そういう本ではありませんでした。
いや、ひょっとしたらそういう本なのかもしれませんが、まだ全然内容をしっかりと把握できていないので、恥ずかしながら断言が出来ないということです。
佐藤さんの本を読んでいつも思うのは、知的レベルがとにかく高いなあという事です。知識があるとかそういうことではなく(勿論知識も莫大にあるのだとは思います)、物の見方といいますか、知性のあり方の意識がとても高いという感覚です。
このようなときに自分を省みると、いかに短絡的で目の前しか見ていないか、また、知性を構成するための良質な部材が整っていないかということを痛感します。
佐藤さんの本はどれも難しいです。
特にマルクス関連の話がよく出てくるのですが、マルクスについて「高校の世界史で出てきたなあ」程度の認識しか持っていない自分にはその基本的な主張の構造が把握できないため、それを前提とした理論展開が全く分からないのです。
数学の極限の概念が分からないのに微分・積分が分からないのと同じような感じとでも言えばいいのでしょうか。
でもこの本を読むと、これまでの色々な本で言いたかったことが少しだけ分かったような気になった気がしました(何だか良く分からない言い回しですが・・・)。というのも構造的に分かりやすい構成になっているからです。順を追って主張と論拠を展開していく構成が本書では徹底されていて、また、「今はこのことを書きますよ」「次はこのテーマですよ」とその都度親切に教えてくれています。
それとも、 「この一冊で聖書が分かる」 を読んだことで、キリスト教の基本的なものの見方をなんとなく把握が出来たから、佐藤さんの物の見方が少し分かるようになったのかもしれません。佐藤さんはキリスト教的な物の見方をたとえ話としてよく挿入していますので。
総論として、「官僚階級論」というよりも、「官僚階級論という論を考える前の前提としてこういう社会の捉え方を考えていきますよ」という内容、といったところでしょうか。
本当のところはしっかり読み込まな無いと分からないなあ、という感じです。
それにしても久し振りに知的好奇心を大いに刺激された本でした。
佐藤さんは凄いです。
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