ウェルズとの出会い

H・G・ウェルズ の名をはじめて目にしたのは、多分、有紀書房の 完全図解シリーズの一冊 「図鑑 宇宙のふしぎとひみつ」 (1975年)においてだと思います。

 この本の最終章には、 科学的未来予想 が書かれていまして、その中で、 食料飢饉の話を紹介するにあたって、ウェルズの 「タイムマシン」 も引用されていたのです。それは、次のように書かれてありました。

「地球の人間がふえすぎて、戦争がおこり、人間をたべるものと、たべられるものとにわかれてしまう・・・という、スゴイ小説だ!!」

 この文面に、 「黒人らしき人間のバラバラの体が、料理のように皿の上に置かれていて、それを白人らしき男が食べている」 絵(今だとヤバイ、 思いっきり人種差別!)が添えられてましたので、とっても怖くて、この頃から、私は「タイム・マシン」と言う小説のことを 気にかけるようになっていった のでした。

 これが、大体、私が 小学生中学年ぐらいだった頃の話です。

 その後、私が 小学生高学年になると、急に 読書家 となり、次々に、長い小説も読むようになり始めます。

 この時期には、私も 選り好みして、本を読むようになり、特に SF だとか 怪奇もの を愛好し、講談社の 「世界の名作怪奇館」 シリーズ(1970年)とか、学研のジュニアチャンピオンノベルス 「怪奇・SF 恐怖のミステリーゾーン」 (1977年)などを読んでいました。これらの本は オムニバスであり、古典名作として、 ウェルズの数々の短編作品が、当たり前のように収録されていた のです。

 そんな訳で、私も、 よく目にする小説家の名前として、 次第に、ウェルズに注目し始めた のでした。
タイム・マシン.png
 兄が買っていた角川文庫版の 「タイム・マシン」 (1966年)を、我が家で見つけたのは、多分、この頃です。こうして、私も、 ずっと気になっていた「タイム・マシン」を、ようやく読む事ができた のでした。

 もっとも、読後の私は、「タイム・マシン」よりも、むしろ、同時収録されていた 「深海潜航」 「新神経促進剤」「くぐり戸」 などの方が、 強く印象に残っていたようですが。
宇宙戦争.jpg
 私が、本格的にウェルズのファンとなったのは、 「宇宙戦争」 を読んでからです。

 その時、読んだ、 はじめての「宇宙戦争」 が、この旺文社ジュニア図書館の 「宇宙戦争」 (1967年)です。やはり、読んだのは、 小学生高学年の頃でした。

 それまでの私は、 あまりにもタコ型火星人が有名すぎた ものだから、 つい「宇宙戦争」を読むのは避けていたのでした。

 にも関わらず、この本を買ったのは、 本屋に行った時、他に読みたい本が見つからなかった のと、もう一つ、 この本の推奨文を、当時の私が大ファンだった手塚治虫氏が書かれていた と言うのも、 理由の一つだったような気もします。

 でも、いざ読んでみると、びっくりしました。 めちゃくちゃ面白い のです。 火星人の大暴れだけが面白いのではありません。 戦争で追い詰められた作中人物たち(牧師や兵士など)の極限状態の描写 も面白いのです。 火星人がなぜタコの形をしているか、の科学的説明にも唸らされました。もしかすると、この本は、 原作をより誇張していて、より面白く書かれていた のかもしれません。

 かくて、私は、 小学生を卒業する間際に、完全なる ウェルズマニア になったのでした。

 私の書く小説は、 文明批判・人間批判的な側面が強い ので、 あまり好きになれない方たちもいる事でしょう。しかし、私の作品は、基本的に、 ウェルズの作風を引きずっている のであり、さらには、 手塚治虫氏や五島勉氏らの影響も受けている から、 より厭世主義(ペシミズム)的 なのであります。


ファン
検索
<< 2024年12月 >>
1
2 3 4 5 6 7
8
9 10 11 12 13 14
15
16 17 18 19 20 21
22
23 24 25 26 27 28
29
30 31
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリアーカイブ
プロフィール
日別アーカイブ

2020年07月30日

この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10076733
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: