ニュートン別冊 ゼロからわかる心理学 知れば知るほど面白い!心と行動の科学 から
監修 横田正夫 2019年3月5日発行 ニュートンプレス
心理学と治療
心を支援する方法
無意識の記憶に気付かさせたり、認知の癖や行動を変える
では、心が健康になるように支援する方法はどんなものがあるのでしょう。
最も一般的な方法は
カウンセリング(面接)です。
現代のカウンセリングの方法に大きな影響を与えた人物は、
アメリカの心理学者ロジャーズ(1902〜1987)です。
ロジャースは、「クライアントの話を聞くことに徹し、クライアントに共感を持って接する」
というカウンセラーの姿勢を提唱しました。
一方で、クライアントの状態に関して
カウンセラーが解釈した内容を
折に触れて伝えていく
カウンセリングもあります。
フロイトの精神分析療法です。
精神分析療法は、
「幼少期の頃に経験した出来事や対人関係などは
無意識の中に抑え込まれており、
成人後の行動、思考などに
それが現れてくる」
という考え方に基づいています。
クライアントは、カウンセラーに様々な話をするうちに、
この無意識の中に抑えこまれていた記憶に気づいていきます。
カウンセラーはその記憶が、
クライアントの現在の状況にどんな影響を与えているのかを分析し、
その結果をクライアントに伝えます。
その分析結果に納得する人もいるし、
認めたくない気持ちが強く否定する人もいますが、
何れにしても、
最終的には、現在の状況にいたった背景をクライアント本人に気づいてもらうのです。
さらに、クライアントの行動や認知を修正していく
「認知行動療法」という治療法があります。
うつ病などにかかって心が元気でない人には、
物事の捉え方などの認知が歪んでいる傾向があります。
「何をやっても失敗するに決まっている」、
「自分は職場の人たちに嫌われている」など、
物事を悲観的に捉えてしまうのです。
そうした認知の歪みが、
外出できない、
お酒やギャンブルに溺れてしまう、
といった消極的な行動や、投げやりな行動に走らせるのです。
認知行動療法では、まずクライアントに認知の歪みを気付かせた上で
(認知再構成)、
認知の癖と行動を変えていきます。