仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2012.08.21
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カテゴリ: 東北
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意外なほど主要道路のすぐ脇で、車で訪ねてすぐ判るところだった。

大湯環状列石を見学した。県道を挟んで万座、野中堂の2つのストーンサークルがあるのだが、これらを包み込むように広い範囲にわたり遊歩道が整備されて、一帯には掘立柱建物や柱列が復元されている。

ストーンサークル館でいただいたリーフレット(北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群リーフレットシリーズ14 特別史跡大湯環状列石(鹿角市教育委員会縄文遺跡群世界遺産登録推進本部))から何点か以下に抜き書きする。なお、この冊子は和英対訳式で、縄文遺跡の意義を世界に伝えようとする気概が伝わる。


(太陽の運行)
野中堂環状列石の中心から万座環状列石の中心を結んだ線が、下司の日没方向と一致しています。当時の人々は太陽の動きを意識していたのでしょうか。
(景観)
史跡がある台地は広大で、西側下を大湯川が流れ、大湯川の上流には環状列石に使う石英閃緑玢岩(odazuma注:対訳ではquartz porphyry)を産出する諸助山があります。東側には麓から頂上までの形がきれいな三角形をした黒又山がそびえています。
(祈りとマツリの道具)
出土した遺物の中には、日常的でないものが数多くあります。キノコ型土製品のように自然を意識したものや子孫繁栄を祈るものなどもあり、あらゆる事に畏怖の念を表すための道具なのかもしれません。
(数字を意識した土版)
人の体を簡素に表現しています。刺突によって口・目・乳房・正中線・耳を表現しながら、1~6までの数を表しています。縄文人が数を意識していたことを示しています。



さて、このリーフレットの後半には、世界遺産登録をめざす「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」を紹介しており、北海道、青森、岩手、秋田の4道県にわたる15の縄文遺跡が説明されている。

1 北黄金貝塚(伊達市)
2 入江・高砂貝塚(洞爺湖町)
3 鷲ノ木遺跡(森町)
4 大船遺跡(函館市)
5 三内丸山遺跡(青森市)
6 小牧野遺跡(青森市)
7 是川石器時代遺跡(八戸市)
8 長七谷地貝塚(八戸市)
9 亀ヶ岡石器時代遺跡(つがる市)
10 田小屋野貝塚(つがる市)
11 二ッ森貝塚(七戸町)
12 大平山元I遺跡(外ヶ浜町)
13 御所野遺跡(一戸町)
15 伊勢堂岱遺跡(北秋田市)

ここまで書いて、気付く。冊子の肩書きの「リーフレットシリーズ14」とは、大湯環状列石が縄文遺跡群の14番だからだ。

特別史跡大湯環状列石は、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」として世界文化遺産暫定リストに掲載されました。

これは、サークル館でスタンプを押したときの台紙に書いていた言葉だ。縄文文化遺跡の大きな意義について、リーフレットにも、こう書いている。


世界に先駆けて土器を生み出し、ヨーロッパや大陸の先史文化と比較すると、本格的な農耕と牧畜を持たず、新石器時代の文化としてはきわめて特徴的な様相を呈しており、世界史上希有な文化です。
日本の歴史の大半を占め、現代に至るまで縄文文化に起源や系譜を求めることのできる伝統や文化的要素が数多く認められるなど、日本の基層文化と言えます。



大いに勉強になる大湯の旅だった。

■関連する過去の記事
黒又山 (2012年8月20日)
ストーンサークルと十和田文化圏を論じた諏訪富多さん (08年9月14日)
大湯環状列石(ストーンサークル) (08年1月25日)





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最終更新日  2012.08.21 05:47:07
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