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今冬も手賀沼沿岸にアカガシラサギが飛来し滞在しています。2022年に姿を観察して以来の羽衣の変化を復習してみました。(1)正面から見た変化一枚目から三枚目は、2024年2月15日、2023年2月3日、2022年2月26日に観察・撮影したものです。2024年は胸の焦げ茶の縦斑が線状になっています。2023年、2022年では斑点状だったのでこんなふうに変化するとはじめて観察しました。(2)嘴とその周辺の変化昨日観察した個体では上嘴の基部から先にかけて黒色で目先が黄色でした。(四枚目の写真)五枚目の写真(昨年2月28日)、六枚目の写真(2022年3月15日)、七枚目の写真(2022年2月25日)と比較してもあまり変化はありません。なお、六枚目の写真では上嘴の色が一部黄色のように見えますが実際は黒色で撮影時の光線の影響によるものと考えられました。七枚目の写真(2023年4月19日)は六枚目の個体が繁殖羽に換羽したものと思われます。(3)嘴の2つのタイプ香川の野鳥(2014)は、アカガシラサギに2つのタイプが存在していることを報告しています。Aタイプとして、先端が上・下共黒く他はほぼ黄色。上嘴の基部はやや緑色~灰色がかるものBタイプとして上嘴が全体に暗色のタイプ。先端がより黒色に見える場合もあるもの。そのうえで、幼鳥(Bタイプ)、 第一回冬羽?、第一回夏羽(Aタイプ)、成鳥冬羽(A・Bタイプ)、成鳥夏羽(Aタイプ)との内容となるとしています。ただし、第1 回夏羽になった後、毎年、夏A→冬Bと繰り返すのか、ずっとAのままなのかは不明と記しています。(4)手賀沼の越冬個体嘴に着目してみると、2022年から2024年の個体のいずれもが、香川の野鳥(2014)がBタイプとしてするタイプです。2022年に観察した個体が第一回冬羽とすると、2024年の個体は3歳以上であり、成鳥冬羽と考えられます。(引用)香川野鳥を守る会.2014.会報 香川の野鳥.アカガシラサギ.p3-5.
2024.02.16
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午前中、我孫子市側の手賀沼遊歩道を散策をかねて探鳥に出かけました。先月3年連続で飛来しているアカガシラサギ、午前中は餌探しで大忙し。上嘴の先端から基部まで黒いこと、背の褐色などには大きな変化はありません。昨年は4月に夏羽に換羽したので、今シーズンはどうかと注目しています。このほか、ハジロカイツブリ、最外三列風切の黒条が羽先に向かって伸びているコガモ雌(アメリカコガモでは羽先三分の一前後辺りに向かって伸びています)、コサギ、カワセミ、枝に止まって囀るホオジロ、葦原を移動していたジョウヒタキ雄の姿を目撃しました。(写真)2024年2月15日撮影観察場所については、撮影者が集中する可能性が高いので非公開とします。
2024.02.15
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2月7日都内水元公園で標識を装着したユリカモメ4羽を観察しました。観察した個体に装着されていたのはいずれも青いカラーリングで、E/N、G/V、A04、7Vでした。観察した当日、早速山階鳥類研究所経由でユリカモメ標識グループに報告しました。一昨日、その結果について報告をもらいました。どこから来て、どこで越冬しているのかがわかるので観察する都度、とても楽しみにしています。(1)E/Nの標識個体について標識装着2013/3/13、、千葉県市川市行徳野鳥観察舎前丸浜川、成鳥と判明。訪朝後10年10ヶ月経過。(2)G/Vの標識個体について標識装着2013/12/19、千葉県市川市行徳野鳥観察舎前丸浜川、成鳥と判明。放鳥後、10年1ヶ月経過。(3)A04の標識個体について標識装着2023/01/06、茨城県水戸市千波、成鳥と判明。(4)7Vの標識個体について標識日時2021/04/02、東京都墨田区隅田川水神大橋、成鳥と判明。放鳥後、はじめての記録。(ユリカモメの標識調査)事務局からは、2010年から東京都墨田川でユリカモメの標識調査をスタートした由。関東地方では、ユリカモメの標識調査はほとんどされておらず、冬の間、ユリカモメがどのような動きをしているのかは、わかっておらず、ユリカモメに足環をつけ、観察情報を集めることで、ユリカモメの冬の間の行動範囲を調べることとなったとのこと。これまでの結果では、ユリカモメの中にも個性があるようで、冬の間、東京近郊のほぼ同じ場所で観察されるものもいれば、広く動き回っているものもいるとのことでした。(カモメ類の最年長記録)私が観察した個体の中では、2018年11月14日に都内不忍池で観察したウミネコが訪鳥から15年1ヶ月経過した個体でした。
2024.02.14
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ホームグランド手賀沼にタシギの姿を見に出かけました。8日にヤマシギを観察してきましたが、タシギの餌のとり方との比較をするためです。あわせて、タシギは春先に褐色、赤味の強っている個体を見かけますのでひょっとしたら出会えるかもと期待して。(1)タシギの採餌ヤマシギは体で上下にリズムをとるように移動し、長時間地面に嘴を突っ込んだまま動かない時間がかなりあり居眠りをしているのではないかと思う場面がありました。タシギの餌のとり方を見ていると、長い嘴を差し込んで泥の中を探索して、泥から抜くと別の場所に差し込んでいました。この行動を繰り返して嘴に獲物が触れるとつまみ上げているようでした。三枚目、四枚目の写真のような行動です。(2)タシギの羽色今日観察したタシギは、一枚目、二枚目の写真の個体です。背の羽縁がクリーム色の帯のようで太くて目立っていましたので、冬羽と思われました。a.春先の見られる褐色、赤味のある個体五枚目の写真は、2018年4月8日に手賀沼で観察した個体で目先が褐色になっていました。b.秋に見られる褐色、赤味のある個体六枚目、七枚目の写真は、2021年9月17日、同年9月23日に手賀沼で観察した個体です。褐色、赤味が艶やかに見え、いわゆるゴールデンバフと言われるもの。c.若鳥と思われる個体八枚目の写真は、2018年12月19日柏市内で撮影した個体です。黒味がかっており、若鳥と思われます。
2024.02.13
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昨日リポートしたタゲリ、図鑑によっては雌雄はぼ同色、冠羽は雄が長く雌は雄より短めと解説が掲載されているものがあります。(成鳥冬羽の雌雄)今井(2021)は、タゲリ成鳥夏羽、成鳥冬羽の雌雄を識別するポイントを整理し報告しています。内容を紹介します。「成鳥冬羽は雌雄とも喉が白く、白色部が胸の黒色部に食い込みます。♂成鳥に比べて♀成鳥の頭頂・顔・胸は褐色味が強く夏羽と同様に冠羽は短めです。」、「新鮮な冬羽には肩羽、雨覆に淡色の羽縁がありますが、日の経過とともに羽縁は擦れにより消失します。」と報告しています。このうち、冠羽は生え変わるので古い冠羽から新しい冠羽に伸長している折に短くなっている可能性がありますから短いから雌、長いから雄とするのでなく頭頂、顔、胸の色を確認することが必要となります。なお、2020年2月29日成田市で頭部から胸にかけて黒色が濃く、喉が黒くなっている個体を観察したことがあります。ただし、風切が黒色になっていないので冬羽から夏羽に換羽がスタートした個体ではと思われました。(写真)一枚目:成鳥雄、2024年2月11日野田市、二枚目:成鳥雄、2016年1月1日手賀沼、三枚目:成鳥雌、2024年2月11日野田市、四枚目:成鳥雌、2016年1月1日手賀沼、五枚目:成鳥雄(奥)雌(手前)、2023年12月1日手賀沼六枚目:成鳥雄、2020年2月29日成田市で撮影(引用)今井 光昌.2021.シギ・チドリ類の年齢・季節による羽衣の変化.第23回ケリとタゲリ.日本野鳥の会三重会報しろちどり.第108号.p11-13.
2024.02.12
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清水公園内とかつて座生沼が広がっていた座生川沿岸を探索して歩きました。三連休の半ばで公園内は混雑しており鳥影がないので、すぐ座生川に移動。葦原とヤブが残っているエリアでは、複数のベニマシコの鳴き声、アオジの群れ、ホオジロ、カシラダカ、鳴きながら移動していくメジロの群れ、水面にはオカヨシガモ、マガモ、コガモの姿がありました。帰路は、野田市内の水田に塒をとるタゲリの様子を見に立ち寄りました。そばには、複数のツグミの姿があり、まるまるした個体などいろいろな個体と遭遇。14羽のタゲリが水田に帰還し、見張り役、水田に腰を下ろすものなどの姿を観察しました。成鳥雌の頭頂、胸は褐色を帯びていて、雄の頭頂、胸が黒いのとは違いがあります。(写真)2024年2月11日撮影
2024.02.11
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水元公園のリポートを閲覧した鳥友からユリカモメは何時ごろから頭部が黒くなるのかと質問をもらいました。ホームグランド手賀沼や水元公園で観察・撮影した記録と画像を復習しながらユリカモメの夏羽への移行に関する文献に目を通してみました。(ユリカモメの頭部が黒くなる時期)水元公園では後述するステージⅢの個体を3月に観察したことがありました。(2022年3月12日)手賀沼では、後述するステージⅤの個体を4月に観察したことがありました。(2020年4月12日)(夏羽への移行についての調査報告)和田(1993)は、京都市鴨川でユリカモメの冬羽から夏羽を5つのステージ(*)に区分し個体数を調査した結果を報告しています。夏羽への移行を知るうえで参考になりますので紹介します。(*ユリカモメのステージ)(ステージⅠ:嘴と足が赤く目の後ろに黒斑がある冬羽)(ステージⅡ:頭が黒と白のまだらがある個体)(ステージⅢ:頭が黒くなっているが頭巾状には黒くなっていない個体)(ステージⅣ:頭はほぼ頭巾状となっているが眼先と腮が黒くない個体)(ステージⅤ:頭が褐色を帯びた黒色の頭巾状となっている夏羽)成鳥の夏羽への移行は、4月の前半に急速に進んだと報告しています。4月の終わりには、多くの成鳥が第Ⅳステージまたは第Vステージになっていたのに比べて、幼烏の大部分は第1ステージまたは第Ⅱステージのままで、一部が第Ⅲステージになっただけだったと記しています。氏原・氏原(1992)には幼烏の一部には第一回夏羽に頭が黒くなる個体もいるという記述があるが,今回の観察でも頭が黒くなる第Ⅳステージまたは第Vステージの個体が記録されたと述べています。くわえて、夏羽への移行と渡りの関係、具体的には夏羽に移行した個体から渡去していくのかは、各地での情報をもとに論じる必要があるとむすんでいます。なお、手賀沼や水元公園に飛来したユリカモメ夏羽に移行した個体から渡去したかは観察不足で報告する材料を持ち合わせていません。(写真)ステージⅠ:一枚目の写真、2019年4月3日水元公園で撮影(写真手前の個体)ステージⅡ:二枚目の写真、2023年12月18日水元公園で撮影ステージⅢ:三枚目の写真、2022年3月12日水元公園で撮影ステージⅣ:四枚目の写真、2017年3月22日水元公園で撮影ステージⅤ:五枚目の写真、2020年4月12日印西市で撮影(ステージⅤ、Ⅳ、Ⅲも含む)ステージⅢ~Ⅳへの移行中:六枚目の写真:目先が黒褐色となっている個体2019年4月3日水元公園で撮影ステージⅤ~Ⅰに換羽し始めた個体:七枚目の写真、2022年3月12日水元公園ステージⅤの羽色が残っていた個体、八枚目の写真、2023年11月21日水元公園で撮影(引用)和田 岳.1993.京都市賀茂川におけるユリカモメの個体数の季節変化と夏羽への移行.Strix第l2巻.p93-100.日本野鳥の会.
2024.02.10
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昨日、茨城県南部の公園でヤマシギと出会えたことをリポートしました。地面に嘴を突っ込んで採餌している時間が長く、その特徴がわかりずらかったものと思います。別のフィールドで出会った際の写真を使って特徴について整理しました。(外観の特徴)環境省(2016)が解説しているように、目が頭部の後方についており、オスメス共に同色とされ全身が茶褐色です。頭頂から後頭にかけて4本の黒褐色の太い横斑があります。目から嘴に向かって(過眼線)と、目の下から嘴方向に向かって黒褐色の線がありますが平行にはならず、目に近い方の間隔が広くなっています。背は黒褐色味が強く、腹部は淡褐色で褐色の横斑があります。足と嘴の大部分は肉色で嘴の先端部分は黒色をしています。一枚目の写真:後頭部の黒褐色の横斑:2023年1月28日茨城県で撮影二枚目の写真:目から嘴に向かう過眼線と目の下から嘴方向の黒褐色の線:同上の撮影三枚目の写真:嘴先端の黒色:2022年2月28日千葉県で撮影四枚目の写真:2024年2月8日茨城県で撮影(夜行性とはされているが日中に採餌)環境省(2016)は、ヤマシギの生息について、「非繁殖期(越冬期)は、日中は林内や林内の空き地周辺の藪を隠れ場所とし、日没後の夕闇時に林内などから飛び立って湖沼畔や水田の畦、川原、湿地、水田、湿った農耕地などに飛来し、夜間ずっとミミズなどを探して餌としています。なお、関東では、河川敷の堤防沿いの草地や、草丈の低い採草地を好み、農地の中でも堆肥置場など餌が豊富と思われる場所には複数個体が群れることもあります」と解説しています。しかし、これまで姿を観察した千葉県、茨城県、埼玉県のいずれでも観察したのはいずれも日中であり、いずれも土に嘴を突っ込んで餌を探していました。(食性と採食行動)小田谷(2014)がヤマシギの分布や生態などの知見を整理し報告しています。その中で「主に動物食でミミズを好む。地上徘徊性の甲虫類やその他の節足動物も採食する。茨城県で2011年1月に拾得されたオス幼鳥の胃内容には、多数の湿地性のゴミムシ類が含まれていた。また、植物質ではイネ科やタデ科植物の種子を採食することがある」と記しています。(引用)小田谷嘉弥.2014.ヤマシギ.Bird Research News Vol.11 No.11.p4-5.環境省.2016.ヤマシギ(越冬期)調査マニュアル.pp15.
2024.02.09
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とがった頭の憎めない体型のヤマシギを探索しに茨城県南部の公園を訪ねました。少し薄暗い林の中にその姿を発見。上面の枯れ葉模様に似た羽色、いつ見ても独特の雰囲気です。しかし、土の中にずっと嘴を突っ込んでミミズや昆虫を採食していて顔を見せてくれませんでした。それでも、今冬も再会できたことに感謝。このほか、アトリ4羽が地面に落ちている種子を採食している様子、ルリビタキ成鳥雄2羽のそばにカタカタと音を立てて鳴いていたジョウビタキ雌、土を掘り返していたシロハラの姿を観察できたり、時間を忘れる楽し時間を過ごしました。(写真)2024年2月8日撮影(一枚目のヤマシギは昨シーズン撮影)なお、ヤマシギ保護のため、観察地は非公開としています。あしからず。
2024.02.08
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昨年9月14日以来、姿を見かけているヤマガラの濃色化個体の様子と冬鳥のいろいろを観察するために水元公園に出かけました。亜種ヤマガラでは頭上と喉が黒いのですが、グレーを帯び、頬・額・耳羽が茶褐色でした。三列風切と雨覆は青灰色で、亜種オーストンヤマガラの青灰色の少ない点と相違しています。冬鳥では、何と言ってもユリカモメ冬羽からの換羽のいろいろを観察できるのも醍醐味です。冬羽、雨覆に褐色斑のある若鳥から第一回冬羽に換羽中の個体とじつにいろいろ。でも気になったのが、換羽異常と思われる個体が1羽。このほか、標識リングを装着している個体を4羽発見しました。このほか、遊歩道上で餌場をめぐって激しい争いを展開していたツグミとシロハラ、外側尾羽2対が白くて目立つアオジ雄、小合溜では水面を移動しながら羽づくろいをしようと試みていたカンムリカイツブリの格好のおもしろさ、嘴の色が雌よりも黒味の少ないキンクロハジロ幼羽を発見したり、楽しい時間を過ごしました。(写真)2024年2月7日撮影
2024.02.07
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鳥友から手賀沼の鳥をとりあげているブログで足の黄色いセグロカモメと思われる個体にニシセグロカモメとキャプションがつけられているが、写真は一枚のみで、背の濃さはセグロカモメと同等で後頭部に斑があるのはわかるがその他には判断できる材料がないと質問をもらいました。早速、当該ブログを閲覧してみましたが確かに質問のような印象でした。(足の黄色いセグロカモメについて)質問のあった個体は、永井(2006)が、ホイグリン系として紹介しているホイグリンカモメ(ニシセグロカモメ)とセグロカモメの両方の特徴を持つカモメではないかと思われます。後頭部に斑が認められるものの、永井(2014)が成鳥冬羽の背の濃さは、ウミネコと同程度の濃さとしているものとはあきらかに違いがあります。さらに、頭の斑の細いかどうかの判断ができないこと、嘴の赤斑は大きいとは見えないことなどから、永井(2006)がホイリング系と紹介しているような個体と思われます。(ホイグリンカモメの特徴について)氏原(2010)がホイリングカモメと識別するためのポイントをあげています。(1)背の色はウミネコ程度(2)嘴の赤斑は大きい傾向(3)足は黄色だが、肉色、ピンク色がかる個体やベージュに見える個体もいる。(4)頭の斑はセグロカモメより細く鋭い。(5)初列風切の黒色部はセグロカモメより多い傾向。(引用)永井真人.2006.カモメ観察ノート.p101-121.文一総合出版.氏原巨雄・氏原道昭.2010.カモメ識別ハンドブック.p28-29.文一総合出版.永井真人.2014.野鳥図鑑.670.p352-353.文一総合出版.(写真)一枚目;足が黄色に見えるセグロカモメ、2014年1月2日茨城県ひたちなか市平磯で撮影二枚目:足が黄色味がかっているセグロカモメ、2017年2月25日千葉県銚子市で撮影三枚目:セグロカモメ、2019年2月17日千葉県銚子市で撮影
2024.02.06
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亜種オオカワラヒワは、叶内(2020)が述べているように冬鳥としてほぼ全国に渡来するアトリ科の鳥類です。これに対して亜種カワラヒワは、全国に分布しているが厳冬期は暖地に移動するアトリ科の鳥類とされています。東京近郊では、春先に両種を見かける可能性があり外観の特徴を整理してみました。塩田(2009)は、上面の色、亜種オオカワラヒワと亜種カワラヒワ(旧コカワラヒワ)を比べた識別点についてつぎのように報告しています。背、肩の羽色については、両亜種とも(暗)褐色ですが色調に微炒な差があり、オオカワラヒワは赤茶色味があり(外国の資料には「チョコレート褐色」と記したものかある)、コカワラヒワはオリーブ(緑黄)色味が強いと記しています。さらに、亜種オオカワラヒワは、亜種カワラヒワと比べて、ひと回り大きい、三列風切外弁の白色部が幅広く(比較的目立つ)傾向にある、頭から後頸にかけて(コカワラヒワの灰黒色より淡く)灰色と述べています。なお、亜種オオカワラヒワはコカワラヒワより明瞭に大きく、最大の亜種とし、測定値(翼長・尾長・嘴峰・跗蹠)はの10%強の差があります。ただし、比較する他の個体がいない場合の観察では、大きさが分り難いと報告しています。なお、亜種オオカワラヒワの雌は全体に色が淡く、頭部は褐色です。六枚目の写真をご覧ください。(引用)塩田 猛.2009.野鳥講座.第12章.オオカワラヒワ.日本野鳥の会大阪.会報むくどり通信.叶内拓哉.2020日本の野鳥.第2版.p380.文一総合出版.(写真)亜種カワラヒワ:1枚目2023年5月18日、同年7月27日柏市北部で撮影亜種オオカワラヒワ:3枚目2020年2月11日水元公園、4枚目2023年11月29日柏市内、5枚目:2015年1月24日柏市内、6枚目雌2023年12月23日柏市内で撮影
2024.02.05
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昼まで小雨がふっていましたが午後にはやんだので、柏市内の小さな谷津田、屋敷林、林が残っている環境があるフィールドに出かけました。到着直後から小さな池の縁にカワセミ雌の姿を発見。しばらく観察していると、下嘴全体が赤いこと、嘴基部も赤くなっていました。一枚目と二枚目の写真は本日観察したカワセミ雌です。茂田(2006)がカワセミの特徴について、嘴について雄は黒く、雌は下嘴の基部の三分の一~二分の一または下嘴全体が赤褐色と解説しています。下嘴全体が赤いカワセミは他のフィールドではどうかと画像を復習してみました。すると、三枚目の写真の個体のように、半分程度が赤い個体、四枚目のように下嘴全体がほぼ赤褐色ですが嘴基部は赤くない個体、五枚目のような下嘴の半分程度が赤褐色の個体とバリエーションがあるのに気がつきました。ひょっとして、成鳥雌の婚姻色が今日観察した個体かもいれないと印象を持ちましたが裏付ける文献報告が見当たらず、今後の宿題となりました。(カワセミの嘴の長さと色彩について)内田(2021)がカワセミについての調査結果を整理し報告しています。嘴については、カワセミの性は下嘴の色で判別(雄は黒い・雌は赤い)との文献の基準を元に、色彩と長さについて整理した結果、嘴は年齢、季節によって長さや色彩が変化していたとし、成鳥の嘴の長さは一年を通して長さに変化があり、秋から春にかけて平均値では一番長くなり、繁殖期には短くなった。また長さの平均値では雄のほうが1.7mm長く、性差があったと記しています。しかし、雌の下嘴の赤褐色の面積についての記述はありませんでした。(引用)内田 博.2021.カワセミの嘴.日本鳥類標識協会全国大会.講演要旨集.p11.(写真)一枚目、二枚目:2024年2月4日柏市内で撮影、三枚目:2023年1月13日、四枚目:2024年1月19日いずれも我孫子市で撮影、五枚目:2020年11月2日松戸市で撮影
2024.02.04
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先日、渡良瀬遊水池周辺の冬鳥をリポートしましたが、鳥友からトラフズクはどんなもの餌にしているのかと質問をもらいました。渡良瀬遊水地のトラフズクについては、平野(2012)がペレット採集した結果を整理し報告しています。調査は2004年から2011年の間で、10月下旬から2月下旬にかけて行ったと述べています。渡良瀬遊水地の塒を利用しているトラフズクは、年による変動はあるものの7年間の合計の餌動物数によると、哺乳類が69.9%、鳥類が28.8%との結果と記しています。日本のトラフズクの冬期食性に占める鳥類の割合は最大9.6%から最小0%で、28.8%を占める渡良瀬の場合は著しく多い結果となっていると指摘しています。また、年によってその割合は著しい変動があったと報告しています。要因は、トラフズクは餌動物の生息数の変動などによって捕食が困難になると、主要な餌動物を別種に変更することが知られており、ネズミ類特にハタネズミの個体数の変動による可能性が高いと記しています。(引用)平野伸明.2012.渡良瀬遊水地におけるトラフズクの食性.日本鳥学会誌.第61巻.p130-136.(写真)2024年1月29日、2020年5月11日、2020年5月31日いずれも渡良瀬で撮影
2024.02.04
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松戸駅から一番近い江戸川沿いに川の一里塚があります。土手から江戸川におりると葦原、アワダチソウが群生しているエリアがあり、冬の小鳥を近い距離で観察することができます。代表的な冬の小鳥は、ベニマシコ、アオジ、ツグミといった鳥たち。待機しているとピッポとベニマシコの鳴き声が聞こえ、4羽以上が藪の中を移動していくのがわかりました。しかし、こちらの都合よく登場してくれませんでした。しかし、待機しているポイントのそばに、アオジ、餌を探すシジュウカラ、エナガ、ジョウビタキが次々に登場し目を楽しませてくれました。このうち、アオジ雌雄が餌を物色しながら、尾をあげる行動をしていました。囀りはなく、地面を少し進んではニシオジロビタキのように尾を上げていました。雌が背を反らせて尾をあげる行動や雄が雌に存在をアピールしている姿は目撃したことがありますが、今回のような行動ははじめてでした。(写真)2024年2月3日撮影(ベニマシコは藪の中を移動していたので昨年1月のもの)
2024.02.03
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柏の葉公園で越冬しているアトリ、その近郊に湿地で越冬しているイカルチドリとヒクイナを観察しに出かけました。曇り空で外気温が低いこともあり、公園内は閑散としていて小鳥たちは落ち着いて餌探しができている様子でした。アトリは合計23羽の姿があり、餌を求めていくつかの林を移動していました。このほか、公園内の池ではカワセミ雄が何度も魚をゲットする姿、オナガガモ、広場の一角では羽毛をふっくら膨らませたモズの雄、複数のジョウビタキ、地面を掘り返して餌をゲットした後枝に止まり休憩していたシロハラと出会えました。その後、公園の近郊にある湿地に移動し、イカルチドリの姿を探索しました。湿地を見渡してみると、オカヨシガモの雌雄、ヒドリガモ、ダイサギ、コサギの姿を見つけました。お目当てのイカルチドリは1羽見つけました。コチドリよりも長い嘴、長くてピンク色の足、耳羽付近が褐色の過眼線の冬羽と思われる個体ではした。日が暮れてきたので帰り道にと思って歩きだしたら、水路沿いを動く影。双眼鏡で捕捉してみると、昨秋11月に姿を観察したヒクイナでした。(写真)2024年2月2日撮影
2024.02.02
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昼過ぎから北よりの強風が吹き抜けるあいにくのお天気の中、先月24日に観察できたアカガシラサギの様子を見に出かけました。しかし、今日は姿は見つからず。それでも、葦原の縁にクイナが姿を現してくれました。体上面は褐色で、黒い斑点と下面が青灰色、腹と脇に黒と白の横縞、上嘴が黒く、下嘴は赤い成鳥冬羽でした。一枚目から三枚目の写真は今日観察した個体です。クイナは注目してみると、その年齢がわかるヒントがあります。四枚目と五枚目は都内水元公園で観察した個体です。胸の前までが褐色で、顔の青灰色部が褐色味があるので第一回冬羽とわかります。(嘴が上嘴まで赤い個体は第一回夏羽個体です)このほか、沿岸でカワセミ雌や沼の水面を移動していたハジロカイツブリも観察。カワセミは下嘴が赤色なのが多いのですが、下嘴にくわえて上嘴の一部が赤い個体も発見。よく見てみると実にいろいろです。(写真)2024年2月1日撮影
2024.02.01
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18日に江戸川沿いで今シーズンもコミミズクを目撃できたので22日、そして今日31日と現地に足を運びました。日没まで現地に滞在してみましたが、会えず。それでも、目の前で餌を狙ってホバリングするチョウゲンボウ、土手の草むらにはホオジロの雌雄の姿を観察をしました。ホオジロは雌雄がそばにいるのに、雄がさえずることもなく餌探しに余念がありません。19日にホームグランド手賀沼ではホオジロ雄がもう囀っている姿を目撃しました。何が違うのだろうと思って帰宅後文献を調べてみました。手井(2018)が石川県金沢市でホオジロを対象とした年間の囀り頻度の調査結果を整理し報告している文献を見つけました。報告によると、終日観察時の囀り回数は,1 月から 2 月上旬の独身期には非常に少なく、2 月中旬から 1,000 回を超えることもあり、5 月から 8 月中旬は 4,000 回を超える囀りを観察したと記していました。さらに、囀り頻度は雌の影響を受け、独身雄は雌を獲得するまで高頻度で囀るが,雌獲得後の頻度は極端に下がったと述べています。このことから、江戸川で目撃したホオジロの雌雄は、すでにペアとなっているために囀りが認められなかったとも考えられます。(ホオジロ雌の特徴)頭と耳羽は褐色で、下面は赤褐色で斑がありません。雄が耳羽が黒いのとは対照的です。(引用)手井修三.2018.ホオジロの終日観察における囀り頻度の季節変化.日本鳥学会誌.第67巻.p117–126.(写真)2024年1月31日撮影(ホオジロ雄は1月19日手賀沼で撮影)
2024.01.31
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先日、都内水元公園で濃色化したヤマガラを観察していた折、近くにいらっしゃた方と冬の小鳥の話しになり、アオジを見かける頻度が低くなった気がするということを聞きました。全国鳥類繁殖分布調査の結果、アオジの分布が年代を追うごとに北にあがっていることが判明していることをお話ししました。植田(2023)は、全国鳥類繁殖分布調査の結果を整理し報告しています。その中でアオジについて、1970年代、1990年代、2010年代の分布をみてみると、西日本の記録が減少しているのがわかり、分布が年代を追うごとに北へと切りあがっているのがわかると述べています。主要な分布域の北海道の個体数をみても南で減っている傾向が見え、1990年代と2010年代の現地調査の結果を比較し個体数の増減を緯度別に見てみると、減少している調査地が多く、北では増加傾向にあることがわかったと記しています。みなさんの身近なフィールドのアオジはいかがでしょうか。(引用)植田睦之.2023.日本の森の鳥の変化 アオジ.バードリサーチニュース 2023年12月.(写真)2023年1月8日柏市柏の葉公園、2023年12月28日柏市内で撮影
2024.01.30
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茨城県と埼玉県、群馬県の県境にある渡良瀬遊水地を訪ねました。広大な遊水地には、うさぎのような長い羽角を持つ猛禽類トラフズク、セイタカアワダチソウの実を食べるベニマシコ、白黒ツートンのアカゲラ、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、ミコアイサ、カワアイサなどの水鳥の姿をたっぷり観察できました。(写真)2024年1月29日撮影(備考)トラフズクについては、観察地は撮影者が集中し影響を与えるので非公開とします。
2024.01.29
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一昨日、市川市大町自然公園でキセキレイを見かけました。図鑑によっては都市部で見ることは稀と記しているものがありますが、植田(2023)が記しているように、(全国鳥類繁殖分布調査で報告されている標高帯別の記録率では、キセキレイは0-100mの低標高地こそ記録率が低いものの、それ以上の標高帯では高い頻度で記録され、低標高の場所を除くと高確率で見られるのがキセキレイが一番よく見られるセキレイです。また、キセキレイは、季節移動をし北東北よりも北の地域では冬にキセキレイはいなくなり、そして日本海側ではより南の地域でもいなくなってしまうと前出の植田(2023)が報告しています。くわえて、冬の平均気温(12-2月)、最深積雪深を集計してみた結果、冬の平均気温が0℃を下まわるような場所、積雪深20cmを上回るような場所では、キセキレイは冬期にはあまり分布しないことが判明したと述べています。大町で見かけたキセキレイは厳しい冬に移動してきたものではないかと思われます。(キセキレイの冬羽の雌雄について)永井(2014)は、キセキレイの冬羽では雌雄の識別は困難と記しています。ところが、叶内(2011)が成鳥冬羽は雌雄とも似ているが雌より雄のほうが多少黄色味が強いと報告しています。いくつかのフィールドで記録した画像を見返してみましたがそれらしい個体は見当たりませんでした。これから春までの間、注視してみようと思いました。(写真)一枚目、二枚目:2024年1月26日市川市大町、三枚目、四枚目野田市座生、五枚目:2015年5月23日栃木県奥日光、六枚目:2011年5月15日栃木県奥日光で撮影(引用)永井真人.2014.野鳥図鑑670.p166.文一総合出版.植田睦之.2023.日本の森の鳥の変化:キセキレイ.バードリサーチニュース.2023年11月.
2024.01.28
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新年はじめて印旛沼を訪ねました。印西市側の遊歩道から探索をスタートし沼に目をやると水面のいたるところトモエガモの姿。個体数を数えてみると12万羽超。このほか、オナガガモ12558羽、ヨシガモ114羽、ホシハジロ、キンクロハジロ、マガモ、ヒドリガモ、ハジロカイツブリ、カンムリカイツプリ、クイナ、チュウヒ、トビの姿を目撃しました。トモエガモは、巴の文字を逆さまにした顔の成鳥雄、嘴の付け根に白い丸い斑がある成鳥雌、雌の幼羽が換羽中の第一回冬羽と思われる個体、近くにはヨシガモの集団がいて一羽の雌をめぐってまわりを取り囲む雄の姿があったり、マガモ雌の姿やハジロカイツブリが水面を移動していきました。さらに、遊歩道脇には、ホオジロ、カシラダカ、オオジュリンに加えてホオアカの姿もありました。ホオアカは逆光で近寄れないこともあり証拠写真の域を出ませんがアップしました。帰路の途中に寄った白鳥の郷では、オオハクチョウ、コハクチヨウとその中に姿があったコハクチョウとアメリカコハクチョウの交雑個体の姿、タヒバリを観察できました。(写真)2024年1月27日撮影
2024.01.27
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柏オフィスの近くにある公園で朝のウォームアップをしていた時、木々を移動するエナガ、シジユウカラ、コゲラの混群を見かけました。その中にいたエナガのうち1羽の様子が他の個体と違う印象を持ったので双眼鏡で観察していたら、尾が短いのに気が付きました。全長13.5cmの50%以上という自慢の尾が短いのです。個体を観察してみると、眉斑は・後頭・背は黒色で、尾を除けば成鳥の特徴を備えています。帰宅後、拙宅の亭主に見てもらうと、気候に応じて尾が生え変わったと思う由。今月15日にも同地で同じ個体を観察していて、二度目の遭遇でした。(写真)一枚目、二枚目は2024年1月26日撮影、三枚目は2023年12月23日撮影
2024.01.26
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北西の風が吹き抜ける中、市川市の大町自然公園を訪ねました。お目当ては、ルリビタキ成鳥、若鳥などとの出会いです。長田谷津と呼ばれる細長い谷間の遊歩道をスタートした直後、成鳥雄が登場。上面の青さ、脇のオレンジ色、白色の眉斑をしっかりと観察てきました。餌をねらっている時は、藪にらみような表情を見せていました。遊歩道をさらに進むと上面の青色部分が少し黒っぽく見える第二回冬羽、全体は雌に似ていますが上面の褐色部に青色が混じる第一回冬羽個体と複数の個体を目撃しました。ここは、齢のいろいろを比較的近距離で観察できるので探索しがいがあります。このほか、水路沿いでアオサギ、ダイサギ、コゲラ、モズ、カケス、シジュウカラ、エナガ、メジロ、シロハラ、ツグミ、アオジの姿を観察しました。なお、月初めと耳にしていたウソは鳴き声、姿とも確認できずでした。(写真)2024年1月25日撮影
2024.01.25
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朝から北よりの強風が吹き抜ける中でしたが、19日の姿を観察できたアカガシラサギの様子が気になって現地に出かけました。沼の水面は波立ち、水鳥は葦原などに退避しており、風を避けられるエリアにカイツブリ、ハジロカイツブリが羽を休めていました。そのそばに、アカガシラサギの姿がありました。多くの時間を水面の杭に止まっていましたが、時折岸辺に近い浅瀬で採餌していました。(写真)2024年1月24日撮影観察場所については、撮影者が集中する可能性が高いので非公開とします。
2024.01.24
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松戸市の21世紀の森と広場を訪ねました。到着直後の10時頃は、池にカモの姿もなく、薄暗い斜面林エリアにルリビタキの姿も見当たらなかったのでカワセミがテリトリーとしている水辺エリアで待機。止まり木にしているところにカワセミ雄が登場しました。じっと魚影を目で追い、狙いを定めると体を引き締めて水中に飛び込みました。何度かの狩りでの餌獲得率は70%程度。満腹になってからはテリトリーの見張り場所に移動ししばらく一休み。この後、斜面林エリアを再び訪ねると、シロハラが水路沿いで獲物を物色していたり、複数のヤマガラが植え込み周辺で餌を物色、コゲラも幹にとまり餌探しに飛来。ルリビタキも登場してくれるのではと木の陰で待つこととしました。すると、尾を上下にふりながらルリビタキが姿を現しました。虫と種子をついばんでいるようでした。帰りがけは、千駄堀池の水面に帰還したマガモ、カルガモ、コガモ、オカヨシガモ、オオバン、カイツブリを観察しました。特にオカヨシガモは、頭部のごま塩状の細かい褐色斑、頭頂の褐色の強いこと、三列風切の灰色などをしっかりと観察できました。なお、池のほとりのカフェテラスは空調施設のリニューアルで、2月いっぱいは休業です。(写真)2024年1月23日撮影
2024.01.23
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コミミズクは、ユーラシアと北アメリカの高緯度地域で広く繁殖し、今シーズンも江戸川に飛来し多くのファンが訪ねています。ところが、繁殖地や渡りのルート、日本で越冬するものとアメリカで越冬するものが同じ繁殖集団かなど、解明されていないことが山積みです。研究者がGPSによる追跡とDNA解析によって、これらの謎を解き明かそうとしています。つぎのURLより調査内容を知ることができます。https://db3.bird-research.jp/news/202312-no2/私共でも越冬期の行動圏はどの程度なのか、雌雄の比率はどうか(雄は雌より淡色と言われていますが識別のポイントについてはまだ未確定です)などについて注目することが可能ですから、出かけた先で気にかけていただけたら幸いです。(写真)1枚目2024年1月18日江戸川、2枚目2023年1月19日江戸川、3枚目2020年1月4日手賀沼(なお、撮影地については非公開)
2024.01.22
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1月18日に水元公園で嘴の長さが長いアカゲラを目撃しました。上嘴先端に欠損した部分が少し認められました。上嘴先端から頭長までのサイズに占める嘴の割合は約51%、一般的に見かける個体では約38%でした。このため、嘴が長く見えています。(嘴の摩耗と成長)キツツキ類の嘴は木をつつくたびにすり減ることが知られていますが、成長して伸び続けると言われています。想像の域を出ませんが、水元の個体がなにかの事情で木をつつく頻度が低い場合には嘴が成長しつづけることが考えられます。石田(1988)が飼育下のアカゲラ雄の上嘴が脱落し再成長する過程を写真と共に報告していること、同じキツツキ類のコゲラ雌若鳥で上嘴が異常に伸びた後に元にも取った事例を報告しています。これらの事例から上嘴が急速に成長し、くちばしの利用の仕方によって個体や個体群内でも嘴の長さが変化すると述べています。水元の個体で元に戻るかが注目されます。(アカゲラの舌と嘴)鳥類の嘴と舌の長さは比例し、アカゲラの舌は長く5cmもあり鼻孔あたりから頭蓋から後頭部を一周しています。水元の個体で嘴が急速に成長したとしても舌が収納されている余力があり採餌に支障が出なかったとも考えられます。しかし、水元のアカゲラは私が観察した際は、木の根っこに近い部分でアリなどの虫を捕獲しているような動きをしていました。(嘴の奇形について)林(2005)は、標識調査の折、1990年代後半から嘴の奇形を持った野鳥を観察しているとし、2000年代に入ると障害を持った鳥類はすべて幼鳥だったと記しその寿命は短かいものと考えられると記しています。水元で観察した個体は、頭に赤色部はなく腹部は白いことから成鳥雌と思われます。仮に奇形が遺伝で発生したのなら成鳥まで生き延びる可能性は極めて低いと思われます。このため、成長してから肝臓疾患、細菌や真菌によるもの、嘴のタンパク合成に異常があったなどの要因が考えられるのではと思われます。(引用)石田健.1988.Two examples of Upper Bill Abnormality in Woodpeckers,Dendrocopos major and D. kizukiKen Ishida、Abstract Two observations of the woodpecker bill in captivity.山階鳥研報.第20巻.p111-115.林 吉彦.2005.気になる野鳥のくちばしの奇形.Bird Research News Vol.2 No.3.p2-3(写真)1枚目、2枚目:2024年1月18日水元公園で撮影、3枚目:2023年10月24日松戸市で撮影
2024.01.21
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昨日、手賀沼沿岸で今冬もアカガシラサギが飛来したことをリポートしました。2022年2月4日にはじめて観察されて以来、3年連続して飛来しています。昨日と昨年、一昨年の撮影画像をアップし、整理してみました。参考となれば幸いです。(1)昨日の観察個体頭頂は斑模様、頭から胸にかけて褐色の縦斑、背は褐色、嘴は先端から基部が黒く、上面は褐色で無斑でした。成鳥夏羽に見られる淡黄色のアイリングは見られません。しかし、目の周囲が褐色がかり、目の印象がかなり精悍な印象を受けました。(2)2023年の観察個体2枚目の個体は2023年2月3日に観察した個体です。頭頂は斑模様、頭から胸にかけて褐色の縦斑、背は褐色、嘴は先端から基部が黒く、眼先が黄色くなっています。4枚目の写真は同一個体が夏羽となったものです。(3)2022年の観察個体3枚目は2022年3月15日に観察・撮影した個体です。頭頂の斑模様は2023年、2024年の個体と比べるとぼやっとした印象です。また、上嘴は暗色で2023年、2024年と比べるとかなり違う印象です。(4)アカガシラサギの初列風切アップした写真の個体は、いずれも初列風切先端は褐色を帯びているようには見えず、幼羽の初列風切先端は褐色という特徴は満たしていませんでした。
2024.01.20
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午前中、我孫子市側の手賀沼遊歩道を散策をかねて探鳥。すると、水面の杭の上に淡褐色で斑のない背中を見せているサギを発見しました。昨年、一昨年とその羽色を観察できたアカガシラサギです。頭から胸にかけて黒褐色で縦斑、背の褐色、上嘴の先端から基部まで黒い冬羽と思われました。このほか、遊歩道脇で早くもホオジロが囀っている姿、カワセミ雌雄の求愛行動を目撃しました。(写真)2024年1月19日撮影観察場所については、撮影者が集中する可能性が高いので非公開とします。
2024.01.19
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3日に足を運んで以来、水元公園を訪ね、冬鳥との出会いを楽しみました。アトリ、ヤマガラ濃色化個体、亜種ヤマガラ、嘴の長いアカゲラ(*)、オオアカハラ、キクイタダキ、マガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、カンムリカイツブリ、カイツブリ、ユリカモメを観察。その後、距離が離れましたが江戸川に移動し、コミミズクの姿を探索。昨年姿を見かけたフィールドではタゲリ21羽の群れ、モズが縄張りを巡回する姿、カラスと何度もバトルを展開していたチョウゲンボウ、水路で羽を休めていたセグロカモメを観察しながらコミミズクの登場を待ちました。再会は、14時55分のことでした。北方向から登場し、杭の上に降り立ちました。しかし、カラスがすぐやってきて渡去し、反対側の街の土手沿いに移動していきました。(写真)2024年1月18日撮影(*)アカゲラは、嘴は比較的短いとされますが、水元で観察したアカゲラは、頭長よりも長い個体でした。石田(1988)がキツツキ類の上嘴が急速に成長すること、くちばしの利用の仕方によって個体や個体群内でも嘴の長さが変化することを報告しています。(引用)石田健.1988.Two examples of Upper Bill Abnormality in Woodpeckers,Dendrocopos major and D. kizukiKen Ishida、Abstract Two observations of the woodpecker bill in captivity.山階鳥研報.第20巻.p111-115.
2024.01.18
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今冬も千葉県野田市と江戸川を挟んで隣接している松伏町の公園にニシオジロビタキが飛来し滞在しています。ウォッチャー、カメラマン以外の市民の皆さんに認知されていているので観察しているとその場で立ち止まってくださり、感謝しています。市民の方によると、昼前は反対側のエリアにその姿があった由でしたが、午後は池に隣接するエリアに移動したと教えてもらいました。ジヨウビタキの縄張りに入ってきたようで何度も追尾されていました。それでも、地面に降り立ち採餌を繰り返していました。ジッジッという鳴き声(*)、下嘴の山吹色(**)、写真には記録できなかったものの最も長い上尾筒の淡色(オジロビタキは一様に漆黒)、翼をやや下げてまっすぐ伸ばした尾羽を上に振り上げてゆっくりと下げる仕草をじっくり観察できました。このほか、池の水面にはマガモ、コガモ、カルガモ、ミコアイサ、カイツブリ、バン、オオバンの姿があり、上空をオオタカが飛翔し移動する光景も目撃できました。(写真)2024年1月17日撮影(*)オジロビタキはジュリィまたはピイイィという鳴き声(**)ニシオジロビタキでも個体により嘴全体が黒い場合もあるとされており注意が必要です。Jannes H (1996) Finland Next? Eastern Red-breasted Flycatcher.Alula (3): p120-125.
2024.01.17
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手賀沼は、2000年から北千葉導水路による導水が開始され、毎分6.5立方メートル前後の利根川の水が流れるようになり、現在に至っています。先日、リポートしたよゆうに、水中植物に依存してきた潜水して餌をとるカモ科の鳥類と水面で餌をつまみとるカモ科の鳥類の個体数は大崩壊した2000年以降は、限られたカモの姿が観察されるだけとなっています。ところが、環境省カテゴリーで準絶滅危惧種と区分されているミサゴが秋から冬に滞在し、972年から2000年までの間は、通過又は杭に止まるだけのものが観察されたに過ぎなかったものが、2000年以降では、手賀沼で魚を採餌して食べている光景が記録されるようになりました森岡 他(1995)によると、ミサゴは圧倒的に魚を餌とすることが多く、メジナ・ボラ・コイ・フナなどをポピュラーな餌としています。手賀沼では、NIRA(1988)が報告しているようにコイやぎんぶな等が連年にわたり放流されていることが判明しており、これらの魚が導水路の運用開始で増加したことも予想され、ミサゴの餌場としての条件が揃った可能性が高いのではないかと思われます。(引用)NIRA.1988.手賀沼1990年代の課題.p23.(財)山階鳥類研究所調査・報告 総合研究開発機構助成研究.森岡照明・叶内拓哉・川田隆・山形則男.1995.日本のワシタカ類.p20. 文一総合出版.(写真)2023年12月29日浦安市で撮影
2024.01.16
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例年、筑波山頂に隣接するエリアは植物の種を採食するカヤクグリ、ミヤマホオジロ、ハギマシコが姿を見せてくれる自慢のポイントを訪ねました。しかし、今シーズンは、このポイントが笹で覆い尽くされているために小鳥たちが降り立つ場所がなく、冬鳥たちの姿は皆無でした。このため、小鳥たちが使っている水場に移動し、待機しました。複数のウソの鳴き声が聞こえたので、待っていると2羽の雄、1羽の雌、シジュウカラ、ヤマガラが姿を見せてくれました。また、ケーブルカーの宮脇駅の敷地内でジョウビタキも登場。(写真)2024年1月15日撮影
2024.01.15
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柏市内で猛禽類ツミの姿を2022年以降、複数回見かけています。内訳は、2022年1/28雄成鳥(1)、12/25(1)、12/27(1)、2023年1/3若鳥(1)、1/20若鳥(1)、2/6若鳥(1)、11/9(1)、11/28若鳥(1)、12/1若鳥(1)、12/21若鳥(1)(日付の後のカッコ書きは個体数)多くの図鑑類には、留鳥または夏鳥として全国に分布と記されているものがほとんどですが、全国鳥類越冬分布調査の調査結果に目を通すと2016年から2020年の間、関東地方、中京地方、関西地方、四国、九州で分布していると報告があります。従来は、1995年2月に手賀沼沿岸で落鳥しているものを観察したことはありましたが、今回のように継続して姿を見かけるのは初めてです。2023年は同じエリアの中の違う場所で目撃していますが、若鳥が餌を探すのに広範囲を移動しているのが特徴です。(写真)2023年11月柏市内で撮影
2024.01.14
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手賀沼は、1973年の沈水植物に続き、1978年浮葉植物まで計28種類もの手賀沼の植物相が絶滅したことにより、水中植物に依存してきた潜水して餌をとるカモ科の鳥類と水面で餌をつまみとるカモ科の鳥類の個体数は大崩壊し2000年以降は、限られたカモの姿が観察されるだけとなり、現在に至っています。それでも、今日、沼西側の水面にはカンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、オナガガモ、カルガモ、ミサゴ、オオバン、ユリカモメ、沼東側の水面と葦原ではマガモ、カルガモ、コガモ、カイツブリ、カンムリカイツブリ、コブハクチョウ、クイナ、印西市との境界周辺ではコハクチョウ、コブハクチョウ、コガモ、カンムリカイツブリ、オオバン、タゲリ、ユリカモメの姿を見つけました。田んぼを耕起しているエリアではタゲリ、沼の水面では魚を捕獲するミサゴ、ユリカモメ、浅瀬では餌を探して歩き回るタシギ、普段林に姿があるエナガも沼の際の葦原に飛来し餌を探す姿がありました。これとは対照的にコブハクチョウ、オオバンが餌を求めて密集し、そこにコハクチョウ、ユリカモメが多数集まっているエリアがあります。多くの市民が近距離で接すると感染症を運んでしまうリスクが高くなってしまうと研究者から懸念が示されているエリアが存在するのが悩ましいフィールドです。(写真)2024年1月13日撮影
2024.01.13
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松戸市のふれあい江戸川遊歩道を散策しました。暮れの21日にベニマシコを観察できたので水路沿いを移動する小鳥たちをメインに探しました。お目当てのベニマシコの姿も声も観察できませんでしたが、いたるところにアオジの姿があり地面に落ちている種子をついばんでいました。また、複数羽観察したアカハラのうち1羽は頭部の黒色味が強く頭に丸みのあるオオアカハラでした。普段見かけるアカハラの画像をアップしましたので、参考としてご覧ください。このほか、水路沿いではアオサギ、ヒドリガモ、オオバン、カワウ、ツグミ、モズ、シジュウカラの姿を観察しました。(写真)2024年1月12日撮影
2024.01.12
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鳥友から冬鳥の代表、コハクチョウとオオハクチョウの越冬生態について質問をもらいました。文献には、つぎのように報告があります。渡辺(2010)は、コハクチョウと分布や食性と採食行動、越冬生態などについて知見などを整理し報告しています。その中で、イメージとしては同じような越冬生態と思われているコハクチョウとオオハクチョウについての違いをつぎのように、報告しています。「多くの越冬地でのコハクチョウは、夜間は池沼や河川などの内水面にねぐらをとり、朝、ねぐらから飛び立って、稲刈り後の水田に降り立つ。昼の間は水田で過ごし、夕方、ねぐらである内水面に帰還して夜を過ごす。(中略)関東地方などコハクチョウがあまり見られない地域のバードウォッチャーは、オオハクチョウと同じように昼の間も水面にいたり、あるいは給餌に依存していたりすると思っている人が多いようだ。夜,池沼で就塒し,昼は稲刈り後の水田で餌をとるというと、バードウォッチャーから人気があるマガンとよく似ている」菅生沼では、日中でも水面にコハクチョウの姿がありますが、かつては夕方近く群れで帰還する姿が目撃されましたが観光客が餌を与える影響もあり日中も沼に留まるように変化しています。(引用)渡辺朝一.2010.オオハクチョウと異なる越冬生態.Bird Research News Vol.7 No.3.p4-5.(写真)2024年1月7日、2023年2月8日いずれも菅生沼で撮影
2024.01.11
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新年はじめて茨城県南部の水田地帯に飛来しているオオヒシクイを観察したいと思い、現地を訪ねました。しかし、朝方は群れで休んでいたものの、その後外的要因で群れが渡去してしまったとのことで願いはかなわずでした。それでも、隣接する河川の水面には、複数のトモエガモ、500羽を超えるオナガガモ、ホシハジロ、ミコアイサ、オオバン、カンムリカイツブリ、水田には複数のタゲリの姿を観察できました。帰りがけ、近郊の浮島に立ち寄り、塒に入る直前のムナグロ、ハマシギ、タカブシギ、タシギの姿を見つけました。(写真)2024年1月10日撮影
2024.01.10
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今朝は、松戸市の八柱霊園にアカマツの種子を地上で採食するビンズイの姿を見に立ち寄りました。その姿は、9羽が地面に落ちている松の実をついばんでいました。温暖化の影響で国内各地で「マツ材線虫病」による被害が出ており、被害は南から北、標高の低いところから高い標高に拡大していると言われています。アカマツ林が守られている八柱の環境は貴重な存在となっています。アップしたビンズイの写真は、今朝撮影のものと繁殖期の長野県で撮影した夏羽です。冬羽は夏羽と比べると濃い緑色なのがおわかりいただけるものと思います。ビンズイのほかは、コゲラ、シジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、メジロ、シロハラ、ツグミの姿を観察できました。これから厳冬期に例年飛来するアトリやマヒワなどを期待できますので、楽しみです。(写真)2024年1月9日撮影(二枚目のビンズイは長野県小諸市で2013年7月撮影)
2024.01.09
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昨日、茨城県常総市の菅生沼でハクチョウ類やマガン、カモの観察してきました。そこで例年にはない変化がありました。というのも、ハクチョウ類の羽色が赤褐色に染まっている個体を見かけなかったことです。2019年から2024年のハクチョウ類の写真をアップしましたが、頭部が褐色となつていないのがおわかりいただけるものと思います。茨城県土木事務所(1989)が述べているように、ハクチョウ類やカモの羽色が赤褐色に染まっているのは菅生沼の地層に褐鉄鉱の薄い層が存在するからです。菅生沼で越冬するガン・ハクチョウ類は、イネ科に属する多年生の抽水植物であるマコモの地下茎を食します。このため、羽色、特に頭部が褐色となっているものをよく見かけます。水面で逆立ちしてマコモの地下茎を食している光景を見かけなかったので、マコモが生育すると稈高1~3m程度となりますが、2023年春から秋にかけての高温や雨などの影響でマコモの生育に影響を与えたのでハクチョウ類が採食する場面が見られなかったのではと思います。(引用)茨城県土木事務所.1989.地質 菅生沼周辺環境調査.pp1-58.(写真)2018年1月2日、2019年1月27日、2019年12月21日、2020年12月6日、2022年1月3日、2024年1月7日いずれも菅生沼で撮影
2024.01.08
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新春、はじめて常総市菅生の菅生沼を訪ねました。自慢は何と言ってもハクチョウ類が近距離が観察できることにくわえて、小鳥たちの姿が多いことです。コハクチョウ140羽、オオハクチョウ4羽、マガン若鳥が水面で羽を休めていました。くわえて、タシギが浅瀬で採食している光景、昨日手賀沼では見かけなかったカシラダカが10羽以上、ツグミもあちこちを鳴きながら移動している光景を目撃しました。また、シメが10羽以上、木の枝に飛来し地上の降り立ち種子をたっぷり採食していました。このほか、バン、オオバン、クイナの姿や鳴き声を観察できたり、葦原ではベニマシコが鳴きながら移動したり、楽しい時間を過ごしました。(写真)2024年1月7日撮影
2024.01.07
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今日、午前中、我孫子市側の手賀沼遊歩道を探索して歩きました。柏市側と比較すると午前中は逆光となるので水鳥の観察には不向きですが、遊歩道脇の葦原との距離が近いので、いつもの年でしたらオオジュリン、カシラダカといったホオジロ類を身近に観察できるので、楽しみにスタートしました。ところが、アオジ、ツグミ、ジョウビタキは複数の姿を見かけましたが、オオジュリン、カシラダカは観察がかなわず。帰宅して亭主にそのことを伝えると、市街化率が高くなり、地表の舗装によって採食環境が喪失したり待避環境が消失したりするとオープンな環境で採食するホオジロやカシラダカにとって影響を与えることが研究者から報告が寄せられている由。カシラダカは、日中の採食地と待避場所を含む範囲が数haにわたり、採食地から夜間のねぐらまで1~3kmといった長距離の移動を行うのだそうです。これに対して、アオジは緑地が孤立した地域でも生息できるのでアオジが観察できているのだと思うと教えてもらいました。(写真)アオジ:2023年12月28日柏市、オオジュリン2018年3月12日手賀沼、カシラダカ2016年1月17日野田市で撮影(引用)佐藤伸彦・市川和男・藤井千晴・曾根恵海.2011.関東地方で越冬するホオジロ類3種(ホオジロ・カシラダカ・アオジ)の生息密度に与える土地利用の影響.自然教育園報告.第42号p67-75.
2024.01.06
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新春はじめて茨城県つくば市高崎自然の森に出かけました。お目当ては、もちろんルリビタキ。現地には少なくても2羽以上の雄がいてヒッヒッ、カッカッと短い声に続き、蒲谷(1996)が述べているようにギギッと怒ったような声を出していました。この声がジョウビタキにはない声なのだそうです。近くには。どんぐりを嘴にくわえて貯食場所に運んでいたカケス、何度も運んで飽きると土の中の虫を捕獲し食していました。このほか、木の幹の樹液を水に何度も飛来していたメジロ、跳ね歩いて餌を探すシロハラ、木のてっぺんに群れで止まり、何度も水田に降り立ち種子を探していた亜種オオカワラヒワの姿を観察しました。帰り際、びっくりしたのが、亜種サンショウクイ2羽が鳴きながら移動していったことです。3日に水元公園で目撃した種類むがここでも観察できたのにびっくり。(写真)2024年1月5日撮影(現地へのアクセス)園内に駐車場は整備されていますが、JR牛久駅からTXみどりの駅行き路線バスがあり、 高崎入口停留所下車徒歩5分(所要時間約20分)です。なお、日中は一時間に一本程度なので調べてからお出かけになることをおすすめします。(引用)蒲谷鶴彦.1996.日本野鳥大鑑.下巻.p43.小学館.
2024.01.05
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昨日、都内葛飾区水元公園でリュウキュウサンショウクイと出会うことができました。鳥友から分布の変化について質問をもらいました。文献などにに報告されている一部を紹介します。三上・植田(2011)の文献調査では、次の結果を得たと報告があります。・1970年前後には既に九州南部に生息し繁殖していた。・1980年代後半から90年代後半にかけて九州南部から北部へと確認地点が増加した・2000年代には高知、広島、奈良などで記録されるようになった。和田(2016)は、兵庫県姫路市でリュウキュウサンショウクイが2015年11月3日、12月6日、16日、24日、2016年1月28日、同年3月1日、神戸市中央区2016年1月7日、滋賀県高島市で2016年2月28日と兵庫県から琵琶湖西岸とほぼ線上に観察記録があることを紹介しています。(関東地方での冬期での観察記録)関東地方での観察記録を整理してみると、2017年冬期に東京都での観察記録があり、2019年11月に栃木県宇都宮市、2020年1月千葉県手賀沼沿岸、2021年11月に埼玉県で観察記録があることから、以前は西日本に分布していたものが拡大をみせていると表現してよさそうです。平野・戸室(2019)によると、2019年11月4、6日に栃木県宇都宮市の都市公園で観察したと記しています。北本自然観察公園によると、2021年11月23日に空中で昆虫を捕獲していた個体を観察したと述べています。川内(2021)は、都内での観察記録として、2017年1月11日に都立野川公園初めて記録され同年2月12日に八王子市犬目で2羽を観察されたと記しています。あわせて、2018年11月13日、2020年11月10日都内港区自然教育園で観察されたと報告しています。我孫子野鳥を守る会の観察記録によると、2020年1月6日手賀沼沿岸の公園で初めて観察され以降4月末まで観察記録があり、同年12月4日に再び目撃されています。(引用)三上かつら・植田睦之.2011.西日本におけるリュウキュウサンショウクイの分布拡大.Bird Research Vol. 7.A33-44.和田岳.2016.身近な鳥からの鳥類学.リュウキュウサンショウクイの東征.日本野鳥の会大阪会報むくどり通信.245号.p12.川内 博.2021.自然教育園におけるフクロウ・リュウキュウサンショウクイの初記録について.自然教育園報告第53 号.p65 - 66.平野敏明・戸室由美.2019.栃木県における亜種リュウキュウサンショウクイの記録.Accipiter Volume 24.(参考)我孫子野鳥を守る会.会報.no1-294.1975年-2023年9月.北本自然観察公園.2021.北本自然観察公園日記.(写真)2023年1月3日水元公園で撮影:1枚目、二枚目は雄個体と思われます。三枚目の個体は、頭上から上面に灰色味があることから雌と思われます。
2024.01.04
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2012年以降、もともと南方系の亜種リュウキュウサンショウクイが越冬期に大阪府、静岡県、神奈川県で観察されてその後、いくつかのフィールドで目撃されています。都内水元公園でも2020年前後から姿が目撃されています。特に2023年から2024年の冬に姿がよく目撃されています。新年早々ですが、その姿を観察しに出かけました。額から眉斑は白く、頭頂から上面が黒い雄ともう一羽の姿がありました。林の中に移動した後もピーリーといった声を出していました。また、公園内の木にはアトリ27羽の群れを発見しました。この他、小合溜の水面にはホシハジロ、キンクロハジロ、オナガガモとヒドリガモの交雑と思われる個体、小さな池で餌の捕獲に余念のないコサギ、ダイサギ、去年多くのファンが立ち寄った湿地ではセグロセキレイの姿があったり、時間が経過するのを忘れて楽しみました。(写真)2024年1月3日撮影
2024.01.03
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新年、所用をすませてからホームグランド手賀沼に出かけました。ただし、13時前後からは小雨が降り出し、全域を見て回るのは断念しました。それでも、沿岸の葦原にホオアカ2羽の姿を発見。1羽は胸の黒い模様、灰色の頭部に褐色味があり、耳羽の赤色がはっきりとしていた雄でした。さらに、広大な水田地帯にはタゲリの10羽前後があり、餌探しに余念がありませんでした。アップしたタゲリは上面の羽縁がバフ色で第一回冬羽と思われます。このほか、水田の中にある電柱には3羽ものノスリが圃場に視線を向けて餌の動きを凝視している姿、電線に80羽を超える亜種オオカワラヒワの姿、柏市と印西市の境界にある河川ではコブハクチョウ、オオバン、ユリカモメが水面で羽を休めていました。(写真)2024年1月2日撮影
2024.01.02
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本年もどうぞ、よろしくお願いします。新春なので赤い羽色の鳥の代表、ベニマシコの羽色のいろいろを紹介します。スズメとほぼ同程度の大きさながら尾の割合が大きいので野外で出会うとスズメより小さい印象です。赤味のある顔で頬が白く体が全体に赤い雄、赤味のある顔で頬に白い部分のない雄、下面が赤く、上面は淡褐色の第一回冬羽、全体的に淡褐色の雌と出会うフィールドによってその羽色はじつにいろいろです。千葉県手賀沼、近郊の印旛沼沿岸、松戸市江戸川沿い、野田市、埼玉県と群馬県にまたがる渡良瀬遊水池、埼玉県秋ヶ瀬と桜草公園、茨城県取手市の利根川沿岸で私共はベニマシコと出会います。(写真)一枚目から三枚目までは2016年3月27日印旛沼、四枚目、五枚目は松戸市、六枚目は印旛沼で撮影
2024.01.01
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そろそろ、茨城県内の山地や低山帯や野田市などにミヤマホオジロとカシラダカが同時に姿を見せる時期になります。新年、出かけるにあたって予習をしていました。(雌雄の特徴を比較)(1)嘴の比較カシラダカ :嘴:上嘴は黒っぽさがあり、下嘴は肉色ミヤマホオジロ:嘴:上嘴は鉛黒色で下嘴は肉色を帯びる(2)頭頂カシラダカ雄:黒か栗色で羽縁がバフ色、雌:バフ色で黒褐色の軸斑ミヤマホオジロ雄:黒色、雌茶褐色または黒褐色で羽縁がバフ色(3)顔カシラダカ冬羽雄:白またはバフ色の眉斑、雄の方が黒味がある褐色の耳羽。耳羽を囲む黒褐色線がある。但し、雌雄の識別は条件によっては難しさがあります。ミヤマホオジロ雄:黄色の眉斑、黒い過眼線と耳羽、雌:黄褐色の眉斑、褐色の耳羽(4)胸カシラダカ:栗色の横帯ミヤマホオジロ雄:黒い横帯、雌:茶褐色の縦斑(5)脇腹カシラダカ;栗色の縦斑ミヤマホオジロ:茶褐色の縦斑(6)腰と上尾筒カシラダカ:栗色で羽縁がバフでウロコ状ミヤマホオジロ:灰褐色(雌雄とも腰付近に赤褐色の鱗模様はなし)(7)後頭カシラダカ、ミヤマホオジロともに後頭に短い冠羽があります。ただし、カシラダカ後頭は栗色なのに対してミヤマホオジロは後頭基部に黄色味があります。(参考引用)渡辺修.2004.考える識別・感じる識別.Birder.第18巻.第11号.p61.文一総合出版.永井真人.2014.野鳥図鑑670.p194.(写真:一枚目から四枚目はカシラダカ、五枚目から七枚目はミヤマホオジロ)一枚目:2018年12月30日千葉県野田市、二枚目:2017年1月28日千葉県流山市、三枚目:2020年1月19日茨城県つくば市、四枚目:2018年1月18日千葉県野田市、五枚目:2019年2月2日茨城県つくば市、六枚目:2018年1月13日茨城県つくば市、七枚目:2019年2月2日茨城県つくば市で撮影
2023.12.31
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昨日、コオリガモについてリポートしましたが、日本国内での個体数の推移についてわかったら教えてほしい、アップした画像の個体について質問をもらいました。かつて日本野鳥の会が行っていた全国一斉調査の結果と環境省ガンカモ類の生息調査の結果の一部と個体の性別について報告します。日本野鳥の会(1982)は、1982年1月15日実施の第一回ガンカモ類一斉調査の結果を報告しており、その中でコオリガモについては根室4698羽、小樽37羽、函館10羽、北上1羽の計4746羽と報告しています。また、同会(1989)は、1989年1月15日実施の第八回ガンカモ類一斉調査の結果を報告しており、その中でコオリガモについては計970羽、最多記録数は北海道ノシャップ岬周辺の883羽で記録地は青森県の大湊湾を除き北海道に限られていたと報告しています。その後、環境省(2022)は、令和4年度ガンカモ類の個体数を報告し、コオリガモは稚内市声間2羽、網走市涛沸湖1羽、根室市花咲港2羽、別海町走古丹23羽、木古内町札苅海岸2羽、江戸川河口1羽の計31羽と報告しています。前記の結果からコオリガモの個体数は、1982年と1989年を比較すると4746羽から970羽、1982年と2022年では4746羽から31羽と激減している結果です。要因は、繁殖地のバルト海での油汚染や餌の貝の激減、狩猟圧などの要因が挙げられていますが、確かなことは不明です。(引用)日本野鳥の会.1982.第1回ガン・カモ・ハクチョウ類全国一斉調査の結果について.Strix.第1巻.p43-55.日本野鳥の会.1989.第8回日本野鳥の会ガン・カモ・ハクチョウ類全国一斉調査結果報告.Strix.第8巻.p302、p309.環境省.2022.令和4年度ガンカモ類の生息調査.環境省自然局 生物多様性センター.https://www.biodic.go.jp/gankamo/gankamo_top.html(写真)2014年1月12日千葉県旭市て撮影(撮影個体は、嘴にピンク色がなく(不明瞭な可能性あり)、中央尾羽は短く、肩羽が灰色っぽく先端が細長く尖っているなどの特徴から雄第一回冬羽と思われます)
2023.12.31
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