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スタジオ・ライヴ感の強いソロ・セカンド作 テイスト(参考過去記事)での活動を経て、1970年代に入ってソロとしての活動を進めたロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)。そのソロ・ファースト作は1971年5月にリリースされた『ロリー・ギャラガー』だったが、同年11月に早くもセカンド作を発表している。それが、本盤『デュース(Deuce)』ということになる。 基本となるメンバー(ロリー・ギャラガーに加えて、ベースのジェリー・マカヴォイ、ドラムスのウィルガー・キャンベル)は前作と同様で、全体としては、いい意味で“やりたいようにやれている”というのが、筆者の抱いている印象である。なおかつ、スタジオ・ライヴ感の強い演奏が印象的と言えそうな一枚だと思う。 後発のCDでは、1.と2.の曲順が異なる(下記のデータは再発CDで曲順が入れ替わった盤に基づいたもの)。そこでは2曲目となっている「ユースト・トゥ・ビー」がオープニング・ナンバーに相応しい(とはいえ、1.「目が覚めないボク(アイム・ノット・アウェイク・イェット)」が名曲でないという意味ではまったくない)。これら2曲のほか、特に筆者の好みのナンバーとしては、6.「キミの町で(イン・ユア・タウン)」や10.「波の峰(クレスト・オブ・ア・ウェイヴ)」なんかが挙げられる。同時に、アコースティックな演奏も随所で光っており、中でも9.「心が乱れて(アウト・オブ・マイ・マインド)」がいい。なお、11.「パスエイジョン」はCDでの追加曲だが、元々のアルバムに含まれても遜色のない好曲にして好演奏だと思う。[収録曲]1. I'm Not Awake Yet2. Used to Be3. Don't Know Where I'm Going4. Maybe I Will5. Whole Lot of People6. In Your Town7. Should've Learnt My Lesson8. There's a Light9. Out of My Mind10. Crest of a Wave11. Persuasion*CDボーナストラック1971年リリース。 デュース [ ロリー・ギャラガー ] デュース 50周年記念 2CDエディション [ ロリー・ギャラガー ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年01月28日
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ハード・バップからファンキーへ 本盤『ライト・フット(Light Foot)』は、『ブルース・ウォーク』と同じ年(1958年)に録音されたアルト奏者ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)のリーダー作である。発売時期は数年後となったが、メンバー(ドラマー以外は同じ顔ぶれ)を見てもわかるように、『ブルース・ウォーク』と同じ編成であり、似た傾向を持った作品と言える。 その特徴は、ピアノ・トリオにドナルドソンのワン・ホーンという編成に、コンガ(レイ・バレット)が加わっている点。そして、ピアノの担当がハーマン・フォスターという個性的なピアニストという点にある。この二人の組み合わせは、“ファンキー・ジャズ”というワードで表現されることが多い。少し言葉を足すならば、ハード・バップが存在してこそのファンキーだったのではないかと思ったりする。つまりは、何もないところから、このファンキーなノリが出てきたという訳ではない。ジャズ音楽の進展とともに一つのスタイル(ハード・バップ)が出来上がってきて、それがあったからこそ、このファンキーなサウンドが生まれることになったのではないだろうか。 アルバム収録曲のうち、前半(1.~3.)はドナルドソンのペンによるナンバー。対して、後半(4.~7.)は彼以外の人物によるナンバーが演奏されていて、ハーマン・フォスターの曲(6.)や有名スタンダード(7.)も含む。 注目したい曲としては、まずは冒頭に収められている表題曲の1.「ライト・フット」。ハード・バップを踏まえてファンキーへと向かうという、上述のイメージがよくわかる演奏だと思う。続いては、3.「メアリー・アン」。曲の冒頭から、レイ・バレットのコンガが実に効果的で、なおかつ饒舌なロナルドンのサックスがいい。7.「星影のステラ」は、サックスをはじめとして演奏全体の滑らかさが心地よい。 正座して聴く(ジャズのリスナーにはそうした傾向の人が一定数いる)のではなく、リラックスして聴く。そしてその内容は、小難しいというよりは大らかで楽しい。しかし、従前の音楽を再現しているわけではなく、“らしさ”を発揮している。本盤『ライト・フット』は、そんな風に楽しんで聴く作品と言えるような気がする。[収録曲]1. Light-Foot2. Hog Maw3. Mary Ann4. Green Eyes5. Walking by the River6. Day Dreams7. Stella by Starlight[パーソネル・録音]Lou Donaldson (as)Herman Foster (p)Peck Morrison (b)Jimmy Wormworth (ds)Ray Barretto (conga)1958年12月14日録音。 ライト・フット [ ルー・ドナルドソン ] [枚数限定][限定盤]ライト・フット/ルー・ドナルドソン[CD]【返品種別A】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年01月25日
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デイヴィッド・クロスビー追悼 ミュージシャンの訃報が続きます。1月19日にデイヴィッド(デヴィッド、デビッド、デービッド)・クロスビーが死去しました(外部記事)。闘病生活の末、81歳で逝去とのことです。 ザ・バーズやスティーヴン・スティルス、グラハム・ナッシュ(後にニール・ヤング)とのスーパーグループでの活躍、ドラッグ漬けの生活に逮捕、音楽生活への復帰と、波乱万丈の人生でした。 そんなクロスビーを思い出しつつ、まずはザ・バーズ時代の「ターン・ターン・ターン(Turn! Turn! Turn!)」、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングのライヴでの「カット・マイ・ヘアー(Almost Cut My Hair)」の映像を続けてご覧ください。 彼のソロ作を1つ挙げるとなると、やはり1971年のファースト・ソロ作『イフ・アイ・クッド・オンリー・リメンバー・マイ・ネーム』(If I Could Only Remember My Name)』が代表作と言えるかと思います。余談ながら、2021年にはリリースから50周年記念のエディションが発売されました。このアルバムの中に収められている美曲「オーリンズ(Orleans)」をどうぞ。 ブランクを経て、1980年代後半には社会復帰を果たし、1980年代末には2枚目で18年ぶりとなるソロ作も発表しました。そのアルバム『オー・イエス・アイ・キャン』の表題曲「オー・イエス・アイ・キャン(Oh Yes I Can)」をお聴きください。 その後、最近まで複数のアルバムの発表を続けたクロスビーでしたが、2021年の8作目『フォー・フリー(For Free)』が最後のスタジオ・アルバム作品となりました。このアルバムもまた、染み入る美曲がいくつも収録されており、お勧めなのですが、その中の1曲を最後にお聴きください。「アイ・ウォント・ステイ・フォー・ロング(I Won't Stay For Long)」というナンバーです。 どうか安らかな眠りにつくよう、お祈りしています。R.I.P. ターン・ターン・ターン(Blu-spec CD2) [ ザ・バーズ ] デジャ・ヴ [ クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング ] 【輸入盤CD】David Crosby / If I Could Only Remember My Name (デヴィッド・クロスビー) 【輸入盤CD】David Crosby / Oh Yes I Can(デヴィッド・クロスビー) FOR FREE 【輸入盤】▼/DAVID CROSBY[CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年01月21日
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西海岸バップ・ピアニストの真価 クロード・ウィリアムソン(Claude Williamson)は、1926年生まれのジャズ・ピアノ奏者で、2016年に鬼籍に入っている。20歳代にカリフォルニアに移住し、西海岸(ウエスト・コースト)ジャズのピアニストとして、様々なセッションに参加した。アート・ペッパー、マックス・ローチ、バド・シャンクなど様々な共演者がいるが、単に器用なだけではなく、自らもリーダー作を多く残した。それらのうち、代表盤の一つと言えるのが、本作『ラウンド・ミッドナイト(’Round Midnight)』である。 このウィリアムソンという人は、脇役と主役の区別をはっきりと付けられる人だったのだろう。リーダー作の本盤では、明確に主役としてのピアノ演奏に徹している。テディ・ウィルソン、アル・ヘイグやバド・パウエルに影響を受けたとされるが、バップ全開のピアノ演奏を披露している。一言で表すならば、バド・パウエルを西海岸風にしたといった感じの演奏で、濃そう(曲の途中でしばしばそう感じることがある)でありながら、さらりとしている(1曲を聴いた後の印象は概ねこのようになる)という面白い特色のピアノ演奏である。 注目すべき演奏曲をいくつか見ておきたい。1.「星影のステラ」は、リーダー作としてピアノの存在感を存分に発揮しようという意気込みが伝わってくる演奏。テンポよく展開する4.「飾りのついた四輪馬車」は、後を引く演奏なのかと思いきや、聴き終えた後に残るすっきりした感じが印象的。7.「二人でお茶を」は、バド・パウエル風の疾走感がいい。9.「ラウンド・ミッドナイト」は、“濃くてさらり”というピアノ演奏の典型例と言えそう。結局のところ、クロード・ウィリアムソンのピアノを“白いバド・パウエル”と評するのは、あながち誇張ではないように思う。そして、聴いた後に感じるこのすっきりした西海岸らしさは、本家のバド・パウエルには到底できない所作なのだったりするのだろうと思う。[収録曲]1. Stella by Starlight2. Somebody Loves Me3. I’ ll Know4. The Surrey with the Fringe on Top5. Polka Dots and Moonbeams6. Hippy7. Tea for Two8. Stompin’ at the Savoy9. ’Round Midnight10. Just One of Those Things11. Love Is Here to Stay12. The Song Is You[パーソネル、録音]Claude Williamson (p), Red Mitchell (b), Mel Lewis (ds)1956年12月録音。 【中古】 ラウンド・ミッドナイト/クロード・ウィリアムソン 【中古】afb [枚数限定][限定盤]ラウンド・ミッドナイト (完全限定生産盤)/クロード・ウィリアムソン[CD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年01月20日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。昨年12月から更新が滞っていましたが、この間の記事を追加しました。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-B)へ → つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ → つづき(J-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたい です)をクリックお願いします! ↓ ↓
2023年01月17日
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高橋幸宏、追悼 訃報が続きます。イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の一員として知られるミュージシャン、高橋幸宏の死去が報じられました(外部ニュースへのリンク)。ここ数年、闘病中でしたが、1月11日に亡くなられたとのことです。 過去のこのブログを振り返ってみると、意外にも、YMOの楽曲やアルバムを取り上げたことがありませんでした。今回、彼の訃報を受けて、今さらながら、YMOのナンバーを載せておきたいと思います。 まずは、彼らの代表曲の一つ、「ライディーン」です。元は江戸時代の力士、「雷電(らいでん)」がタイトルだったと言われ、浮世絵をイメージしたものだったとのこと。言わずもがな、彼らの代表盤にして大ヒット盤のセカンド作『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』に収録された楽曲です。リマスター版の音源に基づいた映像をご覧ください。 1980年代前半、個々の活動を経て、解散前に世間を驚かせるようなものをということで、歌謡曲らしさを取り入れた楽曲およびアルバムが発表されました。カネボウのCMソングとなった「君に、胸キュン。 (浮気なヴァカンス)」およびこれが含まれたアルバム(『浮気なぼくら』)です。同じくリマスター音源に基づいたMVをご覧ください。 最後にもう一つ。同じ「君に、胸キュン。 (浮気なヴァカンス)」の往時の演奏シーンも見ていただこうと思います。ベストテンからの1コマです。 40年、50年前に活躍したミュージシャンの訃報が報じられるのは、時の流れと言えば確かにそうなのですが、70歳での逝去はまだ早いと言わざるを得ません。高橋幸宏のご冥福をお祈りしています。[収録アルバム]イエロー・マジック・オーケストラ / 『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』(1979年)イエロー・マジック・オーケストラ / 『浮気なぼくら』(1983年) ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー/YMO[CD]【返品種別A】 浮気なぼくら & インストゥルメンタル [ YMO ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年01月15日
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ジェフ・ベック追悼(追記) 1つ前の記事にも書いたとおり、ジェフ・ベックが亡くなりました。本ブログでも彼のアルバムを複数取り上げてきましたので、過去記事をまとめておきます。 お時間が許す方は、ぜひ過去のアルバム紹介をご覧になりながら、ジェフ・ベックの作品に思いをはせてもらえると嬉しいです。 ジェフ・ベック・グループ 『トゥルース(Truth)』(1968年) ジェフ・ベック・グループ 『ジェフ・ベック・グループ(Jeff Beck Group)』(1972年) ベック、ボガート&アピス 『ベック、ボガート&アピス(Beck, Bogert & Appice)』(1973年) ジェフ・ベック 『ブロウ・バイ・ブロウ(Blow By Blow)』(1975年) ジェフ・ベック 『ワイアード(Wired)』(1976年) ジェフ・ベック 『ギター・ショップ(Jeff Beck's Guitar Shop)』(1989年) ジェフ・ベック&ザ・ビッグ・タウン・プレイボーイズ 『クレイジー・レッグス(Crazy Legs)』(1993年) あらためてジェフ・ベックのご冥福をお祈りします。 【輸入盤CD】Jeff Beck / Truth (w/Bonus Tracks) (ジェフ・ベック) 【国内盤CD】ジェフ・ベック・グループ / ジェフ・ベック・グループ ギター・ショップ/ジェフ・ベック[Blu-specCD2]【返品種別A】 Jeff Beck ジェフベック / Crazy Legs 【CD】 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2023年01月14日
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ジェフ・ベック追悼 ジェフ・ベック(Jeff Beck)の訃報が報じられました(参考外部リンク)。菌性髄膜炎が原因で1月10日亡くなったとのことで、享年78歳でした。同世代のジミー・ペイジなんかと比べて、個人的にはずっと若いイメージがあったジェフ・ベックなのですが、この年齢での急な死去のニュースは残念でなりません。 ジェフ・ベックの死を悼んで、いくつかの曲を振り返っておきたいと思います。目立った形での彼のキャリアは、エリック・クラプトンの後釜としての、ヤードバーズでの活動から始まりました。その後はジェフ・ベック・バンドでの活動を展開しますが、今回の1曲目は、さらにその後の、ベック・ボガート&アピスとしての活動期のナンバーです。アルバム『ベック・ボガート&アピス』は筆者のお気に入り盤なのですが、その冒頭に収められた「黒猫の叫び(ブラック・キャット・モーン,Black Cat Moan)」をお聴きください。 さらにこの後、ジェフ・ベックは“フュージョン期”などと呼ばれる時期を迎えます。『ブロウ・バイ・ブロウ』や『ワイアード』といった名盤が生み出されますが、筆者は、この頃の彼のインスト演奏こそギタープレイの真骨頂が発揮されていると思っています。そこで、次は、『ブロウ・バイ・ブロウ』収録の「分かってくれるかい(You Know What I Mean)」を聴いていただこうと思います。 彼のインスト路線は、1989年発表のグラミー受賞作『ギター・ショップ』で一つの頂点を迎えます。元は同盤に収録された「ホエア・ワー・ユー(Where Were You)」のライヴ演奏の様子をご覧ください。 さらにもう一つ、どちらかというと晩年に近い時期のライヴ・パフォーマンスをご覧いただきたいと思います。2016年なので、70歳を少し過ぎた頃の映像で、ビートルズ・ナンバーの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」です。ジェフ・ベックらしさいっぱいの圧巻のギター・プレイです。 ジェフ・ベックのご冥福を心からお祈りします。R.I.P. [枚数限定]ベック・ボガート&アピス/ベック・ボガート&アピス[Blu-specCD2]【返品種別A】 【国内盤CD】ジェフ・ベック / ブロウ・バイ・ブロウ ワイアード [ ジェフ・ベック ] ギター・ショップ/ジェフ・ベック[Blu-specCD2]【返品種別A】 LIVE+ [ ジェフ・ベック ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年01月14日
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飽きずに聴き続けられるソロ・ピアノ盤 ジャッキー・バイアード(ジャキ・バイアード、Jaki Byard)は、1922年生まれのピアノ奏者。1999年に謎の多い射殺によって亡くなっている。チャールズ・ミンガス、エリック・ドルフィーや、ブッカー・アーヴィン、フィル・ウッズなど様々なミュージシャンと共演し、様々なスタイルの演奏を繰り広げたほか、サックスやトランペットも演奏するマルチなミュージシャンであった。 そんなバイアードの初レコーディングは、かつては1961年のものとされていたけれども、1980年代後半になって1960年録音の本作が日の目を浴び、この『ブルース・フォー・スモーク(Blues for Smoke)』が初レコーディング作ということが明らかになった。本作は、ピアノのみの楽器からなる、ソロ・ピアノ演奏盤である。 最初に本盤を聴いた時に筆者が抱いた感想は、バイアードは聴き手を楽しませてくれている、というものだった。それゆえ、この作品は通して聴いても決して飽きることがない。だが、繰り返し聴くにつけ、最初の感想はだんだん違うような気がしていった。この独自のピアノ演奏の世界は、作り出されたものではなく、自然に発露したものではないか。例えがよくないかもしれないが、セロニアス・モンクは、“奇才ぶり”を演出していたのではなく、素のままで“奇才”そのものだった。バイアードのこの独特のタッチや独特の間、そして何よりも演奏からにじみ出てくる“黒っぽさ”のようなものは、決してリスナーを楽しませるためではなく、彼自身が持っているものの発露と言えるんじゃないかと今では思っている。 上述の通り、どの収録曲(いずれも本人のペンによる)も楽しめて、なおかつ聴くたびに心を揺さぶられるのだけれど、見事な演奏の例をいくつか挙げると、4.「ピート・アンド・トーマス」、6.「フライト・オブ・ザ・フライ」、8.「ジャッキーズ・ブルース・ネクスト」、9.「ダイアンズ・メロディー」。いや、冒頭の連作2曲(1.「ホリス・ストンプ」と2.「ミラノからリヨン」)も外せない。表題曲の7.「ブルース・フォー・スモーク」もいいんだよな…といったわけで、結局は全編を聴くことになってしまう。筆者にとってはそんな作品だったりする。[収録曲]1. Hollis Stomp2. Milan to Lyon3. Aluminum Baby4. Pete and Thomas (Tribute to the Ticklers)5. Spanish Tinge No 16. Flight of the Fly7. Blues for Smoke8. Jaki's Blues Next9. Diane's Melody10. One Two Five[パーソネル、録音]Jaki Byard (p)1960年12月16日録音。 ブルース・フォー・スモーク [ ジャッキー・バイアード ] [枚数限定][限定盤]ブルース・フォー・スモーク/ジャッキー・バイアード[CD]【返品種別A】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2023年01月11日
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2023年はジャズで始動(3/3) 2023年開始のジャズ・ナンバーの第3回目、今回はベン・ウェブスター(Ben Webster)です。“ブルート”(“獣”とか“野蛮”の意)というあだ名で呼ばれたりもする人物ですが、筆者はこの人のバラード演奏にすっかり嵌まってしまっています。 そのようなわけで、今回は、このテナー奏者の「ザッツ・オール(That’s All)」という曲の演奏をお聴きください。 この独特の息づかいと溜めは、好みが分かれるところでしょうが、上にも書いたように、筆者にはどんぴしゃりなのです。1973年に64歳で没していますが、残した作品も結構多く、個人的には、徐々に見つけては買い揃えながら、楽しんでいるレジェンド奏者だったりします。[収録アルバム]Ben Webster / King of Tenors(1953年録音) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年01月05日
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2023年はジャズで始動(2/3) 2曲目は、心落ち着くピアノ演奏です。フェリペ・ゴルディージョ(Felipe Gordillo)は、メキシコのピアノ奏者。以前に本ブログでも取り上げた『エン・ブエロ』で披露されている1曲で、「パシエンシア」という曲をお聴きください。 ご覧のようにピアノ・ソロです。この映像は、2018年3月、メキシコシティの国立大学ラジオ局のホールでの演奏とのことです。曲タイトルの「パシエンシア」とは、英語のpatience、つまりは“忍耐”といった意味ですが、目をそっと閉じて瞑想させられそうな演奏といったところです。 2022年を思い返し、2023年への決意を新たにする。何だか筆者にはそんなナンバーといったような気がしてきました。[収録アルバム]Felipe Gordillo / En vuelo(2016年録音) 【中古】 Felipe Gordillo / En Vuelo 【CD】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年01月04日
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2023年はジャズで始動(1/3) 2023年が始まりました。年始はジャズで、というのが筆者の気分ということで、新年の動き出しに聴きたいジャズ・ナンバーを取り上げてみたいと思います。 まずは、しばらく前に無性に聴きたくなって、何度か繰り返して聴いたアルバムに収録されたナンバーです。トランペット奏者、ケニー・ドーハムの『ウナ・マス』所収の表題曲、「ウナ・マス(Una Más)」です。 アルバムにも記されていますが、この「ウナ・マス」というのはスペイン語の表題で、英語にすると“One More Time”とされています。“もう1回”、あるいは“もういっちょ”とでも訳せばよいでしょうか。 ともあれ、ドーハム節が炸裂し、ジョー・ヘンダーソン(テナー)のべったりした演奏も好みです。ハービー・ハンコック以下のトリオの演奏とよく絡んでいます。パスタに喩えれば、さながら濃厚なポモドーロ・ソースがしっかりこってり絡んだ熱々のショート・パスタといった感じです。ケニー・ドーハムの世間一般のイメージになってしまっている有名盤『静かなるケニー』のような演奏も嫌いではありませんが、この曲を聴くと、“やっぱりこういうのがケニー・ドーハムの魅力だよな”と思えてしまいます。[収録アルバム]Kenny Dorham / Una Más(1963年録音) Kenny Dorham ケニードーハム / Una Mas + 1 (Uhqcd) 【Hi Quality CD】 輸入盤 KENNY DORHAM / UNA MAS [CD] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2023年01月03日
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新年あけましておめでとうございます。毎年、同じようなことを書いているような気もしますが、今年も無理のない範囲で少しずつ更新していきたいと思います。本年もこのブログをよろしくお願いします。 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2023年01月01日
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