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2021年12月03日

478.Dungeon Rushers: Crawler RPG

Dungeon Rushers Crawler RPG.png

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「ダンジョンラッシャーズ:クロウラーRPG」のレビューです。

 本作は、見た目はチープで実際に遊んでいても華がなく貧相で、いかにもなインディーゲーです。挙句、本作にはバグのため解除できない実績が一つ(しかも150Gとデカい)あるのですが作者は諸事情によりアップデートを放棄しています。

 が。

 私は楽しかったです。

 海外のレビューで、「酷い出来だがポテンシャルはある」みたいな評価が結構ついてたんですよね。その気持ち、すごくよくわかるんですよ。
 本作はすごーい地味な戦闘をただひたすら繰り返しながら、ちまちまちまちま進んでいく、ただそれだけのゲームです。でもこの戦闘が、かなり、んー、なんというか、バランスが、んー、良くもないけど(笑) 悪くもない……。

 そうだな……非常に人を選ぶゲームだと思います。でもって、ハマったという人でさえたぶん本作は同じ傾向を持つであろう人にさえ勧めることはないと思います(笑)

 ようはね。
 このスローペース過ぎるゲームの面白さに気付く前に、プレイを辞めさせてしまう障害が多すぎるんですよ。

 いくつかのレビューで言われてましたが、まずキャラクター編成のアンバランスさ。
 こういったパーティー戦闘がメインとなるゲームではキャラクターのクラスの選択は重要ですが(オーソドックスに言えば前衛二人にヒーラーとサポーターとか)、一番大事なはずの旅の出だしがアタッカー二人にバッファーですからね。
 回復はどうするの……っていう。
 各ダンジョンには任意の縛り制限もあって、意外と気軽にポーションがぶ飲みできないんですよね。というかこのポーションがすげー貴重品。

 ただ、個人的な反論として、これはこれでアリでしたよ。事実クリアまでいけましたし。計10人になるパーティーはそのどれもが予想外のキャラクターで(ストアのSSでネタバレしてるけどw)次はどんなキャラクターが仲間になるんだろう、どんなスキルを持ってるんだろうとわくわくしながら進められました。実際仲間になると、パーティーに組み込んで使ってみたりしながら、決して自由度は高くないなりにビルドを楽しみました。結構やりようによって全然別の性能を持つので侮れないですよ。
 中盤頃になってようやくヒーラーと名乗れるレベルのキャラが、最終盤になって本物のヒーラーが加入するのですが、うん、確かにね、こいつら入れるとかなり難易度下がるんですよ。序盤でこいつら居たら戦略とか考えなくなるなって。

 次に非常に多くのバグの存在です。
 なんの気なしに攻撃指示を連打してたら突然虚空のターゲットに攻撃し始めた、だとか、しょっちゅうカーソルが行方不明になる、だとか、実績を解除したら強制的にタイトルに戻される、とか、その状態でダンジョン戻るとかなりの確率で不具合を起こす(クリアしたのにクリア判定がない、回数制限系のチャレンジが初期化されてる、魔物のアイコンを素通りできるetc.)ので、まぁ仕方なく入り直すしかないっす。
 他にも増援を呼ぶタイプのモンスターが結構不安定で、呼ばれてない二匹目が突然順番スロットの方には乱入してくるのに、実際の戦場には現れず、このモンスターの手番になるとゲームが進行しなくなる、とか、いやもう挙げればキリがないです。

 で、ここも反論すると……いや、バグについては擁護のしようもないです。でも、意外とそれを回避できたり、別に無視したりできるバグもあるんです。増援バグは、たとえば敵にDotを与えて、行動の前に1テンポ挟むようにしてやったり、素早さを上回ったりスキルで先手を取ったりして、先に殲滅する、とか、なんやかんやこういったことも踏まえて戦闘ルーティンを組むのが楽しくて、別に行方不明になるカーソルだって感覚的に今どこにいるかわかるんで(え?)、戻るようにスティック倒してやればちゃんと戻ってきますし、腰を据えてちまちまやればいいんですよ。

 それからレベルと経験値。
 これも実はバグじゃねぇかと疑いたくなるくらい酷い仕様なんですよね。
 実は本作のレベルキャップ、10しかないんです。
 そのせいなのかなんなのか、レベル2から3にあがるくらいならよくある普通のRPGくらいで、「おお、楽しいじゃん」と思えたのもつかの間、3から4への道のりが長い長い……。
 一戦でドラクエのスライムくらいしか経験値がもらえないのに、Nextが4000とか。
 ホントにね、序盤が一番の苦行です。
 ホントにいつまでたっても、何匹倒しても、レベルがあがらない。新しい素材もないので装備も更新できない。パーティーは普通性能の前衛と鈍足の前衛と、まだまだ持ち味を生かせない貧弱魔法使いの三人きり。
 これで最初の大陸を突破するのはホントに骨が折れます。

 でもね、これが良い(笑)
 歩みが遅いとはいえ、ファーミングはできるんですよ。
 この間にこのゲームの仕様と隠された仕様(バグとか挙動の不安定さとか)を熟知し、数少ない装備品のレパートリーを吟味して素早く効率的に敵を殲滅できるよう組み直す……。そうしてやっと軌道に乗り始めたところでようやく4人目が仲間になるんですよね。
 基本的にはこのサイクルの繰り返しです。
 どの大陸も一筋縄ではいかないひねくれた能力持ちの敵のオンパレードなので、その都度パーティーの戦略を考え直さなきゃならないんですよ。

 で、さっきも言ったように本作はレベルキャップが非常に低く、装備の種類も少なく、そのせいで「1ポイント」の重みというのが半端じゃないです。
 スタミナがあと1ポイントあればもう一回このスキルが使えた、攻撃力があと1ポイントあればあの敵が一撃で倒せるのに、と、それくらい各ステータスの数字が重要なんです。

 別にこうやって数字とにらめっこするゲームが好きってわけでもないんですけど、実はこういういかにもなインディーRPGみたいなのを、いつかじっくりやってみたいと思ってたので、結構楽しかったんですよ。
 ストーリーというか、各キャラ同士のセリフの掛け合いもすごい低レベルではありつつも、なんか地味で作業的な作業のちょっとしたアクセントというか。
 ある意味これはクソゲーです。というかそう言われても仕方ないです。実際、私自身何かの歯車が少しでもずれてたら、本作をこういった形で楽しめなかったかもしれない。

 いいタイミングで本作と出会えたな、といった具合です。

 なかなか外側からだと本作のキラリと光る原石の部分って、見えないと思います。結論から言えば技術力が足りてません。コマンドを操りコンピュータに正しく動作させる知識と論理力、そしてタイピング力です。
 ただし、本作の戦闘バランスについてはかなりのセンスを持っていると思われます。このキャラが欲しいけどそうするとあのキャラを抜かなきゃならない、うーん、敵は6人で来るのにどうしてこっちは5人パーティーなんだ、とか、さっきも言ったステータスのバランスですよね。数字が小さいからこそ、吟味が可能で、便利さやフットワークを求めると絶妙に火力が足りない、かといって攻撃力に注目しすぎると素早さがネックになって敵にボコられる、とか、そこをどうバランスとっていくのか、それを考える時間が結構楽しくて。
 もっと何かがあれば、もっと快適に遊ぶことが出来れば、何か、あと何かさえあれば……、と思わずにはいられないポテンシャルをそこに感じるのです。

 ストーリークリア後のエンドコンテンツはちょっと別の意味を持っていて、すなわちオワコンです。実はこのコンテンツで遊ぶことはできません(笑) バグでね、スタートできないの。
 ポーションを50個調合するっていう実績も、どうも単純にちまちまやってても無理そうな気配がするし(他の実績と比べてこの実績だけプログレスバーが伸びないんですよ。明らかにバグなんですが、一応解除することはできます。できました)
 一番確実なのは、一番手軽なHPポーションの材料である水と肉(どっちも貴重品なのでダンジョン内やお店でランダムに手に入るのを祈るしかない)を50個用意し、50個連続で一気に作ることです。
 私はさらに本体を物理的にオフライン状態にし、20個分ほどの材料を一気に作ってからセーブデータを消し、オンラインに戻してセーブデータを呼び戻しました。
 この方法なら序盤で、手持ちが少なくても解除できるかもしれませんね。

 あ、そうそう。
 本作のストアページの紹介には「耳をすませたくなるBGM」って記述があるんです。
 その通りですよ。
 だからこそ私はこのゲーム、一度始めたらやめ時を失ってだらだらとクロールしてました。


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