Q
『鼻茸』とはどんな病気?
A
『鼻茸』とは慢性的副鼻腔炎(一般的にいう蓄膿症)に付随する一つの病状で、別名鼻ポリープとも呼ばれています。鼻かぜやアレルギー性鼻炎にかかり、膿のような黄色の鼻水がでて、鼻づまりが長期間治りきらない状態を急性副鼻腔炎というのですが、この状態からさらに、副鼻腔が繰り返し炎症を起こしてなかなか治らないものを慢性副鼻腔炎と呼びます。その時に鼻の中を診察すると、白い水ぶくれのようなこぶが見えます。これが『鼻茸』であり、鼻の中の粘膜がきのこ状に水ぶくれになったものです。
Q
どういう症状がみられたら、『鼻茸』と疑えばよいのですか?
A
まず、左右に交代性の鼻づまりが起こります。次第に両方とも鼻づまりを起こし、膿性の鼻汁が長期に渡って出続けます。かぜと異なるのは、この長期という点です。また嗅覚(におい)が鈍感になってしまうのも『鼻茸』の特徴です。
『鼻茸』がひどくなると鼻の穴から顔を出したり、鼻が変形したりしてしまいます。
ただの鼻づまりが後々鼻を変形させてしまうのですから、鼻炎だからといって軽視は禁物です。
また『鼻茸』により頭痛が起こることがあります。ときどき頑固な頭痛のために脳神経外科や内科を受診し、原因が風邪なのか、脳の異常なのかわからなく、検査を進めていくうちに実は『鼻茸』が原因だったというケースがあります。
Q
必要な検査にはどのようなものがありますか?
A
通常は耳鼻咽喉科を受診していただいて、鼻の入り口から鼻腔内を診察します。視診にて多くの場合、容易に判断がつきます。またその際、頗面(副鼻腔)単純X線撮影をおこない、副鼻腔炎や『鼻茸』の重症度を診断します。これは治療の効果を判定するのに不可欠な検査で、非常に重要です。また、病気が進行している可能性がある方や手術が必要と思われる方は副鼻腔CT撮影を行います。これは『鼻茸』と症状が似ている上顎がんを見分けるにも大切な検査です。
Q
『鼻茸』はどのように発症するのですか?
A
風邪や鼻炎に長期間かかったり、アレルギー性鼻炎をほうっておいたりしたあと発症する事が多いようです。ただし、全ての方が発症するわけでなく、これに、体質や環境要因が加わって悪化することが一般的です。特に、アレルギー体質の方は副鼻腔炎を起こしやすいといわれています。また、虫歯など歯の病気によって発症する事もあります。
Q
『鼻茸』の具体的な治療法について教えて下さい。
A
軽症のものはある程度薬剤と通院による局所療法、ネブライザ—療法で制御できますが、基本的にはその部位を取り除く、摘出術をおこないます。しかし最近になって慢性副鼻腔炎や『鼻茸』に対して、マクロライド系という抗生物質を長期間服用することで改善することが実証されました。しかしこの方法は重度の症状がある場合あまり効果がみられないので、そうなると、やはり手術ということになってしまいます。
手術は鼻の入口より『鼻茸』を根こそぎ取り除き、副鼻腔を開放し、空気の通り道を作ります。近年、技術が発達し、多くの施設で内視鏡を使用した手術が主流となりつつあります。さらに、当院では鼻腔内視鏡装置に加えてマイクロデブリッダーという『鼻茸』を削り取る器械を導入し、従来の半分の手術時間でより確実に除去ができるようになりました。
これにより、軽症な方ならば、日帰りで手術を行うことが可能になりました。
Q
一度切除した『鼻茸』が再発することはありますか?
A
前述の通り、この病気は慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎と深い関係のあるものです。そのため、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が治りきらない限り『鼻茸』もまた再発する可能性があります。『鼻茸』の治療と平行して慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の治療を行っていくことが再発の防止といえます。
Q
『鼻茸』になる前に私達自身でできる予防法があれば教えて下さい。
A
この病気は自分で簡単に治療できる病気ではありません。というのも『鼻茸』は自分では見えない部分で発生するからです。ですから、まず一般的に心掛けていただきたいことは、鼻かぜやアレルギー性鼻炎(花粉症など)を軽視しないこと。長く症状が続いた場合は早めに耳鼻咽喉科に行き、そのつど、適切な治療を受けることです。鼻の症状が続いたり繰り返すことで『鼻茸』のできる確率も多くなっていきますので、鼻炎だからといって油断していると後でややこしい病気を引き起こす原因になりかねません。日頃から充分注意をはらっていただきたい病気です。
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