募金140億円(!!) をかけて建設された市立吹田サッカースタジアム。
サッカー”専用”であるこのスタジアムは、ピッチから距離の近さ、観客席の角度、屋根など、観客がサッカーを最大限に楽しむことができるという設計理念のもと建設されているそうです。
この本はガンバ大阪の代表取締役社長を務め、執筆当時は「スタジアム建設募金団体代表理事」であった金森喜久男さんが書かれています。
サッカー好きな知人が手放しで「凄い、凄い」と絶賛するガンバ大阪の新スタジアムや、それが寄付金で作られたものというエピソードにちょっと興味があり、書店で衝動買いしてしまいました。
どんな本だった?
本の半分以上を 「スポーツとは何か」「プロスポーツはどうあるべきか」「どのようにして顧客を創造するか」 という、どちらかというと理念的な説明に使っていて、とても真面目な本だという印象を受けました。
そしてそれらを実現するための舞台として建設したのが新スタジアムである、という筋立てで語られています。
また、サッカー、スポーツというものが歴史の中でどのように発展してきたのか、現代でどのような役割を果たすことが出来るのかを整理・考察しています。
このあたりはとても勉強になる内容で、普段何気なく使用している「スポーツ」「プロとアマチュア」「企業クラブ」などの言葉についても、定義・成り立ちの経緯・特性の違いなどを自分自身あまり意識しないまま使っていたんだなということを気付かされました。
例えば、スポーツという言葉一つとっても実は社会では色々な意味で使われていて、単純な運動であるとか、競技であるとか、リフレッシュする手段であるとか、本当に漠然としたものなんだなと。
「スポーツって何ですか?」と聞かれたら、自分は何と答えるだろう?と考えたとき、「体を動かすこと」という言葉しか浮かんできませんでした。
筆者は本書の中で、幾つかの意味で「スポーツ」という言葉を使いますが、その都度「ルールに基いて勝つことを目的とした競技」などの定義付けをはっきり宣言して論じています。
自分自身も これからは「スポーツ」という言葉を使う時には、その裏に隠れている概念的なものをはっきりと意識しなければいけないのだなということを感じました。
読むことで得られるもの
スポーツに対する認識が新たになり、よりスポーツを楽しむことができるようになると思います。
サッカー専用スタジアムなんて必要なのかなあ?凄く贅沢な話だよなあ・・・と漠然とした疑問を持っていたんですが、この本を読むことで、「あればいいなあ」というものではなく、「なければならない」ものなんだという話を理解することができました。
例えば私は劇団四季のミュージカルが好きですが、公共施設の一般ホールではなくて、やはり劇団四季の専用劇場で観た方が断然面白いと普通に思います。
もし誰かに「専用劇場なんてなくていいじゃん」と言われたならば、「劇団四季のミュージカルを観客が最大限に楽しむために特化して作られた場であり、一般的なホールとは根本的に違う」ということを全力で語り始めるでしょう。
これと同じことが実はサッカーにも言えるってことなんですよね。
確かに、何度かJリーグの試合を観に行ったことがありますが、陸上競技場のトラック越しに観る試合は、正直選手が遠くて臨場感がどれもイマイチでした・・・。
でも、近い距離で、とても見やすい座席で、大声援が屋根に反響してこだまする環境下で、つまり「サッカー専用劇場」で演じられる試合を観るということは、何だかとても興奮しそうな気がします。
新スタジアム、行ってみたい!という気にさせられます。
どんな人にオススメできる?
スポーツに興味のある人、特にJリーグに興味がある、ファンだという人には必見の書だと思います。
小さな子供を持つ親にもオススメですね。子供は絶対に「スポーツ」というものと関わることになりますから。
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