仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2016.04.13
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カテゴリ: 雑感
断定の語である「~ 」の地域差をみると、大きく3つの地域に分かれる。

(1) ~だ  東日本全域と鳥取、島根
(2) ~じゃ 岐阜、近畿南部、中国、四国、九州
(3) ~や  近畿

これら断定辞は、すべて、「である」の変化形である。

(1)  である  →  が脱落、さらに であ (室町時代に見られる)deaの母音eが脱落 → 

(2)  である の母音融合 dea( であ 、室町時代) → dya → zya により  じゃ
(3) zyaの摩擦が弱まって濁音が消える → ya  (江戸中期に関西女性に広まる)

(1)の は、東日本と、島根・鳥取に分かれるが、これら2地域で上記の変化が起きたものと一般に考えられている。しかし、ズーズー弁も東北と島根県出雲地方(鳥取県西部含む)に分かれるため、断定辞の分布と関係があるかも知れない。

西日本では、関西弁が周囲に広がりつつある。九州は本来 じゃ が優勢だったが、 の使用が増えつつある。



原因や理由を表す接続助詞の「 から 」には、きれいに地域差がある。

○ 共通語の から は、関東地方、東北南部、西日本の一部。
○ 東北北部、津軽  はんで、はんて
○ 近畿から北陸  さかい
 この「さかい」は俗説に物の境目に由来するというが(浮世風呂)、名詞が助詞の用法に変化する事例はあるので、否定できない。たとえば、東北で、助詞の「を」にあたる「とこ」がある。「鳥とこ捕まえる」。「とこ」は事(こと)の変化で、「鳥のことを捕まえる」の意味。
 共通語の「 から 」も、「家柄」などの名詞「柄」に由来すると考えられている。
○ 新潟県  すけ  (←  さかい の変化)
○ 庄内地方  さげ はげ  (← 上がさらに変化。江戸時代に北前船が関西弁を運んだもの。)
 用例:「雨降った さげ はげ )、行ぐなやめれ」
○ 近畿南部  よって よってに
 「依りて」の変化でかつて関西全域で使われたが、 さかい に押された
○ 名古屋、鹿児島県 
 用例: 雨が降っとる (名古屋) 雨が降っちょる (鹿児島)
 「ので」が変化したもの
○ 静岡県は駿河が から 、遠州が だが、 んて もわずかに見られる。八丈島や秋田県でも。
 用例: 雨が降ってあろん 、行こわやめろ(八丈島)
○ 富山県砺波地方  さからいで
○ 長野県 
○ 西日本各地  からに
○ 宮崎県東部  かり
○ 種子島  からい
○ 中国地方  けー  (広島県:じゃ けー
○ 西日本各地 けん(松江市)、かい(京都府)、かいに(砺波地方)、きに(高知市)


■佐藤亮一『滅びゆく日本の方言』新日本出版社、2015年 から

ところで、上に勉強した中で、庄内地方のことばに「行ぐなやめれ」(行くのは止めろ)とある。

あの 食べれ降りれ用法 は、やはり庄内か。すると、関西由来だろうか。しかし、以前の記事では(下記)東北日本海側と九州とあったので、逆に時代に取り残されたもの(周圏論)だろうか。はたまた、動詞の活用を統一化しようとする現代的な流れなのか。

■関連する過去の記事
日本語の動詞の活用の今後を考える (2016年1月22日)
起きれ食べれ降りれ用法は東北日本海沿岸か (2013年1月26日)
食べれ!降りれ? (07年6月20日)





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最終更新日  2016.04.13 22:37:11
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