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2枠しかない女子シングルの五輪切符は、全日本が始まるまではほとんど注目されていなかった坂本選手のものになった。この選考結果は極めて合理的だったと思う。有力候補だった樋口選手はまたもサルコウがダブルに。フリーだけなら5位という成績だ。台落ちした選手を選ぶならよほどの実績が過去になければ難しいが、そもそも女子が2枠になってしまったのは、昨季のワールドで樋口選手自身が予想外の不出来だったことが最大の理由だ。今季は安定した点数を出してきたが、肝心のファイナルで失速。全日本でのダブルアクセルのパンクと3サルコウの失敗。この「失敗の印象」があまりに強い。ルッツのエッジにやや不安のある坂本選手に対し、ルッツはきれいなアウトエッジにのって跳ぶことができ、3ルッツ+3トゥループをフリーで2つ入れるという「離れ業」をやってのけることのできる樋口選手だが、今回の2つ目のトゥループで回転不足を取られ(取るほど足りてないジャンプには見えなかったが)、またもこの強みを生かせなかった。三原選手はフリーだけなら3位だが、今季はどうも体調不良が多いのか、昨季のような力強さが感じられない。ジャンプも昨季のような安定感がない。一方、坂本選手は、大事な全日本で絶好調。ショートのジャンプの高さ・幅・流れには度肝を抜かれた。この圧倒的なジャンプの「質」の高さを連盟は選んだのだと思う。マイムだという表現部分は、ほとんどお休みしてるぐらいにしか見えないし、全体的にどうにも荒削りだが、宮原選手にはないジャンプの質を持ち、シーズン後半にきて上り調子で、若々しい勢いを感じさせる。メディアは、「明暗を分けた坂本・樋口」というような切り口で報じているところが多いが、Mizumizuから見ると、明暗を分けたのは坂本・樋口ではなく、むしろ坂本・本田だったのではないかと思っている。というのは、シーズン初めのUSインターナショナルクラシック。メディアが「まりんまりん」病にかかったのは、この大会で本田選手が優勝したからなのだ。そして、この試合、もはやほとんどの人が憶えていないようだが坂本選手も出ていた。http://www.usfigureskating.org/leaderboard/results/2017/26189/results.html点数は上のリザルトが示すように、相当悪い(汗)。これではオリンピック候補選手として挙げられないのは当然、逆に本田選手は整った成績で十分に今シーズンの飛躍が期待できるものだった。いちいちメディアが「まりんまりん」と他の選手を差し置いて注目するものだから、すっかり反感を買い、「もともと5~6番手の選手だろ」「最初から五輪の芽なんてなかったじゃん」というようなコメントがネット上に投稿されるハメになってしまったが、坂本選手のポジションに本田選手が来る可能性は十分にあったのだ。実際に本田選手の演技を見て、非常にエレガントで天性の優美さを備えた選手だと思った。ジャンプをおりたときの姿勢もきれいで、アゴから上半身にかけて流れるような美しさがある。フリップ・ルッツのエッジにも問題がない(これは大きなアドバンテージだ)。ダブルアクセルに3トゥループをつける連続ジャンプをフリーで2回やって2回ともおりている。1つは回転不足判定だが、そもそも今回のフリーは、有力選手のセカンドの3トゥループは1人1つノルマのように刺した感じ(苦笑)。判定が大きく順位に影響しないよう配慮したんですか? まったく。演技の密度から言えば、宮原選手がすぐあとに滑ったので、返ってこの2人の「積み上げてきた練習量の差」をまざまざと感じてしまったのだが、やはり多くのスポンサーがつくだけあってポテンシャルは大きい。坂本選手や樋口選手のような爆発力のあるジャンプは跳べないが、そのかわりさりげなく、力を入れてないのに難度の高いジャンプを跳んでしまう能力がある。坂本選手が全日本で素晴らしい演技をしたために、日本中が「坂本、坂本」になっているが、悪いほうに流れれば、ジャンプを連鎖的に失敗して、USインターナショナルクラシックのような点数になってしまうリスクもある選手なのだ。1つの試合、ミスるかうまくいくかのほんのちょっとの違い、それで世の中の見る目ががらりと変わってくる。本田選手には残酷な結果となったが、これが実力といえば、実力なのだ。そして、坂本選手の「勢い」が本当の実力になるかどうかもまた、坂本選手本人次第。今回輝くことができなかったとはいえ、やはり本田選手には他の選手にはない華がある。そして、ジュニアの紀平選手もまた素晴らしい。まだ体が軽いというアドバンテージがあるとはいえ、トリプルアクセルを完璧に回り切っておりてきた。平昌の次のオリンピックでは、また日本女子は3枠に。その展望も明るく開けた全日本になったと思う。
2017.12.25
2017年全日本女子フィギュアタイトル。名実ともに女王に最もふさわしい選手が、それにふさわしい演技をし、彼女の競技人生の中で最も輝いた日になった。宮原知子は、模範的な演技者だ。何度やっても同じ演技ができるのではないか――この「安定感」はかつてのクリスティ・ヤマグチを彷彿させる。「新時代のミスパーフェクト」というキャッチコピーはミシェル・クワンから拝借したものだろうが、宮原選手の繊細で上品な表現力は、中国系のクワンよりも、日系のヤマグチに通じるものが多い。ヤマグチも「スーパーヒューマン」と呼ばれ、その真摯な人柄で広い尊敬を得ていた。けがのために今季は出遅れ、ショートでも2位。全日本女王の座を何年も維持してきた実力者とはいえ、今の女子フィギュアの「流れ」を見ると、若手にあっという間にその座を奪われる。安藤・浅田時代と比べると世界的な成績では粒が小さくなったとはいえ、日本女子シングルは層が厚い。マスコミは「まりんまりん」と今季は成績も出てない選手の「覚醒」を勝手に囃し立てて待っている。宮原選手にとって優位な状況とはとても言えない。むしろ逆境に近い。そうした凄まじい重圧の中、フリーの演技スタート。嬉しかったのは会場の拍手が宮原選手に対してひときわ大きかったことだ。会場にまで来て演技を見ようというファンは目が高い。そして、演技開始の最初の滑り、最初のポーズから、「やはり宮原は違う」と思わせる技術の高さ、芸術性の高さ、つまりはその裏にある、長年の積み重ねた練習量の豊富さを見せつけられた印象だった。とにかく滑りがイイ。ストロークがきれいに伸びて、ブレードが氷に張り付くようにまったくブレない。だからポーズもピシッと決まり、美しい。スピードの緩急もメリハリがついて見える。すべてを支えているのは基礎的な滑りのうまさ。あっという間にループを跳び、ほれぼれするような伸びやかな軌道を描いてルッツへ…。今回はたまたま公式練習の様子をテレビでやってくれていて、宮原選手の曲かけ練習を見ることができた。そのときは最後のダブルアクセルに3トゥループをつけてきれいに降りていたので、本番でも最初のルッツの連続は2回転の3連続にするかな、と思っていた(本当はこっちを試してもらいたかった)が、ここは予定通り渾身の3ルッツ+3トゥループ。その後もジャンプを次々決めて、ジャンプだけでなく、すべての要素に神経の行き届いた演技をしてのフィニッシュ。これまでの競技人生の中で最も力強く、宮原選手の強さをあらゆる人に見せつける圧巻の演技だった。他の選手も高難度のジャンプを組み入れ、表現にもそれぞれ力を入れているのだが、宮原は他の選手より一段上にいる、と思わせる出来だった。彼女を見ていると、「様式美を個性に高める」日本独特の芸術表現の追求を思い起こさせる。それがたとえば踊りでも、様式を徹底的にたたき込む。その段階では個性だとかなんだとかは、ない。教えられた様式を体でおぼえさせ、それを極めるところまで練習・練習・練習だ。すると、その様式美はいつの間にか、その人だけにしかできない「味」を発散し始める。様式だから、同じことは誰でもなぞることはできる。だが、それを人々の目を奪う芸術に域にまで高められる人は稀有だ。その稀有な存在に宮原選手はなったのだと思う。ケガがなかったら、ここまでは来なかったかもしれない。去年までの宮原選手とは確かに、どこかが違うのだ。それは1つ1つのポーズの決まり方、1つ1つの身のこなし。1つ1つの動作のつなぎ。とても細かい部分の積み重ねだ。コーチも舌を巻く忍耐強さ。それは今の日本人の若者が失いつつある、伝統的な日本人の「知性」そのものかもしれない。今回の大きな一発勝負に「勝った」ことは、宮原選手の今後の人生にも、大きなプラスの影響をもたらすだろう。で。オリンピックに向けてはやはり、3ルッツ+3トゥループだ。宮原選手の3ルッツ+3トゥループの今季の認定(つまり回転不足を取られずに基礎点をすべて獲得する状態)の確率は…NHKショート 3Lz(<)+2T フリー 3Lz+3T(<)スケートアメリカショート 3Lz+3T (ただしGoEが-2がずらり) フリー 3Lz+3Tファイナルショート 3Lz+3T フリー3Lz(<)+3T(<)全日本ショート 3Lz+3T(<) フリー フリー3Lz(<)+3T (<)がアンダーローテーション判定。8回ルッツからの連続ジャンプを跳んで、両方とも認定されたのは3回。しかもスケートアメリカのショートは「お情け認定」に近く、着氷で大きく乱れたのでGoEは-2ばかりで、これでは認定されても意味がない点数。もっと率直に言うと、見ていてヒヤヒヤ感がなかったのは、「宮原史上最高の出来」だったスケートアメリカのフリーの1回きり。しかも、ルッツとトゥループが日替わりのようにアンダーローテーション。どっちかだけが問題というのなら、まだマシだが、どっちも取られるというのは、3ルッツ+3トゥループの連続ジャンプは未完成の選手、と今季の判定からは言えてしまう。汗汗汗汗最も大事な3回転+3回転の連続ジャンプの認定確率がここまで悪い選手が、オリンピックの台にのれるというイメージは、残念ながら非常に描きにくい。じゃ、他の選手は? と言えば、ショートでは素晴らしいの一言だった坂本選手の3フリップ+3トゥループも、フリーの冒頭では2つ目の3トゥループが(<)。樋口選手のフリーの2つ目の3ルッツ+3トゥループの3トゥループも(<)。判定が甘くなれば取ってもらえるかもしれない。だが厳しく見られたらアウト。ハッキリ言って、誰が出ても、確実に3+3の認定ジャンプを跳べる選手は日本女子にはいないのだ。これが「激戦」日本女子フィギュアの現実だ。全体的にレベルが高く、粒ぞろいと言えばキレイだが、悪く言えばどんぐりの背比べ。そんな中でオリンピックの台のりを期待するとすれば、やはり宮原選手。もちろん本番では何が起こるか分からないから、ロシア女子が次々失敗し、カナダ女子が次々すってんころりんし、アメリカ女子が回転不足を連発し、ダメ押しでコストナー選手が3+3を跳べずに3+2になりシングルジャンプを連発し、そんな中で奇跡的に日本女子2人が今まで全然やったことないけど、ジャンプをショート・フリーとも全部認定成功させる、なんてこともあるかもしれない。しかし、ただでさえ反日感情の強い韓国で、そんな神風は吹かないだろう。だとしたら、宮原選手に頑張って、「宮原史上最高の3+3」をオリンピックで跳んでもらわなければならない。それもショートで。やってくださいよ~~。すべてがかかるこの最初のジャンプ。宮原選手の心身の強さを思えば、この大勝負だって十分に勝算はある。そのあとのフリーは、ダブルアクセル+3トゥループを2つにするという手も依然として残されていると思う。ただ、2つ目のダブルアクセルが一番最後というのがね…。公式練習を見ても、技術的には問題なく跳べるが、体力的にどうか。疲れが出てしまうと回り切れない。オリンピックまではまだ時間がある。幸い他のエレメンツはすでに非常にレベルが高いから手直ししなければいけない部分はほとんど見当たらない。セカンドにつける3トゥループの確率。日本のスペシャリスト、総動員で宮原選手にとってどの組み合わせが認定確率が高いのか検証・アドバイスをお願いしますよ。表彰台の宮原選手の表情は、自分自身への自信で力強く輝いていた。あの晴れやかな笑顔をオリンピックでも見たい。頑張れ、チーム日本!
2017.12.24
平昌五輪での日本女子シングルのエースは宮原で確定的――こう断じた理由は、宮原選手の手堅い演技構成点だ。今季出遅れたとは言え、演技構成点を見るとスケートアメリカがショート= 33.95点で1位、フリー= 71.08点で1位。グランプリファイナルがショート=35.22点で3位、フリー=71.88点で3位と日本女子の中では抜群に安定した高評価を得ている。あとはジャンプ。高さは出ないが、ジャンプにも安定感があり、宮原選手の体の強さが良く伝わってくる。スケートアメリカのフリーでの連続ジャンプは素晴らしく、特に3ルッツ+3トゥループは「宮原史上最高」ではないかという出来だった。後半の2アクセル+3トゥループも、3トゥループの軸の細さと回転の速さは瞠目もの。加点はせいぜい「1」で、「2」がちょっとだけで、もっと加点がついてもいい出来ではないかと思ったが、宮原選手はどうしてもジャンプに高さが出ないので、この渋い評価も仕方ないのかなとも思う。だが、ファイナルのフリーでは、3ルッツ+3トゥループも次の単独のフリップも回転不足判定。スロー再生を見ると、以前のような明らかなグリ降りではなかったと思うのだが、軸が傾いたまま着氷してしまっている。今季の日本女子はこのパターンで回転不足を取られることが多い気がする。ギリギリ回っているようにも見えるが、ちょっとだけ足りないと言えば、足りない。だが、本当はファイナルのフリーだけではないのだ。回転不足判定はされなかったがヒヤヒヤもののジャンプというのが、宮原選手はどうしても多い。特に3ルッツ+3トゥループ。回転不足判定されなかったのはラッキー、というようなギリギリの着氷がどうしても目立つ。ショートでは3ルッツ+3トゥループを跳ばざるをえないが、フリーではやはり2アクセル+3トゥループを2つに戻したほうが、確率としてはいいのではないかな、と思う。2アクセル+3トゥループでも、2つのうち1つは3トゥループで回転不足を取られるかもしれない。だが、どちらが回り切れる確率が高いかと言えば、やはり2アクセル+3トゥループではないだろうか。全日本では、フリーで3ルッツ+3トゥループをはずし、2アクセル+3トゥループを2つ試してみると良いかもしれない。
2017.12.12
五輪直前になってくるとやたらとシビアに欠点を突かれ、点数が伸びなくなるパターンのフィギュアスケート女子シングル。今回もそのパターンに陥ってきたように見える。いくらシーズン初めのイベント試合(ジャパンオープン)で高得点を出しても、いざシーズンが始まるとわずかな回転不足を厳密に取られてファイナルに進めなかった三原選手。B級国際試合では全米女王も寄せ付けない点数をいきなり叩き出し、人寄せパンダのように持ち上げられても、いざ本格的なシーズンが始まり、よりグレードの高い試合になると、回転不足判定が増え思ったような点数が出ない本田選手。そんななか、グランプリシリーズでコンスタントな成績を出し、五輪候補の一番手と見られていた樋口選手への期待は高かった。しかし、ファイナルが終わってみると、樋口選手につきまとうマイナスのイメージ「ここ一番の大事な試合で、凡ミスをする」が、またも裏付けられる結果になってしまった。樋口選手の強みは、なんといってもトリプルルッツ+トリプルトゥループをフリーで二度決められるジャンプ能力。セカンドジャンプのトゥループはやや回転に難があることもあるが、総じて質は高く、決まればジャッジは1点以上の加点をつけてくる(つけない意固地なジャッジもいるが)。そして、今回ファイナルのフリーを見て知ったのだが、連続ジャンプのリカバリー能力も非常に高い。ルッツに3Tをつけられなかったら、ダブルアクセルにつけてきて回り切った。着氷乱れでGOEはマイナスだったが、回り切っていたから基礎点は入る。このジャンプ能力は大きなアドバンテージなのだが、今回は3サルコウがダブルになってしまった。その失敗そのものよりも、ミスったときに起こる心理的問題の処理がうまくいっていない気が、見ていて、する。3サルコウがダブルになってしまったとき、明らかに樋口選手は自分自身に落胆し、それが演技にはっきり出てしまった。そして次の「勝負ジャンプ」での連鎖的な失敗。悪いときの樋口選手のパターンで、しかも、それが大事な試合で起こる。この「縁起の悪さ」というものは、案外ずっとつきまとうものなのだ。名選手なのにオリンピックになると必ず失敗する人がいる。逆に4年に1度しかないオリンピックになると、これまでにないようなパフォーマンスを見せる選手もいる。体を使ってやるスポーツでは、そういう体調の波とのめぐり合わせも多い。樋口選手はこの悪いパターンから脱出しなければいけない。インタビューを聞くと、自分自身が自覚しているようで、今のところ「気にしている」ことが良い方向に行かず、悪い方向に行っているようだ。ファイナルの結果が良ければ、五輪切符をほぼ手にできていただけに、こうなるとファイナルに出た「疲労」と結果が思わしくなかった「精神的ショック」が、すぐにやってくる全日本に悪影響を及ぼすパターンに半ばはまってしまっている。だが、冷静に考えてみよう。プロトコルを見ても回転不足判定はない。スピン、ステップともにレベルは取れている。素晴らしいではないか。あとはジャンプ。1つ変えたほうがよいと思う部分があるとすれば、それはフリップだ。樋口選手はショートにフリップを入れているが、ここにイチャモンの「!」がつくことが多い。毎回「!」がつくわけではないが、かなり高確率でアテンションを取られる。ならば、宮原選手のようにショートはフリップではなく、ループに変えてはどうだろう。樋口選手はループが苦手ではない。跳べば失敗も少なく加点もつく。この強みを生かさない手はないと思うのだが。ルッツを2つとも3トゥループにするのも、今回の失敗を見ると負担が大きいようにも思う。2つのルッツのうち1つは、3トゥループではなく2回転の連続をつける。そして、連続ジャンプにつける3トゥループはダブルアクセルにつけることにする。連続ジャンプは単純な足し算だから、3トゥループをルッツの後につけようがダブルアクセルのあとにつけようが、最終的には同じこと。今回リカバリーでダブルアクセルのあとに3トゥループをつけて回り切っている能力を見ると、3ルッツ+3トゥループ2つよりも、1つは2A+3トゥループにしたほうが確実ではないかという気がするのだが、どうか。今回のフリーの点数が伸び悩んだ原因の1つは3連続にしたフリップにも「!」がついてしまい、加点がつかなかったこと。3ルッツがダブルになってしまったので、こういうリカバリーしかなかったが、そもそも3ルッツ+3トゥループを2回という「離れ業」の心理的負担が、3ルッツの失敗を誘発しているようにも思うのだ。次の全日本まで時間がなく、樋口選手には不利な状況になってしまったが、もともとジャンプの能力は高い。自分の強みを信じて頑張ってほしい。逆に三原選手、本田選手にはチャンスが広がった。樋口、三原、本田の3選手を中国大会に出場させたのは、この3人が同じ試合でどういう評価を受けるか見たかったためだろうと思う。その際のポイントはショートプログラムの演技構成点だ。これを見ると、樋口(32.85)、三原(32.24)、本田(31.89)で大差ない。特に樋口選手と三原選手はほぼ同評価。これがフリーになると演技構成点は、樋口(67.89)、三原(64.72)、本田 (64.58)。樋口選手がちょっとだけ抜けて、三原・本田選手はほぼ「横並び」の手抜き採点。これが女子採点のパターンだ。つまりショートで選手は「仕分け」される。メダル候補から落ちると、同国にメダル圏内の1番手の選手がいた場合、2番手選手のフリーの演技構成点は伸びない。今回のファイナルでメダルを獲得したソツコワ選手はフリーの技術点で稼いだのであって、演技構成点は68.69で、この点数だけ見ると5位だ。中国大会の採点を見ると、「樋口を出しても、三原を出しても、どっちでも同じ」。あとはジャンプの出来次第といったところだ。今回のファイナルを見ると、「樋口よりも三原のほうが確実かもしれない」という印象を、連盟の幹部はもったかもしれない。本田選手は後れを取っているといえばそうだが、シニア1年目で過去の実績がないから、むしろ「1年目にしては良い評価をもらっている」というところではないだろうか。ロシアの、バレエの素養をばっちり身につけ、まだ体が軽くジャンプも跳べる、手足の長い美少女たちと比べてもあまり意味はないだろう。三原選手はイベント試合とはいえ、今シーズンフリーで147.83という点を、まがりなりにも出しているし、昨季の四大陸女王だ。本田選手は華もあり、タレント性は折り紙つき。演技構成点を安定して高くもらっている宮原選手の五輪出場は、かなり決定的。全日本で回転不足を連発するようなことにならなければ、平昌の日本の女子エースは宮原、というのは揺るがないだろう。
2017.12.10
ジャパンオープンが終わった。日本人女子シングル選手にはまずまずの点が出たが、オリンピックシーズンに期待を抱かせて、グランプリシリーズの視聴率を上げる目的もある興行試合だということは、含んでおいたほうがいいだろう。心配なのはアメリカ女子選手。ちょっと前まで平昌五輪は、グレーシー・ゴールドを待っている大会になりそうな雰囲気がむんむんだった。そもそもフィギュアシングルの試合時間が、アメリカのテレビ局に都合の良い時間帯に組まれたことからして、ソチで惜しくも4位だったゴールドの飛躍に期待した感があった。また、今年の3月に公開された平昌五輪記念コインのモデルが、どう見てもゴールドだった件。ニュースソースはこちら:http://www.sankei.com/premium/news/170328/prm1703280004-n1.html韓国メディアによると、直径3.3センチのコインにはしゃがんだ状態でスピンするシットスピンと、片足を上げたまま滑走するスパイラルをする女子選手が描かれている。表面右下でスパイラルする選手が論争の的になった。衣装から表情、手の形まで米国のグレイシー・ゴールド(21)を模写していると指摘されたのだ。平昌五輪でゴールドがメダルをとれば、ゴールドそっくりの姿が刻まれたコインの価値も当然ハネ上がる…ハズだったハズ。だが、ゴールドは昨シーズンから自爆コースに入ってしまった。ジャンプの不調、コーチ変更。ささやかれる父親にまつわるスキャンダルの影に加え、五輪シーズンに入っての急激な体形変化。五輪本番に向けてこれから体重を落とすことはできるかもしれないが、それでは体力も落ちてしまう。今回のジャパンオープンもゴールドが出場予定だったのが、キャンセルになった。往年のハリウッド女優を思わせるような華やかな「白人」のスター選手は、アメリカが待ちわびた逸材だった。だが、ゴールドの「失速」は、4年に1度しかない大会での、それでなくても選手生命の短い女子シングル選手が、そこにピークを合わせることの難しさを見せつけた。対照的に不調の時期を乗り越えてきた長洲未来選手は、非常に良い状態だ。トリプルアクセルも、USインターナショナルクラシックでは認定されるところまで持ってきているし、今回のジャパンオープンでは、USインターナショナルクラシックで取られたアンダーローテーションジャンプをかなり修正してきているところは、見事。浅田選手に似て、ややジャンプが回転不足になりやすい長洲選手だが、そこを意識して「回転不足を取られないジャンプ」を跳ぼうとしている努力が素晴らしい。心配なのが、昨シーズンに全米女王に輝き、ワールドでも4位の成績をおさめたカレン・チェン選手の回転不足の多さ。高く上がって加点を狙いにいっても、回り切れずにグリ降りになってしまえば元も子もない。USインターナショナルクラシック、ジャパンオープンとも、判定は厳しく、チェン選手のジャンプはアンダーローテーション判定のオンパレードだ。いかにもフリップを跳んでいるように見せて、よくよくエッジを見るとアウトにのっているフリップも、修正しなければ認定は難しい。世界のトップに急速にのぼってきたチェン選手の持つ欠点は、そのままかつての日本女子が苦しんできた欠点に見える。逆に今、日本代表を争っている若い日本女子選手は、そうした先輩の姿を見てきているので、回転不足やエッジには非常に気を付けている。日本人の技術審判も非常にシビアに回転不足を判定している(それがルール上、本当に正しいかどうかは別として)。アメリカは逆なのだ。全米選手権を見ると、その判定の甘さに唖然としたことが何度もある。明らかに回転不足、それもダウングレード相当になるような転倒ジャンプを認定したり、あやしいエッジやグリ降りジャンプも、そのまま認定したり。全米選手権と世界選手権での判定の甘い辛いの差が、そのままワグナー選手の成績の上下につながっていることもこのブログで指摘した。今シーズンまた全米選手権で同じような甘い判定をすれば、チェン選手は平昌オリンピックで、ソチのワグナー選手の二の舞になる。期待のグレーシー・ゴールド選手の自爆で、アメリカは女子シングルをカナダに譲って自国は男子シングル押しにシフトしたのかもしれない。「北米」はある意味で1つだから、今度の五輪では、北米女子のメダル枠は、カナダのシングル女子に、という流れになりそうだ。カナダ女子シングルには、オズモンド選手のようにジャンプの質も良く、表現力もある選手がいる。オズモンド選手は出来に波がある。特にフリーでの派手なコケが多いが、それさえなければワールド銀メダルもまぐれではない実力はある。エレガントな大人の雰囲気は抜群だから、現在無敵のメドヴェージェワに表現力で対抗できる数少ない選手だ。五輪の一発勝負でコケずに滑り切れば、間違いなくメダル圏内に入ってくるし、金だって夢ではない。ロシア、カナダ、日本。平昌オリンピックの女子シングルのメダルは、今のところこの3国で分け合う公算が高い。日本の課題は、選手のピークを平昌オリンピックに持っていくこと。ソチでは明らかにこれに失敗した。五輪前に大騒ぎして選手を疲弊させ、肝心の夢舞台では「今季最悪のパフォーマンス」になる――ソチでの悪夢を繰り返してほしくない。注:記事で触れた2試合のプロトコルは以下。http://www.usfigureskating.org/leaderboard/results/2017/26189/CAT004SEG008.htmlhttp://www.jsfresults.com/InterNational/2017-2018/japanopen/data0205.pdf
2017.10.11
今の日本でのフィギュアスケート人気の盛り上がりを見ると、ふと80年代のアイドル全盛期の時代の雰囲気を思い出すことがある。今の「集団アイドル」と違い、当時のアイドルは「一人で」「生の歌で」勝負をしていた。彼/彼女らは10代の若さでデビューし、数年かけて「成長」し、ファンは「大人っぽくなったね」「歌うまくなったね」とその成長を見守っていた。今は歌謡界からはこうしたアイドルが消えてしまったが、氷上では10代の若さで世界へと駆け上がていくスケーターにアイドル的な人気が集まっている。若い選手の成長を見守るファンの視線も、かつてのアイドルのファンのよう。フィギュアスケート界に咲いた最大の華ともいえる浅田真央が引退し、その翌シーズンに満を持して本田真凜がシニアデビューをするというのは、山口百恵引退後に松田聖子が登場した、くらいに運命的な流れを感じさせる。その運命に、本田真凜は見事に応えようとしているようだ。オリンピックシーズンに、先日ソルトレークシティーで行われた、USインターナショナルクラシックで長洲未来、カレン・チェンというアメリカの実力選手を破って優勝したというのは、周囲の期待以上の滑り出しではないだろうか。映像はYou Tubeでしか見られなかったが、技術的にも、表現の面でも、まさに「スターとなることを義務付けられた選手」という印象だった。前回の全日本では浅田真央がいたから、その圧倒的なオーラの前では期待したほどの輝きは見いだせなかったのだが、浅田真央がいない今、やはり「これからの日本で、競技選手という範疇を超えた人気を獲得していくのは彼女しかいないだろう」と確信させられた。宮原知子、三原舞依…素晴らしい女子スケーターはもちろん他にもたくさんいる。だが、競技ではなく、ショーで客を集められるかとなると、また話は別だ。本田真凜には滑りやしぐさに下品ではない色気があり、人々が夢を投影したくなる華がある。浅田真央とはまた違ったファン層を獲得していくだろう。夏限定の新たなエキシビション映像という『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』をYou Tubeで見たが、メイク・衣装・照明・カメラワーク・映像の編集、すべてが一流のクリエイターによるもので、とてもジュニア上がりの一人の女の子に対する扱いではない。https://www.youtube.com/watch?v=yYX5Q6U6C7kすでに彼女はタレントであり、周囲もそう扱っている。そして、本人もきちんとそれを自覚して、タレント然と振る舞い、微笑んでいる。職業的なアイドルと変わらないプロ意識。「私はアスリートだから」に逃げ込まない、こうした態度は、今の時代に必要不可欠だ。スケートの技術を見ても、今の採点制度に非常にマッチした強さを持っている。際立つのはルッツとフリップのエッジの使い分け。カレン・チェンの「一見フリップだが、よくよくエッジを見ると外側にのってしまっている」ロングエッジを見てしまうと、本田真凜のきれいなフリップの質の良さが目立った。ルッツのエッジは疑いようもなくアウトエッジ。浅田真央がルッツのエッジに現役時代ずっと悩まされてきたことを思うと、これだけしっかりアウトにのってルッツを跳べる強みは際立っている。そして、3回転ジャンプの回転不足の少なさ。今回のUSインターナショナルクラシックでは、フリーのダブルアクセル+トリプルトゥループのトゥループだけがやや「どうかな?」と思えたが、他はきっちり回りきっていて、見ていて気持ちがいい。回転不足を取られ過ぎの長洲未来、カレン・チェンと比べると、一般的には目立たないかもしれないが、今のルールでこの差は大きいと思う。スケート自体もフリーの後半は失速したが、前半は非常に伸びがあり、氷に張り付いたような滑りだった。これも今のルールでは高く評価されるポイントだ。そして、持って生まれた「華」。見ていてうっとりさせてくれる、ちょっとしたしぐさや表現。これは理屈では説明できない、だが「人気」として必ず可視化できる不思議なエレメントだ。逆にオリンピックに向けて心配なのが、アメリカ女子。これについてはまた次回。
2017.09.18
定期的に必ずリピートしているアイスがある。ラ・メゾン・ドゥ・ショコラのショコラグラース&フランボワーズソルベ(チョコレートアイスとラズベリーシャーベットの組み合わせ)。ラ・メゾン・ドゥ・ショコラのチョコレートアイスは、「重くない」のが特徴。だが、カカオの風味や深みは軽さの中にしっかりと。口当たりもしっとりと滑らかで、食べたあと変に喉が渇かないのがいい。そしてラズベリーのシャーベットは、酸っぱい果実味をストレートに出していて、それでいて香料臭くなく、ラズベリー好きにはたまらない逸品。サロン(カフェ)で食す場合には、チョコレートアイスとバニーユとの組み合わせも可能なのだが、断然フランボワーズ(ラズベリー)とショコラ(チョコレート)のコンビのほうがお互いの個性を引き立てあって、素敵だ。上の写真ではチョコレートアイスが隠れてしまっているが、下のほうにちゃんと入っている。上にトッピングされているのは甘くない生クリームとナッツ、そして薄い一口サイズの板チョコ。アイスとシャーベットはカップのものもお持ち帰りで買えるのだが、このトッピングはサロン(カフェ)ならでは。しっかり冷やしたガラスの器に、硬すぎず柔らかすぎずのアイスとシャーベット。値段は高いが、他では味わえない個性を求めて、定期的に通っている。しかし、行きつけだった銀座松屋店のサロンが閉鎖になってしまったのは残念な限り。この逸品が味わえるのは今は丸の内店だけのよう。
2017.08.18
オリンピック二連覇を狙う羽生結弦選手のフリーのプログラムが発表になった。「和」の要素を採り入れて評判のよかった『SEIMEI』。ショートはショパンのバラード第1番なので、曲だけに関して言えば、ショート、フリーとも「昔の名前で出ています」の、新鮮味のないものに。同じ曲でもジャンプの構成は違うし、振り付けも変えてくるだろうから、それはそれで楽しみではあるが、羽生陣営としては、過去高得点をたたき出し、芸術性でも高い評価を受けた2作品をもってくることで、ジャッジに演技・構成点を下げさせないというのも狙いとしてあるように思う。つまり、非常に勝負にこだわった選曲だな、と。他の選手を見ても、選曲に新鮮味のないプログラムが多い。日本期待の新星、本田真凛のフリーは、トリノの女王の曲で、バンクーバーの女王の振付師。特に振り付けはキム・ヨナ選手のプログラムに似すぎている。女王の系譜を継がせるという意味では力が入っているが、本田真凛という唯一無二の個性がどこにいるのか分からない。すでに唯一無二の個性を発揮しているのは宇野昌磨選手だが、選曲そのものは、ヴィヴァルディとプッチーニの、フィギュアではよく聞く曲。順位調節の一環としか思えない演技・構成点の不可解なアップダウンは、全体として選手の選曲や振り付けを保守的にしている。ジャッジの「愛」(苦笑)は、急に誰に行くか分からない。特にオリンピックシーズンには。だから、新しい冒険をするよりも、馴染みのある曲で、名の通った振付師で。実績のある選手なら、すでに評価を得たプログラムで。高橋大輔選手や小塚崇彦選手の時代にはあった、「こういう曲があるんだ!」とプログラムを見て知る新鮮な驚きとその楽しみが、日本の有力選手の中から失われつつある。氷上の舞踏芸術としてフィギュアを捉えれば、これは残念な流れだが、今の採点の傾向を考えると、勝負に勝つためには、「誰も見たことのないような、まったく新しいプログラム」に常にこだわるのは、あまり意味がないということだろう。どのみち、採点システムはオリンピック後に大きく変わるだろう。その意味でも、世界最高得点など、もう意味はないのだが(もともと、基礎点やルールが変わってる時点で、史上最高得点など意味のない数字だったが)、それでも、視聴者の興味を引くため、テレビ局が「出るか? 最高得点!」で盛り上げに来ることは見えている。ヤレヤレ、付き合う選手もファンも大変だ。「6点満点時代」にあった、「6」点が出た時の観客の熱狂と興奮を、世界最高得点で蘇らせようとしているのかもしれない。しかし、あのころとは決定的に違ってしまったものがある。それはジャッジの眼に対する人々の信頼だ。どのジャッジがどの国のどの選手に何点出したか明確に分かる時代は、ジャッジがあからさまに直接のライバル国の選手の点を低くつけたりしても、人々はそれを「不正」だとは思わなかったのだ。今ほどはフィギュアにマネーが絡まなかった、という背景もあるかもしれない。不正防止のために作られたシステムだが、その理想とは裏腹に、ジャッジへの信頼は地に落ちた感がある。インターネット時代になって、玉石混淆とはいえ様々な情報にアクセスできるから、人々が「大本営発表」をそのまま信じてくれなくなっているというのもあるだろう。個人的にはバンクーバー時代に比べれば、今のほうがずっと採点はマトモに、つまりあのころよりは「より公平」に、なっていると思っている。その理由は何度も書いた。だが、そう思わない人もいるかもしれない。どちらにしろ、この世の中には誰もが納得できる「公平」などないと思ったほうが現実的だろう。その中でどう戦い、それをどう評価するか。それは選手個人とファン個人に委ねたいと思う。
2017.08.10
あのエルメスに、「強いて言えばわが社のライバルは、とらや」と言わしめた日本を代表する和菓子の老舗。とらやの凄いところは、日本人ならほとんど誰でも1つは、「とらやの●●は美味しい」と言わせるモノを出すところだと思う。羊羹が一番有名だが、羊羹は好きでなくても、最中が、その手の和菓子に興味がなくても、生菓子が、あるいはあの季節の和菓子が、という具合。伝統的な定番だけでなく、季節ごとのラインナップも実は豊富なのだ。この夏、店頭のディスプレイでその佇まいの美しさに惚れて買った「水の宿」。清々しい透明な水色につぶつぶ感のある白の取り合わせが、夏の涼を漂わせる。手ごろなサイズの紙包装のものがあったので、それを買うことに。和菓子は見た目に惹かれて買うと、味で期待を裏切られることもあるのだが、この「水の宿」は絶品だった。水色はクチナシ青色素で染めた寒天。白は道明寺粉。寒天の滑らかな舌触りと、関西風桜餅を思わせる道明寺粉のつぶ感のある食感の取り合わせがシンプルながら、至高。甘さも、さほど強くなく、といって控えめすぎず、日本茶とよく合う。夏なので、水出しにした煎茶と一緒に楽しんでいる。夏の思い出のひとこまになる、涼やかな感動。こうした和菓子は立派な「作品」。食べているときに、デザインや素材の組み合わせなど、試行錯誤している作り手の姿が浮かんでくる。
2017.08.08
三宅一生のBAO BAOのバッグに目が留まったのは、東京駅のそばにKITTEがオープンしたころなので、もうかなり前のことになる。光沢のある三角形のピースをつなげたモダンで斬新なデザイン、置くとクシャッとなる、そのフレシキブルなフォルムに惹かれたが、当時でショルダータイプの小ぶりなバッグが3万円台半ば。レザーのバッグが買える値段だった。デザイン性は高いが、ちょっと設定価格が高いのでは? そんなに命長くないかも、このブランド。などと思っていたのだが、現実には真逆の現象が起こった。アジア圏で人気に火が付き、それと共に値段もますます強気に。新宿高島屋ではBAO BAOショップがあるのだが、いついっても外国人(欧米ではなくアジアからの)観光客が、スマホ片手に「このモデルはないのか?」「これはいくら?」などとやっている。一時品薄状態になったときの、売り場の光景はシュールですらあった。ほとんどカラの商品棚の間を店員が仕方なさそうにブラブラと歩いている。話しかけて、「在庫もないんですか?」と聞くと、「そうなんです。朝はもう少しあったのですが…」という答え。朝出たのに、昼にはほぼ完売って、人気の食べ物屋じゃなんだから(笑)。しばらくして、品薄状態は解消され、逆にバンバン新商品が入ってくるようになったが、アジア人観光客の間での人気は相変わらずで、韓国語やら中国語やらタイ語やらで客同士が話しつつ、店員とは英語でやりとりをしている。店員は少し…というか、かなり冷淡だ。日本人に対しても、ネットカタログにある商品の他店からの取り寄せは基本やらない(つまり、基本的に高島屋店にそのときあるものだけを売るシステム)とかで、外国人がスマホで「これは、ある?」と聞いてきても、販売システムの説明などは一切なく、「No」の一言であしらっている。免税の手続きの説明も事務的で、日本人特有のお世辞笑いもあまり出ない。逆に日本人客に対しては、普通に愛想がよく、商品説明も積極的にしてくれる。有名ブランド品を買いに来た外国人観光客への、このそっけない態度。どこかで見た気がする。それはおそらく、昔、昔、まだルイ・ヴィトンがほとんどモノグラムの商品しか出していなかったころ。フランス本国で買えば、値段が日本のほぼ3分の1だった時代。日本人がパリのルイ・ヴィトン店に押しかけ、友人から頼まれた分だとか(本当は並行輸入業者だろうが)言って、買えるだけ買いこんでいた。そのときのフランス人店員の日本人客に対する態度は、いっそ人種差別ではないかと思えるほど冷淡だった。あの光景を――いや、あのときのフランス人ほどひどくはないが――今東京のBAO BAOショップで見ている気がする。別のBAO BAOショップには、狭い店舗に外国人観光客が押し寄せ、店員が対応しきれず入場制限をかけていた。これほどの人気を獲得した日本ブランドのバッグというのは、かつてなかったのではないだろうか?Mizumizu所有のBAO BAOは、白のショルダー。トートタイプではなく、上部にファスナーが付いているのがMizumizuにとっては必須条件。置いたときのクシャッと感は、BAOBAOの最大の魅力のひとつ。横マチタイプのすっきりしたものもあるが、例によってMizumizuは底マチタイプを選ぶ。マチの部分は畳めて、荷物が少ないならペタンとした形で持つこともできる。日本人の間でも、このBAO BAO、非常に人目を惹くようだ。新宿高島屋の入り口では、キモノ姿のおしゃれな年配の女性に話しかけられ、「すいません。そのバッグ、今日見たの5人目なんですよ。灰色と、黒と、黄色も… どこのブランドですか?」と聞かれたことも。そう、都心を歩くと、何人も見かけるのだBAO BAO愛用者。昔だったら、「街を歩けばルイ・ヴィトン」だったように思う。ヨーロッパブランドが呆れるような値上げを続けるから、ついに日本人もヨーロッパブランドのバッグへの「お布施」はやめたようだ。ニューオープンのBAO BAOショップのショーウィンドウを見つけて、「あっ、できたんだ」と隣りにいた家族に言ったら、たまたま横にいたオバサンが、「これいいですよね。私昔買ったんだけど、丈夫でいいんですよ。また買おうかと思って」と話しかけてきたことも。BAO BAOを知らない人でも、ファッション感度の高い人は、「素敵なバッグですね。どちらの?」などと言ってくる。やはり、BAO BAOのインパクトは強烈のようだ。白いバッグを買うと、お揃いの小物が欲しくなるのも人情。こちらはカードケース。こんなふうに両サイドにカードが入るのだが‥‥ はっきり言って使い勝手はかなり悪い。バッグの中に放り込んでおくと、この広がった状態になって、下手したらカードが飛び出してきてしまう。ポーチに入れるか、バッグのサイドの物入れに入れないとダメ。バッグのほうは、中の仕切りも最小限のヨーロッパタイプ(かどうか知らないが、とにかく日本のバッグは中を仕切りすぎ)なので、ポーチ派のMizumizuにはとても使いやすい。同じ白の化粧ポーチも出たようで、バオ バオ イッセイ ミヤケ 三宅一生 BAO BAO ISSEY MIYAKE ポーチ 76AG525 PRISM 50 クリーム アイボリー 小物入れ コスメ メンズ レディース ブランド おしゃれ シンプル 小 ファスナー カジュアル スマホ 化粧品 プレゼント クリスマス多分、いずれ買ってしまうだろうなと思っている(笑)。伝統的な意味での高級感とは一線を画す、シャープでスタイリッシュなデザインは、特に夏のファッションによく合う。パンツスタイルでもスカートでも。合う服の幅が広く、そしてバッグ自体が軽いというのも、BAO BAOが人気を博す理由のひとつだろう。
2017.08.03
日本橋高島屋で珠玉と呼ぶにふさわしいストールを見つけた。カシミール製。マハラジャに献上するターバンを制作していた歴史ある手刺繍工房が、ヨーロッパや日本のデザインを採り入れてモダナイズし、「ターラ・ブランカ」というブランドで世界展開をはかっているとか。夏なので薄手のシルクウールにさまざまな刺繍を施したストールが並んでいたが、一番気に入ったのが、パイナップルをモチーフにしたという、こちら。ブルー系やレモンイエロー系というMizumizuの好きな色彩に赤~ピンクの華やかなカラーも散らしている。デザインは大胆で、南国的。アジアンな雰囲気でありながら、ヨーロッパのデザインの洗練も感じさせる。西洋と東洋が見事に融合している、まさに「作品」と言いたい逸品だった。はおらせてもらうと、シルクウールのしなやかで軽い布がしっかりと身体にまといつき、冷房の効いている館内で肩がほんのり暖かい。このごろは夏でも薄手のストールを巻くのがはやりだが、これだけどこでも冷房が効いていたら女性には、おしゃれというより必需品かもしれない。長くて豪奢なストールなので、普段使いにはtoo goodだが、観劇やディナーへのお出かけには活躍してくれそう。Mizumizuが気に入ったストールは「ターラ・ブランカ」の中でも最上級ラインだったらしく、「買います」と告げると、熱心にブランドの説明をしてくれた店員も大喜び。カード清算をしに奥へ行くときは、小躍りするような歩調だった(笑)。モノがいくらよくても、買ってもらうためには、やはりそれを売り込む店員の力というのも大きい。「ターラ・ブランカ」のサイト(こちら)は、確かに美しいストールが並んでいてlook book(製品カタログ)は見ていて溜息ものだが、それだけではやはり買おうというとこまではいかない。ネット販売が発達しても、最初にお客をつかむには、こういうふうに、触れて、試して、勧めてもらえる、対面販売でないと難しいだろう。Mizumizuの買ったストールは、アリー刺繍というものが施されているとか。アリー刺繍とは、細い鈎針を使い、下から糸をすくって刺繍する技法で、円を描くように色を変えながら一針一針さしていくということだ(いただいたブローシャより)。インド・カシミールの刺繍製品というのは、安いものが日本で多く出回っているが、ここまで技術が高い刺繍製品は、さすがにめったに見ない。問題は洗濯できるかどうかだな、と思い、店員に聞いたのだが、案の定、困ったような顔で、「ドライクリーニングも含めて、基本、洗濯はできないと考えたほうが」と言われた。正直な答えだ。ファブリックというものは、上質になればなるほど、洗えなくなってくる。風合いが変わってしまうし、どうしても傷んでしまうから。「汗などがついたら、霧吹きで水をかけて蒸発させるぐらいで…」とのアドバイス。つまり、汚れたらアウトということだ。気を遣うなあー(笑)。旅先に持っていくときなどのために、薄いポーチをつけてくれる。繊細な生地なので、こうしたものは必須。暑い国にバカンスに行くときに、ホテルのディナーなどで羽織るのにぴったり。このポーチも役立ちそうだ。
2017.08.01
4月のホーチミン旅行で、レストランで頼んだロータスティーがほとんど当たらなかった話はすでに書いた。渋かったり、薄かったり。それでも、ロータスティーは好きなので、ホテル(ザ・レヴェリー・サイゴン)の隣りのラッキープラザにあるスーパーで買ってみた。」特に選んで買ったわけではない、適当買い。写真では分かりにくいがLotas Teaの上に茶色の文字でHoa Senと書いてある。この意味は蓮花茶、つまり緑茶に蓮の花の香りをつけたもの。ロータスティーの中でのla senと書いてあったら、それは蓮葉茶(蓮の葉を乾燥させたお茶)、tim senだったら、蓮芯茶(蓮の実の芯を乾燥させたもの)を指すらしい。が、一般的にロータスティーといえば、蓮の花の香りをつけたhoa senが出てくる。日本ではあまり流通していないのだが、流通しているこの手の、いわゆる「緑茶のフレーバーティー」の中で、一番近いのはジャスミンティーだろうか。ジャスミンティーより、さらに香りがフローラルで独特の甘みがある。さわやかだが、主張の強いこのクセが日本人には好まれないのかもしれない。MizumizuもMizumizu連れ合いも、大好きなのだが。さてさて、テキトー買いしたロータスティーだが、淹れてみたら、ことのほか美味しいではないか!ホットでもアイスでも、簡単に美味しくできる。ホットなら60℃ぐらいのぬるめのお湯で。3グラム(少な目の茶さじ1杯)に150cc。抽出時間は短めで2分ぐらいで十分。アイスの場合は、3グラムに冷水500ccで、冷蔵庫で2時間~。「~」と書いたのは、時間による味の変化を楽しめるから。2時間ぐらいだと苦さがあまりでないが、やや薄い。2時間以上になってくると置けば置くほど、渋みが強くなる。今は夏なので、もっぱら朝起きて、アイス・ロータスティーを作り、お昼前からお昼過ぎにかけて飲むのが楽しみだ。素人でもこんなに簡単に美味しくできるのに、ホーチミンのレストランでのロータスティーのイマイチ感は何だったのだろう。
2017.07.29
7月中旬を過ぎて、上野の不忍池に蓮を見に行った。神田で中央線から山手線に乗り換えて、上野に向かうのだが、…く、くさい電車の中がなぜかひどく臭い。体臭っぽくもあり、ゲロっぽくもあり。まだ早朝、6時台なので電車はすいている。それで、この悪臭は一体…??普段、電車にはめったに乗らないが、一番頻繁に乗るのは中央線、それから丸の内線。どちらでも、こんな臭いがしたことはないのだが。上野で降りて、中央改札から不忍池方面へ。そして横断歩道をわたるころ…うっ、またくさい!早朝なので、駅付近の商業施設はまだ閉まっている。逆にそれで臭いが紛れないのか、尿の臭い、ゲロの臭い、生ゴミの臭いが、入り混じったような悪臭が漂ってくる。不忍池にはビルの間を抜けて行くのが近道なので、狭いアスファルトの道を通ったのだが、路上で作業している人が気の毒になるような悪臭に思わず呼吸を止めた。足早に抜けて、不忍池のほとりへ。蓮は?一言でいえば、そこに広がっていたのは唖然とする風景。デカい! そしてあまりに混みあって群生している。池一面を覆う、蓮の葉、葉、葉… 花もたしかにかなり咲いているのだが、大賀ハスのように花の茎が長くないので、葉っぱに隠れ、見えない。千葉公園のように、花を少し見下ろすように観察することは不可能だ。もうちょっと高い位置から見たいな、とコンクリのちょっとした段差のある場所に行ったら…く、く、くさっ!!強烈な尿の臭いで、思わず、文字通り飛びのいた。木道のほうへ行けば、この臭いも眺めももう少しマシになるだろうと、慌てて木道へ向かう。悪臭からは逃れられたが、背の高い、そして群生しすぎの蓮の迫力が、あまりいい意味でなく凄すぎた。葉の勢いが「圧」になってこちらに迫ってくるよう。花は無数の葉の陰に隠れて、あまり目立たない。混んでいて葉が思いっきり開けないから、開ける場所を探してあがいている感じ。都会の窮屈な空間であえぎながら暮らしている人の姿を象徴しているかのよう。もっと高い位置に木道を作ってくれなければ、とても花を観賞して楽しむ雰囲気にはなれない。と言うか、よく見えないのだ、そもそも。もし、この壮絶な勢いの蓮をちょっと上から見下ろせる木道を作ったら、今度はいい意味で凄い眺めになるのかもしれない。弁天堂方面。見渡すかぎり、きゅうくつそうな蓮の葉、葉、葉… 池の水もまったく見えない。まるでデカいフキの畑に来たよう。弁天堂が「高台」になっているので、そこからの眺めに期待して、わざわざ行ったのだが、全然たいしたことなかった。↑こんな感じ。ただ、弁天堂まで来ると、悪臭から完全に解放されたのがうれしかった。さすがに、人がお参りする場所で糞尿をまき散らしたり、ゲロしたりする人はいない…と思いたい。蓮の花を見下ろす位置の木道が無理でも、ちょっとした展望台になるような高い場所を作って欲しいものだ。浮世絵にも描かれている不忍池の蓮、と自慢しているわりには、花が咲いたときの見せ方に工夫が足りない。ちなみに咲いている蓮の花の品種は、というらしい。赤みが強いのが特徴だとか。確かに、蕾の状態でも、花弁の縁の赤さが目立つ。開いたばかりの蜀紅蓮は、量感があり、非常に優美。花そのものは華やかで気品が漂う。千葉公園では、こういう花の写真がいくらでも撮れたのだが、不忍池の蓮は、写真に撮りやすい高さと位置にある花はカメラを持った見物客が順番待ちをするほど。不忍池には大賀ハスもあったようだが、案内板によれば、現在は生育不良で「展示」していないとか。展示…???展示するしないの問題なのだろうか? ほっといたら、生育が良好すぎる蓮との生存競争に大賀ハスが負けてしまった、としか。せっかく上野という都内のメジャーな場所にあり、蓮の一大群生地だというのに、花の鑑賞はほとんどできなかった。しかも、強烈な尿の臭いだの、生ごみの臭いだのに衝撃を受けすぎて、花を楽しもうという気分が萎れてしまった。昔から清潔な場所ではないが、これほど池の周囲の道に悪臭が漂っていたのは初めての経験。しばらく雨も降らず、真夏のような暑さが続いたせいもあるかもしれないが、東京オリンピックを控えて、東京のど真ん中の、ネームバリューのある場所がこんな不潔でいいのだろうか? これは対策が急がれる。そして、蓮の花をゆっくり鑑賞したい方は…もうちょっと早い時期に、足をのばして千葉公園まで行こう。
2017.07.28
府中市郷土の森博物館。ここの詳細についてはホームページを見てもらうとして。大規模な野外博物館エリアには、紫陽花も多く植えられている。Mizumizuが行った7月上旬は、ピークは過ぎている感はあったが、野外博物館の奥のほうにいくつかある「紫陽花の小径」では、茂るように咲いてた紫陽花の花が見事だった。一番美しかった小径はここ。両脇に迫る紫陽花を見ながら歩くのは、なぜかひどくロマンチックなのだ。小雨交じりのあいにくのお天気だったのだが、逆にそれで蚊がまったくいなかった。これだけ緑があり、湿気が多い場所だから、雨でなかったら蚊が出そうだ。府中市の歴史的な建造物が移築・再現されており、花とともに昔の暮らしに思いを馳せることのできる場所。建物は入り口付近に多く、奥へ進むと植物メインになる。広大な自然庭園といったところか。紫陽花のことを置いておいても、したたるような緑に圧倒される。「小径」によって植えられている紫陽花の種類も違う。紫陽花が茂りすぎて、道が狭くなりすぎているところもあった。この建物は、古い農家だとか。紫陽花の向こうにのぞく洋館。これはおそらくアナベルだと思う。好きな品種なので、アップでパシャリ。広い敷地内をほぼ一周して、疲れて戻ってくると、お昼どきになっていて、博物館内のメインの建物の外にしつらえたテラス席で、家族連れがお弁当を広げていた。ここは、府中市民の憩いの場になっているよう。確かに休日に、家族で来るにはぴったりの施設だった。梅林もあるようなので、梅の花の季節はまた賑わうのだろうな。
2017.07.26
6月下旬の千葉公園に続き、7月上旬に府中市の郷土の森公園にも蓮を見に行ってみた。ここは駐車場が充実しているので、自家用車で。早朝に行ったのだが、蓮はもうすっかり開いていた。というか、行くタイミングが少し遅かったようだ。散る寸前の開ききった蓮が多かった。噴水のある池の中に、楕円形の囲いがあり、そこでさまざまな蓮を育てている。孫文蓮というのだがら、台湾の蓮だろうか? 少し花があった。天竺斑蓮というからにはインド原産だろうか? 花がほとんどない。大賀ハスは花ゼロ(苦笑)。桜蓮というからには、日本の蓮なんだろうなあ。大賀ハスと同じピンクだが、そういえば茎は大賀ハスより短いようだ。こんなふうにカラの囲いもあり、正直、花は見応えのない公園だった(苦笑)。蓮が群生している池というのではなく、池で蓮を何種類か別々に育てているというところ。いろいろな種類の蓮が観察できるので、図鑑的な意義はあると思う。だが、千葉公園のように蓮池の木道はないので、至近距離から花を見ることはできない。単に蓮の花を見たいだけなら、千葉公園のほうがベターだろう。噴水のシャワー越しに見る蓮は清々しい。もうちょっと早く来たら、花がたくさんあって華やかだったかもしれない。噴水と咲き誇る蓮の花のコラボレーションは、千葉公園にも不忍池にもない。このあと隣接する郷土の森博物館に行ったのだが、こちらは紫陽花がまだかなり咲いていて、蓮よりずっと見応えがあった。郷土の森博物館は野外博物館で、蓮のある郷土の森公園と違って有料だが、それだけの価値はあった。詳細は明日のエントリーで。
2017.07.25
蓮は花も美しいが、葉も実にフォトジェニックだ。ただの水の塊が、蓮の葉の上では、クリスタルのように変化(へんげ)する。放射状に広がる葉脈に丸い水滴。身近な自然が見せてくれる造形美は驚異。円形にうねりながら大きく広がる葉の形状、葉脈のラインのおもしろさ。蓮の葉にペットボトルの水をたらしている人もいた(笑)。子どものころ、祖母の里いも畑で、同じようなことをして遊んだことを思い出した。陽の光を受けて、ただの水の塊が、クリスタルのようにきらめく瞬間。千葉公園に大賀ハスを見に行ったあと、7月上旬には府中郷土の森、7月下旬には上野の不忍池にも蓮の花を見に行ったのだが、品種云々は置いておいて、蓮の花を鑑賞する場所としては千葉公園がベストだった。公園内は管理が行き届いていて清潔。蓮の背の高さも、人が鑑賞するのにほどよく、蓮池の中の木道を歩くと、まさに群生した蓮に抱かれる雰囲気。花は近くから見たあとは、俯瞰したくなるものだが、千葉公園には、蓮池の背後にちょっとした高台があり、ここから蓮池全体を見渡せる。この日は花数が562だということだったが、正直な感想は、「そんなにあるかなあ? 花の数」だった。もし、「どのくらい咲いてた?」と聞かれたら、「う~んと、100ぐらいかなあ」などと答えそう(苦笑)。自分の数に対する感覚のいい加減さを、再確認したのだった。都内からのアクセスもよく、疲れない広さで、密な花を間近で見られる千葉公園。大賀ハスの見ごろは6月中旬から下旬。当然年によって少しずれるが、千葉公園のサイトにアクセスすれば、見ごろの時期には花数がこまめにアップされている。至れり尽くせりだ。
2017.07.23
6月末の話になるが、千葉公園に大賀ハスを見に行った。ベトナムで蓮のモチーフのアクセサリーや小物を買ってくるぐらいの蓮好き。蓮の花ももちろん好き。だから、よく見に行っている…かというと、実は咲き誇る生の蓮の花というのはほとんど見たことがない。大学が上野だったから蓮で有名な不忍池は至近。蓮の葉が茂っているのはよく見ていた。だが、花を見るのは案外難しいのだ。まず蓮池全体の開花時期がさほど長くない。1か月ほどだろうか? また、1つの花が咲いているのは4日間。しかも午後になると花が閉じてしまう。早起きが苦手なMizumizu。↑こういう蓮の花のイメージに対して、不忍池で見る蓮は、たいてい↑こんな、シャワーヘッドみたいになった状態。蓮の中でも、特に大賀ハスというものにも浪漫を感じていた。確か教科書で知ったのだが、2000年前の種から発芽させたなんて、そんなことがあり得るのか? そもそもその発想が凄い。大賀博士というのは、どえらい変人…もとい、偉人なのだなと、心から感嘆した。インターネットがここまで発達する前は、情報をゲットするのも大変だったから、いつどこに行けば大賀ハスが見られるのかよく分からないまま時間だけが過ぎていた。インターネット時代になってからは、最初は1粒の種の発芽だけだった大賀ハスも、今は根分けされて各地に広がっていることを知ったが、花を見るタイミングは、仕事も忙しいし、なかなかつかめないでいた。「そのうちに…」というのは若人の常套句だが、人間、だんだん若くはなくなってくる。先延ばしにばかりしていたら、大賀ハスを拝む前に死ぬかもしれない。せっかくこの偉業を成し遂げた博士と同じ国に生まれたのに。そこで、今年はしっかり調べて、大賀ハスが普通の蓮より開花時期が早いこと、千葉公園は大賀ハスの名所だということ、花を見るならやはり早朝だということを頭に入れて、タイミングを見計らっていた。千葉公園は開花数もネットで公開していて便利。蓮の花々は一挙に咲き誇り、ピークに達した後はあっという間に数を減らすらしい。500~600咲けば、千葉公園ではピークとしても、多いほう。Mizumizuが訪れた日は、562と、見ごろのど真ん中といっていい日になった。千葉駅からモノレールで千葉公園駅へ。モノレールの窓から眼下に、ピンクの花がいっぱい咲いている池が見えた。池そのものは不忍の池ほど大きくないが、その分蓮がびっしり茂り、花も密だ。公園についたのは朝8時だったが、すでにかなりの人がカメラを手に蓮を見ている。これほどたくさんの蓮の花が咲いているのを見たのは、生まれて初めて。タイミングさえ合わせれば、こんなに一挙に咲くのだなあ、蓮の花。乗ってきたモノレールを今度は蓮越しに見る。蓮池を見下ろすように東屋があるが、開くのは9時からだとか。木道も一部閉鎖されていて、9時になると、開き、こんなふうに人が入れるようになる。東屋に向かう木道を通ると、さらに蓮を至近距離から見ることができる。9時過ぎにはさらに人が多くなり、ちょっとした撮影会の雰囲気。ほとんどがシニア層。やはり早朝から花を見ようというのは若者の発想ではないのだな。「今年は花の数が多いね。大輪のは少ないけど」と、木道を開けてくれたおじさんが言っている。なるほど、年によって数が多くて花が小さかったり、数は少ないが花が大きかったりするということか。花はこんな感じでかなり開いたものが多かった。本当のピークを少し過ぎた時期だったのだろう。それでも蕾もたくさんあり、十分に堪能できた。ボロボロになったマフラーを巻き付けたシャワーヘッドみたいな花の落ちた花托ももちろん、たくさんあった。大賀ハスの特徴は、花の茎が長いことらしい。確かに、葉よりかなり高い位置に花がある。だが、他の蓮がどの程度の茎の長さなのか知らないので、それが大賀ハスを見分けられる決定的ポイントなのかどうかについては、よく分からない。これなどはさしずめ開花2日目といったところか。日本では仏教の、そしてお葬式のイメージが強い蓮の花だが、こうしてアップで見ると、中央から何か不思議な生命体が出てきそうな神秘的なイメージがある。1輪の花の寿命は短いが、2000年前の種でも発芽するという生命力。そして、花の醸す神秘性。被写体としても、非常に優れている。切り取り方によって、個性的な「絵」になってくれる。フィルムカメラの時代は、シニア層のアマチュア写真家といえば、男性が圧倒的だったが、デジテルカメラが普及して扱いが簡単になったためか、女性のシニア層のアマチュア写真家が増えたと思う。ここ千葉公園にも、高そうなデジタル一眼を抱えたシニア層の女性が多く来ていた。テクノロジーの発達が趣味の世界のすそ野を広げている。こういう光景を見るのは、好きだ。とはいえ、良さげな場所で、なかなかどかないのはやはり男性カメラマン。真剣に撮り過ぎ! いつまでたってもそこからどかないから、こちらにとっては邪魔でした(笑)。
2017.07.22
「ホレンディッシェ・カカオシュトゥーベのバウムシュピッツ」。この長ったらしいカタカナをすらすら言える人はドイツ語の分かる人だ。この「もろデルフト焼き」を想像させる袋の絵柄を見ると、一瞬オランダのお菓子かと勘違いする。だが、スペルを見れば完全にドイツ語。この店はドイツ(ハノーファー)にある。ホレンディッシェ→オランダ風の、カカオシュトゥーベ→カカオの部屋(カカオパーラー)。シュトゥーベを「お菓子屋」と意訳して説明しているサイトも多く見かけるが、直接的には。シュトゥーベは人をもてなす「部屋」のこと。「もともとは、オランダのココア(カカオ)の試飲店だった」というネットの説明を読んだが、店のネーミングからその話は非常に納得できる。このオランダ風カカオ部屋で作るバウムシュピッツ(一口バウムクーヘン)は、非常にドイツ的で、しかも繊細な逸品だ。日本人はとにかく、「しっとり」とか「ふわふわ」のお菓子をやたらと評価するが、時々、なんでもかんでも「唾液が必要ないほどしっとり」とか、「食べてる気がしないほどふわふわ」とかになってしまう傾向にウンザリすることがある。ホレンディッシェ・カカオシュトゥーベのバウムシュピッツは、しっとり系ではあるが、やたら「しっとり」ではない。そこがいい。素朴な粉のさっくり感もちゃんと残っている。カカオの名が店の名前になってるだけあって、チョコレートももちろん最高級の味。サンドしてあるのは、アンズのジャム。チョコレートにしのばせたほのかなアンズの風味がまた、ドイツ風でとてもいい。定番のバウムシュピッツにはトッピングはないのだが、ときどき限定でこの写真のようにナッツを散らしたバージョンが出る。深入りナッツが大人のアクセントでこれまた非常にいい。定番にしてほしいくらい。こちらはホワイトデーのころに出る限定品。ホワイトチョコにラズベリーのアクセント。箱も限定バージョンがある。カラフルな色の取り合わせが、ややちぐはぐなのがドイツ風で、そこがまたカワイイ。こういうものが時々出るから、常連でも飽きない。日持ちもするし、パッケージのデザイン性も高い。そしてどこまでも「ドイツ」な個性が光る美味なお菓子。手土産に迷った時なども、これなら間違いない。店舗も徐々にだが、増えてきている。一度お試しあれ。
2017.07.20
旅先でその土地の素材を活かしたポーチを買うのが好きなMizumizuだが、身近な人に裁縫上手がいて、手作りのポーチも作っていただいている。身近といっても、Mizumizu母とその友人。つまりかなり上の世代だ。同級生や自分の友人には裁縫が上手な人はほとんどいない。いても、ほぼプロなので、「自分の商売の宣伝」はしてくるが、気軽に「作ってくれる?」「作ってあげるよ」とはならない。Mizumizu母の友人世代になると、不思議なほど手先が器用な人が多い。育った時代もあるだろう。自分で縫物ができる人は、今の時代、売られているファブリックグッズの粗雑なつくりにむしろ驚くことも多い。Mizumizu母もその部類だ。こちらはMizumizu母の手作りポーチ。紺のかすりの字模様に鮮烈に赤い花のデザインが秀逸。花びらの外側にぷっくりと量感があるのも気に入っている。カタチも上が半円形で変わっているし、中身も取り出しやすい。手縫いの針目もとても細かい。だいぶ愛用して長いので、ところどころすれてきた(笑)。あまり大きくないので、カバンに入れて持ち歩くのにも便利だし、底マチもしっかり。これで置いたときの安定感も出るし、収納力もアップする。このポーチの魅力はやはり、置いたときのかわいらしさ。安定感があるのも、この底マチのおかげ。こちらはMizumizu母の友人が作ってくださった底マチばっちりのポーチ。かなり大きめなので、普段の持ち歩きにはあまり使わないが、そのかわり、部屋においておいて、薬や化粧品類を入れ、自分が仕事部屋から寝室へ移動するときは、これをひょいっと持っていく。非常に便利。収納力がとても高い。ファスナーもぐるりなので、底マチのないただの長方形のポーチのように「デッドスペース」ができない。だから、中のものが全部見渡せて、取り出すときも端に引っかかるなんてこともない。旅行先でもとても重宝する。いろいろなものをまとめて入れて洗面台の脇やサイドテーブルに置いておけば、「あれはどこだっけ?」とゴソゴソ捜しまわらずにすむ。ベトナムでポーチを見ているとき、店員さんが「このポーチは裏もしっかり(違う布で)ついていて」とかアピールしていたが、ハッキリ言って、日本ではそれは当たり前。十分すぎるほどある底マチ。この思い切った大きさが使い勝手のよさになっている。マチをたっぷり取っても布だから嵩張らない。使わないときは、たたんでしまっておける。ちなみにMizumizuは…裁縫ほど苦手なものはない。編み物もまったくダメ。唯一まあまあ好きで、できたと言える手芸は刺繍だろうか。女性が裁縫できないと困った時代に生まれなくてよかった。
2017.07.11
ポーチ・マニアのMizumizu。尾道帆布のポーチも、勢いで買ってしまう。ブルーのストライプがすがすがしく、夏にぴったり。よく見るとブルーの縦縞は均一ではなく、微妙に太さが違う。それが安っぽくないニュアンスを出している。手触りもいい。ざっくりしながら滑らか。良質な天然素材の感触だ。脇に共布のツマミもあるので、トートバッグなどを持つときに、財布をこのポーチに入れてこのツマミを使ってチェーンでバッグに付けておけば安心。長財布は入らないが、2つ折りの財布には余裕のサイズ。実際に使ってみると、これまた非常に使い勝手がいい。大きさのわりには収納力が高く、モノが取り出しやすい。そのヒミツは、マチの取り方にあると思う。ひっくり返してみると分かるが、底マチがたっぷり取ってある。ベトナムで買ったポーチは底マチのないものがほとんどで、見かけはすっきりしているが、案外入らないし、取りだしにくい。帆布製品を好む人は多いが、愛着がわく気持ちが分かる気がした。生活のさまざまなシーンで、活躍してくれる素材だろう。これからもっと生活に取り入れていこう。期間限定セール! 尾道帆布11号***注文殺到にて予約販売開始!7/20頃入荷予定。入荷次第順次発送致します!/生成帆布/尾道/帆布/生地/布/綿/おのみち/ナチュラル/バック/カバン/カバーリング/ハンプ【送料無料】シンプル&ナチュラル:尾道帆布のクッション付きRoundスツール|ウォールナット|ナラ|バーチ(受注製作の無垢家具)【送料無料】尾道帆布の折り畳みスツール 折り畳みイス オットマン(受注製作の無垢家具)CARRYNEST(キャリーネスト) バックパック [ユニセックス] O BACK NEST 【WHT/ONEサイズ】 リュック コットンキャンバス 尾道帆布 日本製10P03Dec16【あす楽】尾道帆布ペンケース 雲州そろばんコラボ企画【マラソン期間中エントリーでポイント5倍】尾道帆布 .B コラボレーション ボールポーチ クラシックゴルフ ネイビー Dot.B ドットビー 尾道 帆布【尾道帆布】【.B】【コラボレーション】【ボールポーチ】【クラシックゴルフ】【あす楽対応】SPINGLE MOVE スピングルムーヴ SPM-324 ホワイト メンズ レディース スニーカーFEEL AND TASTE フィール アンド テイスト トートバッグ 2WAY キャンバス 尾道 帆布 レディース B4 横 f031 c062
2017.07.10
多くの文化人に絶賛される尾道の景観。映画の舞台にもなっているが、Mizumizuが知っているのは『東京物語』や『時をかける少女(原田知世主演)』ぐらい。『東京物語』のラストシーンでの、蒸気機関車の走り抜ける尾道は、筆舌に尽くしがたい美しさだった。西洋とはまったく違う、だが西洋の秩序にも通じる整然たる街並み。これをみて西洋人が日本という国に興味と尊敬の念を抱いたのもなるほどと頷ける。『時をかける少女(原田知世主演)』も尾道の坂の風景を、つぶさに印象的に見せていた。とはいえ、それらはあくまで優れた映画人のフィルターを通して描かれた尾道だし、そもそも『東京物語』は古すぎて、統一感のある瓦をいただいた低い家屋の集合はすでに破壊されて久しいはずだ。世の評判の高さとは裏腹に、「今の尾道」にはあまり興味がもてず、旅行好きのMizumizuがこれまで目的地に選んだことはなかった。だが、西日本でまだ行っていない観光地もいよいよ少なくなってきた。なので、今回は因島と絡めて尾道にも立ち寄ることにしたのだ。前日に因島から境ガ浜、鞆の浦と回り、福山で一泊。朝ホテルをチェックアウトして、レンタカーを福山駅前のレンタカー屋に返し、大きな荷物は駅のロッカーに預けて、在来線で尾道へ。駅からすぐにタクシーでロープウェイ乗り場へ向かう。GWなので、ロープウェイも並んでるかな、と思いきや、時間が早めだったせいか、並ばずにすぐに乗れた。ロープウェイからすでに素晴らしい景観が始まる。急な坂、海との間の狭い平地。尾道水道、向島大橋、そして瀬戸内海の島。向島との間には船も行き来していて、生活感にあふれている。ほとんど平地のない、海に面した坂の古い街というと、イタリアのソレント半島を思い出す。かの地のような広々とした紺碧の海やレモンの木や芸術的なタイルの建築物こそないが、そのかわり、ここには堂々たる橋があり、川のような海があり、連なった山があり、島影があり、観光だけ主な生業でない町の持つ人々の暮らしの匂いがたちこめている。ロープウェイを登ってすぐのところにある美術館からの眺めが良いと聞き、行ってみた。ちょうど猫をテーマにした古今東西の作品を集めた特別展が開かれていて、なかなか見ごたえがあった。だが、やはりここの白眉は、窓の外に広がるランドスケープだろう。アルネ・ヤコブセン作のエッグチェアがポツンと配置されている。その向こうには坂があり、狭い平地があり、背の低い、何かの寝姿のような山々が折り重なっている。左手にはロープウェイからも見えた向島大橋と尾道水道の景色。この特等席に座って、作品『尾道ランドスケープ』を眺める。それは、至福の時間だった。なるほど、だから尾道は人々から絶賛されるのか。行ってみて、心底納得できた。美術館を出て、千光寺へ向かう道をくだる。雨に濡れたつつじが美しい、すっきり晴れなかったのは残念だが、尾道は雨でも情緒がある。まさに日本の美しい町だ。千光寺はいわゆる「巨岩信仰」を強く感じさせる地にある寺だった。が、そんなことには今やおかまいなく、恋人のナントカとか、寺の売店の激しい売り込みとか、商魂のたくましさに正直かなり唖然とした。しかし、その甲斐あってか、若者もすごくたくさん来ている。まあ、寺も名所も人が来てナンボだ。恋人のナントカで若者を引き付けることに成功したのは、誰が考えたか知らないが、お見事。Mizumizu母の足の状態を考えて、Mizumizu+Mizumizu母は徒歩で下まで降りるのはやめてロープウェイで下ったが、Mizumizu弟夫妻は、狭い路地を歩きながら下まで降りて、楽しんだようだった。Mizumizu弟が撮って送ってくれた写真。これぞ、The尾道。やはり尾道観光の目玉は、この坂を歩いて下るときに出会える自然であり、生き物(猫や鳥や人間や)であり、建築物なのだろう。お昼過ぎにロープウェイ駅に降りたら、午前中にはなかった長蛇の列ができていた。尾道は交通の便がいいから、西からでも東からでも、自宅を朝出れば、お昼ぐらいには着けるという範囲が広い。だから、お昼にはこうなる。こちらは福山に泊まって朝来たので、混む前にゆっくり楽しめた。結論:GWの尾道は、午前中早めに来るといい。福山天然温泉ルートイングランティア福山SPA RESORT
2017.07.08
因島から境ガ浜、鞆の浦と回り、ホテルを取った福山へレンタカーで戻るMizumizu一行。GWだから混むかなと思ったのだが、拍子抜けするほどスイスイで福山に着いた。バラ公園にも行ってみたが、まだ早くてあまり咲いていなかった。時間が余ったので、カフェでスイーツでも、ということになり、その場でネット検索して適当なカフェをさがす。行ったのは「純喫茶ルナ元町店」というレトロなカフェ。スイーツがわりと豊富で、どれにしようか迷ったのだが、親子三代の愛好家もいるというお店イチオシのプリントップをオーダー。上にソフトクリームとプリンをのっけたパフェって…(笑)。一瞬「…」となってしまうような一品だったが、どーしてどーして、これがなかなかの逸品だったのだ。なんと言うのか、自家製だというプリンが、普通にとても美味しいのだ。一口食べて、うわー! というものではないが(まあ、そもそもプリンだし)、特に嗜好を選ばず、誰にでも受け入れられるであろう味。とても滑らかで、全体的にやさしい味。奇をてらわず丁寧に作っているのがよく分かる。ソフトクリームもしつこくない。底のほうに隠れているフルーツも、どうしてどうして楽しくも美味しいアクセント。しかもとても手頃なお値段。東京から来ると、このクオリティでこの値段は、めちゃ安に思える。こういうオーソドックスで「しっかりちゃんと作ってる」パフェというのは、ありそうでなかなかない。時の流れに淘汰されずに長く愛されてきたというのも、この店が、入れ替わりの激しい東京のど真ん中ではなく、落ち着いた地方の町にあったからかもしれない。Mizumizuが福山市民だったら、絶対に通っている。こういう逸品にふいに出くわすのも、日本の地方の旅の魅力だ。まったく期待していなかった分、印象は返って深くなった。また、必ず食べに行きたい。福山天然温泉ルートイングランティア福山SPA RESORT
2017.07.05
鞆の浦では対潮楼にぜひとも行きたいと思っていた。18世紀に朝鮮通信使が、「日東第一形勝」と称えた眺望の楽しめる座敷があるという。対潮楼のある福禅寺は駐車場からもすぐで分かりやすかった。対潮楼のお座敷に入ると、やや暗い畳の部屋の向こうに、明るい、素晴らしい眺望が開けている。ちょうど柱と桟が額縁のよう。切り取られたパノラマの中を船が行く。瀬戸内海の美はやはり、水面を行く船という動的な要素があってこそ。畳に座り、さあ、この海と島と明るい陽光の織り成すパノラマをゆっくり静かに堪能しよう、と思ったとたん!なぜか、ガイドと思しきオバサンがやって来て、こちらからの眺望を思いっきり遮る迷惑な位置に座り、話を始めてしまった!なんで1人でそこに座るかなあ、邪魔なんだけど。でも、10分ぐらいで終わるでしょ。が!10分経過、20分経過…まだしゃべっている! この素晴らしき風景のど真ん中に居座ったまま!しかも、地名の「鞆(とも)」が国字だという話から、「躾」も国字だと飛躍し、さらに「いいですねえ。身を美しくすると書いて『しつけ』。素晴らしいですね」と、自分たちの国で作ったヘンテコな漢字を自画自賛し、「かの国にはこの字がないからでしょう、(マナーが)ひどいでしょう」などと、聞いていて唖然とするような差別発言を、まったく悪気もなく声高にするではないか。具体的に「こういうことを中国人がしているのを見て(あるいは、されて)、マナーが悪いと思った」というような体験談なら、まあ、まだアリないかもしれない。観光ガイドがする話としては極めてふさわしくないとは思うが、それはそれで言論の自由の範囲だ。だが、具体的な例を挙げるわけでもなく、「躾」という字が日本にあって「かの国にはない」から「躾がなってない」なんて十把一絡げのトンデモ論は、ジョークのつもりなのかもしれないが、はっきり言って完全にアウトだ。田舎のオバサンはこれだから困る。内輪の井戸端会議じゃないんだから、まったく。もし、話を聞いてる観光客の中に、日本語の分かる中国人がいたらどう思うか、想像することさえできないんだろうか? 鞆の浦はマイナーな観光地で外国人は、まだあまり来ないかもしれないが、観光立国を目指すなら、当然外国からも観光客を誘致しなければいけない。鞆の浦の美しさ、朝鮮通信使ゆかりの土地という歴史。これらは海外の観光客にもアピールする要素だ。それなのに、どこの団体のガイドか知らないが、フリーで来てる客もいる場所で、素晴らしいパノラマを背にして一番良い席を1人で陣取り、中国人に対する差別意識丸出しの下世話なおしゃべり。おまけに、話が長すぎる!因島でもそうだったが、広島の人は話が長いのか? 旅行先で立て続けにこんな目に遭ったのは初めてだ。仙酔島へ行く「いろは丸」が出航すると、オバサンガイドが、「前に出て写真を撮ってもいいですよ」と、許可を出す(苦笑)ので、内心「あんたさえいなければ、あんたに許可もらって前で写真撮る必要もないんですけどね」と思いつつ、写真を撮らせてもらった。オバサンが座って動かないから、柱と桟の「額縁」を入れて撮ることができない。この場所の風景はもちろん素晴らしいが、それを柱と桟で独創的に「切り取った」からこそ、ここのパノラマは絵画めいた唯一無二の絶対美を備えたのだ。この場所に座敷の開口部を作り、明るい外界をこうやって切り取って、「ここにしかない絵画」に仕上げた先人の苦心。それを思ったら、「絵画」の中心位置に、自分がデンと座って、先人の作品を鑑賞する他人の権利を阻害するようなマネはできないと思うのだが。どうしてもそこで話をしたいなら、もっと短くするか、あるいはいろは丸が出航するシャッターチャンスには、自分が腰を上げてどくべきだろう。こちらからすれば、頼んでもないガイドに視界を邪魔され続け、長い話を延々、延々、延々と聞かされ、話が終わったころには、もう座り疲れてしまい、静かに景色を楽しむ気力は残っていなかった。落胆。次いつ来れるのか分からない、こちらにとっては、おそらくは一期一会の旅なのに。座敷に入ってきたときに、オバサンが座っていなかった(だから、一瞬、素晴らしい外界のパノラマがそのまま目の中に飛び込んできてくれた)ことだけを救いに思うことにして、対潮楼を去ったのだった。鞆の浦温泉 景勝館 漣亭
2017.07.03
境ガ浜のランチのあと、鞆の浦へ向かうMizumizuファミリー。海沿いの道をそのまま進めばもうすぐ鞆の浦というところで、路上で旗を振りながら、渋滞を避けるために山沿いのグリーンロードのほうへ行くように誘導しているおじさんがいた。素直に迂回して、のぼり坂をあがり、福山グリーンロードへ入るMizumizu一行。これが大正解だった。晴天に恵まれた日だったせいもあるが、眼下に広がる瀬戸内の景色は絶景と呼ぶにふさわしい。広島にこんな景観の良い道があったのか? と驚いた。しかも、GWだというのに、車がめちゃくちゃ少ない(笑)。こんなシーニックロードががらすきってどういうこと? みろくの里付近のなんでもない山道で大渋滞したかと思えば、ヨーロッパの地中海風景に勝るとも劣らない景観美の道がガラガラ。関東から来た人間には想像外の現象だった。海岸線ギリギリまで迫った山。青い海。点在する島々。はるか遠くの山は麓に雲(あるいは海霧か?)がかかり、宙に浮いているように見えた。晴れた日だけに、よけいに幻想的で不思議な光景だった。そして海を行く船の白い水しぶき。壮大な景観に添えられる、動的なアクセント。グリーンライン自体は、もっと北まで続くようだったが、目的地が鞆の浦だったので、途中で海岸沿いのほうへと降りた。旗振りおじさんがいなければ通らなかった道。思いがけず最高のパノラマに出会えて、大感動したMizumizuだった。ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道鞆の浦温泉 汀邸 遠音近音(みぎわてい をちこち)
2017.06.30
因島のあとは、本州に戻り、境ガ浜マリーナへ向かう。高級ホテル「ベラビスタ境ガ浜」付属のイタリアンレストランSOFUのランチを予約してある。SOFUはだいぶ前に予約したのだが、とても感じが良く、気が利いていた。12時に予約したのだが、「GWに因島から行くので、もしかしたら時間に遅れるかもしれない」と言うと、「30分ぐらいは余裕見ますので、12時から12時半ぐらいの間にお越しいただければ大丈夫ですよ」とのこと。さらに、この時期はもうテラス席が気持ちのいい季節だということで、マリーナ側のテラス席を用意してくれるとのお申し出。地方の有名レストランだと、やれ予約は1か月前にならないと取らないとか、ランチは予約取らないとか、この時間でないとダメだとか、遠くから行く観光客にとってはいろいろと面倒なことが多いのだが、SOFUは早めの予約で、時間がややアバウトもまったく問題なく、すべてがスムーズで助かった。このあたりのサービスの質は都会人も満足できる東京クオリティ。さすがに1泊7万とか10万とか取るホテルの付属レストランだけある。さて、GWの予約日、午前中だったせいか因島から福山あたりまでは、さほど渋滞しなかったのだが、「みろくの里」というテーマパークの周囲がとんでもない渋滞だった。ここを避けて海沿いの道で来れたはずなのだが、一度道を間違えて、みろくの里を通る山越えルートをなんとなく選ぶことになったのだ。みろくの里へ続く山道がGWに家族連れで大渋滞になるなんてことは、こちらは知らないから、逃げ場のない山道で渋滞の列に巻き込まれ、SOFUへ状況を説明する電話をかけるハメに。それでも、因島を早めに出発していたので、約束の時間帯に多少遅れるぐらいで到着。ここは本当に日本? と思うような高級感あふれるマリーナ。初夏の陽光を受けて海も、山も、ヨットも明るく輝いていた。まさしく『太陽がいっぱい』の世界。広島にこんな場所があるとは。隣りの山口県に高校時代まで住んでいたのに、まったく知らなかった。SOFUはテラスの窓際を用意してくれていた。気持ちの良い席で、気持ちの良いサービスとともに、凝ったパスタ料理に舌鼓。Mizumizuの注文したカルボナーラ。生ハムとアスパラもチーズに良くマッチしていた。こちらは、パスタを注文すると自動的に付いてくるサラダ。選んで良かったと思えるレストランだった。付属レストランがこのレベルなら、ベラビスタ境ガ浜ホテルも、値段に見合う上質なホテルなのだろう。いつか泊まりに来たい。
2017.06.28
今回因島に行った一番の目的は、「ナティーク城山で食事をする」ことだった。昔からここのシェフの評判の高さは聞いていて、一度行ってみたいと思っていたが、なかなか機会がなかった。村上水軍の出城だった長崎城の跡地というロケーション。さすがに眺めが良かった。室内からの眺めは、近隣の企業の建物にだいぶ遮られてしまってさほどでもないのだが、テラスやデッキからの眺望は素晴らしい。目と鼻の先にある生名島と行き来するフェリー乗り場が、ホテルのテラスのすぐ下に見えた。フェリーは頻繁に運航されていて、地元民と思しき車が乗りこんでいく。生活の足としてフェリーが活躍している光景は、東京から来た人間には、それだけで珍しい。お目当てのディナーは、瀬戸内海の海の幸を創作的にアレンジした料理。必ずしも魚が好きでないMizumizuだが、お任せのコースにすることで、普段ならあまり食べない素材の持つ美味しさを教えていただいた気分。オードブルは牡蠣と、体質的に牡蠣がダメなMizumizuのために代替の河豚が用意されていた。手をかけた料理だが、ふっくらとした河豚の身の美味しさがしっかり活きていたのが印象的。瀬戸内海の海の幸を散らしたサラダ。東京ではほとんど食べない魚介の種類が楽しい。瀬戸内に来たんだな~と思う。そして、普通は避けているシメサバも野菜と一緒にすんなりいただく。腕の良いシェフにかかえればグラタンも、唯一無二の料理になる。食べ飽きたはずのグラタンが、これまで食べたことのない一皿に変身。コースで食べるというのは、単に美味しいものを並べてたくさん食べることに意義があるのではない。こってりしたもののあとに、あっさりしたもの、そのあとに重いもの、と連続させることで、様々な味覚の喜びを刺激させるのだ。選択肢が溢れた現代の食生活では、返って人は自分の好きなものばかりを食べるようになる。嫌いなもの、興味のないものは食べる必要がないからだ。そうした時代だからこそ、たまにこうした、素晴らしい腕をもったシェフのいるレストランに来て、お任せのコース料理を食べると、普段の選択肢とは別の食材の持つ可能性に触れることができる。それが素晴らしい。たとえば、途中に供される冷製のガスパッチョには、思い切って青臭いトマトが使われていた。トマトはあまり好まないMizumizuだが、コース料理の1つとして、口直しの意義を感じつつ全部食べた。これを食べることで、前のこってりした料理の後味がなくなり、次の重めのメインの味が引き立つのだ。魚介も野菜も肉も、幅広い素材を巧みに調理しコースに仕立てる。シェフの技量の高さを堪能できるディナーだった。こういう本物のプロフェッショナルは、案外少ない。客のほうも好き嫌いが激しくなっているうえ、自分だけが肥えていると思っている舌と自分だけの狭い主観で料理を評価する「なんちゃってグルメ評論家」も増えているから、様々な素材を的確に扱える真の料理人にとっては、受難の時代かもしれない。瀬戸内海だからこそ味わえる、瀬戸内海でしか味わえない料理。ブラン・ド・ブランのシャンパーニュと一緒に、楽しく堪能させてもらった。朝は和食がおすすめだと誰かに聞いたので、日常生活では朝はパンが多いのだが、和食にしてみた。これまたいつもは食べないような魚料理を美味しく完食。朝はバイキング形式の宿が増えているが、腕の良いシェフが1つ1つ丁寧に味をつけた料理を食べる楽しみも、日本から消えてほしくない。こうして書いていてもジワジワと料理の魅力が蘇ってくる。インパクトがあり美味しいと思っても、案外「一度でいいや」と思うレストランも多いが、ナティーク城山には、またいつか行きたい。
2017.06.26
因島ナンバーワンのビュースポットという呼び声も高い白滝山。頂上近くまで車で行けるので、10分ほどのトレッキングで頂上まで行けるという。これなら、Mizumizu母でも歩けるだろうと、GWの旅行日程に組み入れた。因島フラワーセンターのすぐ奥にも駐車場があるのだが、そこからだとかなり徒歩で登ることになる。頂上の展望台に一番近い駐車場に行くには、ぐるっと遠回りして行くことになるので、そこは注意が必要だ。実際、頂上に一番近い駐車場に停めて歩きだしたら、下から登ってきた親子連れに、「ここに駐車場があったんですか!? だいぶ歩いて来たんだけど」と話しかけられた。やはり勘違いする人がいるようだ。さて、「徒歩10分」のはずの遊歩道だが、道はけっこう険しかった。しかし、眺望は抜群! 期待以上!!展望台へと続く道の途中で振り返れば、木々の向こうに無数の島が浮かぶ瀬戸内海が見える。時刻表で名高いトーマス・クックが、日本の瀬戸内海地方の景観美を絶賛した話は有名だ。「私はイングランド、スコットランド、アイルランド、スイス、イタリアの湖という湖のほとんどすべてを訪れているが、ここはそれらのどれよりも素晴らしく、それら全部の最も良いところだけとって集めて一つにしたほど美しい。」もうあの赤い表紙の分厚い時刻表を知らない人も増えているだろう。インターネットがこれほどまでに発達する前は、ヨーロッパ旅行でMizumizuはずいぶんとトーマス・クックの時刻表にはお世話になった。あの時代に個人でヨーロッパを鉄道で旅した人間にとっては、彼は特別な存在。Mizumizuもスイスやイタリアなら、ちょっと有名な湖ならほとんどすべて廻ったと言っていい。その眼から見ても、ランダムに小島の浮かぶ瀬戸内海の風景は、どこにも負けない感動を与えてくれる。船で行く瀬戸内海も、橋で渡る瀬戸内海も素晴らしいが、因島の白滝山のように高いところから見る瀬戸内海は、また格別だ。わずかな平野部には、きれいに手入れされた田畑。このキチンと感に、この土地に住む人たちの勤勉さが表れている。それが景観美となり、また感動を誘う。その向こうの水面に浮かぶ島々を見ていると、ここをヨーロッパの海と比べず、湖と比べたトーマス・クックの心情が分かる。この景色は確かに海のというより、湖のそれに見える。水上を行き来する船の多さに驚く。この人々の生活を感じさせる「動」のアクセントが、瀬戸内海の美しさをさらに特別なものにしている。五百羅漢越しに眺める因島大橋。しまなみ海道は橋梁という人工構造物の美しさにも感動できる道。島と島をつなぐ白い大橋は、下から見てもその堂々たる機能美に圧倒されるが、上から見ても実に凛として美しい。飛行機でしまなみ海道の上空を通ったときも、島と島とつなぐ橋の姿――それはとても小さく見えたが――に感動したことを覚えている。今回はそれより地上に近い山の上。あの橋を渡ってここに来た。穏やかな青い海と緑豊かな山々。緑の中をうねって敷かれた道路までもが芸術のように見えた。頂上の展望台からは、まさに360度ぐるりの眺望。天気に恵まれて良かった!日当たりの良い場所は農作物のための場所にして、人々の住まいは遠慮がちに隅のほうに固まっている。後継者不足の言われる地方の農家。人々の地道な勤勉さが作り上げたこの景色は、この先どうなっていくのだろう?遠くに見える尖った橋梁は、生口橋のよう。今回の旅は因島で終わりだが、あの橋を渡ってどんどん進めば、四国の今治まで行けるのだ。それも楽しそうだ。いつか行く機会があるだろうか?
2017.06.25
GWは瀬戸内海の因島、鞆の浦、尾道を回ってきた。天候に恵まれ、といって真夏のように暑くもなく快適な旅行になった。いや~、GWの瀬戸内海地方、最高じゃないですか。まずは早朝東京から新幹線で福山へ。10時過ぎぐらいに到着。福山というところはまったく知らなかったのだが、新幹線から降りてびっくり!駅のホームの窓越しに白いお城がすぐそばに見える。ちょうどホームの高さとお城の高さが合っていて、間に遮るものは何もない。堂々たる借景になっている。城を取り囲む、5月の若い緑の色も清々しい。素晴らしい景観じゃないですか、福山(の新幹線の駅のホーム)。好印象のままレンタカーを借りて、まずは因島へ出発。案の定、GWだけに福山から因島へ向かう道は混んで、かなり時間がかかった。計画を立てるときに、因島でのランチをどうしようかといろいろ調べたのだが、ネットで評判を取るような店は休みの時期は非常に混むようだ。島だからそもそも選択肢が少ないし、因島の宿は料理で名高いナティーク城山。ディナーはそこのコースだから、昼はあまり重いものにしたくない。因島の観光は、本州から入ってすぐのフラワーセンターと、因島の代表的なビュースポットだという白滝山、それに村上水軍城に絞っている。お昼近くにどこまで行けるのか、事前に読めず、「これはお弁当持参のほうがいいかも」と考えた。多くの人にとって、おそらく母親の作るお弁当というのは特別なものだと思うが、MizumizuにとってもMizumizu母のお弁当が世界一。小学校低学年のころ、遠足で食べた母の鮭おにぎりの美味しさには子供心に感動したのを、今でもはっきり覚えている。あまりにMizumizu母のおにぎり弁当が美味しいから、いまだに市販のお弁当類にはまったく興味が持てない。名高い駅弁というのも食べてみたことがあるが、一度として感動的に美味しいと思ったことがない。しかし、Mizumizu母も高齢。今回の旅行は一家で計5人。5人分のお弁当を早朝に作るのは大変かなあと思いつつ、メールで頼んでみたら、「大丈夫、張り切って作るね」とヤル気満々の返事が。ヤッター!実際にGW渋滞を抜けて向島から因島に入り、フラワーパークに着いたところで、もうランチにしてもいい時間になってしまった。ちょうどフラワーセンターにはピクニック族のためのテーブルとイスが庭にいくつかしつらえてある。眺めの良い場所は先客がいたが、ちょうど空いてるテーブルもあったので、さっそくお弁当タイムに突入。くれぐれも作りすぎないように念を押したので、量も5人でほどよい。おにぎりとか唐揚げとか、定番モノを皆で頬張り、「美味しい~」と盛り上がった。因島フラワーセンターに来た目的は、この時期に咲く除虫菊を見るためだったのだが…正直、フォトジェニックではなかった。温室もあったが、中はとても貧相。せっかく良いハードを作ったのだから、維持管理をどこかノウハウをもっている業者に委託するとか、もっとうまく活用すればお金の取れる施設になると思うのだが。建物のほうに歩いて行ったら、「ぜひ聞いていってくださ~い」と、おじいさんが誘導している。「何だろう? まあちょっとなら聞いていくかな」ぐらいの軽い気持ちで中に入ったら、キンチョーのプレゼンテーションで、キンチョー(大日本除虫菊株式会社)の初代社長の艱難辛苦を乗り越えた立身出世の話を聞かされてしまった。30分ぐらいで終わってくれれば別に文句もないのだが、この話がやたら長くて… 蚊取り線香のキンチョーの正式な社名が大日本除虫菊株式会社というのはトリビアだったが、知ったからといって、別に得した気にはならない。旅行始まったとたんに長い休憩を取ってしまった感じ。このプレゼン、因島の地元民のためのものだったようなのだが、こんなに長々と話をするなら、安易に外部の旅行者を誘導するのはやめてほしい。明らかに人数増やしのために誘導しただけ。参加人数が少ないから、途中で席を立つもの失礼な雰囲気だし、途中でプレゼン用のプロジェクターが調子が悪くなったりして、さらに時間がかかり、1時間以上座ってるハメになった。急ぐ旅ではないが、キンチョーの初代社長の宣伝に1時間以上取られるのは、何の縁もゆかりもない人間には時間の無駄。旅行者まで誘導するならもっと話を短くするように打ち合わせておきべきだろう。除虫菊の導入から渦巻き状の蚊取り線香の誕生までのエピソードは、面白いと言えば面白かった。渦巻き状の蚊取り線香は今では当たり前だが、この形に行きつくまでには紆余曲折があったということだ。なんでも出来てしまえば当たり前に見えるが、それを考え出すのは大変なことだ。…という内容は良かったのだが、正直同じ話の繰り返しも多かった。GWに旅行者まで巻き込んでやるなら、端的にまとめて、時間はもっと短く。
2017.06.23
「rules」――西荻窪、北口。骨董品や個性的な雑貨を扱う店の多い道を抜け、善福寺方面に向かってしばらく歩いた半住宅街にその店はあった。ブリティッシュテイストのデスクに、さりげなくアクセサリーやポーチを並べた、貴族的な日常を感じさせるディスプレイに惹かれて入ってみる。すると、そこにはファブリックとレザーを上品に組み合わせた、ハンドメイドのバッグの数々。デザインは一見クラシカルだが、斬新さもさりげなく取り入れている。手作りのぬくもりを残しつつ、細部まで丁寧につくりこんだ職人技の光る逸品が並んでいる。壁に掛けられた、リズミカルな柄物のバッグ。花と鳥のハーモニーが楽しい。見ているだけで気持ちが明るくなる。ゴブラン織りの横長の小ぶりのバッグに目が留まる。裏地もしゃれていて、レザーのハンドル部分にはスエード調の人工皮革の裏張りがしてある。柄はフランスの古風な貴婦人のイメージだが、紫の1つボタンで留めたシンプルなデザインは今風だ。Mizumizuはスクエアなカタチのバッグが大好き。同じデザインでファブリックを替えて作れるということで、いろいろ見せていただく。こちらはハウンドトゥース・チェックのツイード。かなりブリティッシュな優等生的なイメージ。フローラル刺繍が上品なフェミニンなバージョンも。布の切り方、つまり花の位置を工夫してあるのが、よく分かる。生地を見せてもらうと、Mizumizuがよく着るブルーの服に合いそうなフローラルパターンを見つけた。花柄のバッグは案外持っていないので、その生地を使って作って、同じデザインで作ってもらうことにした。職人でもあるオーナーと、裏地やボタン、ボタンにかける紐なのど色を打ち合わせる。いったん全部決めたのだが、後日さらに「裏地に使う布は、こちらのほうがベター」という提案を受けた。裏見返しの部分をより厚くて強い生地にして、裏地は無地のシャグリーンカラーで爽やかさを出したいとのこと。Mizumizuが書類に書いた電話番号が間違っていて(汗)、連絡がつかなかったということで、rulesのほうで布地の見本を郵送してくれた(住所は間違って書かなくて、よかった・笑)。ちなみに、裏見返し部分の色は写真では黒に見えるが、実際はネイビー。もちろんご提案どおり。お任せする。こちらが出来上がったMizumizu注文のブルーローズ柄。写真は片面しか映っていないが、両面で柄の取り方が違い、ひっくり返すと、視覚的に楽しい。鏡に映っているので分かると思うが、サイドはネイビーでマチがしっかり取ってあるので、大きさのわりには案外入る。ハンドルはネイビーのレザーで、裏はレッドの人工スエード。持ってみるとしっとりと手になじむ。ボタンは紫で、紐が赤。円いボタンの裏は、四角の小さな半透明の貝ボタン。細部まで手がこんでいる。お出かけ用バッグのバリエーションが広がり、とても嬉しく、満足した。価格も俗に言う「西荻価格」で、特注ハンドメイドのわりに高くない。ついでにシルク製イヤリングもお買い上げ。シルクなのでとても軽い。耳につけてみると、華やいだボリューム感があり、リゾートチックな雰囲気だ。色はいくつかあったが、Mizumizuが選んだのはレモンイエローにライムグリーンのコンビ。ちょうど合う夏用の服があるので、夏に活躍してくれそうだ。さりげなく上質の、心地よいハンドメイド。西荻は全体としては、アジアンチックな、ゆる~い雰囲気の街なのだが、つぶさに歩くと、ふっとこういう旧き良きヨーロッパの伝統を受け継ぐ店にも出会える。懐の深い街だ。
2017.06.09
前回のベトナム旅行で、わりあいに簡単にうまくいったスマホのSIMカード入れ替え。今回も当然やった。ホーチミンの空港に着陸するとイミグレが長蛇の列で、しかもなかなか進まず、ものすごく待たされた。この間にSIMカードの入れ替えができないかと見ると、1つだけ店がある。「4G、220,000ドン(1100円)」という看板が見える。4Gとは通信容量(4ギガ)のことか? 第4世代という意味か? 一瞬分からなかったが、結果として第4世代のことだった。通信容量は無制限。ローカルコールの無料分もある(何十分か忘れたが、30分ぐらいだっただろうか)。有効日数は、聞いたような気もするのだが失念。2年前に来たときは、3G(第3世代)で通信容量1G、30日間有効で150,000ドンだったから、えらく高い。イミグレを出れば、もっと安い会社があったのかもしれないが、イミグレを待つ間にいろいろと確認ができたほうがよいと思い、220,000ドン(前回のベトナム旅行で残ったドンをまだ持っていた)を現金で払って、SIMカードを入れ替え、設定をしてもらった。電波はきてるようだが、案外動かない。カウンターの前でしぶっていると、「外に行けば大丈夫」と言われて追い払われてしまった(苦笑)。イミグレで待ってる間に、ネットにつながり始めたので、さっそく立ったままノートパソを出して、テザリングができるかどうか確認する。これはあっけないほど簡単にできて、ノートパソのスカイプを通じて、日本のMizumizu連れ合いとチャット。OUTLOOKを起動させて、メールのやりとりもテスト。これもOK。グーグル検索もさくさくできる。ということでノートパソはしまう。次に、スマホのスカイプ。これはいったんログアウトしたことになってしまうので、スカイプ名とパスワードが必要になる。前回の旅行ではパスワードを忘れて面倒なことになったので、今回はしっかり頭に入れてきた。パスワードを間違えずに入れたので、すんなりつながる。次にスマホのLINE。LINE自体は何もしなくても、すぐにつながったのだが、画面が変。普段LINEはほとんど使わないので、勝手が分からない。そばに立ってた若い日本人の女の子に、「すいません、LINEで通話できる画面に行きたいんですが…」と聞くと、「戻る」ボタンをどんどん押してくれた。すると、見慣れた画面になったので、Mizumizu弟にメッセを入れてみる。向こうからもメッセが返ってくる。よしよし。これで大丈夫。帰国後にまたSIMカードを入れ替えて、日本で使えるように設定しないといけないので、その設定の仕方も忘れないようにプリントアウトして持ってきている。こういうのは決まったところをタップしていくだけだから単純な作業なのだが、「どの画面で、どこを」タップしていくのか、たまにやるだけの設定は、すぐ忘れてしまう。今回の旅行は、ノートパソコンはホテルで無料のWifiにつなげることができたし、ノートパソコンをもって外に出ることもなかったので、スマホを使ってのテザリングは結果として不要だった。外でスマホを使うこともあまりなくて、220,000ドンのSIMカード入れ替えは、安心料に終わった感じだ。
2017.05.31
都会の観光地に来ると、必ずといっていいほどある高層ビルの展望台。ホーチミンにはビテクスコフィナンシャルタワーのサイゴンスカイデッキがある。ホテルから至近だし、ホーチミンはたいした見どころもないし、行ってみることにした。入場料は大人 200,000ドン(1000円)シニア(60歳以上)・子供(4歳~12歳)・障害者 130,000ドン外国人にもシニア・子供・障害者料金は適用されるので、微妙な年齢だったりしたら、パスポートのコピーを持っていくといいかもしれない。チケットを買ってエレベーターに向かうと、写真を撮りませんかのアピールがあった。ノリがよくて、一瞬勢いでついていきそうになったが、この手の写真は高いと相場が決まっているので、断る。エレベーターに乗り、あっという間に広々とした近代的な展望台へ。昼間の中途半端な時間だったせいか、あまり人もいなくて、ところどころにあるベンチに座ったりしながら、ゆっくりと見て歩いた。ホテルの入っているビルが間近に見える。水色の部分はホテルのプール。大きく蛇行したサイゴン川。ホーチミンシティが、しばしば「メコン川流域の都市」のように紹介されることがあるので、Mizumizuはサイゴン川はメコン川の支流だと思い込んでいた。Mizumizu母もだった。だが、調べてみたら違うことが分かった。眼下に広がる東南アジア有数の大都会。サイゴンスカイデッキからの眺めは夜景がおすすめとガイドブックに書いてあったが、そうかもしれない。窓ガラスは、かなりきれいだった。頻繁に清掃をしているのだろう。翌日ホテルの部屋から、このタワーの窓を外から掃除する人たちが見えた。上から始めて下へ行くようだった。とんでもない高さのタワーの外壁にぶらさがって作業する人の姿は、見てるほうがヒヤヒヤした。展望台の1階上にカフェがあったので、一休みすることに。このカフェに入るのには、入場券を見せる必要がある。お客さんはそこそこいた。中国系と欧米系が半々ぐらい。日本語は聞こえてこなかった。パンナコッタとスタミナドリンクみたいなのを注文。味も普通に良くて、くつろげた。はるか眼下のサイゴン川に突き出すようなロケーション。さがなら天空のカフェといったところか。JCBのクレジットカードで支払いをしようとしたら、ウエイトレスの女性が、レシートを見せながら、なんだか丁寧に説明を始めた。「入場チケットがあるから、ディスカウントがあるのですが、サービス料とタックスが別にかかって…」というようなことを言っている。こういうところだから、サービス料とタックスが別チャージだというのは承知している。なぜそんなことを、数字を指で示しながら説明するのか意図が分からず、こちらはVISAじゃないカードでも使えるのかな? と不安に思ってJCBカードを出していたので、「で、このJCBのカードは使えるの?」などと、ちぐはぐなことを聞いてしまった。向こうは向こうで、サービス料とタックスが別チャージだと知らずに入ったお客にクレームされたことでもあるのかもしれない。Mizumizuの質問にきょとんとしている。「VISAでないとダメ?」と、さらに聞くと、驚いたように、「ノー、ノー」と答えた。で、また「ディスカウントがあるのですが、サービス料5%とタックス10%が別にかかる」と繰り返すので、「もちろん、OKです」と答えるMizumizu。お値段のほうはライチとストロベリーのパンナコッタ(上の写真はこのパンナコッタ) 135,000ドンドリンク(「アンダーコントロール」) 180,000ドンディスカウント -63,000ドン小計252,000ドンサービス料5% 12,600ドンタックス10% 26,460ドン合計 291,060ドン(約1500円)ここに来る前、すぐ近くのニューランという地元民御用達の店で、Mizumizuはストロベリージュースを飲んだのだが、それはたったの25,000ドン(125円)だった。もちろんサービス料もタックスもなし。座る場所と屋根はあるが冷房はなし。空調のきいた「天空のカフェ」では「0」が1つ増える感じ(笑)。だが、ニューランは、来るときにガイドさんからもらった市内マップで、日本語で「バインミー有名店」と書いてあったので食べたのだが(1つ25,000ドン)、ホイアンで食べた、あの素晴らしいバインミーに比べると雲泥の差だったのだ。(ストロベリージュースのほうは、普通に美味しかった)。あれで「有名店」なのだろうか? 本当に? マップの日本語を信じて来て、初めてここでバインミーを食べたら、「こんなもの?」とネガティブな印象をもってしまうのではないだろうか。もっとはるかに美味しいバインミーがベトナムにはあります! 残念ながら、今回のホーチミンでは、他のバインミー有名店に行く機会(というか、元気というか?)がなかった。ホテルが良すぎると、街中をアクティブに歩こうという気がなくなるのが難点か(笑)。ネットから拾ったビテクスコ フィナンシャルタワー (サイゴン スカイデッキ)の全貌。父の日 ギフト 誕生日 プレゼント 独歩ビール(父の日ラベル)6本セット メッセージカード付き(送料込み、クール配送)【宮下酒造】【あす楽対応】【父の日 ビール】価格:3456円(税込、送料無料) (2017/6/10時点)
2017.05.29
前回のベトナム旅行で、ダナンのスーベニア・ショップで買った↓のベトナムコーヒー。これがめっぽう美味しかったのだ。しかも400gで700円とか、そのレベルの値段。日本でも細かく挽いたベトナムコーヒーは買えるが、このダナンのWeasel IIほど香り高く、ふくよかな深い風味のものは手に入らない。あっという間に飲んでしまい、もっと買ってこなかったことを悔やんだものだ。今回は絶対に現地のベトナムコーヒーをもっと買ってこようと心に決めて来たMizumizu。ラッキープラザのスーパーでダナンで買ったWeasel IIを探すが、他のメーカーのWeasel コーヒーしかなかった(ちなみにこれは買ってみたのだが、ハズレだった)。そのかわりといってはなんだが、えらく高いベトナムコーヒーを見つける。その名もLegend。ごたいそうな箱に入っていて、値段はなんと225gで1,031,500ドン(約5200円)と、ベトナムコーヒーの中では破格に高い。100gにしても2300円だから、日本で売っているコーヒー豆と比べても、相当に高い部類だ。迷ったが、ベトナムに来る機会もそうそうないので、買ってみることに。帰国便に乗るためにホーチミンの空港に行くと、このLegendコーヒー。あっちこっちの免税店に置いてあるではないか。ずいぶんと大量生産の「伝説(Legend)」だ。ホーチミンの空港の免税店は有名なブランドショップは少なく、チョコレートだとかコーヒーだとか定番の雑貨だとか、同じようなお土産品が並んでるだけで、全然充実していない。ここに比べると、韓国のインチョン空港の店の充実ぶりはすごかったなあ、などとちょっと懐かしく思い出す。暇なので。Legendの値段を見て歩いたら、意外なことが分かった。同じ空港内なのに、店によって値段が違う!セキュリティチェックに近い店では72ドル(約8000円)。隅っこのほうの不便そうな場所の店では68ドルだった。4ドル、つまり500円近く差があるってどういうことなんだろう。店のテナント料が値段に反映されているのだろうか。まぁ、とにかく、この伝説コーヒー。どこにでもあるということと、やはりスーパーで買ったほうが安いということはハッキリした。さて、帰国後にさっそく、飲んでみた。袋を切ったとたんに、得も言われぬ甘く豊穣な香りがたちこめ、びっくりする。チョコレートにも似た甘く深い香り、間違いなくこれまで淹れたベトナムコーヒーの中では随一だ。が!肝心のお味は、なんというか、期待したほどではなかったのだ。いや、期待が大きすぎたのかもしれない。だが、記憶の中で美化されているかもしれないとはいえ、アラビカ種にロブスター種もブレンドしている、それだけ聞けば高級とは思えないダナンで買ったWeasel IIのほうが、味だけだったら上のような気がした。とは言え、同じ時期に比べたわけではないし、味の印象というのは同じ人間でも結構違ったりする。だが結論から言えば、値段のわりには満足度はまあまあ程度だったというところ。一度買ってみて別に損したとは思わないが、この値段ならリピートはたぶん、ないと思われる(笑)。
2017.05.28
ガイドブックでさかんに宣伝しているロータスクッキー。お土産に買ってこようかなというつもりでいたのだが、実際に土産店で試食してみたら…口に合わない!(苦笑)おまけに、量のわりには高い。これならラッキープラザのスーパーでメチャ安のココナッツクッキーに賭けようと思うMizumizu。「賭けよう」というのは、言うまでもなく、ラッキープラザのスーパーでは試食ができないからだ。値段も安すぎる気がしたが、まあ、だから逆にハズレてもいいや、ぐらいのつもりで買ってみたのが、コレ↓で、日本で食べてみたら…これが案外イケるではないか。日本にもココナッツクッキーは美味しいものがあるが、1つ200円ってレベル。これはひと箱でそれ以下だ(ったと思う。ハッキリした値段は忘れてしまったのだが)。ザクッとした乾いた口当たりで、ココナッツの繊維も感じる。甘いのだが、塩気も追いかけてくる。ベトナムコーヒーといただくと十分に楽しいデイリーなおやつになる。う~ん、ベトナムの駄菓子、なかなかにレベル高し。中はこんな感じで、小ぶりのクッキーを1つ1つ包装してある。箱が嵩張らなければもっと買ってきたのだが、とそれだけが残念。ついで:日本でもタイものが出回っているココナッツチップス。ラッキープラザで売っていたので、買ってみた。「2バッグ」というのは、つまり2袋入りという意味。日本人向けにカタカナで書いてあるので輸出用のようでもあるが、日本ではMizumizuは見たことがない。中には…こんな感じのビニールの小袋が2つ入っていた。味は、日本でよく出回っているタイのココナッツチップスと大差はないが、ややこちらのほうがココナッツの風味が豊かかもしれない。だが、これは明らかに過剰包装。日本でよく見るココナッツチップスは小さいポテトチップスの袋みたいなのに入っているが、それで十分じゃないだろうか。1袋にこれっぽっちしか入ってなくて、それを2つ紙箱に入れているので、中身のわりに嵩張って仕方がない。それさえ目をつぶれば、値段から考えても十分に、満足できる駄菓子。行ってよかったラッキープラザ。「空港で買うより安い」のも本当だと分かったし。大きなビニール袋を抱えてホテル(ラッキープラザの横だが)に戻ると、ベルボーイが駆け寄ってきて、「お手伝いしましょうか?」と笑顔でお申し出。ありがたく受けて、部屋まで持ってもらった。本当にこういう面でも行き届いたホテルだ、ザ レヴェリー サイゴン。ヨーロッパの有名ホテルの若いベルボーイなんて、こっちが重い荷物を持っていても何か言わない限り知らんふりだった。例外は、オーストリアの由緒正しいホテルにいた、もしかして戦中派?と思えるような年老いたベルボーイ。チェックアウトの後に、Mizumizu母が疲れて足が痛そうだと見るや、自主的に「Whohin(どこへ行くの)?」と聞いてきて、船着き場だと答えると、あっという間に荷物をカートに詰め込んで運んでくれた。タクシーの運転手でも感動的に実直な人に会ったが、彼も年老いた「戦中派?」と思える年齢だった。ヨーロッパでは、彼らとともに、ホスピタリティ文化も滅んでしまうのだろう。明日はもう会うことのない他人に対しても誠実に接するという、人としての誇りも。残るのは、カネ、カネ、カネ。「その仕事でいくら稼げるか」というだけの価値基準。そこから生まれる格差感。そして、頻発するテロ。もはや旅行先もアジアの時代だ。
2017.05.27
前回のダナン旅行、空港で買った、↓のココナッツクラッカーがとても美味しかった。見た目は、薄焼きせんべい。硬めの歯あたりは、せんべいと同じだが、味はココナッツの風味ふんだんで、噛めば噛むほどにほんのりとした甘さが広がる。それでいてしつこくなく、上品な味。ネット情報によれば、ベトナムではチョコレートやお菓子などは空港の免税店で買うより、町中のスーパーのほうが圧倒的に安いのだという。ラッキーなことに、今回のホーチミン旅行で泊まったホテル、ザ レヴェリー サイゴンは、有名な食品スーパーが入っているラッキープラザの隣りだった。ここにあの美味しかったココナッツクラッカーがあればいいなと行ってみることに。実際にラッキープラザに行ってみると、地上階(日本風に言えば1階)がマーケットのようになっていて、ものすごい客引きにあう。しかも、置いてあるモノは典型的な「安かろう悪かろう」の品や有名ブランドのニセモノ。恐れをなしてさっさとエレベーターで2F(日本風に言えば3階)に向かう。このスーパーは、万引きしたものを入れられるようなハンドバッグ類は、店内に入る前にロッカーに入れるように警備員に指示される。財布だけを持って店内へ。店内では日本語が飛び交っている。つまりお客の大半が日本人。ここまで日本人客が多い店は、今回の旅行ではオーセンティックとこのスーパーだけだった。日本でいえば銀座のど真ん中みたいな場所なので、地元民はあまり来ないのかもしれない。品揃えは豊富。見慣れたものも多いが、見慣れない菓子類や食材も多い。「あんまり得体の知れないものは買えないよなー」と、あっちのほうで日本語の声がする。みんな同じような感想を持つようだ(笑)。ココナッツ菓子コーナーに行くと…あった、あった。上品なグリーンのパッケージ。ベトナムでは、お茶のおともにいただくのだろうか? Mizumizuは、コンデンスミルクなしの、苦めのベトナムコーヒーと一緒に食べるのが好きなのだが。前回ダナンの空港で買ったときは、案外高かった。正確な値段は忘れてしまったが、800円? 900円? うろ覚えだが、そのくらいしたような気がする。ところが…!ラッキープラザのスーパーでは、ひと箱なんとたったの35,000ドン(175円)!!嘘でしょ? ダナンの空港では、「ベトナムにしては結構高いなあ、高級品なのかしらん」と思いながら買ったのに。今回の旅行はあまり移動がないので、大きめのスーツケースを持ってきたMizumizu。さっそく5つまとめ買いをする。スーツケースは空港で預けたので、中のクラッカーが粉々にならないかな、と少し心配したが、案外大丈夫だった。もちろん多少は割れたが、中はこんなふうに2枚ずつ包装されているので、問題なし。ベトナムで買うバラマキ土産に迷ったら、絶対にこれがオススメ。ホーチミンの空港内の免税店にもあるから、飛行機に乗る直前にも買えるが、値段はラッキープラザのスーパーのが安い。日本にはあまり入っていないお菓子で、味も良い。しかも、この味でこの値段は、信じられないと言っていい。嵩張るのが難点だが、空港で買うより町中のスーパーで買うほうがお得。ラッキープラザにお菓子のお土産を買いにいくなら、ぜひともお試しあれ。
2017.05.26
レストラン・ホアトゥック(ホーチミン)に行くときは、ハイクオリティな刺繍入りリネンで有名なベトナムのハイブランド、カトリーヌ・ドゥヌアル(CATHERINE DENOUAL )とセットで考えると分かりやすい。まずは位置関係を確認。右下の赤い〇で囲ったのがザ レヴェリー サイゴン・ホテル。上の青い〇で囲ったのがカトリーヌ・ドゥヌアル、赤いバツがホアトゥックだ。ホアトゥックは大通りに面していない。クルマの入れない狭い通路の奥だ。だからタクシーでレストランの正面につけられない。カトリーヌ・ドゥヌアルは大通りに面していて、店の入り口も高級感のある作りにしているので分かりやすい。地図で書くとこんな感じ。カトリーヌ・ドゥヌアル(CATHERINE DENOUAL )が見つかったら、店を背にして左側に歩く。するとすぐに左に入っていく狭い通路がある、両脇にはレストラン。その通路にはいくつかの飲食店が固まっているが、ホアトゥックは奥の左側だ。ついでに、カトリーヌ・ドゥヌアルも見るといいと思う。高級感のある麻に精緻な刺繍を施したベットリネンやポーチが並んでいる。ザ レヴェリー サイゴン・ホテルから十分歩ける距離だが、タクシーで行っても40,000ドン(200円)前後だった。ただし、例によって(?)、ホテルで頼んだタクシーは、わざわざ混んでるLy Tu Trong通りを行った。こちらが昼の40,000ドン・ルート。400,000ドン(2000円)ではないので桁にはくれぐれも注意。夕方ほど渋滞していなかったが、距離のわりに、ちょっと時間はかかった。おまけに右側通行だから、道路の向かい側に停めることになり、「ホーチミンで道を渡る」という、日本人にはややスリリングな行為をしなければいけない。最短ルートは、以下。この道で行けば、ホアトゥック側に停められるはずだ。ただ、これだとあまりに近すぎて、タクシーの運転手としては稼げないので、イヤなのかもしれない。ランチ時は、Ly Tu Trong通りの渋滞も知れているし、払ったのも200円程度だったので、別にこちらは気にしなかったが。夕方はLy Tu Trong通りはもっと渋滞がひどくなる。急いで行きたい人は、ホテルのボーイに上の赤いルートで行くようタクシーの運転手に伝えてもらうといいだろう。ただ、「あっちには行けない」とかなんとかテキトーなことを言って、Ly Tu Trongルートを選ぶかもしれない。まあ、そうなっても、マンダリン・レストラン(地図上右上の赤いポッチ)よりは街中に近いから、さほど心配する必要はないだろう。注:ホアトゥックの料理については昨日のエントリー参照。この記事は2017年4月現在のもの。カトリーヌ・ドゥヌアル(CATHERINE DENOUAL )もホアトゥック(Hoa Tuc)も移転や閉店の可能性もあるので、実際に行くときは、最新の所在地情報を確認してください。
2017.05.25
Mizumizu母がホテル(ザ レヴェリー サイゴン)でガイドブックを見ていて、「これ食べたいね」と言ったことから行くことになったレストラン、ホアトゥック(Hoa Tuc)。もちろん、ホテルのコンシェルジュに予約をしてもらい、食べたいと思った料理があるかどうかを確認して行った。大通りから通路のようになった道の奥にある、ホアトゥック。コロニアルで優美な雰囲気抜群。昼間は暑すぎるためか、外のテラス席に人はいなかったが、中に入ってほぼ満席なのに驚く。予約しておいてよかった。日本人にも人気だというが、この日のランチのお客はほぼ白人オンリーで、それにも少し驚いた。こちらが、Mizumizu母がガイドブックで写真を見て「食べたい」と言った、スイートポテトとエビのかき揚げ(英語の表記ではpancakeだそう)。ポテトのカリッとした触感、エビのプリッとした触感、野菜のしなやかな触感。それぞれの味とのハーモニーも秀逸で、スイートチリソースとの相性もバッチリ。大いに気にいる。定番の生春巻きは、実は個人的には微妙。やたら大きくてボリュームがあるのだが、硬くて食べにくい。ついてきたピーナッツソースも何となくボヤけた味。これは明らかにフランス人好みのボンヤリ感だ。これなら日本のヴェトナム・アリスの生春巻きでいいです(笑)。エビそのものは美味しくて堪能したのだが、バイン・ベオを注文するつもりで、バイン・セオを頼んでしまい(苦笑)、しかもホアトゥックのバイン・セオは丸ごとのエビを贅沢に使ったもので、これ自体は美味しいが、添えられている野菜がスイートポテト&エビのかき揚げ(pancake)と同じ。3品とも全部エビ中心の、同じような味のものになってしまったのが失敗。ごはんものを頼むなど、もうちょっとバランスを考えるべきだった。ベトナムと言えば、クレームカラメル(プリン)。ということで、デザートに頼んだプリンは正解。欧米人好みでがっつりと甘い、そして薫り高い。口当たりはしっとりとしていて、マンダリン・レストランのものとは、「同じプリンでもここまで違うか」というぐらいの個性が楽しめた。しかし、ここも飲み物はいたって普通だった。お値段のほうは、ライムジュース 35,000ドン(175円)ウーロン茶 45,000ドンクレームカラメル(プリン) 55,000ドン(275円)バイン・セオ 145,000ドン(725円)生春巻き 155,000ドン(775円)スイートポテトとエビのかき揚げ(pancake) 155,000ドン(775円)小計 590,000ドンサービス料5% 29,500ドン付加価値税(VAT) 10% 61,950ドン合計 681,450ドン(約3400円)JCBのクレジットカードも問題なく使えた。なぜか白人に人気のレストランだが、十分に行く価値あり。地図上で見ると、通路の奥なのでタクシーで店の前につけられないし、ネットで見ても「場所が分かりにくかった」という声があるようなので、明日のエントリーで迷わずに行けるように行き方を解説しましょう。
2017.05.24
オーセンティック本店から出て、すぐ右にあるハーフン・スーベニア・ショップ。入り口は狭いが、奥行きのある店舗に、ランチョンマットやきんちゃく袋といった刺繍製品がお手頃価格で売られている。入ってみると、奥でオバちゃん2人が、客への対応そっちのけでくっちゃべっていた。オーセンティックとは何という雰囲気の違い(笑)。しかし、置いてるモノは、けっこうリーズナブル。ワンポイント刺繍も多く、「ちょっとしたお土産」には良さそう。まさに「スーベニア・ショップ」だ。ガイドブックでよく見かける、↓の下着用ポーチはここで売られている。これは168,000ドン(840円)だった。写真のポーチがしわくちゃなのは、ベトナムから帰国後、一回国内旅行で使ったため。非常に薄い麻で嵩張らないのだが、裏がついていないので、すぐしわしわになる。トラベルグッズなので、しわになるのはそれほど気にならない。この丸みを帯びた形とくるみボタン留めというのが気に入って、ガイドブックの写真を見てから1つ買いたいと思っていた品だった。刺繍の模様もダークブラウンの地色も、正直言うといまいち好みではなかった(笑)のだが、他も同じような下着デザインの刺繍で、しかも大きさがまちまちで、気に入ったサイズのものがこれしかなかったのだ。旅行の時に、下着類を「中の見えないポーチ」に入れたくて、これが使いやすいだろうと思って買ったのだった。が…実際に使ってみると、ボタン留めが案外面倒くさい。おまけにボタン1つで留めてあるだけだから、例えば靴下なんかを入れると、脇のほうからポロッと出てきてしまう。まー、下着類の区分用としては、薄くて嵩張らないし、スーツケースに入れるトラベルグッズとしては、まあまあってところ。使用感に対する追記:上の感想を書いてから、さらに国内旅行で使ってみたが、これはこれで薄い服や下着などをまとめて入れるのには使い勝手がよいと思い始めた。ボタン留めも慣れれば別に面倒ではない。使い勝手としては、ニンクーンで買った、↓のほうがよかった。濡れた水着を入れられるように、ということで、wet swim suitsというミシン刺繍。中はビニールの裏がついていて、ファスナーで閉じる。水着入れとしては小さすぎるのだが、旅先でちょっと濡れたものを入れたり、あるいは旅から帰ってすぐ洗濯する下着などをまとめて入れておくのにちょうどいい。裏がついているのでシワにもなりにくい。布のアップリケと刺繍の絵柄は、正直、幼稚園のバザーでどっかのお母さんが手作りした、ってレベル。同じニンクーンでも、ピローケースの精緻な刺繍とは雲泥の差。でも、179,000ドン(900円)という値段を考えれば、まあ、そんなものか。と、実はここからが本題なのだが、ハーフン・スーベニア・ショップで買った、上のダークブラウンに派手な刺繍の下着用ポーチ。ホテルに帰って包装してあったビニール袋から出してみると…なんとなんと、一部破れている! 大きなものは1か所だが、左側の小さな穴も虫食いのようでアヤシイ。破れているところを指で開くと、もはやりっぱな穴になる(涙)。店内はあまり明るくないし、初めからビニールに入っていたので気づかなかった。市場のようなところでは、よく汚れたり破れてるものを売ってると聞くが、こういう店でもそうだとは!ハーフン・スーベニア・ショップでお買い物をする皆さん、ビニールに入っていても、買うなら、できれば店員に断った上で、ビニールから出してしっかりチェックしたほうがいい。ついでに、ボタン部も、一回使ったら糸がビローンと出てきた(笑)。「糸ビローン」はベトナムモノには、実はよくある。これは、まぁ切ってしまえばいいことだし、多少そういう難はあっても安いのがベトナムのお土産の魅力だともいえる。気になる人は、最初から「糸ビローン」でないか、縫製部や刺繍の始末をよくチェックしよう。ハーフン・スーベニア・ショップでは、チェックは特に念入りに。1 穴が開いていたり、一部破れていたりしていないか2 色落ちや汚れがないか3 糸の始末はどうかこの3点だ。ビニールに入っていると返って分かりにくい。包装してあるからといって、上の3点をクリアしているとは限らないということ。
2017.05.23
普段愛用しているエアウィーヴ ピローS-LINE。もうこれ以外の枕は考えられない、というくらいお気に入りなのだが、1つ不満が。それはピローケース。枕のサイズが、幅66cm、長さ40cm、厚さ7~11cmと特殊なため、専用のエアウィーヴピローケース以外でサイズが合うのを見つけるのが難しい。しかも、専用のピローケース、タオル地とメッシュ素材のものがあるのだが、タオル地のほうはちょっと厚ぼったく、メッシュ素材のほうは肌触りが好みでない。しかも、このメッシュ素材のピローケース。たいして長く使っているわけでもないのに、こんなふうに、サイドの縫製が破れてきた(怒)。通気性と吸水性に優れているといううたい文句なのだが、どうもこういうハイテク素材はMizumizuの肌が嫌がる。何というか、皮膚になじむ感じがなく、滑ってしまう感じ。洗ってもすぐ乾くしシワにもならないが、それよりもMizumizuにとって大事なのは触感なのだ。そのうえ耐久性に難あり。3,456円という値段のわりに満足度の低いピローケースだった。Mizumizuは、服でも徹底した天然素材派。夏ならコットンやリネン。冬ならカシミア。シルクも大好きだ。扱いは化繊より面倒だが、自分の肌感覚には逆らえない。今回ホーチミンに行くにあたり、ネットで事前に調べたら、ニンクーンに、お手頃価格のコットンの刺繡入りピローケースがあるよう。実際にニンクーン本店に行ってみたら、ありました。白っぽい、ヨーロッパ人が好みそうな上品な抽象柄の刺繍のものと、いかにもベトナムチックな、カラフルな具象柄の刺繍のもの。ベトナムの思い出に買うのだから、やはりベトナムチックなほうがいい。農作業を描いたシリーズと結婚式の様子を描いたシリーズの2つがあり、2枚1セットで999,000ドン(約5,000円)。1枚2,500円。刺繍がとても愛らしく、個性的だ。農作業モノと結婚式モノは1枚ずつにしてもOKだと言われて非常に迷うが、結婚式モノの絵柄は同じだが、主役の新郎新婦以外の人物の衣装の色が違い、それがカワイイ。2枚の絵柄を上下に並べて比べてみると…右端に写っている(実際の枕カバーではこの柄が中央に来る)日傘をさしかけられている男女が新郎新婦。新郎新婦の右側に刺繍された付き添いの人たち。絵柄は基本同じなのだが、色が違う。そこで結婚式の絵柄2枚を選んで購入。コットンの織りもしっかりしていて、気持ちよさそうだ。縦横のサイズはエアウィーヴ ピローS-LINEに合っている。ただ、エアウィーヴ ピローS-LINEは厚みがある分、どうかなと思ったが、背面がボタン留めになっているので、たぶんこれを留めなければ厚みがあっても入るだろうと考える。実際にエアウィーヴ ピローS-LINEで使ってみたが、物凄く気に入った。こんなふうに刺繍があるのは上部だけなので、寝るときは顔に触れない。だから、刺繍の厚みを邪魔に感じることはない。ピュアコットンなので、洗濯をするとシワになり、アイロンがけが必要になるが、Mizumizuは案外アイロンがけが苦にならない人間。どうしても面倒なら、シワのまま使ったって、別に自分の枕カバーだし。専用のメッシュ素材のピローケースよりずっと肌に合う。何より動きのある、そして素朴な刺繍が可愛らしく、楽しい気持ちになれる。厚みはやはり思ったとおり。背面のボタンは留めずに、こんなふうに開いた状態で使っている。でも、それは裏だし、この状態でぴったりなので、ピローケースが変に動くこともなく、快適。今回のホーチミンの買い物で、一番役立つものだったかもしれない。毎晩ベトナムの旅の思い出とともに眠りにつける。自分への最高のお土産になった。
2017.05.22
ホーチミンで絶対オススメの店、オーセンティック本店(行き方は昨日のエントリー参照)。ホームページを見た限りでは、セラミックに力を入れているような感じだった。たしかに、オシャレだが、どこか懐かしい陶磁器が多く陳列されていた。しかし、テキスタイル商品も極めてデザイン性が高く、ハイクオリティ。こちらがMizumizuお買い上げのペンケースとキーケース。実はMizumizuはポーチマニアと言ってもいいかもしれない。バッグも好きなのだが、いわゆる「ファスナーで中がたくさん区切られてる」バッグは嫌い。通販なんかで、「ホラ、ここにも、ここにもファスナーが!」「これは便利ですね~」「ハイ。たくさん入りますよ~」などとやっているのを見るとウンザリする。1つのバッグだけを恒久的に使うならまだしも、Mizumizuのように服によって持ち歩くバッグを頻繁に替える人間にとっては、バッグがやたらファスナーで区切られていたら、どこに何を入れたか分からなくなるのでイヤなのだ。それより、「財布はこのポーチ」「薬はこれ」などと、ポーチで使い分けたほうが絶対に便利。バッグを替えるときも、ポーチごと出して入れ替えるだけにしておけば、入れ忘れも防げる。だから、バッグはなるたけ中が仕切られていないシンプルなものを選び、ポーチを大小いろいろと持つようにしている。オーセンティックで買ったペンケースは、臨時の眼鏡入れにもなるし、レシート入れにも使える。今は外出時のスマホ入れとして活躍してくれている。ざらっとした手触りも魅力の、赤く染めたリネンに、横長に伸びたチューリップの蕾(らしい)のデザインが上品。花びらの描き方には、「静」でありがなら、「動」のニュアンスもある。モチーフの配置も含め、よく考えられていると思う。縫いも巧みで丁寧だ。上部には光沢のある素材を使い、マットなレッドカラーとのコントラストをつけている。こちらはキーケースにもなるが、Mizumizuはもっぱら旅行先に持っていくアクセサリー入れとして使っている。ややいびつな半月形のデザインが、素朴なようでいて、なかなかにアバンギャルドだ。絵柄もどこか童心を感じさせるモダンなもの。キャンバス地の黒と、薄いコットンのオレンジの布のコントラストも大胆。鳥がモチーフだが、デザイン化された渦模様のエンブロイダリーがしゃれている。双方とも、もちろんちゃんと裏地もついていて、赤いペンケースのほうはダークブラウン単色、黒いキーケースのほうはブラック&グレーの曲線模様。値段は赤いペンケースが230,000ドン(1,150円)で、黒いキーケースが150,000ドン(750円)。クオリティを考えると極めて安い。会計時に、1つ1つ丁寧に包装してくれる。店員の応対の丁寧さもホーチミンで指折りだった。上階は洋服のセレクトショップになっていて、Mizumizuはここで黒のリネンのズボンを、Mizumizu母はシルクのワンピースを買った。リネンのズボンは、ジャストウエストで、フロントのウエスト部分に花柄のオープンワークが入っている。いかにもベトナムらしいチラ見せのデザイン。太もも部分がゆったりとして裾がしぼってある乗馬スタイルで、履きやすく、足長効果もある。織りも非常に密でしっかりしている。日本に帰ってきて無印良品のフレンチリネン(←自称ね)製品を見て、そのヨレヨレの粗い織りに軽いショックを受けた。シワは確かにリネンの魅力だが、日本で出回ってる粗悪なリネン商品のそれは、作りが悪くて新品のうちからヨレてるだけ。あんな薄いリネンじゃ、紫外線をもろに通してしまう。ホーチミンで買ったリネンは950,000ドン(4,750円)。値段は、無印良品とさほど変わらないが、質は段違いに良い。また、よく見ると裾の外側の部分に少し切れ込みが入っている。アオザイのスカートの両脇の切れ方からインスピレーションを得たような、ベトナムチックなカタチだ。この部分は折り返してもイイ感じ。Mizumizu母お買い上げのシルクのワンピースも、落ち着いたべージュ地に墨絵のような絵柄が入っている珍しい逸品だった。こういうものが見つかるから、ベトナムで洋服を見て歩くのは楽しい。
2017.05.20
ホーチミンで一番オススメのファッション・雑貨店を1つだけ挙げるとしたら、それはオーセンティックだろう。この店は実に日本人好み。日本人がベトナムの手仕事品に求めるものにズバリ応えている感じだ。厳しい日本人の目から見ても、十分に質が高い。だが、「上質過ぎる」ことはない。芸術品の域に達している手仕事品やヨーロッパブランドのようなラグジュアリーなもの――ただし値段も飛び切り――なら、日本や欧米で買う。日本人がベトナム土産に求めるのは、「手ごろなお値段以上の上質感が得られ、感覚が日本とまた一味違う、エキゾチックな南国ならではのデザインのもの」ではないだろうか。もし、この考えに同意するなら、オーセンティックはベストな店。ここより上等なものを扱っている店もあるが、「えっ」と思うぐらい高い。Too good to useではなく、普通に使えてオシャレ感のあるものが見つかる店。それがオーセンティックだ。オーセンティックは、ホテル(ザ レヴェリー サイゴン)のごく近くにも支店があるのだが、ここは品揃えがイマイチ。やはり本店に行ったほうがいい。オーセンティック本店は日本人御用達ショップらしく、お客の大半が日本人だった。今回ホーチミンで一番日本人を見た場所かもしれない。そして、店全体のレベルとしてはオーセンティックにはかなわないが、今回Mizumizuが非常に気に入った刺繍入りコットンのピローケース(枕カバー)を売っていたのが、ニンクーン。子ども向けの刺繍製品が多い店として有名な店。ニンクーンもホテル至近のドンコイ通りに支店を構えている。だが、本店のほうが品揃えが豊富。やはり本店に行くべき。この2店とホテルの位置関係を見てみよう。赤の×がオーセンティック。青の×を〇で囲ったのがニンクーン。同じブロックにある。ホテルから十分歩ける距離だが、タクシーで行っても日本円で200円もしない。ホテルからはニンクーンのほうが近いので、まずはニンクーンへ行ったMizumizu+Mizumizu母。そこからオーセンティックに行くには…まずニンクーン(青で囲ったところ)を出て、左側に進む。すると、ブロックの角に行く前にすぐに左に入る細い路地があるので、そこを入る。路地の突き当りで左の建物に入る。そこは地元民向けの市場のようなところなので、そこを抜けて大通りに出る。出たら右へ行って角を曲がる。しばらく歩くと着く。ついでと言ったらなんだが、オーセンティックを背に右にちょっと行くと、ハーフン・スーベニア・ショップ(Ha Phuong Souvenir Shop)がある。上の緑の×のあたり。なんとなくオーセンティックに来るお客のおこぼれを狙っているような感じで、狭い店だったが、バラマキ土産にぴったりの嵩張らない刺繍製品が見つかる。ただし、欠陥商品も売られている(詳細は後日)ので、たとえビニールに入っている商品でも、注意。この3店は同時に回れるし、この3つを回れば、ベトナムの刺繍モノはかなりもう十分だと思う。ドンコイ通りやその周辺には、もっと安い店もあり、もっとエキセントリックなモノを売っている店もあるが、一番時間を有意義に使えたのが、この3つの店のあるブロックだったように思う。もちろん好みの問題もあるが。それぞれの店の商品については、また次回以降に。注:この所在地情報は2017年4月のもの。ホーチミンのファッション・ライフスタイル雑貨関連の店は、移転や閉店も多い。行くときは必ず最新の情報をホームページ等からゲットしてください。
2017.05.19
ホテル(ザ レヴェリー サイゴン)のコンシェルジュでマンダリン・レストランのディナーを予約してもらい、タクシーを呼んでもらったMizumizu+Mizumizu母。ややボロッちいタクシーが来て、ホテルのボーイが行き先を説明してくれ、ドライバーの番号を書いたホテルのカードももらい、安心して乗り込む。ところが!地図で見たら近いハズなのに、道がえらい混んでいてタクシーは全然進まない。おかしい…なんでこんなに混んでる道を通ってるのだろう? 街の中心を走っているが、地図で見たら、マンダリン・レストランはどっちかというと川に近いあたりにあるはず。もしかして、行き先を間違えてないか?後部座席から、地図を片手に必死にタクシーのナビをのぞき込むMizumizu。ナビには統一会堂のある、尖ったような特徴的な緑の敷地が映し出されており、それがじょじょに左に移動していっているから、どうやら方向は間違ってないらしい。乗っていた時間は、もしかしたら30分を超えるかもしれない。渋滞だからしょうがないのかな… と半分諦めながらも、かなり不安な気持ちに。メーターは予想外に上がっていく。60,000ドン、70,000ドン…「渋滞でこっちもイライラしてますよ」と言わんばかりにやたらと舌打ちするタクシードライバー。直感的に、なんか、態度が変!と思うMizumizu。地図で見た限り、距離とこれまで行った目的地からの比較で考えても、40,000ドン(200円)あれば十分行くだろうと考えていたのだ。タイのバンコクでもあった話だが、わざわざコイツ、混んでる通りを選んだんじゃないの? 疑いの念がムクムクと湧き上がる。それでも地図とナビを照らし合わせると、目的地に近づいているのは間違いない。「ずいぶん(時間)かかるねえ」「でも、まあ百(100,000ドンのこと)はいかないと思うよ、もうそんなに遠くないはずだし」車内でヒソヒソと会話する母と娘。渋滞してる道を抜けて、ぐるぐるっと回り、細い路地に入ってしばらく行ったところでタクシーが停まる。メーターは78,000ドン(390円)。しかし!「えっ? レストランはどこ?」停まったのは、「なぜか」レストランを過ぎて少し行った薄暗い場所だったのだ。「あっち」と後方を指さすドライバー。分かってるなら、なんで正面につけないのよ?だいたい、目的地から少し離れたところで停まるタクシードライバーは後ろ暗いことしてる証拠だ。レストランの真ん前にはつけられないこともあるが、マンダリン・レストランの場合は、そんなに離れなくてもちゃんと車はつけられた。暗い車内で、桁を間違えないように、しっかり「0」を2つ隠しながら、目視で確認しつつ、Mizumizu母にも確認してもらい、80,000ドンを出し、普通ならお釣りは要求しないのだが、どーもこの運転手、道の選択が変だし、態度も変だし、正面につけないし、気に入らないので、「Change!」と冷淡に言い放つMizumizu。一瞬、「あぁ~~??」と不満そうな声を出したが、「Two!(2,000ドンのこと)」とキツい調子で言ったら、ちゃんと2,000ドンを出した。暗い路地を少しだけ歩いて戻り、レストランに入ると、そこは別世界。心地よい生演奏が流れ、感じのよい笑顔が迎えてくれる。吹き抜けになっている室内。案内された席からベトナムの伝統楽器の奏者が見えた。落ち着いた、瀟洒なインテリアの中で最高のベトナム料理に舌鼓(の記事はこの前のエントリーに)。そして、帰路につく。レストランのウエイトレスにホテルのカードを見せて、タクシーを呼んでくれるように頼むと、すぐに「来ました」と言われる。門の正面にタクシーは待っていて、すぐに乗り込む。帰りも時間かかるのかな? と少し不安だった。が!タクシーは暗い路地を出て川沿いを走り、なんとなんと、あっという間にホテルのあるブロックに着いたではないか!「ホテルのあるブロック」と書いたのは、その日の夜はホテルの前の、人民委員会庁舎に向かうNguyen Hue通りが歩行者天国になっていて、入れなかったからだ。メーターは24,000ドン(120円)。行きの3分の1だ。30,000ドン出して、「シックス」と言ってみたが、5,000ドンだけお釣りが来た。別に文句はないので5,000ドンもらって降りる。「目と鼻の先じゃない!」呆れたように声を上げるMizumizu母。謎解きをしてみよう。下のブルーの線が帰りのタクシーが使ったルート。黒いバツがタクシーが停まってくれた場所だ(赤い〇がホテル。赤い↑で示したNguyen Hue通りは人民委員会庁舎に向かう一方通行)。で、行きの「わざわざ渋滞にはまる道」を選んだタクシードライバーが使ったルートは以下の黒ライン。もしかしたら、薄い青ラインまで回ったかもしれない。このルートはダメ! という意味で赤いバッテンを大きく書いておいた(笑)。ホテルでタクシーを呼んでもらうと、人民委員会庁舎に向かう一通のNguyen Hue通りに出ないといけない。そこを悪用(?)して、わざわざ最も混んでる街中を通ったということだ。マンダリン・レストランに行くのに、上のルートは最悪だ。特にLy Tu Trong通り(一番長く直線で通った道)夕方はものすごく渋滞する。正しくは、以下の赤いルートのように、人民委員会庁舎まで行かずにすぐに右折して、川沿いに行けばいいのだ。ザ レヴェリー サイゴンに泊まってマンダリン・レストランに行く方は、これをホテルのボーイに見せて、「Along the river」で行くようにドライバーに言ってもらうといいだろう。値段だけを考えれば、混んでる通りで行っても日本円で390円だったのだから、神経質になる必要はないといえばないが、時間がかかりすぎる。わざわざ時間がかかる道を選ぶドライバーに、わざわざ高い料金を払うのも不快だ。実際、ホーチミン空港に行くとき、旅行者が手配してくれたドライバーは、このalong the riverルートを通り、街の中心部を避けた。そうしたら、なんとたった30分(夜の9時にホテル出発)で空港に着いたのだ!ホーチミン空港から来るときは、街中ルートを通り、「あれが教会」「あれがオペラハウス」と観光名所をガイドさんが教えてくれて、楽しめた。渋滞は少しあって時間はかかったが。目と鼻の先のマンダリン・レストランに行くのとホーチミン空港に行くのが時間的に変わらないって… 滞在わずか3日のMizumizuでも、街中ルートと川沿いルートのカラクリ(笑)に気づくのに、プロのドライバーが知らないワケがない。こういう体たらくだから、ホーチミンのタクシーは評判が悪いのだろう。最初に着いたとき、ガイドさんが、「タクシーは運転手さんによるんですよね。でも、安いから」と言っていたが、市内の移動に関しては、「確かにそうだな」と思う。桁さえ間違えなければ、わざわざ渋滞にはまる道を選ばれても、多少遠回りされても、100,000ドン(500円)もいかないから、それほど心配することはない。一番怖いのは、やはり空港からのボッタクリだろう。http://travelholics.blog.jp/archives/28376185.htmlこちらのブログにも書いてあるが、夜つく女性ひとりとなると、鴨ネギ状態だということを日本女性はしっかり認識しよう。世界には、日本ほど安全なところはめったにない。弱い者、無知なる者がカモにされる。それが世界の常識なのだ。どうしてものときは、やはりぼったくられても、命のほうが大切なので、払ったほうがいい。この方もぼったくられたと言っても、日本円で2500円。ベトナムはこの程度だから、その意味でかなりマシなほうだ。
2017.05.17
ホーチミンでナンバーワンの呼び声も高いレストラン、マンダリン。今回ホーチミンで何軒か有名レストランに行ったが、Mizumizuにとってもマンダリンがナンバーワンだった。揚げ春巻は、まさに絶品(しかし、撮った写真は、失敗)。薄い衣のサクッっとした軽い舌ざわり。スイートチリソースといただくエビのおいしさ。その他の具との繊細で複雑なハーモニー。揚げ物なのに、まったくしつこさがない。こちらは「蓮の実ごはん」。蓮の葉に包んで蒸した米料理で、それだけ聞くと「ちまき」だが、中のごはんは、さらっとしていて、色からしても見た目はチャーハンのよう。ウエイトレスが日本語で「チャーハン」と言ってきて、「えっ?」と思ったが、炒めていないから、チャーハンではない。味付けは上品で、具材も多からず少なからずで良いバランス。蓮の実は、見た目はヘーゼルナッツのようだったが、固くなく、ほっこりとしたやさしい歯ざわりだった。生春巻きも美味しいそうだが、ランチに別のレストランで生春巻きを食べてしまっていた。揚げ春巻きと蓮の実ごはんで、お腹はいっぱいに… ああ、残念!だが、デザートは別腹。ベトナムと言えばプリン(クレームカラメル)。マンダリンのプリンは、素朴な味付で、インパクトはないのだが、ジワジワと素材の美味しさがしみてくる。手作り感あふれる逸品だった。お皿の染付もいかにもベトナム、で統一。お値段のほうは、日本の感覚で言えばまだまだ安いが、ホーチミンの他のレストランに比べるとずいぶん高かった。しかし、ベトナムの伝統音楽の生演奏付きだし、サービスもGOOD。行く価値は十分ある。ホーチミンに来たら、MUST GOのレストランだ。ちなみに、お値段は…ウーロン茶と蓮茶 各50,000ドン、2つで100,000ドン(500円)揚げ春巻き 220,000ドン(1,100円)蓮の実ごはん 250,000ドン(1,250円)クレームカラメル 90,000ドン(450円)、2つで180,000ドン(900円)ベトナムコーヒー 79,000ドン(395円)小計 829,000ドンサービス料 7% 58,030ドンタックス10% 88,703ドン総計 975,733ドン(5,367円)しかし、マンダリンは飲み物は普通。プリンと一緒にベトナムコーヒーを頼んだが、コンデンスミルクを使わず、そのまま飲ませる。粉はアラビカ種のようで、上質感はあったが、味はいたって普通。まあ、日本に美味しいコーヒーが溢れているせいもあるだろう。最初に頼んだ蓮茶とウーロン茶はティーバックで出てきたのだった(笑)。ホーチミンは下水事情が悪いようで、レストランのトイレは軒並み「トイレットペーパーは流さずにビンに入れてください」と注意書きがあり、ふた付きの容器が脇に置いてある。マンダリンのような有名レストランも事情は同じだった。これにはちょっと驚いた。ホテルでは気にせずペーパーごと流していたが、そういうホテルのほうが例外的らしい。日本では当たり前のことが、まだまだ当たり前でない国も多いということだ。
2017.05.10
それはホーチミンに着いた、その日の午後のこと。ホテルでゆっくりしたあと、ちょっとショッピングをして、ホワイトローズを食べにホイアン・クアンへ行くことにした。ホテルのコンシェルジュでホイアン・クアンの予約をしてもらい、「ショップに寄ってから、行くから」と言うと、「タクシーの手配はショップで頼むといいです」とのアドバイス。そうするつもりだと答えて、ホテルを出発。The House of Saigonという雑貨のセレクトショップへ。タクシーでホテルから40,000ドン(200円)ぐらいだった。The House of Saigonは思ったより狭く、上階にはカフェもあるという話だったが、なかった。だが、品揃え、質ともになかなか良くて、小物類をちょこちょこと購入。若い女性店員が一生懸命対応してくれたのも、好印象。程よく夕方になってきたので、女性店員にタクシーの手配を頼むと、それまで座ってばかりだったボスと思しきオバさんが出っ張ってきて、どこへ行くのかと聞いてくる。ホイアン・クアンだと住所と電話番号を書いたメモを見せると、「私の家の近く。歩ける」などと言い出す。歩ける距離だということは分かっているけれども、Mizumizu母は足の状態があまり良くないし、気温も30度越えでとても暑い。タクシーで行きたいと主張すると、「book(予約)してあげる」と、どこやらへ電話をかけ始めた。そして、「フィフティ・ドン(50,000ドン)」だと言う。このオバさん、ずっと座ってばかりだが、声はデカくて押しが強そう。若い女性をアゴで使っている雰囲気プンプン。事前に値段を言うなんて、ちょっと変だなと思いつつ、まあそのくらいなら別に構わないので、一応、「USドルじゃなくて、ベトナム・ドンね?」と確認して、手配を頼む。で…結構、待たされた。The House of Saigonは賑やかな通りに面しているので、別に自分でタクシーを拾っても問題なさそうだったが、初日だったし、ホテルのコンシェルジュのアドバイスもあったし、店の人も手配してくれると言うし、雑貨類を見つつ、待ちましたよ。タクシーが来たと言われて、店員さんたちに誘導され、乗り込むと、なんとメーターがない(笑)。ベトナムのタクシーはほぼナビ搭載なのだが、ナビもなく、スマホをくっつけてナビがわりにしてる。明らかに白タクじゃん!乗る直前に、若い女性店員に、「フィフティ・ドン?」と念を押すと、「About…」と微妙な答え。座ってばかりだったオバさんが、店の外まで出っ張ってきて、ドライバーの男性に何やら道順を説明している。明らかに…親族かよ、アンタら。しかし、別に危険な雰囲気はないし、50,000ドン(250円)の固定レート(あるいはそれよりちょっと上乗せされたにしても、70,000ドンはいかないだろうし)で連れて行ってくれるなら別にいいやと、そのままお任せ。運転は丁寧で、大きな道を順調に進む。ちょっと位置関係を確認しておこう。右側にThe House of Saigonがあり、ホイアン・クアンは左側の赤ポツを黒で囲ったところ。道順はこんな感じ↓で、それほど難しくはない。が!この白タク、大きな通りから左折してしばらく行った、明らかに店の前ではない場所で、突然車を停めてしまったではないか!あとから調べて分かったことだが、その場所はホイアン・クアンから遠くはなかった。大きな通りからU字の通りに入った、そのU字の「底」の、下図で「X」したあたりだった(つまり、あとは道を右に曲がり、最初の角を右に行くだけ)のだが、その時は全然、右も左も分からない。周囲は暗くて、バイクはびゅんびゅん走ってるが、怖い雰囲気だったのだ。白タクの運ちゃんは、いたってお気楽な感じで、なんだかんだMizumizuたちに言うのだが、この人英語が話せないので、こっちには分からない。「近くまで来てるけど、分からなくなっちゃって」ぐらいの雰囲気だ。こっちは、そんなお気楽な気分にはなれない!険しい表情で、「確かめて、ちゃんと連れて行って!」と英語でまくしたてるMizumizuを見て、スマホで電話する運転手。そして、スマホをこちらに渡す。例の声のデカいおばちゃんがスマホの向こうで、「あ~。もう遠くない。歩ける」などと説明を始める。はあっ!?歩きたくないからタクシーを頼んだっちゅーの。勝手に親族に(←と決めつけてるが、事実は不明)お小遣い稼ぎをさせるためにタクシーに仕立てて、目的地に着きもせずに、歩けってどーゆーことよ!ブチ切れて、「私たちは歩けない! タクシードライバーは行き方を知らないじゃないの! とても暗い! 6時半に予約してあるのに! レストランに電話して!」とヒステリックにオバちゃんに叫びまくる。押しの強いオバちゃんも、Mizumizuの勢いには負けたのか(笑)、「ドライバーにかわって」と言うのでスマホを渡す。運ちゃんに何やら説明している様子だが、「分っかんないよー」とでも言ってるふうな運ちゃん。全然クルマを動かす気配はない。こちらもそのまま後部座席で待つ。暗い車内で待ってる時間は、ひどく長く感じた。すると、オバちゃんから連絡が行ったのか、レストランのオーナーの女性が迎えに来てくれた。予約しておいてよかった。実は彼女がレストランのオーナーだと分かったのは、クルマを離れて歩き出してからだ。この時は、通りがかりの親切な女性が助けてくれたのかと思っていた。こんな白タク、冗談じゃないわ!お金を出さずにクルマから脱出するMizumizu。(オーナーの)上品な女性が、運ちゃんから何か言われて、「Money?」と英語でこちらに聞いてくる。完全に頭に来ていたMizumizu、「ショップに言いなさいよ。私たちはレストランにいるから」と英語で言うと、そのまま通訳してくれる(オーナーの)女性。運ちゃんはちょっとねばって、なんだかんだ言っていたが、「あとで」「ショップに聞け」「私たちはレストランにいる」とMizumizuが繰り返し、(オーナーの)女性がベトナム語で通訳すると、厳密に言えば不法となる「臨時のお小遣い稼ぎ」は諦めたようだった。というわけで…白タク、踏み倒し!一度でも来たことがあれば、確かに十分歩ける近さだったから、今回のように怒りに任せて踏み倒しまではしなかったかもしれないが、右も左も分からない状態で、暗い道に停められ、感じた不安感は半端ではなかった。救いは、運転手が明らかに一般の小市民で、悪い人物に見えなかったこと。The House of Saigonもぼったくりのあやしい店ではなかったことだ。しかし、タクシーを道で拾うのは危険だからと、店に頼んだのに、この始末…。あの座ってばかりの典型的オバさんときたら… 自分の家の近くだからって身内にお小遣い稼ぎさせようなんて考えず、素直に正規のタクシーを呼んだらいいじゃないの、まったく。というわけで、The House of Saigonでタクシーを手配するときは、「ビナサン」と指定すると良いかもしれない。ビナサンが完全に安全とは限らないが…何度も繰り返すが、ホーチミンのタクシーは安い。それに、人間も「ひどいワル」ではない感じだった。ヨーロッパの一部のタクシードライバーのほうがよっぽど悪辣だ。桁さえ間違えて払わなければ、それほど心配することはないと思う。
2017.05.09
前回のホイアン旅行で、気に入ったホイアン名物ホワイトローズ。日本に帰ってきて食べたいと思っても、案外ない。今回ホーチミンに行くので、「そこらのレストラン」で食べれるのかと思いきや、これまた案外ないことを、ネットで調べていて知ることに。だが、まったくないわけではない。今回Mizumizuたちが行ったのは、ホイアン・クアン(HOI AN QUAN)という店。ホイアン・クアンという名の店はいくつかあるようだが、住所が285/94A Cach Mang Thang Tam, P.12, Q.10, TP.HCM電話:(08)5404-5505なのでお間違えなく。ホテルのコンシェルジュに予約してもらい、わざわざホワイトローズ(ベトナム語では「Banh Hoa Hong Trang バイン・ホア・ホン・チャン」と言うらしい)のお取り置きをお願いした。「何ポーション欲しいのか(ポーション=皿)」と聞かれたので、「2ポーション」と答えるMizumizu。結果的に2人で3皿頼んだのだが(笑)。このホイアン・クアンというレストラン、中心部からはちょっと外れていて、しかも道が案外分かりづらい。タクシーがもしかして迷うかもしれないので(その根拠は後日)、位置を頭に入れておくといい。まずは大きな地図で見てみよう。右端の黒丸で囲ったところがスーパーのLucky Plaza。その真横がホテル「ザ・レヴェリー・サイゴン」。赤の↓で示した一方通行の通りが名高いショッピングストリート、ドンコイ通り。黒の↑↓で示したのが、人民委員会庁舎前(緑で丸した建物)の2本の一方通行の通りだ。ホイアン・クアンの位置は左端の黒丸で囲ったところ。わりと距離がある。ここが「分かりにくい」のは、Cach Mang Thang Tamという大きな通りと、ホイアン・クアンに通じる285 Cach Mang Thang Tamという脇道があり、しかも、住所の285/94A Cach Mang Thang Tamというややこしさが示すとおり、285 Cach Mang Thang Tamという脇道がU字の「底」で右に折れて続き、店はその右に折れたすぐの右の道を入ったころにあるからだ。言葉で書くとわけがわからないと思う。詳しい地図を見てみよう。Cach Mang Thang Tamという大きな通りから、下にU字を書くように脇道がある。この脇道285 Cach Mang Thang Tam通りのU字の「底」のところを、ちょっと右に折れ、すぐ先の道を右に入った右側。285 Cach Mang Thang Tam通りのU字の「底」のところを右に折れないと、285 Cach Mang Thang Tam通りは283 Cach Mang Thang Tam通りと数字が変わってしまい、そのまま気付かずに行くと、また元のCach Mang Thang Tam大通りに戻ってしまう。ここが分かりにくいようで、レストランからタクシーを呼んでもらったときも、「着きました」と店に連絡が来て、店の外に出て直進してみたが、タクシーはいなかった。そこで店に戻り、店の人がタクシーに連絡してなにやら説明していた。Cach Mang Thang Tamという大きな通りからは下の地図に示した緑の矢印のように行けばいいのだ。Cach Mang Thang Tam大通りを、285 Cach Mang Thang Tam通りで左折。そのまま285 Cach Mang Thang Tam通りを進む。U字の底で右に折れるのが285 Cach Mang Thang Tam通りの続きで、右に折れずにU字の底から元の大通りに戻る道は、同じ道が「283」 Cach Mang Thang Tam通りになる。一度頭に入ればなんでもないのだが、初めてだと戸惑う路地だ。ちなみに、ホイアン・クアンからタクシーを呼んでもらって、ホテルまで帰るのに、夜8時ぐらいに混んでいる大通りを通って、30分ほどかかったように思う。料金は75,000ドンだったが、切り上げて80,000ドン(400円)払った。遠いといっても、その程度で往復できる。レストランはとても感じが良く。値段もリーズナブル。ホーチミンの中心部の有名レストランは白人だらけの店や日本人と白人しかいないレストランも多いが、このホイアン・クアンは、案外地元民が多かった。味のほうも、ホイアンで食べたものと大きな差はなかった。タレが多少単純な味だったかもしれないが。ホワイトローズをホーチミンで食べたいという人には心からオススメできる。中心部からちょっと遠く、初めて行く人には道がわかりづらいのが難点だが、上の地図を見ていったん道と位置関係を頭に入れておけばそれほど難しくはない。こちらがホワイトローズ。写真はレストランのホームページ(https://www.foody.vn/ho-chi-minh/hoi-an-quan)から。食べ方だが、タレを直接上からふりかけたり、タレにホワイトローズをつけたりする(餃子のように)のではなく、まずホワイトローズをテーブル横にある小鉢とスプーンの上にのせ、その上にタレをかけて、スプーンでいただくのがマナー(らしい)。確かにそうしないと食べにくい。タレには唐辛子が一片入っていて、タネを食べてしまったMizumizuが思わず咳き込む(笑)。すると追加でもう一皿頼んだときは、唐辛子を抜いてくれた。別にそこまでしてもらわなくても辛すぎるタレではないのだが、辛さが苦手な人は、タレが運ばれてきた時点で、唐辛子を取り出すといいだろう。ホワイトローズだけじゃ、さすがにあんまりなので頼んだカオラウ。こちらもホイアン名物の麺。野菜がたくさん入っていてヘルシー。食べ方が分からないMizumizuたちのために、ウエイターさんが、テーブルの上の調味料を足して混ぜ混ぜしてくれた。何の調味料を足してくれたのか、分からなかった(笑)。しかし、しっかり混ぜて食べるのだということは分かった。中心部の有名レストランのように混んでおらず、ゆっくり食べることができる。オーナーの女性は英語を話す。ウエイター、ウエトレスはあまり英語はできないようだが、そのかわり、とても物腰が丁寧で丁重。帰りはタクシーを呼んでくれ、タクシーが来たら教えてくれて、乗るところまで付き添ってくれた。良い店だった。お値段のほうは、ホワイトローズ3皿にカオラウ1つ。それに自動的についてくる冷たいお茶2つで281,000ドン(1400円ぐらい、サービス料とTAXこみ)。クレジットカードは何でも使えるということだった。Mizumizuが使用したのはJCBカード。サインの前にPIN(暗証番号)を聞かれるので、数字を思い出しておこう。ホーチミンではおしぼりとお茶は、手を付けなければ請求されないとかいう情報をネットで読んだのだが、Mizumizuたちはこのレストランでは気にせずおしぼりで手をふき、冷たいお茶をいただいた。ホーチミンでは案外ないホワイトローズ。食べてみたい方はホイアン・クアン(HOI AN QUAN)へGO!
2017.05.02
<昨日のエントリーから続く>ホテルの外観はタクシーのフロントウィンドウから見えるものの、かなり手前で停めた運転手。27,000ドン(135円)のところを40,000ドン(20,000ドン札2枚)出して、「テン、プリーズ」と言うMizumizu。お釣りは10,000ドンでいいから、という意味だ。ところが、この運転手、物凄い勢いでかぶりを振り、「ノー、ノー、ノー、セブン!」と叫ぶ。セブンというのは7,000ドン(35円)のこと。だから、細かい札は持ってないっちゅーの。それはさっきの「故障タクシー」の請求を踏み倒したところで、アンタ見てたでしょーが?「ノー、ノー、テン!」。Mizumizuもひるまず20,000ドン札2枚を手に強く言う。「ノー、ノー、ノー、セブン!」またも言い返すドライバー。そして、「なぜか」厚めの新聞紙を広げて、そこに何か数字を書いた…か、書く真似をし、その新聞紙をこっちに突き出しながら、「セブン! セブン!」となお大声を出している。厚めの新聞紙を広げてこっちに突き出すなんて、まるで、ヨーロッパのスリみたいだ。だいたい、目的地はここじゃないじゃん。ホテルの名刺を渡して、「もっと直進して…」というゼスチャーをしてみたが、室内灯をつけて、そこにわざとらしく名刺を近づけ、「ココだ、ココ」と言い張る。ホテルは見えてるが、距離はある。そんなところで停まるなんて、後ろ暗い証拠でしょう?しかし、あまりにしつこいので、仕方なく、入ってないと知りつつ細かいお札をさがすフリで、ウエストポーチを見るMizumizu。「イエース、イエース、セブン」←そうそう、7だよ。さがしてさがして、というような口調。さっきこのドライバーも見たはずのウエストポーチの中には、50,000ドン札が入っている。これを1枚出して20,000ドンを渡せとでもいうのだろうか? しかし、それは「70」であって「7」ではない。「ない」という意味で、「ノー、ノー」と頭を横に振るMizumizu。再び20,000ドン札2枚を持って、ドライバーのほうに突き出し、「テン、テン」と言い張る。「ノー、ノー、セブン!」負けずに言い張るドライバー。お釣りがないのだろうか? しかし、それにしたって一銭も持ってないハズはないだろう。お釣りがないなら、そう言うとか、そこまで英語力がないというなら、さっきの故障ドライバーのように、持っている小額紙幣をこっちに見せればいい話ではないだろうか?ところが、持ってるお金は一銭も見せないのだ、このドライバー。そして、新聞紙を広げてこっちに押し付けながら、「セブン!」と、ほとんど脅迫のような口調になってきた。小額紙幣を持ってないことを納得させなければいけない雰囲気だ。意に反して、ショルダーバッグのファスナーをあけるMizumizu。実は、ウエストポーチとは別にショルダーバッグの中に、財布を入れていて、そこに日本円で3,000円分ぐらい入っているのだ。だが、1,000ドンとか2,000ドンとか5,000ドンとかは入っていない。両替をしたのはホテルで、ホテルでは100,000ドンを50,000ドンと20,000ドン+10,000ドンに細かくしてくれたが、それ以下の紙幣はくれなかったし、こちらも10,000ドンとか20,000ドンあればいいでしょ、ということで要求もしなかった。今回20,000ドンが2枚あって10,000ドンが1枚もなかったのはあくまで偶然だ。ショルダーバッグのファスナーをあけて、財布の中を見て、「ノー(やっぱり、ない)」と言うMizumizu。さっさとバッグのファスナーは閉じた。すると、ドライバーは今度は後ろのMizumizu母に、新聞紙を突き付けるようにしながら、「セブン、セブン!」と言い始めた。実は、Mizumizu母はお金は持っていない。それはMizumizuは承知していたのだ。この日はホーチミン2日目。最初の日は2人で分けて5000円分ぐらいずつのベトナムドン持っていたのだが、ガイドブックや日本語のネット記事に載っているような街中のショップやレストランは、VISAだけでなく、MasterもJCBも問題なく使えるということが分かったし、何となく虫が知らせたのか、Mizumizu母が持っていたベトナムドンはMizumizuが一括して持つことにしたのだ。日本円やパスポートは全部ホテルのセーフティボックスの中。お金を持っていないMizumizu母。だが、あまりに運転手がヒステリックなので、ないことを納得させようと、財布を出して、中身を見せる。日本円の硬貨がちょっとあるだけであとは財布は空だ。「セブン、セブン!」ドライバーの追い詰めるような執拗な声に、もうしょうがなくなって日本円の硬貨を差し出すMizumizu母。一瞬、ベトナムドンのコインだと思ったのが、受け取ろうとして、外国の小銭だと気づき、「ノー、ノー」と怒ったように、また新聞紙を突き出すようにする運転手。だから、持ってないっちゅーの。もう一度、「テン! テン」と言いながら20,000ドン札2枚をドライバーのほうに見せるMizumizu。ところが、またも、「セブン、セブン」と新聞紙を下のほうで振り回す。その行動、おかしーでしょ、アンタ、完全に!さすがに頭にきて、ドライバーの腕をつかみ、降りようという仕草で、「ホテル、ホテル」と言うMizumizu。ホテルに一緒に行けば、20,000ドンをくずしてもらって、お望みの「セブン=7,000ドン=35円」を払ってあげられるからね。しかし、「ホテル」で明らかに一瞬ひるむドライバー。やっぱり後ろ暗いことがある証拠だ。タクシーのドライバーはお釣りを持っていないことがある、という情報は読んだが、まったく所持金がない、なんてことあるだろうか? このドライバーは、自分からは一銭も見せないのだ。10,000ドン札さえ持っていたら、20,000ドン+10,000ドンをさっさと渡して降りたのだが、なまじっか27,000ドンのところで停められたので、こんな面倒なことになった。ホテルは車のフロントウィンドウから見えている。もう少し走って、左折して戻れば、メーターはもっと上がってもっと稼げるハズなのだ。ところが、ホテルの前には行かず(つまり、行きたくない理由があるのだ)、「ココだ」と嘘を言い張り、さらにお釣りを出さずに、「セブン、セブン」怒ったように叫びながら新聞紙を押し付ける。そうやってスキを見て、こっちのウエストポーチかバッグから何かスるつもりなんじゃないの?降りようと言っても降りないし、もっと行けと言っても「ココだ」と言い張るし、「セブン」と叫んで20,000ドル札2枚は取らない。面倒だから、20,000ドル札2枚渡して降りよう…と普通の日本人なら思うかもしれない。行きは51,000ドンを負けてくれて50,000ドン(250円)で行ったのだし、40,000ドン(200円)払っても、まだそっちのが安い。だが、そこはMizumizu。こんなに怪しい、目的地に行きもしないドライバーに、そこまで払う気はない。20,000ドン札1枚(つまり100円)だけ渡し、ジロッと蔑むような一瞥を思いっきり投げて、車を降りた。13,000ドンのお釣りを10,000ドンでいいと言ってるのに、1,000ドンさえ見せずに、我を張ったのはドライバーのほうだ。根負けしたように、「自分は悪い人間じゃないですよ」的な顔をするドライバー。車を降りてしまったら、「なぜかもう」大声は出さなかった。Mizumizu母も降りた。人通りの多い通りだ。周囲に危険は感じない。一通の道に挟まれた広い歩道を歩き、道を渡ってホテルに着いた。人形劇が終わったのが午後6時ちょっと前で、午後7時からホテルのディナーの予約があった(ツアーに入っていたもの)。タクシーと悶着はあったが、無事部屋に着いて、ディナーのために着替える時間は十分にあった。Mizumizu母とは部屋で、やはりあの故障ドライバーと新聞紙ドライバーは結託していて、あらたな詐欺をやろうとしたのではないか、と話し合った。まず故障と言って、いくらか取る。10,000ドンとか15,000ドンぐらい。その時、お客が一人なら、前に乗せて、故障ドライバーとなんだかんだと言ってる間に、横のドライバーが、スキがあれば何かとる。あるいは物色する。完全に変な場所に連れて行ったら、悪質な犯罪者だが、ホテルが見えるあたりまで来れば、それこそ万が一スマホで通報されても、「間違えた」で、すむ。このごろの観光客はスマホを持っている。MizumizuもSimカードを入れ替えたスマホを持っていた。そして、数字が分かってない客ならぼったくり(最初に50,000ドンを出したときに、0を切るマネをしたが、そのときの客の反応で、数字がどれくらい分かっているか、分かるはずだ)、Mizumizuのように数字が分かってる客だったら、細かいお金を強い口調で要求し、そのドサグサでお金を抜く。そんな手筈だったのではないか? しかし、残念ながら、Mizumizuはスリ天国のイタリア、フランスを自由旅行で渡り歩いてきた人間。スリには狙われたことがあるが、すられたことは一度もない。イタリアの人気のない路地で、段ボールを突き出して金目のものを狙ってきた少女2人組(やり方はジプシーだが、見かけは完全な白人だった)がいたが、逆に突き飛ばしてやった。「お~」と急に被害者みたいな声を出してたっけ。ドロボーのくせに、急に被害者ヅラすんなよ!と汚らわしいものでも見るように、睨みつけてその場を去った。プラハでは、市内バスでスリの男女グループに狙われたが、気づいたところで、「何やってんのよ!」と、力づくで捕まえてやろうとした。作戦が失敗したスリグループは、慌ててバスから転げ落ちるようにして逃げ出していったっけ。あの時も他にも白人の客がたくさんいたが、非力そうな東洋人と見て、ターゲットにされたのだ。今回のホーチミンのタクシーは、結果として、27,000ドンの7,000ドンを踏み倒し! 20,000ドンしか払わなかった。ホテルの部屋で念のため、残金を照らし合わせてみる。前回の旅行で余ったドンもいくらか持っていたし、その日に所持していたドン札が何枚かまでは覚えてなかい。だから、数十円、数百円レベルの細かいところまではよく分からなかったが、少なくとも千円レベルでの被害はなかったハズ。というか、多分残金も合っていたし、いくら新聞紙に気を取られたとはいえ、ウエストポーチの中からも、ショルダーバッグに入っていた財布からも、紙幣を抜かれたようには思えなかった。本当に、ただお釣りがなかっただけなのだろうか?いや、それにしてはあまりに行動が変だ。ないならないで、最初の故障ドライバーのように、「これだけしかない」と見せればいい。一銭も持ってないなんて、ありえない。Mizumizuはこう見えてガードが堅いし、新聞紙ドライバーの「その方面」のスキルが「まだ」高くなかっただけかもしれない。もちろん、真実は闇の中だが。ホーチミンのタクシードライバー。ロクなもんじゃない。しかし、ハッキリ言って、ヨーロッパのぼったくりタクシーのほうがタチは悪いと思う。ニース(フランス)のメーターこっそり違法操作ドライバーの悪辣な表情ったらなかった。居丈高で、東洋人の女を明らかに見下していた。弱い者からは平気でぼったくる、という強引な悪質さに比べれば、ホーチミンのベトナム人はそこまで根性ねじくれた「ワル」な感じはしなかった。結果として踏み倒されて、諦めているわけだから。この「事件」は、ホーチミン滞在2日目の出来事。実は1日目にも、目的地に連れて行けなかった「白タク」をMizumizuは踏み倒したのだ。なぜ「白タク」に乗ってしまったのか、なぜ踏み倒したのかについては、また後日。ここで教訓:とにかく、現金はあまり持ち歩かないようにしよう。ホーチミンの店は、数百円レベルでもカードが使えるし、カードが使えないような地元民向けのような店はとても安い。例えば、地元民だらけの店でバインミーとイチゴのスムージーを頼んだが、どちらも25,000ドン(125円)だった。カードをメインに使えば、1日3000円分も持っていれば、それでも多すぎるぐらいだ。大きなお金を持っていなければ、大きく取られることもない。小額だったら、たとえ盗まれても、痛手は小さい。パスポートは街中では要らないから、必ずセーフティボックスへ。Mizumizuは自分のパスポート番号を記したページのコピーだけをウエストポーチに入れて持ち歩いていた。これがあれば、身分証明にもなるし、免税手続きなどもできる(ホーチミンでは必要ないが)。帰りのチケット(このごろは1枚ペラの紙のことが多い)も必ずセーフティボックスへ。そして、タクシーの運転手が騒いでも、財布の中身は極力見せてはいけない。10,000ドンや20,000ドンぐらいなら、切り上げて払いさっさと降りたほうが、結果として安心だ。ドサクサに紛れて、金目のものをとられたり、落としたり、置き忘れたりしたら、そちらのほうが痛手だ。ホテルで10,000ドン札を多めに替えてもらっておくといいかもしれないが、ホテルには置いてないこともある。Mizumizuは実はホテルで100,000ドン札を細かくしてもらったとき、10,000ドン札をもっとくれ、とスタッフの女性に言ったのだが、「10,000ドン札は、それが最後の1枚」と言われ、50,000ドン札1枚、20,000ドン札2枚、10,000ドン札1枚しかもらえなかったのだ。
2017.04.30
ホーチミンで水上人形劇を堪能し、劇場を出て、タクシーを拾う。客待ちのタクシーが並んでるかな、と思ったらそうでもなく、バスが多い。それでも数台のタクシーが入り口付近に待機して、ドライバーが2人ほど車外に出て客引きをしていた。そのうちの1人にホテルからもらった住所の書いてあるホテルの名刺を見せる。あとから思えば、これが失敗だった。客引きをしているタクシーにロクなのはいない。少し離れて、道路を流してるMAI LINH社やVINASUN社などのタクシーを止めたほうが安全だったと思う。しかし、流してるタクシーは案外お客さんが乗っていて、すぐ拾えないことも多いし、MAI LINHやVINASUNが止まってくれるとは限らないのだ。いったん止まってくれたタクシーを信頼できるか否かすぐに判断するのは観光客にとっては至難の業だという思いもあった。ホテルの名刺を見たドライバー、「お前行けよ」という感じで、隣のドライバーに名刺を渡す。不安がないわけではなかったが、ホテルから51,000ドンで来たし、遠回りされたところで100,000ドン(500円)以内にはおさまるだろうと思っていた。午後6時前というまだ早い時間帯だし、それほど不安はなかった。後ろにMizumizu母と2人で乗り込む。右側通行の車は来た方向とは逆に走り出すが、それは交通事情から考えて仕方ない。次の角を右折。方向は合っている。道は非常に混んでいる。ややわざとらしく、「Many...(←車がいっぱいというような意味だろうと思う)」と、カタコトの英語の単語を口にするドライバー。直感的に、あまりイイ感じがしないので、「Oh...」と愛想のない、低い声で答えるだけのMizumizu。すいてる道、ホントは知ってるでしょうに、とも思うが、変に車の少ない道を遠回りされても不安になる。大きな道を行っているし、だいたいの場所は頭に入っているから、この道で問題はないハズ。と。なぜか、急にドライバーが「あれ?」というようなジェスチャーをして、ノロノロ減速し始め、道の脇に停めてしまった。「故障した」というようなことを言ってるようだが…おかしくないか?たった今走り出したところで故障? 古い車でもないのに? 停めたところで、わざとらしく何度かキーを回し、エンジンがかからない、というような様子のドライバー。もっとキーをしっかり回せば、かかるんでは?とも思うが、後ろからでは、よく分からない。そして、なぜか車を降り、前のバンパーあたりを歩きながら覗き込みむ。なんかワザとらしい。エンジンがかからないときになんで、バンバーの下を見るのだ? 見て何が分かるのだ??とはいえ、車の運転には詳しくないし、どうにもできないので、黙って座ったままのMizumizu。Mizumizu母も「何か変」と感じているようで、黙ったまま。ドライバーが後ろに来て、ドアをあける。「故障したので出てくれ」と言ってる様子。走り出してすぐこんなことになって困るなあ、なんか変、と思いつつ、仕方がなく出るMizumizu+Mizumizu母。どこか不自然なので、同情したり、理解を示したりする気になれない。じとーんと不機嫌顔。お金も出さないでいた。ドライバーは、「申し訳ないと思っていますよ」とでも言いたげだ。変に親切げに、体を寄せてMizumizuたちを後ろのほうに誘導し、後ろから来たタクシーを止めてくれた。タクシーはすぐに来て、スムーズに停まった。全然待ちもしなかった。まるで連携プレーのようにスムーズ(←あとから考えたら、もしかしたら本当に連携していたのかもしれない)。故障ドライバーが、新しいタクシーのドライバーに何か言っている。行先ならホテルの名刺がある、とピラピラさせるMizumizu。すると、これまた変に親切げな新しいタクシーのドライバー、「乗って、乗って」という感じ。故障ドライバーが「なぜか」親切に前のドアを開けてくれ、新しいドライバーが、「乗れ乗れ、名刺を見せて」というジェスチャーをするので、そのままうっかり前に乗ってしまった。注意:流しのタクシードライバーに「前に乗れ」と言われても、必ず後ろに乗りましょう。ドライバーの「横」というのは、なにかと危険。2人のうち1人が前、1人が後ろというのも、連れの動向が前と後ろで見えなくなるので、とてもマズイ。故障ドライバーの「故障」を100%信用していなかったので、お財布は出しておらず、お金も払っていなかった。メーターは12.0、つまり12,000ドン(60円)か、14.0、つまり14,000ドン(70円)ぐらいだったと思う。注:ベトナムのタクシーのメーターは、お札より0の数が少ない。12,000ドンを12と表示したり、12.0と表示したり。12.00というのもあったように思う。これがまた日本人にとっては混乱のもとだが、要は「区切り点に注意」ということだ。ホーチミン市内なら、よほど遠くに行くか、ひどい渋滞にはまらない限り100,000ドン(500円)を超えることはない、というのも覚えておくとよいあまりにスムーズに後ろのドライバーが来たので、お金の話はできなかった。窓ごしに、故障ドライバーが、「Money」と言うので、微妙に疑いの目でジロジロ見つつ、金を入れているウエストポーチの中をのぞくMizumizu。来るときにタクシードライバーが1,000ドン負けてくれたので、お釣りは来なかった。だから、細かいお札は持っていない。持ってる紙幣で一番少ない金額は20,000ドンが2枚。あとは50,000ドンと100,000ドンだ。注意:タクシードライバーに財布の中身は見られないようにしましょう。そのためにも前に座ってはダメ。前からだと横に座ったドライバーから財布の中をのぞかれてしまう。100,000ドン札(500円)なんて、ホーチミン市内でタクシーに乗る分には要らない。多額のお金を持ってると分かってしまうのは、とても危ない。20,000ドンを出して、故障ドライバーに「Change, please」と言うと、困ったようにベトナム語で何か言っている。そして、自分のもってるお札をビラビラと見せ始めた。これをくれ、と言ってるようでもあり、「これしかないから、お釣りはない」と言ってるようでもある。彼が見せてるお札は1,000ドン(5円)とか2,000ドン(10円)ばかりだ。10,000ドン(50円)札をもっていたら、それを渡して済ませたのだが、しかし、あいにくMizumizuが持ってるお札は、20,000ドンが最低(それが2枚)。50,000ドンを出して、「あとはこれしかない」というところを見せると、横の新しいドライバーが、手をのばしてきて、0を1つ切るマネを手でして、「ノー、ノー」と言う。桁が違うよ、と教えてくれているようで親切そう。あとから考えたら、この親切も芝居だったのかもしれない。後述するが。いや、桁が違うのはもとから分かっていますよ。こう見えてイタリア・リラ時代にイタリアを自由旅行して歩いた旅のツワモノなのだ。0が増えても数字は分かっている。0だらけのベトナムドン札を見て、日本円に換算するときは、たとえば、50,000ドンなら、まず0を2つ(手で)隠す。すると500になる。それのちょうど半分ぐらい。だから50,000ドン札なら250円ぐらいだ。そうやってお札を見て頭の中で必ず確かめるようにしてる。実際にお札を使う場合は、この方法が一番確実だ。必ず「0を2つ(手で)隠して」みる。その半分。これを徹底すれば、うっかり桁の違うお札を払ってしまうことは、まずない。故障ドライバーは、20,000ドン札を強引にさっと取って行ってしまう、なんてことはしなかった(そんなことしたら、ぼったくりなので、Mizumizuは怒りを爆発させて新しいタクシーを降りて追いかけただろう)。そこまで悪質ではなかったということでもある。ただ、1,000ドン札をバラバラ見せながら、何か言っている。「5,000ドンでもいいから」というようなことを言ってるようでもあるが、とにかく、ないものはないのだ。向こうからすれば、10,000ドン札もなく、最低紙幣が20,000ドンというのは予想外だったかもしれない。走り出してすぐ故障して、お釣りも持ってないドライバーに、20,000ドンを払う気もない。そもそもメーターはそこまでいってない。10,000ドン札があったらそれをあげただろうが、たまたまとは言え、ないものはないのだ。大きなお札を見せて、細かいのは「ないから」という感じで頭を振ると、あきらめたように故障ドライバーはその場を去った。結果として、踏み倒し!しかし、変に諦めがいい… やっぱり何か後ろ暗いことがあるのでは? あとから考えれば、そうやって故障ドライバーがなんだかんだ言って、お財布の中身を出させ(あわよくばいくらか取るのはもちろんだが)、横に座った新しいドライバーが客の所持金をのぞきこんで確かめていたのかもしれない。確証はないが。新しいドライバーは、走り出した。ホテルの部屋からも見えた見慣れた超高層ビルBitexco Financial Towerが見えたので、「あっちね」なんて方向を指したりするMizumizu。これがBitexco Financial Tower。スカイデッキという展望台もある。サイゴンのスカイツリーだと考えれば分かりやすい。市内の地図はある程度頭に入ってますから! 無事近づいてきてはいるようだ。と。ドライバーが急に車を停めた。そして、「ここだ」という。えっ。明らかにそこはホテルの前ではない。そのときは、そこまで分からなかったが、タクシーが停まった場所は、人民委員会庁舎を背に、ホテルの反対側の一方通行の道に入り、Ho Chi Minh Squareというところを少し過ぎたあたり。ホテルの前(Times Square)に着くためには、もう少し一方通行を直進し、左折して反対側の一方通行の道を少し戻る感じになる。これが人民委員会庁舎。ホテルは、人民委員会庁舎に「向かう一通の道」のほうに建っている。Mizumizuはすぐホテルの場所が分からない。そもそもここじゃないでしょ、と運転手を「ノー、ノー」と険しい顔でにらみつける。メーターは27.0だったか27.00だったか。メーターの0表示は忘れたが、つまりは27,000ドン(135円)。ホテルから劇場まで51,000(255円)だったのだから、それよりはるかに少ない、つまりぼったくりではないが、ホテルに着いてないし(苦笑)。Mizumizu母は、ホテルの派手な外観のライティングを覚えていたよう。すぐホテルが反対側の道の先にあると気づいたようで、「あそこよ、ホテルはあそこ」と後ろで言っている。これがThe Reverie Saigonホテルの外観。高いビルだし、赤紫の流れるようなライティングがとても目立つ。夜の目印だ。しょうがない。ホテルまで歩くことになるが、27,000で済んだから。と、20,000ドン札を2枚差し出して、「テン(ten、つまり10,000ドンのこと)、プリーズ」と言うMizumizu。正確には13,000ドンだが、3,000(15円)は、おまけして払ってあげるつもりだった。ベトナムでのお金の呼び方は、10,000、つまり1万なら「000」を省略してテンという、5,000(5千)ならファイブ、だ。これがまた日本人の混乱を招くもとなのだが、とにかくお札を見て0を2つ隠し、半額にすれば日本円での感覚がつかめるはず。ベトナムドンを見て、日本風に「万」の単位で考えようとすると混乱する。10,000(1万)はテン(10)だ。ベトナムドンはそうやって考え、日本円に換算するときはお札の0を2つ隠して半額、だ。すると、タクシードライバーは、実におかしな行動を取ったのだ!<明日に続く>ホーチミンのタクシーの利用については、以下のサイトを事前に読んでおきましょう。http://tripping.jp/asean/vietnam/ho-chi-minh/14386
2017.04.29
ハノイが本場で、現在ではホーチミンでも上演されている「水上人形劇」。大人気だという話通り、金曜日の午後5時からの公演、時間にはほぼ満席になった。数分遅れてスタート。劇場は古びていて、お客がぎっしり入ると、公演の最後はちょっと空気が悪くなる。エアコンもあまりきかないが、ぎりぎり暑すぎるということはない。舞台中央に濁った池。両脇に楽器をもった奏者がいて、伝統楽器を奏でながら、歌やセリフもこなす。時々ペットボトルの水を飲みながらの、わりあいリラックスした雰囲気。「前のほうの席だと水がかかる」なんていうネット情報があったので、防水ジャケットを持って行った(笑)のだが、全然必要なかった。前から3列目なら水はまったくかからないし、最前列だと、ちょっとかかるかもしれないが、ラフなTシャツを着てれば問題ないレベル。不運なことに前の席に、縦にも横にもデッカイ男性が座ってしまった。しかも…右のヤツは、本格的なデジタル一眼レフで写真を撮りまくり、迷惑このうえなし。左のヤツも、手を前にかざしてさかんに写真を撮っている。あんたら真剣に撮りすぎ! 観えないっちゅーの!おかげで、体を右左に移動させつつ観劇するMizumizu。水上人形劇の詳しい説明は、以下のWikiを読んでください。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E4%B8%8A%E4%BA%BA%E5%BD%A2%E5%8A%87_(%E3%83%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0)この人形劇、水をうまく使っての「動き」が実に面白かった。オムニバス形式で短い演目が展開されるので、言葉が分からなくても楽しめる。舞台の水を水田に見立てての田植えのシーンでは、植えているしぐさのあと、ちゃんと緑の苗が水上に出てくる。子どもが魚と戯れるシーンでは、本当にばちゃばちゃと水しぶきを立てながら泳いでいる雰囲気が出ている。捕まえられた魚が、人の腕の中でバタバタ体を動かすところなど、本当にリアルだった。観る前は、「水中にもぐって下から動かしているのかな?」と思ったのだが、そうではない。真下から操っていると思うほど巧みに動くが、それは不可能だと観始めてすぐ分かった。どうやって細部を操っているのか、想像もつかない。それぐらい舞台の池を大きく使って前後左右に人形が自在に動く。写真はうまく撮れなかったので、こちらのサイトをご覧ください。http://www.jtb.co.jp/kaigai_guide/report/VN/2014/07/puppet-show.htmlしかし、この人形は動いているのを観てこそ真価が分かる。目鼻立ちが大きく、顔もデカいのはあくまで舞台でナマを見たときに分かりやすいようになのだ。水上で動くさまは、実に生き生きと魅力で、時にユーモラス、時にダイナミック、そして時にエレガントですらある。最後のほうは賑やかに龍が火を吹いたりして終わった。御簾の向こうから人が出てきてご挨拶。潜って操っているのではないから、当然ながら頭は濡れていない。人気があるのも納得の、素晴らしいパフォーマンスだった。ホーチミンもしくはハノイに行ったら、絶対に観よう!ツアーバスで来てる人が多く、個人客は帰りは自分たちでタクシーを拾うことになる。しかし、この時拾ったタクシーが、とんでもなかったのだ!!
2017.04.27
The Reverie Saigon(ザ・レヴェリー・サイゴン)のデラックスルーム。http://www.thereveriesaigon.com/room/deluxe-room/Mizumizuたちの部屋はツインだったが、部屋の雰囲気はホームページ通り。非常に豪華で清潔だった。部屋の大きな窓からゆったりと蛇行したサイゴン川が広く見え、夜は街の灯りがきれいで、眺めが非常に良かった(見たい人は泊まってください・笑)。エレベーターホールからは、観光名所にもなっているサイゴン大教会(聖母マリア教会)や人民委員会庁舎(左の黄色い洋風建築)が眼下に見える。右奥のサイゴン大教会(聖母マリア教会)につながる通りが、有名なショッピング通りのドン・コイ通り。東京でいえば銀座に当たるようなロケーションにあるホテルということだ。高級ホテルの条件、それはコンシェルジュのサービスが行き届いているか否か。その面でも、The Reverie Saigonは完璧だった。ホーチミンでは水上人形劇を見ようと思い、日本でネット情報を見たのだが、案外人気で窓口ではチケットは「売り切れ」と言われ、旅行社を通すと買えた、などという口コミもある。旅行社が押さえてしまっていて、個人だと買いにくい場合もあるようだ。旅行社のオプショナルツアーだと、サイゴン川のディナークルーズがついて45ドルとか、そのくらい。ディナークルーズにはあまり興味はない。そこで、ホテルのコンシェルジュを利用することに。朝飯のついでに、コンシェルジュに相談すると、「今日の公演は、●時と●時と●時。チケットはxxx,000ドンからxxx,000ドンで(詳しい数字は失念)、最初に現金で払ってもらい、午後●時にここでチケットを渡せる」というような手筈でいくという。なるほど。前払いということですね。いったん部屋に戻り、外出する前に現金を携えて、再度コンシェルジュデスクへ。今日の午後5時からの公演を予約したいと言うと、どこかへ電話をかけるコンシェルジュ。一人23万ドン(1150円)だと言うので2人分の現金を渡す。「午後4時にはチケットが来ている。ここから劇場まではタクシーで20分(←確か)ぐらい」というような説明を手際よくしてくれる。買い物などに出掛けて、午後に部屋に戻って休憩。午後4時にコンシェルジュデスクに行くと、ちゃんとチケットが用意されていた。5時の公演には少し早いが、渋滞もあるかもしれないので、すぐにタクシーの手配を頼んで劇場へ。ホテルから劇場まではタクシー代51,000ドン(255円)だった。4時半ぐらいに着いて、少しまだ早いぐらい。あいにく1,000ドン札も10,000ドン札もなかったので、50,000ドン札+20,000ドン札を出して、「Change, please」と言ったら、なぜか20,000ドン札を返してくれた。19,000ドン(95円)のお釣りを出さずに、1,000ドン(5円)負けてくれたということだ(笑)。劇場はまだ開いていなかったので、ちょっと劇場周辺を歩いたのだが、別に見て楽しいような店も近くになかった。水上劇場そばのTruong Dinh通り。背の高い街路樹が美しく、気持ちよさそうな大通りなのだが、クルマとバイクがご覧の通り、すごい数で空気は最悪。すぐに劇場敷地内に戻ると、中に入れるようだったので、座って待つことに。前から3列目の良い席だった。この水上人形劇、使われる操り人形の写真は、こんなん↓なので、正直、「見る価値、ホントにあるのかい?」とやや懐疑的だった。だが、ネット上の口コミの評価がえらく良いし、公演時間は50分とほどよい長さ。チケットも1000円ちょっととお手頃なので、行くことにしたのだが、行って正解。ってか、「見る価値あるの?」などと言って、スイマセンでした。素晴らしい伝統芸能、心から感服し、かつ楽しませていただいた(詳しくは明日)。
2017.04.26
The Reverie Saigonの朝食、雰囲気&サービスだけでなく、質・量ともに満足のいくものだった。パン、チーズ(ブリーまでおいてあったのには驚き!)、ナッツ、ヨーグルト、卵や肉類といった洋風のものから、中華、和食だと巻き寿司、生のフルーツ、スムージーやジュース、なぜか朝からシャンパンもあり、選択肢は豊富。焼き菓子を中心としたスイーツもたくさん並んでいる。これなら好き嫌いの激しい人でも、何か好みのものが見つかるだろう。例えばMizumizuは2日目に並んでいたマンゴーのスムージーがとても気に入って、何本も飲んでしまったのだが、Mizumizu母は、一口飲んで「わ、ダメこれ」。味の好みというのは、本当に人による。スムージーはなぜかタバスコのビンみたいのに入って、日ごとにフルーツの種類が違うものが出されていた。3泊してマンゴースムージーが1日しかなかったのがやや残念(笑)。でも、他にも美味しいものはたくさんあるので、「気に入ったもの」に執着する必要性は感じなかった。さらに、メニュー表が手渡され、フォーのような麺類や、パンケーキのような洋風の軽食など、いろいろなものを作ってもらえた。メニューには正確な日本語が書かれていて分かりやすい。ふと見ると、上のほうにベトナムドンで値段らしきものが書かれていて、確か日本円で3300円とか、そのぐらいだった。このホテルは英語が完璧に通じる。「これは別料金なの?」とスタッフに聞くと、「ノー」だという。チェックアウト時にも請求されなかったので、今回のツアー料金に含まれていたようだ。好きなだけ頼めるといっても、そんなには食べれない。せいぜい1品か2品で十分。1皿の量が少なめなのが、逆に嬉しかった。ベトナムといったらコレでしょ、のフォー。チキンとビーフから選べる。温かな作りたてのフォーはやさしい味。スープの味も上品。チリソースや黒味噌、ハーブや唐辛子で味を調節できる。前回のベトナム滞在(ダナン、フエ、ホイアン)では、あまりアタリのフォーに出会えなくてがっかりしたのだが、The Reverie Saigonのフォーはことのほか美味しく、逆に行くつもりでいた街中の「(ガイドブックが言う)フォーの名店」に足を運ぶ意欲がなくなってしまった。こちらはベトナム風の焼きそば。焼きそばにはウルサイMizumizu母が、非常に気に入った一皿。Mizumizu母は、これに少し甘みのあるベトナムの黒味噌を入れて食べるのが好きなのだが、ベトナムではそうしないのか、調味料は来なかった。そこでスタッフに頼んでもってきてもらう。Mizumizu母は大満足。このほかにも豚のナントカというローカルフードを頼んだのだが、ほんのり甘辛い味付けで、日本人の口に合う料理だった。初日にMizumizuはパンケーキも頼んだのだが、個人的には2日目に頼んだこちらのフレンチトーストのほうが気に入った。こちらはココナッツウォーター。これは穴のあいていない状態で置かれていて、スタッフに「これを」というと、穴をあけてストローをさして持ってきてくれる。バンコクで1度、ホイアンで1度だけこの手のココナッツウォーターを飲んだことがあるが、どちらも気に入らなかった。だが、The Reverie Saigonのココナッツウォーターは、変なクセがなくて、甘さが心地よく、「人生で初めて美味しいと思ったココナッツウォーター」になったのだった。日替わりで中身が変わる巻き寿司。1日2~3種類ぐらいあって、お酢の打ち方が上品で上手。米からして本場・日本のものとはちょっと違うが、それが逆に新鮮で、十分美味しくいただけた。醤油とわさびも用意されている。The Reverie Saigonの朝食。100%満足なり。このように楽しく、心地よく、思い出に残る朝飯というのは、ありそうでなかなか無いものだ。朝から食べ過ぎてしまうことだけが、まずい(笑笑)。
2017.04.25
4月20日から24日までベトナムのホーチミンに行ってきた。ちょうど今日の朝8時に成田に着いて、お昼前に帰宅したばかり。時差は2時間なので時差ボケもなく、飛行機は深夜便だったが、まあまあ寝れたので割合に元気だ。今回利用したのは、日本旅行社の「海外ツアー 極みの旅」の中のホーチミンの豪華ホテルに泊まる企画。「極上を知り尽くした大人のための素敵な贅沢 ザ・レヴェリー・サイゴンに泊まるホーチミン5日間」というもの。成田から出発、エコノミークラス、デラックスルーム指定。ホーチミン空港とホテルの間の送迎のみガイドが付きあとはフリー。ホテルは3泊で、最終日はレイトチェックアウトで現地時間の21時まで部屋を使うことができる。お値段は、空港税は別途(1人5000円ちょっと)で、ツアー代金は1人134,900円だった。ホーチミンだけでこの値段というのは高いようにも思うが、The Reverie Saigonというホテルがそもそも1泊5万ぐらいする超豪華ホテルなので、今回の3泊企画は、宿泊代だけで往復の飛行機代がタダでついてるという考え方もできる。ホーチミン空港は市内中心地から遠いので、タクシーの手配がちょっと面倒。たいていはホテルに送迎を依頼するのだが、案外高くつく。それがもともとついているのは助かる。もちろん旅行会社としては、行きの車中でオプショナルツアーを勧めて、それで申し込んでもらえれば儲かるという算段もある。しかし、オプショナルツアーは別に頼みたくなければ頼まなければいいだけの話だ。The Reverie Saigonは、まだできてそれほど経っていないホテル。こういう超豪華ホテルは初期によくこの手のプロモーションをやる。ホイアンに行った時もその手のプロモーション価格で豪華ホテルに宿泊して満足したので、今回も同じような趣旨の企画に申し込んだワケなのだが、大正解。非常に満足のいく滞在ができた。ホテルの施設はベネチアガラスや大理石をふんだんに使った豪華絢爛たるもの。7階にあるチェックインカウンターは見上げるような大ホールに、モザイクと大理石の装飾。ふっかふかの絨毯。ホームページを見て、びっくらこいたが、行ってみたら写真通りで二度びっくらこいた。一体いくらかけたんだろう、この内装に…と想像もつかない。趣味から言うとアラブの大金持ちや中国人の富裕層をターゲットにした感じだが、お客は欧米人のほうが多かった印象。わりあいみんなラフな格好でホテル内をうろうろしていた(まあ、外が35度とかいう気候だし)。アジア人はやはり多数派は中国系だろうか。日本人には一組ぐらいしか会わなかった。ツアーは何人が定員なのか分からないが、おそらくは少ない。空港――をちょうど出たところにお迎えのドライバーやガイドがずらっと並んでいるのだが――では、Mizumizu+Mizumizu母だけをガイドが待っていた。こちらが朝をいただくホテル内6階にあるカフェ。大理石がすごい。複雑ならせん階段で7階にあるフロントからおりてくる。吹き抜けになっていて開放感抜群…というか落ち着かないほど豪華(笑)。きびきびと働くスタッフ。サービスも行き届いている。ホイアンで泊まった「ホイアンナンバーワンのホテル」は、朝食の質にやや不満があったが、今回の朝食は文句なかった(詳しくは後日)。施設の豪華さ以上に素晴らしかったのが、スタッフのサービス。特に7階のチェックインカウンターの向かいに常駐しているコンシェルジュにレストンランの予約やら水上人形劇の予約やら、お願いしまくって、ラクをさせてもらった。その都度ホテルのコンシェルジュカードに予約の詳細を書いてくれて、地上階のフロントデスクにそれを見せればタクシーがやってくるという至れりつくせりのサービスの連携。ちなみに、ホテルから呼んでもらってもタクシーは乗車後にメーターが上がるので、高くなるというわけではない。ただ、タクシーのサイズによって、初乗りが12,000ドン(60円)のクルマと21,000(だったか25,000だったか?)のクルマがあった気がする。初乗りが高いのは立派なSUVだったと思う。はっきり憶えていないのだが。ホテルは設備も大事だが、やはりキモは人的なサービスだとMizumizuは思っている。The Reverie Saigonは、間違いなくバンコクのオリエンタル・ホテルや、ドバイのブルジュ・アル・アラブと肩を並べる世界トップクラスのホテルだった。ホーチミンはそれほど優れた文化遺産があるわけでもないが、雑貨店を見たり、ベトナム料理を食べたり、あとはホテルでノンビリしようという人には心からオススメできるツアーだ。ワイルドチックなオプショナルツアーも用意されているので、アクティブな人はそれを利用すればよいと思う(Mizumizuは今回はMizumizu母と一緒のノンビリ旅が目的だったので、利用しなかった)。ホテルに行く車中でガイドが、パンフレットを渡してくれる。ホーチミンのタクシーは正直言って質がよくない。明らかに渋滞する道にわざわざはまって時間をかけるドライバーもいたのだが、それでもベトナムはタクシーがまだ安いので助かる。市内だけで、それほど遠くにはいかなかったとはいえ、タクシー代は最高でも80,000ドン(400円)ですんだ。ホテルからタクシーを頼むと、ホテルのアドレスカードにタクシードライバーが特定できる番号を必ず書いてくれるので、何かあったらクレームができる。必ずこのカードはキープしておくことだ。街中で個人でもタクシーを拾った。ハッキリ言って変なドライバーばかりだったのだが(詳しくは後日)、「悪質なぼったくり」はなかった。Mizumizuたちが拾った街中で流してるタクシーは、初乗りが9,000ドン(45円)とか12,000ドン(60円)だったと思う。この旅行会社のツアー企画、5月末までやっていて、まだ空きもある(4月26日に確認したら6月以降も企画は続くようで、空いてる日もまだ多い)。ネットでも電話でも簡単に申し込める。趣味に合いそうだな、と思った方は、さあ予約!(笑)
2017.04.24
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