管理人はスポーツ漫画は基本的に守備範囲外ですが、このマンガはずっと週刊誌で読んでいました。
あらすじをサックリ書くと「一条龍という天才的なサッカー少年が、小学生時代に大怪我をして再起不能と思われながら、ものすごくがんばって中学・高校とサッカーを続けて再び才能を開花させる話」です。
作者の田中モトユキ氏はもっぱらスポーツ漫画を描き続けていて、バレーボールや野球などを題材にした作品を何本も描いていますが、この「BE BLUES!」が最新かつ最長です。ちなみにこの作品、2015年に第60回(平成26年度)小学館漫画賞少年向け部門を受賞しています。
管理人がこの作品を評価しているのは以下の点です。
1 サブキャラクターの魅力
2 画面構成の丁寧さ
1については、ずばり「桜庭巧美(さくらばたくみ)」というキャラを生み出した点です。主人公の龍は、まさに王道の主人公ですが、その主人公の脇にこの男を置いたことがこのマンガの成功だったといっても過言ではありません。性格は傲岸不遜を絵にかいたような奴で、「オレ様を尊敬しろ」が口癖。どちらかといえば嫌われ者キャラで、主役を引き立たせる「噛ませ」役になるはずが、物語が進むほどにどんどん「味のあるキャラ」になっていきます。最後の最後まで活躍を見せるあたり、じつはこの作品の「裏主人公」かもしれない。
2について、特にスポーツ漫画などでは重要なのですが、「全体の状況がどうなっているのか」が分からないと興味がそがれてしまいます。カッコいいキャラの凄いプレイを大ゴマで見せたいのは誰しも思うことですが、それを効果的に見せるには、地道に状況を描写していく必要があります。
田中モトユキが偉いのは、そういう全体の俯瞰図や選手の配置などを丁寧に描いていることです。
加えて、カメラ位置をちゃんと固定していて、おかしな切り返しで読者を混乱させない工夫が上手です。
決勝戦のシーンを見ると分かりやすいのですが、敵側は画面の左から右に向かって攻めています。
主人公側は、逆に右から左へ攻めます。この方向性はずっと守られています。この制約の中で、いろいろなプレイを描いているので、まさに職人芸です。
ちなみにここでネタバレをかましておきます。
この試合、どちらが勝つのかは、じつはこの構図を見ただけで分かるのです。
日本の漫画というのは、右ページから左ページに読み進むように出来ています。
つまり、時間軸的には、左側は常に未来、将来になります。
やはり「勝利」する側というのは、常に「未来」に向かって進む側ではないでしょうか。
という重大なネタバレをして今回のご紹介はおしまい。
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