グァルパティ、あるへです。
ただでさえ中毒性が足らずに世界を遊ばせきる力の不足しがちなファークライシリーズですが、それを二作連続で遊ぶのもどうかと思いましたが、件のHITMANに疲れた後に何も考えずにさっぱりしたかったので、なんとか遊びきれました。
最高に面白いわけではないけど、ちゃんと面白さはある。そんな、言い方は悪いですけどフランチャイズレストランの汎用メニューみたいな安定感、大味加減、とりあえずこれで感も、使いようによっては良い味出せるんだなと。
結構酷いこと言ってますがちゃんと楽しんでるのはこの後の動画を観てもらえればわかると思います(笑)
嫌いじゃないですよ。
でもやっぱり足りない。何かが足りない。ひとつではなくいくつか。
いろいろ考えてみてとりあえず最終的に落ち着いたのは、「真面目すぎる」のではないかと。
この真面目過ぎる、という印象は、思い返してみれば3からずっと継承されているように感じます(2とブラッドドラゴンは未プレイ、でも同じ気はする)。
他のレビューで読んだのですが、ファークライシリーズには人の狂気を浮き彫りにする、というテーマがあるそうで、特に主人公およびそれを操作するプレイヤーに潜む狂気を炙り出そうとする演出が多々あります。そしてそれは敵キャラのメタ発言にもよく出てきますね。
散々引っ掻き回すのがお前の仕事だろ、とかパガンさん言ってませんでしたっけ。3でも似たようなことを言われた気がします。
意図はわかりますが同じテーマを持つバイオショックと比べてしまえば見劣りします。
敵将校暗殺、拠点奪取などミッション目標が機械的で、手順も作業的なのが一因かと。
そういった本作のナンバリングシリーズと比較してみれば、やはり本作は外伝であり、ストーリーの方向性はほんのちょっと違う気がしました。
でもやっぱり味付けはファークライ。残念ながら、これは悪い意味で、です。
原始時代というあまり例を見ない奇抜な世界観。
ファークライシリーズはなかなか良い材料、素材を持ってくるのに、シェフの腕がイマイチで、そのシェフは「変わらない味」に固執しているようです。
(コンビニなどは「変わらない味」を守るために変え続けているというのに)
真面目過ぎる、という話に戻りますが本作では意外とキャラクターが個性的で魅力はあると思います。
シャーマンのティンサイはこの世界にちゃんと生きていて、自然との語り方、死者の弔い方をちゃんと心得ていてすごく強く見えます。その中でもイジラのクラティの仮面に小便を引っ掛けてそれをそのままタカールの顔に取り付けるとか噴き出して笑いました。やめてくれよー!
戦士のカルーシュとの熱い絆や、身振り手振り表情で語りかけてくれるサイラはこのゲームで最も原始人らしく、宿敵ウルとのエンディングの一幕にも目頭が熱くなります。
人食いの一族ウダムの境遇や住んでいる場所を考えると、プレイヤーキャラの派閥であるウィンジャに手を出してくるのも頷けるというもの。
一方、もう一つの人種であるイジラについては存在意義がわかりません。捕虜として仲間になる(名前忘れた)彼はやっぱり魅力あるキャラなのですが。
このように登場人物自体は絡みは少ないものの、ムービーシーン中ではなかなかな魅力を発揮してくれています。
ただ、なんというか世界に魅力がない……。
理由は幾つもあります。
世界マップの作り込み自体はとても良いと思いますよ。非常に原始らしい世界観で、動植物も現代とは若干違っていたりするのが面白いです。
私が感じた原始時代なのに原始っぽくない違和感の一つは、「言葉」でしょうか。
本作は「古代語」という独自言語を使用していて、全てのキャラクターはUBIお手製のこのオリジナル言語を使って話しています。
専門家に協力してもらって、実際に紀元前1万年前に話されていた言葉をベースに独自にいじって調整したそうです。
それはすごい。本当にすごい。
でもさ、でもね。
実際のところ、現実の紀元前1万年前の人々は、すでに英語の原型となる言葉を操っていて、「主語+述語+修飾語」という体系が出来上がっていたのかもしれませんよ?
でもさ。
私たち一般人の考える原始人って、やっぱりゴリラやチンパンジーなみに野蛮でウッホウッホしてるってイメージじゃないですか? これに毛が生えて(実際は抜けて 笑)槍や斧を持ってマンモスを追いかけまわしてるイメージじゃないですか。
そんなイメージがあるためか。文化や文明にはまだまだ未熟な部分があるというのが一般常識だと私は思っていて、だからこそ、「言葉だけで全てを話しきる」というのがずごく不自然に感じました。
現在の、リアルな会話とほとんど違わない、顔と顔を突き合わせて口と目でしゃべる、のです。
サイラが一番原始人っぽいと言ったのは、このゲームサイラだけが、過剰なくらいに表情と、身振りと、手振りで話してくれるからです。
言語が完成され過ぎていると強く感じました。
だからこそ、見た目はとても原始的なのに、どうにも原始っぽくなくて、おまけにミッション内容もいつものファークライだなぁと。
最初のマンモス狩りのチュートリアルミッションは相変わらずわくわくさせてくれるんですけど、少し遊ぶとどうにも既視感がぬぐえない。
それでも4のように意味もなく周りをふらふらするよりは、目的がしっかりしていてよかったです。
最後の最後で「オロス 征服」の文字が出た時は、なんだかわからないけどカタルシスを感じました。
ああそうだ、ウィンジャの繁栄のために戦ってたんだっけ。野蛮な動物よろしく邪魔な他種族を排除したんだな、と。
そして今までの行動はちゃんとその「征服」に掛かってくることなので納得はできました。
またゲーム内容に関しても、たとえば洞窟壁画のようにきちんとした迷路が用意されており、知恵をつかって攻略するのは楽しめました。
雪山や湿地など種類は少ないですが風景にもようやく変化が現れたのは嬉しい兆候です。
逆に、ファークライシリーズ定番の楽しみだった宝箱漁りが、実質完全に無駄になってしまったのにはがっかりでした。
本作では当然お金の概念が無く、取引もありません。したがって手に入るのは武器を含む消耗品やいつものクラフトや拠点を拡張するための素材のみなのですが、なんと、バッグに入らない分は取得することができないのです。
捨てることも出来ないので、超過した分については手を付けることができず、したがってサック(宝箱)のマップアイコンを消すことができないのです。
全ての素材はマップをうろついていれば簡単に手に入るものばかりなので、サックの存在は完全にその場での物資の緊急調達以外に用をなさなくなってしまいました。
覆っている草を燃やして作った道の先にサックが置いてあるとか、洞窟の行き止まりに置いてあるとか、意思の感じる隠し方をしているサックも多いだけにこれはゲームとしての楽しみを損なうマイナス点と言わざるを得ません。
中身全部捨てていいから取って回りたかった……。
あんまりだ。
また、サブミッションの内容がすべてウィンジャの存亡と敵勢力の排除に関わることのみな点も「真面目すぎて面白くない」ことに掛かってくるでしょうか。
本作は4以上に高低差が激しく、また空を飛ぶような乗り物もないため、道なき道を踏破することになります。
こういう時こそ原始人らしくアスレチックなレースイベントや、せっかく搭載されているビーストライダースキルでスピードレースなんかをしてもよかったのではないでしょうか。
原始時代らしくない違和感のもう一つとして、原始時代ならではの生活感をうかがい知るのが難しいです。
基本的にはテントの周りに置いてある数々の小物や儀式の祭壇を眺めることくらいしかできず、イベントや演出として原始時代ならではの生活や生活感、文化観、人生観を知る機会がほとんどありませんでした。
敵がいてそいつを叩きのめすゲームは腐るほどあるんだから、せっかくの原始時代をもっと大事にしてよ、というのが本音です。
総評としてはFar Cry 4.5。
はてさて5は化けるのか、やっぱり良い意味でも悪い意味でもいつものファークライに戻るのか、個人的にはあんまり期待は出来ませんね。
お腹一杯なので当分は遠慮しときます。
あ、そうそう。今回手懐けた獣が囮になって、背後からテイクダウンを仕掛けやすくなったり、探索中に寄ってきた野生動物を追い払ってくれたりしてすごく遊びやすくなってるのも加点しておきましょう。
↓恒例?の拠点解放の様子。今回、双眼鏡替わりとなるフクロウちゃんは、敵にタグ付けするだけでなく爆弾などを落として攪乱まで出来ちゃう超万能っ子。敵拠点が洞窟内にあったりするとフクロウは活躍できませんが、本作の拠点制圧はかなりぬるいです。
↓おまけその1。原始時代のハークことウルキのお茶目ミッション。ああそうだ、これUBIだったわ……。
事の発端はウルキが空を飛びたいとのこと。
↓その2。差別に聞こえるかもしれないけど、紀元前1万年はまだまだおつむの足りない時代だと思うの。こんなお馬鹿なミッションがもっとあっても良いんじゃない?
事の発端はウダムの槍に刺されたので、石のように硬い皮膚が欲しいとのこと。
↓ウルキ三度目の正直成るか!?
事の発端は熊に襲われた。ウルキの臭いに釣られてやってくるんだ。熊の嫌がる臭いを探してくれ、とのこと。
その後、ウルキはタカールが必死に育てたウィンジャの村にたどり着き、「見ろよ! ウィンジャの住む土地を見つけたぜ! お前もここに住んで安定した暮らしをしようぜ!」とか言ってきます。
ウルキだけ原始人っぽくない言語発音や、ぷよぷよの体とか、とにかくアンバランスで浮いてる反面、癒されました。
ってか生きてたのかよ!? ちゃんと葬っただろうに、ゾンビかよ。
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