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川原町 Gallery Sagan吉田昌代遺作展 -花に生きて-https://www.instagram.com/gallerysagan/〒500-8007 岐阜県岐阜市元浜町35−11今回は亡き吉田昌代先生の遺作展。現代作家さんの遺作展というのは初めてで新鮮な気分だが、吉田先生がどういう方なのか存じ上げないのでいずれにせよ新鮮ではある。花がお好きだったのかね。地元のアーティストだったのね。今回はどの作品も全く反射処理が施されていない、統一の額縁で展示されていたので、正面からの撮影はほぼ不可能だった。そういえば、ちょうど1年ほど前(6月だったか)の版画展の時にも、こうして植物の中に必ず虫が入っている作品ばかりだったなぁということを思い出す。こういった手法は一部の作家に限ったことではなくて、このように何の絵でも必ず虫や動物を1匹入れるというのは何か不文律にでもなっているんだろうか。たしかに、動的なモノが1箇所でも入っていると、不思議と作品に芯が通るというか、うねりが出るというのか、何にせよ注目を集める効果があるように思う。今回反射がきつくてほとんど撮影はしなかったが、朱色というのか、この手の色の花が多く描かれていた。いちおう、吉田先生は超正統派の日本画家だそうだが、油絵とはやはりまるで違うし、水彩その他の西洋画と比べても、説明はできないが色合いが全然違うのが分かる。何だろうな、このくっきり感というか。
2024.06.05
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川原町 Gallery Sagan布山淳一 布山幸子「ふーふ展」https://www.instagram.com/gallerysagan/〒500-8007 岐阜県岐阜市元浜町35−11今回のsaganの個展は、布山ご夫妻の「ふーふ展」。有り難いことにたまたま小生の訪れた時間にピンポイントで作家のご夫妻がいらっしゃり、手取り足取り教えてもらうことができた。本当に人懐っこい人柄で、明るいひとやったなぁ。作品の方も驚くほどエネルギッシュで人懐っこい。しかも、個性的ながら伝統と歴史にしっかりと根ざしたものだったな。saganに向かう途中の河原町の小路。実はこの景色が一番好きかもしれない。奥に都ホテルがちらっと見えるこのカットも妙に好きね。日常の一コマ感。いつものSagan入口。どうやら絵画ではなく立体作品だが、恐竜と野球がテーマなのかな?というのは、どうやら早計だったらしい。まず夫の布山淳一先生については、近年はもっぱら絶滅危惧種の動物の絵を描いてばかりなのだという。何が面白いかって、絶滅危惧種ってどんな動物かと思えば、ほとんどが動物園や図鑑なんかでよく見るメジャーな動物ばかりだということ。必ずしもそういう動物ばかりではないんだが、その傾向はあるよな。さきほどまでの作品にも共通するのだが、この「◯△□」の図形の組み合わせが、作品群全体のモチーフとなっている。さりげなく背景に潜ませてあるので、意識しないと気づかないかもしれないが、たしかどこぞの宗教における生命の循環か何かを象徴してるんだったか・・・記憶が曖昧過ぎてアレなんだが、淳一先生自身にもうまく言葉で説明しきれないものがあるらしい。そもそも美術作品ってのはそういうものだわな。言葉の手前というのか、向こう側と言った方が正確なのかわからんが、とりあえず言語で表現できないものを伝えるのが芸術の醍醐味よな。これ何つー鳥だっけ・・・この動きはトキ!!トキといえば、2000年台を前にして、一度は個体数が1桁にまで減ったという、まさに絶滅危惧種どころかほぼ絶滅種だったはずだが、日本、中国の協力のもとにだいぶ回復したんだったな。この結果が良しか悪しかは置いといて、保全しようと思えばできるもんだなと当時はかなり感心した記憶がある。このあたりの立体造形は、妻の幸子先生の作品群。猫の作品が多いんだが、どの猫も現実ではありえないぐらい、超にこにこで幸せそうな表情。まさに破顔といった感じ。こいつだけは笑ってるというのとはちょいと毛並みが違う作品だった。これはにらみ合いなのか、仲良し同士でじゃれ合っているのか。どことなく滑稽さを感じさせる。ファニーだな。食ったるぞと言わんばかりの猫に逆に噛みつき返しそうなカエルの図。という風に小生は見ているが、人によっては全然違うんだろう。タイトルが「はっはっはっ」。まんまやな( ゚д゚)こいつも有情破顔拳っぷりがすごい。こちらは飛騨高山の祭りで使う山車を模した作品だが、これを山車と呼ぶのは適切ではない。高山市では伝統的にこれのことを「屋台」と呼ぶとのことで。小生の中での普通の感覚では、「屋台」といえば縁日の出店のことで、こういう神輿というか山車というか地車というか、祭りで使うこいつのことを屋台と呼ぶのは本能的には違和感がある。でも、だからこそ面白いね。むしろ縁日を屋台と呼ぶ方が間違いなのではないかと思うんだが、そもそも屋台の語源すら知らない。そのうち調べてみるか。とりあえず、屋台の呼び方に方言差があるというのは一般的にもよく知られた話のようだ。このやたらとヘンテコで長い手を持つ化け猫は、これまた高山市名物の「手長・足長」をモチーフにしたモノらしい。手長、足長といえば、たしか古い町並み近くの鍛冶橋(だったかな?)の中央あたりに飾ってある謎の妖怪(神様??)だが、これが一体何なのかということについては小生もいまだに全然知らない。ここで布山ご夫妻から話を聞いて久々に記憶の中から引きずり出したが、たしかに何か妙なモノがあったなとしか思ってなかったんだよなぁ。結局何者なのかはよく分からんので、今度高山に行った時にはしこたま観察してやろう。楽しみが1つ増えたな。とりあえず、飛騨方面に行く時には、郡上八幡のエバタナウ、そして高山の手長足長やな。ポスターの一面を飾っていたこの作品のタイトルは何と「大谷」( ゚д゚)時の人じゃねえか( ゚д゚)なるほど、幸子先生には大谷がこう見えてるのねっていうかセンス有りすぎやろこれ( ゚д゚)たしかに近年の活躍を見るに、もはや人間やめちまってる感もあるもんな。そりゃ伝説の肉食竜に託してみたくもなるってもんか。リアルかどうかは難しい話かもしれんが、この勢いと生々しさはある意味超リアル。ちなみに、この作品が完成した時にはすでにドジャース確定してたらしい(笑)悲し(´・ω・`)ということで、ユーモアたっぷり、茶目っ気全開なおしどり夫婦の「ふーふ展」、心ゆくまで堪能いたしました。布山先生、またお会いしましょうb
2024.05.07
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川原町 Gallery Sagan玲愛 作品展『childhood』https://www.instagram.com/gallerysagan/〒500-8007 岐阜県岐阜市元浜町35−11玲愛氏個人SNS等https://www.instagram.com/reiai_0304/https://twitter.com/childhood_meg今月のサガンの個展は、玲愛(れいあい)氏のchildhood。タイトルを見る限りでは、今まで観てきた個展と比べてもけっこう明確にコンセプチャルな個展で、割と楽しみにしてたんだな。期間が2週間ちょいしか無いので機会を逃してはならんと訪問。この日は昨年はほぼ毎月顔をあわせていた小田さんとほぼ3ヶ月ぶりの再会。不思議なことに、会いたいと思う時には噛み合わないんだよなぁ。玲愛でれいあいと読むらしい。小生とほぼ同世代のアーティストさんだったが、えらい若い感じがする。この日は本当に偶然にも御本人がいらっしゃったので、色々とお聞きすることができたという僥倖。岐阜県生まれで、今は常滑在住とのこと。今回の個展がchildhoodという銘打ってはあるが、そもそも普段から制作しているもの自体が、幼少期の心象風景を題材としたものが多いらしい。今回展示されている作品はアクリルの作品が多い。クレヨンを使った小型の作品もあり、描いた後に鉄筆で細かい線を彫って作られたものがけっこう印象的だった。まず入口にデカデカと飾ってあった作品。デカい。そしてかなり抽象的だが、このど真ん中の三日月状のモチーフが実はほとんどの作品の中に取り込まれている。これが何を意味しているかは観る人によって変わってくるんだろう。こちらは手の平サイズの小さな作品群。いちおう、単品でも楽しめるが、まとめて一つの作品としても見れる。火山の噴火か、宇宙でも描いているのか。ところどころに鳥や砂浜のモチーフが見える。右のは流れ星か何かか。こう観ていると、ところどころにトリックアートというか、2通りにも3通りにも見えるような仕掛けが為されていて、不思議と見飽きない。これは全部意図的に狙って設計したものなのか。左側に巨大な怪物、右側に人形の化け物が向かい合っているように見えて仕方がなかった。本当は違うと思うんだが、一度そう見えるとそういう風にしか見えてこない。人間の目がいかに主観的にできてるかよく分かる。こちらは「抱きしめる木」というタイトル。枝ぶりが特徴的な木だが、これは想像上の木なのかどうか玲愛さんに尋ねてみたところ、どうやら実在するものをモチーフにして描いたらしい。大垣・赤坂のお茶屋屋敷というところにあるとのことだが、調べてみると家康ゆかりの史跡らしい。岐阜でも知らんことばっかじゃのう。これにも最初にあった三日月形のモチーフが。何を描いたものなのか分からずじっと眺めて、もしかして海岸の砂浜かと思い始めたところでタイトルを確認してみると「引力」という題。月と海か~なるほど。センスフル。こちらはさきほどまでの作品群とは少し毛色が異なる。鉄筆で削ったとみえる細かい線が印象的。貝殻を拾っているのか。モノクロで淋しげな雰囲気に感じるが、これが幼少期の思い出なのか。思い出って不思議と白黒で想起されるものというイメージがあるが・・・このモチーフで作られた作品が他にもいくつも展示されていたが、これはまさに心象風景というやつなのかね。ぱっと見は植物だが、何とも表現しがたい。と、この後に撮った印象的な青い花の写真ファイルがエラーでぶっ壊れていることに気づく。何つーもったいないことを・・・。今回の個展で1・2を争うぐらい印象的だったので見返したかったんだが・・・また個展を訪問すれば良いか。こういった淡い色は、ぼんやりと霞む遠い過去の記憶だからか。シルエットだけの絵もまた趣深い。こちらの絵は、2枚で1セットの、今回一番大型の作品。タイトルは「LIFE」。この巨大な向日葵は何というんだったか、小生が小学3年生くらいの頃、畑のど真ん中にこれにそっくりのお化け向日葵が植えてあって、ある真夏の夕方に特にこれといった理由もなく写真を撮ったのを覚えている。我が家は好んで写真を撮ったりアルバムに収めてとっておくという習慣が他所と比べるとほとんどなく、どこへ行ってしまったかも分からなくなってしまったが、とにかく、自分の身長の2倍以上はあろうかというお化け向日葵群、完全に日が落ちてしまった直後の夕暮れ、むせ返るような土臭さ、あの頃感じて今は忘れてしまったはずの記憶が怒涛のごとく思い出される。まさに幼少期の心象風景というやつか。普通に考えれば、この暗いバックに向日葵の群生なんてのは違和感しか無いと思うんだが、小生にとってはあまりにもしっくり来すぎて怖いぐらい。アーティストの意図とは全く異なってしまったのかもしれんが、まさに自分のために描いてもらったのではないかと勘違いしたくなるほど、胸にズンと重く感じるものがあった。絵画ってリアルではないんだが、時に本物よりもリアルになることがあるというのは、こういうことか。図らずして、今回はこういう稀有な作品に出会えた。一期一会に感謝したい。自分の家を持ったら買い取って飾っておきたいな。
2024.03.24
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川原町 Gallery Sagan平田晴之介展https://www.instagram.com/gallerysagan/〒500-8007 岐阜県岐阜市元浜町35−11さて、今年一発目のサガンの展示は、グラフィックデザイナー平田晴之介さんの作品展。写真でも絵画でもない、いかにも現代アートといった印象だが、今回は写真の加工で作品を作っていらっしゃるとのことで、これまたなかなかおもしろい。↑こいつが今回の目玉作品にもなってるんだな。小生、本当に情報には疎いのでぜんっぜん分からんのだが、初めて聞く人だわ。いや、本当に知らんのよ。マジで。巷で聞く芸能人の話なんて9割方名前すら聞いたこと無いのばっかやし。世間の人はいつそういう情報を仕入れてくるのかね。よほどテレビばかり見ているのだろうか。若者のテレビ離れとは言うけれども、小生からすればいまだに全然離れてないと感じる。だってテレビでしか俳優やタレントの名前なんて触れる機会ないっしょ。というわけでさっそく展示を・・・なるほど、今回は写真の加工ということで、元となった写真データと、それを使った作品の両方がある程度展示されている。こちらのどうということのない日常の1コマをどうするのか。つーかこの車、ゴミ箱にぶつかってないか?なるほど。これ、アップで見ないと意外と伝わらんのかもなあ。ここに貼った画像ではいまひとつ分かりにくいが、よく見るとゴッホの絵のようなタッチになっている。いや、ああいう揺らめく炎のような感じともまた違うが、これはいったい何なのか。↑こちらも写真を加工した作品。なるほど、これは炎のゆらめきというより、回転か。よく分からんけど、何箇所も軸を作って、その軸を中心にドットを回転させてその軌跡を表示してるのか。ただ、これはどうやってるのか、オブジェクトを解析して特定の部分をまわしてるのか、ランダムのドットを部分的に回転させてるのか。いずれにせよ、写実的というより印象派の絵画っぽい印象を与えるね。実は元の画像を見る限りでは全く面白みのない、細部の粗が目立つような写真ばかりなんだが(しかも安物のデジカメで撮影しているらしく、写りも鮮明でないし画質も粗い)、この加工によって細部の粗は消え、しかし全体的に捻転のエネルギーというか、何かに満ち満ちたような、そういう印象を与える。こちらの花の写真も、元の素材はこれといって美しいと感じる要素がない。しかし何だろうなこの感触は。サッカーか何かを観戦する人だかりだったかな。熱気が伝わる。こちらも木の花を撮影したものの加工品。どれも回転を使った、ほぼ同様の手法での作品ばかりだが、さすがグラフィックデザイナーだなと思わせる一品ばかり。ある意味病的なんだが、しかしこの取り憑かれたような何かの中にこそ宿るものがあるんだろう。改めてそういう事を考えさせられた展示だったかな。やっぱりここは面白いね。
2024.02.22
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川原町 Gallery Sagan辰づくし展https://www.instagram.com/gallerysagan/〒500-8007 岐阜県岐阜市元浜町35−11今月のギャラリーSaganは、2023年最後の企画展であると同時に、作家さんアラカルトによる辰年づくしの展示という、なかなか贅沢な企画。いよいよ新年という実感が湧いてくる、時節柄にぴったりの素晴らしい展覧会ですな。川原町の風景も年の瀬相応になってくる。枯れた草木、ほのかな紅葉の名残が冬の寒さを運んでくる。不思議なことに、見慣れたSaganの玄関も、やや寒色系に(まぁ天気がやや曇りやったし時間帯が時間帯やったから当然なんやけどね)。参加していらっしゃる作家の先生方のリストを見ると、これまた見覚えのあるお名前が。いや~吉川先生の陶器をまた拝見できるとは思わなかった。独創的かつ明るい人柄で、喋りだすと止まらないひょうきんなおじさんというイメージだったが、創り出す作品もまた一際面白いものばかり。今回はどんなモノを作ってきたのか。とりあえず入り口から順に。なるほど、辰づくし展ということなので、当然ながらどれもこれも龍の意匠をあしらったものばかり。↑これなんか、ぱっと見たところどこが龍なのかイマイチよく分からないところが味噌かもな。なんかFF6のフンババみたいなやつやな。通じる??はい、このあたりから、ちょっぴりひょうきんゾーン。ファニーな作品たちが・・・もはやゴリ押し、言ったもんがちの世界やな( ゚д゚)シュールレアリスムの極みや。ゲシュタルト崩壊起こしそう。こういう理不尽な作品もまた芸術かな。好きやわ。胴体中央から後ろが綱にしか見えない。ウロボロスみたいになってんのかなこれ?おお~香炉ですね。これは普通に欲しくなるやつだ。芸術品なのに、どうしても実用性を求めたくなってしまうところはやはり貧乏性なのだろうと思う。いや~やっぱ織部カラーに弱いだけか。お、ちょっと香炉の隣に明らかに怪しいオーラを放つ作品群がいや、これどう見ても吉川先生でしょ。このメンツの中でならこれは吉川先生やわ。と思ってオーナーの大亦さんに尋ねてみたところ、当たりでしたね( ゚д゚)この左右非対称の造形、どこか緊張感の不足した眼差し。一番左のカバっぽいやつがお気に入り。この割りとげっ歯類っぽい龍の作品たちは、だいたいみんな何か手にモノを持っていて、その持っているモノが作品名になっている。右手前のは「クシュクシュさん」だったかな?割りと今風のセンスを感じる。手に持ったタオルか何か分からんけどクシュクシュしとる。これ辰が関係あるのか分からんけど妙に惹かれるな。色合いが良い。あ、個人的に一番ピンと来たのがこれ。なにげに模様の出し方が超繊細・・・接近して見ると素晴らしい陰影と線の細かさ。焼き物にこれってどうなってんのかね。今回一番分かりやすい作品群かも。これまた可愛らしいこと。龍というよりはうさぎかネズミかに見えてくるな。偏見かもしれんが女性的なものを感じる。と、ここで大亦さんからお茶とお菓子が・・・いつも冷やかしなのにすみません。有り難くいただきます。この豆大福めちゃくちゃ美味かったな。各務原の菓子屋さんらしいが控えそこねて分からなくなってしまた。無念。このあたりは壁かけスタイルのレリーフ系の作品ばかり。サイズもサイズなのでかなりインパクトある。このタツノオトシゴもなにげに超デカい。お、男の子は素直に好きそうな感じ。分かりやすいね。やはり龍といえば昇り龍でしょう。一通り見て思ったが、どの龍もずいぶん日本的というかアジア的というか、そういう龍ばかりで割りと安心感あったね。不思議と西洋のドラゴンチックなものは無かった。良きことであるね。もう1回ぐらい見てみたかったが、あれよあれよといううちに年の瀬を迎えてしまい、この1回が最後となった。大亦さん、今年1年お世話になりました。ぜひまた来年もよろしくお願いします。
2023.12.31
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川原町 Gallery Sagan日本画と陶器展(髙山大/福田公美)https://www.instagram.com/gallerysagan/〒500-8007 岐阜県岐阜市元浜町35−11Saganの11月の展示は、なんと先生方お二人のコラボ企画展。日本画と陶器とは、なかなか面白い。パッと見た感じ、どこが陶器なんだろうと不思議に思うんだが、実物を見てみたらたしかにという感じ。こんな感じで、壁に日本画、その下に陶器を配置した構成に。とりあえず日本画の方から。そもそも日本画の定義をよく知らないために、どうしても西洋画と対比することでしか考えられない。こちらの白いオウムの羽毛のモコモコ感はけっこうツボだな。分かりやすい西洋遠近法の客観描写とは趣の異なるものだが、ただ描き込みの細かさについては全く見劣りするものではない。どころか、むしろ細かいんじゃないか。この浮き出るようなモリモリ感こそが日本画の真髄なんやろか。これは桜ではなく梅の花。小生の実家は梅に縁のある地名なので、やはり梅というと惹かれるものがある。花弁がこちらを向いているところがいかにも日本画的だね。こういう印象として捉えてるわけだ。植物の画が多い中で一際存在感のあるのがこちら。美味そう植物なんかを描く時でも、この蝶のように、どこかワンポイント動物や虫を入れることで全体がバシっと引き締まるのだそうで。そういえば6月に見た版画の時も、同じことを先生が仰ってたなあ。枇杷かな?こういうのも日本画なんだなと感心。こちらが今回の企画展のポスターにも使われている作品で、制作者の福田先生もイチオシの作品とのこと。紫中心の暗めの配色、食虫植物のようなあけびの姿はどこかおどろおどろしく、異形の作品だと思っていたので、福田先生のこの一言には大いに驚いた。そこに居合わせた常連さんのコメントも同様だったのが笑えた。個人的には、なんとなくマリオに出てくるパックンフラワーの変異種かなといったところ。なんか食われそうな雰囲気なんよね。そういえばあけびって最後に食べたのいつだっけか。ここからは狐の作品2連発。これは太陽を見上げる狐の図か。狐と太陽ってあまり結びつかないんだが、しかし狐の嫁入りなんていう言葉もあるので、晴れと狐はどこか縁があるのだろう。こちらはかなり大型の作品で、壁の一角を占領していた。以前は岐阜県美術館にも展示してあったようで、訪れるお客さんの中にはチラホラと知っている人も。皆さん、あちこち行っていらっしゃるのだと感心。こちらの作品にはどうやら面白いエピソードがあったようで。うろ覚えなので多少間違っているかもしれないが、この絵を描こうと決めた時、福田先生は稲荷神社(どこの狐だったかは覚えてない)で狐様に報告したのだそうだ。これから描かせていただきますということをね。で、この絵の完成間際(完成直後だったかな)、ふと庭に狐が現れたのだそうだ。生で野生の狐を見たのは、今のところこれが最初で最後だったらしい。自宅周辺に狐が出ることはまずないそうだ。偶然とはいえ、珍しいこともあるものだと思うものの、どうしてもただ偶然で片付けてしまいたくはなくなるわね。この長細い筒状の陶器はいったい何なのだろうか。と思っていたら、ギャラリー支配人の大俣が言うには、経典(巻物)を収めるための容れ物だそうで。こうして見ると陶器というより、漆器に近い表面の印象。色合いが絶妙なんだよね。真ん中の継ぎ目のような線は意図的に入れたものらしい。漆塗りの木工品にしか見えないこいつだが、実際に蓋を持ち上げてみると、やはり土だということが分かる(明らかに思い上にザラザラしてるからね)。この深みのある黒は、黒色絵の具をつけているわけではなく、藁による焼成の過程でつく色なんだとか。やっぱり陶器の質感とは思えないね。外側を触った感じも漆器みたい。実際に手に持ってみると重くて驚く。間違いなく陶器。こちらは大型の箱状の焼き物。何を収めるためのものなのか。こちらは小皿などの作品集。使うためではなく鑑賞するための器だのう。なんとも味わい深い一方で、どうしても使い勝手を想像してしまうのは悲しい性。
2023.12.06
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ギャラリーSagan 渡辺陽子人形展以前購入した小貫先生の作品を受け取りがてら訪問することに。今回はあまりゆっくりと見る時間が無いが、これまたちょっと変わった展示なので面白そうだなと。今回は渡辺陽子先生の人形展。人形自体にはそれほど興味は無いが、あえて興味があるとすればマスターオブパペットぐらいかな( ゚д゚)傀儡って言葉、良い響きよね。で、こちらの先生の展示なんだが、魔女とアンティークドールという、ぱっと聞いた感じでは何のこっちゃ分からんコンセプト。というか魔女と芸術・・・?こちらは想像した通りの人形たち。表情が立体的にしっかり作られているものもあれば、のっぺらぼうのものも。絵画を元ネタにした人形も作っていらっしゃるそうで、後ろには原作がいくつか飾ってある。この後ろの絵は存じ上げない。有名な作品らしい。自分の教養の無さが露骨に出てしまうな。そういえば、人形といえば、一般的「無表情に作られる」ものであるというイメージがあるが、渡辺先生の作品も概ねそのような傾向に見えるね。ただ、表情がどう見えるかなんてのは主観的なものなんでどうでも良い話かもしれんが。このピエロは笑っとるようにしか見えんな。いや、これってピエロなのか?服装の方はいかにも道化師らしき感じだが、顔はそこまででもないような。同じ作品を違う角度から。こちらは無表情やね。しかし何でか。無表情なのに生き物よりも生き物らしく感じてしまうのは。そういや人形ってのは少女の姿のものが多いのは何でなんやろう。壁に吊り下げられた道化師軍団。道化師を道化と感じるのは一体何が起因しているのだろうか。赤ちゃん人形を抱えた男児と女児の人形。いや、これは赤ちゃんを抱えた男児と女児の人形なのか。個人的に、これは赤ちゃん人形を模した赤ちゃん人形のように見える。自分で言ってて何のこっちゃ分からんくなってきた( ゚д゚)そして魔女コーナー。他の人形たちが比較的リアル路線であるのに対して、これはステレオタイプな魔女をさらにデフォルメしまくったような魔女像を具現化している。ただ、不思議なことに、この魔女たちは誰もかれもがファニーで憎めない顔というか、もろに優しい表情をしている。さて、こんなに優しげな表情をした魔女たちを今まで見たことがあったろうか。ブラックメタルを通じて魔女に関する話にはいくらか触れてきたものの、このパターンは初。やはり魔女狩りによってネガティブなイメージが流布されまくった結果、魔女の魔=悪魔という固定観念がついてしまっとるだけなんだろうか。馬車を引く魔女の図。そういえばこの魔女たち、先生曰くスウェーデンの魔女について取材してきた(だったかな?)上で創作なさったとか。あちらの魔女はこんな封にみんな微小を浮かべているイメージなのか。この作品はたしか、『おしゃべりな魔女たち』だったか。メモをとっておかなかったから確信はないが、たしかそのはず。背景に使われているのは、もともと先生のお宅で仕様していたカーテンを利用したものらしい。こんなに鼻と顎が尖ってんのに・・・と思ってしまうのがまさにステレオタイプなんやろうね。魔女の顔が悪人に見えるのは、この鼻と顎のせいなんだろうと思っていたんだが、全くそうではなかったことを確信した。しかしこれは、人形というのかレリーフというのか。何でも型にハメてから作ろうとするモノとは全く違ったものに見えるが、こういうクリエイティブなことができる人にはいつもいつも畏敬の念を抱かずにはいられない。その点でいうと真っ先に思い浮かぶのはBlack Market。飲食で言うならNatural baseか。ステレオタイプの良さを求め続けてきたけど、ようやく最近になって思うところがでてきたな。本気かと言われれば、本気とは言えない。その辺りはそしりを受けても当然かな。ただ、彼らが凄いとか、自分にはできない、なんてことを言うのも失礼な話なんだろうな。やってみてもいないことをできないと言い訳するのは、誰もが嫌うことのはずやしな。
2023.10.30
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川原町 Gallery Saganhttps://www.g-sagan.com/https://www.instagram.com/gallerysagan/〒500-8007 岐阜市元浜町35-11TEL : 090-7424-8924E-mail : g-sagan@hyper.ocn.ne.jp岐阜市長良橋南エリアの川原町にひっそりと佇むこちらのギャラリー、川原町 Gallery Sagan(ギャラリー サガン)を訪問。今回についてはもう2ヶ月以上前から注目の展示だったのでかなり楽しみにしていた。前回は花火の日の訪問でちょっと落ち着かない雰囲気だったが、この日は思う存分楽しめた。まだ2日目にも関わらず(むしろ2日目だからか)、今回はかなり盛況らしい。かなり人の気配が。前回の岩田Yassayさんの展示も素晴らしく自由で面白かったが、今回はまた注目度が凄い。今回の展示は小貫善二先生の作品。焼き物ながら精緻な現代風の精緻なデザインで、照明器具として使う目的の透ける焼き物。小生も話で聞いただけでは全くイメージができなかったが、ここ最近はずっとこのような作品を造り続けていらっしゃるとのこと。https://www.facebook.com/yoshiji.onuki.1/?locale=ja_JP元々は編集のお仕事が本職だったそうで。世の中面白い人が本当にたくさんいるもんだ。ギャラリーに入って左手の作品群。奥には練り込みの技法による焼き物。外からの光がそれなりに明るいのでまだぼんやりとはしているが、よく見るとどれも微妙に陶器が透けていて、光の漏れ方の陰影のグラデーションが何とも言えない温かみをだしている。この傘みたいなタイプのモノが一番多いらしい。厚い部分と薄い部分があるのか、明るいところと暗いところの陰影が絶妙な味だね。こちらは以前から宣伝用のハガキにもあった作品なので、実際に見てみてこの精妙さに驚く。焼き物でここまで細かい仕事ができるとはね。なにげに台も素晴らしいんだが。ちなみに、この造形のモチーフは鳥とのこと。こうしてデフォルメした鳥を積み重ねたデザインがけっこう多いんだよね。どうしたらこういうものを思いつくのか、やっぱり芸術家の方の脳みその中は面白い。こちらはアンモナイトを象ったもの。形ゆえにか、アンモナイトを模しているというだけで非常に迫力がありダイナミック。そしてさきほどの作品以上になんと細やかな仕事か。全体の造形もさることながら、とにかくこの飾り模様が細かく、光の漏れ方もまたなんとも。中心部以外からはそれほど漏れてないのも高感度高い。いや、しかしこれだけ手間暇かかった一点もので5万円か。これ、タイムパフォーマンスで考えたら激安だと思われる。こんな価格で商売になるのか不安になるぐらいお買い得だと思うんだが。ちなみに、小生はこの手の芸術品も家具や調度品といったものには一切手を出してこなかったので、飾るとか使うという発想がないんだが、このアンモナイトはかなり食指が動いたね。触手は動かんかったけど。明かりのオンオフも試してみる。明かりとして使うのが前提として作られているだけに、本来は左側を楽しむのだろうが、実際に見てみると消灯状態の方が作りの細やかさがよく分かる。エッジが立ってる感じと言ったら良いのかね。ちなみにその場に製作者の小貫先生がいらっしゃったので、明かりがなくても精緻な作品ですねといった趣旨のコメントをしたところ、たいへん照れていらっしゃった。どうしても証明有りきでしか見てもらえないということの方が多いらしく、造形そのものを褒められるのはたいへん珍しく有り難いとのことで。なんとも謙虚な作家さんだと感心した。そしてたいへん愛嬌のある方で、色んなお話を聞かせていただいた。小貫先生、短い時間でしたが、大変興味深いお話を有難うございました。こちらはたしかサボテンというタイトルだったはず。色がついている作品としてはたしかこの一点のみだったかと記憶している。某ナウ◯カに出てくるアレを彷彿とさせるな。このファンキーなやつは踊り子だったかな。埴輪っぽい感じがするね。これまた愛嬌のあるやつだこと。その右側に写っているペンギンみたいなやつは鳥。このキャッチーさが女性に大人気なのだという。たしかに可愛いなこれ。イソギンチャクとか海底の謎生物を思わせるこいつは、たしか「群体」というタイトルだったかな。なんとなくこの角度だとピ◯チューに見えないかと思うんだが、これは小生の感覚が狂っているからだろう。個人的にはこの作品が、空間制圧バランス的に最も優れているなと感じた。表現が難しいんだが、とにかく三次元を上手く使っていて、どの角度から見ても物足りなさを感じさせない。何なのかは分からんが、どこから見ても飽きのこないデザインだと感心。買うならこれが欲しいな。こちらは小貫先生が取り組まれている【練り込み】という技法を使った焼き物。これは焼いた碗に絵を描いているわけではなく、あらかじめ色のついた異なる種類の土を使って金太郎飴のようなものを作っておき、それを押し広げて作られた焼き物。だからこの幾何学模様らしき模様には微妙に歪みや不規則性があり、整合性なのか偶然性なのか、これまた微妙なものが表現されている。不規則なのに規則的というのが、この練り込みでしか出せないポイントだろうね。これも面白い。作ってみたいな。今季の企画展もほんまに面白かった〜来月はくそ忙しいので来れないかもな・・・
2023.10.05
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