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2016年02月21日

バカでも資産1億円:「儲け」をつかむ技術 杉村 太蔵


元衆議院議員の杉村太蔵さん
現在はタレントとして活動する傍ら、株式投資や、会社を立ち上げて事業を行ったりと、マルチな活躍を見せています。


小泉元首相が演出した「郵政選挙」で比例区当選することで一気に注目を浴びることになった杉村さんは、その後 「料亭に行きたい」「BMWに乗りたい」 など軽はずみな発言をした国会議員として名前を売りましたが、そのイメージがどうしても強く、「運良く国会議員になっただけのバカな若者」という目で見られることになりました。
(少なくとも私はそう思っていました・・・。すみません)


でも一方で、
・本当にただのバカな人が国会議員になれる(自民党の候補者として選定される)のか?
・テレビで活躍できる人になれるのか?
という疑問もありました。
一体どんな人間なんだろう?
ということで、「杉村太蔵」の人物そのものに興味があり、読んでみました。


どんな本だった?

タイトルは「バカでも資産1億円」、サブタイトルは「「儲け」をつかむ技術」とありますが、中身は資産運用についての本ではありません。
株式投資にも若干触れられてはいますが、それに関しての特別なノウハウは何も書かれていません。「私はこうやって株式投資で利益を出しました」程度の内容です。


メインは、杉村さんのこれまでの人生を振り返ったエッセイです。
杉村さんのテニスで国体優勝(少年男子)を果たした高校時代から始まり、大学中退、フリーター、外資系証券会社の契約社員、国会議員、そしてタレントに至るまでの色々なエピソードが書かれています。
杉村さんの変化に富んだ面白い人生を追体験するような感覚で読むことができる、面白い本です。


その中でも「凄い!」と思ったのは、自民党の立党50年記念党大会で立党宣言を任された時のエピソード。
当時の小泉首相が手直しした原稿を、自民党の党大会(それも立党50年記念!!)で読み上げるという想像を絶する大役を任されたそうです。
全国の党員、国会議員、現役首相や歴代総理など錚々たるメンバーが揃った数はなんと3,000人ほどだそうです。この前で原稿を読み上げる、想像しただけで大変なプレッシャーがかかる大仕事です。 これを暗記して、原稿を見ずに読み上げた。それを「よし、みんなを見返してやろう!」「台本を超えよう。期待されたこと以上のことをしてやろう!」という気持ちで実行したというのです。
想像しただけでもすごいプレッシャーです。
原稿を読むだけでもトチってしまいそうなもの。それを暗唱してやってしまうのですから。
やはり只者ではないなあ、としみじみ思いました。


読むことで得られるもの

タイトルは「バカでも・・・」とありますが、杉村さんは「ただのバカ」では無いことが分かりました。


というのも、この本から伝わってくるのは、 ”その場その場、与えられたことに真摯に全力で取り組む”という一所懸命な姿勢 なんですよね。
決して「料亭に行きたい」と浮ついたことしか考えていないような、テレビで見えているような人物像ではありません。
フリーターの清掃時代、証券会社時代、国会議員時代、周囲の人の言うことに耳を傾けながら、自分なりの成長戦術を持って一途に頑張る。そんな杉村さんの姿勢が浮かんできます。


そして印象的だったのは 「実行力」 です。


チャンスだ!と思ったことには、とにかく飛び込んで見る姿勢。例えば、
・清掃の仕事を紹介されたら、喜んで引き受ける。
・証券会社の入社試験を受けなさいと提案されて受ける。
・自民党の候補者公募のホームページを見たら、締切日当日だったが即日論文を書いて応募する。
・自民党本部から「今から来られますか?」と電話がかかってきたら、「5分で行きます!」と返す。
これはなかなか出来ないことだと思います。
杉村さんはこの本の中で国会議員時代の発言「『棚からぼたもち』はぼくのためにあるような言葉」を引用し、次に 「ぼたもちが落ちてきたとき、ぼくは棚の下にいた、ということです」と書いています。
とにかくチャンレンジしてみようという気持ちで実行してきたことが、今の杉村さんを形づくったということが、とても印象に残りました。


どんな人にオススメできる?



杉村太蔵さんに興味がある人。
または、杉村太蔵さんを「国会議員にたまたまなれて、今はたまたまテレビで仕事している運の良いだけの人間」と思っている人。
新鮮な驚きがきっと得られます。


一所懸命に努力する。
何でも軽い気持ちで取り組んでみる。


この2つの言われてみれば当たり前の言葉を、ちょっと変化球の味付けで楽しめるこの本は、おすすめです。
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霧島もとみ
他人との距離感をいつも遠く感じながら生きてきました。高校の体育祭のフィナーレでは、肩を抱き合って大はしゃぎする光景に「何でこんなに盛り上がれるんだろう・・・?」と全く共感できませんでした。共感できない自分が理解できず、いつも悩んでいます。そんな私でも面白いと思うことはこの世界に一杯あります。それが私の生きる糧でした。面白いことが増えていけば、よりたくさんの人が楽しく生きられるはず。そんな世界を夢見ています。
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