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昨日健康診断を終わって帰宅して、ワイヤレス・スピーカーをiPadと接続しようとしてリモコンを探したらない。心当たりを探してもない。家族も知らないという。結局当ブログが間違ってゴミ箱に捨てたという結論になった。当のゴミはというと昨日はごみ収集日なので、とうに捨てられてしまっている。取り敢えず、iPadに入れているソニーのMusic Centerというアプリで、LANとBluetoothの切り替えはできるし、確かiPhoneにも同じアプリが使えるはずだということをおプールで泳ぎながら考えていた。ところが、プールから帰ったら、テーブルの上にリモコンがある。子供に聞いたら、猫の餌の袋に入っていたようだ。多分、リモコンを持っていて、餌を皿に入れたので、餌をカップに入れるときにリモコンを袋に入れてしまったことに気が付かなかったようだ。取り敢えず、問題は解決したが、こういう場合の対策用に何がないか探したら、色々な製品があるみたいだ。当ブログが見たのは、付属の笛か口笛に反応して音と光でお知らせするというものだ。よく使うリモコンに着けておけば安心だ。安いので、速攻でクリックしてしまった。これを見ると、世の中進んでいる、というか当ブログが遅れているだけかもしれない。レビューを見ると評価が低い方もいるが、とりあえず使ってみることにしたい。スマイルキッズ リモコン発見器 ARS-11
2018年08月31日
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2008年にボザール・トリオが解散してからソロで活躍しているプレスラー(1923-)の新作。欲しいと思っていたが、保留していたところ、Presto Classicalで\790という破格値でバーゲンをしていたので購入した。テンポが大変遅い。止まりそうになる瞬間もあり、なかなか冷や冷やものだ。ところが、それが違和感を持つどころか、とても説得力がある。たとえて言えば、忘れていた昔々のイメージがひょっこリ蘇ってきたような感じなのだ。とても懐かしく、何とも言えない気持ちになる。それは現代の演奏とはまるで違う、柔らかでぬくもりのある音たちのせいかもしれない。また、このテンポで弾き切るというのも大変な力量がなければできない仕事だろう。プレスラーの積み重ねてきた年輪の重みを感ぜずにはいられない。異常に遅いテンポのため、普段見えていない側面が露わになるという効果?もある。テンポもそうだが、他のピアニストと全く違う解釈の曲もある。ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」がそれ。この曲の印象としては、静かな中に流麗な旋律が流れるみたいな印象がある。wikiによると、『ラヴェルがルーヴル美術館を訪れた時にあった、17世紀スペインの宮廷画家ディエゴ・ベラスケスが描いたマルガリータ王女の肖像画からインスピレーションを得て作曲した』とされているらしい。プレスラーの演奏では冒頭の左手のリズムがスタカートでとつとつと演奏されていて、何故かエジプトあたりの王女の時代を感じさせるのが面白い。今までこんな解釈にお目にかかったことはない。同じラヴェルの鏡の第2曲「悲しげな鳥たち」を、児玉桃の演奏(ECM)と比べてみた。演奏時間は1分30秒ほどプレスラーが遅い。児玉の演奏が4分弱なので、この時間の差は大変なものだ。サウンドの透明度やキラキラとした輝きはさすがに児玉には劣るが、この曲の寂しげな雰囲気はプレスラーのほうがよく出ているように思う。ポピュラーな曲でも、尋常でない解釈が逆に曲の良さをしみじみと感じさせる。こういうのを滋味あふれる演奏というのかもしれない。何れにしても、プレスラーのワン・アンド・オンリーの個性が発揮された、良い意味で、特異な演奏だろう。Menahem Pressler :Clair De Lune(DGG 479 8756)Claude Debussy:1. Arabesque No.1 (From Deux Arabesques, L. 66)2. Rêverie, L. 683. Clair De Lune (From Suite Bergamasque, L. 75)4. The Little Shepherd (From Childrens's Corner, L. 113)5. La Plus Que Lente, L. 121Préludes Book I, L. 1176. Danseuses De Delphes7. Voiles8. La Fille Aux Cheveux De Lin9. La Cathédrale Engloutie10. MinstrelsGabriel Fauré11. Barcarolle No. 6 In E Flat Major, Op. 70Morice Ravel12. Pavane Pour Une Infante Défunte, M. 1913. Oiseaux Tristes (From Miroirs, M. 43)Menahem Pressler(p)Recording: 4-7 April 2017, Salle Rémy Pflimlin, Conservatoire national supérieur de musique et de danse de Paris
2018年08月29日
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以前ルノー・カピュソンの現代作品を集めたCDで興味を持ち、アルバムの購入を検討していたマントバーニ。彼の作品を収録したアルバムが、偶然eclassicalのハイレゾ・ダウンロード音源で安いのを知り、さっそく入手した。価格は$9.29で、CDの最安値もほぼ同じ値段だから、お得だ。2014年の2月にフランスでまとめて収録されている。ティエリー・ミローリオ Thierry Miroglioはレパートリー350曲を誇り、欧米、アジアと広く活躍されている打楽器奏者だそうだ。日本へもワークショップなどでたびたび来日されている。また、多数の演奏団体や作曲家との交流もあり、世界を股にかけて活躍されているようだ。ここで取り上げられているのは6人の作曲家による作品。3人ほど名前は知っているが、作品を聴いたことがあるのはマントヴァーニとエトベシュのみ。レイポヴィッツは指揮者として有名だが、作曲もしているとは知らなかった。ストロッパがイタリア生まれであるほかは、フランスの作曲家たちで、レイポヴィッツ以外はご存命だが、マントヴァーニ以外はお年を召した方ばかりだ。このCDの売りはすべての作品が世界初演であることだ。パーカッションの作品というと、サウンドを聞かせる作品と他のジャンルの曲のようにメロディーやリズムを聞かせる作品に分けられるだろう。このCDは前者の傾向が強く、いろいろな楽器や効果音が使われていて、とても楽しめる。曲自体も構成がユニークなものが多い。なので、普通意識するリズムや(鍵盤楽器の場合の)メロディーは全く意識することがない。最初に注目したマントバー二の作品は打楽器とキーボードの組み合わせ。キーボードは打ち込みもありかなり面白い。ホバリングしながらぶんぶんうなる蜂を連想させるような部分や、川が流れるような音とか打楽器がなくても面白い、後半の長いエコーを効かせたボンゴのサウンドもとても惹きつけられる。13分ごろのゾンビの声みたいなのは作曲者の趣味だろうか。一番気に入ったのはジャン・クロード・リセの「ナチュール・コントル・ナチュール」(自然の自然?)。打楽器とコンピューター(打ち込み)のための作品で東洋的な佇まいが面白く、特に第4番が興味深かった。イントロの爆発音みたいな音から始まり、バタバタというヘリコプターみたいな音やガムラン音楽のゴングみたいな音などが組み合わされて、独特な世界が広がる。なんとも不思議な空間で、最初の爆発音?を聴いた時は、パニアグアの「古代ギリシャの音楽」の冒頭の「Anakrousis - Orestes Stasimo」を聴いた時と同じようなショックを受けた。総じてパニアグアの音楽を聴いた時と共通の印象を持った。勿論音楽はまるで違うのだが、聴いた後の濁りのない空気感が似ていると思う。何百年も隔てた音楽なのだが、そんなことを考えるとは思ってもみなかった。フィリップ・エルサンの三つの練習曲はゲーテの「ファウスト」に基づく3つの作品に基づく。ベルリオーズの「ファウストの劫罰」、シューベルトの「糸をつむぐグレートヒェン」、グノーの「ファウスト」でそれらの歌のリズムが何となく聞こえてくる。特にグノーではそれらしい音階も聞こえてくる。ティンバレスって音階はできないはずだが、どうやって演奏しているんだろうか。音の違うティンバレスを集めて演奏しているのだろうか?楽しい作品が多い中でストロッパの「巨大な部屋」は現代音楽らしい?冷たい肌触りで、あまり楽しめない。レイポヴィッツはクラシックのいろいろなジャンルの作品を数多く作曲している(なんと楽劇!まである)が、寡聞にして全く知らなかった。個人的には、「ジャズ・バンドのための幻想曲《芸術至上主義 Art for Art's Sake 》」に興味を惹かれた。ここで取り上げられている「3つのカプリース」はソロ・ヴィブラフォンのために書かれた最も初期の作品で、12音技法によるもののようだ。1分に満たない曲が3曲並んでいる。演奏にもよると思うが、12音特有の冷たさはあまり感じられない。エトベシュの「サンダー」はティンパニ1台のための曲。ペダルを多用したり、いろいろなテクニックが使われていて、音だけでも楽しいが、生で聴いたらさぞかし楽しいだろうなと思う。ただ、思いもよらない使われ方をして、ティンパニが可哀そうになってきてしまった。ティンパニの皮のしなり具合が感じられる、録音も秀逸。youtubeで演奏の様子を見ることができるが、あいにく後ろから撮った映像なので、よくわからないのが残念。また演奏時間がCDでは5分なのに、youtubeでは8分とかなり違い、おまけにyoutubeでは中間部で叫び?まで入っている。録音は大変優れていて、打楽器特有の立ち上がりの鋭さも余すところなく収録されている。昔ストラスブール・パーカッション・グループのディスクがオーディオのレファランスとして重用された時代があった。オーディオ機器の立ち上がりの評価などで使われていたと思う。今回の録音もレファランスとして使われてもいいような気がする。ということで、とても楽しませもらったが、こういう仕事こそ創造的な仕事というのだろう。Thierry Miroglio:World of Percussion(Naxos 8.573520) 24bit 96kHz Flac1. Bruno Mantovani (1974-):外人部隊 Le Grand Jeu(1999)2. Marco Stroppa (1959-):巨大な部屋 - アウラス The Enormous Room: Auras for metallic percussion and chamber electronics (1995, rev. 2004)3. Peter Eötvös (1944-):サンダー Thunde for bass timpano (1995)4.Rene Leibowitz (1913-1972):3つのカプリース Op. 70 3 Caprices, Op. 70(1966) No. 1. Allegro con fantasia No. 2. Piu tosto lento No. 3. Con moto7. Philippe Hersant( (1948-)):3つの小練習曲 3 Petites Etudes(2010) No. 1. Le roi de Thule No. 2. Marguerite au rouet No. 3. Gloire immortelle de nos aieux10. Jean Claude Risset (1938-):ナチュール・コントル・ナチュール Nature Contre Nature Four rhythmic exercises for percussion and computer (1996-2005) No. 1 No. 2 No. 3 No. 4Thierry MiroglioBruno Mantovani(electronic musical instrument track 1)Marco Stroppa (electronic musical instrument track2)Jean Claude Risset(computer)録音: track 1:10-11 February 2014track2:12-13 February 2014track 3:14 February 2014track 4-6:17 February 2014track 7-9:18 February 2014track 10-13:19-20 February 2014Studio GRM (Groupe de Recherches Musicales), Paris, France
2018年08月26日
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最近生垣の剪定やら、野菜の面倒を見なければならなかったり、お盆で親戚まわりをしなければならなかったりと、忙しい上に、この暑さでなかなかブログを書く気にもならず、滞っている。インプットはそれなりにあるのだが、集中して聞くこともできず、延び延びになっている。ところで、最近youtubeで農業をされている方の映像を見ることが多い。2つあって、Harada FarmとHortiというチャンネルだ。両方ともその方面ではかなり有名なチャンネルらしい。Harada Farmというチャンネルは広島在住の原田さんという方が農作業の様子を撮影してアップしているもので、ほとんど毎日アップされている。仕事としての農作業の様子を見たことがないのでとても参考になる。特にキュウリやナスの整枝の仕方が詳しく載っている。また、本格的な換水の方法などもあり、家庭菜園ではやらないにしても、プロの仕事を知ることができて参考になる。また、最新の農業用資材がいろいろ使われていて、家庭菜園でも使える道具があり参考になる。ナスやきゅうりなどを支えるのにテープでパチンと止める道具(テープナーなどの名前が付いている)がすぐに役に立ちそうだ。このチャンネルを見ると、農業といっても、かなり設備が使われていて、当ブログの農業のイメージが大分変わった。原田さんも色々な設備を入れることによって収量が二倍にも三倍にもなったといっているそうだ。農業といっても、限りなく工業に近いことを認識した。Hortiは花を含む農業前半のノウハウが詰まっているウエッブサイトで、green snapというコミュニティが運営している。色々な野菜や花などの栽培方法やノウハウが紹介されていて、とても役立つ。本に載っていないことが、じつは大方の知りたいことだったりするので、こういうサイトがあるのはとても有難い。基本は風通しを良くするとか、日光が満遍なく当たるとか、野菜が気持ち良く育つ環境を整えることで、植えれば育つというものではないのだ。そういう基本も知らずに家庭菜園をしていた自分が、何とも情けない。ということで、ますます家庭菜園に深入りしているが、種から育てることも多くなり、育苗の方法や道具など、知らなければならないことが多く大変だが、面白い。ただ一度失敗しても、次回は来年にならなければトライできないというのがもどかしい。それが農業だと言われればそれまでだが。。。。
2018年08月23日
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NAXOSレベルでの福田進一による日本のギター作品集の4枚目。2枚目が和谷泰扶のハーモニカとの共演だったほかは、福田のソロアルバムだった。今回はフルートの工藤重典との共演。武満の「海へ」はアルトフルートとギター(1981年)、アルトフルートとハープ、弦楽オーケストラ(1981年)、アルトフルートとハープ(1988年)の三つのバージョンがある。当然ながら今回はアルト・フルートとギターの組み合わせ。サウンド的には一番不利な条件だが、それを感じさせない豊麗なサウンドが美しい。何よりも、工藤のグラマラスなサウンドが曲にマッチしている。無伴奏の「エア」もこのサウンドがモノを言っていて、他の演奏だとシリアスに傾きがちの音楽が、そうならなところが当ブログにとっては好ましい。同じく武満のテレビドラマ「波の盆」の音楽はギター・ソロで鈴木大介の編曲。武満の音楽は甘さを湛えて、ひたすら美しい。野平一郎と多美夫妻の作編曲による作品が演奏時間の半分以上を占めている。野平一郎の『波の記憶』は福田進一によって2011年2月に初演され、今回の録音のために2017年に改訂されたな作品。アルバムで最も現代的な作品。ディストリビューターによると、「楽音としての波が徐々に異世界の音へと変貌していくユニークな作品」とのこと。チョーキング、スクラッチ、スラム奏法などが盛り込まれ、ギターに不案内な当ブログにとってとても興味深く聴くことが出来る。野平一郎によるフルートとギターのための「3つの日本の歌」はお馴染みのメロディーが聴かれる。日本の歌は、暗くじめじめしているというイメージが強いが、野平一郎の編曲は暗さがなくさっぱりとしていて楽しい。ディストリビューターによると、野平多美のギターのための『Water drops』は「は一滴の水が落ちるときの不規則性をギターの豊かな音色で表現した」作品夫婦とはいえ当然作風は異なるが、傾向は似ている気がする。一郎のほうが特殊奏法が入っていて、編曲としては辛口だ。野平多美の作品は少しポピュラー・テイストが入っている感じがする。彼女の編曲による「3つの日本の歌」はアプローチはオーソドックスなもの。ただ、両者ともフルートの変奏部分がいまいち物足りない。最後の『荒城の月』は、ピアソラの名曲『タンゴの歴史』へのオマージュだそうだ。なるほどリズムやフレーズが「タンゴの歴史」の第一曲「Bordel 1900」風になっていて面白い編曲だ。今回もeclassicalでの配信を待って、24bit96kHzのFlac音源を入手した。例によって聞けるまでに手間はかかるが、$9.41と安価にハイレゾを入手できるのがありがたい。録音はマイクが近めだが、響きはよく拾われていて、細部もよくわかる。工藤重典・福田進一:日本のギター作品集 4(NAXOS 8.573911)24bit 96kHz Flac武満 徹:1. 海へ~アルト・フルートとギターのための (1981)(夜/白鯨/鱈岬)2. 波の盆 (1983)(鈴木大介によるギター編)3. エア~フルート・ソロのための (1995)野平一郎:6. 波の記憶7. 3つの日本の歌 (2017)(野平一郎によるフルートとギター編 成田為三:浜辺の歌/梁田 貞:城ヶ島の雨/岡野貞一:ふるさと)野平多美:8. Water drops (2017)(福田進一に献呈)9. 3つの日本の歌 (2017)(野平多美によるフルートとギター編 山田耕筰:砂山/岡野貞一:朧月夜/瀧 廉太郎:荒城の月)福田進一(g)工藤重典(fl,afl)録音時期:2017年10月25-28日録音場所:カナダ、オンタリオ、聖ジョン・クリソストム教会世界初録音(7,8,9)
2018年08月20日
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先日リーモーガンについて書いた後で、思い立ってTSUTAYAからレンタルしたCD。以前から3枚組の盤については気にかけていたのだが、いざ買おうとしたら廃盤になっていて、現在はプレミアがついて、定価の10倍はするので、とても手の届く値段ではなくなってしまった。3枚物は国内盤ではリリースされていないはずで、国内盤の一枚物で聴いたわけだが、これが何とも凄い演奏だった。タイトルのライトハウスはカリフォルニアのハーモサビーチというところにあるクラブ。映画「LA LA LAND」ではこのクラブとビーチがロケ地に選ばれていて、ライアン・ゴズリング扮する主人公のセバスチャンがピアノを弾いていたのもこのクラブ。最初にモーガンのMCがおそらくカットなしで収録されている。他のCDで聴けるかどうかは知らないが、モーガンの肉声が聴けるのはとても嬉しい。演奏はお手軽なものと思っていた。素材は確かにお手軽感はあるが、パフォーマンスが凄いというか、ぶっ飛んでいる。メンバーの意気込みとノリが何とも凄まじい。今から考えると凄いメンバーなので、それもむべなるかなとは思う。特に目立つのはベニー・モウピンで、フリーキーなサウンドを交えたワイルドなプレイが目立つ。それに触発されたのかモーガンのプレイもかなりワイルド。これを聴いているとハンク・モブレーのいたフリー・ブローイング時代のマイルスの演奏とほとんど変わらないという印象を持った。過激さはイーブンで、熱気は断然こちらが上という感じだ。季節柄クールにとはいかないかったのだろうが、少なくとも二人のホーン奏はプッツンしてる。惜しいのはミッキー・ロッカーのドラムスが軽量級なことぐらいだ。ジャック・デジョネットが「Speedball」でロッカーに代わって、飛び入り参加している。このライブは三日間のギグのセレクション。これを聴くとやはり3枚組のコンプリート盤を聴きたくなる。Lee Morgan:Live at the Lighthouse(universal UCCQ-3009)1. Introduction by Lee Morgan2. Harold Mabern:Beehive3. Bennie Maupin:Something Like This4. Lee Morgan:Speedball5. Jymie Merritt:Nommo6. Lee MorganThe SidewinderLee Morgan(Tp)Bennie Maupin(ts)Harold Mabern(p)Jymie Merritt(b)Mickey Roker(Ds)recorded at the Lighthouse Café in Hermosa Beach, California in July 1970. (Jack DeJohnette replaces Roker on drums on "Speedball.")
2018年08月18日
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レビューが遅くなってしまったが、ケニー・バロンの新譜について一言。今回はトランペットとサックスが加わったクインテット。トリオのメンバーは変わっていない。ホーンが加わったことで、バップ色が濃くなっている。勿論当方としては歓迎すべきことだ。どの曲もノリがよく、聴いていると「ネオ・ハード・バップ」という言葉が浮かんできた。この言葉は正確な定義は知らないが、ハード・バップが洗練されたものだろう。技術的にハード・バップを発展させたものというのが当ブログの認識で、こういうスタイルの演奏が聴かれるようになったのはここ20年ぐらいだろうか。当ブログなどはホーンのハーモニーを聴くだけで楽しくなってしまう。最近のヒップ・ホップが入った音楽も勿論楽しめるが、聴いてすぐ楽しめるというわけにいかないのが難点。最近この類の音楽は昔のフュージョンと同じだということが分かってからはそうでもないが、少し前までは、なかなか馴染めないものだった。それに比べると、このCDはすんなりと入っていけるのがいい。曲は大半がバロンの作品で、ハードバップ風の曲が多いが、つまらない曲はなく、とても洗練されている。バロンの作曲能力の高さが感じられる、優れた作品たちだ。タイトル・チューンやソプラノとトランペットの「A Short Journey」のクールな佇まいが魅力的だ。「DPW」や「Von Hangman」はアップテンポで進み、ハードバップのノリと力強さを感じさせる。聴き手もぐいぐいと引き込まれる。哀愁を帯びた「Aquele Frevo Axe」の洒落た味わいもいい。この曲の意味はよくわからないが、「Frevo 」(フレヴォ)「Axe」(アシェー)はともにブラジルの踊りの名称だそうだ。原曲より遅いテンポで、哀愁を帯びた感じに仕上げているのがみそ。レニー・ホワイトのアップテンポの「L's Bop」は、スタイリッシュなテーマが魅力的だ。バロンやジョナサン・ブレイクも熱いソロを繰り広げる。生で聴いたらさぞ盛り上がるだろう。最後のモンクの「Reflections」はソロ・ピアノ。冒頭の流麗なカデンツァとソロに入ってからの、右手のスイング風の雄弁さと左手の朴訥としたリズムのコントラストが面白い。デイナ・スティブンスのサックス、トランペットのマイク・ロドリゲスも申し分ない。特にマイク・ロドリゲスの柔らかい音が曲想にあっている。バロンのピアノはソロに、バッキングに、いぶし銀の味わいを見せている。北川潔の堅実なベース、ドラムスのジョナサン・ブレイクの積極的なドラミングも光っている。Kenny Barron Quintet:Concentric Circles(Blue Note B002832502)1. DPW2. Concentric Circles3. Blue Waters4. A Short Journey5. Caetano Veloso/Cesar Medes:Aquele Frevo Axe6. Von Hangman7. In The Dark8. Baile9. Lenny White:L's Bop10. I'm Just Sayin'11. ReflectionsAll Composed Kenny Barron(except 9,11)Dayna Stephens(ss,ts)Mike Rodriguez(Tp,Flh)Kenny Barron(p)Kiyoshi Kitagawa(b)Johnathan Blake(Ds)Recorded March 19 & 20, 2017 in Brooklyn, New York
2018年08月15日
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(少し前にレビューしたテネブレで知ったポーランドの作曲家パヴェウ・ウカシェフスキ(1968-)の曲がとても印象的だったので、他の団体での演奏を物色していて、見つけたCD。ヤン・ウカシェフスキ指揮 ポーランド室内合唱団の演奏。各パート6人ずつで、混成合唱団にしては珍しく各声部の人数がそろっているが、合唱でいつも不満に思っている男声が弱いのは他の団体と同じ。男声が薄く書かれているということだろうか。なので、男声がむき出して出る「Beatus vir, Sanctus Adalbertus」や男声単独の「Psalmus 129」が新鮮に感じられる。これらの曲での男声の扱いは、聖歌的のような気がする。この中では、1,2,3,10,11,12,14が世界初録音という意欲的なプログラミング。きれいごとに終わらない作曲家の生に近い感情が伝わってくるためか、宗教曲臭さはあまり感じられない。特に女声の悲痛なサウンドが印象的だが、声高に叫ぶわけではなく、べたべたしていないのがいい。普通の宗教曲とは一風変わった世界が聴ける。メロディーが美しく親しみやすいので、ポピュラー音楽が好きな方なら、すんなりと入っていけるかもしれない。どの曲もテンポがゆったりしているが、決して飽きることはない。どの曲も味わい深く、心が洗われるようだ。当ブログは、特に「doramus te, Christe」(キリストよ、我らはあなたを崇め、賛美します) の何とも言えない悲しみの表情が心に沁み入る。次は、最初のモテットだろうか。この曲はバッハのカンタータ93番「尊き御神の統べしらすままにまつろい」の形式に倣った構成をとっていて、聴きごたえがある。最後の「Adventgebet」は、マルコの福音書第1章第9節から第15節「イエスさまの洗礼と誘惑」の第15節に基づく。地味だがなかなか味わい深い曲。いろいろな作曲家が手掛けている「Ave Maria」(こんにちわ、マリア)は、清らかな感じは少なく、このCDの中では平凡な出来。今回のCDでは一番古い1992年の作品で、最近のような円熟した作風に達する前の作品なのかもしれない。次の「Ave Maria Stella」(めでたし、海の星)はテンポが速く、躍動的な曲で、このCDの中では異彩を放っている。「5つのクルピアン葬儀の歌」は葬送の歌らしく暗いが悲しみはあまり伝わってこない。あまり悲しくなく、結構激しい。クルピアンとはポーランドのクルーピー地方と呼ばれる地域。この地域は「緑の荒野」と「白い荒野」と呼ばれる森で囲まれていて、独自の文化を持っているそうだ。特に第4曲「Prez cysccowe upalenia」は独特な音階でエキゾチックな雰囲気が濃厚だ。ホールトーンがたっぷりと入った録音も、作品に相応しい。ただ、ブックレットに歌詞が載っていなかったのは残念。Paweł Łukaszewski:Motets(Warner Classics 0190295836399)Paweł Łukaszewski:1.Motette (2011)2.Adoramus te, Christe (2014)3.Pater noster (2014)4.Psalmus 120 (2008)5.Beatus vir, Sanctus Adalbertus (1997)6.Nunc dimittis (2007)7.Beatus vir, Sanctus Martinus (1996)8.Psalmus 129 (2008)9.Ave Maria (1992)10.Ave Maris Stella (2003)11.Regina caeli (2014)12.Alleluia (2014)13.Piec zalobnych piesni kurpiowskich / Five Funeral Kurpian Songs (2009)18.Adventgebet (2003)Polski Chór KameralnyJan Łukaszewski(cond)Recorded at Salvator Church in Sopot,13-15 October 2015
2018年08月13日
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最近フレッド・ハーシュに興味があり、病から復帰後のアルバムを何枚か聴いている。今回ヨーロッパでのライブ・アルバムと一緒に購入したのが、このソロ・アルバム。題名に鉤括弧がついているのは謎だが、仕上がりは素晴らしくいい。ー種のオリジナルが3曲、ジャズのオリジナルが2曲、そのほかボサノヴァとビリー・ジョエルの作品という構成。いろいろな曲があるが、すべてハーシュ色?に染め上げられていて、統一感がある。ハーシュのオリジナルの「The Orb」と「Plainsong」とても優れていて、実に味わい深い。「The Orb」は耽美的な曲だが、静的でねっとりしてはいないのがいい。「Plainsong」は詩的で寂しい感じの曲想。シングルトーンでとつとつと弾かれるが、心に沁み渡るような清冽な調べだ。終わり間際の悲しげなフレーズは胸に迫る。もう1曲の「Thourough The Forest」も静かな曲だが、現代音楽風なテイストを含んでいて、だいぶ趣が異なる。モンクの「Eronel」はモンクらしいフレーズの曲だが、ハーシュの演奏は素晴らしく洗練されて、上質な音楽になっている。原曲の少し野卑なテイストは、ほとんど感じられない。ジョビンの「Zingaro」はテーマでの左手と右手のずれ具合が微妙で、不思議な感じがする演奏。参考までに、メルドーの演奏(10Years Solo Live)聞いたが,ハーシュに比べるとドライで、一筋縄ではいかない演奏。全く参考にならなかった。ハーシュの演奏は印象的なイントロから始まり、途中テンポアップするところもあるが、静けさが支配している。曲の良さがしみじみとわかる演奏。「Whisper Not」はお馴染みのテーマが少しわかりにくくなっていて、曲名を知らされないで聴いたら、何の曲か分からないかもしれない。このトラックは、リズミックでテンポも速く、ジャズのソロを聴いていることが実感される。ビリー・ジョエルの「And So It Goes」(そして今は…)は、原曲のアメリカを強く意識させるような表現こそ聞かれないが、時は移ろいゆくものという諦念は共通すると思う。ジョエルの歌は若者の諦念、ハーシュの演奏は人生の黄昏に近い人間が感じる諦念かもしれない。「Through The Forest」は約20分と長尺の演奏で唯一のライブ録音。他の曲と同じホールでの録音だが、セッション録音より僅かに離れた感じで、音像も小さめ。聴衆の気配はほとんど感じられない。インプロヴィゼーションの度合いは、他の曲よりも多いように感じる。また、他の曲のようなロマンティックな味わいは皆無で、少し異質だが、静的な美しさはこの曲でも同じだ。最後の高揚感も、なかなかのもの。他の曲を聴くと、クラシック・ファンにも十分に受け入れられると思っていたが、この一曲で疑問符がついてしまったのは残念。ただ、冷たくならないのは、ハーシュのいいところだろう。クラシック・ピアノを聴いているようなタッチと、神経の行き届いた上質な音楽で、聴いていて、とても気持ちがいい。ジャズ・ファンのみならずクラシック・ファンにもぜひ聞いて頂きたい傑作だ。なお、Palmetto recordsは聞いたことのないレーベルだが、1990年にニューヨークで設立されたインデペンデント・レーベルだそうだ。Fred Hersch:{open book}(Palmetto records PM2186)1.Fred Hersch:The Orb2.Benny Golson:Whisper Not3.A. C. Jobim:Zingaro4.Fred Hersch:Through The Forest5.Fred Hersch:Plainsong6.Sadik Hakim, Thelonious Monk:Eronel7.Billy Joel:And So It GoesFred Hersch(P)Recorded At JCC Art Center Concert Hall, Seoul, South KoreaTracks 1-3 and 5-7 recorded April 1 to 3, 2017 without an audience in the hall.Track 4 recorded in concert in the same venue on November 1, 2016.
2018年08月10日
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このところドビュッシーのレビューが多くなってきた。ハイレゾ中心なので、特定レーベルに偏るのは、価格の関係でしょうがない。今回はハルモニアムンディのドビュッシーシリーズの1つ。演奏はメルニコフ。前奏曲集は全曲ではなく、半分ずつというCDが多い。ドイツグラモフォンみたいに、ポリーにとバレンボイムが分担するというところもある。ハルモニアムンディは第2巻がメルニコフで、第1巻はJavier Perianesという方が担当している。ただ、フィルアップされているのが「海」のピアノ連弾版で、これに惹かれて購入した。例によってeclassicの24bit96kHzのFlacで、価格は$13.94。ここで使用されているピアノはメルニコフの所有する1885年製のエラール。当ブログの認識ではエラールの音は中音が抜けている、いわゆるドンシャリ型だと思っていたが、今回の音は特にそういう感じはしないし、エッジがきつくなく、柔らかい音なのでフランス音楽向きの音だと思う。期待した海はドビュッシー自身のピアノ連弾用の編曲だが、実際には演奏不可能であると自ら認めたらしい。wikiドビュッシーが管弦楽からピアノへの編曲は1895や「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」(1904)がある。これらは、管弦楽を一般の人たちに知ってもらうために、楽譜出版社から依頼されたものという。海で共演しているオルガ・パスチェンコ(1986-)はオルガン、ハープシコード、ピアノ、フォルテピアノを弾き、幅広いレパートリーを持っているようだ。ニューヨークで9歳のときにリサイタルを開いているというから早熟のピアニストだ。肝心の演奏だが、とてもきれいな音で、構造がクリヤーで、ドビュッシーが演奏不可能と断定したことなど微塵も感じさせない。ただ、編曲がモノクロ的で、原曲と別の美しさが出ているわけでもなく、作品としてはあまり面白くないことは確か。最近よく演奏される2台のピアノのための「春の祭典」など、原曲とは別な驚きを与えてくれる。この曲では成り立ちからいって、無いものねだりではあるが、そういう新鮮な驚きが欲しかった。 前奏曲集は音のエッジがそれほどきつくないので、透明度はスタインウェイなどには劣るが、冷たさが感じられず、かつてのドビュッシーの曖昧模糊としたテイストが多少強くなっている。ただ、「花火」のような速いパッセージでは、動きがはっきりしないこともあるのが痛し痒し。テンポは遅めだが、遅いとは感じられない。音楽をじっくりと聞かせるタイプの演奏だからだろう。ダイナミックスの幅も広く、メリハリがある。NASにポリーニの演奏が入っていたので、比較してみたが、ポリーニ版よりも殆どの曲が30秒くらい遅い。第7曲の「月の光が降り注ぐテラス」など、1分半くらい長くなっている。どの曲も味わい深いが、気に入ったのは第10曲 「カノープ」嘆きや呟きがためらいと共に聞こえてくるようだ。第5曲「ヒースの荒野」や第7曲「月の光が降り注ぐテラス」の繊細な演奏も印象深い。この曲を聴くと、気分が落ち込んでしまうのだが、今回の演奏は暗すぎないので、とても好ましい。録音はややオン・マイクだが、適度な距離感が心地よい。Melnikov Debussy:Prelude book1 La Mer(Harmonia Mundi HMM902302)1.Préludes Livre II13.La Mer : trois esquisses symphoniques pour orchestreTranscription de Claude Debussy pour piano à 4 mainsAlexander Melnikov, Érard piano (c. 1885)with Olga Pashchenko (13-15)Recorded 19-22 October,2016年 and 6-7 June ,2017 at Teldec-Studio,Belin
2018年08月08日
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コルトレーンのプレスティッジ時代の録音はデビュー作やソウルトレーンしか聞いたことがなかった。三ヶ月ほど前にamazonを眺めていたら、プレスティッジ時代のリーダー作12枚がボックスになっているものが格安で出ているので、他社もチェックして、タワーから購入した。一時amazonのほうが少し安かったが、現時点では新品は以前の倍近い値段になってしまっていて、手の出ない価格になってしまっている。タワーは値段は変わらないようだ。2011年の生誕85周年記念で、プレスティッジ時代のアルバム12枚をまとめたボックスでユニヴァーサル・イタリアからのリリース。コルトレーンのプレスティッジ時代は1957年と1958年の二年間だけで、その後アトランティック(1959-1961)に移ってしまう。全部で12アルバムで、マイルス・クインテットはじめサイドメンとして参加したアルバムは入っていない。最近は全曲を聴き通すなどという根性は全くなく、BOXを丸ごとFlacにして、車の中でつまみ聴きしている状態だ。アルバムとしての完成度が高いといえないものが少なくないが、最初思っていたようなつまらない演奏ではなかった。コルトレーンのプレイが安定している。バラードが多いが、これがなかなかいい。時々目の覚めるようなソロが聴けて、はっとすることもある。ソロ・フレーズの出だしを聴くだけで、コルトレーンであることが分かるのは、現代のミュージシャンではほとんど見かけなくなった。音は、アップコンバートしているせいか、不満は全くない。クロノジカルに聞きたいところだが、今使っているネットワーク・プレーヤーのアプリでは年代別にソートは出来ないのが惜しい。このレーベルについては余りよく知らないので、いい機会なので、ジャズ批評から出ていた「愛蔵版 プレスティッジ・ブック」を見て少し勉強しようと思う。最近マイルスのプレスティッジの初期の録音に興味が出てきたので、その勉強もできそうだ。John Coltrane His Prestige Albums(Universal 0600753343180 )1.DAKAR2.COLTRANE3.TRANEING IN4.SOULTRANE5.LUSH LIFE6.SETTIN' THE PACE7.STANDARD COLTRANE8.STARDUST9.THE BELIEVER10.BLACK PEARLS11.BAHIA12.THE LAST TRANE
2018年08月06日
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前回書いたフレイレのコンサートのついでに、ルーブル美術館展とますむらひろしの北斎展という二つの美術展を観てきた。本当はルーブルとエッシャー展を見るつもりだったのだが、エッシャー展は7月末で終わりだったことを知ったのは、東京に行く数日前だった。ぬかってしまったが仕方がない。仕方がないので、図録だけ購入して渇きをいやそうと思っていたら、今日図録が届いた。昔は、美術展でしか販売していなかったものが、最近は通販でも購入することが出来るのでとて助かっている。行けない美術展でも図録を買えるのはとてもいいことだ。なかなか本題に行かないが、今回はルーブル美術館展について一言。同じ名前で過去に何回も展覧会が開かれているが、今回は顔に焦点を当てた一風変わった展覧会。あまり期待はしていなかったが、それなりに楽しめた。会期が5月30日から9月3日で、54日目となる7月30日(月)に20万人を突破したとのこと。因みにエッシャー展は54日間で20万1420人ということだったので、入りはほとんど同じだったようだ。あと1か月あるし、夏休み中なので、30万人突破もあるかもしれない。内容はエッシャーのほうが面白いと思うのだが、ルーブルとエッシャーのネームヴァリューの差が出たのかもしれない。彫刻と絵画の両方が展示されていたが、数からいうと彫刻のほうが多かった印象がある。彫刻は古代エジプトやメソポタミアなどと、18世紀の作品が多い。古代のものは素朴なものばかりだが、保存がしっかりとしているので、どれも奇麗で、破損しているものが少ないのも嬉しい。印象に残ったのは「胴鎧をまとったカラカラ帝の彫像」(212-217)、クロード・ラメの「戴冠式の正装のナポレオン1世」(1813)、ウードンの「フランス式の宮廷服をまとったヴォルテール」(1778)など。カラカラ帝は結構有名な彫刻だろう。硬く結んだ唇が印象的だ。ナポレオンは戴冠式の時の横から見た上半身の絵画(ルシー=トリオゾン 1812)も展示されていたが、彫刻(クロード・ラメ)のほうが全身で、細部がよくわかった。これらを見ると、ナポレオンは豪華さを誇示するよりも、威圧感がなく、けばけばしさも感じられない服装だったことが分かる。靴は絹製だったのだろうか。それから、ガウンに刺繍されている虫は蜂だろうか。調べたら、蜜蜂だそうで、不老不死、栄光のシンボルとのこと。現代でもありそうな、イラスト風の模様に笑ってしまった。絵画では、有名なジャック=ルイ・ダヴィッドの「マラーの死」が印象に残った。この絵は何回か見ているはずだが、観客がそれほど多くなく、ゆっくり鑑賞できたのが良かった。それから、サンドロ・ボッティチェリの「赤い縁なし帽子をかぶった若い男性の肖像」(1480-1490)も爽やかだった。今回の展覧会では絵画の保存がよく、欲求不満になることがなかったのは幸い。名高いヴェロネーゼによる「美しきナーニ」はどこから見ても目が合わないらしいが、予備知識なしに観たので、実際に確かめなかったのが残念。磁器で作られた「嗅ぎタバコいれのためのミニアチュール」(1818-1836)やカメオなどの装飾品も精緻な絵が素晴らしい。ミニアチュールはすべて肖像が描かれているが、そのなかでもとびっきりの美人と思ったら若いフランス太子ルイ=シャルル・ド・フランス(1875-1795)だった。今回は双眼鏡をもっていかなかったので、細部まで確認ができなかったことが悔やまれる。ルーブル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか2018年8月1日国立新美術館にて鑑賞
2018年08月04日
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最近最も好きなピアニストの一人のフレイレの来日公演があることを知り、聴きに行った。東京での公演だったが、歳も歳だし、これを逃したら聴けないかもしれないと思ったのも聞きに行った理由の一つ。勿論、最近の充実ぶりは、彼のピークを示すもので、それを生で観たいということもあった。フレイレは特別変わったことをやるピアニストではないが、円熟した解釈と、とろけるような美音は実演でも同じだった。前半はベートーヴェンを2曲。最初は月光ソナタ。テンポは速めで、アゴーギクを駆使したり、思い入れたっぷりの表現は全く感じられない。なかなか出てこなかったので、体調か何かアクシデントがあったのかもしれない。その影響か第1楽章はテンポが伸び縮みして落ち着かなかった。2楽章以降は持ち直したようで、その後は安定したテンポで進められた。第2楽章の主題の3小節目のスタカート、この前の反田の演奏ではきつくて、それが耳に残っていたためか、その部分に注目してしまった。程々の長さで、抵抗感はまるでなし。第3楽章はテンポは中庸で、特に激しい表現は見られなかった。異常に肥大したベートーヴェン像が聴かれることもある昨今では、全体的に普通の表現で、等身大のベートーヴェン像が聴けて、少し物足りないくらいだった。第31番も落ち着いたテンポで余計なものが付いていない音楽。余計なものが付いていないと音楽は平明になるということが実感される。ここでもいたずらにメリハリをつけたりしないで、滋味あふれる音楽が繰り広げられる。休憩後のブラームスは先ごろリリースしたブラームスの4つの小品作品119。プログラムは何故か作品118の解説が載っていて、訂正の紙が入っていた。おそらく依頼内容が間違っていたのか、解説者が勘違いしたのかわからないが、殆ど全とっかえとは珍しいことだ。演奏はCDと同じで、しみじみとした味わいの間奏曲が印象的。第1曲などぞくぞくする。ラプソディーも悪くないが、ある程度の力技が必要な曲なのでフレイレにはあまり向いているとは思えない。ドビュッシーは今回最も楽しめた。「水に映る影」の音の洪水のような透明なサウンド、「金色の魚」の微妙な不協和音のニュアンスなど、実に素晴らしい。どちらもレコーディングはされていないようなので、是非録音してほしい。アルベニスは不案内なので、何も書くことはないが、フレイレはあまり民族色を強調しないところが、当ブログには好ましかった。アンコールはいずれも小品で4曲。安定したテンポと、暖かいサウンドが心地良い。特にグルックの清冽な表現が心に染みいった。プログラム全体が地味で、盛大に拍手をするような曲はないので、聴衆の拍手も控えめ。ただ最後に数人の方が立ち上がっていた。聴衆のマナーの良さと、熱い心持ちが感じられ、心が温かくなる気がした。フレイレの暖かい演奏と、それを聴く聴衆の気持ちが響き合っていたのだろうか。いわば静かなる感動とでも呼べるもの。なかなか体験できない瞬間だった。ネルソン・フレイレ ピアノ リサイタル1.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調作品27-22.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調作品110休憩3.ブラームス:4つのピアノ小品作品1194.ドビュッシー:「映像」第1集より「水の反映」5.ドビュッシー:「映像」第2集より「金色の魚」6.アルベニス:組曲「イベリア」第1集より「エヴォカシオン」7.アルベニス:ナヴァーラアンコール1.パデレフスキ: ノクターン2.グリーグ: 「抒情小品集」第8集 op.65から 「トロルドハウゲンの婚礼の日」3.ヴィラ=ロボス: 「ブラジルの子供の謝肉祭」から 「小さなピエロの仔馬」4.グルック(スガンバーティ編): 精霊の踊り2018年8月1日 すみだトリフォニーホール 1階10列30番で鑑賞
2018年08月02日
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