家族は五人ですが、今回は一人抜いて四人で、ツアーに参加しての日帰り旅行です。
おおまかな流れは富士山五合目→桔梗屋(信玄餅)工場見学→リニア見学センターで、移動は全てバスです。
父親の勤める会社の企画で、その家族も是非という話で私に回ってきたのですが、引きこもりの私はやっぱり乗り気ではありませんでした。
まあ、最近では坐骨神経痛も大分良くなりましたし、毎週末友達が遊びに来てくれるお陰で精神も安定しています。
案の定、早起きのために夜は早くに就寝したのですが、まったく寝付けなくて頭の中で不穏なことや余計なことまで考えてしまい、翌朝は寝不足&落ち込み状態だったのですが、とりあえず歩き出せば気分も戻ると知っていましたので、ぐだぐだ言わずに付いていきました。
いい大人のくせに情けないのですが、もし今回の旅行で妹がついて来ずに両親と三人での旅行となっていたら、私は参加しなかったでしょう。年の近い妹が傍にいてくれたおかげで、私は安心して外に出て、楽しむことができたのです。
私が精神的に参り、薬の世話になっていると知ってから毎週末遊びにきてくれる友人といい、家族全員が離れずに近くにいることといい、社会の波に怖気づいている私にとっては非常に勿体ない幸福です。
ま、こんなこと絶対に家族には言いませんけどね、へっへ。
さてさて、最初の目的地は富士山五合目です。今回のツアーはかなりの大所帯となり、大型バス三台ともに満車の状態で出発です。
私たちの席は偶然にも3号車の一番後ろの席でした。5つの席を4人で一列占領できました。なぜか私は真ん中の席に座っています(笑)。
真ん中の席は左右の窓から景色を楽しむのは難しいのですが、眼前には通路がまっすぐ伸びていて(当然ですが)、ガイドさんとバスの正面の景色が良く見えます。
別にガイドさんが面白い挙動をしたとかそういうことを期待したわけではありませんが、普段声しか聞こえないガイドさんの姿を見て声を聞けたのはほんの少し新鮮でした。
それよりも、フロントガラスに広がるバスの視線(≒運転手の視点)で景色を見られたのはかなり新鮮でした。
といっても最後尾の席ですから、あんまり良くは見えません。それどころか遠近感が狂います。バスは大型バスですから、細い道なんかに入って大きくハンドルを切ると、壁がものすっごく近く見えるんです。小回りが利かず、長い車体で、まるで曲芸のように壁際ぎりぎりを擦るように曲がるので、すっごいハラハラします(笑)。
窓際の妹の話だと、あながち錯覚でもないようです。窓から見えるすぐ下が側溝だっていうんだから、やっぱり大型車の運転技術というのは普通車よりもよっぽど難しいんだろうと思います。
ツアー中、一言も発せずに黙々と運転し続ける姿など、ベテランというか職人のようなオーラを感じますよね。格好いいなぁ。
そんなこんなで富士山五合目に到着です。
当日は生憎曇りでした。前日は雨が降っていたのでもっと酷いコンディションを覚悟していたのですが、天気は持ち直し雨は降りませんでした。なので全体としては非常にラッキーだったのですが、まだ午前中ですから雲は取り切れておらず、五合目はまるで濃霧に覆われたかのような霧状態でした。
ひっきりなしに細かな水の粒が顔に降りかかり、10m先は真っ白で何にも見えません。
それから驚いたのが、偶然なのか、これが日常の姿なのか、富士山五合目には中国人が非常に多かったんです。
世界遺産に登録されて外国人客が多いことは予想できますが、肌の色の違うアメリカ人やヨーロッパ人と見受けられる人はまったくおらず、あたりには日本語ではなく中国語が飛び交っておりました。たぶん、日本人観光客よりも多いと思います。
で、ここの売店の売り子さんたちもぺらぺらと中国語を話しているので、もうわけがわかりません(笑)。
店員が中国語を話すということで、ここはアジア系観光客に大人気なんでしょう。中国人=怒鳴るように喋る、強引、ルールマナー無視、などと嫌なイメージが強いですし、私自身あんまり良いイメージは持っていないのですが、ここでの観光客たちは穏やかでのんびりじっくりと富士山を満喫しているようでした。
そんな雰囲気なので安心はしましたが、やっぱりすごい人いきれなので、たまらず外に退散しました。
なんでしょうかね、「も、もう無理だ!」と思った時には足が勝手に動いて一目散に出口へ向かっておりました(汗)。
ここには乗馬体験なんかもあって、馬が繋がれていましたよ。大きくてまつ毛の長いくりくりの黒目、すごく優しそうな雰囲気を醸し出しながら、鎖をかじかじしてました(笑)。
喫煙所で一服していると、灰皿に捨てられた中国製の煙草パッケージを妹が発見。それを見た中国人通訳者と見える男性が、中国の経済事情を教えてくれる一面もありました。
曰く、この煙草はタール12ミリで中国ではごく一般的な量であること。しかし、値段は高く、日本円にして一箱およそ1200円(私の愛用しているLARKの9ミリは420円です)。たばこ税がすごく高いのかと質問してみると、中国では税込み価格しか表示しないのでそのうちのどれくらいが税金なのかわからないのだそう。
フランスが一番高くて、中国は二番目だとか?
ほえ〜。
濃霧の中、次は昼食のためにいったんホテルへ向かいます。山を下り始めた頃に日が照ってきたので、富士山に来るのは一足早かった感じです。霧が晴れて、山肌に雲がかかっている様子を上から眺める機会が一瞬ありました。まるで雲海のようでした。
一方向から風が吹き続けるので、樹々も右向け右!
天空の島! ちょっとわかりにくい……。
昼食はバイキング形式でした。長蛇の列(笑)。じっくり選んでいる余裕はない、しかし取り逃がしたら二度と戻ってこられない緊張感を感じました!
まぁ、実際そんなことないですけどね(笑)。
山梨といったら「ほうとう」なイメージですが、これに似た「みみ」と呼ばれる郷土料理がおいしかったです。ほうとうの麺をさらにでっかくして、味噌で煮込んでからめた感じ。もちもちしてました。
さて、次は桔梗屋の工場見学ですが、皆さんご存知山梨県の銘菓「信玄餅」の生産工場です。
ガイドさんの話によると、最近は信玄餅だけでなく、様々な信玄シリーズが生み出されているとか。そういえば、去年あたり清里に旅行に行ったときは、信玄アイス(黒蜜きなこソフトクリーム)が大盛況でした。
妹は信玄プリンがうまいと騒いでいました。
工場見学といっても、生産ラインを一望できる通路を少し通っただけで説明も何もなく終わってしまいました。
まあ、信玄餅の生産過程は手作業が多いので、テレビでご覧になった方も多いのではないでしょうか。私も見たことがありました。
そうそう、工場の中にはお菓子細工の展示コーナーのようなものがあったのですが、これがすごかったです。
結構大きな展示ケースの中に、桔梗を始めとする花や日本庭園を模した模型が展示されているのですが、この葉脈の一本一本、木の節々などの細工が実に見事で丁寧で、お菓子だとは思えないくらいに緻密でした。
それからお土産や、工場見学ならではのアウトレット半額品などを買い漁り(残念ながら信玄餅の詰め放題は大人気で、工場に着いたころにはとっくに売れきれていました)、リニア見学センターに向けて出発です。
ここで、嬉しいサプライズがありました。
桔梗屋さんの方で、うちのツアー客に向けて、差し入れをもらったのです。
賞味期限が明日までのアウトレットなのですが、我々全員に「信玄プリン」を分けてくれたのです。
お土産にも買ってあったのですが、思いがけず味見をする機会に恵まれました。
ガイドさんのお勧め、そして妹も絶賛する信玄プリン、まさかいますぐ堪能できるとは思っていませんでした。
そして食べてみて、私も虜になりましたさ(笑)。
私にとって非常によかったのは、食べやすさです。
信玄餅はどうしたって、食べるときに手間と注意が必要になりますよね。おいしいにはおいしいですけど、ある種の覚悟がないと、なかなか手をつけられません。
ですが、信玄プリンはすごく食べやすいです。
包みをほどいて、蓋をぱかっとあければ、四角いケースにプリンが詰まっています。付属の黒蜜をかけて、プラモデルのようなスプーンをぷちっと切り取って食べます。
きなこがプリンに練り込んであるので、手も汚れないし、外に零れることもないし、バスの中で食べるのにも全然困りませんでした。
そして味も非常においしかったです。
プリンというと卵の濃厚な甘みを想像しますが、どちらかというととても甘い豆腐に黒蜜をかけて食べるイメージです。
色も白っぽく、とても濃厚で、黒蜜が非常によく合いました。
「桔梗屋の主力商品はこれから信玄餅ではなく、信玄プリンになるんじゃないか」と本気で思えるほど美味だったのですが、保冷材など日持ちの観点から、遠方からお土産に持ち帰るにはちょっと厳しいかな、と思いました。
すっごくおいしいのでなんとかならんかなぁ、と他人ながらに思ってしまいます。
いやこれ、おいしい。まじおいしい。
さて、最後はリニア見学センターです。
今を時めく日本の最新鋭の乗り物、リニアモーターカーの見学センターで、すぐそばで実際にリニアモーターカーの実験をしている施設です。
時速500?q以上出て、世界最速の乗り物なんて言われていますよね。
見学センターのすぐ横にレールが設置されていて、実際のリニアが走っている様子を観察することができます。リニアが走る様子が見られるのは、実験が優先なのでいついつの何時に来れば見られる、という確実なことは言えないらしいのですが、この日は何度も往復しており、リニアが接近していることを示すアナウンスが入るたびに私たちは窓際にダッシュしました(笑)。
ガイドさんや案内の人が、来たときはまばたきせずに目を凝らしていてね、って何度も言ったにもかかわらず、私たちはその速さを理解していませんでした。
アナウンスがあって、みんな窓際に集まり、窓の外のレールを凝視して今か今かと車両の通過を待っています。
窓の上には車両が現在どの位置にいるかを示すモニターがあります。
二、三分待っていると、急に「ゴゴゴゴゴゴォ」と、物凄い風の音が聞こえてきます。
あ、リニアって結構うるさいんだなぁ、とか思った次の瞬間。
ズァァァ! と何かが駆け抜けていきました。
本当に一瞬です。
……時速500?q、恐るべし。
リニアが駆け抜ける瞬間、我々ツアー客の歓声も2オクターブくらい高かったです。
初めて見ましたが、リニアモーターカーの速さって、実際目で見ないと実感できないと思います。
本当に速い。
目で追っても、もう後ろ姿すら見えません。
(このブログはニコ動かYoutube経由でしか動画を貼れないみたいなので、すみませんがリニアの走ってる動画はなしです……。見学センターのホームページに動画が載っているのですが、これと同じアングルから見学できました)
リニアが走る仕組みも説明してもらえました。
超伝導体という特殊な合金で、磁力の力を利用して走るのですが、超伝導体は絶対零度以下まで冷やさないとただの石ころなのだそうです。
冷やし続けるのってコストかかりそうだなぁ、とか、速さに比例して風の音とかうるさそうだなぁ、とか、あ、でも車輪がない分少しだけうるさくないかなぁ、とか考えてしまいました(笑)。
走行時は完全に浮いた状態で走るのですが、減速、停車時は格納してある車輪を出して止まるみたいです。
すごいなぁ。
そんなこんなでツアーは終了です。
新宿に向けて、(渋滞に捕まったせいで)およそ3時間くらい走り続けました。
我々は移動に関しては全てバス便りなので、楽と言えば楽なのですが、これが結構しんどいです。
移動疲れ、というかなんというか。
日帰りなので余計な荷物はいりませんし、非常に気楽に参加できました。
それになんだかんだ言って楽しかったし、家族や個人で旅行する「まったり感」がないのは仕方ないですが、全体を通して受け身でいられるアトラクション的な楽しみは満喫できました。
おしまい。
◎ 富士山五合目観光協会
◎ 桔梗庵
◎ リニア見学センター
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「前に倣え」な感じで気が付いたら食べ終わってました(笑)。
さらっと盗み見た感じ、やっぱりそれぞれの「家庭の中の文化」を感じますねー。ご飯なのか、カレーなのか、うどんなのか、それは好きずきだとしても、お皿へのおかずの盛り付け方や、「いただきます」を言うのかとか、大きくは違わないけど、ちょっとした小さな違いが新鮮でした。
食べる前に撮ろうとしたのに食べるの先…あるある(笑)