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2015年12月12日

153.Cross ? Channel 〜In Memory of All People〜

CROSS†CHANNEL ~In memory of all people~(通常版)



 おはようございます。あるへです。


 いやぁ、これ面白かったですねぇ。
 本作は、ある日ききょーさんに、「お勧めのギャルゲ教えてください」って無茶振りして返ってきた答えの一つでした。
 私は何の予備知識もなしに言われるがままに購入したので、初めはパッケージイラストを見てハートフルストーリーかなんかだと思ってました(笑)。

 いやいやとんでもねー! ハートフルどころか相当ハートレスですよね、これ。
 本作の原型が世に出てからかなりの時間が経過していますので、心苦しくもネタバレさせてもらいますが、NewGameから始めた第一章の間は、どこかで見たような変哲のない平凡な学校の日常が描かれるわけです。
 独特な文体とは言われているものの、特段気にせずに読める文章、かなり「性」に傾いた主人公の言動には若干辟易しつつも、ゆったりと流れる平穏で暖かい空気を満喫していました。

 そして一章ラストの殺し文句(笑)。

 まさに寝耳に水の心地で、はっと目を醒ましたよ。今まで何気なく読んでいた全てのテキストが瞬く間に頭の中に蘇り、「何かおかしな点」はなかったか、必死に検証している自分がいました。
 この時の衝撃は筆舌に尽くしがたいです。

 そこから始まるミステリアスで狂気という名の現実的なホラー展開は、ぞくぞくしっぱなしでしたね。
 被害者と被疑者がいる「探偵もの」や「事件もの」ではまったくなく、かといってキャラ同士が愛を育む「恋愛もの」とも違う、キャラクター一人ひとりに内在する狂気やアイデンティティ、それ自体がすでに歪な形を持っているがために、どうしようもなく衝突していくヒューマンドラマ。
 しかしヒューマンドラマと言っても一般的に言われる「それぞれの正義や信念」がぶつかり合うような熱いものでもなく、常にどこか薄ら寒い空気や、白々しさを秘めながら展開していくストーリーは、「哲学的」と評されています。
 私としてはそれもどうかと思いますが、つまるところ他に妥当な当てはまるジャンルが思いつかないんですよね。

 怖いもの見たさでぐいぐいと読み進める力があり、「狂気」は「狂気」なりに歪なアイデンティティを持つキャラクターたちの行動には説得力があり、エンディングの後はしばらく呆けたように余韻に浸っていました。
 というかしばらくの間は頭にこびりついて離れなかったです。
 周到に準備されたストーリー構成と、リアリティのある人間描写には、主人公の辟易するような「性癖」でさえ正当化に成功してるように思えました。
 ストーリーそのものの面白さと、人間描写の説得力から、惹き込まれ感情移入している……と思いきや、表層化したキャラクターの別の側面を目の当たりにし背筋が凍ったことも。

 非常に面白かったです。

 それだけに……。
 それだけに、Xbox360版で追加された「アフターストーリー」なる存在に、はらわたが煮えくり返る思いです。
 とても原作者本人が書いたものとは思えない稚拙な出来。個人的には本編に対する冒涜だとすら思っています。

 薄っぺらい文章。崩壊したキャラ言動。「チラリズム」の楽しみを真っ向から破壊する描写。アフターストーリー全編にわたってこの三本の柱が屹立しているので、終始しかめっ面でプレイせざるを得ませんでした。
 いったい何があったのか、「大人の事情」を邪推してしまいます。

 これから初めてクロスチャンネルをプレイしようという方がいましたら、是非楽しんでいただきたい。これから何年が経とうとも、プレイする価値のある素晴らしいストーリーだと思います。
 ただ、本作は「謎が謎を呼ぶ謎解きゲー」ではないので、割と重要そうなところも、ストーリーそのものに絡まなければ意識して秘匿されています。
 プレイ後には様々なもやもやもまた残るでしょうが、それも余韻の一つとしてお楽しみください。

 そしてあるへとの約束。
 決してアフターストーリーにはお手を触れないよう心よりお願い申し上げます。本編とは別物だと割り切ってでさえ、見るに堪えない代物です。
 私がここまで酷評するの、珍しいですよ?(笑)

*アナザーストーリーは大丈夫です。


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この記事へのコメント
私もどのように紹介されたかは覚えてませんが、タイトルはしっかりメモを取り、中古ショップで安く手に入る機会を虎視眈々と狙っていました(笑)。

その時紹介されたタイトル、まだ全て揃ったわけではないのですが、「マブラブ」や「クラナド」といい、教えてもらった作品には例外なく「ストーリーそのものがプレイヤーを引き込む力を持っている」と感じました。
他に気づいた点はこれがききょーさんの好みなのか、はたまたXboxでのアドベンチャー作品が少ないことが理由なのか、ジャンルや設定的に偏りがあることでしたが、まぁ、そいつは置いといて(笑)。

本作に限らず、人に勧めても良いと思える作品には細々とした設定や暗さ明るさ云々以前に、多くの人の心を掴む握力とどんな思想も受け入れる広い懐が備わっていると思います。
私たちは掴んで引きずり込まれた懐の中で、初めて自分に合うか合わないか本当に面白かったかどうかを判断しているんだと思います。

その辺すっとばして単純に自分好みのキャラや設定かどうかで言えば、ループものなんて食べ飽きたし、主人公の言動も果てしなく気に食わないし、まともな人間が一人もいないのもきついです(笑)。



ミキりんのひょうひょうとした受け流しも、彼女の背景を知る前と後では印象がまったく違いますね。そのギャップに感動するとともに本当に恐ろしくなります。

ミキりんやきりちゃんが好きですが、よーこちゃんやみみみ先輩はあんまり興味ありません。ロr

個人的に一番のツボは、ラバだったりします(笑)。
戦場の真っただ中にいて、平時と変わらない超然とした態度、主人公のアンチテーゼだとは思いますが、彼が出てくると癒されてましたねぇ。
それだけにアフターストーリーの彼の扱い(描写? 設定?)は許せません……。
Posted by あるへ at 2015年12月15日 15:28
はい、犯人がやって来ましたよ〜。
メッセでわたしがどう言い回したかは正確に覚えていないのですが、
「合う人には合うけれど、合わない人にはとことん合わない」、
ないし、「プレイする人を選ぶものの、やってみる価値はある」、
といったような感じでお勧めしたかと思います(多分)。
今回は合ったようで良かったです(安堵)。


「人によっては合わない」要因としてさっと思いつくのは、
・主人公がチャラいというか、いい加減すぎるというかな言動連発(実際には別原因なのですが)。
・主人公が重度のセクハラ発言・行為をかっ飛ばしまくる。
・ストーリーがダークすぎる。
・クリアして周を重ねる毎にどんどん寂しくなってくる(ネタバレ防止表現)。

とかでしょうかね〜。
その辺りはひとまず我慢できれば、本作を楽しめるかもですね。


個人的に好きなキャラは「よーこちゃん」でした。
また、「ミキりんです♪」がこれまでに過ごしてきた時間、
乗り越えてきたであろう物理的・精神的障害、
そして毎回、廊下の床掃除をしていた理由など、
色々なことを考えると、途轍もなく切ない気持ちにさせられます。


わたしはかなり昔にPC版をプレイしていたので、
360で追加されたアフターストーリーに期待していたのですが・・・。
これはわたしもガッカリしました(泣)。
Posted by ききょー at 2015年12月13日 22:59
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