『緋色の研究』。
コナン・ドイルが1887年に発表した長編小説。
記念すべき最初の作品です。
ホームズとワトソンの出会い、
指輪にまつわる奇妙な殺人事件、
引き金となった過去の悲しい出来事‥‥、
緻密な構成のもと物語は進んでいきます。
ところが奇妙なことに、
物語の題名そのものが謎をはらんでいるのです。
なぜなら、ホームズは作品の中で
「緋色」を「研究していない」
からです。
彼はあくまでも犯人の動機や殺害方法、
あるいは犯人そのものを追及したのであって、
途中で色彩についての考察をしたりしません。
一体、「緋色」とは何を意味するのか?
実は、本文中にヒントがあります。
「どうかね、これを緋色の研究とでも
呼ぶことにしては?われわれだって、
少しは芸術的な表現を使ったっていいだろう」
(『緋色の研究』第一部第四章 訳・鮎川信夫)
そう、作中でホームズ自身がこの事件を
「緋色の研究」と命名しているのです。
ではなぜ、ホームズはそう名付けたのか?
ここで、この物語の原題を見てみましょう。
「緋色の研究」
英語: A Study in Scarlet
Study を研究としたのはわかります。
Scarlet 、
鍵を握っているのはこの言葉です。
辞書で引いてみましょう。
これでおわかりでしょうか?
ヨーロッパで緋色・scarlet という色が意味するのは、
「罪悪」「地位」、「身分の高さ」。
作中、ホームズが対峙したのは、
まさに罪悪そのものであり、
地位や身分が重きをなすヨーロッパ社会を去って
アメリカに向かった人たちが引き起こした事件でした。
つまりこの物語でホームズが追及したのは、
「緋色という色彩そのもの」ではなく、
「緋色に象徴される社会的事象」
だったのです。
ホームズシリーズの場合、
「ソア橋」や「アベ農園」など
事件の舞台がそのまま題名という場合も多いのですが
今回のように題名そのものが推理を要する、
というパターンも見られますね。
‥‥ということで今回の語呂合わせは
「緋色」
「スカーレット」
「罪」
でいきたいと思います。
「 ヒーロー が 好かれっと 、 罪 」
やはり、ヒーローは孤高の存在でなくては‥‥。
ということで今日は文学作品からの語呂合わせでした!
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