仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2024.01.19
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カテゴリ: 宮城
蔵王町を知るシリーズの2回目。遠刈田温泉について。
■シリーズの記事
蔵王町を知る(その3 宮財産区) (2024年01月20日)
蔵王町を知る(その2 遠刈田温泉) (2024年01月19日)
蔵王町を知る(その1 永野と宮の謎) (2024年01月18日)

1 遠刈田温泉について

『蔵王町史 通史編』(蔵王町史編さん委員会、1994年)から。
●遠刈田温泉
 「封内名蹟志」によれば古くは湯刈田と書いたが後に遠刈田になる。温泉の発見については、炭焼藤太の伝説がある。京三条盛実の娘が当地を訪れ、炭焼きをしていた藤太と夫婦になり金鉱と温泉を発見して長者になる。橘次・橘六・橘内の三子を育てたという。
 また、『温泉少誌』には、大沼刑部の四世の孫勘十郎がこの地に移り荒地を開拓、慶長6年(1601)岩崎山の麓に温泉2か所湧出を発見、開鑿に尽力し元和4年(1618)浴地(上の湯、下湯)を成し、元文5年また一泉を発見し浴地(東の湯)を作る。遠刈田は人家四五十戸ありて一つの巷街をなし、旅店17戸あり。勘十郎の子孫今なお連綿と旅人店を営業したとある。
 高野家記録では、東の湯は享保16年(1731)9月7日の大地震で湧いた湯で、寛保元年(1741)白石城主に願い出て曲竹村の我妻四郎右衛門が普請して、湯壷一間に五尺ばかりを造成して多くの人が入浴するようになった。湯を庄三郎が守ったので庄三郎湯ともいった。


2 遠刈田温泉株式会社

同じく『蔵王町史 通史編』(蔵王町史編さん委員会、1994年)から
 大正初期ごろまでは共同浴場のみだったが、各旅館が源泉を求め内湯を持つようになると、近接するため湯量の減少枯渇が生じた。これらの問題を解決し各旅館に一定量の温泉を供給するため、昭和18年に、遠刈田温泉株式会社が発足し現在に至る。
 発足当時の様子を遠刈田温泉あづまや旅館の我妻長吉氏によると、
・江戸時代から明治にかけて遠刈田には家屋が24軒あった。源泉は共同で美鈴寿司店の地にあった。
・各家に内湯はなく、共同風呂を使用。上の湯、中の湯、滝の湯の三か所があった。
・明治29年4月6日大火に見舞われ、市街地復興の際に道幅を広くし碁盤の目状に改修。
・この時連帯保証で借金し、借金が返せず担保の源泉も取られた。この時は宮村が年間予算の半分位支払ってやっと買い戻した。
・しかし宮村で維持は費用がかかるので、阿部平治村長の時、遠刈田で管理するようにとの話が盛り上がり、議員も自主運営に賛成して、昭和18年、遠刈田温泉株式会社が発足。
・資本金5万円、株式は宮村4・旅館4・一般2に配分。事務局は役場に置いた。村長が社長を兼任。
・これまで宮村独特の畳税(たたみぜい、畳数に応じて徴収)があったが会社発足時に廃止。
・経営は赤字に苦しんできたが、この2-3年前に黒字に転じた。外来利用者の増のためと思う。
なお、遠刈田大火とは、奥羽日日新聞の記事によると、明治29年4月6日午前9時半出火、烈風と乾燥でわずか1時間で全焼90戸、類焼を免れたのは小学校分教場、駐在所、民家4戸のみ。白昼で死者が出なかったのが不幸中の幸い。


■関連する過去の記事(蔵王町など)
がんばれ蔵王 負けるな蔵王 (2015年5月6日)
蔵王の御釜が沸騰 (2014年8月23日)
猿田という地名を何と読むか... (2013年10月15日)
蔵王の御釜の色を考える (2013年2月19日)
蔵王山境界紛争を考える (09年5月17日)
蔵王のお釜は共有財産 (08年11月5日)
南蔵王縦走 (06年8月20日)
栗駒と蔵王の名前の由来 (06年7月28日)
蔵王噴火を鎮めた伊達宗高 (2015年3月3日)





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最終更新日  2024.01.20 10:14:30
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