強い力を持つタイトルに心を惹かれて購入してしまったのは、近頃、自分の中で表現することが難しい悩みや葛藤といった類の感情が強く表れるようになっていたことと無縁ではなかったと思います。
そしてこの本の内容は、筆者のメッセージは、そんな行き詰まった状態だった私を強烈に啓蒙するものでした。
「そういうことか!?」
閃きのような感覚を何度もこの本の中で感じました。
今年これまでに読んだたくさんの本の中で、最も強く揺さぶられた一冊、それがこの 「国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動」 です。
どんな本だった?
曲がりなりにもブログという形で文章を書いていると、書いたものを読み返した時に、 「力のある生々しい文章」だと自分でも感じたり、逆に 「妙に薄っぺらい響いてこない文章」だと感じたりする経験をします。
もちろん、 「力のある生々しい文章」が書きたい といつも考えています。でもこれがなかなか書けないんです。
思い返せば「生々しい文章」を書けたと感じる時は、強く印象に残る体験や、考え尽くした思考の塊があった時でした。
この本は間違いなく「力のある生々しい文章」です。
自衛隊在職中の海上警備行動発令時のエピソードでは、まるでその場にいるかのような臨場感をもって書かれていて、極限の状態の中で隊員たちが任務に向き合う様子がありありと浮かび上がってきました。
フィリピンのミンダナオ島でのトレーニングパートナーとの会話では、
それでいて、読者の立場からはしっかりと考えさせられる構成・内容になっています。
「国のために死ねるか」というタイトルにあるとおり、国とは何か、 自分は何のために生きるのか、何を大切にするのかということを、著者自身の迷いを疑似体験することで「自分自身に当てはめると、どうだろう」ということをいつしか考えていました。
繰り返しになりますが、強く、読者を揺さぶる本だと思いました。
読むことで得られたもの
自衛隊の様子について、例えば「海軍と陸軍の違い、文化」のエピソードもなかなか面白いと思いました。
しかし、やはりここで触れておきたいのは、「今行おうとすることの目的は何か」「そのためには何を行うべきか」「無駄なものは何か」という徹底した目的意識を持つべきだという考え方。
そして、目の前の目的ばかりを考えるのではなく、国というものー自分の存在の根本となっている今の環境や歴史に思いを馳せ、その主体性とは何か、自分が生きている環境はどうやって過去の先人たちが築いてきたのかをしっかりと知り、理解しておく必然性があるのだという考え方。
これらの事をしっかりと考えておかなければならないのではないか?
そう考えさせられたことが、最も大きな「読むことで得られたもの」だと、今は感じます。
こんな時にまた読みたい
日常に忙殺される中で、自分自身がどこへ向かっているのか、何をやっているのか分からなくなった時。
国際的な話題や問題を考える時。
支えきれないような苛立ちを覚えた時。
そんな時に読み返して、生きていく姿勢を自分自身で問いかけてみたいと思います。
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