DNAがハシゴとして描かれる場合に,模式図でいうハシゴの支柱になっている部分はデオキシリボヌクレオチドの糖とリン酸が交互に 共有結合して出来ている.この結合のことを特に リン酸ジエステル結合(3',5'-phosphodiester bond)という.
模式図でいうハシゴの踏桟(段)になっている部分は2つの 核酸塩基が向き合って引かれ合っている状態で存在する.この力のことを特に 水素結合という.ちなみに,DNAの骨格を作っている共有結合の方が,水素結合よりもはるかに結びつきが強い.そのため,一般的にDNA二本鎖をほどいて一本鎖にするよりも,DNAを切断する方が大きなエネルギーが必要である. 熱や アルカリを加えると二本鎖DNAは解けて一本鎖となる.この過程を 変性と呼ぶ.逆に一本鎖DNAであったものが,二本鎖DNAへ戻ることを 再生と呼ぶ.
二本鎖DNAは模式図で見ると左右対称なハシゴのように見えるが,実際には向きが存在する.これはデオキシリボヌクレオチドを構成する糖( デオキシリボース)が非対称な形をしていることが一因である.デオキシリボースを構成する5つの 炭素のうち5番目と3番目がDNAの鎖状構造を作る共有結合に関与している.DNAを記述する際に5番目の炭素が先端側または上流側(左側)に来るように書くのが習慣的に行われており, 5'末端(5ダッシュ末端,英語では5 プライム エンド)と呼ばれる.末尾側または下流側(右側)は 3'末端(3ダッシュ末端,英語では3 プライム エンド)と呼ばれる.このようにDNAには方向性が存在している.
方向性のあるDNAではあるが,二本鎖DNAとなった時には互いに反対方向の一本鎖DNAが核酸塩基を介して水素結合した構造となっている.すなわち,二本鎖DNAのうち片方を プラス鎖,もう一方を マイナス鎖と呼ぶ場合に,プラス鎖が5'末端から3’末端の方向に記述され,マイナス鎖は3'末端から5’末端の方向に記述される.このようなDNAの二本鎖構造は 反平行(逆平行)と呼ばれ,両鎖とも順行性である場合と区別される.
クラウティ
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image