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2015年12月20日

155.朧村正

朧村正 劇伴撰集(サントラCD) ヴァニラウェア特製ジャケット仕様付




 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「おぼろむらまさ」PS Vita版のレビューです。

 朧村正の名前を知ったのは、これがPS Vitaで発売するという情報を知った時で、PVを見てその濃ゆい世界観に一目惚れしたのでした。
 発売を今か今かと待ち続けてようやく購入だったのですが、プレイしてしばらくはそれがWii版のリメイクであるとは知りませんでした。

 なんの予備知識もなく本作に飛び込んだのですが、もとがWiiのゲームであるとは微塵も感じさせないほど違和感がありませんでした。

公式サイト

 グラフィック、とても、とても綺麗です。もともとの色使いが鮮やかなんですが、これがPS Vitaの有機ELディスプレイととてもよくマッチしていて、物凄く発色が良いんですよね。
 背景やキャラの一動作、一動作に愛が感じられ、本当に緻密に作られています。
 百姫(身も心も本人状態時)のしゃがみ動作とか最高です(笑)。
 通常イベント時と、温泉の時ではしゃがみ時の瞬き(まばたき)の間隔も違うんですよ。

 イマドキのスタイリッシュで(少々下品ですが)キワッキワな衣装とか、浮世絵リスペクトなタッチでありながら十分に豊満で魅惑的なラインが、「時代物」でありながら「現代の好み」にすごく合っていると思います。
 色鮮やかで画面から溢れるような背景、お城のステージなんか「こんな城があるかい!」と突っ込みたくなるほどに城郭が描かれていますが、それがまったく違和感を感じずに、「ああ、これこそ和風『ファンタジー』だよな」と懐かしさとともに妙に納得してしまうんですよね。
 素晴らしいデフォルメだと思います。
 音量設定がなく、個人的にはうるさいと感じましたが、ロックに三味線などを利かせた独特のBGMも世界観との協調という意味ではまったく文句ありません。
 それからセリフ回しも非常に独特で、難解なようでいて、それでも時代物、江戸らしく、でもちゃんと意味は通じる作りになっています。
 セリフの一言一言が物凄く「渋く」「甘み」があって「コク」があります。たとえばジョークが、その国以外の人にうまく伝わらないのと同じように、この作品を英語にローカライズした時、やっぱりこの「日本語テキスト」の渋みは伝わらないんだろうなぁと憂慮してしまいます。

 かなり傲慢な意見ですが、正直な感想として、
「これなら世界に堂々と発信できる、これこそ日本を舞台にした素晴らしいゲームだ。まだまだ捨てたもんじゃないな」
 と、惚れ惚れしました。
(いつぞやのフィギュアスケート羽生選手の「陰陽師」のように、日本人の日本人による日本人のための「和」ではないところ、日本人ではなくても理解できるスタイリッシュさ、デフォルメの利きが見事なんです。)

 食べ物もただのアイテムではなく、プルプルと瑞々しくて、あるいは本当にほっかほかな感じが伝わってきますし、なによりボタンを押すごとに少しずつ「食べている」あの感じが素晴らしいです。
 冗談抜きで空腹時のプレイは要注意です!

 最後に操作性。
 非常にシンプルで快適でしたが、あるいは戦闘の速度や展開、キャラのモーションに慣れるまで若干振り回されるかもしれません。
 というのも、Wii版をプレイ済みだったり、動画を観たりしていればまったく問題ないはずですが、私は何もない手探りの状態で始めたので、朧村正独自のシステムに慣れるまで手こずりました。
 そしてあろうことか最近になるまで攻略途中のまま放置してたんですよね。ゲーム、特に戦闘のリズムが掴めずに、BGMがハイテンポ、ハイテンションな曲ばかりで「疲れる」と感じたからです。

 先日、ふと思い立ってプレイを再開してみたら、面白いくらいにのめり込んで、ついついプラチナトロフィーを獲ってしまいましたとさ(DLCは未導入)。

 というのも、戦闘はほとんどの機能が□ボタンと左スティックに集約されていて、「攻撃」「受け流し」「ダメージキャンセル」および「ダッシュ攻撃」や「下突き」「斬り上げ」などが使い分けられなかったこと。
 わからずにガチャガチャやってると、不意にダッシュ攻撃が発動して空中に飛び出したり、空中攻撃で繋ぎたいのに連続でダッシュ攻撃が出ちゃって、思うようにコンボが繋がらなかったり。
 それから、攻撃は□ボタンですが、防御も□ボタンなので、このゲームはこういうものなんだと実感ができないと、ボコボコ攻撃を受けてボキボキ刀が折れて、「回避」の存在も忘れていたり。
 他にも、ボスには明確な攻撃動作があるので、自然と「回避に徹するターン」と「攻撃を叩き込むターン」が発生します。雑魚とは違いのけぞってくれないので、がむしゃらに攻撃していると簡単に返り討ちにされてしまったり。
 そして、これらキャラのモーションやクセ、ゲームのリズムに慣れたいのに、敵のいない道中では素振りができないこと。

 これらが重なって、感覚をうまく掴むまでに時間がかかってしまいました。

 本作の戦闘は、かなりハイテンポで展開しますね。□ボタンはほぼ連打、たまに押しっぱなし、左スティックはせわしなく動かす、という感じです。
 私としては大太刀は使いにくく、太刀で目まぐるしく動いて翻弄するのが非常にやりやすかったです。
 敵を空中に打ち上げてからの攻撃三連→ダッシュで切り抜け、即座に振り向いて攻撃三連→ダッシュ切り抜けの3回ループを習得(プレイヤースキル的に)してから、このゲームが本当に楽しくなりました。
 敵を斬ってるだけで気持ちよく、鬼助、百姫ともに「無双」「修羅」「死狂」と全難易度堪能しました(直前で修羅にすれば死狂出ますが、最初から修羅も遊びました)。

 この切り抜けたあとの振り向きが、いくらやってもうまくできずに小ジャンプに化けてしまい嫌になった原因でもあるんですけどね(笑)。
 右に切り抜けたとしたら即座に左にスティックを倒して、敵の体にめり込むように攻撃連打すればうまく繋がります。
 敵の背後に回ったのを確認してから攻撃しようとすると、小ジャンプに化けた上に明後日の方向に素振りするので、だったら化けた小ジャンプで落ち着いて位置を合わせてから攻撃を開始するのも重要なテクニックです。
 太刀なら素早くポチポチと二回、仕込み入力な感じでやれば3ヒットし、その間にスティックを横に入れ□ボタンを押しっぱなしにしておけば切り抜けに繋がります。
 逆に大太刀なら目押しでゆっくり二回、その後スティック入力□押しっぱで切り抜けです。

 いやほんと楽しかったです。
 一発即死の死狂も、なんだかんだで自キャラは死ににくく、また死んでもリトライが新設設計なので、ボスなんかは余計に熱くなって何度も何度も挑戦し、少しずつ動きを覚えていって、撃破するという流れが快感でした。
 手に汗握る、というのがまさにそれで、実際プレイ中は何度も手のひらを拭いましたが、ボタン周りには水滴がついてました(笑)。

 修羅難易度は、無双準拠の死狂とはまた別の難しさがありました。敵の攻撃の強度が変わっていて、受け流しで削られるゲージ量が多かったり、受けられない攻撃が多くなっていたりと、かなりボキボキ折られましたね。

 あれも良い、これも良いでうっとうしいかとは思いますが、ストーリーも良いです!
 通り一辺倒なテンプレではなく、各キャラ3つのエンド計6種のエンディングストーリーの全てが驚かされ、納得させ、感動させてくれます。

 PS Vita、Wii、そしてWiiUでプレイできる「朧村正」。
 素晴らしい作品でした。


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