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新宿セミナー@Kinokuniya『原発大崩壊!』(ベスト新書)刊行記念武田邦彦 講演会「すべての原発は地震で壊れる」「原発安全神話」が大崩壊した3・11から3ヵ月が経つ。政府は浜岡原発の停止を要請し、中部電力は運転を停止した。しかし、浜岡だけではなく「日本にあるすべての原発は危険なのだ」と武田邦彦氏は喝破する。耐震基準のウソ、被曝基準値変更のウソ、政府・東電・メディアのウソ。科学者の知と国民目線で臆せず欺瞞を暴き続ける注目の人が、原発問題の真実と、我々の取るべき道を、ノーカットで語る90分。--------------------------------------日時: 2011年6月11日(土)19:00開演(18:30開場)会場: 新宿・紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店・新宿本店4F)料金: 1,000円(全席指定・税込)前売: キノチケットカウンター(紀伊國屋書店・新宿本店5階受付時間10:00~18:30)電話予約: 紀伊國屋ホール 03-3354-0141(受付時間10:00~18:30)主催: 紀伊國屋書店協力: KKベストセラーズ★詳細は⇒http://www.kinokuniya.co.jp/label/20110524170900.html書籍情報 好評発売中書名:『原発大崩壊! 第2のフクシマは日本中にある』著者:武田邦彦価格:840円(税込み)出版社:KKベストセラーズ
2011年05月31日
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短い情報・・・杉並の放射線今朝、テレビ朝日の「やじうまテレビ」に出演した時に、柏市のお母さんが放射線を測定しながら、子供を守っている映像を拝見しました。同じ場所にお住みでも、注意することによって10倍も違います。このぐらい注意しておられたら大丈夫と少し気持ちが楽になってホテルに帰って、メールを読んでいましたら、読者の方から杉並の測定値が送られて来ました。 この記録は外ですが、外(空間)は0.1マイクロ(毎時)で、おおよそ1年1ミリシーベルトを下回るぐらいです。安心です。これに対して、ビルの屋上は6マイクロ(毎時、これは1年に53ミリにあたる)もあったようです。健康に注意するという条件での上限が1時間0.6マイクロですから、その10倍もあります。お子さんをビルの屋上など、3月に降ってきたままになっているようなところは避けましょう。 困ったことですが、理屈通りではあります。3月に福島原発から漏れた放射性物質は60京ベクレルです。この量は福島原発がもともと持っている放射性物質の量から言えば1000分の1ですが、柏崎刈葉原発事故で漏洩した量の20億倍です.仮に60京ベクレルが、日本人一人あたりに均等に降ったとすると、一人あたり約50億ベクレルになります。もちろん、福島県を中心にしていますし、海にも出ていますので、東京の一部も含めて人口が4000万人、陸に降ったのが20%とすると、一人あたり30億ベクレルとなります。だいたい同じ数字で、数10億ベクレルが私たち一人一人に割り当てられたようなものです。一人一人の頭の上に降って来る訳ではありませんが、活動する範囲にこの程度の放射性物質があることを示しています.それが「土、家の中、庭、学校、公共施設、デパート、スーパー、車の上、ホウレンソウ、お茶、ウシ・・・など」の上に降り注いだのです.・・・・・・日本人一人あたりの面積は3000平方メートルですから、1平方メートルあたり、100万ベクレルになります。一方、法律では1平方メートルあたり40万ベクレルを越えたら「柵をしたりして立ち入りを制限する」必要が生じます。つまり、残念ながら「宮城から東京までの地域で汚染されているところ」は、「すべて制限地域」とも言えるのです。また野菜の基準値が300ベクレル程度、水が本来は10ベクレルぐらいですから、このような基準値に対して、環境の放射性物質の量が多いことも判ります。・・・・・・・・・少し計算したのは、•1) 杉並でも屋上などで高い線量が出てもおかしくはない、•2) お母さんが線量計で子供を守るのは大切、•3) このブログで「やや慎重」な行動と考え方を推奨していること、•4) 政府やNHKが「健康に影響が無い」と言ったのは全体の状態から見ると間違い、というのを確認するためです。・・・・・・・・・東京、千葉、埼玉、神奈川、栃木、宮城などでこれまで注意してきたお母さんは、回りから「神経質すぎる」と言われたと思いますが、それは正解だったこと、子供はえてして隅やヤブに入りやすいので、注意することが大切、であることが判ります。(平成23年5月30日 午前10時 執筆)武田邦彦
2011年05月31日
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原発事故中間まとめ(1) 爆発が判った瞬間福島原発は2011年3月11日午後3時頃、震度6の地震に見舞われ、施設の一部が破壊されました。その後、1時間後に約15メートルの津波がきて、さらに大きな損傷を受け、続いて翌日の水素爆発で破壊しました。このように連続的な打撃を受けたので、現在の時点で、どこがいつ破壊されたかを正確に判断することはできず、今後、事故調査を通じて徐々に明らかになっていくでしょう。私は、福島原発が日本の他の原発と同じように、耐震性、耐津波、そのほかの自然災害やテロなどに対して、非常に弱くできているので、震度6の地震や15メートルの津波という「普通に起こる自然災害」で大きな損傷を受けると考えていました。だから、福島原発が地震で壊れても、その点についてはそれほど驚きはしませんでした。まったく自慢するつもりはありませんが、すでに2年以上前に、幻冬舎のご厚意で「偽善エネルギー」という本を出し、そこで「原発は地震で倒れる」ということを書いていたからです.「震度6、15メートルの津波」は日本人の常識ですが、原発では「想定外」だったのです。・・・・・・・・・いずれにしても、11日の地震と津波で損傷し、原子炉を冷却することが出来なくなりました。地震直後のことで、現場はかなり混乱していたと思いますが、私が大きな原子力施設の責任者をやっていた経験では、自分の装置は手に取るように判るものです。特に、弱点というのは何時も気になっているので、あることが起こるとそれによって連続的に続く「まずいこと」は走馬燈のように頭に浮かぶものです。事故後の詳細を時間と共に整理している新聞を読んで、私は次のように思いました。•1) 11日の夕刻には、責任者(発電所長や運転主任)は12日に原発が爆発することが判っていた(理由は後に示す)、•2) 爆発によっておおよそ10京ベクレル規模(原発1基がその中に抱えている放射性物質の1000分の1程度)の放射性物質が漏れることが判っていた、•3) 福島の人に避難命令をだすことは原発の責任者には出来ないので(制度上、間違っているが)、東電本社から直ちに政府に連絡が行ったのは間違いない。•4) 福島県知事も11日の夕刻の時点で、12日に原発が爆発して大量の放射性物質が漏れることの連絡を受けたはずである。仮に11日の夕刻(18時頃)の時点で、発電所長からの「爆発予告」に対して、政府と福島県が国民や県民に誠実だったら、直ちに気象庁に連絡して、風向きを調べ、原発から西北(福島市方向)、および南(いわき市方向)の人たちに対して避難指示をしたと考えられます.・・・・・・・・・多くの人は「政府や役所というものは、ことが起こらないまで隠すものだ」ということを経験的に知っていますが、原子力だけは「原子力基本法」によって「民主、自主、公開」という原則が貫かれていて、それを約束して政府は国民から「原子力をやって良い」というお墨付きをもらっているのです.だから、11日夕刻の時点で、政府は「福島原発が12日に爆発して、大量の放射性物質が漏洩する」という発表を行い、直ちに風下の住民の避難準備(バスを用意する)、畑の養生(田畑の上にビニールシートをかぶせる)などができたはずです。「危機管理」とはそういうことです。危険が起こると考えられるものについては、「危険が来る前に、危険を予想し、準備し、演習する」ということで、単に「危険がある」と口で言っているだけではありません。このことは、今、まだ運転を続けている日本の原発にも必要なことで、出来るだけ早く政府と自治体は「予想、準備、演習」をしなければなりません。まして、原発が自然災害で倒壊し、「施設が破壊し、大量の放射性物質が漏洩し、住民が被曝する」というのは予想されていて、それが「地震指針の説明」に載り、さらに閣議の了解も得ているのです。・・・・・・・・・現在の時点(2011年5月末)で、もっとも大切な事は、福島原発の教訓を活かして、原発を運転している地方では、•1) 発電所は原発の爆発が予想された時点で、その事実を直接、社会に公表できるようにする、•2) 直接、公表して、実際に事故が起こらなくても咎められず、発表せずに事故が起こったら、懲役になるというシステムを作る、•3) 原発の所長は、社会に公表してから東電本社、政府などに連絡する(このことは私が会社に入ったときに受けた「火災と通報」の記事に詳しく書いてあります)、•4) 発電所長の公表によって、自治体は直ちにあらかじめ準備し、演習していた避難を開始する。避難の途中に事故の可能性が無くなったら、通常の生活に戻る.この場合、避難した国民は電力会社に損害を請求しない、などをする必要があるでしょう。地震から1日の間、私たちはずいぶん、のんびりとしていたことが判ります。でも12日には私のところに、「逃げた方が良いか?」という多くの問い合わせがありました。よく考えている人は、最初から事実をよく把握していたのです.(平成23年5月31日 午前10時 執筆)武田邦彦
2011年05月31日
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神になった人たちのリスト何の根拠もなく「被曝しても安全だ」と言う人が増えてきました。それが止まりません. 被曝するとガンになるのですから、根拠無く「安全」という人は神になった人です.常識ある人間はそんなことは口に出せません。 他人の健康のことで、人が何か口にするには、まず第一に日本は法治国家ですから「法律」、第二に医学医療や学問的に定まっていること、そして第三に自分の研究結果などです。 第二(学問の定説)のことを言う時には、第一(法律)に触れなければならず、第三(自分の研究)をもとにするときには、第一、第二にふれて、それとどこが違うか、その理由はなにかを説明しなければなりません。 ・・・・・・・・・ 日本の法律では、一般人は1年1ミリ。管理区域(健康に留意して、栄養のバランスをとり、被曝量を測定する)では5.2ミリと定められています. 国際的(ICRP)では「被曝に応じてガンが増える」とされていて、1年1ミリが「我慢の限度」とされています。 ・・・・・・・・・ 【神になった人】 •1. 文科省大臣: 「児童の被曝は外部被曝だけで20ミリまで安全」(ICRPはそんなことは言っていない)、 •2. 福島県アドバイザー: 「1年100ミリまで安全」(福島医大の講演では、「この医大の被曝医療は世界に誇るレベルになる(患者がでる)」と発言)、 •3. 官房長官: (60京ベクレルで被曝しても)「直ちに健康に影響はありません」(直ちにとは、人生が80年だから、10年から20年は直ちにだろう)、 •4. 保安院: 「海水中の放射性ヨウ素が規制値の3355倍でも、健康に影響はありません」、 •5. 柏市: (市内に1年1ミリを越える地域があるのに)「原発事故に伴う放射線量率等に関する市の考え方」という文章に、「千葉県北西部地域が相対的に高い数値であることを基にネット上に不安を煽るような書き込みがされている」と「1年1ミリ以上のところを警告すること=不安を煽る」としている。 •6. 東大、柏国立がんセンター「少々高めの線量率だが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康に問題はありません」 •7. その他、大勢(根拠がないのに、影響がないといっているのはNHK、朝日新聞、一部の医療関係者、放射線専門家、知識人など) ・・・・・・・・・ 特に、東大、がんセンターのコメントが実に奇妙です. 「少々高めの線量率だが、人体に影響を与えるレベルではなく、健康に問題はありません」 とあります。 測定値はほぼ1時間0.5マイクロシーベルトで、1年間では約4ミリシーベルトになります。 つまり「少々高め」であることは認めています.それでも「人体に影響が無く、健康に問題がない」としていますが、この根拠はなにもありません。 勝手に「感覚で決めたか、政府の言いなりか」のどちらかです。市民が被曝している最中に、法律を無視すると人体実験になります。 正しくは、「一般公衆が1年に被曝している限度を越えているが、管理区域よりは少ない.だから、ある程度、健康に影響のあるレベル」とコメントする数値です. ・・・・・・ 福島原発事故が起こって以来、国は突然、法律を無視して、被曝の影響を小さく見せようと、法律違反まで起こして懸命に広報をしています。 でも、なぜ東大がそのお先棒を担がなければならないのでしょうか? 東大は学問的に独立していますし、これまでも多くの委員をだして、1年1ミリを決めてきた機関の一つです. それがなぜ、自らの学問的判断をすてて国にすり寄るのでしょうか? 東大(柏)は「風評被害を小さくする」ということに責任を持っているのでしょうか? それとも「自分たちは神だから、他人の健康を勝手に決めることが出来る」と思っているのでしょうか? 柏市の言動も、とても奇妙です. 柏市は、「専門機器に熟練した技術職員が必要となるため、市では対応ができません」と言い、「東京大学・国立がん研究センターの調査結果が柏市を代表する値と考え」としているのですから、0.5マイクロ(毎時)がでれば、市民に対して「管理区域涙から、被曝の警告をします」という広報を出す必要があります。 1年1ミリ以上の状態を「注意が必要」というネットの書き込みを「風評」というのはあまりにも「法律違反、市民の健康無視、親切心なし、市民は家族でもなんでもない物体」と思っているのが露骨です. 自治体が「法律を守ろう」と呼びかけている人を「風評を煽る人」というのは、前代未聞で、顔を見たくなります。 自治体は放射線についてあまり関与できないのですが、だからといって「市民を被曝させるのに熱心」という市役所は存在価値があるのでしょうか? ・・・・・・・・・ それにしても、日本人は本当に政府に盲目的に従うものだと改めて思います。その理由が「お金」なのか、「一人の人間として独立していない」のか判りませんが、良くも急に変わることが出来ると感心します。 ●どうして、柏市は法律違反を起こしてまで、市民に「被曝しても良い」と言うのでしょうか? ●朝日新聞はこれまで「被曝は危険」と言い続けてきた先鋒だったのに、政府が安全と言い出すと、突然、「被曝は安全」、「ガンになってもかまわない」と豹変したのでしょうか? 是非、ご本人から理由を聞きたいものです。 「神」はあの世の「神様」だけにしてください。 (平成23年5月30日 午前9時 執筆)武田邦彦
2011年05月30日
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科学者の日記110530 政府も少しはなにかやってください目の前で何かが起こっているのに、政治家が知らん顔をするというのは良くあることですが、細野首相補佐官が「国はやるべきことを、すべてやっている」と発言したのにはビックリしました。 この日記の末尾につけておきましたが、放射性物質を含むものは地方自治体は手を出せないようになっていて、国が責任をもって片付けなければなりません. すでに、3月に福島原発から漏れた放射線量は60京ベクレルに及び、それが福島原発、その周辺、福島市、郡山市などにあります。この「汚染源となる放射性物質」を除くのは法律で国がやることになっているのです。 台風シーズンが来て、強い風が吹けば福島原発付近の濃い放射性物質は、台風が太平洋を通ると北風にのって茨城、千葉、東京、神奈川に、もし日本海側を通ると南風で宮城に行くと予想されます。 福島原発内は東電が飛散防止剤をまいたりしていますが、国は周辺の汚染をまったく除去しようとしていません. ・・・・・・・・・ そればかりではありません. 国はなにか「実働」をしているでしょうか? 福島原発の処理は東電任せ(緊急時だけちょっと応援)、小学校の汚れは自治体任せ、瓦礫の処理は福島原発ちかくに処理施設をつくるのではなく地方自治体に引き取りを求めて、放射性物質の拡散を進めるなど、なにもしていません. 「何もしていない」のに、「やるべきことはすべてやっている」というのですから、驚くべき発言です. ●福島原発に国の実働部隊はいません. ●福島原発近くの高濃度汚染地域に国の実働部隊はいません. ●小学校、幼稚園、公共施設の除染部隊もいません. ●瓦礫、汚泥、汚染された草木などを片づける実働部隊もいません。●海の汚染を測っている国の影は見えません。●ストロンチウム、プルトニウムのデータは海外から来ます.それでいて、自治体が手を出すのを禁止しています. 【参考】 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十七号) 第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。 ・・・・・・・・・ 一刻も早く汚染を除去して国民を被曝から守る任務を負っている国は、国会の争いばかりに熱心で、福島原発については1ミリを20ミリにしたりして国民を被曝させるのに懸命です。 こんな状態なのに「消費税を10%まであげる」と言っているのですから、国民も甘く見られたものです。 税金を上げるなら、まずは国民が「政府というものがあるな」と実感できるように「実働部隊」を福島原発、福島原発付近、福島県に派遣して、放射性物質を取り除かなけれならないでしょう。 「なにもやらなければ税金を払わない」ぐらいの納税者の強い反応が必要な時なのかも知れません。 ・・・・・・・・ 【汚染されたものは地方自治体が処理できない法律一覧】 環境基本法(平成五年十一月十九日法律第九十一号) (放射性物質による大気の汚染等の防止) 第十三条 放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)その他の関係法律で定めるところによる。 大気汚染防止法(昭和四十三年六月十日法律第九十七号) (適用除外等) 第二十七条 この法律の規定は、放射性物質による大気の汚染及びその防止については、適用しない。 水質汚濁防止法(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十八号) (適用除外等) 第二十三条 この法律の規定は、放射性物質による水質の汚濁及びその防止については、適用しない。 土壌汚染対策法(平成十四年五月二十九日法律第五十三号) (定義) 第二条 この法律において「特定有害物質」とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く。)であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律 (平成十一年七月十三日法律第八十六号) (定義等) 第二条 この法律において「化学物質」とは、元素及び化合物(それぞれ放射性物質を除く。)をいう。 環境影響評価法(平成九年六月十三日法律第八十一号) (適用除外等) 第五十二条 この法律の規定は、放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)及び土壌の汚染については、適用しない。 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十七号) (定義) 第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。 循環型社会形成推進基本法(平成十二年六月二日法律第百十号) (定義) 第二条 略 2 この法律において「廃棄物等」とは、次に掲げる物をいう。 一 廃棄物 二 一度使用され、若しくは使用されずに収集され、若しくは廃棄された物品(現に使用されているものを除く。)又は製品の製造、加工、修理若しくは販売、エネルギーの供給、土木建築に関する工事、農畜産物の生産その他の人の活動に伴い副次的に得られた物品(前号に掲げる物並びに放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。) (平成23年5月30日 午前8時 執筆)武田邦彦
2011年05月30日
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台風の前に緊急に政府がしなければいけないこと台風シーズンが近づいています。梅雨は始まりました。初動が大切な原発事故で、国民の避難、児童の疎開、汚染されていない水の確保など、原発事故ですぐしなければならない政府の義務は何一つされていません.何もしないで1ミリを20ミリに上げたり、汚染された野菜を拒否するのを「風評被害」といったり、もっぱら国民を被曝することに熱心です。私たちは何のために税金を払い、選挙の投票をしているのでしょうか?でも、少し批判されて、やっと腰を上げつつあります.・・・・・・今、緊急にやることの一つが「福島原発から半径10キロ圏内の放射性物質を除去する」ということです。3月に福島原発からでた放射性物質の量は「60京ベクレル」です。それに対して、今、原発から出ている量は「兆ベクレル」ですから、約1万倍以上の放射性物質が「福島原発ではなく、その周辺にある」ということです。つまり、今では「福島原発から出ている量」より、「3月に出たものが付近の土の上に乗っている量」の方が格段に多いのです.福島原発の報道が、今、汚染している土地に関心を向かわせないための策謀か?と私が訝るのは、このことにあります。・・・・・・・・・だんだん、待ったなしになってきました。これが強風が吹くと舞い上がり、広く拡散することが予想されます.だから、政府は一刻も早く、土壌の上にシートを貼るとか、濃い放射性物質が乗っているところは土壌を除くことをしないと、福島のみならず、台風が太平洋側を通ると北風が吹いて茨城、千葉、東京へ飛んできます.お茶が汚れたのも私は一度、土の上に降った放射性物質が風でまったものと思いますし、郡山などの放射線量が減らないのも、「福島原発の周辺から、2次的に飛んできたもの」に夜のではないかと思っています.原発から10キロ圏内の高濃度汚染地域を少しでも綺麗にすることは政府(東電)の義務です.それはその土地に住む人にとっても大切なことですし、今、そこにある放射性物質が再び飛んで、日本の大地を汚さないためにも必要です.それに加えて、梅雨で雨が降り、土壌にしみ、地下水に移動します.汚いものがこぼれたのですから、常識的に考えても「早い方がよい」のは当然なのです.政府の方!!目を覚まして行動に移ってください!!のんびりとひまわりを植えている時期ではありません。強い行動をとってください。・・・・・・・・・自治体も綿密に放射線量を測定して、市民の不安を除去し、「地産地消」(横浜市、戸田市など)を止めて鹿嶋市のように、安全な野菜を子供に出してください。教育委員会や市長の決断次第で、その市の子供達の差が出てきました。(平成23年5月29日 午後1時 執筆)武田邦彦
2011年05月30日
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海の汚染の考え方と問題点海の汚染が難しくなってきました。「難しい」というのは、魚や海藻が食べられなくなるという意味ではなく、人類が初めて体験する「海の汚染」というものが、かなり複雑な様相を見せそうだということです。陸に降り注いだ放射性物質もややこしいものですが、それでも畑に降った「粒」は次第に地中深く下がっていくだけですし、そこに植えたホウレンソウも足がないので「歩きません」.でも、海は、「海流が激しく、魚が泳ぐ」という二つの動きがあり、さらに「深さ」もあるので、なかなか考えるのが難しいのです.それに加えて、「東電の妨害」があります。東電はすでに福島原発から漏れた水の分析を終わっていると思います.その水は原子炉の中を通ってきていますので、蒸発しやすい核種(軽い元素か化合物)も、沈殿しているもの(重い元素や化合物)も両方を含んでいると思います.具体的に言えば、ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムは含んでいるのは間違いない。あまり期待していないが、国民の健康のため発表を求める必要があります。「海を分析する」より「東電から何が漏れたか」が判る方が正確に事実を把握できるからです。・・・・・・・・・海に漏れた元素はヨウ素、セシウム、ストロンチウムが主で、ヨウ素は海藻に、セシウムは中型から大型の魚の肉に、ストロンチウムは小魚にたまり、それが人間の体に入り、ヨウ素は甲状腺、セシウムはいろいろなところ、ストロンチウムは骨に入るでしょう.今のところ、福島から千葉以外の海は強く汚れていることはありませんが、今後の動きに注意しなければならないと思います。私は年齢的にもそれほど注意しなければならないことはないのですが、小型の魚は避けるようにしています.・・・・・・・・・ところで、問題は「地産地消」や「風評」のかけ声で生協やスーパーが全国に運んでいる汚染された食材、検査を拒否したお茶の葉、瓦礫、それに魚、海藻が「ゴミ」として捨てられ、それが「焼却炉」で焼かれると、その煙のなかには移動した分の放射性物質がそのまま出てきます.放射性物質のやっかいなことは「煮ても焼いても、無くならない」ということです。「なにかを使って放射性物質を除く」というのは、「無くなる」のではなく、「別の場所に移す」ということです。もっとも問題になるのは、「海水にでたプルトニウムが、魚に取り込まれ、それを調理したり、食べた人が残りを生ゴミに出し、焼却した場合」です。プルトニウムは胃に入ると、人間は消化器からは取り込みませんから危険は少ないのですが、プルトニウムの微粒子が肺に入ると肺ガンになります.つまり、プルトニウム問題は魚を食べることより、たとえば魚を裁いたり食べたりした残りを生ゴミに出し、それを自治体が焼却すると、プルトニウムの微粒子が自治体の焼却炉の煙突からでて、肺に入ると言うルートです.これはかなり問題になるでしょう.まだ、環境省はもちろん、各自治体も「放射性物質で汚染されたものを移動する」ということがどのような影響を与えるか、ほとんど考えてはいません。彼らは、縦割り行政の中で、日本人の健康とは関係なく、自分たちの仕事だけが片づけばよいというどうにもならない考えだからです.・・・・・・・・・海の問題のもう一つやっかいなものは、「ストロンチウムやプルトニウムは測定に時間がかかるので、魚が腐った後、測定値がでる」ということです。お寿司屋さんなどはどうなるのかと心配です.海が汚れてきて、魚から放射性物質がでるようになると、「刺身や寿司」はすべて冷凍の魚を使わざるを得ないでしょう.つまり、検査結果が出てきてから食べるしかないからです.福島原発のことで、日本の食の伝統が守れなくなるかも知れません.・・・・・・・・・海の汚染は、イカナゴから始まり、今は藻類がもっとも汚染されているようです。これから6月になると中型の魚、7月は大型と順次、移ってきます。魚や海藻、貝は日本の食生活の中心をなすものです。東電がデータを出すのはもちろん、政府の機関は全力をあげて魚の放射性物質の測定をして、確実なデータを早く提供して欲しいと思います.(平成23年5月29日 午前9時 執筆)武田邦彦
2011年05月29日
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幼稚園の砂場と園庭 ・・・ あるお母さんからお子さんが通っている幼稚園の砂場と園庭の土を、ご自分がお金を払って検査したお母さんがおられます. 場所はさいたま市、結果は次の通りです(1キログラムあたり). ヨウ素-131 109ベクレル セシウム-134 412ベクレル セシウム-137 432ベクレル ・・・・・・・・・ この結果を法律的に見てみましょう。 日本の法律はすべて同じ数値を使っていますから、どれでも良いのですが(文科省、厚生労働省など)、ここでは幼稚園なので、厚生労働省の「電離放射線障害防止規則」を示します(添付のものは何時もの通りダブルクリックしたらよく見えます)。 古い規則(法律)ですが、今年に改正になっています. この条文では、「事業者」(つまりこの場合は汚染した東電と、土地を管理している幼稚園)が、放射性物質である場所を汚した場合、 •1) 汚染が拡がらないようにすること、 •2) 人が入らないように標識を立てること、 •3) 表に示す値の10分の1に下げること、 が定められています. そこで、ここの別表というのを見てみると、アルファ線を出すものとアルファ線を出さないものに分けていますので、アルファ線を出さない値、つまり1平方センチメートルあたり40ベクレルが基準です. このお母さんが砂場や園庭の土をどのぐらいの深さでとったかは不明ですが、普通は3センチぐらいでしょう(福島原発事故の少しあとに、IAEAと保安院の測定値が違ったのも、掘る深さが原因で、このようなことは専門家でもあまり厳密には出来ないので、お母さんのサンプルの採り方は問題はありません.) 次に土はもともと比重が2.2ぐらいですが、空間もあるので、見かけ比重が1.0とすると、1キログラムの土を3.3センチの深さでとったら、面積は、 3.3センチの深さ×300(平方センチメートル)=1リットル=1キログラム となります。 つまり、測定値を300で割ると、1平方センチメートルの値になり、表の数値を比較する事ができます。 また、複数の放射性物質の場合はそれぞれの割合を合計すると決まっていること、この場合は全てが同じ基準なので、953ベクレルになり、1平方センチメートルあたり3.2ベクレルという計算になります。 管理者は基準値の10分の1にしなければなりませんから、標識を立てなくても良いのは4ベクレルです。 【結論】 •1) 基準に対してギリギリ、セーフ、 •2) 幼児ということを考えて基準の3分の1(幼児の感度補正)をすると、除染限度の2.5倍、 •3) 従って、このままでも法律違反ではないが、今は空間、食材からの被曝もあるので、幼児の健康のことを考えると、表土を少し削った方が安全、 と言う結論に達します. ・・・・・・・・ 素晴らしいお母さんです!! おそらく埼玉県のさいたま市では「福島原発から遠いから」という理由で行政は動かないでしょう. でも、お母さんは自らのお金を出して、測定してもらったのです.もし、この値が2倍だったら、砂場は「標識で囲わなければならない」という場所だったのですから、思い切って土をとって測定に出したことは良かったと思います. これをするには、幼稚園が認めてくれること、土をビニール袋にいれて測定機関に送ることなど、多くの面倒なことがあったと思います. ・・・・・・・・・ いろいろ、考えることがあります。 さいたま市が今、どのようなサービスをしているのかは不明ですが、普通の場合は自治体はなにかと理由をつけてお母さん方の不安を「口先」で解消しようとします。 でも、普段、市民から税金をいただき、お給料を受け取っている市役所の人としては、こんな時こそ、恩返しをするときなのでしょう. 口先で言うのではなく、「測定して不安を解消する」という積極的な行動をするのがよいと私は思います. もう一つは、私たちは税金を半分ぐらいにして、このような時に自分たちで使うのはどうでしょうか? これは名古屋が市民税10%減税で行っていることですが、「税金を減らして、その分、市民一人一人が市のためにお金を使う」というおことを進めています. さいたま市がこのお母さんの功績に対して、どのように報いてくれるのか、それも注目するべきことでしょう. とにもかくにも、あまり酷い数値ではなくてホッと一安心です. (平成23年5月28日 午前9時 執筆)武田邦彦
2011年05月29日
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科学者の日記110528 良いこと、悪いこと昨日は大学で研究会をしたりしたこともあり、ブログを一日、サボりました。文科省が20ミリから1ミリに変えたことで、ややホッとしたことや、秋田県のお医者さんからのメールで、放射線の取扱に十分な注意をしていただいていることなど、良いことも続きました。やはり日本のお医者さんは信頼できます.また、テレビ報道も少し様子が変わってきて、「放射線に注意する」ような番組が多くなったようです。でも、3月の最初の一撃で多くの人が被曝したことを考えると、素直には喜べないところもあります。一方では、海の汚染がだんだんハッキリしてきたり、東電はデータを隠したり、相変わらず。もっとも、もともと東電や保安院など「ウソの常習者」の発表を聞く方がおかしいのかも知れません。・・・・・・・・・もともと、今回の福島原発の事件は「技術的問題」より「人災」の色彩が強いと私は思います。近くに原発がある人は参考にしてください。•1) 地震や津波に強く設計できるのに、総合的に言えば「震度5」ぐらいで原発を設計するという非常識なことが行われていたこと、•2) それでいて、平気で理由も示さずに「原発は安全です」と言っていたこと、•3) 電力が「安全です」というのは当然なのに、それを受け入れていた日本社会と、実質的にチェックしていなかった保安院、•4) 原発がこればお金がもらえるという考えもあったこと、•5) 技術は間違いが起こるのだから、起こった時のことを考えた事前の対策が必要なこと、•6) 対策が出来ていたら、その訓練もすること、•7) 実際に福島原発で事故が起こりそうになった3月11日夕刻、気象庁が風向きを発表して、それに基づいて11日の夜にバスなどで県民が非難していれば、一人も被曝を防ぐことが出来たこと、•8) 特に、子供達やお母さんだけでも非難させたかったこと、•9) 続いて、あらかじめ準備しておいた「ビニールシート」を畑にかけて畑を守ること、•10) 原発の傍に急いで200メートル、深さ5メートルの防水プールを掘って汚染水のため場所を作る事、•11) 原発の傍に「汚染された土や瓦礫」を置いておく敷地を確保すること、そして積極的に汚染地帯から土や瓦礫を回収すること、•12) 福島の人に直ちに線量計を配り、健康診断を開始すること、•13) 1年1ミリを越えそうなところでは、児童生徒を疎開させ、放射性物質を含まない給食を確保すること、•14) 福島の人に汚染されていない水、食糧を配ること、などをしておけば、被害はほとんど無かったと思います。つまり、「原発は安全だ。だから事故のことなど考えない」というのではなく、「原発を安全に作る事、事故を考えておくこと、それに対して電力会社が責任を持つこと、事故が発生しそうなときに住民の避難を開始すること」など、当然のことをしなければならなかったのです.首相や原子力安全委員長がせっかく福島原発に行っていたのですから、そこで「国民を被曝から守るために、非難させろ!」と大号令をかけるべきだったのです.原発に海水を注入するかどうかなどは技術的な問題ですから、発電所長に任せ、首相は「私は原発のことは詳しい」などと言わないで、「国民の健康を守るための非常手段」を発令しなければならなかったと私は思います.(平成23年5月28日 午前7時 執筆)武田邦彦
2011年05月28日
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6月5日いわき市講演の情報です6月5日 午後1時よりいわきワシントンホテル 3F申し込み電話 講演会専用?090-2955-5399ファイル 「IwakiTakeda65.pdf」をダウンロード武田邦彦
2011年05月28日
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科学者の日記110526 みんな死ぬのだから・・・という論理を考える日本の法律では「1年1ミリ」が被曝限度だが、「1年100ミリまで大丈夫」と国、専門家、医師、自治体、新聞記者が言っている. 他の人の意見が自分と異なる時には、 「なぜ、教養も責任感もある人が、自分と違うことを言っているのだろうか」 と考えることが私のやり方だ。 自分が正しいということはない.自分の意見と他人の意見が違うだけだ。 ・・・・・・・・・ 「1年100ミリまで良い」と言った人は、たとえば、 •1) 衆議院の委員会で私と一緒にでた原子力安全委員会の委員の方、 •2) 朝日新聞の女性の記者で署名記事を書いた人、 •3) 長崎大学の教授で福島のアドバイザーをしているお医者さん、 •4) 東工大の若手の女性の原子力関係の研究者(放射線防護) •5) 松戸市のお役人などの地方自治体の人、 などでいずれも蒼々たるメンバーだ。 そのほか、原子力安全委員長、文科省の大臣、厚生労働省、官房長官、教育委員、校長先生、幼稚園の園長さんなどは「子供でも外部被曝だけで1年20ミリまで大丈夫」と言っている. 子供は大人より感度が高いし、外部被曝だけなので、それを考えるとこの人達もほぼ1年100ミリを指示している. ずいぶん、多い. ・・・・・・・・・ 彼らの言うことに耳を傾けてみると、その中心的な考えは、 「人間はどうせ死ぬのだから、放射線で死んでも良い。死亡率は100%、ガンで死ぬ人は30%だから、1年100ミリで0.5%が死んでも問題は無い」 ということだ。 (1年100ミリの被曝で、ガンが0.5%増えるというのは、ほぼ一致している.1億人で1年に50万人の年齢に無関係の新たなガン発生である。) 日本人が30%もガンで死ぬようになったのは、「人生50年」から「人生80年」になり、歳を重ねると遺伝子が傷ついてガンになる確率が増えたことによっている。 だから、最近では「歳をとったらガンになる」ということが判ってきたので、「生活習慣病」などに気をつけてできるだけ発症時期を遅くするようにという方向に進んでいた。 しかし、上記の人たちが発言しておられるように、人間はいつかは死ぬのだから、10才でも、20才でもガンで死んでも良いではないかという論理もなりたつかも知れない。 「健康」に関する思想の大転換である. 人間は最終的には死ぬ。だから人生の目的は死ぬことである.従って、早く死んだ方が早く人生の目的を達成することができるということでもある。 たしかに歴史的に見ることができない、画期的な思想だ。福島原発事故というのがあまりにも大きかったので、このような新しい思想が誕生したのだろう. ・・・ もう一つ、お酒やタバコ、甘い物を食べるなどの生活習慣は「自らが選択できること」(意志)であり、原発からの放射線でガンになるというのは、「他人から強制される」(強制)であるので、その危険性は20倍から1000倍にしなければならないというのが、今までのリスクの考え方だった。 原子力でも、 •1) 一般人の1年1ミリに対して、自分の意志で放射線の仕事に就く人はその20倍の1年20ミリ、 •2) 原発の敷地境界には誰が来るか判らないので、1年1ミリの20分の1の1年50マイクロシーベルト、 などとなっていた。 たとえばハンググライダーは死亡率の高いスポーツであるが、自分の意志で、丘陵地帯に行って楽しむから許されている.小学校の子供が強制的に体操で実施するには危険すぎる。 同じ行為でも、意志があるかないかで分けるのもこれまでの考えだった。 ・・・・・・・・・ つまり、 •1) 人間はどうせ死ぬのだから、早く死んでも良い、 •2) 意志があっても無くても危険性は同じである、 という新しい考えが提出されている。 私は、このような考えはまだ納得していない。 人間はできるだけ健康で長生きすることが良いと思うし、人間の目的は死ぬことではなく、毎日の生を楽しむことにあると思っている. また、世の中には危険なこともあるけれど、自分の意志で他人に迷惑をかけないなら(お酒を静かに楽しむなど)、それは人間として許されるが、酒の飲めない人に強制的に飲ませるのはダメという考えだ。 ・・・ この衝撃的な新しい哲学は、自己矛盾を含んでいるように見える.それは「福島原発事故が衝撃的であるから、新しい哲学が必要だ」というのだから、「被曝するのは衝撃的だ」ということになる。 なぜ「被曝するのは衝撃的」なのかというと、「健康を害するから」、「ガンになるから」、「ガンになるのは怖いから」ということだ。 従って、新しい哲学が誕生する理由と、その哲学が提示してくれる新しい考えが相互に矛盾していると感じる. でも、現実には、福島原発が起こって、突然、新しい哲学が提供され、それを多くの指導者や知識人が支持している. 結果的には、この考えによって現在、「子供達を被曝させる」ということになっているが、それも含めて、早い内に新しい考えの方と深い議論をしてみたい。 福島原発の事故が終わったら、ご意見を変えることはないと思うが。 (平成23年5月26日 正午 執筆)武田邦彦
2011年05月27日
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国を失った日本人(2) 空中分解した国、子供を被曝させるある読者の方から、厚生労働省の「お母さん向けパンフレット」を送っていただきました。 このパンフレットは、厚生労働省が多額の税金を使って大量に配布したもので、データは一切、書いてありませんが「放射線は安全だ、基準を守れば赤ちゃんは安全だ」を繰り返しています。 厚生労働省の中にはお医者さんもたくさんおられ、国民の健康を守るために、「健康ニッポン」などの大がかりなキャンペーンを展開しているのに、実に不思議です. 福島原発の事故が起こってから国は、 •1) 外部からの線量の限度を、1年1ミリから1年20ミリにした(内部はわずか2%の査定)、 •2) 水の限度を10ベクレルから300ベクレルにした、 •3) 食材は魚を含めて急遽決めて、コメも含めて約500ベクレル(キログラムあたり)(魚は2000,コメ500、野菜300など)、 から、少し前のブログに書いたように、 「国を信用して、基準値を守る生活をすると、子供の被曝は1年に50ミリシーベルトになる」 というきわめて過酷な状態になるのです. でも、このパンフレットのように、厚生労働省はそのデータを示さず、「基準を守れば赤ちゃんを守ることができる」と言っています(悪魔の言葉ではないか?). 本当に国は、1年20ミリとか50ミリで良い、「法律を守っている」と思っているのでしょうか? ・・・・・・・・・ 実は違うのです。 5月25日、「国」の原子力保安院は、「被曝について法律違反をした」という理由で東電を厳重注意処分にしました。 その理由は、 (1)第2原発で4月21日まで管理区域の設定基準を超える線量が測定されながら、線量管理をしなかった、 (2)放射線業務従事者でない女性5人が、放射線管理の必要な区域で勤務し、うち2人が一般の線量限度である年1ミリシーベルトを超えて被ばくした、 ということです。 そして、 「保安院は、作業員全員が携行できる線量計の確保や、通常時と同様に3カ月に1回内部被ばくの評価ができるよう機器を早期に整備することなど、7項目の改善策を東電に指示した。 第1原発では地震発生直後から女性計19人が作業に従事。女性の放射線業務従事者について国が定めた被ばく線量の限度「3カ月で5ミリシーベルト」を2人が超えるなど、放射線管理の不備が判明していた。」 と伝えています。 ・・・・・・・・・ 私たちは国を失いました.税金は払わなくて良いでしょう.そのぐらいの常識は、訴訟になったときに裁判官も理解すると思います. その理由、 •1) 【文科省】 外部被曝だけで1年20ミリまでOK。 •2) 【厚労省】 食材も入れて1年50ミリまでOK •3) 【経産省】 1年1ミリを越えると厳重注意 一体、これは何でしょうか? 完全な国の空中分解です。 ・・・・・・・・・ このほか、保安院は「日本国の法律」に基づいて、次のように東電に注意をしています. •1) 一般人の基準が1年1ミリということを忘れたのか! •2) 職業人の被曝は1年20ミリ(3ヶ月で5ミリ)ということを忘れたのか! •3) 職業人が働く管理区域では、線量計の携帯、内部被曝の管理が必要だと言うことを忘れたのか! もちろん、日本では法律は一つですから、福島県や自治体は、 •1) 一般人(それも子供)を1年1ミリ以上被曝させている、 •2) 管理区域の人に線量計も内部被曝の管理もしていない、 •3) それが現実なら、法律を守る立場から、除染に全力を挙げなければならないのに、限度を上げて被曝させている、 また、練馬区役所(ホームページは改正されたようです)、松戸市などは、「1年100ミリまで大丈夫です」と言い、法律違反をしています. ある真面目な地方公務員から私に「1年1ミリという法律を教えてください」と依頼が来ました。とても正直で真面目な人なので、この質問は良いのですが、やはり法治国家ですから、国が空中分解していても、公務員は法律を守って欲しいものです。 でも、もう国は無い! 自分で行こう! (平成23年5月26日 午前11時 執筆)武田邦彦
2011年05月26日
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国を失った日本人(1) 海の汚染、はじまったか?ある出版社が、「外国」の環境団体が測定したデータを送ってくれました。それによると、5月5日に江名港での測定では、アカモク(海藻)から放射性ヨウ素が基準値の60倍、セシウムが3倍でした(フランス環境団体測定)。また四倉港のコンブ(5月5日)はヨウ素が50倍、セシウムが4倍で、海草類に汚染が拡がっていることを示しています(ベルギー原子力研究センター測定).おそらく海藻の表面か、海水から直接、吸収したものと思われます.また、勿来港のシラス(5月9日)は、ヨウ素は低いのですが、セシウムは2.2倍含まれていました。・・・・・・・・・福島原発の事故が起こった直後、日本人にとってもっとも大切な情報は「風向き」でしたが、気象庁は「俺の任務はIAEAに報告するだけ。日本に国民がいるとは思わない。勝手に被曝しろ!」と言って応じず、原発から北西の人たちが被曝しました。3月下旬、私が風の情報をドイツ気象庁、ノルウェー、それにイギリスから得ていたとき、本当に哀しくなりました。日本人が自分の命を守るために、日本の気象庁ではなく、ドイツの気象庁までデータをとりに行かなければならない。それも100年に1度もない気象上の緊急事態なのに・・・哀しい・・・今まで、真面目な日本、誠意のある日本、シッカリした役所などを信頼していた私。江戸時代から明治にかけての日本がヨーロッパより優れた文化を持っていたと書き続けてきた自分.・・・・・・・そして、また今、海洋国家日本が食材の中心となっている魚の汚染データを外国から得なければならなかったのです.日本の海の関係機関や学者はデータを持っているのか、それを隠しているのか判りませんが、多くの人たち、お母さん方が「海は大丈夫かしら」と心配していることが判らないのでしょうか?・・・・・・・・・私たちは、国を失いました。自分で行きます! 夏に向かって、魚の汚染が進み、貝、海藻の心配が増えます.また釣り、潮干狩り、サーフィン、海水浴のシーズンになりますが、国を失った民は当面、データがでないから諦めなければならないでしょう。そのほかにもいくつか、問題点があります。•1) 今回は、データ自身のつじつまは合っていますが、外国の環境団体のもので、信頼性がまだ十分ではないこと、•2) 海ではストロンチウム、プルトニウムが問題だが、まだデータが無いこと、•3) この汚染がどのぐらい拡がっているかが判らないこと、•4) 海藻の汚染が早く、魚(中型が今から、大型が7月からと予想していましたが)の汚染が少し早まる可能性があること、•5) 基準値は「それだけが汚染されている」という基準だから、「足し算」をしなければならない時には、基準値を10分の1にしなければならないから、すでに100倍ぐらいもあり得る、ということです。具体的には、三陸沖、北海道、四国沖、九州沖、沖縄、日本海以外の海産物は買わないほうがよいでしょう。海の人に呼びかけたいと思います.「食べる人が安心して買うことができるように、自分たちの手で測定してください。「自分の仕事より子供達の命」という日本人としての誠意を持って」(平成23年5月26日 午前9時 執筆)武田邦彦
2011年05月26日
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たて割無責任社会:大人が強いる子供達の被曝なんでも「縦割り社会」になって、「自分のところだけOKなら」という時代になりました。もう一つ、昔は貧乏でも、子供の健康や夢を大切にした時代でしたが、今はお年寄りまで「子供より自分」の時代になりました。その被害を今の子供達が受けています.文部大臣(正しくは文科省の大臣)が言っている「1年20ミリ」、生協が提供している食材、水道局の事故後の基準、そして運動場での内部被曝で、子供達は、「規制値以下なら安全」という名の下に、どのぐらいの被曝を受ける事になるのでしょうか?・・・・・・・・・文部大臣からの被曝(3.8マイクロシーベルト(毎時)×8(時間)+0.4(家の中)×3.8×16(時間))×365/1000=20ミリシーベルト・・・生協の食材からの被曝(特に断らない限り、キログラムかリットルあたり)お米 規制値 500ベクレル、 野菜 規制値 300ベクレルだから、約400ベクレル(ヨウ素)1日に食べる量 1.4キロ(ベクレル)×(とる量)×0.0073=年間被曝(ミリシーベルト)実際には、セシウム、ストロンチウム(測定されていない)、プルトニウム(測定されていない)などが入るので、2倍にして、4ミリシーベルト×2=8ミリ・・・水道局事故後の新基準 300ベクレル1日に飲んだり歯磨きしたりする量 2キロ4.4ミリシーベルト×2=8.8ミリ・・・体内被曝計算グラウンドで遊んだり、帰ってから外で遊ぶ時の被曝(文科省は子供が学校から帰ったら、家の中から一歩も出ないとしている)は、かなり高いが、これを校庭における外部被曝と同じとして、3.8*8*365/1000=11.1ミリ(内部被曝を重視する学者の先生から見ると、この計算は甘いと言われそうですが、内部被曝を軽く見る人もいるので、一応、これで進みます。)・・・合計すると、20+8+8.8+11.1=47.9ミリシーベルトこれが今、日本の大人が子供にしていることです。法律では、1年1ミリシーベルト(一般人)、放射線作業者の上限1年20ミリシーベルト(実際の平均値は0.7ミリシーベルト)です。これに対して、1年約50ミリシーベルトを「安全」と言って、学校を開いたり、食材を売ったりしています。生協は子供にこれだけの被曝をさせて生産者を保護しないと「いたたまれない気持ち」になるらしいのですが、私は生産者を保護するために子供に被曝させる方が「いたたまれない気持ち」になります。(平成23年5月25日 午前10時 執筆)武田邦彦
2011年05月25日
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新しい「信頼される」生産者・流通の時代に!少し前に、日本で盛んに中国の食材を批判した時代がありました。それに対して、中国は「食品の安全の基準はしっかり守っているし、実際、中国で大きな問題は起きていない」と言っていました。でも日本国内の不信感は変わりませんでした。それは、「どうせ中国がそんな事言っても、信頼できないから」ということだったでしょう。つまり「信頼」というのは、多くの生産者や流通の人がすでに良くわかりのように、単に数字上のこととか、言葉で言ったということではなく、買う人の信頼をどのように得るかということにかかっていると思います。・・・・・・・・・現在、食材と放射線の関係で多くの人の不信感を呼んでいるのは、現実に福島原発が始まった時から今までの経過なのです。その最も良い例が水道の規制値です。世界の基準値としては、WHOが1ベクレル(リットルあたり(以下同じ))で、ドイツガス水道協会が0.5ベクレル、アメリカは0.11ベクレルです。これに対して3月17日までの日本の基準値は、ヨウ素が10ベクレル、セシウムが10ベクレルでした。今回の福島原発の事故がなければ、多くの人が水道の基準を気にしているわけではないので、10ベクレルでもさほど問題がなかったと思います。しかし、福島原発を事故が起こり、現実に水道が汚染されてくれば、誰でも、本当に大丈夫だろうか?と思うのは当然です。特に、小さいお子さんをお持ちのお母さんは、粉ミルクを水でとかなければいけませんし、赤ちゃんをお風呂に入れることも必要です。そのお母さんが大丈夫だろうか?国際的な基準が1ベクレルなのに日本は10ベクレルで大丈夫なんだろうか?と心配するのはごく当然のことです。ところが日本の政府も、自治体も、そして日本の官庁の中ではかなり信頼できる水道局も、「なぜ国際基準が1ベクレルなのに、日本の基準が10倍なのかを積極的には説明しませんでした。それに加えて驚くべきことが起こったのです。福島原発が爆発したので、各地の放射線量が上がり水道が汚染されました。そうすると、3月17日になって「暫定基準値」がでて、驚くことに、ヨウ素が300ベクレル、セシウムが200ベクレルに跳ね上がりました。国際基準が1、事故前10、事故後300!! 説明無し。それで「信頼しろ」と言っても、ノーマルな人間には無理です.それと共に、牛乳や乳製品が ヨウ素300ベクレル(キログラムあたり)、セシウム200ベクレル、 野菜類は2,000ベクレルで、根菜類などは不明? 穀類500,肉・魚その他が500となったのです(一部は昔から。どれがどれか不明)。この数字はやや曖昧です。曖昧なままブログに書いたのは理由があります。わたくしはこの数字を、もう一度確認して書こうと思ったのですがやめました。それは、子育てで忙しいお母さんが、いちいち、数字をチェックするということができないからです。それでも、普通のお母さんに比べると、わたくしの方が少し知っているかもしれません。今、わたくしの頭にはだいたいこのぐらいしか入っていないのです。わたくしが「お父さんとしての視点で見る」と言っているのは、普通のお父さんやお母さんは大ざっぱな事しか覚えてません。それぞれ生活がありますし、まさか放射線の暫定基準値の専門家でもありません。「どうも10ベクレルぐらいの値が、事故が起こったから300ベクレルに引き上げられたらしいという感じを持っているだけです。また、お父さんですから、「国」がなんといおうと家族を守らなければなりません。国が決めたいい加減な「事故後の値」などは、お父さんは関心がないからです。中国の食材でありませんが、こんなことをされて「食材が安全だ」と信じろといっても到底、無理です。水道の基準でも事故が起こる前に決めてあった10ベクレルというのには、それなりの根拠があるからです。わたくしのブログには、計算値を示して、水道はせいぜい20ベクレルまでという計算値が書いてありますが、何かの根拠がなければ値を変えることはできないのです。しかも、現在は江戸時代ではありませんから、「お殿様が決めたから、それに従え」というわけにはいかないのです。そんな中で、生活協同組合が茨城産の農作物を全国に運んでいます。そして生協の人は次のように言っています。「生産農家が一生懸命つくった安全な野菜なのに、出荷できない。何ともいたたまれなかった」という。消費者に安全をPRし、生産農家が今後もおいしい野菜をつくり続けられるよう、4月上旬に共同購入による応援フェアを企画した。 対象は、全国的に需要が落ち込んでいる福島、茨城、千葉、群馬、栃木の5県のうち、同生協がこれまで産直野菜の取引のあった8産地のキュウリやレタスなど計14品目。国の検査をクリアした安全なもので、毎週9品目を選んで案内している。」でも、ここで担当者が言っておられる、「生産農家が一生懸命つくった安全な野菜なのに、出荷できない。何ともいたたまれなかった」というのはどういう意味でしょうか?ここで、生協の人が言っている「安全な野菜」というのは、国が事故処理に重きをおき、国民の健康を第二にして決めた300ベクレルのことでしょう。300ベクレルなら安全だというのは、全く説明されていません。1年に1ミリシーベルトという法律で定められた安全の基準を守ろうとしたら、食品は10から20ベクレルぐらいが一つの目安になります。もし生協が本当に買うお母さんの身になったら、次のように言うでしょう.「このホウレンソウは国の基準は満たしていますが、お子さんが1年1ミリシーベルト以上の被曝をさせたくなかったら、普段の30分の1ぐらいまではお買い求めできます」という「販売量制限」をするはずです。また、生協の人が言ったという「何ともいたたまらなかった」という表現はわたくしには衝撃を与えました。野菜というのは、生産すれば食べなくてもいいのでしょうか?わたくしは農家が一生懸命作る目的は、日本のお子さんが安心して食べられる野菜を作るからだと思います。いたたまれないのは、むしろこのような野菜を買わされるお母さんの方ではないでしょうか。関東大震災の後、この悲劇を生かして、日本はかなり近代化されました。それは関東大震災の前までには、日本の中にまだ江戸時代の古い習慣が残っていたのですが、それが関東大震災という大きな災害をきっかけに前進したのです。今回の福島原発の事故は日本にとって大変に大きいものでした。でもこの原発の事故を教訓にして、もしも日本の農作物の生産者が本当に安全な食材を消費者に提供し、生協が自ら計算をして日本の子供たちが食べても大丈夫な食材を提供するようになったら、前進と思います.事故が起こってから国は「健康に影響がない」を繰り返してきました。また、多くの放射性物質が福島などに降り注いでいるのに、その事実を隠していました。そんな国であることを知りながら、消費者を守るはずの生協が「国の検査をクリア」というのは、生協を信頼していた私には理解できません。生協で販売されている、福島、茨城、千葉、群馬、栃木の5県の野菜は「放射性物質で汚染されている」ので、購入してはいけないことが判ります。また、生協はトラックで日本中に「放射性物質」を運んでいるので、それはすぐ止めてもらいたいものです。未来をつくる日本の子供達のために、私は批判を受けることを承知で「個別・具体的に」危険な食材を指摘していきたいと思います.個別のことを言うのですから、私の名誉は傷つくでしょうが、子供を守ることの方がずっと価値がありますから。(平成23年5月24日 午前11時 執筆)武田邦彦
2011年05月24日
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ドイツ気象庁 (DWD)による粒子分布シミュレーションの日本語訳 現在(5/23更新)の予報です。初めてご覧の方はまず左の解説をお読み下さい。5/23(月)この日の本州は、その中心を北日本に置く高気圧に支配されます。穏やかな北の風となり大気中の粒子は引き続き南下して来るでしょう。首都圏もその範囲に入り、雨による粒子の降下も予想されます。5/24(火)この日の日本列島は穏やかな風に支配され、本州では風向きは定まりません。その為大気中の粒子は一つの方向では無く広い範囲に拡散するでしょう。5/25(水)日本上空で高気圧が勢力を増してきます。本州はこの高気圧の南西側に位置し、北または北東の風に支配されるでしょう。大気中の粒子は南へと移動し首都圏もその範囲に入る見込みです。※図中で示されているUTC(協定世界時)に9時間を足したものが日本標準時となります。Mo:月曜日/Di:火曜日/Mi:水曜日/Do:木曜日/Fr:金曜日/Sa:土曜日/So:日曜日DWDのサイトには当日を除く今後2日分の予報と画像が常時掲載されるようになっており、こちらでもその予報文を随時訳していますがオリジナルの当日分は削除されてしまいます。ですからこちらで紹介している当日分の予報翻訳も必然的に一日前の文章を残すという形になってしまい最新の画像とのずれが生じている場合もあります。その旨御理解下さい予報訳は毎日更新していますがブラウザにキャッシュが残っている場合に更新が上手く反映されない場合もあります。確実な更新情報をご希望の方にはツイッターでのフォローをお勧めします。放射線関連リンク集放射線測定値データベース SAFE CAST(個人・第三者機関含む、エリア拡大中) 福島地方の放射能地図(こちらは実測値によるものです)- 早川由起夫教授のブログより文部科学省による放射線モニタリングデータ文科省による各地のデータをグラフ化したものNAVER全国放射線量マップ(同じく文科省データに基づく)NHKによる各地の放射線量報告オーストリア気象庁(ZAMG)による放射性物質拡散シミュレーション原子力資料情報室(CNIC)ウラン兵器禁止を求める国際連合(ICBUW) - 放射線関連の海外ニュース、文献等が多数紹介されています。ドイツ放射線防護委員会による日本における放射線リスク最小化のための提言この図は放出される放射性粒子の相対的な分布図(訳注:大気中)と題されており、下部の小文字部分には要注意:放出源の濃度が明らかでないため、この予想図には空気中にある放射性粒子の実際の密度が反映されているとは限りません。発電所からの仮想上の放出が天候条件によってどのように分布し希釈化されていくのかのみが表現されています。との注意書きがあります。赤色の濃淡で粒子の濃度を表しており、上から順に赤:濃度は僅かに希釈されている黄:濃度はかなり希釈されている白:濃度は極めて希釈されているとなります。ですから、福島地方においての空気中の放射性物質の濃度を基準にした場合に、そこから濃度はどのように薄まり分布していくのか、という事を気候条件を基に予測したもので、放射線量の絶対的な測定数値はこのシミュレーションには直接反映されていません。その為に敢えて「相対的」と前置きしている訳です。よってこの図から危険度の評価はできません。上記アニメーションの一コマ目から三日間、福島第一原子力発電所において放射性粒子が放出され続けたとして(注)、粒子はそこから風に乗ってどう広がるかを高度250m地点から表現した予測(シミュレーション)であり、現在の分布状況ではありません。元の放出量によって危険度は変わってきます(相対的)から、現時点で実際にどれだけの量の放射性物質が放出されているのかは別データ(右にリンク集有)を参照しなければなりません。注:ここではその量は問われていませんので、良く見られる「大爆発・大放出があったとして」という表現は正確ではありません。図が相対的なものである以上、放出規模の大小の仮定は意味を為さないからです。正しくはただ単に「放出され続けたとして」です。放出の有無、又その量は右のリンク集から実測値にてご判断下さい。(事故現場周辺の大気は隔離されていませんから放出が全く無いというのは現時点ではあり得ない訳ですが。)ドイツ気象局(正式名称:Deutsche Wetterdienst、通称:DWD)はドイツ連邦交通・建設・都市開発省下に属する公益機関で気象・天候・気候の調査報告を主な業務としています。気象局は基本的に放射線量の測定値の発表は行っておらず、その危険度の評価はドイツ連邦放射線防護庁(BfS)の法的な管轄となります。ドイツ気象局が出した情報を基にBMU(連邦環境・自然保護・原子炉安全省)やBfS(連邦放射線防護庁)の専門家グループが実際の測定値を参照の末、危険度の評価を下すという事だそうです。その為この図はあくまでも気候条件のみによる予想であり、空気中の有害物質の実際の密度は反映されておらず、放射能濃度測定値による危険度評価とも関係ありません。同一視しないように。との旨がDWDのサイト上にも幾度も注意書きしてありますドイツ政府の対応についてですが在日ドイツ大使館のサイトでこれまでにドイツ大使館が発表した在日ドイツ人に向けての声明を全て読むことができ、ここには原子炉安全省を初めとする専門家グループ、並びにその報告を受けた独外務省危機管理対策本部の、一般人が理解できるレベルでの具体的な判断が反映されていると言えるでしょうそれによると3月13日に一人の専門家が原子力保安省から到着しており、福島第一原発についての応急的な判断が下されるだろうと述べられています。ここではその詳細な調査結果には触れられてはいませんが、その三日後の17日には在東京ドイツ大使館の大阪への移転と、全ての在日ドイツ人に対して、原発での事故の収拾が着くまでは東日本(静岡以東)からの退避勧告を発表しています。現時点で最新の5月20日付の声明でも、首都圏での数日間の滞在は問題は無いだろうとしながらも、長期滞在や子供・未成年の滞在は避けるようにというその基本姿勢に変化はありません在首都圏の独国籍保持者及びその家族は現時点で一人につき二錠の安定ヨウ素剤を必要に応じて大使館の専任医師から受け取る事ができるそうです。ただしその服用については日本政府の指示を待つ事と赤字で強く注意しています:4月11日付の声明で「ドイツ(その内の一人の専門家は3月13日から継続してドイツ大使館にて調査中)、オーストリア、スイスの専門家グループの協力によって現状の把握が進んでおり、新たな危険を導くような誤解を排除すべく、在日ドイツ人に対してより正確な情報提供が出来るようになって来ています。大使館機能は大阪に移転しましたが独大使館にとっては、首都においての外交上の通常業務を継続するという事も重要で、ヴェスターヴェレ独外相は4月2日の訪日後、必要不可欠な外交機能の東京への再移転を決定しました。危機分析・管理等のその他の業務は引き続き大阪に留まります。」との発表がありました。その後4月29日には全ての機能を再び東京へと戻していますこのような分布予測は正しく理解した上での目安にすることができれば、各自の健康を守る(特に自分での判断が難しく成人よりも放射線の影響を受けやすい子供達)という目的にとって非常に有益だと思います。この情報のみで判断するのではなく、他の情報源と併せて一つの判断材料にするのが最善なのでは無いでしょうかこの翻訳の本意は、日本政府が発表しない(且つ第三者機関による)貴重な情報源の一つを、出来る限り多くの市民の皆さんに誤解の無いよう正確そして冷静に受け止って頂くという事にあります。文章の転載は自由ですが、その際は必ず上記太字の注意事項を併記の上でお願い致します※ 当方天気予報の翻訳は通常行っておりませんので、ここで用いる気象用語の訳語に違和感を覚える方もおられるかも知れません。その際にはご指摘頂ければ幸いです
2011年05月23日
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科学者の日記110523 ああ、すれ違い!あるお母さんが、子供の被曝が心配になって、市が測定している「空間の放射線量」を調べた。なんと、地上5メートルのところで測っているではないか!そこで、早速、市に電話をして「子供の被曝が心配なので、地上0.5メートルで測ってくれませんか」と御願いしました。その答え。「県衛生研究所内のモニタリングポストは、文部科学省からの委託事業として、空間放射線量率の測定を行うために設置しております。検出器の位置が低すぎると、土壌成分の影響を受けてしまい、モニタリングポストの設置目的である空間の放射線量を適切に把握することができなくなってしまう恐れがございます。そのため、検出器はホームページ記載の高さに設置しておりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。」・・・・・・・・・一言で言えば、「バカだねえ」ということになるし、もう少し突っ込めば、「あなた、誰から税金をもらって生活しているの?」と言いたくなります.お母さんが頼んだのは、「文科省の委託事業」のことではなく、「非常時だから、せっかく装置があるのなら、文科省と掛け合って地面付近の放射線量を測って欲しい」と言っているのです.子供が被曝するのは、「土壌成分の影響を受ける」からであり、それは文科省の委託事業の目的とは違います.でも、神奈川県がもらったお金は税金です.この非常時に「学問的な目的で設置した装置を、県民の健康を守るために使わせてくれ」と国と折衝したかを、まず答えなければならないでしょう。文科省が、「県民の健康など関係ないので、目的外使用は許さない」と答えたら、神奈川県としては装置を返したら良いと思います.この非常時で、多くの人が心配している時に、「委託事業」などを振り回す時代錯誤の感覚には驚いてしまいます.神奈川県は自分たちが税金で生活していること、県民を守る立場にあることに気がつき、地表0.5メートルで測ってください。・・・・・・・・・今度の福島原発の事故では、自治体の「市民無視」の行政が目立ちます.法律を勉強せずに「1年100ミリまで大丈夫」と言ってみたり、チェルノブイリの経験を勉強せずに「ホットスポットは存在しない」と言ってみたり、私が今まで持っていた「真面目な地方自治体役人」のイメージは崩壊しました。地方自治体の皆さん、この時こそ、税金を払っている人に恩返しをしましょう。・・・・・・・・・追記・・・・・・私が前の記事で「子供は軽装で、シャワーで良い」と言ったのは、3月中旬に比べて、今、福島原発から出ている放射性チリの量は、「1万分の1」になっているからです.だから、3月から4月のブログとは今の環境は大きく違います.また、窓を閉める必要もありません.「花粉が飛んできた日」と、「花粉が飛んでいない日」とでは、花粉が飛んできたら窓を閉め、花粉が無いときには窓をあけて家の中に侵入してきた花粉を掃除するからです。・・・・・・・・・また、子供を作りたいとか、妊娠している方でご心配されている方が多いのですが、胎児や妊婦は幼児よりやや放射線に強いので、お子さんが大丈夫な場所なら、妊娠は大丈夫です.もちろん、大人に対して、細胞分裂が活発なので注意は必要です。・・・・・・・・・「1年100ミリまで大丈夫」と言ったり、「放射線があっても平気」と言った市役所、教育委員会、その他の公的機関の記録をパソコンか何かに記録しておいてください。私はNHKやテレビ、新聞を保管しています.何かの時に「健康に影響がない」とか「1年100ミリで大丈夫」と言った証拠がいるからです.また、全国が汚染された時に備えて、瓦礫の持ち出し、乳牛の移動についても記録を保管しています.哀しいことですが、このままではある程度の放射線障害が出ると思います.その時に、補償問題で裁判になりますから、記録を持っている人が提供して、助け合いをする必要があります。これまでの公害事件でも、当事者は病気になって苦しいし、証明するものがなく泣き寝入りをした人が多くいます.でも、その時は社会党なども力がありましたし、日教組、主婦連などもありましたが、今はまったく力がなくなっています.オール与党も困ったものです。一人一人が自分を守る時代になったので、「安全だ」と言って動かなかった(不作為)証拠を取っておきたいと思います.(平成23年5月23日 午前8時 執筆)武田邦彦
2011年05月23日
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花たちに憩う・・・。
2011年05月23日
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厳産の農作物は安全か?読者の方から次のようなメールをいただきましたはじめまして。失礼覚悟でメールをおくります今すぐ削除してほしい記事があります。これです■科学者の日記110520 哀しい茶葉の検査拒否茨城県では農作物、畜産物、水産物まで真面目に検査されています。このページを参考にしてください。いい加減な情報を流して、茨城産のさまざまな食物の評判が悪くなったら、本当に困りますあなたは生産者への思いやりがなさすぎます茨城では、本当に問題がある食物を出荷したりなんかしませんそんなことをしたら自分で自分の首を絞めることぐらいわかりますからとにかくこれ以上茨城産のイメージを悪くしないでくださいこのメールを読んでわたくしは、真面目な生産者も、困っているお母さんも、ともに被害者なのだから前向きに行きたいと思いましたテレビはまだ、福島原発の何号機がどうのと言っていますが、わたくしたちは生活を守っていかなければなりません。守るのは一つは生産であり、一つは子供たちです早速、茨城県の農作物のチェック状況を見ていました茨城県の広報の上から順に見ていきますとまずホウレンソウが出てきます。タイトルが「北茨城市及び高萩市のホウレンソウに対する原子力災害対策本部長からの指示の解除に向けた検査(1回目)の結果についてというもので、これが県の広報か(不親切!!)と驚いてしまいます第1に文章がよくわかりません「原子力災害対策本部長からの指示の解除」と書いてあります。まずこれを理解するには、茨城県のホウレンソウを買う前に、「原子力災害対策本部長からの指示」というの読んでみなければなりませんそれを理解すると「指示の解除」という意味が多少は理解できるでしょうでも、お母さんにはその時間はありませんどうやら3月時点では、汚染されていたが、5月の検査では大丈夫だということを示しているようですけれども、単に「検出せず」と書いてあるだけで、何ベクレルなのかはわかりませんこれをお母さんが買うかどうかを決めるためには、検出限界を調べなければならず、そんな時間はありませんまたホウレンソウについては、測定するときに「綺麗に洗ってください」という指示が国から出ているので、お母さんにとってはどのくらい洗えばよいのかわかりません徹底的に洗えば放射性物質は落ちますから。それで測定されたら常に検出以下になりますから、買う決断ができません「お上を信じなさい」という意味でしょうが、「お上」は最初から「何も心配ない、健康に影響がない」と言い続けてるわけですから、別段こんな表を出していただかなくても、お上を信用するなら直ちにホウレンソウを買えるからですところが、健康に影響ないとあれだけ繰り返していたのに、ホウレンソウを出荷停止にしたのですから、信じろというのが無理です茨城産のホウレンソウは当面、買うことが出来ませんこちらの方は表示の仕方も若干、良心的ですが、結果は規制値を超えているので出荷が控えられていますしかし、規制値は、セシウムでキログラムあたり500ベクレルと決まっているものの、放射性ヨウ素は規制値がありません。どんなに多くの放射性ヨウ素がついていても出荷されますこれではお母さんは安心して買い物をすることができませんお母さんは安心できないけれども、県や生産者は安心しているというのはどういうことか県や生産者は別段お茶を飲む人の健康考えているわけではないからと思われます。単に国が決めた基準がセシウムはあるけれども、ヨウ素がないというだけで、必要はないと考えているのです幸い現在はヨウ素は検出されていませんが、そのうちヨウ素が検出されても、「それは基準にないから」ということで出荷されるでしょうそれでは危なくて、茨城産のお茶の葉は買えません浮魚というのは、おそらく海の表面の魚のことでしょう(私は調べられますが、お母さんはその時間がありません.ここで「浮魚」などという専門用語を使う理由は、漁業関係者では常識だから、消費者は判らなくても良いということと思います海の表面にいる魚なら、ヨウ素とセシウムで良いのかも知れないのですが、驚くべきことに「ストロンチウム」の測定値がありません今回の福島原発では、大量の放射線を持つ水が海水に放出されました。その中にはストロンチウムとプルトニウムが相当含まれていると考えられますその分析値も東電から発表されていません。ストロンチウムは魚の体の中に入り、骨に取り込まれ、その魚を食べた人間が骨にストロンチウムがたまって、白血病になりますだから、魚が安全だというのなら、まずストロンチウムを測定しなければいけません。特にストロンチウムは比重が大きいので、海の底にたまっていると考えられます従って、海の底から取れる魚は必ずストロンチウム、プルトニウムが必要です。この表も実にとぼけた表なのですつまり、この表の意味するところは、「政府の指示で決まっている元素を図ればいいのだから」ということで、魚を食べる人のことなど考えてはいないということですこれではお母さんは茨城産の魚を買うことができませんなぜ真面目な生産者も、困っているお母さんも、日本の食材を安心して買えないのでしょうか生産者も騙されているのですここでそのことがはっきりわかったと思います。つまり、農作物の放射性物質を図っている件は、ただ測っているだけで、何も考えていないのですおそらく県にそのことをいうと、「わたくしたちは放射性物質について、何もわからないので、国のいうことに従わざるをえないのです」との答えが返ってくるでしょう。 それはお母さんにとってとても困ることなのです。お母さんは毎日子供のためにできるだけ安全な食材を探しています。 どうも最近、スーパーで産地偽装があるとの読者の連絡が多くなってきました。また特定の地方の野菜の仕入れ値段が安いので、それだけを並べているというのもあります。その中で困っているお母さんが目に浮かばないのでしょうか? 食材は本当に親身に考えてくれたものなければいけません。お茶の葉っぱにヨウ素の規定がないからヨウ素は測っていませんとか、魚の骨ではストロンチウムが危ないことはわかっているんだけれども、分析値を出していませんというのでは、危険ということと同じことなのです。 ・・・・・・・・・ わたくしは静岡産のお茶を買わない方がいいとブログに書きました。そんなことを書くと反撃が厳しいことは知っています. でも、検査を拒否するということ自体、すでに汚染を認めているということになるからです。それではお母さんは買えません。 食材は特に信頼性が大切です。そして、茨城県の発表は極めて不親切で、ただ測ったことをそのまま書けばよい、読んだ人が忙しい毎日の中で食材を選ぶことができなくてもよいと思っているような気がしますさらに、ここでは詳しく述べることができませんが、例えば福島のお子さんは、外部被曝だけでほとんど1年に20ミリシーベルトという過酷な条件下にいます。 だから他の食材が規制値以下だからといって、放射性物質の入った食材を食べさせるわけにはいかないのです。 それでは、「誰が福島県のお子さんが、外部からの放射線、校庭で遊んだ時に受ける土煙の内部被曝、水、牛乳、ホウレンソウ、お茶、魚、それら全部を計算して、「子供は安全だ」という表を出している」のでしょうか? それぞれが自分のところは大丈夫だというだけで、その被害は子供たちに及ぶのです. 子供達の健康を心配するお母さんは、茨城県の食材を買うのは危険です。そして、それを生産する人たちも、不完全な検査と発表の被害者です. 私が「今の時期は少しでも放射性物質の含まれている食材は避けよう」と言っているのは、誰も「合計を計算していないからです.私はとりあえず「1.0」を加えるようにと推薦していますが、細かい計算はデータがなければできないのです。 農業、漁業関係者も被害者なのですから、もっと厳しく県に要求して、消費者が安心できるようにしてください。それには、「水、野菜、肉類、魚類、牛乳」のそれぞれについて、「基準値の0.1」を目安にしないとダメです. 子供は空気だけを吸ったり、野菜だけを食べたりしている訳ではないからです.もし、どこかの関係者が「基準値の0.1を越えると自主規制する」と宣言したら、そこからは安心して買えます。日本中、だれも自分のことだけで、被曝している子供のことを考えないのか!!平成23年5月22日 午後10時 執筆武田邦彦
2011年05月23日
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科学者の日記110521 夏の服装・食材の選択昨日はさんまさんの「ホンマでっか」の収録をして、私にとっての激動の1週間がおわりました国会やテレビ、それに福島の講演と多くの経験ができたと同時に、疲れた1週間でもありました徐々に福島原発の事件も第3段階に入りつつあります福島原発の破裂で最初の1週間で60京ベクレルほどの放射性物質が出ました。60京というと余りに大きいので、わかりにくいのですが、そのうちの10分の1、6京ベクレルぐらいが日本の大地に降り注いだと思いますそして、福島、東京などこの地方にお住みで直接に影響を受けた人を3000万人としますと、一人あたり、20億ベクレルの放射性物質ということになります放射性物質の多くが最初の段階で1000分の1ぐらいになりますから、20億ベクレルと言っても、実際に私たちに影響があるのはというところでしょう水、ホウレンソウ、お米、お茶・・・いろいろな食材の「汚染限度」はおおよそ200ベクレルぐらいですから、その1万倍の放射性物質が空から降ってきたと言うことになります実は、私が「慎重に行動してください」と呼びかけてきたのは、今度の事故で放出された放射性物質は実に膨大で、どんな専門家でも、その影響をすぐ予想できるようなものではないのです「安全だ」を強調したお医者さんもおられますが、失礼ですが、とうてい今までの経験で、お医者さんが判断できるような状態ではないのです再び呼びかけますが、学校関係者、自治体関係者、専門家のみなさん。このことを良く理解して、「判らないことは判らない」と言い、「判らないことは注意してください」と言ってください間違っても「判らないから安全だ」というのは禁句です夏の服装・・・・・・ところで、夏に向かって、子供達にどのような服装をさせたら良いのかというのがお母さん方の悩みと思います私は「軽装、シャワー」の組み合わせを推奨します放射性物質は「粒(チリ)」で、肌から直接、体にしみこむものではありません。そして服装の上についても肌に直接、くっついてもその粒からの放射線で被曝する量は変わりませんむしろ、シャツに付くと洗濯するまでとれませんが、肌についたものはシャワーでとれますだから、お子さんは「軽装、かえってきたらシャワー」の組み合わせで夏を乗り切ることができます・・・・・・お茶・・・・・・静岡の茶葉が放射性物質の検査をしない方向に進んでいます.一方では、良心的な福島の農家が厳密に放射性物質を測定し、中にはほとんど汚染されていないものも出てきました。 まずは静岡茶を買わないことです。お茶は「生産するだけで良い.お茶を買って飲む必要は無い」と静岡県知事は言っています.だから、お茶は生産だけして捨ててしまった方が良いと思います. 「検査しない」ということは「飲む人が被曝する」可能性があるということで、生産者は、「安心できるお茶を提供し、被曝させない」ためには「飲まない」ことしか出来ませんので、静岡は「生産だけして、飲まなくて良い」と言っているのです。 茨城の野菜も知事が規制値を緩和するように働きかけているのですから、これも「生産だけしたら、食べなくて良い」ということです。福島の方が今では綺麗かも知れません。つまり、 「福島の農作物は汚染されている」 という時期から、 「汚染は広がり、測定しているものは安全」 という時期に変わって来ています.静岡でも岩手でも汚染が出てきましたし、汚染された瓦礫が京都に、福島の乳牛が北海道にでも行けば、日本全体が汚染される可能性があります。 汚染された瓦礫(基準内でも)から風で吹き飛ばされた放射性物質が農作物の表面に濃縮する可能性が高いからです. 農業の人は瓦礫の引き受けに猛烈に反対しなければ、日本全体の農作物が汚染されます. 環境省は「放射性物質が風で飛ぶ」ということを知らないようです. ・・・・・・ホットスポット・・・・・・ もともと、放射性物質は均等には空気中から落下しないので、ホットスポットがあるのは間違いありません。 また、東京でも「ミニ・ホットストップ」は多くあり、特に驚くことはなく、日常的に「怪しいところ」を避けなければなりません。 その点で、市民の健康を守るために税金を払っている自治体は困りものです. ?1) 1年1ミリという日本の法律を知らずに、1年100ミリまで大丈夫などと言っている、 ?2) 1年100ミリ以下の健康被害は「現代の医学では明確な影響を示すことができない」、つまり「判らない」と言っているので、自治体は「わからない」を「安全」と勝手に言っている、 ?3) ホットスポットの汚染を除去するのが面倒なので、「そんなはずはない」とか「安全」とか、「地上の高いところで放射線を測ってなにが悪い」などと言っている。 市民税を払う必要は無いですね。事故が起こって2ヶ月も経っているのにまだ行動しないのですから、どうしようもありません。 ・・・・・・・・・ ところで、福島原発は「東電社内のトラブル」であって、私たちには何も関係がないのに、報道は相変わらず原発の3号機、4号機を報道しています. 知りたいのは「詳細な汚染マップ」であり、「詳細な食品毎の測定値」ですから、政府も報道も早く目を覚まして欲しいものです。 「茶葉の検査拒否」は哀しい事件でした。 水が何ベクレル、ホウレンソウが何ベクレル、牛乳は? 魚は? コメは? 空間は? 溝は? 芝生は????????? その測定値はヨウ素ですか? セシウム? ストロンチウム???? そんな多くを覚えることは出来ません。それにもともと私たちはそんなことを全く知らなくても安心して子供を育てることが出来たのです。 政府の無策、原子力安全委員会が「想定外を認めたこと」、保安院がサボったこと、そして東電、専門家・・・その集団がこんな事態を招いたのに、まだ「自分は当事者ではない」と思っている人たちばかりです. 個別の「規制値」や「現状」を知らなくても安心して生活が出来る・・・それは一にも二にも「誠実」、「信頼」です。これだけウソが次々と明らかになっているのに、同じ人がいくら「誠実」を口にしても、もう無理です. 今でも東電の発表を聞いている人がいるのに驚きます. (平成23年5月22日 正午 執筆)武田邦彦
2011年05月22日
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科学者の日記110520 哀しい茶葉の検査拒否今日は哀しいニュースが目につきました。「厚生労働省が、生茶葉を乾燥させた「荒茶」の放射能検査を東日本の14都県に求めた問題で、神奈川、埼玉、栃木の3県は19日までに、検査をしない方針を決めた。静岡県の川勝平太知事も18日、検査要請に応じないと表明しており、産地自治体の反発が広がっている。」・・・お茶の葉っぱに放射性セシウムが付着していた問題は、大きな波紋を投げかけています。お茶を生産している側の論理は、「消費者が最終的に飲む時に安全ならばいいのであり、途中の段階で検査するのは嫌だ」ということであります。つまり、現在の東日本の放射線の汚染状況から言えば、かなり広い範囲でお茶の葉っぱにセシウムが検出される可能性があります。従って、一度、セシウムが検出されると、「汚染されているというレッテル」が貼られるので検査をしないというのが生産者側の言い分のようです。・・・・・・・・・今回の福島原発の件では、この例でも判るように、現在の日本社会の大人の論理というのがいろいろな面で出てきたと思います。類似の話では、事故直後に茨城県の野菜が放射性物質で汚れたので、それに対して茨城県知事が農林水産省に出かけていって「野菜の規制値を緩め炉」という要求をしたことです。わたくしはこれにはびっくりしました。茨城県には野菜の生産者だけがいて、それを食べる子供たちはいないのかと思いました。野菜をなぜ作るかというと、野菜を食べる人がいるからです。従って生産者は、できるだけ安全な野菜を子供たち(もちろん大人も)に提供するというのが役割のはずです。ところが、福島原発が爆発して、その責任は東京電力にあるのに、知事はそちらに行かないで、多くの放射性物質を含んだものを東京電力の代わりに子供たちに食べさせようというのですから。論理のすりかえという点ではかなり激しいものです。・・・・・・次に広がったのが、汚染された野菜を「地産地消」という名目のもとで、これもやはり関東や福島の子供たちに食べさせようとしたことです。特に、汚染された野菜を給食に使ったり、スーパーが地産地消の野菜しか仕入れないというようなことも行われました。これも東電の責任を「被爆という形で何も責任がない人たちに押しつける」という生産者の非常に自分勝手な判断のように思いました。大人は野菜を選べますが、子供達は強制的です.なんと可哀想なことをするのでしょうか?・・・・・・わたくしは今まで農業の人たちは、「素朴なところはあるけれども、日本人としての誇りや、日本を大切にする心を持っておられる」と信じていました。農業は、たとえそれが自分の所有する土地であっても、日本の大地をお借りしているのですから、日本に対する愛着が他の職業よりも強いと思っていたのです。でも、今回のこの一連のことでわたくしはその考えを修正せざるを得ません.お茶の生産者の考え方がわからないではありませんが、お茶を安心して飲みたいという多くの人たちの願いや、安全なお茶を子供に飲ませたいというお母さんの思いは全く考慮に入っていないからです。お茶が売れなくなったら困る、放射性物質が検出されたらお茶が売れなくなるというような考えだけで、お茶を生産されたらわたくしはそんな食材は買いません。その放射性物質の量がどのくらいということには関係ありません。人間は「信頼性、誠実さ」です。だから、飲む人の心が判らないで生産する人の食材は口に入れたくないのです.むしろ、お茶の業界は1度でもセシウムが検出されたならば、より積極的に「自主的にセシウムを検査する」という動きにでて、お茶の愛好者に安心して飲んでもらうのが筋です.このような動きが続いたら多くの人は完全に日本のお茶から離れてしまうでしょう。お茶は美味しいものですが、私はそれより魂を大切にして、水を飲みます.それはお茶の生産者にとっても長い間大きな打撃になります。・・・・・・食品は最も人間にとって重要なもので、福島原発のような事件が起こった時に、食料を生産する人それを流通する人が極めて強い信念を持って日本人を放射線の被曝から守って欲しいものです。わたくしたちは、今度のことでお茶の葉を買うこともできなくなりましたし、また、お茶のペットボトルもできるだけやめて外国産の紅茶等を買わざるを得ません.農業の生産者は、こんな信念しか無かったのですか?(平成23年5月21日 午前11時 執筆)武田邦彦
2011年05月21日
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億・兆・そして京すでに福島原発はあまり心配ないとか、できるだけ被曝を少なくするように工夫してくださいなどと、矛盾したことを書いているように感じておられる方からのお便りをいただきます.実は、テレビなどであまり報道しないので、錯覚しがちなのですが、今回の原発事故はかなり特別なのです.・・・普通、「どこどこの原発から放射線漏れ!」と大々的に新聞が報じ、大騒ぎになり、政府が調査団を派遣し、運転が止まり・・・というような事件が起こるときに漏れる放射線量は、(数億ベクレル=1万×1万)・・・1万が2つなのです。ところが、今度の福島原発で漏れた量は、(数10京ベクレル=数10×1万×1万×1万×1万)・・・1万が四つで、普通の原発事故の「数10億倍」なのです。・・・そして、今、漏れている量は(1兆ベクレル=1万×1万×1万)・・・1万が3つですから、普通の事故の1万倍です.だから「まだ大変な量が漏れている」ということになりますが、3月下旬の量と比較すると、数10万分の1になりますので、正反対に「たいした事はない」となります。つまり、現在の状態は● 普通に比べれば、1万倍● 3月に比べれば、数10万分の1ということです。ですから、「まだ福島原発からでているので、掃除をしてもムダなのではありませんか?」という質問に対する答えは、「普段ならそうなのですが、100000降り積もっているところに、あと1から10ぐらいがふりつもり、100001か100010になるだけ」と言うことです。また3号機や4号機も不安定ですが、私は若干の爆発が起きても、今の1000倍ぐらいだろうと思います。そうすると、100000が101000になるだけですから、これもあまり注目すべきではなく、むしろ最初の100000の方に注意を向ける(今、すでに降り積もっているものの方が重大)ということです。ややこしいのですが、億、兆、京というのは1万倍ずつ違い、いかに3月に飛び散った放射性物質が多かったか判ります.・・・ところで、理解しにくいのは、普段「億ベクレル」で大騒ぎする政府、新聞、テレビなどが、「京ベクレル」の規模になって、驚き、ビビって、反対に「安全です」などと言ったからややこしいことになりました。これだけ、大きく言うことが変わると、戸惑うのは当然です.また自治体や学校などで、「健康に影響はない」と言っている人も、「京ベクレル規模で漏れた」ということをもう少し真剣に考えてください。(平成23年5月20日 午後8時 執筆)武田邦彦
2011年05月21日
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「工程表」の評価2011年5月17日、「東電」と「国」が原発事故に関する「工程表」を出しました。まず、東電の工程表について、私は次のように考えています.•1) 4月に発表した東電の工程表は「燃料が破損して半分ぐらいしか残っていない.原子炉に穴が空いている」という情報を隠したので、工程表自身が不完全だった。•2) 今回は、3号機の原子炉の状態と4号機のプール(使用済み核燃料プールに資料中の核燃料が入っている)のことを隠しているだけになったので、やや事実に近くなった。3号炉は不安定で、4号炉のプールは倒壊する可能性があるから、そのことには触れる必要があった。•3) 多くの専門家の予想は「燃料がメルトダウンしていることが判ったのだから、工程は後ろにずれる」というものだったが、ずれなかった.それは当然で、4月の時点で東電は燃料が破損していることを知っていたのだから、表面上、ウソをついていただけだから、スケジュールは変わらない。•4) 自分たちの責任(東電による福島原発の破壊)で苦しんでいる付近の人たちのことはまったく関心がなく、救おうという計画はまったくない。東電にとっては人の健康や生活より、原発が大事という気持ちが良く表れている工程表だ.私は、これまで東電の発表を参考にしても、それが「事実」と思ったことはないので(それぐらい、東電という立派な会社はダメな人たちの集まりになった)、4月の時点で東電が「水棺」と言っていたのに、それにはこのブログでは触れていません。いくら公的な発表でも、私自身が「どうも怪しい」と思ったら、触れないのが情報を提供する側の誠意というものと思います.しかし、もともと、すでに福島原発は無いも同然なので、今更スケジュールが少し遅れても、なんら影響はありません。むしろ、多くの人が「まずは原発が落ち着くこと」といっているのは、解決を遅くします.「福島原発など、どうでもよい」と思わないと、「次の行動」に移りにくいからです。問題は、次の整理する「国」の工程表ですが、東電の工程表に引きずられていることです。•1) 4月には東電は工程表を出したが、国は、経産大臣が「原発の収束を待って」と言った。•2) 今回は工程表を出したので、やっと「東電という会社と、日本国という国がある」というレベルまで来た。これまでは「東電という会社はあるが、日本国という国は無い」という状態だった。•3) 国は国民の健康と生活を守り、国土を回復するのが第一なのに、除染、汚染物質(水、土壌、瓦礫、草木)などの主要は行動が後になっている.•4) 「工程表」なのに、タイムスケジュールが書かれていない.採点すれば10点ぐらいの工程表と言えますが、その原因は、「原発を国策として進めているのに、原発の事故を想定していなかった」ということに尽きます.今でも日本では50基ばかりの原発が、動くか動く状態なのに、まだ国は腰を上げません。地震や津波、大雨などはいつ来るか判らないのですから、もし、このまま原発を動かすなら全国の国の力を総動員して、原発周辺(半径100キロ)の国民の被曝回避の計画を作る必要があるでしょう。今日も国会の委員会の参考人陳述を行いましたが、文科省が1年20ミリの限度を示したために、「少々なら問題ない」というのが定着して、福島を綺麗にするチャンスを逸するのではないかと気が気ではなりません。(平成23年5月20日 午後2時 執筆)武田邦彦
2011年05月20日
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早いか遅いか花たちは誠実に咲く・・・。その花を誠実に眺めているだろうか・・・。
2011年05月20日
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科学者の日記110520 「被曝量と健康」の基礎放射線をどのぐらいあびたら危険か、ということは今、福島やその周辺にお住みの方の、もっとも強い関心事と思います. また福島から遠いところでも、土壌、茶葉、野菜、牛乳、魚などに不安を持っている人も多いようです. そこで、「なんの立場もなく、深く反省しているわたし」が、自分の知識を整理して、完結に示してみたいと思います. ・・・・・・・・・ まず、「現代の医学で判っている範囲」ですが、それは 「1年100ミリシーベルト以上、あびるとガンやその他の病気になる」 ということです。 さらに医学が発達すれば、1年100ミリシーベルト以下でどのようなことが起こっているか判ると思いますが、現在の医学のレベルでは100ミリシーベルトまでしか判らないのが現状です. ・・・・・・・・・ 次に、100ミリシーベルト以下ですが、医学的には判らないので、学問的に推察することになります. 「医学」と「学問」は何が違うかというと、医学も学問の一つですが、遺伝子学とか、材料劣化、さらにはリスクに関する学問など放射線と健康に拘わる学問は数多くあります. たとえば、遺伝子はDNAで出来ていますが、実験でDNAに放射線を照射する実験をするとDNAが損傷します.放射線より弱いエネルギーをもつ紫外線でも損傷するのですから、化学的には当然でもあります. DNAが損傷すると、ガンや遺伝性の病気になりますが、生物の体は自分でDNAの損傷を治すことが出来ますので、「どの程度の損傷なら、人間の体は修復できるか?」ということになります。 そこがややこしいところです。 そこで、医学ばかりではなく関係する学問を総動員してデータを集めると、 「どうも1年1ミリシーベルト以上を被曝すると、1億人に5000人ぐらいのガンが出るらしい」 「交通事故やその他の社会的なリスクから見て、1年1ミリシーベルトぐらいで「我慢」すると決めれば、国際的に合意できる」 ということが決まりました。 つまり、1年1ミリシーベルトと「限度」は、医学的なデータはないけれど、多くの学問的な知見や現代社会に生きている人の感覚から言って「我慢できる」という「限度」として「国際的に合意できる」ということです。 国際的な合意が大切なのは、私たちが海外旅行をしたり、海外のレストランで安心して食事をしたり、さらには海外から輸入されたペットボトルの水を安心して飲むためには、国際的に同じ基準になっていないといけないからです。 もし日本が1ミリで、どこかの国が100ミリとすると、海外製品を買う時にいちいち、生産国やその国の法律を知らなければならないので、とても面倒です. だから、1年1ミリというのは、それなりにハッキリした根拠を持っています. ・・・・・・・・・ 3番目。 つまり、1年1ミリというのは、「誰でも」、「どこでも」、1ミリなら安心できるということです。 「誰でも」というのは、赤ちゃん、体の調子が悪い人、レントゲン検査をかなり受けた人・・・などを含んでいます. また「どこでも」というのは、土地によって自然放射線のレベルもさまざまですし、一時的に何らかの食材などで被曝することもあり、それの余裕も考えています。 でも、1ミリを越えるところもあります。 そこで、日本では3ヶ月で1.3ミリシーベルト、つまり1年で5.2ミリシーベルトという基準もあります。「管理区域」などがそれに当たります. この場合、 •1) 健康状態に注意する、 •2) バランスの良い食事をする、 •3) 体調を整える、 •4) 1)から3)を守れないところでは時間制限をする、 というものです。 たとえば、放射線が少し多めの病室に入院するような場合などがそれにあたります。 1年1ミリにしても、1年5.2ミリにしても、「総合的判断」と「経験」で「安全」と決まっているもので、それ以上でもそれ以下でもありません。 ・・・・・・・・・ 4番目。 文部科学省の大臣は「1年20ミリまで安全」と言っていますが、そんなことは世界のどこにもありません. ICRPという任意団体(NPO)が、 •1) 事故の時にはやむを得ず1年20ミリシーベルトまで認めることができる、 •2) 1年20ミリの場合は、1年1ミリに比べるとガンの発生率が20倍に増える、 •3) しかし、「短期間」で、「1年1ミリまで回復する努力をして」、「個人個人に具体的な利益がある場合」に限定する、 となっています. 文科省が1年20ミリを決め、それからいい加減な計算をして1時間に3.8マイクロシーベルトという基準を決めましたが、これに対して「安全かどうか不安」という声がありますが、当然です. もともと、1時間3.8マイクロシーベルトが安全などというデータも学問的知見も全くないのです. 強いて言えば、「1時間3.8マイクロシーベルトが危険であるとも安全であるというデータもない」ということです。 神様だけが決めることが出来るもので、文科省の大臣は神様になったようです. 私が「除染」が前提だと言っているのは、「事故でやむを得ず20ミリにするときでも、1ミリにする努力が前提で、しかも被曝する子供達に何らかのメリットがなければならない」からです。 ・・・・・・・・・ 今、国会の委員会室の椅子に座っていて、これから参考人として委員会で陳述します. (平成23年5月20日 午前8時30分 執筆)武田邦彦
2011年05月20日
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親父 (おやじ)「クニ、貧乏は恥ずかしくないぞ! 額に汗しただけでいいんだ」 父はそう教えてくれた。(わたしの名は邦彦) 時々、父は往復の電車賃だけを持って「無銭旅行」というのに連れて行ってくれた。家から歩いて中央線に乗り、もってきた汽車賃の半分の駅で降りる。 当時の駅前は小さい広場に土煙があがるようなところだった。駅の外にある小さなベンチで家から持ってきたおにぎりを頬張り、水道の水を顔を逆さにして飲み、しばらくしてまた同じ中央線で家に帰った. 父はなにも話さなかったが、「お金と人生」を教えてくれた. ・・・・・・・・・ 「クニ、生きている内に評価されたらダメだぞ. 死んで30年がちょうど良い」 私が長じて学生のころ、父はそういった。 生きている内に評価されるというのは、その時代の人が理解してくれることだ。そんなことに価値があるわけではない。本当の価値は死んだ後に評価されることだと父は言ってくれたのだ。 数学者で変わり者の父だった。 一日中、部屋に閉じこもって研究をしていたが、酒が好きで夜は日本酒を飲んでいた。洋酒はダメだった。時々、ジョニ黒やヘネシーをもらうと、母が、 「すみませんが、持って行ってくれますか?」 と出入りの肉屋さんに頼んでいた。 父にとってみればその酒が持つ「社会的価値」などは何の意味もなかった。自分が好きなもの、それだけだった。 ・・・・・・・・・ 私は体が弱かったけれど、そんな父の言葉を信じて、ここまで生きてきた。父の教えがなければ今の自分はないだろう。 (平成23年3月31日 執筆)武田邦彦 私のこのブログに武田邦彦教授のブログから転載したものが多くあります。武田先生の広いお心で引用は自由と言うことなので甘えています。何も隠れているのではありません。世間で言われている事が本当であるならば、大変に嬉しいことなのですが、過ぎたるは及ばざるがごとし、何もなければ本当に良いことなのです。そう思って転載しています。その責任は感じています。ご判断の参考になればと言う思いです。これからも武田先生の言葉を載せて参ります。
2011年05月19日
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科学者の日記110517 国会・文部科学委員会にて5月17日、午前9時から12時まで国会(衆議院)文部科学委員会で参考人として陳述をしてきました。私の論点は3つ、•1) 日本の原発は自然災害で破壊する、= 国策で大災害をもたらすことをやっている。•2) 放射性物質が漏洩することに国は防御計画がない、= 国策で国民救済をしないことになっている。•3) 原子力基本法の「公開の原則」が無視されている.でした。さらに、代議士の方との議論は「小学校の20ミリシーベルト」に集中しました。私は次のことを主張しました。•1) 福島を汚しているのは、単に「粒」なので、全力でできるだけ早く除去すれば、農作物は汚染されず、小学生も被曝しない、•2) 「粒」を福島全体で除去すると効果はさらに上がるので、国がやるのが望ましい、•3) 「1年20ミリシーベルトでも安全」という人がいるが、安全というデータがないのに人の命に関わることを言うのは医師とも専門家とも呼べない、•4) 文部省の1時間3.8マイクロシーベルトというのは、内部被曝を入れていないこと、学校以外の線量率を低く見ていることなどから、1年60ミリシーベルト相当である、•5) 子供はあらゆる面で大人より被曝量が多く、放射線に対する感度も高いので、子供を守れば大人は守れる。すべて今までの私の考えですから、特に新しいことはありませんが、国会の場で発言の機会を作っていただいたことに深く感謝しました。少しでも早く多くの子供の被曝が減ることを願っています。・・・・・・・・・文部科学委員会の議論を通じて、私は次のように結論することができました。● 1年100ミリシーベルト以下の被曝では「医学的にハッキリとしたデータがない」こと、● 「データがない」ということは、誰も「危険」とも「安全」とも言えないこと。● 繰り返すと、「20ミリまで安全だ」という人は「何の根拠も無く言っている」ことになること、● 1ミリから100ミリまでは「データがないが、危険性が高い」ので「国際的に約束した方程式を使う」と決まっていること、● だから、1年1ミリ以外の数値は「一般公衆」で「健康のチェックもしない」という状態ではあり得ないこと、● 仮に、「一般公衆」で「健康チェック、注意」などをすれば、5.2ミリまでは「安全のようだという実績」があること、● 従って、一般公衆に対して、1ミリと5.2ミリ以外の数値はないこと。今年、3月の初期被曝をした人は、1年5.2ミリを下回ることが難しい場合もありますが、少なくとも来年以後は、国民全体が1年5.2ミリ以下を守ることができるのです。そのための除染を大至急することが、今、日本国にとってもっとも大切なことと思います.そして、綺麗な大地を取り戻した後、放射線医学、放射線防護の人たちが、慎重に「1年何ミリか」を検討して結論を出してください。それによって「原発を選択できるか」も決まります.つまり1年100ミリなら今の原発でもほぼ大丈夫で、原発は主要な電気を発生させるもっとも大切なものになるでしょう。逆に1年1ミリなら、今の原発はすぐ止めなければなりません。ものすごく大きな選択なのです.・・・・・・でも、私は、こんな無意味な議論をして、除染の対策をとらず、子供達が人体実験を受けているという状態はまったくナンセンスと思いました。(平成23年5月18日 午後5時 執筆)武田邦彦
2011年05月18日
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拭く・測る ・・・ 効果を上げた方(東京)と18才学生事故から2ヶ月。やっと国の「工程表」が発表されましたが、雑で抽象的、しかも最初にやるべき「除染」を後回しにするなど、相変わらず頼りになりません.また東電の工程表は「原子炉の中の燃料が壊れているのに、それを隠して作った前回の工程表」を少し手直ししたぐらいのことで、「東電は原子炉しか関係ありません」と相変わらず「地元のこと」にはまったく無関心でした。政府も東電もまだ「国民は毎日、畑や事務所で働いているのだ」ということが判らず(額に汗していることを実感できず)、放射性物質で汚れた大地を少しでも早く回復しなければならないという「熱意」は感じられません.・・・・・・ともかく、我々は・・・・雑草を取る、庭の表土を削る、畑の表面の土を除く・・・いずれも大きな効果を上げていますが、家の中を拭くのは効果があまり見られない場合と、次のように効果が高い場合があるようです。【東京の主婦、お手柄!】(メールのまま)「意を決して、家中を改めて水ぶきをしたところ、すべてが見事に0.06ずつ下がりました。ホントに見事です。部屋は床が0.06、床から1mで0.04です。拭く効果は絶大でした。今日も拭いた直後の状態でどうにか維持していますし、少しでも高い時は周りの壁や床をとにかくサッと拭くようにしています。そういう心掛けだと外から帰ってきた時に服をはたいたりする気配りをするようになります。庭は、私一人手に負えない森のように何mもの木々が生い茂った感じになっているので今週、庭師の方に来て貰い雑草を取り除いてから対処したいと思います。」という例を寄せていただきました。3月上旬の東京はかなりの放射性物質が飛んできましたので、その時に付着したものと思います.良かったですね。・・・・・・・・・【学生も活躍する!】18才学生の方がいわき市を測ってくれました。(普通のところは0.2マイクロから0.5マイクロ(毎時)ぐらいです。)•1. 自宅玄関 コンクリート先日計測した際は0.70μSv/h前後でしたが、デッキブラシを使って水で洗い流したところ数値が下がりました(0.50μSv/h前後)【市内 芝生】芝生を刈り取ると芝生の除去前 約0.60μSv/h 芝生の除去後 0.30μSv/h前後と半分になっています。また•2. 流れだまり このようなところは、水で流れてくるのでしょう。実に10マイクロ(毎時)で学生が驚いています.ありがとう。とても役に立った。さすが学生!・・・・・・・・・「この地域は放射線が高い」と諦めないでください。また、「疲れて、除染は難しい」と思わないでください。大切なのは、「放射線の強い場所を避けて行動する」というだけで、2分の1にはなります。側溝、ヤブ、吹きだまりなどに近づかないことです.通学路で被曝を少なくするように考え、子供に良く教え、毎日を生活するのが良いと思います。被曝は「足し算」ですから、少しずつの積み重ねが大きな効果を上げます.・・・今の私の関心事は、「福島を1年でもとに戻せるか?」ということと、「日本の他の原発」です。福島原発が「メルトダウン」したから不安だというメールを多くいただきますが、福島原発がメルトダウンしたのは2ヶ月前で、それを隠していただけです.だから、今、危なくなったのではなく、2ヶ月前にすでに危なかったのです。しかし、すでにメルトダウンから2ヶ月が立ち、半減期が短い元素も少しずつ無くなり、今はかなり安全になっています.つまり、福島原発は「力を失った原発」になっていますから、小さなことが起こっても3月のようなことは起こりません.また福島全体を元に戻すのはどうしたらよいか、また機会を見て書いていきます.(平成23年5月18日 午前8時 執筆)武田邦彦
2011年05月18日
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科学者の日記110516 福島原発1号機福島原発1号機の「メルトダウン」の報道は、「これまでのこと、これからのこと」を考えるのに、鋭い断面をえぐり出しました。 この1号機のことを解説する前に、多くの方が心配している3号機のことに触れたいと思います。 3号機にホウ素を入れたので、「核爆発」の可能性があるということです。 •(注1) 「ホウ素」という元素が中性子を吸収する.「ホウ酸」というのはホウ素が酸の形になっているということ。化合物としてはいろいろある。 •(注2) 「核爆発」のことを「臨界を越えた」ということもある。「臨界」とは中性子の収支のことを言っていて、「燃え方」のことを意味しているのではない。表面的なことだけを理解している「専門家」の中には「臨界」という中性子の収支のことと、「爆発」という核分裂状態のことを混同している人もいる。あまり大した差異ではない。 ですから、原子炉が破壊されていない状態でホウ素を投入するというのはかなり危険な状態を指しているが、今や3号機はかなり損傷しているので、今回、投入されたホウ素は「ごく小さい核爆発も止めたい」ということであり、問題はありません。 「ホウ素が注入されたが、逃げなくてもよい」 ということです。 安心してください。 福島原発は、これまで「60京ベクレル」というものすごい量の放射性物質を出していて、今はその1万分の1です。 仮に、福島原発で小さな核爆発が起きても、これまでに余りに多い放射性物質が出たので、それに比べるとたいした事はない(身近な放射線量が急に増えることはない)ということです。 奇妙なことですが、最初の一撃が大きかったので、すべて非常識に進んでいます. ・・・・・・・・・ ところで福島原発1号機が「メルトダウン」していたということで、今朝(2011年5月16日)の新聞、テレビは大騒ぎになっています. でも、私は次のようなコメントを昨夜、あるテレビ局でしました(時間は後に調べて追記)。 •1) 報道が「東電の発表」を信じるのは奇妙だ。 •2) 1号機の燃料が破壊されているのは、3月下旬に判っている。 •3) 日本の報道が、このことを報道しなかったのは「事実」より「正式な発表」を重視するという習慣のためだ。 •4) 専門家は、水の循環ができなくなると、発熱量、水の蒸発熱、熱容量、燃料の融点や力学的性質などから、破壊までの時間を計算できる。 •5) 従って、東電は3月11日午後4時36分に注水が出来なくなった時点で、午後7時30分には燃料が露出すること、午後9時には燃料が融点に達することの計算を終わっていた。 •6) 外からデータを得ている一般の専門家(私など)は、「注水は部分的にしか出来ないから、数日中には燃料は破壊される」ということだけは判る。 •7) 12日午後3時36分、水素爆発を起こしているが、1)から6)までのことが起こっているのが判れば、水素の発生量が判り、圧力から格納容器、建屋の水素量の変化が計算できるので、火源があれば、12日の午後には水素爆発が起こることを計算していたと考えられる. •8) 水素爆発で大量の放射性物質が漏洩するかどうかは、原子炉の破壊状態によるが、かなり危険だったことは東電は判っていた。 このコメントは時間枠もあって、あまり放送されないと思います。 また、今日(2011年5月16日)の朝、ある放送で次のコメントをしました。 •1) 菅首相が斑目原子力安全委員長と福島原発を視察した時にはすでに1号機は破壊に向かっていた。 •2) 菅首相は東京に帰った後「原子炉は大丈夫だ」と言っている。 •3) このことは、菅首相がウソを言ったか、斑目委員長が間違ったか、それとも福島原発の吉田所長が事実を伝えなかったかである。 •4) いずれにしても誰かが原子力基本法の公開の原則を破っている。 •5) 1号機の燃料が破壊されていることが判った(メディアが昨日、判った)ことによって、工程表は変わらない.その理由は東電は工程表を作成するときに、すでに1号機の燃料が破壊されていることを知っていたから。 •6) もし東電が1号機のことで工程表を替えたなら、東電は2重のウソをつくことになる. これも時間枠の制限で、詳しくは放送されませんでした。 私は昨夜からなんとなく違和感を感じていて、この違和感が何によるのか考えていました。 今朝、それが判ったような気がします. •1) 日本のメディアは「事実」より、「公式発表」を重んじる. •2) すでに3月末には原子力学会始め、多くの専門家が「1号機の燃料は破壊されて原子炉の下に落ちているだろう」と言っていたが、「民間の専門家の言うことだから」ということで報道しなかった(のではないか)。 •3) そして、東電が発表すると(事実としては取材の結果、知っていたのに)「メルトダウンしていた!」とビックリして見せた。 •4) このような「お上主義」、「形式主義」が、日本人や日本文化に特有なことか、または最近の日本人の傾向かは今後、考えて行きたい。 •5) 東電は「国民に危険なことを知らせてくれない企業だ」ということがわかった。 これから一つずつ、解きほぐして行きたい. (平成23年5月16日 午後1時 執筆)武田邦彦
2011年05月17日
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科学者の日記110517 「福島の胆力」と「乞食集団」自分が日本人だからかも知れない・・・何回もそう思い直してはいるけれど、それを割り引いても日本人というのは立派な民族だ。それは今度の地震や原発事故でも見事に示された。世界でこのぐらい大きな災害が起きても、冷静に我慢強く、礼儀正しく自らを律することができる民族は他にないだろう。2011年5月16日、私は福島にいって福島県の人とお話しをしてきた。そこで多くの立派な日本人とお会いした。ある人は絶望の中でも毅然として生活を送り、ある人は不安の中でもそれを必死に耐えていた。そして明るさも失っていない。私は暴言を浴びせられることを覚悟していたが、温かく迎えてくれた。・・・・・・・・・福島の人は「政府がやるべきことをしていない。東電は人の庭を汚しておいて掃除にも来ず、それでも年俸2400万円を受け取るという酷い会社だ」ということが判った上で、それを飲み込み、そして自衛している.教育委員会の視野には「子供」はなく、ただ自分たちの「保身」だけがあることも承知のうえだ。指導者と言われる人からのこれほどの仕打ち、それなのに、このような立派な態度、謙虚な心・・・私は、これは日本人だけのことか、福島県民だけのことか?いや、あのロシア民族のそうかも知れない. かつて見本の映画の場面が思い出される. ・・・・・・・・・あの広大なロシアの大地の中で、自然と共に人生を送っていた農夫とその連れ合いの妻。そこに突如としてヨーロッパの軍隊が襲いかかり、家を焼き払い全てを破壊して去った. 残された老夫婦にロシアの厳しい寒気と雪が襲う.「ばあさんや・・・」農夫は瓦礫になった家の壁によりかかり、老妻と共に1枚の毛布を膝に掛けて遠くを見ている。「ずいぶん、降ってきたわね」雪は激しくその老夫婦の上に降り、見るみる内に二人は雪の中に没した。老夫婦はお互いを愛し、共に生きてきた。今、こうして最後を迎え、二人の間にはいたわりも慰めの言葉もいらなかった。ただ、心一つに大自然の中に消えていく。・・・・・・・・・土の上で人生を送る人たちは、高層ビルで仮想的な競争に明け暮れる東京の下等民族とは違うのだろう.でも、土の上の人は寡黙で謙虚だ。・・・・・・・・・21世紀になり、人が人として尊厳ある人生を送ることができるこの社会で私たちは人生を送っているとばかり思っていた。「その国の政治は、国民のレベルで決まる」と言う有名な言葉はウソではないだろうか?首相は毎年、変わり、政権が交代しても公約を守ってはくれない。地震予知にあれだけのお金をかけても1000年に一度という大地震をまったく予知できない。原発の事故が起こると、国民の待避は遅れる、重要情報は隠す、それに加えて子供を被曝させる文部大臣が登場するという始末だ。なぜ、これほど「胆力のある国民」と「正義心のない政府」の組み合わせになったのだろうか?全ての原因は「税金の取りすぎ」だ。今の政府や官僚、東大、NHKは明確に「乞食の集まり」・・・自ら額に汗して生活をするのではなく、口先で他人の財布からお金を引き抜くことだけに長けた乞食集団・・・であることが、この福島のプリズムを通してみるとハッキリ見える.人間社会というのは何時になったら一人一人の人間としての尊厳が尊重される時代になるのだろうか?それは、国民一人一人がどのぐらい「偉く」なったら、実現するのだろうか?(平成23年5月17日 午前9時 執筆)武田邦彦
2011年05月17日
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電力会社の社員は、日本社会の一員か?まず福島原発のニュースから。「関係者によると、(2011年)3月11日夜、1号機の状態を確認するため作業員が原子炉建屋に入ったところ、線量計のアラームが数秒で鳴った。建屋内には高線量の蒸気が充満していたとみられ、作業員は退避。線量計の数値から放射線量は毎時300ミリシーベルト程度だったと推定される。」わたくしも、今回の福島原発の事故は、地震で相当の打撃を受けているはずだと思っていました。それは単に「推測」ではなく、日本の原発の設計が(原子炉ばかりではなく、すべてが正常に機能すると言う点で)震度5程度なので、震度6の揺れを受けたらある程度破損するのは当然だからです。この記事のポイントはそこにあります。3月11日の午後、つまり地震が起こったらすぐ、原発の運転責任者は「大変なことになった。大量の放射線漏れはあり得る」ということが判ったはずです.そして、半日ぐらい経ったところで、1号機に高濃度の放射線が漏れたのですから、それで確定したでしょう。なぜ、その時に東電は大々的に言わなかったのでしょうか? その時、直ちに政府と自治体、そしてNHKに通報しておけば、被曝は大幅に減ったはずです。これは「過去」のことではありません。福島では「過去」ですが、浜岡にしても、「もんじゅ」にしても、そのほかの日本の原発では、今後のことです。・・・・・・・・・原子力基本法では「民主・自主・公開」を原則にしています。特に重要なのは、「公開」という意味では、通常の役所の業務とは違い、「マル秘」を作ってはいけない。それが国民との約束です.政府も、電力会社も原子力というもので生活をしたり、収益を分けたりするのであれば、国民との約束である「原子力基本法による公開の原則」を誠実に守らなければいけないのです。・・・・・・・・・このブログにも書いたように、わたくしが若い頃に働いていた職場では、「どんな小さな火災やぼやを起こしても、直ちに市営消防署に電話をするように」と徹底的に教育を受けました。その工場には専用の消防車が2台あり、すぐ駆けつけてくれる体制でした。そして、大学を卒業したばかりのわたくしは、企業というものは企業の中で起こった困ることは隠すのではないかと思っていたので、とても新鮮でした。私の上司は、「わたしたちは企業の一員である前に、社会の一員であるということを忘れてはいけない。わたくしたちが社会からお金をもらい、それで生活しているということを忘れるな」と説明してくれました。「上司の許可など必要ない. 火事だとおもったらすぐ電話して良い. 消防車が来た時には火が消えていても、問題は無い」と言われたのです.・・・・・・・・・私の場合は普通の化学の工場でしたが、原子力では、さらに厳密にこのことが守られるべきことです。でも、東京電力の社員は自分が日本社会の一員であるという認識は無かったのでしょう.福島については、今になっては仕方ありませんが、もしも東京電力が11日の夕刻に「爆発の可能性がある、大量の放射線が漏えいする」と発表していれば、多くの人は逃げることができ、それによって被爆を減らすことができたと思います。政府の許可など要りません。東電社員なら誰でも日本人ですから。・・・・・・・・・日本には多くの原子力発電所が動いています。そしてそれには電力会社が運転を担当しています。日本の他の原発も耐震性、耐津波性が低いのですから、かならず壊れます.その時に、運転を担当している原子力発電所の社員(責任者ではない)は、自分たちが日本社会の一員であるということを意識し、まず最初に「社会に向かって放射性もれを通報してもらいたい」と思います。でも、間違いなくそれは絶望的です.今の日本の電力会社は、「ぼやでも市営消防に通報する」などということはまったく頭にないでしょう。そしてそれは、政府も自治体も、電力幹部もすべて「俺たちは貴族だ」と思っているからです。私は原発を動かしている電力会社の社員が「私は会社の社員の前に、日本社会の一員です」と宣言してくれない原発は、即時、停止するべきと考えます.(平成23年5月15日 午後5時 執筆)武田邦彦
2011年05月16日
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それでも私はなぜかNHKの受信料を払っている??読者の方から、福島のNHKの「放射線 一口メモ」。 「自然界の放射線でも日本では 平均 年間1.5ミリSV 被爆してます。海外ではもっと多いところもあります。でも、その国で癌の発生率が高いということは報告されてません。今の福島の線量は、そこよりも低いです」これは、御用放送で、受信料を払っている視聴者を放射線障害にさせるための放送です.・・・報道を訂正しておきます. 正しい「放射線一口メモ」。「日本の法律で、「まったく安全(放射線を含まないとして良いレベル)」とされているのは、クリアランス・レベルで「1年0.01ミリ」です。」「しかし、放射線を使うことのメリットもありますから、1年1ミリを「限度」として我慢することになっています.」(だから、1年1ミリは「線量限度」という言葉が使われています.これが限度です。)「日本の自然放射線は1年1.4ミリから1.5ミリですが、それにプラスされる危険性があるので、1年1ミリを限度としています。」(自然放射線は3分の1が外部被曝、3分の2が内部被曝です。また、人間は自然放射線に合わせて防御をしますので、それに加えられる人工的な放射線はやや危険なのです。)「世界には自然放射線が高いところがありますが、その土地の平均寿命が短いので、ガンの発生率が少なく、日本とは比較が出来ません。」「世界の人の肌の色が違うのは、その人の祖先が住んでいたところでもっとも長生きするように、黒かったり白かったりしています.白い人が赤道付近で生活するとガンが増えます。」「福島の被曝は、3月のかなりの被曝がありますので、注意しないで生活をしていると、1年に10ミリぐらいに行くでしょう。皆さん、すこしでも被曝を減らすように工夫してください。」・・・・・・私たちは何のためにNHKの受診料を払っているのでしょう? 私もずいぶん、我慢強いと自嘲気味です. NHKには内部告発する人もいなくなったのでしょうか?(平成23年5月15日 昼の12時 執筆)武田邦彦
2011年05月16日
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被曝場」と化した学校・幼稚園再び、先生に呼びかける。 あなたは「毎日の教育をこなせばよい」と考えていませんか? 先生の職務は「毎日をこなす」のではなく、子供を真の意味で教育し、健やかに育てること、そして今の福島や関東、宮城では被曝から守ることが第一です. 目を覚ましてください!! 文科省の臨時の通達より、法律(1年1ミリ、子供は3倍感度が高い)に注意を向けてください。あなたは子供の健康を守る立場の国民です. 【給食】 横浜市の学校の給食に、「福島産のキャベツ,もやし,きゅうり,アスパラガス,牛肉」が使われているという。 なんということだ。 福島の農業を助けるのは良いことだが、だからといって子供達に「汚染された野菜」を食べさせるのはとても可哀想だ。農業を助ける他の方法を採るべきだ。 給食の担当者は「安全だ」と言うだろうが、それは「基準値以下」ということである。もしスーパーに「福島産」と「秋田産」が並んでいて、「福島産」のホウレンソウを買う母親がいるだろうか? 大人は自分の食べるものを選ぶことができるが、子供はできない。給食の人は本当に母親になって子供を守って欲しい. 【運動】 神奈川の4月14日、小石混りの土表面で、ヨウ素131が48000ベクレル(平方メートルあたり)、セシウム134と137がそれぞれ53000ベクレルだった。 事故から1ヶ月たって、放射性物質は地面に落ち、雑草の上にあり、そして土煙の中にある。 子供は背が低く、そして運動をする。地面からの被曝、舞い上がった土埃からの内部被曝・・・あらゆる点で子供の被曝は大人より多い。 それなのに、学校は校庭の運動を止めない。 体育館があるはずだし、体育館の床や壁を綺麗に洗って運動すれば被曝は格段に減る。 学校の先生はなぜ、子供を被曝させようとするのだろうか? 【行事】 運動会、課外事業、修学旅行などで、「わざと」子供が生活しているところの放射線量より、多いところに行く「バカげた」学校が増えてきている. 保護者にとって、この時期に放射線が強い地域に子供を行かせたくないのは当然だ。そこに連れて行くのは子供の体を心配するより、「契約した」とか「計画だから」、「中止すると文科省ににらまれる」というような教育者として考えてはいけないことだ。 「中止すると先方が困る」という理屈もあるが、「中止すると子供の被曝が減る」のとどっちが大切かは言うまでもない。 【プール】 「例年通り」運動会はする、「例年通り」プールの掃除は児童がする。 確かに「例年通り」に見えるけれど、大きく違うところがある。 それは、去年までは校庭もプールの水も放射性物質で汚染されていなかったということだ。そして子供達にとっては放射性物質は「毒」である。 なぜ、毒があるところに子供達を連れて行くのか?「毒が見えないから」と学校は言うけれど、それは大人の発言ではない. 校庭で砂埃になって腕立て伏せをする. 生徒の口は放射性物質を多く含む校庭の土に接するばかりだ。こんな光景を見て心が痛まない先生はすぐおやめになった方が良い。おそらく先生としては性質が向いていない. 【ウシ】 チェルノブイリ原発事故の時、ドイツではセシウム137を筋肉に含む牛肉は食用にならない上、焼却しても半減期が30年ということで全て処分した。 さらに遙か離れたスイスでは、(ドイツと違って)牛や羊に前年の干し草を食べさせ、また羊の群れを汚染されていない西部のフリブール州に移動させた。 日本では、福島原発に近いウシを全国(24都道府県)に移動させた。ドイツとスイスの処置は1年1ミリを守ったもので、日本では「被曝ぐらい我慢しろ」ということである。 牛乳は危険である.チェルノブイリの時でも子供達の甲状腺ガンは乳牛を飲んだことが大きく原因した。 ・・・・・・・・・ 多くの母が苦しんでいる. その苦しみを「大げさだ」と言う学校は「法律違反」をしている。先生方、「放射線防御に関する法律」や「クリアランスレベル」を勉強してください。20ミリは法律違反です。 関東や東北南部の子供達は、3月の第一撃でかなりの内部被曝をしています。だから、すこしでも休ませてあげて欲しいのです。 すこしでも休ませてください・・・先生方! (平成23年5月14日 午後4時 執筆) (注) かつての日本のほのぼのとした、木訥でも尊敬できる先生方がおられた小学校、中学校はすでに無いと言われています. それは社会の変化があり、ご父兄が先生を尊敬しないこともあり、また日教組の一部の活動も原因しています. そして、今は文科省を頂点とした軍隊組織のような古い上意下達の組織になっています. でも、このようなことはすべて「大人の事情」であり、それで子供が被害を受けるのは可哀想です. どんなに社会が曲がっていても、どんなに悲惨な仕打ちを受けても、それに立ち上がるのは個人の人間の魂でしょう. 武田邦彦 東京・人間学アカデミー講義 お知らせ東京・人間学アカデミー講義「武田邦彦、原発を語る」(全3回) ●日程 2011年5月28日(土)/6月11日(土)/6月25日(土) 各講義15:00~17:30 ●会場 PHP研究所・東京本部</a> 2Fホール 東京都千代田区一番町21 一番町東急ビル (地下鉄半蔵門線半蔵門駅下車 5番出口より徒歩1分) ●講義料金 8,000円(全3回分) 申し込み、詳細はhttp://spedr.com/QUcYCaBu人間学アカデミーウェブサイト</a>へ。 ------------------- 武田邦彦
2011年05月15日
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1号機と「メルトダウン」福島原発1号機の中に入ってみたら原子炉に水がなかったというので、騒ぎになっています. なにしろ、政府も東電も危険を知らせてくれないのは、これまでの経験で判っているので、「逃げる準備をしなければならないのか?」と不安に感じている人が多いようです. さらに、かなり前から「原子炉のメルトダウン」という言葉があり、原子炉の制御が効かなくなると、どんどん熱くなってどろどろに溶けた燃料が真っ赤になって下に落ち、原子炉も建屋のコンクリートの床も突き破って地球の反対側にでるという話もあります. 多くの人がまだ不安に感じている福島原発(特に1号機)について、誰でも判ることを目指して解説をしたいと思います. ・・・・・・・・ 原子力というと、誰でも広島の原爆を思い出しますから、福島原発でもあのように爆発するのではないかと心配している方が多いようです。 まず、爆弾を作るときには、「純度の高いウラン」(ウラン235)を使うのですが、発電では「純度の低いウラン」を使います. つまり、「低い純度のウランでは爆弾を作る事は出来ない」ということです。 原発では、ウランの周囲に水をおいておいて、少しずつ爆発をさせるという方法を採ります。 つまり、ウランがあれば必ず広島みたいに爆弾なるというわけではなく、精密に設計しないとなかなか爆発しないということです。 ・・・・・・・・・ ところで福島原発1号機は、当然のことながら発電に使っていましたから、ウランの純度は低いものを使っています。 これが爆発しない理由になっています。 次に普通に発電している時には、周辺に水があってその助けで少しずつ爆発をします。それで発電のエネルギーを得るわけです。 「水があると燃える」というのは変な話ですが、原子力では普通の常識があまり通用しません。「ウランを燃やすためには水がいる」という変なことになっています。 ・・・・・・・・・ ここまでが基礎知識です。それを頭にいれて、1号機の中を頭に描いてください。 地震が起きて1号機が破損して、水が巡回しなくなりました。つまり冷やすことが出来なくなったのです。 でも、地震と共に「爆発ができなくなるための制御棒」というのが原子炉に入ったので、核爆発のようなことは起こらなくなりました。 そのあと、温度が上がったのはまったく別の原因です。つまり、燃料の中に熱を出すものがあり、その熱によって、温度が上がって水素ができ、その水素が爆発して放射性物質が外に飛び散ったということだったのです。 ・・・・・・・・・ 1号機の建物の中で、水素は軽いので上の方に行きます。だから爆発した時は、建物の上の方が爆発をしています。 普段は原子炉の建物の中で人が仕事をしているのですから、建物が爆発しても放射性物質が飛び散ることはありません。 つまり、爆発したときに、原子炉が壊れていなければ、放射性物質はほとんど飛びちらなかったはずです。 原子炉は原発の建物の下のほうにありますから、爆発した爆風はむしろ原子炉を下に向かって押しつける方向だったのです。 現実的には、1号機の爆発とともに、付近の放射性物質の濃度はものすごく上がりました。という事は、爆発する前に原子炉がかなり壊れていて、そこから放射性物質がすでに建物の中に充満していて、それが爆発によって飛び散ったと考えられます。 わたくしの推察ですが、すでにそのときに燃料の多くが破損し、それが原子炉の下に落ちていたり、原子炉の中に充満していたと思います。 これらを総合的に考えますと、すでに3月の下旬には1号機の燃料は、原子炉の下の方に粒上になって散らばっていたのではないかと思っています。 もっと簡単にいますと、「1号機の燃料は3月の末にはすでに力を失っていた」と言ったほうがよいでしょう。 だから少しずつ放射性物質を漏らすことができてももうすでに爆発することはなかったと考えられます。燃料が粉々になっているわけですから、核爆発を起こす等ということは考えにくいのです。 わたくしが3月の末には、福島の原発が再び爆発をする可能性は低いとブログに書きましたが、これはこのような見方によるものです。 ・・・・・・・・・ ところが、専門家やメディアは、「メルトダウン」という言葉が好きらしくて、すぐ「メルトダウンだ。恐ろしい」と言います。 メルトダウンというのは、燃料の温度が2500℃ぐらいなって、そのものすごくあつい鉄の塊が「ダウン」、つまり下に下がって行くことを意味しています。 この場合には、余りに温度が高いので、そのまま原子炉の底を破って下に落ちさらに下のコンクリートにぶつかってそこで止まるということです。 このことは、すでにスリーマイル島の事故で経験していますが、そのままコンクリートを抜いてしまうということはなく、そこで止まって放射線もそれほど大量には出ません。 メルトダウンという言葉だけを使うのではなく、どういうことが原子炉で起こっているか、目に見えるように頭のなかで描画すると怖くなくなります。 ・・・・・・・・・ ところで、普段通りに(正常に)運転している原子力発電は、メルトダウンが起こると、大量の放射線を出しますが、福島原発の場合には、皮肉にも、もうすでにメルトダウンで出る放射性物質の1万倍以上が出てしまっています。 つまり、仮にメルトダウンが起こっても、今まで出ていた1万分の1ですから、今までの10000に、さらに1だけ足し算をする(10000が10001になる)ということですので影響が小さいということが言えます。 ・・・・・・・ 東電や国から発表されるデータは一部で、また間違ってる場合が多いので、わたくしも100%正確に推察できるわけではありません。 そこで、4月の中旬ぐらいまでは、「爆発の危険性は少ないが、貯金通帳ぐらいはまとめておいてください」と言っていましたが、現在では「貯金通帳のありかがわかっていればいい」というぐらいの危険性になったと思います。 従って日常的な生活の中で福島原発がまた爆発するということの恐怖におびえる必要ありません。 原子力は十分に注意しなければいけませんし、被曝も避けなければいけませんが、むやみに怖がることも必要ないのです。 3月下旬から多くの専門家が「また爆発して、仙台も東京もすべて破壊される」などと言われていました。心配性の人と思いますし、万が一のことを考えたとも思います。 でも、あまりに極端なこともかえって生活を乱します. 特に、今回のように3月中に大量の放射線物質がとんだ場合は、残りの1万分の1が飛ぶことを恐れるのではなく、最初に降ってきた放射性物質の方に注意を向けたほうがいいとわたくしは考えています。 福島1号機の状態を、できるだけやさしく解説したつもりでしたが、何かの機会にまた説明を加えていきたいと思っています。. (平成23年5月14日 午前8時 執筆)武田邦彦
2011年05月14日
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東京・人間学アカデミー講義 お知らせ東京・人間学アカデミー講義「武田邦彦、原発を語る」(全3回) ●日程 2011年5月28日(土)/6月11日(土)/6月25日(土) 各講義15:00~17:30 ●会場 PHP研究所・東京本部</a> 2Fホール 東京都千代田区一番町21 一番町東急ビル (地下鉄半蔵門線半蔵門駅下車 5番出口より徒歩1分) ●講義料金 8,000円(全3回分) 申し込み、詳細はhttp://spedr.com/QUcYCaBu人間学アカデミーウェブサイト</a>へ。 ------------------- 武田邦彦科学者の日記110513 3号機の爆発と原発問題福島原発1号機や3号機が不安定で、原子炉に水がなかったり、汚染された水が漏れたり、温度が上がったりしています. 東電の計画も遅れ勝ちになっています。それもあって、福島原発の状態を心配している方が多いので、ここで現在の福島原発状態とその他の原発問題について少し触れてみたいと思います。現在日本の原発中で最も危ないのは、福島原発ではなく、北陸の方でトラブルに巻き込まれている高速増殖炉「もんじゅ」でしょう。「もんじゅ」はかつて冷却剤として使っていたナトリウムが漏れるという事故を起こし、10年ぐらい止まっていました。それが、やっと技術的にも社会的にも解決して、2010年に運転の準備を始めたところ、その準備中に重たいもの(燃料を引き上げるもの)を炉の中に落とし、それが引き上げられないために、どうにもならない状態になっていると言われています。この事故は少し報道されていますが、全国的にはほとんど知られていません.日本は民主主義ですから、政府が箝口令をひかれているということはないでしょうし、報道の自由があるのでNHKが報道を控えていることもないと思いますが、情報が入ってきません。事態はひどく深刻で、責任者が自殺しています.高速増殖炉は、 ナトリウムを減速材に使っている炉で、フランスもフェニックスという名前の高速増殖炉を開発していましたが、今では中止しています。フランスができないから日本もできない、ということではありませんが、事故後10年も検討し、万を辞して運転の準備を始めたら途端に、トラブルに巻き込まれたというのですから大変なことです。高速増殖炉についてはもう少し情報を取ってこのブログにも書いていきたいと思っていますが、落ちたものを拾うのに失敗して、にっちもさっちもいかないこと、地震が予想される地盤の上にあること、構造が複雑で事故に弱いこと、さらにはプルトニウムを使っていることなど、危険が満載されています。次に危ない原発は、福島原発でも浜岡原発でもなく、わたくしは日本にある「その他の原発」と考えています。福島原発はすでに破壊されていますし、浜岡原発も地震についての設計はかなり安全です(それでも、不完全なので私は浜岡原発は止めるべきと考えています)。これに対して、日本の他の原発は、震度6の地震が来たら損傷を受けると予想されますので、福島原発よりもはるかに厳しい状態にあるということがいえるでしょう。特に、日本海側にある原発が破損すると放射線物質は、偏西風に乗って日本全体に及びますから、これはもう大変なことになると考えられます。なぜ、地震で、柏崎、福島、女川、東通と4つ(100%)破壊されたのに、まだ日本の原発が運転されているのか、私は理解に苦しみます.浜岡原発は停止が決まりましたが、停止をしても崩壊熱は出続けますので2、3年は危険な状態が続きます。福島原発の1号機は、5月8日、内部の高い放射線を持つ空気が大気中に放出されましたが、皮肉なことに、すでに現在までに60京ベクレル程度の放射性物質が大気中に放出されていますので、新たに放出される量は、今まで放出された量の1億分の1ぐらいになると考えています。また5月12日には1号機の原子炉内部の水位がずいぶん低かったと発表されました。もともと、1号機は最初の段階で燃料が壊れて下に沈んでいることが予想されていましたし、水位計は異常な値を示していましたので、この結果は驚くべきものではありません。通常の状態で燃料が溶けるのと、いわゆる「メルトダウン」とは違いますので、これも「予想通りの合理的な結果」です。3号機は温度上がって普通では危険な状態です。しかし、これも3月の中旬に大爆発を起こしていますので、最大で同じ規模と考えられます. それは、3月の中旬に起きた爆発が水素爆発であるか核爆発であるかは明確でないこととも関係があります。一説には、爆発後の爆風の速さが音速を超えていたことから、核爆発ではないかとみられています。核爆発と水素爆発は、爆発の種類としては決定的に違いますが、原発があのように破壊された状態では、結果的に水素爆発も核爆発もそれほど大きく違うわけではありません。つまり、原発というものを技術的に見たときには、この2種類の爆発の違いは大きいのですが、放射性物質で被爆する私たちから見ると(たとえば赤ちゃんをどこまで逃がすかというようなことでは)、あまり強い関係はないのです。一応、危険がある可能性を頭の隅において、その対策を具体的に考えておいたほうが良いのですが、行動はまだとらなくても良いと思います.4号機は、使用中燃料の貯水プールの下部が破壊されていますので、それを至急、補強する必要があります。5月中旬には補強が終わるので、これについては特に問題がないと考えています。原発について、日本人記者などを集めた記者会見が延々と行われていますが、わたくしは、これは政府が福島県やその他の地方の被曝の問題が深刻なので、それを隠すために行っている情報操作とも考えられます。今、大切なのは「長期間続くと考えられる国民の被曝」に対する至急の対策であって、できるだけ早く福島や近県をクリーンにするために何とか日本全体で福島や近県を手助けすることだと考えています。しかしその力が出ないのは、まだみんなが福島原発のことが気になり、議論がそちらに行っているというのが私の見解です。また、神奈川県の茶葉がセシウムで汚染されていたように、汚染は少しずつ外に広がっています。これを何とかして止めなければなりません。ドンドン拡がったら、日本の農作物は食べられなくなるからです.魚も油断できません.その意味で、ウシや瓦れきを全国に持って行って処理することは全く非常識な行為であり、校庭の表土を天地替えすると地下水が汚れますし、汚染された汚泥をセメントで固めたりすると、それがどこに行くか判りません。家畜を24都道府県に移動させる計画は、「産地」が判らなくなるという点で、日本の食材にさらに打撃を与えるでしょう.原発の情報に気を取られると、日本がすっかり汚染列島になってしまうのが危険です.(平成23年5月13日 午前8時 執筆 武田邦彦
2011年05月13日
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人の世の苦しみにも花びらを開き人の世の悲しみにもたわわに実をつけよ
2011年05月13日
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勝手に王様になった菅政権 民主・自主・公開の3原則(フォントが見えにくいと言う方がおられましたので、フォントを戻しました。)小佐古内閣官房参与が20ミリシーベルト事件で4月30日に辞任した後、 5月2日に記者会見が予定されていた。その記者会見は官邸からの「守秘義務違反の可能性がある。懲役1年まである」という脅迫によって中止になったと、週刊誌「女性自身」が報じている.巨大な問題が生じた。•【1】 政府による原子力基本法違反原子力と言う巨大なエネルギーを扱うにあたって、議会は「原子力基本法」を作った。これは「国会」で議決されたものであり、「政府」は法律にそって運営されるものであり、みずから勝手に法律を無視することはできない。原子力基本法のもっとも重要な原則は「民主・自主・公開」の3原則であり、この「公開」は「原子力に関するあらゆることの公開」であって、他の政府の業務と一線を画する.国民はこの3原則を政府が守ることを前提に原子力を認めてきたのである.それを「官邸」なるものが違反したのだから、懲役を受けるのは官邸の方だ。•【2】 政府による「守秘義務違反」の違反公務員には守秘義務というのがあるが、それは無限の力を発揮するものではない。これについてはすでに裁判で多くの判例があり確定している。それは「何を秘密にするか」ということは、公務員の上司が決めるのではなくて、その情報が真に「国民に対して秘密にするべきであるか」ということで決まるというのが判例である。基本的には外国との問題のように日本が国として損をするようなものは守秘義務が発生するが、時の政府が損をするという情報は守秘義務の対象にはならない。今回のことは、内閣官房参与の仕事に関することであり、放射線などの学術的なことでもあるので、国として損害を受けるというような政策を彼が扱っていたとは考えられない。従って、官邸が辞任した内閣官房参与の行動について守秘義務をもとに脅迫したとしたら、まるで独裁政権のようなものである。•【3】 放射線防御の法律を破る政府このブログで何度か書いたが、放射線防護の法律は1年1ミリを限度としている。それに対して1年20ミリという基準は国内に全く強制力のない国際放射線防護委員会の勧告である。国際放射線防護委員会がどんな勧告をしても、日本政府はそれに従う義務はない。事実、これまでも日本の国内の放射線に関する法律は、国際放射線防護委員会の勧告を受けて独自に委員会を開き、最終的には日本の法律の形となって初めて国内で効力を発する。今回「国際放射線防護委員会」を隠れ蓑にして「ICRPが言ったから20ミリまでOK」という奇妙な論理を展開している.首相とか政府というのは、王様ではない。つまり、何でも力を持っているわけではなく、法律の範囲内で行動できるだけだ。それも国民からの付託である。今回の福島原発のことで、「非常時」ということを理由に、まるで独裁政権のような決定が次々と行なわれている。一方では、政府は「非常時」ではないとしている。つまり、「漏れた放射線は健康に障害がない」し、さらには小学校の児童すら1年20ミリシーベルとまで浴びてもよいので、問題は生じていないことになる。民主党は初めて「国家権力(そんなものは民主主義では存在しないが)」を手にして、王様になったようだ。・・・・・・・・・私たちが知らなければならないこと、•1) 原発が危機に陥ったら、数時間前には国民に知らせなければならないこと、•2) 放射線が風に乗って来るときには、その警戒警報を出すこと、•3) 内部被曝を含めて国民がどのぐらい被曝したかを示すこと、•4) 原発から離れていても、雨などで放射線量が高いところは警告を発すること、•5) 野菜などについては規制値以下でも、業者に表示を命じること、などがあるが、国民を守る立場の政府が、国民が自らの健康を保つために知らなければならないことを隠し続けているのは、本当に困ったものである。5月11日に、神奈川県産の茶葉のセシウムが基準以上になった。このようなことが「突然」明らかになるのは、毎日の情報提供が不足していることを意味している。(平成23年5月12日 午前7時 執筆)武田邦彦
2011年05月12日
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科学者の日記110512(2) 明るい未来は自分で作るおそらく冷静に事態を見つめ、未来の日本社会を思い浮かべることができないのでしょう。 政府や文科省の発言を聞いていると、「我慢しろ、止める、文句言うな」など暗く、後ろ向きのものが多いように感じます. その一つが「福島を見捨てる」という大方針です. 「そのぐらい、健康に関係ない」、「30キロ圏内は待避」、「児童や20ミリまでOK」、「校庭の土をひっくり返して地下水を汚す」など、いずれも極めて後退的な結果をもたらし、福島を見捨てることになります. 福島の人(もちろん、茨城、栃木なども同じ)は、放射性物質で汚染された大地で人生を送りたいのではなく、東電によって汚された大地を返してもらう権利があるのです。 東電は、原発で収入を得て年俸4000万円を取っていたのに、 東電は、60京ベクレルを漏らしてもバスを用意しません。 東電は、水を汚してもペットボトルを用意しません. 東電は、土地を汚しても元に戻すこともしません. 東電は、児童が被曝していても疎開の学校を用意しません. 東電は、それでも重役が報酬を受け取っています. 最近では見ることができないほどの悪質な会社です. ・・・・・・・・・ 東電はどうなっても良いのですが、福島は元に戻さなければなりません。 悪質な会社にひっかかったという感じですが、回復方法はあります. なぜ、政府も福島県もすぐに手がけないのでしょうか? ・・・ 畑を耕して野菜を植え、田んぼを作り、小学校を開校する前にやることがあります。それは「綺麗にしてから」ということです。 どんなものでも、汚れることがありますが、汚れをそのままにしてやる人はいません.まずは汚れをとって、それから取りかかるのが常識です. ・・・ 「放射性物質」は「放射線」ではなく「粒、粉、チリ」です。だから、まずそのチリを除いてから生活し、学校を開き、農業を進めたらどうでしょうか? 自衛隊、ボランティア、農家、サラリーマン、今まで日本にお世話になった老人などが総出で、まずは「福島を清掃する」ことから始められることを推奨します. いかに「1年100ミリシーベルトまで大丈夫」と言っても、それを信じる外国人はいません. もしも福島を綺麗にしなければ、福島の子供の健康が損なわれると共に、経済的にも大きな損害が続くでしょう. 1年20ミリなどという基準は世界では通用しません.それはすでに、外国の論評でも明らかです. そうなると、今後、30年、福島には外国からの観光客や外資系の会社は来ないし、福島産の農作物ばかりではなく工業製品も輸入規制にあうでしょう。 日本人なら、あるいは福島の人が可哀想だからということで、福島の農産物を買うかも知れません.でも、外国人はそんなことは考えずに「何ベクレルですか」と聞くだけです. そんなときに数値を示さずに「安全です」などと言っても、信じてもらえないのは当然です.逆に「土地が汚染されているのに、なぜ野菜だけ綺麗なのですか」と聞かれて困るだけです. ・・・・・・・・・ 原発から半径20キロの地域から、除染した方が良いと思います. まずは、道路、公共施設、学校、重機が使える田畑や平地から始め、次に森林を伐採し、草を刈り取って原発の横に焼却場を作り、全て焼いて葉についている放射性物質をフィルターでトラップします. まずは出来るところから手をつけるだけで、放射性物質は2分の1から3分の1に減るでしょう. 除染する目的、それは「故郷を取り戻す」ということであり、「日本はこのぐらいではへこたれないぞ」という力を示すことです. もし、「原発事故があっても、1年以内にクリーンな大地を取り戻す日本」ということになれば、それはとても良いことだからです. もちろん、福島市、二本松市、郡山市はもちろん、いわき市も白河市も関東のホットスポットも、自治体は行動を起こしてください。「これぐらい」などと言っていると30年続きますから、「あそこは汚れている」ということになるだけです。 先祖代々の故郷を綺麗にすることはできるのです!! ・・・・・・・・・ 人間には失敗はあるし、悪い奴もいる。 でも、それを素直に認める勇気を持ち、 どうしようもないときには逃げ、 出来るようになったら全力を尽くし、 そして故郷を取り戻す。 福島の人を助けること、 それは汚染された野菜を食べることではなく、 批判したり受け入れなかったりすることでもなく、 福島を綺麗にするのに力を貸すことだ、 それなら、日本人は全力を尽くすだろう. でも、その福島がSPEEDIのデータを隠し、 野菜のベクレル表示をせず、 ウシや瓦礫を日本中に拡散することを続ければ、 あるいは日本人でも愛想を尽かすかも知れない、 自分たちの失敗は自分たちの世代で片付けておこう. (平成23年5月11日 午前10時 執筆) 武田邦彦
2011年05月12日
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科学者の日記110511 放射線と体読者の方から次の記事を送っていただきました「爆発翌日、確認しながら公表せず 福島県、国の拡散予測図福島県は非常時の初期段階で放射性物質の広がりや濃度を予測する国のシステム(SPEEDI)のデータを東京電力福島第1原発1号機が水素爆発を起こした翌日の3月13日に確認したが、公表していなかった。6日の自民党県議会議員会政調会で県が明らかにした本当にひどいと思います。 SPEEDIを管理しているのは、原子力安全委員会ですが、そこが公表しなかったのも問題ですし、また福島県がそれを押さえたとしたら、さらに大きな問題と思います。というのは、このブログでも再々申し上げていますように、原子力の専門家であれば原発の事故では最初の2週間ぐらいが最も危険で、それを逃げ切ってしまえば、全体の被ばく量を10分の1ぐらいに減らす可能性があるからです。加えて、原子力は「危険」なので、原子力基本法で「民主、自主、公開」を原則としています従って、この「SPEEDI事件」は「国による原子力基本法違反」ですから、法的な追求をするのに該当しますもう一つ、国による法律違反が進められていますそれは「校庭の表土を下の土と入れ替える」ということで、これは「汚染された表土」という「放射性廃棄物」を「土の中に無防備に入れる」ことを意味していますやがて、梅雨になると下に入れた土から放射性物質が「地下水」に紛れ込むでしょう「汚染された表土のような低レベル廃棄物」は厳重に囲った「廃棄物処理場」に格納するのが決まりで、それによって地下水の汚染を防ぎます. 文科省はこのような基本的な法律を違反するというのはどういうことでしょうかまた、ここでも「民主、自主、公開」の原則は無視され、「土をひっくり返したら地下水が汚染される」という異議を「非民主的」に否定し、「決定の理由の公開(なぜ違反するのか)」もしていませんホットスポットの地図を出しましたので、該当する所の方が大変心配しておられますが、それでも茨城県や栃木県の北部とそれほど大きく違いませんし、放射性物質の飛散は必ずホットスポットを伴いますので、それ事態は異常なことではありません.ただ、その地域では、東京のようにあまり注意しなくていいという段階になるのが遅れるということですので、少しの間、注意をしていただきたいと思いますできれば地域で積極的に道路を水で洗ったり、校庭の表土をとったりすれば早く放射線が減りますところで今日の主題は、「放射線と人体」という事の本質を少し考えてみたいと思います。 人間が放射線に当たるとDNAなどに損傷受けることは知られています。このことは専門家の間ではいわば常識なのですが、それを否定する先生方もおられます.そこで、わたくしはこの2、3日、100ミリシーベルトまで大丈夫と言っている先生方の著述物をじっくりと読んでみました。実はその先生がたは、そうそうたるメンバーで、国際的な放射線防護の委員会の委員であったり、国立の放射線防護の関係の研究の方であったり、著名な大学の先生だったりしています。つまり、今まで「1年1ミリシーベルトという日本の法律を決めてきた人たち」が、「100ミリシーベルとでも大丈夫」と言っておられることに注目して、なにが著名な先生方が突然、法律違反を始められたのか?から考えて見たわけです。・・・・・・・・・結論から言いますと、わたくしは著述物や発言を調べて、次のように思いました。● 10年ぐらい前までは多くの先生方は「少量の被曝でも、量に応じてがんが増えると考えていたこと、● その後、放射線医療やチェルノブイリの研究等を通じて、少量の被曝では、あまりがんが発生しないこと、治療で少量の被曝を試みてみると、かえってガンが少なくなることもあるなどがわかってきたこと、● さらにデータを集めたり、国際的に議論をして、今までの基準を変える働きをしようと思っている矢先に、福島原発の事故が起こったこと、このようなタイミングになったので、先生がたは、「自分たちで決めた法律を、自分たちが違反する」という奇妙な状態に陥ったようです。・・・・・・・・・次にデータですが、先生方が実験的に得られたデータだけ見ると、低い被曝量のときには、あまり危険性がないようにも見えます。しかし、2つの問題が残っています.まず一つは、原理的に考えるとまだまだ不明確であるということです。放射線というのは大変にエネルギーの強い光ですから、 DNAが放射線の攻撃にあうと、 DNA の一部に損傷が起こることはよく知られています。たとえば、放射線よりも弱いエネルギーをもつ紫外線でも DNA の上にチミンーチミンと重なっているところは、チミンダイマーが発生し、そこが皮膚ガンの原因になることはよく知られています。放射線はそれよりも強いので、 DNAに損傷が起こることは間違いありません。人間は「有機化合物」という比較的、弱い材料で出来ていますし、放射線のエネルギーは有機化合物を破壊するために必要なエネルギーを遙かに超えているからです。もし「放射線は安全だ」ということになると、皮膚科の先生が注意されている「日光浴は有害だ」というのも間違いになりますし、私が長年、研究してきた「生物類似の材料の劣化」ともまったく一致しません.・・・・・・一方、 人間は、自然からのストレスに対して抵抗力で直すことができますが、そのレベルは人間の集団が生きてきた環境に依存します.この場合は、自然放射線が1年に1.4ミリシーベルトとですので、数ミリシーベルトまでは修復が可能と思います.でも、たとえば100ミリシーベルトというとそれの60倍にあたります。人間の防御能力が、環境からのストレスの60倍にも耐えられるというのはかなり珍しいと言えます。・・・・・・・・・また、「被曝するということは体内に活性酸素ができることであり、放射線によって直接 DNA 等に影響を及ぼすものではない」という考えの先生もられます。放射線が酸素だけを攻撃して、酸素を活性化するという考えは、今までの学問とまったく異なるので、今までの理論を大幅に修正しなければなりません。わたくしのように物理とか化学を専門としているものにとっては、放射線のようなエネルギーの強い光が来たときに、酸素だけが励起されて、その他の体を構成する分子に影響が及ばないなどということは、分子の軌道計算などから、到底、納得できないものです。このように、これまでの学問に真っ向から反する理論というのは、それを国際的に通用させるために相当な時間が必要であるということを意味しています。この問題は学問だけの問題ではなく、一人一人の健康に影響を及ぼしますから世界的な合意が得られるまでに、ある個人の先生のご意見だけで被曝の上限値を上げることは、人体実験になることを意味しています.・・・・・・・・・もう一つは100ミリを主張する先生方のデータの数が少ないと思います。根拠となっている「放射線治療を受ける人」は、患者の集団としては特殊で、満遍なく100ミリ以下の被爆をした人の健康のデータは示されていません。また、議論の過程で疑問なのは、医師自身が「わたくしは1年に20ミリずつ被曝しているけれど大丈夫だ」とか、Aという患者は200ミリの治療を受けても、今元気になっているという個別のデータです。もともと100ミリ以下の被爆の影響は「集団としての発症」を問題にしているのですから。個別の例を示しても反論にはなっていないからです。これらのことを総合してみると、現在ではやはり国際放射線防護委員会が定めた。1年1ミリの基準を安全として見ることが最も適切あるという結論になります。・・・・・・・・・ところで、学校や地方自治体で、「1年1ミリを越える可能性のある場所でも、このくらいの放射線量なら安全だ」という人がいるそうですが、法律で1年1ミリと決まってるものを、学校や地方自治体など法律を守らなければならない公共の機関が法律を否定するというのは、よほど考えなければなりません。学校の独立性といい、地方の時代と言ってきました。普段、それを主張しているのなら、国が法律を破ったときに、自分たちは法律を守って子供たちを大切にするというぐらいの強い決意を示してもらいたいものです。(平成23年5月11日 午前8時 執筆 武田邦彦
2011年05月11日
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柏、松戸、流山、三郷のホットスポット臨時 ホットスポット情報 子供を守ってください関東の一部に放射線の強い場所があります。柏、松戸、流山、三郷の4市です。放射性物質は「県境」などは判りませんから、測定値に従って行動することが必要です. それを示したのはこの図ですが、この方面の汚染は福島から南下した気流に乗って二本松市、郡山市そして白河市まではある程度放射性物質が来ているのですが、宇都宮にはほとんど来ていません。それがかなり離れた地点で放射性物質が観測されています。この原因はまだわかりませんが、汚染の程度は福島市、郡山市等より低く、いわき市や白河と同等と見ることができます。詳しい原因はともかくとして、普通に考えますと放射性物質がちょうどその場所で落ちたと考えられます。このようなことはチェルノブイリの被曝図でも同じようになっているので、特に極めて奇妙であるということではありません。・・・・・・・・・測定値を見ますと、3月末に1時間に0.6マイクロシーベルトぐらいで、現在でも1メートルの高さでも、1時間に0.4マイクロシーベルト近くあります。 大人での被曝量は、1年に3.5ミリシーベルトになり、校庭で運動したり、地面の近くで遊ぶ子供達は、読者からの情報では2倍から4倍のデータもあり、1年に10ミリシーベルトぐらいの被曝になる可能性があります。日本の法律で定めた(風評ではない)被曝限度1年1ミリシーベルトを大きく上回ります.学校など強制力を伴う公的なところでは、法律違反にならないように万全を期してください。(文科省が暫定基準で20ミリシーベルトと言っているのは、「非常時だから仕方が無い」ということで、「20ミリシーベルトでも安全だ」ということではありません。日本の法律は1年1ミリシーベルトです。)茨城県北部の方と同じような注意をしていただきたいと思います。特にお子さんの健康に関係の深い学校や幼稚園などは福島県中通りと同じように校庭の表土の除去、吹きだまりの清掃などをしていただいた方が、児童の被曝を減らすのに大切と思います。また給食では、空間の被曝が多いので、負担を減らすために関東の野菜を使わないように注意を御願いします.(データ:http://www.geocities.jp/environmental_radiation/、 放射線・原子力教育関係者有志による全国環境放射線モニタリング)(平成23年5月10日 午後3時 執筆)(注)ここで使わせていただいた図は早川由起夫さん、萩原佐知子さんの制作とお聞きしています。早いほうが良いので、お断りをせずに使わせていただきました。もし、ご連絡先をご存じの方がおられましたら、お断りをしたいと存じております.先に使わせていただいて恐縮ですが、お礼を申し上げます。武田邦彦
2011年05月11日
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福島講演 2つ福島・講演会2つ 5月16日1. 二本松 夕方日時 2011年5月16日(月) 18時30分開場 19時開演 21時終了予定場所 ウエディングパレス かねすい〒964-0801 福島県二本松市向作田18-11 電話 0243-23-3000主催 未来復興研究会 問いあわせ先 小林 電話 024-923-7502「1nihonmatsu.doc」をダウンロード2. 福島 午後日時 2011年5月16日(月)14時30分開場、15時開演、17時終了予定演題 「食と放射能」場所 A.O.Z(アオウゼ)福島市曽根田町1番18号 MAXふくしま4階 多目的ホール電話 024-533-2344駐車場 MAXふくしま内の駐車場をご利用いただけます。2時間無料 以降30分ごとに100円。入場無料、事前の申し込みも不要です。ただし先着200名様となります。サイトウ洋食店 代表 齋藤 正臣 電話 024-521-2342「2fukushima.docx」をダウンロード武田邦彦
2011年05月10日
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>科学者の日記110510 日々、変わっていくこと福島原発からでた放射線物質は、最初に大気中に出て風で流れました。そのすべてが太平洋の方に行けば被害は少なかったのですが、不運にも福島市の方向に流れました。 やがて、その放射性物質は福島と山形の間の山にぶつかって南下し、郡山の方に向かいました。その様子は次の図にハッキリと示されています余談ですが、放射性物質が比較的低いところを流れて山の方に行かないということもわかります。 これは山登りの好きな人にはとてもいい話でもありますし、またこの地図を見て、福島県の方で時々、お子さんを山の方に遊びに連れて行くこともできるのではないかと思います。 これから長い間のことですから、楽しみながら放射線を避けるということも必要だと思います。 ・・・・・・・・・ ところで約1ヶ月後、放射性物質は大地の上に降り、道路や校庭を汚し、ホウレンソウを痛めました。そして、私たちがあびる放射線も、大気からのものが減って、次第に地面からの放射線に代わっていきました。 今、その放射性物質は、溝に流れ、さらには汚泥等に入っていっています。だから、この時期に「汚泥が汚染された」のは理屈通りです. 大変に不幸なことでしたが、放射性物質を「火山の灰」のように考えれば、目には見えませんがおおよそどこに飛び、どこに潜んでいるかわかると思います。 これは身を守る上でとても大切なことです。お母さんは「こんなところが吹きだまりになるな」とか、「葉っぱの上に乗るとこびりつくから」などと経験を活かしていただけれと思います. ・・・・・・・・・ ところで、やっかいな問題があります。 放射性物質で汚染されたものは、地方自治体が処理するのではなく、すべて国が責任を持つのですが、その国が今まで全く原発事故の準備をしていなかったので、一つ一つ、今後決めていかなければなりません。 何のために税金を払っているのだ!と叫びたくなる心境です. 汚染された汚泥の処理についても、福島県が現在、国の方にその処理を依頼しているところです。 これと同じことが、小学校の校庭等でも行われています。 郡山市は先んじて小学校の校庭の表土をとりましたが、その結果、お子さんの被曝は随分減りました。 ところが、表土を取った後は汚染された土が出ます。常識的にはこの土は東京電力が引き取るのが当然ですが、法律的には国に責任があります。 しかし、国はこの土をどうやったらいいかわからないので、土の出ない方法を提案しています。それは小学校の校庭の表土を削りとって深い土と入れ替えるということです。 もちろん表面に火山灰のような放射性物質があるのですから、このことで子供さんの被ばく量は減少します。 その代わり、その校庭には、セシウムが残りますから、今後30年の間、放射性物質が潜んでいるところでお子さんが運動をすることになるのです。 現実には今、被爆しているお子さんを助けなければなりませんし、そうかといって小学校の校庭が長い間汚染されているのも気が滅入る話です. 現在の文科省はこのような難しい問題を東京電力と折衝して、土地を確保し、小学校の校庭の土を持っていくという力がないと思います。 その背景には、多くの政治家が東京電力から資金の提供を受けているということもありますし、利権と子供という関係では、残念ながら利権の方を優先する政治家が多いことも一つの原因になっているでしょう。 ・・・・・・・・・ 小学生の被曝の基準を1年20ミリシーベルトにしたり、汚染された野菜を地産地消という名前で給食に出したりするのは、この延長線上と考えられます。 教育の専門家に詳しくお伺いいたしましたが、小学校の給食を全員に強制する必要は、教育上も全くないというお話でした。 むしろわたくしが考えるには、給食の業者等との深い癒着があると考えられます。 およそ教育に関係する人は、貧乏でもいいから子供たちのためにと思って働いてくれなければいけません。仮にも、給食を子供達に強制する理由が、給食の業者との関係であるというなことがあり、それで子供たちを被曝させるということは到底、わたくしには理解できないことです。 ・・・・・・・・・ 少し話がずれてしまいましたが、誠意のない社会というのは悲しいものです。 昨日、わたくしは、「1年1ミリシーベルトという基準は間違っている.1年100ミリシーベルトまで大丈夫」と言っておられる複数のお医者さんの論説やテレビでの発言を調べてみました。 わたくしが、このことでどのように考えたかは、また次回にお話をしたいと思いますが、ここでは、「科学者としてのわたくし」がいつもどのようにものを考えているかということをお話したいと思います。 ・・・ 科学というのは難しいもので、常に事実を見つめ真実を追求するのですが、人間なので間違いだらけでもあります。 わたくしが学生に話する例は次のようなものです。 「ニュートンが生まれる前、物が落ちるのは地下の悪魔が引っ張ってると言っていた。 ニュートンが生まれた後は質量によって決まり、万有引力と説明した。 アインシュタインが質量を持たない光が重力によって曲がるということ明らかにすると、そこでまた空間のゆがみが登場した。 最近では、それらをすべて否定して引力はエントロピー増大で説明するのが適切だという学説が有力である。 だから、現在、正しいと信じていることは間違っている」 と言います。 なかなか難しい議論ですが、科学者は常にできるだけ厳密な方法で正しい結論を導き出そうとしますが、同時にその「正しい結論」というのは、100年もたてば全く別のものになってしまうことも承知の上です。 「正しいけれども間違っている」という相矛盾した二つのことを科学者は同時に頭の中にいれられます。 ・・・ その意味で放射線による被爆と人体への影響ということを考えるときに、現在の知見(正しいこと)は、1年に1ミリシーベルトを浴びるとかなりのがん患者が出るということであり、また将来はそれが「さらに厳しくなるか、または緩和されるか」は判らないということです。 もう一つは、たとえ自分の考えと違っても、常に自分の考えを否定し、反省し、自分とは反対の結果を勉強するということも科学者としてはなくてはならないことです。 その点で日常の生活と科学的な考え方というのは、少し離れています。今度の福島原発のことは科学的な内容が多かったので、多くの人が「日常と科学」という点で混乱し苦しんだ原因にもなっているのではないかとわたくしは思います. 科学は十分に咀嚼して発信する責任があるのでしょう。 (平成23年5月10日 午前10時 執筆) 武田邦彦
2011年05月10日
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原発論点6 「民主・自主・公開」と民主党政権戦争の痛手から回復した日本が原子力を始める時、政府が国民に約束したことがある. それは、他の政策と異なり、原子力だけは「民主・自主・公開」という原子力3原則を守ると宣言したことだ。わたしも長く原子力関係の仕事をしてきたが、自民党政権下で、この原則は比較的、良く守られてきた。•1) 原子力は民主的な手続きを経て行う、•2) 外国に影響されず日本は日本として原子力の平和利用を進める、•3) 常に公開し、国民の支持を得る、というものだ。ところが、民主党政権下で起こった福島原発では、•1) 小学生の児童に20ミリ以上(内部被曝を過小評価)をあびさせることが決まった経緯が、まったく民主的ではない、安全委員会もいい加減だったが、文科省大臣の強圧的態度は民主的というにはあまりにもかけ離れていた、•2) 浜岡原発を止めたのはアメリカの要請で、アメリカ軍横須賀基地を守るためだったと公に言われている、•3) どの重要な決定も密室で行われ、突然、発表された、というおおよそ原子力3原則とは正反対のことばかりが行われている.そして、逆に3原則を守ってやろうとすると、かえって強い圧力を受ける.絶望的なぐらい誠意を失った社会になった。そして、民主党政権というのは、その名前とはまったく違い、首相も大臣も、幹事長も、さらには個別の議員まで「民主的」ということに対して強い反感を持っているように思える。浜岡を突然止めて、他の原発は止めないと宣言する。君は日本の将軍なのか? ・・・・・・福島県の児童は20ミリでも健康に影響がないが、静岡県の人は1ミリでも危ないから浜岡を止めるという論理だ。東海地震だけは来るけれど、日本には他の地方には地震が来ないという論理でもある。福島原発の事故は、「原発が必要だから、原発は安全だ」とか、「想定外のことが起こったら大量の放射性物質が漏洩してもよい」などという「論理破綻」がもたらしたものだから、こんな矛盾した論理を続けていたら、事故を防ぐことは出来ない。・・・・・・・・・私は今からある原子力の会議にでる。その会議は原子力関係だから、「公開でなければならない」という私の求めは一蹴されている.私は2006年の地震指針を機に、原発推進派から原発批判派に変わらざるを得なくなった。そして、今回の福島原発の事故はその帰結であるから、それだけなら私は批判派に止まることが出来た。でも、原子力3原則も守らない。これほど誠意のない、論理が破綻した政権では、すべての原発は止めなければ、また私たち大人が子供を被曝させることになる。誠実であること、透明性を保つこと、万機公論に決すること、大切なことは何時の世も変わることはない。(平成23年5月9日 午前8時 執筆)武田邦彦
2011年05月09日
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福島原発の不安5月8日、1号機の二重扉を開けるときに、ある程度の放射性物質が出ると予想され、それが不安を呼んでいました.そこに、8日未明に福島原発の映像に白いモヤがかかり、なにかの放出物が出た心配され、不安がさらに加速したようです。それに加えて3月から4月にかけてはNHKが原発の不安を煽っていたのに、急に報道を縮小したことも問題でした。つまり、多くの国民は、これまでの報道を見ていて、「NHKは、何も起こっていないときには微に入り細に入り、原発のことを放送するけれど、危険になったら報道を止めるだろう」との確信を持っているからです。これからも、NHKは「原発が危な区なると報道を控える」という態度で終始するでしょうから、NHKを見ることはむしろ危険になります.・・・・・・・・・ところで、このブログで再々、書きましたように、今回の福島原発の状態を一言で言えば、「地震による破壊直後から、全ては科学的に進んでいる」ということで、さらに踏み込んで言いますと、● 2006年の地震指針で決めたとおり、● 電力会社が勝手に決めた想定外の場合に起こるとおり、に事態が推移した」といってもそれほど間違っていません.つまり、今のところ、「ひどい状態」ですが、科学的に見て「意外なこと」は起こっていないのです.また原子炉は不安定ですから、今後も、「燃料の崩壊、溶融」などが起こる可能性もありますが、よく言われる「メルトダウン」というような状態にはなりません。かりに、燃料の崩壊が起こると、東電の収集作業としてはかなりの影響がありますが、私たちにとって「放射線が大量に漏れて、また避難しなければならない」という可能性は少ないと思います.万が一のために準備をしておくことは必要でも、その可能性が低いことも合わせて理解しておいた方が良いでしょう.・・・・・・・・・今回の1号機からの漏洩でも、漏洩量は「億ベクレル」の単位です.普段なら大変なことなのですが、すでに福島原発からは「京ベクレル」の単位の放射性物質が漏れていることと比較すると、「1億分の1以下」です.福島原発から京ベクレルの放射性物質が漏れたことはとても大変なことですが、これからの漏洩量はそれから見ると少ないという皮肉なことになっているということを示しておきたいと思います.このことは、「すでに漏れたものが、身の回りに「1億倍」もあるので、それからの被曝」の方が重要で、福島原発のことはそれほど私たちにとって重要では無くなったことを示しています.(平成23年5月9日 午前8時 執筆)武田邦彦
2011年05月09日
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原発論点3 「想定外」と「避難」現在の日本の原発は、「電力会社が想定した地震、津波、台風、大雨等の範囲」に限り、安全に設計されている。この場合、電力会社が想定する地震の程度が震度7の場合もあるし、震度3の場合もある。いずれにしても想定の範囲内であれば安全である。この電力会社の態度は国が定めた原発の地震指針に沿っているので、その意味では違法ではない。電力会社が決定した想定を形式的には保安院がチェックすることになっているが、現実的に保安院はその力がないのでチェックはされていない。このことは東電社長が「津波の想定が甘かった」と陳謝し、それに対して保安院が誤らなかったことが証拠になった。なお、「安全」というのは、国民が1年1ミリ以上の被曝をしないということであり、まったく放射性物質を出さないということではない。柏崎刈葉原発の事故の時には、「想定外」と「1年に1ミリ以下」の2つの理由をもって、東電は免責されている.・・・・・・・・・原子力安全委員会の地震指針の用語を使えば「想定外で起こる危険」を「残余のリスク」という。聞き慣れない用語だが、このような珍しい言葉を使う理由がある(国民が理解しにくい)からだ。ところで、原発に想定外のことが起これば、(施設が破壊し、大量の放射線物質が漏れ、国民が被爆する)ということは、原子力安全委員会から出された正式な文章に記載され、日本政府もそれを認めている(私の記憶では自民党時代の閣議を通っている)。・・・・・・・・・従って、日本国民は「原発が電力会社の想定内の範囲であれば安全であり、想定外なら被曝する」ことを認めていることはあきらかである。今回の福島原発が東京電力の想定内であれば、国民は被爆を甘受しなければならない。それは自分たちで決めたことだからである。そして被ばく限度その時の被ばく限度としては、1年に1ミリ以内、つまり交通事故と同程度で、1億人の日本人に対して5000人のガンが発生するということを意味している(主に子供)。・・・・・・・・・現在、東海地震が起こると言われている震央地にある浜岡原発の安全性が問題なっているが、中部電力は浜岡原発の安全性について「特に問題ない」と発言するであろう。それは正当なことで、中部電力が想定する範囲では浜岡原発が安全に作られているからであり、それは私企業の行動しうる範囲でもある。・・・・・・・・・それでは、ここからが問題だ。中部電力の想定外で浜岡原発が破壊した場合、それによる被害(施設の破壊、大量の放射線の漏えい、それに続く国民の被曝)の対策をどこがやるかということである。原発の地震指針が示していることは、想定外であれば大きな事故は起こるのは確実であるが、その責任を誰が取るかとか、後始末をどこがするかということにおよんでいない。従って、想定外のことがあっても、住民を避難させたり、汚染された水の代わりの新鮮な水をいう準備したりし、さらには、小学校が汚染された場合、疎開先の小学校を準備しておくというような責任は誰なのだろうか?・・・・・・・・・常識的には付近の自治体と考えられる。しかし自治体は躊躇している。電力会社が自ら失敗したのに、自治体も共犯者のようにされるのをいやがっている。福島県は事故について国民に謝っていない.しかし、電力会社は事故が起こっても、作業は原子力発電所に限定していて、地元を洗浄したり、住民を避難させたり、小学校を作ったりすることはしていない。このブログでも指摘しているように、福島原発から出てきた汚い放射性物質を含んだ土すら東電は回収しない。電力会社は原子力発電所が想定外の事故を起こした場合、その責任は国民にあると考えていると思われる。・・・・・・一方、自治体では、硬直的な議論がなされ、「もともと原発は安全であるという説明を受けたのだから事故が起こっても自分の責任ではない」という態度である。つまり、責任のなすりあいの結果、国民が被曝し、自分で放射性物質の処理を迫られているというのが現状だ。しかし、原発を受け入れた自治体の首長は、原発が想定外の場合に、施設が破壊され、大量の放射線が漏えいすることを知っているのだから、それに対してどのような対策をとるべきかは、税金をもらって市民のために仕事をしている自治体の長としては最低限必要なことと考えられる。・・・・・・・・・今回の福島原発のことで明白になったように、原発の地震指針では、地震や津波で原発が破壊されることを認めていながら、現実に原発が破壊されたときに、国民をどのように避難させるかについては検討していなかったことが明らかになった。今後、大至急、国、自治体もしくは電力会社のいずれが後始末を担当するかをはっきりしておかなければならないだろう。その意味では浜岡原発の安全性議論は空しく響く。(平成23年5月6日 午後5時 執筆)武田邦彦
2011年05月08日
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原発論点5 原発の「安全性」を決めるもの5月8日、福島原発で次の措置のために若干の放射性物質がでます。でも、私たちに取って危険なものではありません。それは、私たちにとっては「すでに福島原発事故は終わっている」からです。ただ、東電ではまだ作業が続きますが、それは私たちには関係がないことです。このブログでは3月下旬に「すでに福島原発では大きな変化は起こらない」としていますが、徐々に静かになっていくのを見て行くだけです。私たちが直面している問題は、この事故が起こってから終始、「放射線から子供達をどのように守るか」ということで、それは「子供がもっとも被曝しやすい」ということと、「子供を守れば、妊婦も含めて大人を守ることができる」からでもあります。今、もっとも大切なのは、1) 子供を公園に連れて行かない、2) 子供を雑草や芝生に近づけない、の2つでしょう。・・・・・・・・・本論・・・・・・原発は次の段階に進みつつある. このブログでも「社会を混乱させる放射線医学・防御の専門家」というのを書いたが、この問題をもう少し深く考えてみる.福島原発事故が起こる前、放射線防護の専門家とマスコミは、次のように言っていた.•1. 1年1ミリ以上の被曝は確率的にガンを発生させる、•2. 原発からの放射性物質の漏洩は量によらず大変なことである、ところが、事故が起こると、突然、•1. 1年100ミリまで大丈夫である、•2. 柏崎原発事故より20億倍の放射線が漏れても健康に影響がない、と言い出した。このぐらい大きく変わると、「原発の安全性」も考え直さなければならない。・・・・・・・・・たとえば、熱を発するものの設計をするときに、「人間は60℃でやけどをする」というのと、「人間は1000℃までやけどをしない」というのでは考え方も、設計が違う.それも突然、事故が起こったからというだけで、やけどをする温度が60℃が1000℃になると言うのでは、安全もなにも考えることが出来ない。もし、多くの「放射線の専門家」が言ったように「1年100ミリまで安全だ」というなら、私は再び「原発推進派」になることができる。浜岡原発も「危険」から「安全」に変わる. まして、大阪のテレビに良く出ていた医師の言われるように「放射線はあびるほど健康になる」というなら、さらに積極的に原発を進めることができる。日本のエネルギー問題も無くなるし、これまで何を目的に「安全な原発」を考えてきたかも判らない。原子力の関係者はすべてのことを「1年1ミリ」と「人間は放射線をあびない方が良い」という前提で研究をしてきた。それは原子力の関係者が言ってきたことではない。放射線医学や防護の人から習ってきたことだ。それが逆というなら、まったく異なる世界になる。・・・・・・・・・マスコミも同じだ。NHKは「1年100ミリまで大丈夫」という人をたびたび登場させた。朝日新聞は「人間は100人に30人がガンで死ぬのだから、0.5人が放射線でガンになっても問題ではない」という記事を女性記者が書き、大きく掲載した。それなら、原発の安全性はまったく変わり、日本の原発は安全になる.でも、これは放射線医学と防御の専門家が決めることであって、私でも電力会社でもない。だから、シッカリして欲しい。・・・・・・・・・再度、呼びかけたい.放射線医学と防御の専門家の皆さん!!一体、1年1ミリなのですか? 子供が1年20ミリなのですか? 1年100ミリなのですか? どっちなのですか??それによって、私たちの判断も生活も180度変わるのです!!あなた方の判断と発言はそれほど大きな意味を持っているのです!!すぐ、結論を出してください。「真実」であるかどうかではなく、「事故前の1年1ミリ」と「事故後の1年100ミリ」の差の理由だけでも結構です。それがすべてのスタートですから。・・・・・・・・・政府の人へ。もし、福島の子供が「1年20ミリ」まで安全なら、浜岡原発を止める理由はありません。福島の子供が放射線に強く、静岡の人が放射線に弱いということはありません。誠実な心を持ってしっかりやってください。(平成23年5月8日 午後2時 執筆)武田邦彦
2011年05月08日
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社会を混乱させる放射線医学・防御の専門家福島原発の事故が起こって、わたくしがびっくりしたことの一つに、放射線医学もしくは防御の専門家が、これ程大きくその考え(および発言)を変えるとは思っていなかったことです。わたくしは、原子力の燃料を研究し始めた若い頃、放射線の仕事をする限りは、放射線と身体のことをよく勉強しておかなければいけないと思い、第1種放射線取扱主任者という試験を受け、免状をもらいました。この資格は、放射線を取り扱う専門家にとっては、最もレベルの高い資格で放射線を取り扱うところは、必ずこの資格を持った人がいなければいけないことになっています。でもわたくしは、放射線と人体の関係を「研究する」という意味では、専門家ではありません。わたくしはあくまでも原子力関係の専門家であり、その仕事をするに必要なものとして放射線取扱主任者の試験を受けたのです。・・・・・・・・・わたくしは、福島原発事故が起こってから「1年に100ミリシーベルトまでは大丈夫だ」と言っている「その人たち」に、長い間、真逆のこと、つまり「1年に1ミリシーベルト以上は危ない」と教えられてきたのです。放射線医学の専門家は、自信を持って次のように話してくれました。「放射線による人体の障害は2種類あって、100ミリシーベルト以上では、放射線に被爆した人に何らかの障害が出る。明らかに出るのは250ミリシーベルト程度である。これに対して100ミリシーベルト以下の被爆では、確率論的に患者が発生する。確率論的とは1人の人が被爆したから、その人が発症するというのではなく、10万人の集団が被曝すると、その中から確率的にある数の患者が出るということである。確率論的に患者が出るかどうかということについては、長く議論されてきたが、1990年の ICRP の勧告以来、国際的には確立しており、日本の法律もすべてそれに準拠している。放射線では確率論的に患者が発生するということを頭に叩きこんでおかなければならない。」わたくしにこのように教えてくれた先生がたは、福島原発の事故が起こると突然、態度を翻し、「武田は専門家でもないのに、いい加減なこと言って人心を惑わしている」と言い出したのです。わたくしは年でもあるので、わたくし自身が批判されることについては全く気にしていませんが、とにかくビックリしました。そして、この発言が多くの人を惑わし、また政府の政策を狂わせた原因にもなっています。・・・・・・・・・もしも放射線の専門家が20年間にわたってわたくしに教えてくれたことをそのまま社会に発信していたならば、政府は「1年に1ミリ以上は危険である」という国際基準と国内法を守る政策を採ったでしょう。それはとてもすっきりしているので、1年1ミリ以上になる可能性のあるところには、政府が数1000台のバスを手配して(ソ連がそうだった)避難することができたでしょうし、多くの人は一つの基準を守って安全な生活をすることができたと思うからです。・・・・・・・・・多くの放射線医学の専門家や放射線防護に携わっている人が真面目な人であるということは、わたくしはよく知っています。だからこそわたくしは驚いています。確かに個人的には、確率論的な患者の発生に対して批判的な学者もいましたけれども、全体としては完全に一致していたのです。その一つの証拠として、わたくしのところに放射線医学の専門医になるための国家試験問題を送ってくれた医師の先生がおられます.国家試験では「確率論的に患者が発生する」ということが正解である問題が毎年のように出ていたこと示していました。国家試験に出るような確実な問題なので、それを福島原発の事故が起こったからといって、急に180度転換するというのは極めて奇妙なことです。・・・・・・・・・今からでも遅くはありません。放射線医学もしくは放射線防護の学会や研究会は多くあります。できるだけ早く臨時大会を開き、「確率論的に患者が出るということを否定する」のか、もしくは「従来の立場を貫く」のか、その理由は何か、それを社会に発信しなければなりません。社会はこの関係の専門家の発言のために、大きく揺れ、また被爆者を出すことになりました。早く「専門家集団としての見解」を明らかにして欲しいと思っています。(平成23年5月7日 午前11時 執筆)武田邦彦
2011年05月07日
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原発論点4 東電に責任はない?日本国民は税金を払って政府を維持しているが、政府の役割の主要なものの一つに「国民の安全を守る」という役割がある。かつては軍隊を作って外敵から国を守ることだったが、現代の社会ではそれは多様になり、自然の災害や人的な被害、その他のものにも国は備えている。例えば、ある会社が工場を作って運転を開始する時には、工場の目的、製品、図面、安全対策等をしかるべき役所に提出し、認可を受ける。その後、工場が稼働したらその認可に沿って、誠実に正しく工場を運営する限りは罪が問われない。・・・・・・・・・ところが、当然と思われるこの概念は歴史的には少なくとも守られていない。その典型的なものの一つが、熊本県で起こった水俣病であった。水俣病の原因は工場が水銀を海に出したことであったが、当時は水銀は毒性物質ではないと思われていた。わたくしは小さい頃、歯の治療を受けると水銀を歯に詰められたものである。女性の白粉には酸化水銀が顔に塗られ、神社の鳥居の塗料は朱色の硫化水銀だった。水銀は日常的に使用され、歯医者が口の中にも使うような材料であった。水俣病を起こした会社は、「正しく」工場を設計し、認可を受け、全く違反なく工場の運転をしていたが、毒性物質とは思っていなかった水銀が海に流れそれによって、大量の健康の障害者を出したのである。水俣病の裁判はすでに終わっていて「無過失責任」という極めて奇妙な理屈をこねた判決で会社の責任となっている。しかし、この無責任な判決が、後の被害者を生んでいる.つまり水俣病起こした会社は、当時の知識において正しく設計し、運転したのだから、どこから見ても過失はない。強いて過失を探せば、熊本県や日本政府がその会社の操業を認めたということであるが「自治体や政府は間違いをしない」という原則があるので裁判では免責された。そうすると責任をかぶせるところはないので、会社に過失責任という責任を課したのである。しかし、過失のないところに責任を求めても前進的な結果は得られない.・・・・・・・・・この判決は短期的には、会社に責任が生じたので、会社から被害者に補償金を出す根拠になった。それは「つけやきば」の対策にしか過ぎなかった。長期的には私の様々な執筆にもあるように、この矛盾した判決が、その後、多くの被害をうむことになり、カネミ油症事件、ミドリ十字事件など、結果的には国民が苦しむことになった。つまり、会社にとって工場を運転するときに「知らなかった危険性を察知する」ことは不可能である。それを国の責任にすることも直接的には無理である。つまり、水俣病の場合も「想定外」の事が起こったのであり、想定外のことが起こった時に、それをどうするかという議論がなおざりになっていた。裁判長は、弱い立場の企業にその責任をなすりつけるのは容易だから、その道をとった。裁判官のやりそうなことだ。・・・・・・ただ、このような裁判官の判断に社会的に見て合理性を与えたのが、水銀の時も会社の社長らの態度であり、今回の東京電力の役員の顔つきである。庶民から見ると、最初からこの人たちは、高級をとり、おいしいものを食べ、豊かな生活をしているという意識がある。さらに、その人たちが事故後、目の前に現れてみると傲慢な顔をして接してくる.それだけで感情を高ぶらせる原因になり、やがてそれは責任論となる。現代の日本では裁判官が社会の情勢に弱いことは多くの裁判例が示しており、決して裁判が社会の最後の砦として正義を決めてくれるものではない。人間の活動には常に想定外が存在する。その想定外の被害を国民にかぶせ、特定の企業を糾弾することによって処理をしてきた。・・・・・・・・・福島原発事故は、発生した直後であるが、すでに水俣病と同じ経過を辿っている。事故の批判は、その中心的な原因を作った安全委員会や保安院には向けられず、東京電力に注がれるとともに、例えば浜岡原発については地震の想定が適切あるかどうかという従来の問いから、一時、運転中止が決まった。また、東京電力の役員報酬は不十分ではあるが50%削減が発表されているが、事故の原因となった原子力安全委員会や原子力安全保安院の役人に対する報酬の削減は公表されていない。今回の福島原発の真なる原因は、地震や津波、台風などの自然現象の想定には限界があり、それを超えたときに国民が被曝するという考え方で良いのかということである。これを認めながら、原発を進めていくのか、それともこのような巨大技術は「人間の想定に限界があることを認め、別の概念を適応しなければいけないのか」、それこそが今回の原発の本当に考えなければならないことである。これを解決しなければ、水俣病、カネミ油症事件、ミドリ十字エイズ事件など多くの犠牲者を伴ったこれまでの事故と同じように何ら教訓を得ることなく、終わってしまうであろう。私たちは次々と開発される巨大技術に対して、人間の頭脳の限界との関係を調整できず、それを「犠牲者」という形でつじつまを合わせているのだ。(平成23年5月5日 午後2時 執筆)武田邦彦
2011年05月07日
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子らよ・・・父は剣をとって敵と戦い、武運つたなく斬り殺される. そして君もまた父に殉じる. 爆弾が頭上に落ちるとき、母は君を胸に抱いて爆弾に背を向ける. そして母は焼け焦げ君もまた命を落とす. 何も出来なかったじゃないかと言わないでくれ. それで良いのだ. 君は父と母の愛のもとで眠る. ・・・・・・・・・ 郡山の父、伊達の父は校庭の表土を除いた。君は26ミリシーベルトから8ミリシーベルトになった。 君は父を尊敬するだろう. 母は君を抱いて走った。知らない土地、辛い仕打ち、乏しい財布、その中で必死に逃げ、そして今、郷里に帰った. 母の心は痛んでいる. もう少し逃げたかったが・・・それは出来なかった. だから君の母は自らを責めている. 君は母を愛するだろう. 人は万能ではなく, 人には出来ないことがある. 君もそれは承知だ. 人ができること、それは爆弾が空から降ってこようと、目に見えぬ放射線が体を貫こうと、愛する子のために我が身を犠牲にすることだ. ・・・・・・・・・ 私たちには希望がある. それは全力を尽くした後に、子らが私たちを見つめる感謝の心. 私たちは、決してくじけることもなく、決して自らを責めることもない. 私たちは、爆弾に背を向ける母のように全力を尽くすことができ、それで子らは満足する. (平成23年5月3日 夕暮れの郡山にて) 武田邦彦
2011年05月06日
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原発論点2 1年100ミリ問題と原発の安全性福島原発事故が起こる前までには、世界の放射線の安全の基準は「1年1ミリシーベルト」であった。それに基づいて日本の法律も原発の安全性もすべて決まっていたところが、福島原発事故が起こった直後、政府は1年100ミリを越える放射線性物質が出ているにもかかわらず、「直ちに健康に影響はない」と繰り返した政府ばかりではない。 NHK、朝日新聞をはじめとしたメディアも「1年100ミリまでは安全だ」という専門家を登場させたその中には、大阪のある医者で「放射線はあびればあびるほど健康になる」といい、福島市に顧問として招かれた放射線医学の専門家も「1年100ミリまでは全く問題ない」との発言を繰りかえした専門家の発言でもあり、立派なテレビ局が報道したので、それが現行の法律違反であることを知らされていない国民が信じたのも無理はないでも、このことの是非を問うものではない。「1年100ミリ」の問題を深く考えてみたいと思う仮に被曝が1年に1ミリまで大丈夫であるなら、原子力発電は安全になるからだ軽水炉の場合、原発が事故を起こしても、付近住民が1年に100ミリ の被曝をすることは希であり、現在のように危機が訪れている時(間違ったら人体実験になる時期)にも、政府、NHK、そしてこれほど多い放射線医学の専門家が「1年に100ミリまでOK」と言うなら、原子力発電所は安全な発電ということになるつまり、かなりの確信がないと住民が被曝している最中だから、その責任は極めて重たいからである原子力発電所が危険とされるのは、事故の時にそこから漏れる放射線によって被曝するからであるそして、被曝と言っても程度問題で● 1年に1ミリとまでなら原子力発電所は危険、 ● 1年に100ミリまで安全ならば、原発は安全な発電方法、 だからだ。 私が2006年の地震指針決定から「安全な原発推進」から「原発が不安全だから批判」に代わり、さらに2011年の事故で「原発反対」になったのは、1年1ミリが前提である。 ・・・・・・ 今回のことで、原発が安全な発電方法か危険なものかは思想問題ではなく、また技術問題でもなく、放射線医学の問題に還元した。 今まで、国際放射線防護委員会や国内の放射線に関する委員会で常に言われてきたことは、「1年に1ミリ以下」ということだった。 それを受けて、私のような原子力の方は安全性を強く意識したのである. でも、放射線医学の先生が、「1年に100ミリまで安全だ」と言われるならば、今までの安全議論はバカらしいもので、私も何を悩んできたのか判らない。 ・・・・・・・・・・ 意地悪でも意図的でもないが、今回の福島原発の後に「1年に100ミリシーベルトまで大丈夫だ」と言った専門家の先生を集めて国の委員会を開き、それを公的に確定する. 国内法(文科省、厚生労働省所管の法律など多数)を改正し、大幅に「汚染物質」も減り、「管理区域」もなくなる。 これまでの放射線による障害の労災認定も取り消されることになるし、原子力施設は「安全な施設」に代わる. でも、放射線の人体に対する影響は世界的なコンセンサスが必要である。 外国旅行をするとか、外国で食事をする、もしくは外国で水を飲むというときには、世界の人が放射線の安全性についてのコンセンサスが必要とされる。 従って、国内で1年に100ミリまで大丈夫であるというコンセンサスが得られたら、国内法の改定と並行して、国際的な活動をして世界を説得し、世界的に1年に100ミリの基準を確定しなければならない。 それができたら、日本の原子力発電所の安全基準を変更し、付近住民が100ミリまで被爆しても良いという基準に直す必要がある。 わたくしの考えでは、付近住民が100ミリまで被爆してもいいということになると、現在の地震指針にわずかな改正(事故時の対応)だけを加えることで原子力発電所は極めて「安全」に日本国内で運転することができるであろう。 エネルギー問題も考え直さなければならない。 ・・・・・・・・・ 時に「武田は放射線医学の専門家でもないのに、1年1ミリなどと言うな!」と罵倒されるが、私は今まで放射線医学の専門家が「放射線はあびない方が良い。1年1ミリが限度だ」と言われるので、それを理解してきた。 もちろん、責任ある立場で仕事をしてきたのだから、私は「個別の因果関係では1年100ミリから障害がでること、それ以下では確率的にガンなどの発生が見られること」をデータなどで確認して納得してきた。 それが間違いなら、もう一度、原発の安全性もエネルギー問題もやり変えなければならない。 「1年100ミリ」と言っているNHK、朝日新聞、そして学者(主に放射線医学)の方は、 •1) なぜ、これまでと180度違うことを言い出したのか? •2) 本当にこれから1年100ミリで良いのか? について、早急に声明を出して欲しい.そうしないと私たちのこれからの多くの努力も無に帰する. (平成23年5月5日 午前11時 執筆)武田邦彦
2011年05月06日
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