキリしてきたことがあります)東電の原子力関係の重役と部長クラス以上はすべて退任、退職するべきと考えます。法律上、可能なら全員を逮捕すべきです。理由は簡単で、1)事故前、東電は1年20ミリの被曝の許可を得ている原発作業員の被曝を1年1ミリに制限していた!! 2)それを実施するために原発の従業員を3万8000人から8万2000人増やし、その人件費を電気代として国民に負担させていた!! 3)文科省大臣が「福島の子供に1年20ミリ」と言ったときに反対をしなかった!! ということです。人間は「自分の意思」を行動に移すものです。特に東電の役員や部長クラス以上というと日本の指導層ですから、その行動に社会的責任があって当然です。東電社員が1年20ミリの枠を持っていて、それを1年1ミリに制限していたのは「東電の意思」です。「意思」というのは「自分でそう考えている」ということです。そしてそれに要した費用は自分で負担せずに国民に負担させていたのです。それを事故が起こって自分の発電所の不始末で国民に被害を与えるようになると、1年20ミリでも良い(黙っている)というのは「人間ではない」のは確かです。詐欺罪ではないか??人間で無い人が地域独占の電力の役員や部長をしていることはできません。退任、退職してください。そして私財で、1)今までの人件費の増分のお金を補填し、2)福島の子供の19ミリ分をとりもどすべきです。絶対に、免れることはできません。こんなダブルスタンダードを行う人はとにかく明日から去ってください。また、私たちの情報としては、「東電のように放射性物質を扱っている会社は、1年20ミリの枠を持っている成人男子(幼児の3分の1の感度)でも1年1ミリまでが限度だ」と東電自身が考えていたということです。このことについて「1年1ミリ以上でも大丈夫」と言っている自治体の役人はすぐその理由を説明してください。素人が1年何ミリなら5歳の子供が15歳で病気にならないなどと判断できるはずもありません。法律も1年1ミリ、国際合意も1年1ミリ、東電も1年1ミリで、なぜ福島の子供たちが1年20ミリで、給食の食材がセシウムだけで1年5ミリで「大丈夫」と言うのでしょうか。あなた方(東電、役人)は子供の将来に責任は持てません。神様ではありません。早速、東電の人は退任、退職し、自治体は詳細マップと除染を必死で進めてください。特にこれまで「大丈夫」と言ってきた人は罪を償ってください。(平成23年11月4日)武田邦彦
2011年11月06日
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これからの生活の設計ために(4) どうして日々の生活したらよいか?福島原発事故から8ヶ月になろうとしています。子供を守る親としては、残念なこともあり、苦労したこともあり、そして誇りに思うこともある・・・そんな気持ちをお持ちだろうと思います。でも、不安もあります。このような状態がいつまで続くのだろうか? ここで生活をしていて大丈夫だろうか? など難しい問題が浮かび上がって来ているはずです。そこで、これまで生活の設計のために岩手県、宮城県、福島南部のことを説明してきましたが、今回は千葉県を「例に挙げて」、他の都道府県にお住みの方でもご参考になるように少し書いてみました。住宅、外国への出国など大がかりな方針の指針はまた別の機会に書きます。ここでは毎日の生活に絞りました。・・・・・・・・・まず、子供の10年先の健康は神様以外、誰にも判りません。「大丈夫」などと言う人がいますが、まったく信用できません。学説はありますが、人間は判らないことは判らないのです。そこで、「悔いの無いように」するには、1年1ミリです。そして、「仕方ない」という限度は1年5ミリです。この理由はブログで説明してきましたが、今後も新しい情報がまとまれば整理をしていきます。単なる例示として千葉県を出しました。他の地域の人もこの地図を見ながら、自分のところの参考にしてください。この地域でどうしても「1年1ミリ」を超えてしまう地域は黄色で塗ったところです。この地域は平均して1時間あたり0.5マイクロシーベルトですから、そのまま8750時間をかけると、1年に4.4ミリになり、かなり工夫をしても無理と思います。それを避ける方法は「少しずれる」ということです。広い範囲が汚染されていたらダメですが、柏や三郷周辺だけですから、お勤めのことなどを考えて、できれば「白い地域」、できなければ「薄緑」のところへ移動することがお勧めです。薄緑の地域は1時間に0.25マイクロですから、1年に2.2ミリになります。でも、これは「平均」です。だから、「ヤブ、側溝、林、公園の隅、雨樋の下の近く、ふきぶるようなところ・・・」を避け、家の中を1ヶ月に1回ぐらい除染すれば、1年1ミリに収まります。つまり、「平均ではだめでも、危険なところを避ける」という方法です。たとえば、家が0.11で、周囲に0.4のところがあれば、平均して0.2とか0.3になりますが、0.4のところに近づかなければ、何とか1ミリの近くで収まるということです。そして、たまには「白いところ」に遊びに行ったり、買い物にいくような工夫をしてください。「生活の工夫で平均値を下げる方法」です。この方法をお勧めするのは、ようやくサカナ、牛乳、(新米)などを除いて徐々に食品の汚染が下がってきたことです。これから食品安全委員会が1年5ミリの暫定基準を、できるだけはやく1年1ミリにしてくれることを期待したいと思います。また、このブログでもサカナや野菜、お菓子などを紹介していますが、他のブログでもいろいろアドバイスがありますので、参考にしてください。また、地域の汚染を拡大しないためには、瓦礫の持ち込みなどをできるだけ減らすことです。放射性物質は少なくても減りませんから、積み重なります。100分の1でも100回運ぶと危険です。時には食材を運搬してくるトラックのタイヤの検査を自治体に迫ることも大切です。たとえば口蹄疫などが流行したときには国道に消毒薬のベルトを作り、かならずそこを通らないと県内に入れなかったのです。口蹄疫はウシの病気ですが、放射性物質は人間があぶないのですから、さらに厳重な管理を自治体に求めたいと思います。不幸中の幸いですが、セシウム、ストロンチウムは梅雨と台風などのために少し水に溶けてアスファルトや土にしみこんでいます。だから風で飛ぶ量もかなり減っています。地下水は危険になってきましたが、被曝は減っています。地下水以外の水道は大丈夫です。調味料、インフルエンザワクチンなどはいずれも少量なので問題はありません。また、2号機の爆発で心配された福島原発も安定していますので、とにかく、「地域」に気を配って、3月まで頑張りましょう。(平成23年11月4日)武田邦彦
2011年11月04日
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