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「消費者」「消費者団体」はどこへ?

 これまで、世界的な自由貿易の推進をすすめているのがWTO(世界貿易機関)ですが、その前進はGATT(ガット、関税および貿易に関する一般協定)でした。

 ガットの最後の大きな交渉となったウルグアイラウンドにおいて、我が国は「一定量の米の輸入機会義務(ミニマムアクセス)を負い、一定量を超える米については関税をかけること」となりました。
 仮に、国内が大豊作であっても輸入機会を与える義務を負うというものです。

 この交渉において、日本は食料輸入国として「輸出規制(輸出国が不作の時に輸出に制限をかけること)」について、安定的な食料輸入ができなくなるということで、反対の立場をとりました。
 実は、このことは、新たな事態を引き起こす可能性があるのですが、それは後日に譲ります。

 さて、ウルグアイラウンドでは、「国境措置の関税化(ある品目等について、輸入禁止などを認めず、たとえ高い関税をかけたとしても輸入できるようにする)」が中心テーマの1つになりました。
 国内では、農業者をはじめ、消費者を含め、幅広い反対運動が起きました。

 マスコミでも大きく取り上げられ、後継者を確保できない農業の現状についても、報道がなされました。
 消費者からは「農業が追い詰められている実態」について驚きの声が上がり、それが反対運動の大きな力となりました。

 しかし、今回のTPPでは、農業者や農業団体、医師会などは反対の立場で、輸出企業等は賛成の立場で発言がありますが、消費者や消費者団体のまとまった意見はなかなか聞かれません。
 はっきりと反対の意思表示を示している消費者団体もありますが、大きな組織である生活協同組合は足並みが揃っていないようです。

 TPPは、いわゆる貿易問題というよりも、それぞれの国のシステムを(アメリカ流に)統一していこうというものです。
 この点で、ガットよりも数段「大問題」です。

 農産物が安くなるのではないかとか、断片的なことではなく、消費者団体として、消費生活がどのような影響を受けていくのか、全面的な議論を展開し、意思表示をしていただきたいものです。

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