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2024年02月02日

542.魔想のウィアートル

魔想のウィアートル-2024_01_14-08-21-32.png

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「Monster Viator」のレビューです。

 邦題は「魔想のウィアートル」ですが、海外版だとモンスタービアターだそうです。Viatorは旅人って意味らしいです。無理矢理読めば日本語でそう読めなくもない(笑)

 いや楽しかったですね。前回のドラゴンシンカー、アレなんだったの?っていうくらいこんな隠し玉を持っていたとは! 私の中ではKemcoの抱える二つの制作チームのうち、Exe-Createはサクサク爽快無双ゲーで、Hit-Pointはビジュアル(だけ)全振り二日でコンプ余裕ゲーという印象が強いのですが、今回はそんな予想を裏切るハイクオリティでした。

 今回の作品はHit-Point製でグラフィック全振り、まるでSFC黄金期のような温かみのあるドットRPGで、戦闘中の敵キャラの待機モーションには躍動感があり、マップの作り込みも非常に素晴らしかったです。
 そこへ、いつものKemcoらしからぬ戦闘バランスが歯応えマシマシ、ストーリーも伏線や引き込み力があって、とんでもないクオリティになっていました。
 これは、傑作かもしれない。

 まだまだ私が遊んだKemcoゲーは少ないですが、それぞれのチームでどの作品が好きかと問われれば、Exe-Createは「忘失のイストリア」と並び、Hit-Pointは「魔想のウィアートル」と自信を持って答えられるほど良い作品だと思いました。

 一番面白かったのは、やはり戦闘ですかね。
 ドラクエ式のコマンドバトルなんですが、キャラクターにそれぞれ付けられる「カルミナ」というパッシブスキルが強力で、単なる攻撃や防御の応酬にかなりの深みを持たせています。
 また、本作のキャラクターは全てが独自のスキルを持っており、基本的に最初から最後まで固定です。これらの決まったスキルと、付け替え可能なカルミナを組み合わせて、戦闘でどのように生かしていくか、そこに頭を悩ませるのが楽しく、また意外とシビアなんですよね。

 というのも本作には消費アイテムという概念がないので、戦闘では攻撃と防御、逃げる以外にはこのスキルを駆使して戦わねばなりません。スキルを使うためのリソースも初期値からターン毎に回復という形をとっており、いままでの系列作品のようにオート一発全体ブッパでクリア余裕、とはいかないんですよね。
 いや、雑魚戦ならそれでいいんですけど、雑魚戦なら雑魚戦で、オート一発ブッパで快適に回すにはどのような装備、アクセサリー、カルミナ、そして魔物をパーティに入れるのがいいのか、考えることになりますし、ボス戦はとてもワンパン、ツーパンで沈む体力設定ではないので、今度は逆にしっかりガードを固めて堅実に、あるいはピンチをチャンスに変えるためにどういう戦略で立ち回っていくか、やはりしっかりと考えなければなりません。
 これがやっぱり楽しくてですね。
 それでもストーリーにおいては、ボスを後回しにしてちょっと先のダンジョン潜って強力な装備や魔物を集めたり、レベルを上げてごり押したり、融通が利くので良かったんですが、別モードとなる「ラオの塔」はローグライクのシステムを取り入れており、さらに頭を悩まされました。現状持っているもので結果を出さなければならなかったので、各カルミナや魔物の性能など、クリアする頃には理解が進んでましたね。
 単純に見えて本作のシステムとマッチしていて面白かったです。

 こういうと身も蓋もないかもしれませんが、属性による相性の差が重く、敵に対して効果的な魔物を用意して攻略する様はさながらポケモンのようでした。

 また、キャラクターやシナリオ、そして世界観も「いつものKemcoゲー」と侮っていた目には強烈な光でした。前述のドットクオリティから放たれるキャラの出来や動きは非常に愛らしく、世界観と相まって温もりに溢れていますし、登場するどのキャラも個性があって良かったです。敵役となるキャラも、一周回って可愛く見えてきました。

 シナリオも吸引力があって、イベントがどんどん引っ張ってくれるし、メインとは関係なさそうなダンジョンに入ったら唐突に別のイベントが始まったりして、次々と何かしら事件が起こるのは見ていて楽しかったですね。
 ただ、ホントに唐突に始まるので、あっちへ行く前にこっちをチラ見するつもりで来たらイベント起きちゃって、もしかしてちゃんとあっちから行っとくべきだったか!? とか混乱することはちょいちょいありました。あっちでもやりかけのイベントとかあったっぽいし……みたいな。

 そして、確かに全体としてのシナリオは良かったのですが、細かい所では、たとえば序盤は物語の目的が明確になっていないこともあって、あっちへふらふらこっちへふらふらする羽目になりますが、どこどこへ行って何々をする、という目的が提示されているにも関わらず、イベントの関係でその目的は結局達成せずに次の目的が定められたりして、ちょっと落ち着かない感じはありました。
 逆に終盤は、やはり目的が明確ではなく、ラストバトルも唐突感がありあまりしっくりこない展開でした。これって続き物なの?
 ただ、要所はしっかり押さえてあり、伏線も張ってあったりして、もしかしてこれはこういうことなのかも、と思い始めるころにそんな伏線の回収が行われたりして、やっぱり面白かったです。

 なんだかんだで攻略も一週間くらいかかったのでボリュームもあったし、大変満足しております。
 満足しておりますが、サクサク快適に三日くらいで終わらせるつもりで起動したので、思った以上のボリューム、思った以上の作り込み、そして思った以上の戦闘難易度の歯応えにびっくりしてしまいました(笑)

 いやホント、なんかごめん。ってかやれば出来るんじゃん! 楽しかったし、面白かった!
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