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2022年03月11日

父の運転免許証を返納せよ

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父の運転免許証の更新である。

父は仕事でもプライベートでもよく運転していて車と車の運転が大好きだ。

そんな父がこの年の6月、路上で後ろ向きに転倒した際に後頭部を打ち、救急車で病院に搬送された。

担当した医師は「脳から少し出血がありますが、転倒して頭を打ったから出血したのか、出血したから転倒したのか、どっちが先か分からない」と言っていた。

父は普段の会話は成立し、昔の事は事細かに覚えているのだが、朝ご飯を食べてしばらくすると「ご飯はまだか?」と言ったり、さっき買い物に行ったのに「買い物行こうか」と言うようになり、とにかく新しい出来事を忘れるようになっていた。

高齢者の運転免許証の更新はまず、指定の医療機関で講習予備検査(認知機能検査)を受けなければならない。

僕が父に「運転免許証の更新に病院の許可が必要になった」と伝えると、運転免許証の更新に必要なら仕方がないと思ったのか「じゃあ行こうか」と市内にある病院へ。

椅子とテーブルが置かれたカウンセリングルームに通され検査が始まった。

看護師さんから「今日は何月何日何曜日ですか?」と聞かれると「今日?何日やったかなあ?」と僕に聞いて来たり「ここはどこですか?」と聞かれると「どこでも良かろうが」と徐々にイライラして来て、「少し前にお見せした3つの絵を教えて下さい」と聞かれると「そんなん知るか!帰る|」と声を荒げた。

父をなんとか宥め、医師の診察を終えて帰宅。

それから数日が経ち、検査を受けた病院から封筒が届いた。

その封筒を開けてみると

アルツハイマー型認知症と書かれてあった。

この事実を父に伝えないといけないのだが父は認知症だとはこれっぽっちも思っていない。

僕らが言っても「何を言ってるんだ、違う」と言うので父が信頼している循環器内科の主治医だったら事実を受け止めてくれるのではないかと思い、病院に相談してみると

「主治医からお父様にあなたは認知症なので車の運転は控えた方がいいと言ってお父様がその時分かりましたと言っても次の日には忘れていると思います」

と言う事だった。

僕らは空を見上げた。

つづく
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