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三崎亜記さんの本を読んだのは初めてでした。いろんな書評を読んだけど、星新一さんやテレビの「世にも奇妙な物語」と比較した感想が、とても多かった。私も、最初の一編を読んで、あ、この人は星新一や「世にも奇妙な物語」で育った世代の人なんだなと思いました。意味もなく理由もなく、ただ不条理があるだけ。そこが魅力です。「動物園」と「送りの夏」は、その不条理さとウェットな人間臭さが、バランスよく混じりあって、すごくおもしろい、読み心地のいい短編です。特に、「動物園」は、血の通った温かみのある人間が、現実にあり得ない不思議な技能を持っているという不思議さ、そこをちっとも不思議と思わずに読んでしまったところが、また不思議。そんな初体験のおもしろさでした。そして、表題になっている「バスジャック」ですが、私はこの「バスジャック」は、はっきり言って嫌いです。なんでこれが表題になったのかが、よく分かりません。バスジャックという犯罪を、古典芸能のお能の舞台になぞらえているところも、うなずけないと思ったし、何より、実際にバスジャック事件で、犯人に刺されて亡くなった人もいるのです。それをトレンドとして遊びの要素を持たせることが、信じられません。この事件は福岡の西鉄バスで起こった事件でした。だからよけいに私の記憶に残っているのですが、三崎亜記さんも福岡在住らしいです。よくこんなことを書けたなあって、ちょっと驚きです。「バスジャック」はおいといても、他はいろんなテイストの短編が盛りだくさん。もっとこの人の小説を読んでみたいな、と思わせられる短編集でした。バスジャック
2009.10.22
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独断流「読書」必勝法私はプロの書いた読書感想文、アンソロジー、読書ナビを読むのが大好き。この本も、偶然図書館で見つけて、すぐに読みました。目次を見ると、19の小説の題名が目次になっていて、前半は誰でも読んだことのありそうな本が並んでいます。「坊ちゃん」「ロビンソン・クルーソー」「伊豆の踊り子」「ガリヴァー旅行記」・・・どれも目からうろこがぽろぽろ落ちるくらい、新鮮で意外な発見だらけ。「ロビンソン・クルーソー」は、ビジネスに才能のある男が、一人で資本主義経済をやっている、経済小説である。「ガリヴァー旅行記」は、「ロビンソン・クルーソー」に腹を立てたスウィフトが、挑戦状のように書いたものである。「伊豆の踊り子」は、むずかしいところは一つもないのに、不思議な情感ばかりが残る、なぞめいた短編小説である。(同感!同感!!)「細雪」は、豊かでぜいたくな王朝文学の一種とも言えるが、典雅な文章で語られる下品な物語である。どうですか?ちょっとびっくりしちゃうでしょう??!!びっくりしながらも、なーるほどと納得してしまう点も多くて、ほんとうにおもしろく読みました。後半にいくにつれて、「谷間の百合」だの「ボヴァリー夫人」だの「若い芸術家の肖像」といった、私にとってはあまりなじみのない小説が増えてきて、こちらは実際に読んでいないと、理解しにくいように思いました。少なくとも、この本を読んで、この本をきっと読もうと思うことはなかったです。すでに読んだ人にとっては、おもしろいのかもしれませんね。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ところで、実は、半年以上も前に書いたある小説の感想文に、最近書き込みを下さった方がありました。私はその小説をあまりおもしろくないと感じたので、どこがどういうふうに面白くないかを自分の感じたままに書きました。(感想文とはそういうものですが)ところが、最近書き込みを下さった方は、その本を読んで10回以上も泣いてしまったほど感動されたそうです。ドラマ化までされた小説ですから、そういう人があっても、不思議はありません。逆に、私が絶賛しても、つまらなかったと思う人がいても、あたりまえのことです。ただ、その人はそうは思わなかったみたいで、その書き込みは痛烈な皮肉と悪意に満ちたものでした。その人はきっと、自分の好きな小説を私にけなされて、頭に来たのでしょう。その気持ちはわからないでもありませんが、こんな書き込みをされると、私自身もいい気持ちではありません。というか、非常に不快です。個人的なブログで、個人的な読書日記を書いて、それをささやかな楽しみとしている私ですが、こういう場所にも、好き嫌いをはっきり言えない風潮があるとしたら、とても悲しいと思いました。読書日記をつけておられる方はたくさんいらっしゃいますが、皆さんこんな経験がおありなんでしょうか。たとえば、「細雪」のことを下品だと独断した清水義範さんに対して、谷崎ファンの方はどう思われただろうか。これがブログなら、皮肉な書き込みで反論したんだろうか・・・などと、それなりに傷ついて、ぱぐらは考えています。
2009.10.18
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皆さんはミューズリーという食べ物をご存知ですか?私は昔ドイツに住んでいた頃、朝食によく食べていました。(ドイツではミュッスリと発音していたような気がします)シリアルの一種で、内容は未精製の穀類とドライフルーツ、ナッツ類、種子類が混ざっています。ドイツらしく、アプリコットもアーモンドもくるみも、丸ごと入ってました。これに牛乳やヨーグルトをかけて食べます。未精製の穀類のひなたのような匂いと、ドイツのクリームが浮いた濃い牛乳がよく合って、私は大好きでした。我が家では人気の朝食でしたが、日本人仲間では不評で、家畜の飼料みたいなんて言ってる人もいましたっけ。帰国した当時、日本でも探してみたんですが、ソニープラザで小さな箱入りでめちゃくちゃ高いのがひっそり置いてあるのを、見たことがあるくらいでした。しょうがないので、記憶を頼りに、今も似たようなものを手作りしています。オートミールとレーズン、ブルーベリーなどのドライフルーツ、ごま、アーモンド、くるみ、さくさく感がほしいので、甘くないコーンフレークも入れます。これらをただ混ぜて、ビンに入れておくだけ。甘みはドライフルーツだけですが、私にとってはちょうどいい甘さです。ただ好きだからよく食べていましたが、この本「世界一の美女になるダイエット」を読んでびっくりしました。ミューズリーって、美のための理想的な食品だったんですよ!今、大人気!食物繊維たっぷり。すっきり生活を目指しましょう。カントリーファーム フルーツミューズリー 750gこの本の著者はミスユニバース・ジャパンの栄養コンサルタントで、森理世さんや知花くららさんを食の面から指導した人です。この本には、美を作るために食べるもの(体の中に入れるもの)がいかに重要であるかが、分かりやすく書いてあります。ただ体重を減らすために食事を抜いたり、バナナのように一種類のものだけを食べたりして、体重の増減に一喜一憂しているダイエットが、いかに知的でなく体に良くないことかを、ていねいに説明してくれます。考えてみれば、ダイエットの目的は数字を減らすことではなく、美しくなることですもの、肌も髪も爪の先まで、食べたものから出来上がっていると思えば、当然のことですよね。ダイエット中でも良質の油をとる、たんぱく質をとる、フルーツと野菜をとる、穀類を食べる、塩分を控える・・・アタリマエといえば当たり前のことばかりです。その中で印象に残ったのが「白いものを食べない」ということでした。白米じゃなくて玄米、白砂糖じゃなくて黒糖、白いパンじゃなくて全粒粉のパン。精製されたものは、食物繊維が抜けていて、血糖値が上昇しやすい。急に上がると下がりやすく、老化の体内時計を早めるのだそうですよ。そうかあ。ミューズリーは美のためにとてもいい食品だったのね。世界一の美女どころか、びりっけつの美女にもなれない私ですが、これからも手作りミューズリーを食べようとニッコリしたぱぐらでした。
2009.10.09
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私はカレーライスがだーい好き。若い頃は一なべ作れば、それがなくなるまで、二日でも三日でも食べ続けて平気でした。それなのに、あーあ!年はとりたくないなあ。この頃は脂っこさが胃にもたれて、あまりたくさん食べられません。だったらたくさん食べなきゃいいのに、やっぱりカレーは山盛り食べたいよーそれで、こんなカレーライス作ってみました。さっぱりスッキリ、脂っこくなくて、でもおいしいカレーです。たまねぎ、キャベツ、なす、きゅーり、セロリ、大根、にんじん、ズッキーニ、にんにく、しょうが・・・その他、野菜なら何でもOK。(私の好みでは、セロリとズッキーニは必須です)すべての野菜をみじん切りにして、お鍋へ。そこに冷凍のシーフードミックスと、トマト缶を入れて、弱火で煮るだけ。あ、ロリエもお忘れなくね。野菜が煮えたら、固形のカレールーじゃなくて、フレーク状のカレーを溶かします。私はこれを使いました。エバラ 横濱舶来亭カレーフレーク 180gなぜかフレーク状のカレーって、あんまり脂っこくないんです。これだけでおしまい。お試しください。さて、9月に読んだ本です。1「1Q84」 村上春樹 ★★★★☆2「森に眠る魚」 角田光代 ★★★★★3「朗読者」 ベルンハルト・シュリンク ★★★★★ 映画「愛を読む人」の原作。4「風に顔をあげて」 平安寿子 ★★★☆☆5「読書画録」 安野光雅 ★★☆☆☆6「きりこについて」 西加奈子 ★★★☆☆7「香水」 パトリック・ジュースキント ★★★★☆ 映画「パヒューム」の原作。8「きのうの神様」 西川美和 ★★★★☆ 9「最悪」 奥田英朗 ★★★★★10「邪魔」 奥田英朗 ★★★★☆11「海からの贈りもの」 アン・モロウ・リンドバーグ ★★★★★12「オイアウエ漂流記」 荻原浩 ★★★★★ちょうど読み終わる頃に、図書館から予約本が届くというグッドタイミングの連続で、なんだか追われるように読み続けたってかんじの一ヶ月でした。とぎれることなく読んでいたので、今月は洋書は一冊も読まなかった・・・いけないいけない。10月はちょっと日本語の本をお休みしようっと。
2009.10.06
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トンガからラウラ島へ向かう飛行機が、嵐のため墜落。一行がたどり着いたのは、ちいさな無人島でした。よくある無人島サバイバル物ですが、この本、一言で言えば抱腹絶倒の読むマンガです。とにかく一行の面々がおもしろすぎる。主役は出張にいやいやついてきた、頼りなさげなサラリーマン。何もできないくせに威張るしか能のない部長、その言いなりになっている課長、美人だけどキツイ女性主任、スポンサーの御曹司、へつらう部長、・・・彼らが、揺れる飛行機の中でも海上の救命ボートの中でも無人島にたどりついてからも、会社の上下関係そのままに滑稽な人間模様をくりかえす・・・あれあれ・・・?この面々、そういえば「メリーゴーランド」のお役所の人たちにちょっと似てないですか?どんな状況になっても、何より大切なのはお役所の上下関係。全ての行動や判断が、役所の上下関係を基本としている。この会社員たちの他に、怪しい外人、小学生と半分ぼけかけたおじいちゃん、まだ相手のことがよくわかっていない新婚夫婦と、セントバーナード犬一頭。ぜんぜんまともじゃない人々が、無人島で暮らすうちに、だんだんと生きる知恵を出し合い協力していくようになる。そう書けばなんだかアタリマエの展開みたいですが、そこは荻原浩さんです。笑える場面満載で、長い長い物語も、あっというまに読了でした。バカみたいな御曹司に注目ですよ。全体の笑いの半分くらいは、彼が受け持ってます。また、新婚の奥さんのたくましさといったら!そして無人島の物語といえば、一番気になるのは結末ですが、それは最後の最後の最後まで伏せられていて、さらりと触れているだけ。その後の人間関係も気になるところですが、そこを書かないところが、また憎いなあ・・・仕事でいやなことがあったとき、マンガのかわりにこれを読むって、いかがでしょうか。無人島に流れ着いても、深刻にならず、暗くならず、絶望もせず、悲壮にもならない。そんな無人島小説があっても、いいですよね。オイアウエ漂流記
2009.10.02
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