裏庭のおしゃべり

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wna

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2018.08.26
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カテゴリ: 映画・俳優
8月も残り5日となりましたが、蒸し暑い日が続きますね。


今日は乙女座で満月。
晴れているので月がとても綺麗です。

さて
さきほど「マンマミーア Here we go」を観てきました。


前作から10年。えっ? そんなに経ちました? という感覚しかない。。


時の流れは恐ろしいですわ。。

と言っても
今日はそのおしゃべりではないのです。

忘れてしまいそうなので


昨日、鑑賞したこちらを。





観るものの想像力を大いに発揮できる映画です^^;

あるいは

人によっては爆睡を誘う映画。


詳しくはここで



HP







​​ Story



注: マイナー系映画だと思いますが
完全ネタバレなので鑑賞予定の方はご注意ください。



"川辺の慣習では、父親を亡くした息子は黒い魚を捕まえ
 それを香炉に入れ、餌を一切与えない。
そうして、魚が死んだ日、父の魂は安らぎを得る"


​​

父を亡くしたガオ・チュンは
父の跡を継いで古びた貨物船「広徳号」の船長になった。

ある日、上海の港で

若くもなく生活に疲れている風情にもかかわらず妙に惹かれる女性を双眼鏡で眺めていたが


ルオ(顧客)の依頼で、シアン、ウー・シェン、
そして「黒い魚」と共に江陰へ。

移動中、ガオが機関室で見つけたのは

父が1989年にしたためた「長江図」と題した詩集だった。


ルオから江陰で預かった荷は

違法取引で得たものらしく公安に見つかるとまずい。

それを長江上流まで運ばなければならない。


リスクを背負わされたガオは請負額を増額させる。



その江陰では
上海で見かけた女性とも遭遇する。

名前をアン・ルーといった。

二人は束の間の情を交わし
その後、ガオは南京、小洲へ。

すると
そこにもアン・ルーはいた。




そして

次の港、萩港にも。。

二人は銅陵、和悦洲の廃墟の地を共に歩く。






黒い魚を捕って2か月
餌も与えないのに、いまだに生きている。


それを嫌悪するウー・シェン


ガオは香炉から魚を網に移し、ロープに繋ぎ河の中へ沈める。




その船を河岸から眺めるアン・ルー。
しかし、ガオは気づかない。

アン・ルーは叫ぶ。



「ここは私の長江よ」



次の寄港地ボンザー、小狐山。

ここは下流と中流の中間地点。

ここから遡る船は潮を推進力にできない。


ここでのアン・ルーは

寺で修業中だった。

一方


ガオは黒い魚を放そうとするウー・シェンと揉めるが
河から引き上げた網に、その魚はいなかった。。


次にアン・ルーが現れたのは
鄂州、観音閣。



ガオの父が残した詩集を手にしている。

観音閣の窓越しにガオの船が通り過ぎていく。。



それ以後


アン・ルーは姿を見せなくなる。



船は宣昌、三游洞を過ぎ
上海から23日目には三峡ダムに入った。

そして
ズ帰、巴東、巫山と進むが彼女はどこにもいない。



ある夜、
船底で不思議な声を聴いたシアン。


「積荷は魚一匹だけだった。それを放した。
船長に責任はない」


そうメモを残しシアンは姿を消す。







次にガオが彼女を見たのは豊都、鬼城。

そして、江安、渋崗。

船で河岸の彼女を追い座礁してしまうが
彼女の視界にはガオはいない。



すると
ふとした瞬間に船は動き出し

川底から姿を現した大きな魚らしきものが

静かに遠ざかっていく。




その後も船はずっと遡っていく。

ある日



その舳先に立つガオは、前を行く船をじっと見つめている。



見覚えのある、その船の
船尾に立っているのはアン・ルーだった。



一緒に乗っている男が彼女に詩集を手渡した。その男はガオと生き写し。



彼女は舳先に立つガオに気づき驚くが



ガオは何かを悟った。




彼女から受け取った詩集を散らし、涙を浮かべてガオは言う。


「もう詩集は必要ない」


「辿った道をたどる必要はない」






船は消えた。






32日目、宣賓。


ガオは船上で刺され倒れる。
積荷を逃がしたことへのルオの報復だった。



朦朧とするガオ







98日目、長江の北源
チベット、チュマル河に到着



(ガオは生身なのか、既に亡霊なのか不明だが)


そこで、彼はひとつの墓碑を見つける。


「母、アン・ドゥオの墓」


”アン・ルー あなたのおそばに"  






男は河を遡り、女は河を下る。

上流へ遡るほど、若返っていくアン・ルー。

お互いが行く二つの時間軸の中で
時に出会い、時にすれ違う。


私は途中で、河の中流あたりで
この物語はロジックで理解するものでないと
傍観することにしたのですが


やはり
深読みしたくなる映画でもありました。




中国の歴史小説や武侠小説で描かれる
長江周辺のイメージしか持たない私にとって
この映画は
河口から(揚子江)長江の源流まで
美しい映像と共に現在の長江を案内してくれました。


長江は6300キロにも及び
上流に建設された三峡ダムは全長が660キロ。

ダムに適しない地盤から
現在も様々な問題を抱えているようですが

ダム建設で周辺地域の三分の二が水没し
約140万人の住人が移住したと言われています。

かつての景勝地の風景は激変し

一部保護されましたが
多くの史跡や文化遺産も水没したと聞きます。

また


ダム建設以前からの河川環境の悪化は
水生生物の生態系に多大な影響を及ぼし

いくつかの貴重な固有種も
絶滅、または絶滅の危機にあるらしい。





そのように激変する長江流域で
この映画は、いくつかの隠喩を示していたと思います。

貴重種の水生生物、洪水で廃墟と化した岸辺の村
黒い魚に象徴される父親の魂、詩集に秘められた様々な想い。


そして、巨大ダムで分断されてしまった流れと
アン・ルーの記憶

河は時に異世界とをつなぐ象徴でもあり
流れが変わってしまった今、
時もまた交錯することがあるのかもしれない。


詩集「長江図」を辿るかのような現在と
1989年との会遇

父親と次第に同化していくガオ

まるで長江の化身のようなアン・ルー




船がひたすら遡るだけの静かな映画なのですが
何千年にもわたる河の変遷を

寡黙ながらも強く問うようでもあり
失ってしまった全てのものへの鎮魂
のようでもありました。



ラスト

たくさんの仏像と
長江を見下ろしているアン・ルーの後姿が

印象に残ります。








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Last updated  2018.08.29 17:21:10
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