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2016年04月03日

サッカービジネスの基礎知識—「Jリーグ」の経営戦略とマネジメント 広瀬 一郎


「スポーツ事業マネジメントの基礎知識」 が思いのほか面白く、サッカービジネス関係の本をAmazonで探したところこの本を見付けました。

著者は電通出身でワールドカップ日本招致にも携わったなどサッカーに深いかかわりがある人との事。

「そういえばJリーグというものは一体どのような経緯で、何を目的に創設されたんだろうか?」という素朴な疑問を感じたことから、購入して読んでみました。

と懐かしい気持ちを思い出しながらページを捲りました。

どんな本だった?


”サッカービジネスの基礎知識”というタイトルのとおり、現在までの日本サッカー界についての経緯をまとめつつ、世界のサッカーの中での日本サッカーの位置づけ、そもそもの世界サッカーであるFIFAから始まるサッカー界の構造や、選手・クラブを取り巻く経営的なトピックまで網羅された、かなり内容の濃い本でした。

Jリーグの構想から創設に至るまでのプロセスは読み物としても単純に面白く、著者の分析力・構成力・表現力に舌を巻きながら、楽しく読むことが出来ました。Jリーグが立ち上げられた経緯、その手法がスポーツ界の中でも独特なものであったこと、サッカースタジアムとサッカークラブの関係など、一つ一つのトピックに血が通っているような生々しさがあり、強い臨場感がありました。

私自身、なんちゃってサッカーファンです。
Jリーグが出来た頃ににわかサッカーファンとなり、カズのセリエAでの活躍で世界のサッカーを知り、ワールドカップやJリーグの試合を一時期食い入るように見ていました。
「キャプテン翼」や「シュート」、「俺たちのフィールド」などのサッカー漫画に心を熱くしたこともあります。
でも、書中で紹介されている”ボスマン判決”のことは聞いたことがありませんでしたし、”マードック化現象”という言葉も知りませんでした。
ですが著者の広瀬さんは、これらの事項は「サッカービジネスの基礎知識である」と明言します。
自分はサッカーというものを知ったつもりになっていたけれど、その実は全然知らなかったんだなということを痛感させられました。そしてサッカーの奥深さ・面白さの一端を新たに知りました。

例えば、この書中で元日本代表監督の岡田武史さんの言葉が紹介されていました。

「(前略)最後に残ったのが、クラブ経営者のプロ化だ。これにはまだ時間がかかるだろうが、次の10年でこの問題を解決しないことには、Jは本物のプロリーグにはなり得ない」


この言葉を聞いてはっとしました。
岡田さんは現在、愛媛の FC今治 というチームのオーナーとなり、Jリーグでの優勝争いに向けてチームの経営に取り組んでいます。
最初にこのニュースを聞いた時には「岡田さんも随分と酔狂なことを始めたものだなあ」と思っていました。
しかし、この本に引用されていた言葉からは、 酔狂でも何でもなく、真剣にサッカー界のことを考えた「自分自身がJのクラブ経営者のプロになる」という行動なんだなということが感じられました。

この本を読んだ影響として、今後の岡田さんとFC今治の動向をしっかり注目していきたいと思いました。

読むことで得られるもの


サッカーというスポーツを、競技的な側面ではない「ビジネスとしてのサッカー」という別の側面をこの本で見ることができます。
ファンとしてはただ「面白い試合」を見るだけでも十分かもしれませんが、このサッカーという文化、Jリーグというプロリーグが今後日本で続いていくかどうかということを考えるためには、ビジネスとしての側面からもサッカーを考えてみる必要があるのだなと感じました。

ひょっとすると、自分の地元のJリーグチームは十年程度先には無くなってしまうのかもしれないのでは?」という危機感を感じているファンの人には、必読の書ですね。
なぜクラブ経営が苦しいのだろうか、なぜファンが増えないのだろうかというもやもやした疑念のようなものが、この本を読むことで少し形を持った具体性のある問題として捉えることが出来るかもしれません。

少なくとも最初の一歩を踏み出すきっかけにはなるはずです。

どんな人にオススメできる?


サッカーに関わりがある、関心が有る人。
「将来地元のJリーグチームは潰れてしまうのではないか」という危機感を持っているファンの人。

固い話も多く、気軽にさらっと読める本ではありませんが、スポーツが好き・スポーツに興味があるという人にはこんな本は必読かもしれないなと思います。
教養としても知っておいて損はないことが、ぎっしりと詰め込まれていますから。
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霧島もとみ
他人との距離感をいつも遠く感じながら生きてきました。高校の体育祭のフィナーレでは、肩を抱き合って大はしゃぎする光景に「何でこんなに盛り上がれるんだろう・・・?」と全く共感できませんでした。共感できない自分が理解できず、いつも悩んでいます。そんな私でも面白いと思うことはこの世界に一杯あります。それが私の生きる糧でした。面白いことが増えていけば、よりたくさんの人が楽しく生きられるはず。そんな世界を夢見ています。
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