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Nils in the 70s(その5) 今回は少しゆったりした曲を取り上げてみたいと思います。70年代のニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)の曲を選んでお送りしていますが、70年代も末の1979年のアルバム『ニルス』に収録された、「シャイン・サイレントリー(Shine Silently)」です。いわゆる“ヴァイオリン奏法”(エレキ・ギターのヴォリューム・コントロールで音を調整しながら出す演奏方法)のフレーズと全体のコーラスが印象的な1曲です。 上のものは元のヴァージョンに基づいて、当時オランダでテレビ放送向けに制作された映像とのこと。その後、この曲はライヴでも定番として演奏されるのですが、今まで見たり聴いたりしたライヴ・テイクの中で、文句なしにナンバー1のテイクが次のものです。リンゴ・スター率いるオール・スター・バンドのライヴ動画をどうぞ。 考えてみれば、バックの演奏もリンゴ・スター(ドラムを叩いている姿が繰り返し背景に見えます)をはじめ、そうそうたる面々のバンドなわけで、しかも演奏場所もモントルー・ジャズ・フェスティバル(1992年)という大舞台です。演奏の精度が高いのも当然がら、何よりもニルスが生き生きしてるという印象が強く残るのは私だけではないのだろうと想像します。[収録アルバム]Nils Lofgren / Nils (1979年)←残念ながらレア盤で入手はかなり困難。筆者もここ20年ほどCDを探し求めていますが、未だに出会えず、LPしか持っていません。その他、ベスト盤類にもたいてい収録されています。(↓商品リンク参照↓) Nils Lofgren ニルスロフグレン / Ultimate Collection 輸入盤 【CD】 【中古CD】【5000円以上送料無料】Classics(輸入盤)/Nils Lofgren【中古】[☆3] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年01月31日
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中途半端なタイミングではありますが、ここらで一度INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しておきます。ここ最近の記事を追加しています。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログの右側の欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-L)へ → 2つに分かれています。つづき(M-Z)はこちらです。 アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月31日
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Nils in the 70s(その4) 前回の「ライク・レイン」に続いて、これぞというグリン(Grin)らしい曲をもう一つお届けします。グリンのアルバム『1+1』(1972年)に収録された「ムーンティアーズ(Moontears)」です。 シンプルな3ピースのバンドながら、ニルス・ロフグレンの“ギター小僧”らしさが如実に映し出された曲・演奏です。いかにも、チャートで流行りそうという意味での一般うけはしなさそうな感じがしますが、しかし、ロック通好みの1曲といった趣の曲と言えそうな気がします。まずは元のスタジオ録音のヴァージョンをどうぞ。 この曲も後々ライヴでの盛り上がりどころとして定着していきます。得意のギターソロをたっぷりと聴かせてくれるのに加え、トム・ロフグレンとの兄弟でのツイン演奏(左手はそのままで、右手は相手のギターのピッキングをする)というのが見せ場シーンになっています。2004年のライヴ映像をどうぞ。 「オール・アウト」や「ライク・レイン」は名曲ではあるものの、ヴォーカルが弱いと言われると、否定しがたいのも事実かもしれません(ある時点からニルスのヴォーカルにはいい味が出てはきたのですが)。ともあれ、この映像のようにギターたっぷりの、ギターを聴かせる曲のようになると、ニルスの職人ぶりがよく浮かび上がってくるのではないでしょうか。[収録アルバム]Grin / 1+1 (1972年) 【Aポイント+メール便送料無料】ニルス・ロフグレン NILS LOFGREN / GRIN / 1+1 / ALL OUT (REIS) (RMST) (輸入盤CD)【YDKG-u】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年01月30日
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Nils in the 70s(その3) 前回のクレイジー・ホースのアルバムへの参加後、ニルスは独自のバンドであるグリン(Grin)のリーダーとしてアルバムをリリースしていきます。このグリンというバンドは、ほんの何年間かしかもたずに解散し、目立ったセールスもなかったのですが、コアなファンを獲得しました。案外いい録音を残していて、本ブログでは以前に「オール・アウト」なんかも紹介しています。今回は別の曲をということで、バンドのデビュー作『グリン』(1971年)に収録された「ライク・レイン」をお聴きください。 この曲は元は“さらりとした名曲”のようなイメージだったのですが、本人が年を重ねるとともに、ライヴでも見せ場となる“本当の名曲”な感じに変わっていきます。グリン時代の曲の中で美しい曲を挙げよと言われれば、上述の「オール・アウト」と並んで1・2を争う名曲でしょう。 ついでに「オール・アウト」の映像もと思ったのですが、残念がら見つかったのは次のものだけでした。ボブ・バーバリッチってどこのおじさん?と思うかもしれませんが、グリンのメンバー(ドラム、ヴォーカル)だった人です。このビデオだけでも曲そのもののよさが十分に伝わるかと思い、蛇足ながらのっけておきます。 [収録アルバム]Grin / Grin (1971年) 【Aポイント+メール便送料無料】ニルス・ロフグレン NILS LOFGREN / GRIN / 1+1 / ALL OUT (REIS) (RMST) (輸入盤CD)【YDKG-u】 ブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2013年01月29日
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Nils in the 70s(その2) 70年代のニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)のナンバーを取り上げるマニアックな小特集ですが、ここから数回は時代をさかのぼり、ソロ活動以前のものをいくつか見ていこうかと思っています。 クレイジー・ホース(Crazy Horse)と言えば、ニール・ヤングとつながりの深いバンドですが、実はニルス・ロフグレンもニール・ヤングとゆかりのあるアーティストです。古くはニール・ヤングのアルバム『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』(1970年)、その後も『今宵その夜』(1975年)に参加しています。また、比較的最近では、ニール・ヤング曲のカバー集である『ザ・ローナー~ニルス・シングス・ニール・ヤング』(2008年)なんていうアルバムも出したりしています。 さて、そのニルスは、ニール・ヤングの上記『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』のセッションでクレイジー・ホースのメンバーと出会い、その結果、クレイジー・ホース名義の1stアルバム『クレイジー・ホース』(1971年)に参加しています。その際にニルスが曲提供し、かつヴォーカルも取っているナンバー、「ベガーズ・デイ」をお聴きください。 数年後、この同じ曲はニルスをリーダーとするバンド、グリン(Grin)のアルバムにも収録されることとなりました。というのも、その間に、クレイジー・ホースのメンバーだったダニー・ウィットンはバンドを去り、1972年に亡くなっています。翌73年にリリースされたグリンの『ゴーン・クレイジー』では、かつてクレイジー・ホースで吹き込んだこの曲を、よりニルスらしいアレンジで再録しています。 ちなみに、こちらのグリンでのヴァージョンには、「ダニー・ウィットンへの賛辞(Eulogy to Danny Whitten)」という副題がつけられています。[収録アルバム]Crazy Horse / Crazy Horse (1971年)←1つめの動画のヴァージョンを収録。Grin / Gone Crazy (1973年)←亡きダニー・ウィットンに捧げられた採録ヴァージョン。 【送料無料】【輸入盤】 Crazy Horse [ Crazy Horse ] Grin (Nils Lofgren) / Gone Crazy 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年01月29日
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Nils in the 70s(その1) 少し前に90年代のアルバムとそこに収められた曲(過去記事(1) ・(2) )を少し紹介したニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)。このアーティストの若い頃を少し探ってみようということで、70年代の彼の曲をいくつか取り上げてみようかと思いたった次第です。少々マニアックな何日間かにわたってのシリーズになるかと思いますが、どうかお付き合いください。 とりあえず今回は代表曲の一つといえそうなものを、ということで、「キース・ドント・ゴー」です。表題の“キース”というのは、彼が敬愛してやまないミュージシャンで、かのローリング・ストーンズのキース・リチャーズのことです。この曲には“グリマー・ツインへの頌歌”という副題がつけられていますが、ミック・ジャガーとキース・リチャーズが“グリマー・ツインズ”と名乗っているわけで、その片割れ(なので双子の単数形“ツイン”)のキース・リチャーズに捧げた曲というわけです。70年代当時のTV映像でのライヴ演奏シーンをどうぞ。 そのキースはと言えば、60年代後半から70年代後半にかけてドラッグで複数回逮捕されるなど、まさしく“ヤクでそのうち逝ってしまいそうなミュージシャン”だったわけで、そんな彼に“行かないで”という、敬愛ぶりが伝わってきます。 ちなみにこの曲はその当時だけでなく、後々のライヴ等での演奏も素晴らしく、見せ場の一つとなっています。追加でもう1本、比較的最近(数年前)のソロでのライヴ・パフォーマンスのビデオも挙げておきます。 この動画の画質・音質を差っ引いても、アコギ1本でここまで聴かせられるのは見事です。まさしくプロ中のプロのギタリストの円熟がなせる業といったところでしょうか。[収録アルバム]Nils Lofgren / Nils Lofgren (1975年)←スタジオ録音のオリジナル・ヴァージョンを収録。その他、各種ベスト盤、ライヴ盤にも収録。↓中古のベスト盤です。 【中古CD】【5000円以上送料無料】Classics(輸入盤)/Nils Lofgren【中古】[☆3] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2013年01月28日
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実力派によるカヴァー・アルバム ランディ・クロフォード(Randy Crawford)は、1952年ジョージア州メーコン(オーティス・レディングが住んでいた街としても知られる)出身の、リズム&ブルース・シンガー。本邦では、かつてTVドラマの曲として使用されて人気を集めた「スウィート・ラヴ(原題:Almaz)」でよく知られている。 1970年代半ば以降、ジョージ・ベンソン(参考過去記事)やキャノンボール・アダレイ(参考過去記事(1) ・参考過去記事(2) )との共演、ジェネシスのセカンド作への参加、さらにはザ・クルセイダーズでのリードシンガーとしての参加などでキャリアを重ねた彼女は、80年代に入ってコンスタントに活動を展開し、90年代以降も数年おきにアルバムを発表し続けた。本盤『ネイキッド・アンド・トゥルー(Naked and True)』は1995年に発表された12枚目の作品で、WEAと契約して最初の作品となった。 ランディ・クロフォードは、もともと“自作曲の人”ではなく、作詞作曲を手掛けるという比率は低い(したがって、自作である「スウィート・ラヴ」はその意味では例外的な曲である)。そういう点では、本盤は正面切ってのカヴァー作品集というわけで、彼女の得意分野で真っ向勝負という感じがする。実際、クロフォード自身もこの作品を各原作者に送りたいとリリース当時に語っていたという。 取り上げられている曲は、ジャズ寄り(ジョージ・ベンソン)から、ファンク系(プリンス)まで、さらには、アーシーなルーツ系(JJケイル)からホワイト・ソウル(シンプリー・レッド)までと、ヴァラエティに富んだカヴァー集になっている。サウンドは全体的にややオシャレにし過ぎな感じもしないではないが、若干きらきらしている部分を除けば特にやかましいサウンドというわけではない。むしろ落ち着きがあり、それでいてベースが抑え気味ながらもしっかり太いので、退屈しない音に仕上がっていると言えそう。 個人的に好みなのは、JJケイルの1.「ケイジャン・ムーン」。そもそも通向けなこういう曲を冒頭に持ってきているところからして、意気込みが感じられるというもの。有名曲で特に目を引くのは、2.「ギヴ・ミー・ザ・ナイト」と10.「ホールディング・バック・ザ・イヤーズ」。前者は、一緒に仕事をしたこともあるジョージ・ベンソンの有名曲で、オリジナルの雰囲気を損なわずに淡々と歌い上げる。後者は、シンプリー・レッドのデビュー時のヒット曲で、ブルー・アイド・ソウルを黒人ソウル系が歌うというのがそもそも不思議な感覚を想起させる。 この10.などは特にそうなのだけれど、何か計算づくで曲を選んでいるというよりは、“歌いたい曲を歌う”という、クロフォードの姿勢がこのアルバムにはちゃんと反映されているように感じる。それは、同じく有名曲でプリンスの4.「パープル・レイン」なんかにも共通する。そんな意味でもなかなか好感の持てるいいアルバムと思う。[収録曲]1. Cajun Moon2. Give Me The Night3. Glow Of Love4. Purple Rain5. Forget Me Nots6. I'll Be Around7. Joy Inside My Tears8. Come Into My Life9. What A Difference A Day Makes10. Holding Back The Years11. All The Kings Horses1995年リリース。 Randy Crawford ランディクロフォード / Naked And True 輸入盤 【CD】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年01月26日
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初めて聴く人にも入りやすいお勧め好盤 ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel, 原音のより忠実にピーター・ゲイブリエルとも表記される)は、1950年、イギリス出身のミュージシャン。1960年代にバンド活動を始め、ジェネシス(1969年デビュー)のヴォーカリストとして活躍した後、1970年代後半からはソロとしてのキャリアを積み上げていった。 彼は、ジェネシス在籍時からもともと個性の強いアーティストだったが、ソロとしてのアルバムでもシンセの導入や民族音楽の要素を取り込むなど独創的で実験的な作品作りをしていた。そんな中、1980年代半ばを過ぎて世界的なヒット作として世に送り出されたのが、この『So』という、ソロ5作目のアルバムだった。全英やカナダなど7ヶ国でチャート1位、全米、西ドイツなど4ヶ国でチャート2位の大ヒットとなった。 実を言うと、筆者はこのアルバムからピーター・ガブリエルを好きになり始めたという点では、褒められたファンではない。それ以前のジェネシス作品も知っていたが、名作の誉れ高い『ピーター・ガブリエルIII』も後聴きだった。でも、並外れて個性の強いピーター・ガブリエル(この個性の強さについてはいずれまた別項で取り上げたい)だからこそ、世界的に売れたこのアルバムなら入っていきやすいという面もあるんじゃないかと思う。実際、作った本人も、音楽的実験を積み重ねてきた中でちょっとポップなものをやってみようと思い立ったみたいなコメントを残しており、初めての聴き手にもとっつきやすい曲がわりに多い。 80年代のアルバムに多いパターンで、収録曲(オリジナルのLPでは8曲収録)で、うち5曲(1.,2.,3.,5.,7.)がシングル・カットされた。中でも目を引くのは、大きなヒット(全米やカナダで1位、全英4位)となった2.「スレッジハンマー」。自身がかつて在籍したジェネシスがヒットさせていた「インヴィジブル・タッチ」(同名アルバムのタイトル曲)を引き摺り下ろしての1位獲得というおまけまでついてのシングルチャート1位獲得だった。 もう一つ目立ったシングル曲としては、ケイト・ブッシュ(参考過去記事)が参加した3.「ドント・ギヴ・アップ」が挙げられる。ピーター・ガブリエル曰く、“ケイト・ブッシュの声が好き”で、それまで書いた中で“もっともカントリー・ゴスペルっぽい曲”とのこと。上述の2.の手の込んだビデオ・クリップとともに、この3.でひたすら二人が抱き合っているだけというビデオも、いま思えば印象的だった。 これら2曲以外に筆者のお気に入りとしては、抑制された人間感情をテーマにしたという1.「レッド・レイン」。大きなチャートアクションはなかったものの、アルバム発売の翌年に、上記の通りシングルカットされた。同じくシングル発売もされた5.「イン・ユア・アイズ」は、アフリカっぽいリズムを取り込んだ曲で、曲の終盤では、80年代ワールド・ミュージック台頭の牽引役となったセネガルのシンガー、ユッスー・ンドゥールがゲスト参加している。7.「ビッグ・タイム」もポップなリズムにのった曲であるが、小さな人間が成功をおさめてのし上がる妄想をテーマにしている。そういえば、彼がジェネシスを脱退するに至ったのは、他のメンバーとやりたいことがずれていたのが最大の原因ではあったのだろうけれど、同時に、脱退当時、“スターを意識した自己を反省したい”とのコメントも残しており、この7.のテーマは過去の自身を皮肉ったもののようにも思えてくる。 上で書いたように、ピーター・ガブリエルのベスト作はと問われると、必ずしもこのアルバムにはならないと思う。けれども、とっつきやすいヒット作という意味ではこの盤がNo.1と言えるかもしれない。しかも、“ヒットしたからよい”のではなく、実際には本盤も大した好作品なわけで、他の優れた作品に埋もれて取り上げられにくいだけなのだろうと思ったりする。[収録曲]1. Red Rain2. Sledgehammer3. Don't Give Up4. That Voice Again5. In Your Eyes6. Mercy Street7. Big Time8. We Do What We're Told (Milgram's 37)9. This Is the Picture (Excellent Birds) ←当初のリリースでは、CD、カセットにのみ収録1986年リリース。 ↓ ↓こちらのリンクは、25周年エディションとのことで、収録曲順が若干異なっているようです。 【Aポイント+メール便送料無料】ピーター・ガブリエル Peter Gabriel / So (25th Anniversary Edition) (輸入盤CD)【YDKG-u】【I2012/10/22発売】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月25日
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古き良き時代を彷彿とさせるローカルさ ZZトップ(ZZ Top)はテキサスで結成されたブルース・ロック、ブギー・ロック系の3ピース・バンド。ビリー・ギボンズ(G., Vo.)、ダスティ・ヒル(B., Vo.)、フランク・ベアード(Ds.)の3人が1969年に結成し、翌年にデビュー。以来ずっとメンバー変更なくこの3人で活動している。今回取り上げるのは、1976年リリースの『テハス(邦題:テキサスはパラダイス、原題:Tejas)』というアルバム。 今となっては、ZZトップと言うと“あの長いひげのおじさんたちね”というイメージ(ビリーとダスティの顎鬚)があるかもしれない。現在60歳代の彼らも、デビュー時には20歳すぎの若者で、本盤発表時にはまだ20歳代後半だったわけだが、当初の風貌は“ふつ~に口髭や顎鬚を生やした若者たち”だった。実は本盤は、彼らがそうしたふつうな風貌の時代の最後のアルバムであった(この作品の後、バンドは休止期間に入り、次作で復活した時には長い髭に変わっていた)。 さて、本題のアルバムに話を戻そう。『テキサスはパラダイス』(旧邦題、現行では『テハス』と改められている)とは何とも滑稽なタイトルに見えるかもしれない。とはいえ、この盤のテーマを考えるとあながち的外れではない気がする。原題の『テハス(Tejas)』は、スペイン語で“テキサス”を意味する。よく知られているように、テキサスはもともとメキシコ領で、テキサス共和国として独立したのちアメリカ合衆国に併合されている。つまり、スペイン語読みでのテキサスの発音が“テハス”であり、実際、テキサスではスペイン語やメキシコ系文化が日常的というか、人々の生活の一部として浸透している。ZZトップのアルバムにスペイン語タイトル(『トレス・オンブレス』、『ファンダンゴ』、『デグエジョ』、『エル・ロコ』など)が多いのも、こうしたバックグラウンドを持っているからこそだろう。 本盤『テハス』の収録曲にもそうしたテキサスのローカル文化の背景が反映されている。3.「エル・ディアブロ(スペイン語で“悪魔”の意)」は、“無法者のメキシコ人ディアブロ”をテーマにしているし、7.「パンナム(パンアメリカン)・ハイウェイ・ブルース」というのも何とも20世紀的なテーマと言えるかもしれない(汎アメリカ道路とはアメリカ大陸北端から南端までを結ぶ道路の名称で、サン・アントニオなど州内を通過する)。 サウンド面に目を向けると、これまたテキサスらしいというか、ローカル受けしそうな雰囲気が漂っている。ローカルといっても、別に悪い意味で言っているわけではない。きっと、その当時、こういうブルースを取り入れてやっているロックが地元では特に受け入れられやすい素地があったのだろう。ノリで聴かせるテキサンらしい明るさをもった曲もあれば、哀愁や悲哀を漂わせる曲もあり。個人的にはどちらも好きだが、前者の例としては、2.「アレステッド・フォー・ドライヴィング・ホワイル・ブラインド」や9.「ハートブレイカー」、後者の例としては、上述の3.とインスト曲の10.「アスリープ・イン・ザ・デザート」がいい。 時は流れて21世紀のいま、こういう“よきローカルさ”みたいなものはなかなか出にくくなったように感じる。音楽業界的には80年代のMTVに代表されるような商業化の流れ、もっと大きくはその後の急速なグローバル経済化によって、ローカルなよさは表現されにくくなってしまったのではないかと思う。昔の郷愁に浸ってばかりいても仕方ないのだけれど、時にはそんなことを考えながら、髭が長くなかった頃のZZトップを堪能するというのもいいのではないだろうか。[収録曲]1. It's Only Love2. Arrested for Driving While Blind3. El Diablo4. Snappy Kakkie5. Enjoy and Get It On6. Ten Dollar Man7. Pan Am Highway Blues8. Avalon Hideaway9. She's a Heartbreaker10. Asleep in the Desert1976年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】ZZトップ ZZ Top / Tejas (輸入盤CD)【YDKG-u】 ブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2013年01月23日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログの右欄(フリーページ)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-L)へ → 2つに分かれています。つづき(M-Z)はこちらです。 アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月21日
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“百聞は一見に如かず”などと言いますが、音楽については、“百読は一聞に如かず”かもしれないなどと思い、先回のニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)のアルバム、『クルッキド・ライン』から、動画(音声)をお届けしたいと思います。 まずは、アルバム冒頭の1.「チャイルド・クッド・テル(A Child Could Tell,例によって邦題は不定冠詞aがなぜか脱落した表記)」です。記事でも書いたように、ギターがメインでかつ軽快なサウンドです。 先回記事の中で触れた他の曲の中にも紹介したいものがいろいろあるのですが、ニルス・ロフグレンは人気・知名度ではやはりマイナーなのか、あまり多く見つかりませんでした(3.「ミザリー」なども本当は紹介したかったのですが)。 とはいえ、もうひとつ、これはぜひという1曲、4.「ユー(You)」です。アルバム収録のオリジナルはアコーデオンのイントロが入っていて少し違う部分もあるのですが、以下のものは1997年の『アコースティック・ライヴ』に収めされた、アコースティック・ギター・ソロの「ユー」です。 繰り返しになりますが、70年代のまさしく“ギター・キッド”といったニルスも魅力的であるものの、個人的にはそれを上回るくらい、この時期の彼も好きだったりします。下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月19日
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目立たぬ活動ながら、成熟したキャリアの頂点作 ニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)は、70年代前半にグリン(Grin,関連過去記事(1)・(2))というギター・ロック・バンドでひそかなファン層を獲得し、その後はソロのキャリアをつづけた後、80年代半ば以降、ブルース・スプリングスティーンのバックバンド(E・ストリート・バンド)や、リンゴ・スター率いるオール・スター・バンド(リンゴ・スター・アンド・ヒズ・オール・スター・バンド)で活躍した。 スプリングスティーンのバンド活動がいったん止まった結果、1990年代に入り、ニルスはしばらくストップしていたソロ活動を復活させた。その第1弾は『明日への旅路(Silver Lining)』という、ギタリストとしての原点回帰を意識したようなサウンドの作品だったが、続く本盤『クルッキド・ライン(Crooked Line)』は、ギタリストとしてのキャリアを推し進めて重厚なサウンドやポップな音をバランスよく組み合わせながら、ヴォーカリストとしての魅力もさらに進化させることとなった。既に60歳を超えた現在まで、70年代の“ギター小僧”としてのイメージが付きまとうことの多い人であるが、この時期はもう一つの彼のキャリアの頂点だとすら思う。 本盤のハイライトを私的な好みの曲で見てみたい。まず、軽快で厚みのあるギター・サウンドを生かした1.「ア・チャイルド・クッド・テル」が本盤のイメージをよく表している。このトーンをもう少し柔らかにした2.「ブルー・スカイズ」、逆にもう少しハードにした10.「ジャスト・ア・リトル」がよい。ちなみに、後者の10.は、収録曲のうち唯一のカバー(他はすべて自作曲)で、ボー・ブラメルズ(Beau Brummels)の1965年のヒット曲。 その一方で、前作から芽生え始めたヴォーカリストとしての成熟を強く印象づける曲も多く含まれている。失礼ながら、かつては“ヘタウマ”系だったのが、本作の前後からは見事に“聴かせるヴォーカル”へと目に見えて変化してきている。その典型はアコギにのせて軽快に歌う4.「ユー」で、バックのヴォーカルとハーモニカには旧知の仲であるニール・ヤングの参加を得ている(この曲以外では8.のコーラス、11.のギターでもニールがゲスト参加している)。他には5.「ショット・アット・ユー」や9.「ニュー・カインド・オブ・フリーダム」などがギターを控えめにし、どちらかというとヴォーカル志向の曲に仕上がっている。 そんなヴォーカリストしての魅力が最大限に生かされているのは上述の4.で決まりだが、得意のギター・プレイをちゃんと生かしながらという点を考えれば、3.「ミザリー」が本盤の聴きどころの一つと言えるだろう。イントロのアコーデオン(これもニルス自身の演奏)から始まり、歌をしっかり聴かせつつ、サポートやバンドのメンバーとしてB・スプリングスティーンやR・スターの楽曲の合間に聴けるあのギター演奏も満載。その意味ではこの3.がアルバムを代表する1曲と言えるかもしれない。 ストーンズに声がかかり(実際には加入せず)、B・スプリングスティーンやR・スターのギタリストを務め、ニール・ヤングとの親交も古くからあり、経歴は素晴らしいのだが、いまいちソロとしては有名になり損ねたニルス・ロフグレン。でもこのまま埋もれさせておくにはもったいないアルバムが他にも多くある。[収録曲]1. A Child Could Tell2. Blue Skies3. Misery4. You5. Shot At You6. Crooked Line7. Walk On Me8. Someday9. New Kind Of Freedom10. Just A Little11. Drunken Driver12. I´ll Fight For You1992年リリース。 【中古】 Crooked Line / Nils Lofgren / Nils Lofgren / Rykodisc [CD]【メール便送料無料】 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月18日
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プログレに取り込まれたムソルグスキー エマーソン、レイク&パーマー(Emerson, Lake & Palmer, 略してEL&P)は、キース・エマーソン(キーボード)、グレッグ・レイク(ベース)、カール・パーマー(ドラム)の3人が結成したイギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド。1970~71年にかけて2枚のアルバムを発表した後、1971年末にリリースされたのがライヴ録音(録音そのものは第二作『タルカス』発表前の3月)による本盤『展覧会の絵(Pictures At An Exhibition)』であった。 筆者が初めてEL&Pを聴いたのは、なぜだったかはもう記憶にないが、このアルバムだったので、まずはこのアルバムを取り上げてみる。熱心なファンからは“最初が『タルカス』じゃないなんて!”との声も聞こえてくるだろうし、冷静に考えれば、本盤をEL&Pの代表作と呼ぶには憚られる部分もある。けれども、彼らの特徴をわかりやすく示しているというのも確かなように思う。 『展覧会の絵』というタイトルからわかるように、19世紀ロシアの作曲家ムソルグスキーによるクラシックの組曲を取り上げたライヴ演奏である。アナログA面にあたる1.~6.は概ね原曲となった組曲の筋に添いながらも、途中の4.「賢人(The Sage)」はグレッグ・レイクのオリジナルで、元の組曲の「ビドロ(Bydlo)」の進行を取り入れたもの。また、6.「ブルーズ・ヴァリエイション」はEL&Pの3人がクレジットされているものの、元の組曲の「古城(古い城,Il Vecchio castello)」の主題によるもので、なおかつジャズ・ピアニスト、ビル・エバンスの「インタープレイ」が引用されている。 旧アナログB面にあたるアルバム後半では、引き続きムソルグスキーの組曲の続きが展開されるが、8.~10.は、原曲の「鶏の足の上に建つ小屋 - バーバ・ヤーガ」を元にしながらも、9.「バーバ・ヤーガの呪い(The Curse Of Baba Yaga)」はEL&Pのクレジットとなっていて、前半に収められた2.「こびと(The Gnome)」の引用も含まれる。ちなみに、アルバムの末尾を飾る12.「ナットロッカー(Nut Rocker)」だけは、ムソルグスキーではなく、同じくロシアの有名な作曲家チャイコフスキーの、これまた有名な「くるみ割り人形」の中の行進曲(マーチ)をロック風にアレンジしたもの。 以上のように、題材は基本的にクラシック一辺倒である。プロムナードのあの主題が静かに始まる部分は確かに“ん?クラシック?”と思わせる雰囲気がなくもない。けれども演奏が進み、盛り上がるにつれ、演奏は完全に“プログレ化”している。当時、発達の真っ只中にあったプログレッシヴ・ロックという音楽的創造性がこれらすべてを飲み込んでいけるだけのパワーを秘めていたということだろうか(無論、それを演奏していた彼らの技術のすごさももちろんながら)。筆者お気に入りのジャケットが、白紙の絵というのも、このあたりの創造性とよくマッチしている。 ちなみに、このアルバムの発売はそもそも予定されていなかったという。バンドのリハーサルの腕ならしとして「展覧会の絵」をプレイし、ライヴでも演奏し始めたところ、海賊版が出回る。グレッグ・レイクは“レコードとして発表するつもりはなかった”が、マネージメント側の強い説得があり、オフィシャル版のリリースに至ったというのがどうやら真相のようだ。 ともあれ、過去のシーンを振り返ってみれば、EL&Pは、キング・クリムゾン、イエス、ピンク・フロイドと並んで“プログレ四天王”と呼ばれたり、あるいはこれらにジェネシス(ポップ路線化する前のジェネシス)を加えて五大バンドと呼ばれたりする代表的なプログレ・バンドの一角をしめる。彼らに共通するのはとにかく圧倒的な演奏能力の高さで、その緊張感や演奏の完璧さ(どちらに力点があるかはバンドや作品によって異なるにせよ)は、どれも甲乙つけがたい超ハイレベルなものである。そんな中、クラシック曲をそもそもの主たる題材とし、独自の消化を経た新たな(プログレッシヴ=“進歩的、革新的な”)音楽として提示した彼らの底力と志向性がよく反映された名盤が『展覧会の絵』だと思う。[収録曲]1. Promenade2. The Gnome3. Promenade4. The Sage5. The Old Castle6. Blues Variation7. Promenade8. The Hut Of Baba Yaga9. The Curse Of Baba Yaga10. The Hut Of Baba Yaga11. The Great Gates Of Kiev12. Nut Rocker1971年リリース。 【送料無料選択可!】展覧会の絵 [生産限定盤] / エマーソン、レイク & パーマー 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2013年01月17日
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ピンク・フロイドのギタリストによる初ソロ作 英プログレの代表的バンド、ピンク・フロイドのギタリストかつヴォーカルも担当していたデイヴ・ギルモア(本名デヴィッド・ジョン・ギルモアDavid Jon Gilmour)。ピンク・フロイドとして『アニマルズ』のコンサートツアーの後、1977年夏には実質的に活動が止まり、メンバーは各々の活動に勤しむことになった。その結果、いち早くソロ作の制作に取り掛かり、これを翌年リリースしたのがデヴィッド・ギルモアだった。 アルバム表題はセルフ・タイトルの『デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)』。作品全体としては、ギルモアのギターとヴォーカルがメインで楽しめる一枚となっている。ピンク・フロイドの作品は極めて完成度が高く、おそらくはそれ故に“演奏者の顔”が想像しにくい側面があるけれど、ギルモアの本ソロ作はいい意味でプレーヤーの顔が見えると言っていいと思う。ちなみにギルモア自身は完全主義的なピンク・フロイド作品に対する“解毒剤”だとその当時語っていたそうな。 実際、アルバムを聴いてみると、1.「ミハリス」というインスト曲から始まり、どんな展開かイントロ部分で引っ張られながらも、気が付くと、浮遊感いっぱいのピンク・フロイドで聴かせてくれるあのギター演奏がいきなり爆発している。これに対し、初めて聴いたときは肩透かしという印象を持ったのだが、2.「ゼアーズ・ノー・ウェイ・アウト・オブ・ヒア」や3.「クライ・フロム・ザ・ストリ-ト」は、これとは異なり彼がヴォーカル主体のロック・ナンバーに仕上がっている。さらに4.「ソ-・ファ-・アウェイ」ではさらにゆったりしたテンポのロック・バラード調といった具合…。 要するに、ピンク・フロイド作品全般との比較で言うと、“出来上がった世界で聴かせる”バンドの作品に対して、本盤は“個人の魅力を中心にして聴かせる作品”に仕上がっているということなのだろうと思う。それゆえ、トータルな完成度を意識しすぎず、個々の曲でギルモアの魅力を出していくという方針で作られているという感想につながるのだろう。 ヴォーカル・メインのギルモア、それもよりロック寄りかややバラード寄りか。はたまたやや実験的な音も含む他のナンバーか。それともギター全開のインスト曲か。デヴィッド・ギルモアという人の複数の魅力がうまく配合されているので、そんなことを考えながら楽しんで聴ける一枚だと思う。ちなみに筆者が特に気に入っているのはと訊かれると、全体としてはヴォーカル・ナンバーの方がいいのだが、1曲だけあげるなら冒頭のインスト曲。上述の1.の演奏は、ピンク・フロイドの作品『炎~あなたがここにいてほしい』の「クレイジー・ダイアモンド」と重なり合う見事な演奏。出た当時は受けが悪かったにせよ、もうちょっと正当に評価されてしかるべき作品なんだろうと思う。[収録曲]1. Mihalis2. There's No Way Out of Here3. Cry from the Street4. So Far Away5. Short and Sweet6. Raise My Rent7. No Way8. It’s Deafinitely9. I Can't Breathe Anymore1978年リリース。 【送料無料】【輸入盤】 David Gilmour [ David Gilmour ] ブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2013年01月14日
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現在と過去の両方を見据えた秀逸盤 実を言うと、私はこういう音楽に滅法弱い。ちょっと聴いただけでノック・アウトされてしまう。ブルースとロックの接点、そこでセンスや才能が爆発した時のあのゾクゾク感のことである。一般化していえば、60年代末から70年代初めの、いわゆるブルース・ロック系と分類されるアーティストの作品にそういうのが多い。そんな諸作の中で、何度聴いても飽きない1枚がこの『セカンド・ウィンター』である。 ジョニー・ウィンター(Johnny Winter)は、1944年テキサス生まれ。1968年にローカル・デビュー盤『ザ・プログレッシヴ・ブルース・エクスペリメント』でデビューし、すぐさま翌年にメジャー・デビュー盤『ジョニー・ウィンター』も発表。この時のCBSとの破格の契約からは“100万ドルのギタリスト”という触れ込みまでついた。このデビューの勢いに乗って同じく1969年にリリースされたメジャー第2作がこの『セカンド・ウィンター(Second Winter)』だった。 後聴きの筆者はアナログ盤を体験していないのだが、本盤はLPでは変則的な2枚組で、A面、B面、C面という仕様であった(つまりLP2枚目の裏側には収録なし)。つまりはアナログ盤にして1.5枚分という中途半端な曲数の収録である。 この曲数だけをみると、“アルバム1枚分以上あったから詰め込んだ?”とか、“2枚組にするほどアイデアがなかった?”などと勘繰る人もいるかもしれないが、実はまったくそうではない。しっかりと計画された1.5枚分なのである。収録された全11曲のうち、最初の3曲はブルース・サイド。白人ブルースの名手としての演奏がいかんなく発揮されているパートである。続く4曲はいってみればロック・サイド。この少し後にジョニー・ウィンターが“ジョニー・ウィンター・アンド”のバンド名で展開していく際に核となった部分である。最後に、アナログC面にあたるのがジョニー・ウィンター自身の“創作サイド”である。 つまりアルバムは明確に3つのパートに分かれていて、“A+B=C”という図式が透けて見える。ブルースとロックの伝統(過去)をそれぞれを消化し、独自の音楽創作(いま)につながるという図式である。一般には、過去に比重の高いアルバム作品とか、現在~未来を見据えて革新的・創作的要素を中心に据えたというアルバムは、今も昔も多いけれど、過去と現在の組み合わせというコンセプトがこれほど見事かつ明瞭に出て、しかも成功している例というのは、そう多くないのではなかろうか。 最後に、“ところでどのパートがいちばんいいの?”との質問が飛んできそうなので、私的な好みを記しておきたい。賛否両論あるだろうが、筆者は“ロック的”なジョニー・ウィンターはさほど好きではないので、どれかと訊かれれば、A面がいちばん好きである。そのA面の要素が生かされたC面の部分ももちろんお気に入り。曲単位でいうと、A面の1.~3.はどれも見事だが、特に1.「暗い苦しみの思い出(メモリー・ペイン)」と2.「心に秘めた愛(アイム・ノット・シュア)」が好み。それ以外では、ボブ・ディランの7.「追憶のハイウェイ61」がなかなかいい味を出している。アルバム終盤にかけては、どれもいい出来だが、1曲だけ気に入っているナンバーを挙げるとすれば、11.「ファスト・ライフ・ライダー」で決まりといったところだろうか。[収録曲]1. Memory Pain2. I'm Not Sure3. The Good Love(以上、アナログA面)4. Slippin' and Slidin5. Miss Ann6. Johnny B. Goode7. Highway 61 Revisited(以上、アナログB面)8. I Love Everybody9. Hustled Down In Texas10. I Hate Everybody11. Fast Life Rider(以上、アナログC面)1969年リリース。*2004年の“レガシー・エディション”では、追加トラック2曲、ボーナスディスク(ライヴ)1枚が追加(筆者は未聴)。 【送料無料】セカンド・ウィンター/ジョニー・ウィンター[Blu-specCD]【返品種別A】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月11日
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今は亡きラテンのプリンセス、デビュー作 ソラーヤ(Soraya, 本名ソラーヤ・ラケル・ラミージャ・クエバスSoraya Raquel Lamilla Cuevas)は、米国生まれのラテン女性シンガーソングライター。出生地はニュージャージー州だが、両親はコロンビア出身で、生まれて間もなくいったんコロンビアに帰り、その後、8才の時に再びニュージャージーに戻ってきたという。 子供のころから音楽好きで、両親からギターを与えられたり、ニューヨーク市の青少年交響楽団でヴァイオリンを演奏したりしていたという。大学卒業後、アメリカン航空のスチュワーデスをしていた時に音楽業界の有力者と知り合い、レコード・デビューの機会を得た。そうしてリリースされたのが、スペイン語と英語の両方で吹き込まれたデビュー作で、ここで取り上げる『エン・エスタ・ノチェ(En Esta Noche)』はそのスペイン語版の方というわけである。 このデビュー作は好評価を得て、アメリカだけでなくヨーロッパやラテンアメリカでも人気を博し、彼女自身もツアーを行った。筆者はちょうどこのデビューの時期をラテンアメリカ某国でリアルタイムで体験したのだけれど、ちょうど女性シンガーソングライターを歓迎する雰囲気があった。世界的には、例えばアラニス・モリセットのヒットなどがそうだったし、スペイン語圏ではシャキーラ(Shakira)のデビューもこの頃だった。そんな中、爽やかでありながら陰のある、情感豊かなソラーヤの歌声が受けるのは必然だったのだろう。いま思えば、シャキーラの歌い方と似ている部分もあるが、シャキーラが元気に勢いがあるのに対し、ソラーヤの方がもう少し落ち着いた大人っぽさを残していたように感じる。 本盤収録の中で特にお薦めは、シングルとしても好評だった1.「デ・レペンテ(De repente,突然に)」、この人らしい曲調の2.「ケダテ(Quédate,もうしばらくいてほしい)」、アルバム・タイトル曲の8.「エン・エスタ・ノチェ(En esta noche,この夜に)」。それから、少し変わったところでは、10.「プエブリート・ビエホ(Pueblito Viejo,古い村)」。アルバム収録曲のうち、この曲だけは自作ではなく、幼いころに叔父から教えてもらったコロンビアの伝統的ナンバーとのこと。 その後、彼女は2000年、31歳で乳がんであることがわかり、2006年に37歳で亡くなった。実は彼女の母も、ソラーヤが12才の時に乳がんが見つかってその10年後に亡くなっており、さらには、祖母も叔母も乳がんにより亡くなっているということ。若くしての残念な死で、ソラーヤの新しい曲はもはや聴けないわけだが、生前にいいアルバムを他にも残しているので、機を見てまた取り上げたいと思う。[収録曲]1. De Repente2. Quédate3. Amor En Tus Ojos4. Avalancha5. Calma Antes de la Tormenta6. Las Ruinas en Mi Mente7. Debo Saber8. Razón Para Creer9. En Esta Noche10. Pueblito Viejo1996年リリース。*注:こちらは英語版です。 ↓ ↓ Soraya ソラヤ / On Nights Like This 輸入盤 【CD】*ベスト盤です。 ↓ ↓ Soraya ソラヤ / 20th Century Masters: Millennium Collection 輸入盤 【CD】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月09日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここしばらくの記事(”年末年始に聴く”の分)を追加しています。 INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編へ アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-L)へ → 1ページに収まらないので2つに分けています。つづき(M-Z)はこちら。 アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月07日
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スタン・ゲッツ&ジェリー・マリガン 「ザット・オールド・フィーリング(That Old Feeling)」 “年末年始に聴くこの1曲”と題してお送りしているジャズ・シリーズも、ようやく一区切りの10回目です。日本列島はよく冷えていますが、寒い朝にほんのりと暖かさを伝えてくれそうな曲、なおかつ、明日から仕事だけどもう1日お休みという方にも柔らかく“休日ジャズ”気分にさせてくれそうなこのナンバーをお届けします。 スタン・ゲッツ(Stan Getz)とジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)の共演作『ゲッツ・ミーツ・マリガン・イン・ハイ・ファイ』に所収の「ザット・オールド・フィーリング」です。 スタン・ゲッツのテナー・サックス、ジェリー・マリガンのバリトン・サックスとも、優しく柔らかい音で包み込んでくる感じです。演奏自体はピアノソロを挟んだ曲後半にかけて盛り上がっていくのですが、不思議と“激しく吹いている”感が強くはなくて、聴き手としては周りから“包み込まれていく”感じのまま曲の最後を迎えます。 これで次回からは通常の更新ペースに戻ります。あらためまして、本年も引き続きご愛顧のほど、何卒よろしくお願いします。 【送料無料】【輸入盤】 Getz Meets Mulligan In Hi Fi [ Stan Getz / Gerry Mulligan ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月06日
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ドド・マーマローサ「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート(On Green Dolphin Street)」 年末年始ということでお送りしているこのシリーズ、まだこの週末までお休みという人もいらっしゃることでしょうが、個人的には、年明け気分が消えぬうちに終えなければとそろそろ焦り始めていたりもします(笑)。 さて、今回は、ドド・マーマローサ(Dodo Marmarosa)の「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」をお届けします。1961年録音のアルバム『ドドズ・バック』に収録されています。 このドド・マーマローサという人は残念なことに残した録音があまり多くなく、もっと吹き込みを残してほしかったピアノ奏者の一人です。硬質で、おそらくはそれ故に寂しげな雰囲気が漂うピアノ演奏はぜひ一度は聴いておくべきという感想を持っています。 実はこの「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」という曲自体が私個人は大好きで、同じくピアノ奏者のレッド・ガーランドのものなどは最高にお気に入りだったりします。折角ですので、今回は、ついでにレッド・ガーランドによる演奏もどうぞ。 レッド・ガーランドの方は、よく“カクテル・ピアノ”とか言われたりしますが、この演奏なんかを聴くと、“音と音の狭間”、言い換えると、“弾かない部分の間”の使い方が絶妙だと思います。 【送料無料選択可!】【試聴できます!】ドドズ・バック! / ドド・マーマローサ Red Garland レッドガーランド / Bright & Breezy 輸入盤 【CD】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月04日
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ジョニー・グリフィン「ハッシャ・バイ(Hush-A-Bye)」 正月三が日もそろそろ終わり、明日から仕事モードに切り替えという方もいらっしゃるかと思います。正月気分から平常への切り替えの気分ということで、いくらか軽快で爽快な演奏を取り上げようと考え、思い当たったのが、ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)のこのナンバーです。 1961~62年録音(12月~1月にかけてなのでちょうど1年のこの時期の録音)の『ザ・ケリー・ダンサーズ』から、表題曲と並んでお気に入りの「ハッシャ・バイ」です。 “小さな巨人(リトル・ジャイアント)”の異名をとるジョニー・グリフィンは、豪快でスピードあるテナー演奏で知られます。けれども、過去の記事でも少し述べたように、そのパワフルさをひたすら前面に出すのではなく、馬力があるのを抑えながら余裕で演奏している時のプレイにも大きな魅力があります。 この演奏(これが含まれるアルバム全体もそうなのですが)は、そうしたグリフィンのよさが凝縮されています。ワン・ホーン演奏でのゆったりとした出だしから、ノリのまま次第にエンジンの回転数が上がっていくアドリブ演奏。かといって疾走しまくるのではなく、飛ばすべきところはエンジンを吹かしながら、しかしその一方では余裕を残しながら悠々としたブロウ。実に魅力いっぱいの演奏です。 [枚数限定][限定盤]ザ・ケリー・ダンサーズ/ジョニー・グリフィン[CD]【返品種別A】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月03日
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ケニー・バレル&ジミー・レイニー「ブルー・デューク(Blue Duke)」 今回はギターがメインの、とはいえ、トランペットにサックスもフィーチャーされたお薦めの1曲をいきたいと思います。 ケニー・バレル(Kenny Burrell)とジミー・レイニー(Jimmy Rayney)という2人の職人的ギタリストが競演した『2 ギターズ』という盤に収められた「ブルー・デューク」です。トランペットはドナルド・バード、アルト・サックスはジャッキー・マクリーンが参加しています。 この曲を選んだ理由は、2人の共演に有名奏者2人が加わってとかいう”有名奏者目当て”なわけではありません。ずばり、その“カッコよさ”です。曲の出だしの(いつ本格的に始まるの?と期待させつつ、その期待を裏切らない)カッコよさ、ひいてはエンディングにも通ずるテーマの演奏のカッコよさ。それぞれの個性が出ていながらも曲全体の出来を壊さないよう抑えの効いた渋めの各ソロ演奏。 この曲の演奏時間の8分という長さは、ジャズに限れば決して長いわけじゃありません。けれども、一般論で言えば、8分というのはわりと長い間合いだと思います。でも、この演奏は、いったん引き込まれてしまうと、その8分があっという間の好演です。下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月03日
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キャノンボール・アダレイwithミルト・ジャクソン「ザ・サイドウォークス・オブ・ニュー・ヨーク(The Sidewalks of New York)」 さて、昨年末から続いている“年末年始に聴くこの1曲”と題したジャズ・ナンバーのシリーズ。2013年の一発目は、キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)がミルト・ジャクソン(Milt Jackson)とともに前面に出た作品『シングス・アー・ゲティング・ベター』からの1曲でスタートしたいと思います。 録音されたのは、名盤として知られる『サムシン・エルス』と同じ年で、同盤の半年ほど後のこと。ビブラフォン奏者として第一人者のミルト・ジャクソンがリズムセクションの上をブルージーに動き回り、キャノンボールはストレートに気持ちいいソロ演奏を披露しています。 思うに、キャノンボール・アダレイのよさはこういうどちらかと言うとストレートなアルト・サックスの演奏にあるという気がしています。後に“ファンキー”なイメージが付くという側面もありますが、やはりこの人の魅力は、基本的にはきっとこの人の人柄が反映されているであろう素直な部分にあるのではないか、と思ったりします。 キャノンボールが前面に出て吹いている盤もお気に入りが多いのですが、今回はあえてミルト・ジャクソンのヴァイブとの組み合わせを選んでみました。このミルト・ジャクソンという人も、MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)の時に比べ、ソロになるとブルージーさが増して、グループのときとは違った魅力を発揮します。このナンバーでもその本領が見事に発揮されています。 【送料無料】JAZZ THE BEST 81::シングス・アー・ゲッティング・ベター +2 [ キャノンボール・アダレイ ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年01月01日
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2013年がスタートしました。 今年も変わらずよろしくお願いいたします。 今年の目標ですが、無理しないペースで2~3日に一度はブログを更新しつつ、これまでに聴いていないアーティストやアルバムを広げていきたいと思っています。新宿や御茶ノ水辺りを徘徊する機会が増えそうですので、買い過ぎには注意しながらぼちぼち買う、というのが目標です。 ブログランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年01月01日
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