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2017年01月05日

「雑談は人を楽しませるためにある」と気づかせてくれた本。 雑談力 ストーリーで人を楽しませる 百田尚樹

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雑談

試しにAmazonで「雑談力」と入力してみたところ、検索結果は259件でした。ちなみに「会話術」では975件、まあ似たようなものですから、合わせ技で約1,000件といったところでしょうか。
とりあえず多いということでお願いします。

そのような中でこの本が目に止まったのは「雑談力」という見慣れたキーワードではなく、ずばり筆者の名前、 「百田尚樹」 です。

百田さん、本の面白さは勿論ですが、 テレビのトーク番組で見たときの話し方が実に面白いのです。
あの面白さはどのようにして作り出されているのだろう?という興味が自然と湧いてきて、ページをペラペラと捲ったあと、すぐに購入してしまいました。

どんな本だった?


「雑談力」というタイトルから連想されるようなノウハウ本ではありませんでした。
しかし百田氏の会話術の根本的な考えは明確に示されています。これが本の5%割程のボリュームで、残りの95%程はその説明として書かれている「雑談ネタ」です。

だからさらさらっと読めてしまいます。さらさらっと読むだけでも「雑談ネタ」の構成が素晴らしいので楽しく読めるのですが、それではこの本の価値には到達できません。

文章中に書かれている「百田流エッセンス」を拾い集め、解釈し、理解し、実践していく。
これこそがこの本の価値です。
書中にある
話が一番上手くなる方法は、経験を積むこと

の小見出しのとおり(その裏付けとなる氏の理論は勿論書かれています)、本を読んだだけではダメで、会話・雑談が生物である以上、経験を積んで実践のなかで技術を身に付けていくしか無いというのが筆者の考えです。

これは良く分かります。
文章やブログならともかく、人間を相手に行う「雑談」では、どうしてもその瞬間の構成力というか、リアルタイムで引き出すことができる技術を自分の中に持っていないと力は発揮できません。
経験や、反復練習で「技術」として身につける類のものです。

だから筆者は、経験を積んで身につけることが一番だということを説明したうえで、それを行うために必要だと考えたエッセンスを紹介し、また、それを理解しやすくするための雑談ネタを書いています。決してページ数を稼ぐためにネタを投入しているのではありません。

そういう前提で読むことでこの本はぐっと味を増してきます。

読むことで得られたもの


色々とありますが、私が一番強い印象を受けたのは、
でも、一番大切なことは、テクニックではありません。それは「人を楽しませたい」という気持ちです。この気持ちがなければ、面白い話なんてできません。いや、それ以前に、面白い話をすることの動機そのものが生まれないでしょう。

の箇所です。

当たり前のような話ですが、しかし、私の頭の中からこのことは綺麗サッパリ抜け落ちていました。
ここを読んだ時には、ズドンと胸を撃ち抜かれたような衝撃を覚えました。

私は「雑談力」という本を買うくらいですから、決して話が上手ではありません。
仕事上やプライベートでの話は「伝えなければならないこと」は論理立てて説明出来るのですが(自分ではそのつもりですが)、それ以外のどうでもいい話や、単純に面白い話などは、本当に苦手です。
酒の席でもそうですね。
自分では話を展開して盛り上げる事ができないので、他の人に話をしてもらい、質問やツッコミを入れることでその話を盛り上げるという役に徹することにしています。

振り返れば、どうしても自分が話をしようとする時には、
「自分の話を面白いと思ってもらいたい」
「自分を面白い奴だと思ってもらいたい」
という意識があったような気がします。

これでは視点が常に自分を向いていますから、自然と話の構成も自分にしか分からない(話を知っている人にしか分からない)ものになり、他の人には面白くないものになってしまいます。

しかし、あくまで雑談、会話をする目的が「相手を楽しませる」「相手に楽しんでもらいたい」という点にあれば、今度はその視点は相手を向くことになります。
そうなれば、自然と「どうやったら話を面白く理解してもらえるか」ということを考えるようになり、話を面白くする方向に動いていくようになるのではないか?
そんな気付きを得る事ができました。

読みやすい本ですから、何回も読み直しつつ、誰かと話をするときには「人を楽しませたい」という気持ちを常に持つようにこれからは意識したいと思います。

そんな気付きをくれた良本でした。



posted by 霧島もとみ at 2017年01月05日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本:教養
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霧島もとみ
他人との距離感をいつも遠く感じながら生きてきました。高校の体育祭のフィナーレでは、肩を抱き合って大はしゃぎする光景に「何でこんなに盛り上がれるんだろう・・・?」と全く共感できませんでした。共感できない自分が理解できず、いつも悩んでいます。そんな私でも面白いと思うことはこの世界に一杯あります。それが私の生きる糧でした。面白いことが増えていけば、よりたくさんの人が楽しく生きられるはず。そんな世界を夢見ています。
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