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2024年09月06日

573.Code Vein

CODE VEIN-2024_06_08-04-21-52.png

 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「コードヴェイン」のレビューです。

 単なるパクリソウルと侮るなかれ、バンナムの意地とプライドを掛けた超大作ゲームでした。もちろん昨今のソウル人気にあやかって作られたソウルオマージュの作品で、作中の演出にも思い出深いシーンをオマージュしたと思われる演出が随所に見られるのですが、そこにバンナムの看板作品と、バンナムらしい拘りがきちんと独自性を持って練り込まれていたので、非常に楽しい体験でした。

 私の中で、キャラゲーばっかり出してるバンナムはそれほど注目している会社ではないんですが、たまに手を出してみると、ある意味フロムばりに偏執狂的な拘りに舌を巻くことが度々ありますね。記憶を探ってみると「ソードアートオンライン:フェイタルバレット」が思い出されるのですが、あの作品も世界観やその作り込みはスカスカなクセにキャラクターだけはやたらと作り込まれていて、涎を垂らしたものです(笑)
 そう、本作もまた、まるでアニメから飛び出してきたかのような可憐で格好いいキャラクターたちが隅から隅までとんでもない精緻さで作り込まれてるんですよね。さらに大人向けな世界観を反映してか、その、なんであんなにたわわで、しかも頭おかしいレベルで破廉恥な恰好してんすか。

 まぁ……、その、私も漢なので、言いたいことは山ほどあるんですが、ここはぐっとこらえて一言。

 崇高。

 いかに美麗なグラフィックであろうと、右も左もゴリラしかいない今のゲーム事情において、本作はまさに極楽。アニメ調なのがまたいいですね。ちゃんとカメラモードを使うんですよ? で、このカメラで拠点の窓を抜けて外から拠点を眺めると、本来プレイヤーから見えない部分は異界が広がってます。……この拘りの熱の差よ(汗)

 さて、話を戻してゲームとしての評価にいくと、本作は自分の中にある先入観を崩すことが出来るかどうかで印象が変わるゲームです。
 確かに本作は「ドラマチック探索アクションRPG」ということで、ダークソウルを大いに意識したゲームです。しかし、プレイヤーの意識がいつまでたっても「これはソウルライク」という先入観から抜け出せないでいると、本作の様々な独自仕様が「コレジャナイ」に代わって足を引っ張り、いつまで経っても楽しめない結果になるのです。

 非常に厨二的な世界観やハイペースすぎるアクション、なんだやっぱりただの日本産パンツゲーかと、なってしまうんですね。
 別に間違っちゃいないんですが(汗)

 バンナムの看板タイトルといえば、やはり往年の伝説的なゲームをパクった上で独自性をねじ込んだ「ゴッドイーター」というハンティングアクションがあります。私もPSP時代に1を予約して買って、世界観は気に入ったものの、あまりのハイスピードアクションさと、そのせいで非常に軽いヒットストップが肌に合わず投げ出してしまった記憶があるのですが、実は本作のアクションの根っこはここにあるんですよね。

 本作はゴッドイーターのプレイ感でソウルライクな世界を楽しめる、いわば「GOD EATER: Code Vein」なんですよ。
 もちろん、本作を遊んでいればそこには気づけるはずですが、ソウルとGE、どちらがベースなのか、どう捉えるかによってプレイヤーの中の意識から、ゲームのテンポ感から何から何まで変わってくるので、個人的には重要な点だと思っています。

 ですが、ここからがスタート地点です。
 まず本作はゴッドイーターの特徴にもある通り、比較的ハイペースなアクションの応酬がウリです。敵が武器を振り上げるのを見てから反応してたのでは到底間に合いません。同時に、こちらの後隙もモンハンやソウルに比べれば非常に小さいです。
 それゆえ、敵の攻撃はわからん殺し、昇竜見てから小足要求されるしこっちはブンブン振り回せるし、やってられるかってんでごり押してスキルブッパゲーになりがちなんですよね。
 敵の攻撃の予兆は、武器をどう構えるかではなく、もっと前から始まっています。まずそこに気付けるかが一つ。

 もう一つの関門は、ステータスの見方と理解です。
 本作の腕力や器用さといったステータスは、なんと数字ではなくランクなんですよね。腕力100はちょっと弱くて、250あると強いとかそうではなくて、腕力C、腕力A+といった表記で表されます。また、防御力の数字は絶対値による差ではなく、割合表示なんです。斬撃防御力50は、敵の攻撃力800あるのにこっち防御50かよクソヨエーじゃん、じゃなくて、あらゆる斬撃属性を50%カット、という意味なのです。
 他にも説明されていない様々な独自解釈ステータスがあるので、ソウル系ゲームでなんとなく把握はできるけど、ちゃんと理解しきれていない部分が、割と攻略で足を引っ張ってくるんですね。

 そうした理由から本作は決して遊びやすいゲームではないのですが、意識を変え、意味を知ることで世界は想像以上に広がり、攻略の糸口は確実に見えてきます。
 そこに至るまでの悶々としたストレスは、前述のエロスで解消しましょう(笑) 確実に、もう一回頑張ってみるかと思えるくらい素晴らしいです。
 目の保養以外にもコーラスや歌をふんだんに用いたオーケストラは、非常に心を熱く、また悲しいシーンの時はより一層悲壮さが増し、素晴らしいの一言に尽きます。タイトル画面のオーケストラは、変調というのか、リズムを変えながら疾走するかのような力強い演奏で、まさに本作らしさを表現していると言っても過言ではなく、お気に入りの一曲です。ボタンを押してプロフィール選択タブを出しておくとオープニングアニメに切り替わることなくフルで聴けるので是非。

 さて、本作はそんなソウルレプリカと思わせておいて様々な点において独自性と会社のプライドを見せつけてくれるゲームですが、やはり不満だった点もあるにはあります。

 まずは探索部分。よく出来ているとは思いますが、必然的なマップというよりは、あえて迷わせるためのマップになっているのがちょっとげんなりしましたね。本作にはマップ機能があって、チェックポイントを開くことで少しずつマップ中の地形がわかるようになっていきます。また、自分の歩いた軌跡が点線で示されていて、自分がどこから来たかがわかるだけでなく、点線の太さでいつごろ歩いたのかさえ分かるくらい、非常に優秀な機能を備えています。
 マップの地形がまったくわからない初期段階では、この長く残る軌跡を疑似マップに見立てて探索していくほどです。
 そしてこの神機能を真っ向から否定するかのように、二次元マップの弱点をついて多層構造で三次元的に迷宮を作るこの、あえて迷わせてやると言わんばかりの意地の悪さが鼻につきました。

 自我を失い本能のみで血を求めるケダモノという設定にしては、絶対に視認できないカメラの死角に潜んで奇襲するとか、死体オブジェクトに混ざって寝たふりしてる奴とか、プレイヤー見ると声を上げて仲間を起こして連携取ってくるとか、こすい奴がいますよね。
 その存在そのものは否定しませんが、どこのステージにもこんな奴がいて、多すぎます。

 探索中、基本的には仲間NPCが一人ついて、常に自キャラのフォローをしてくれます。ほとんど無口な主人公に代わり、たとえばアイテムを拾うと「良いものだったか?」とか、遠くに敵が見えると「警戒しろよ」とか、死んでヤドリギに戻されると、先に起きていたNPCが声をかけてくれたり、死んだその場所に戻って次はちゃんと倒せたりすると、そのことについても一言もらえます。
 一度バグでNPCが一切喋らなくなったことがあったんですけど、この一言コメントを言うか言わないかは、孤独な探索の印象がかなり大きく変わりました。たとえ汎用セリフであろうと、言ってくれるのは嬉しいものです。
 が、欲を言えばもう少しレパートリー、特にキャラ固有、そして地域固有のエピソードが欲しかったですね。誰を連れてどこへ行こうとも、基本的に決まったフラグに対する決まった反応しかないのは若干寂しかったです。
 このキャラを連れてここを通過したからこそ、ここでしか聞けない「一言」ではなく「エピソード」が欲しかったんです。
 皆多かれ少なかれ記憶を失っているという設定だったにせよ、記憶の消失によって個性を失うほどの影響は考慮されていないみたいなので、手癖とかそのキャラならではの考え方、捉え方とか、エピソードを魅せる余白は十分に残っていると思うのですが。
 イベントや特定のフラグ消化ではなく、探索しているまさにその中で、彼らのふとした一面を見てみたいと思ったものです。

 不満の二つ目は拠点。
 終始思ったのは、静かすぎるという点です。
 拠点には同行してくれる仲間たちを始め、店や他エリアへの案内役などそれなりの人数が一堂に会しています。拠点に帰る度彼らは皆思い思いの場所に居たり、くつろいでいたり、あるいは誰かと会話してる風な位置関係にいることもあるのですが、誰一人として、こちらが話しかけるまで一言も発しません。
 これがすごく寂しいなと。
 歩き回ったり、何か作業してたり、主人公そっちのけでNPC同士で会話(欲を言えばボイス付きで)していたりして欲しいと切に思いました。
 シーンとして切り取れば賑やかそうな絵面にはなるけど、実際は決まった位置でポーズを取っているだけで、シーンとしてました。もったいない。

 これら二つに共通しているのは、やっぱり仲間たちのことをもっと知りたい、そしてそれは世界観の深堀りへと繋がっていくということですね。
 私は本作に没入していたことになります。だからこそもっと彼らのことを知りたいと思ったのです。
 探索というのは、何もマップを隅々まで歩いてアイテムをかき集める行為のことだけを指すものではないですよね?

 最後の不満はDLCについてです。
 新たなマップ、新たな強敵、そして新たなブラッドコードといえば聞こえは良いですけど……。
 本作のDLCは計三つ配信されていますが、その一つ一つは本編にもあった小規模なインスタンスダンジョン「深層」に毛が生えたものです。雑魚敵は既存のもので、とんでもなく強いボスが一体追加されます。
 そしてそのボスをどれだけ華麗に倒せるか、何度も何度もこすって楽しんでね、という内容が三回続きます。
 ボスは作り込んであるし、NPCの別衣装などお楽しみもあるっちゃあるけど、とにかくDLCを楽しむためには追加されたたった一体のボスと飽きるほど戦い続けなくてはならないので、あまり納得感はなかったですね。

 最後に。
 実は本作もまた過疎化が極まった辺獄で、生身の人間と接する機会はまずありません。
 がしかし、私は幸運にも一人の海外プレイヤーと出会い、ストーリー中盤からラスボス撃破まで一週間ほど一緒に遊ぶことができました。
 私はほぼ常にゲスト側だったのでラグが酷いなんてものじゃないのは当たり前で、ワープ移動したり、マップの外に落ちたり、虚空から敵の攻撃が飛んでくるなんて日常茶飯事でしたが、それでも! それでも本当に楽しかったとだけは記述しておきます。
 共闘できる、ってのはそれだけで良いものです。つよーいボス相手に連敗して、ああしたらどうだこうしたらどうだ、こっちの装備を使ってみないかと、英語のメッセージでやり取りするのは何物にも代え難い珠玉の体験でした。

 と、いうわけで一つの実績、この共闘プレイでボスを倒したときに手に入るアイテム「敬愛の印」400個(!?)集めは苦行もいいとこですが、一応、現実的な範囲だとは思いました。私の場合も、その海外のプレイヤーは実績に理解のあるプレイヤーでもなかったので、たまに深層に誘ったりして印集めを狙ったりはしましたが、それでもせいぜい20枚ほど。
 残りは一人で試練の塔を回しました。
 この試練の塔は正直エグイです。本作のパラメータは意図的に上限があるので、上げれば伸びる、伸びれば楽になる、ってのはせいぜいが一周目の話です。(敵を強化しての)二周目以降、そしてこの試練の塔やDLCボスは伸びきったステータスを利用して、あるいはカスタマイズして、スキルベース(プレイヤースキル)のゲームへと変貌していきます。
 このゲームの仕様、敵の動き、自分のアクション、そして錬血の性能をどれだけ把握しているかが重要になってくるんですね。
 なのでエグイです。そう簡単にはクリアできません。
 でも頑張ってクリアすると、たとえば試練の塔3を最後までクリアすると、道中で確率で2〜4枚ほど、ラストで確定で8枚もらえるので、一周およそ10枚前後。
 スキルベースとは言い換えれば慣れれば安定するようにはなるので、意外と現実的な作業時間で集めきることが出来ましたってハナシ。

 個人的にはやっぱり元祖ダークソウルシリーズやモンハンのように、「もっさり」アクションにもちゃんと意味があって、敵の動きを見ながら自分の後隙を計算し、状況をちゃんと確認しながら次なる一手を組み立てていく、そんな「考える余裕」が欲しいとは思いました。予兆を見てどう回避すべきか、脊髄で反応するのは年を取るほど辛くなります。
 また、探索部分についても迷わせるためのマップ、ストーリーのためのステージ設計というメタがやや強く出ており、用が済んでもまた訪れてみたい世界とはなかなか言えないです。
 ただし、再三言うようにこの制作会社だからこそなしえた100点満点の要素というのもしっかり備わっており、非常に尖ったゲームだったな、ご馳走様でしたっていう感想です。
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