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70年代ロックの名曲たち(その3) 前回のドゥ―ビー・ブラザーズのところでも述べたように、70年代のアメリカにおけるロックの熟成過程が多面的なものであったことは、こういうタイプのアーティストの成功とも関連しているのかもしれません。メキシコ出身でアメリカの音楽界で見事に成功を果たしたカルロス・サンタナ率いるバンド、サンタナの「哀愁のヨーロッパ(Europa (Earth's Cry Heaven's Smile))」です。 サンタナが“凄いギタリスト”であることは、確かにその通りなのですが、70年代当時の状況を考えれば、南米出身者や中東の歌手、はたまたアフリカ人アーティストなどが認められるのは“果てしない夢”だった時代。例を挙げれば、ユッスー・ンドゥールのような成功は、70年代にはそう簡単に望めなかったのでしょう。 そんな中、メキシコ出身のカルロス・サンタナは、完全にアメリカ人の土俵に立って、その上で成功したと言えるように思います。その意味では、アメリカでのロック音楽の展開に“乗っかる”というよりも、むしろそれに寄与・貢献したといった感じではないでしょうか。 こういう“泣きのギター”は、別にサンタナだけではないですが、次の時代のロックを語る上でしばしば欠かせない要素としてお目にかかることを思えば、やはり70年代のロックの進展と切っても切り離せない、そんな中でこの「哀愁のヨーロッパ」は特上の名演奏ということになるのではないかと思います。[収録アルバム]Santana / Amigos (1976年) 【当店専用ポイント(楽天ポイントの3倍)+メール便送料無料】サンタナSantana / Amigos (輸入盤CD) (サンタナ) 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2014年01月31日
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70年代ロックの名曲たち(その2) 70年代にロックなるものが形成され熟成していった過程を思い返しつつ、“70年代ロックの名曲たち”と題して始めましたが、第2回目はアメリカン・ロックが形を成していった中で忘れてはならない、ドゥ―ビー・ブラザーズ(The Doobie Brothers)の曲を取り上げようと思います。 初期ドゥ―ビー・ブラザーズの代表盤として知られる『キャプテン・アンド・ミー』所収の「ロング・トレイン・ラニン(Long Train Runnin’)」です。 とにかく“格好いい曲”なわけですが、いわゆるアメリカン・ロックが出来上がっていく中で、西側から吹いた風はなくてはならなかったように思います。とくにこのドゥ―ビー・ブラザーズとイーグルスは外せない気がします。おまけに、バンド名が“ヤク・ブラザーズ(大麻兄弟)”とふざけていて、南部の泥臭い音楽要素を引きずっているのも大事なポイントです。 イギリスにおけるロックはともかく、アメリカにおけるロックは、ニューヨークで熟成されたわけでも、サンフランシスコで練られたわけでもなく、何だか多方向からいろんな形が提示されてそれらが合わさっていくようにして形成されていったのかなんて思ったりします。まあ、“メルティング・ポット”の国だから、と言われればそうなのかもしれませんが(笑)。[収録アルバム]The Doobie Brothers / The Captain and Me (1973年) 【送料無料】Forever YOUNG::キャプテン・アンド・ミー [ ドゥービー・ブラザーズ ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2014年01月29日
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70年代ロックの名曲たち(その1) 70年代は“ロックが形を成していった時代”と言ってもいいような気がします。求道的にロックに向かったものも、商業的方面にロックに向かったものもあったけれど、それらひっくるめてロックの完成期だったのかもしれないというわけです。60年代(とくに末)に、様々な道筋が示され、それが確固たる方向性を持っていったというのが、後付け的な筆者の見通しだったりします。 そんなことを考えながら、70年代のお気に入り曲を断続的にお届けしようと思った次第です。とりあえずは10回のシリーズになることを目標に、動画とともに個人的判断による名曲を思い付きで挙げていきたいと思います。 まず初回は、最初に相応しい70年代初頭のものをということで、ザ・フー(The Who)の「ババ・オライリー(Baba O'Riley)」です。 1971年発表の名盤『フーズ・ネクスト』の収録曲です。英米ではシングルカットされなかったのですが、ヨーロッパの他の国ではシングル発売もされたそうです。また、比較的最近では、2012年ロンドン五輪の閉会式でザ・フーが演奏した曲の一つですので、そちらの記憶がある方もいらっしゃるかもしれません。 ザ・フーは初期の爆発感というか爆裂感みたいなものもいいのですが、個人的にはシンセが入ってきてからの方が好きです。荒々しさは必ずしも失われず(特に当時のライブ映像からそれが感じられます)、その上で、完成度が一気に上がっている気がしてなりません。[収録アルバム]The Who / Who’s Next (1971年) 【RCP】【Joshinはネット通販部門1位(アフターサービスランキング)日経ビジネス誌2013年版】【送料無料】フーズ・ネクスト+7/ザ・フー[SHM-CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2014年01月28日
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絶対に聴くべし、「ザ・チャンプ」の名演 先に取り上げたジミー・スミス(Jimmy Smith)の『ア・ニュー・サウンド・ア・ニュー・スター~ジミー・スミス・アット・ジ・オーガンVol. 1』の続編が、この『ザ・チャンプ(A New Sound-A New Star: Jimmy Smith at the Organ, Volume 2)』という作品である。邦題だけを見ると別物のように思われるかもしれないが、原題を見れば、デビュー作と同じタイトルのパート2となっているのがわかる。 今の時代の感覚からすれば信じられないことかもしれないが、ジミー・スミスの最初のレコーディングからわずか1か月ほど後、ブルーノートは次の録音を行っていた。つまりは、先に録音した分がまだ発売すらされていない段階で、次なる作品を準備し始めていたわけである。普通なら、1枚目の反応(聴衆の間での受容度や人気具合、はたまた売れ行き)を見定めつつ、第2集を作るというのが“常識”だろうし、いまどきのレコード会社ならどこだって1枚目の売れ行きも分からないのに2枚目を出すような愚は行わないだろう。けれども、当時のブルーノート(というかアルフレッド・ライオン)は違っていた。よほど気に入っていたのか、はたまた売れるという確信が相当にあったのか、思い切ったレコーディングを進めた。 結果、ジミー・スミスはブルーノートの不動の売れっ子となった。1500番台として知られるシリーズ(大雑把に言って1501~1600番までの100枚だが、厳密には出なかったアルバムもあるので実際のところはそれより数枚少ない)のうち、何と13枚ものリーダー盤を残すことになった。100枚足らずのうちの13枚とは相当な比率であり、いかに売れっ子だったかが容易に想像できるだろう。さらに、それらのアルバム作品からは、これまた20枚ものシングル盤(45回転盤)が出され、ジュークボックスを賑わすこととなった。 本盤のベストは文句なしに1.「ザ・チャンプ」の名演。時間にして8分を超えるこの演奏は、半分に割ってまでシングル盤にも収録されたほどの、熱のこもった演奏である。“これがすべて”などと言うつもりは毛頭ない。でもやっぱり、これを聴かずしてジミー・スミスを語れないぐらいの名演とだけは言いたいと思う。[収録曲]1. The Champ2. Bayou3. Deep Purple4. Moonlight In Vermont5. Ready 'N Able6. Turquoise7. Bubbis[パーソネル、録音]Jimmy Smith (org), Thornel Schwartz (g), Bay Perry (ds)1956年3月27日録音Blue Note 1514 駿河屋なら各種キャンペーンにエントリーするとポイント5倍以上!【中古】ジャズCD ジミー・スミス/Vol.2~ザ・チャンプ【05P17Jan14】【画】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2014年01月25日
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ジャズ色の濃い秀逸作 ドクター・ジョン(Dr. John)が好きだという音楽通のリスナーは多い。ニュー・オーリンズという、音楽的に深みのある土地柄の出身で、ルーツに根差した音楽性が聴き手の興味を惹いて止まないのだろう。 ドクター・ジョンに関して、ニュー・オーリンズの音楽的ルーツと言うのは、一般的にはR&Bと括られる辺りにあり、“南部音楽”とか“スワンプ・ロック”などといった言葉で紹介されるのもその範疇にあるのだろうと思う。けれども、ルイジアナの音楽的背景はそう一筋縄ではいかず、ジャズ音楽の聖地としての側面も有する。実際20世紀初頭にジャズ音楽が発展していった過程について、ニュー・オーリンズがその発祥地と言われたりもするわけで、その音楽的バックグラウンドの大きさは半端ではない。 そんなことを念頭に置きながら、本盤『イン・ア・センチメンタル・ムード(In A Sentimental Mood)』を聴けば、多くのリスナーは合点がいくのではないだろうか。ドクター・ジョンは60年代末に音楽シーンに登場してからしばらくは、ヴードゥー教文化やサイケな部分などの特異性に注目が集まっていたかもしれないけれど、じつはとっても“ニュー・オーリンズなミュージシャン”だった。そもそもR&Bのバックグラウンドがあることは、当時の作品からも容易にわかる。けれども、それと同時に、ジャズ・スタンダードをジャズ・スタンダードらしく表現するのに何ら特別な苦労をしなくてよいらしい、というのが本盤を聴けばよくわかる。何よりこの歌は、ごく自然な“ジャズ・ヴォーカル”なのである。 聴き手(リスナー)や売り手(レコード会社や、近頃では検索用にいろいろタグを付けざるを得ない販売業者)は目の前にある音楽をジャンルに当てはめたくなりそうなものだけれど、これも全部含めてドクター・ジョンその人かと思うと、本当に奥が深いミュージシャンだ。 全編にわたって質が高いのだけれど、すっかりジャズ・シンガーという楽曲以外にピアノがメインの演奏にも注目したい。D・エリントンのナンバーで表題曲となっている5.「イン・ア・センチメンタル・ムード」はピアノ中心のインスト。コール・ポーターの有名曲8.「ラヴ・フォー・セール」も同じくドクター・ジョンのピアノが実にキマっている。ちなみに、オープニング・ナンバーの1.「メイキン・フーピー!」(リッキー・リー・ジョーンズとのデュエット)は、グラミーの最優秀ジャズ・ボーカル・パフォーマンスを受賞したが、これが彼にとって初のグラミー受賞だった。[収録曲]1. Makin' Whoopee! (duet with Rickie Lee Jones)2. Candy3. Accentuate The Positive4. My Buddy5. In A Sentimental Mood6. Black Night7. Don't Let The Sun Catch You Cryin’8. Love For Sale9. More Than You Know1989年リリース。 【当店専用ポイント(楽天ポイントの3倍)+メール便送料無料】ドクター・ジョンDR. JOHN / IN A SENTIMENTAL MOOD (輸入盤CD) (ドクター・ジョン) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2014年01月22日
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INDEXページを更新しました。これらのページでは、過去記事へのリンクをジャンル別、アーティストのアルファベット順にまとめてあります。お気に入りのアーティストや曲などを探しながら、お暇なときにでもお楽しみください。 なお、INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)から入ることができます。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-J)へ → つづき(K-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-E)へ → つづき(F-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2014年01月19日
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意図的な無計画性が成功の秘訣? ジョニー・グリフィンは、1928年シカゴ出身のテナー・サックス奏者。1950年代後半から1960年代前半にかけてとりわけ多くの録音があり、その後1980年代~90年代にいたるまで作品を残しているが、2008年に80歳で亡くなっている。 以前、『ザ・コングリゲーション』や『ザ・ケリー・ダンサーズ』を取り上げた際にも触れたように、グリフィンの魅力はただパワフルでスピードあふれるブロウにあるわけではない。特に初期の作品で印象が強いそうした部分も魅力ではあるけれど、いい具合にリラックスした感じが入って初めて“偉大なサックス奏者”と言えそうな気さえする。 その意味では、典型的にハードバップ的なセッションでありながら、表題が示すとおりの、どこかリラックスした雰囲気をもった1枚がこの『スタジオ・ジャズ・パーティー(Johnny Griffin’s Studio Jazz Party)』という盤。録音場所はニューヨークのスタジオなのだけれど、招待客(知り合いのミュージシャンや友人、その他の人たち)を聴衆として入れ、司会者(バブズ・ゴンザレス)を用意してパーティ仕立ての雰囲気で録音されている。 実際、1.「パーティ・タイム」と題された最初の短いトラックは、バブズ・ゴンザレスのマイク・パフォーマンスで、クラブでのライヴ風セッションの幕開けとなる。このMCから続けて2.「グッド・ベイト」は、グリフィンによるゆったりとしたテンポのテーマに始まる。次第にテンポを上げていきリラックスした雰囲気のまま展開されるアドリブは演奏内容だけでなく観客の盛り上がりも含め本盤の聴きどころになっている。 他の収録曲を聴いても同様のリラックス感を感じさせるものが多いのだが、このリラックス具合はどう演出されたのだろうか。ライナーでジョニー・グリフィン自身が明かしているところでは、小コンボでのブロウイング・セッション的演奏が好きで、あえて事前準備なしにソロを聴かせるこのスタイルに拘った。こうした“段取りされた無計画性”を考えた時、3.「ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー」のテナー・ソロなんかは実によくできた演奏のように思える。無計画に(?)アドリブ演奏が繰り広げられるセッションという雰囲気を意図的に作っていた訳である。[収録曲]1. Party Time2. Good Bait3. There Will Never Be Another You4. Toe-Tappin'5. You've Changed6. Low Gravy[録音、パーソネル]Johnny Griffin (ts), Dave Bums (tp), Norman Simmons (p), Victor Sproles (b), Ben Riley (ds), Babs Gonzales (MC)1960年9月27日録音。 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2014年01月17日
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オルガン・ジャズ第一人者のデビュー盤 ジミー・スミス(Jimmy Smith)は、1925年(1928年説もあり)ペンシルヴェニア出身のジャズ・オルガン奏者。1950年代半ばから2005年に亡くなるまで、半世紀近いキャリアを重ねたが、その最初期のアルバムがブルーノート・レーベルのこの『ア・ニュー・サウンド・ア・ニュー・スター~ジミー・スミス・アット・ジ・オーガンVol. 1(A New Sound-A New Star: Jimmy Smith at the Organ, Volume 1)』である。 元々、ジミー・スミスは父親のクラブ周りに子供の頃から加わっていた。そこでピアノも覚えたという。加えて、その頃のピアノと踊り(タップダンスをしていたらしい)が後に訪れる転機のベースになったと言われる。1950年代に入り、彼は、オルガン奏者ワイルド・ビル・デイヴィスの演奏を聴き、オルガンに目覚めたとのこと。借金をしてハモンドオルガンを手に入れた後は、水を得た魚の如く、その演奏に磨きをかけていく。ハモンド・オルガンを弾くには、鍵盤楽器なのだから、ピアノの能力がそのまま生かされるというのは想像される通りだろう。けれども、オルガン演奏には“脚”も必要である。踊りの経験はおそらくそのままオルガン演奏に生かされることになったということになったようだ。 そんな中、折しもブルーノートは名作群を世に送り出していこうという時期を迎えていた。1956年1月にジミー・スミスがニューヨークで初出演を果たすと、アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフは早速、この男のレコーディングを企図する。所謂“1500番台”の展開とぴったりと歩調があうことになったのが、この当時の彼であった。次々と吹き込まれ発売されていくオルガンによるジャズが世間の注目を集めるようになり、ジミー・スミスはオルガン奏者の代表としての立場を築き上げていくことになる。 とまあ、このような経緯で最初に録音されたのが、ブルーノートからの本デビュー作であったが、当時の聴き手にとっては、とにかく“びっくり玉手箱”的な音楽だったことだろうと想像する。ベースの部分もオルガン、メインでメロディを聴かせるのもオルガン、組み合わされているのはギターとドラム。3人編成にしてこの音の隙間のなさであるから、ジミー・スミスのオルガンの働きぶりがどれほどのものかがよくわかる。なるほど、マイルス・デイヴィスの“世界8番目の不思議”という評ほどこの驚異を的確に表しているものはないと言えるのかもしれない。[収録曲]1. The Way You Look Tonight2. You Get 'Cha3. Midnight Sun4. Oh, Lady Be Good!5. The High and the Mighty6. But Not for Me7. The Preacher8. Tenderly9. Joy[パーソネル、録音]Jimmy Smith (org), Thornel Schwartz (g), Bay Perry (ds)1956年2月18日録音Blue Note 1512 【RCP】【Joshinはネット通販部門1位(アフターサービスランキング)日経ビジネス誌2013年版】【送料無料】[枚数限定][限定盤]ア・ニュー・サウンド・ア・ニュー・スター/ジミー・スミス[SHM-CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2014年01月15日
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2014年01月14日
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起伏を楽しむホーン入りガーランド盤 レッド・ガーランド(Red Garland)は、マイルス・デイヴィスのクインテットのメンバーとして広く知られ、1955~58年までその一員だった。そのおかげで、1956~62年にかけてプレスティジやジャズランドといったレーベルに次々と録音を残す。その後、いったん引退してから70年代後半に復帰したものの、1984年に心臓発作で亡くなっている。 プレスティジ系の彼の吹き込みを見渡してみると、25枚のうち19枚がトリオでの吹き込み。名盤としてよく名が挙げられる『グル―ヴィー』を始め、本ブログでこれまで取り上げたところでは、初リーダー作の『ア・ガーランド・オブ・レッド』、個人的にお気に入りの『レッド・イン・ブルースヴィル』や『ブライト・アンド・ブリージー』など、トリオ演奏の印象が強い。けれども、トリオ盤を吹き込む一方で、管楽器を取り込んだ盤も残し、特にジョン・コルトレーン(テナー・サックス)とドナルド・バード(トランペット)をフィーチャーしたクインテットの一連のレコーディングがある。 本盤『ハイ・プレッシャー(High Pressure)』は、そちらの方の代表作。このメンバーでガーランドは、1957年11月15日と同年12月13日にまとめて録音を行っており、この盤では両日から5曲が収録されている。なお、この同じメンバーでは『ソウル・ジャンクション』があるが、そちらの方は11月15日の録音が収められている。実は、この2日間のセッションは、マイルスの“マラソン・セッション”みたいに、後でアルバムとして編集されることになるいわば“録りだめ”のレコーディングだった。前年のマイルスの2日間の吹き込みは、“契約の消化”という側面があったものの、レッド・ガーランドの録りだめにはどうやらそういう理由はなかったようだ。つまりは、純粋にイケるメンバーが揃い、ここぞとばかりにまとめて録音をしたということなのだろう。 実際のところ、本盤の内容はと言うと、決して衆目を集める盤ではないかもしれないが、“これぞハードバップ”なお見事な1枚。ジョン・コルトレーンは、この年、マイルスのグループを抜けた後、モンクのもとで研鑽を積み、初リーダー作を吹き込んで、独自のサウンドとスタイルを確立していったというまさに変化と昇り調子の時期。コルトレーンが“神の啓示をうけた”と語っているのがこの年の7月、そして、『ブルー・トレイン』を吹き込むのが9月で、その数ヵ月後が本セッションであった。他方、トランペット奏者のドナルド・バードも伸び盛りの時期で、この年はジジ・グライス(アルト・サックス)とのグループを結成していた。翌年からはブルーノートの吹き込みを開始し、59年の名盤『フエゴ(フュエゴ)』へと向かっていく。 トリオ盤との違いは、大きく言うと、やはりその起伏にあるように感じる。1.「ソフト・ウインズ」はアップテンポで、2.「ソリチュード」はエリントンのバラード。これだけでも起伏は十分にあるけれど、さらに、5.「トゥー・ベース・ヒット」では期待通りに(?)コルトレーンが突っ走っていく。単にガーランドのピアノを楽しむという発想ではなく、トランペット(D・バード)にサックス(J・コルトレーン)入りのピアノ・トリオを楽しむと考えて聴く方がいいだろう。二人のハードバップを体現する、想像力あふれるソロの合間をガーランドのピアノが転がっていく。ブローイング・セッションと形容するほどの激しさはないけれど、“やっぱりジャズっていいね”というセリフに落ち着く、実に好演奏が繰り広げられている。[収録曲]1. Soft Winds2. Solitude3. Undecided4. What Is There to Say?5. Two Bass Hit[パーソネル、録音]Donald Byrd (tp) John Coltrane (ts) Red Garland (p) George Joyner (b) Art Taylor (d)3.、4.: 1957年11月15日録音1.、2.、5.: 1957年12月13日録音 【当店専用ポイント(楽天ポイントの3倍)+メール便送料無料】RED GARLAND / HIGH PRESSURE (輸入盤CD)下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2014年01月13日
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稀有な女性シンガーの真価を代表盤から考えてみる(その2) 先回の『ブルー』で書いた内容の姉妹編ということで、今回は、ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)の別の有名アルバムを取り上げてみたい。1974年の第6作『コート・アンド・スパーク(Court and Spark)』というアルバム。ジョニ自身の絵でジャケットが飾られているが、前5作は肖像画や写真など何らかの形で彼女の姿がジャケットに登場していたが、本作では初めて本人の姿なしとなった。 さて、“女性シンガーソングライター”、あるいは“女性フォーク・シンガー”といった括りで普通イメージされるのは、静かな弾き語り風なものというのが典型的なイメージかもしれない。けれども、そのイメージから出発すると、このジョニ・ミッチェルという人は、掴みどころがはっきりしないアーティストになってしまう。というのも、彼女は、時とともに、もしくは必要性に応じて、楽曲を演奏する際の“音”を大きく変えていったからだ。そもそもギターのチューニングからして変則チューニングを多用することで知られ、これまでいろんな曲を作るのに50種類ほどの変則チューニング(本人の言葉によれば、“ジョニの奇妙なチューニング”)を使用しているとのことである。 もちろん、そうした工夫はギターのチューニングだけに見られるというのではない。バックを務めるミュージシャンも様々に変容していく。弾き語りのフォーク・シンガー的なところからスタートして、ロック系ミュージシャンを取り込んだのもそうだし、ミンガス(チャールズ・ミンガス)への傾倒も、ジャコパス(ジャコ・パストリアス)との出会いも、こうした一連の流れの中にあったのだろう。 そうした流れの端緒とも言えるのが、本盤『コート・アンド・スパーク』であった。平たく言えば、この盤はジャズ/ジャズ・フュージョン系のサウンドへの一歩を踏み出した作品であったということになるのだろうが、聴衆にも好意的に受け入れられ、チャートでは全米2位、カナダで1位と、商業的にも大きな成功を収めた作品となった。 女性として、ミュージシャンとして、ジョニ・ミッチェルはいろんな人と出会っていったわけだけれど、それは単に人とのつながりが広がっていくというだけでなく、音楽的にもどんどん広がっていったんだろうなと想像される。世の中には“自分の型”や“自身のスタイル”にもう少し頑なな人(“これが私です”とか平気で言うタイプの人)もいるが、ジョニはその正反対で、もっと柔軟性に富んでいた。それが1つのイメージで収まらないアーティスト、ジョニ・ミッチェル像にもつながるのだろうけれど、こういう柔軟で自由な生き方って、ある種、誰にでもできるものではないのかもしれない、と思わされたりもする。 その1『ブルー』へ[収録曲]1. Court and Spark2. Help Me3. Free Man in Paris4. People's Parties5. Same Situation6. Car on a Hill7. Down to You8. Just Like This Train9. Raised on Robbery10. Trouble Child11. Twisted1974年リリース。 【RCP】【Joshinはネット通販部門1位(アフターサービスランキング)日経ビジネス誌2013年版】【送料無料】コート・アンド・スパーク/ジョニ・ミッチェル[CD]【返品種別A】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2014年01月11日
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稀有な女性シンガーの真価を代表盤から考えてみる(その1) ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)は、1943年カナダ出身の女性シンガーソングライター。60年代、フォーク・シンガーとしてトロントで活動を開始し、68年にデビューした。その後、2007年まで(途中“引退”していた期間も含む)に20枚ほどのアルバムを発表しているが、音楽活動だけでなく芸術活動にも打ち込んだ。今回はジョニ・ミッチェルの代表盤とされるものを取り上げて、彼女の真価をテーマに少しばかり考えてみたい。 本盤『ブルー(Blue)』は、1971年発表の第4作となるアルバムで、初期の彼女の代表盤としてよくその名が挙げられる盤である。アルバム・チャートでは、イギリスで3位となったほか、カナダで9位、全米で15位を記録した。アルバム全体を一聴してみるとわかるように、何よりものめり込んだような特徴あるヴォーカルが印象的。声自体は野太いわけでもなく、かといって高音域をさまよう独特の歌声は“かよわい”とも表現しがたい一途さがあり、言葉で表しいにくい独特のヴォーカル表現である。歌詞の内容面では、恋愛の末(かつての恋人グラハム・ナッシュと別れた直後に書かれた楽曲が複数含まれる)や孤独感といったテーマが目につく。 演奏面に目を向けてみよう。全体としては、フォーク~フォーク・ロック調に分類されるような楽曲と演奏から成り、基盤を成すのはギターの弾き語りというスタイル。けれども、ロック系のサウンドやミュージシャンも巧みに取り込んでいて、スティーヴン・スティルス(4.でベースを担当)、ジェームズ・テイラー(1.、6.、9.でギターを担当)なんかが参加している。ジョニ自身はヴォーカルのほか、ギター、ピアノに加え、アパラチアン・ダルシマー(マウンテン・ダルシマー)を演奏している。 結局のところ、繊細さや感性といったものが存分に発揮され、心情の吐露というのが最大の特徴であるのは確かなのだろうけれど、それだけで本盤が名声を得たようにも思えない。その表現方法(音楽的要素)がセットになって初めて、名盤と呼ばれるこのような作品にしあがったのではないだろうか。その音楽的要素というのは主に二つあって、一つがヴォーカルの突き刺さるような鋭さ。鋭利というのは語弊があるかもしれないけれど、“さらりとしていない”とでも言い換えるとよいだろうか。とにかく随所で“ことば”が聴き手に突き刺さってくる。その意味ではリラックスして聴き流せる盤ではないということでもある。 最後にもう一つの要素というのは、演奏とメロディである。ギターとピアノの伴奏が中心の、あくまでフォーク的な調子であるにもかかわらず、メロディには起伏があり、演奏には曲ごとの変化がある。これがなかったら、いくら詞とヴォーカルが素晴らしくても、単調な作品になってしまっていたことだろう。そのようなわけで、何か一つが秀でているわけではなくて、トータルに優れていたからこその本盤というありがちな結論になってしまうのだけれど、とにかく知らない人にも一度は聴いてもらいたい名盤。無論、音楽的にはこれがジョニのすべてではないというのも事実なのだけれど。 その2『コート・アンド・スパーク』へ[収録曲]1. All I Want2. My Old Man3. Little Green4. Carey5. Blue6. California7. This Flight Tonight8. River9. A Case of You10. The Last Time I Saw Richard1971年リリース。 【送料無料】Forever YOUNG::ブルー [ ジョニ・ミッチェル ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2014年01月09日
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若いながら不思議なまでの円熟度 フリー(Free)のアルバムを1枚も取り上げていなかったことに気付き、今回は彼らの第4作にあたる『ハイウェイ(Highway)』を取り上げてみたい。真っ当に考えれば、『ファイアー・アンド・ウォーター』(1970年)や『フリー・ライヴ!』(1971年)といった有名盤があるものの、少々ひねくれた発想から、今回は『ファイアー~』の半年後にリリースされた本盤を取り上げる次第である。 フリーは、ポール・ロジャース(ヴォーカル)、ポール・コゾフ(ギター)ほか、ブルース志向のミュージシャンたちが集まってできた英国のバンド。1967年に結成され、翌68年にレコード・デビューした。1970年半ばにリリースされたサード作『ファイアー・アンド・ウォーター』が全英2位(全米では17位)となり、同作からのヒット・シングル曲「オール・ライト・ナウ」は、ロック界のクラシックとして定着している。 フリーというバンドは、ハード・ロックの礎を築いたグループとも評価される。とはいえ、ハードロックのその後の展開を知ったうえで実際に彼らの音楽を聴くと、この評価から受けるイメージからは意外なほど音数が少ない。決して悪い意味でこう言っているわけではなく、彼らの演奏は、実に落ち着いていて、しかも“いぶし銀”と形容したくなるほど渋い。 ところが、当時のロジャースとコゾフの年齢は、まだ20歳そこそこ。聴衆に広く受け入れられた前作の成功を考えれば、迷いだって生じても何ら不自然ではなかったように思う。そんな中、短期間で録音された本作『ハイウェイ』の落ち着きぶりは、異常なまでに成熟した若者たちだったという驚きすら与えるものである。 上述の“渋さ”は、よく言われるように、ヴォーカルのロジャースの力量、そしてコゾフの“泣きのギター”にあるのはもちろん、バンド全体のまとまりにもあったのだろう。本盤を聴いてその成熟度を感じながらしみじみ考えてみたりする。[収録曲]1. The Highway Song2. The Stealer3. On My Way4. Be My Friend5. Sunny Day6. Ride on a Pony7. Love You So8. Bodie9. Soon I Will Be Gone1970年リリース。 【RCP】【Joshinはネット通販部門1位(アフターサービスランキング)日経ビジネス誌2013年版】【送料無料】ハイウェイ+6/フリー[SHM-CD]【返品種別A】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2014年01月06日
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2014年01月04日
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ブルーノートでの第1作に見る新たな地平 ニューヨーク出身のアルト・サックス奏者、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は、若いうちからレコーディングの機会を得て、例えば1951年には20歳そこそこでマイルス・デイヴィスの『ディグ』の録音にも参加している。1950年代半ばからはリーダー作も吹き込み、主にプレスティジに次々と録音を行って作品を発表している(過去記事(1) ・(2) )。そして、プレスティジとの契約が切れた後の1959年からはブルーノートと契約し、このレーベルで作品の吹き込みを行うようになる。同年1月には早速ブルーノートでの初リーダー・セッションが録音されているが、この音源はすぐには作品にはならなかった(後に『ジャッキーズ・バッグ』のA面3曲となる)。 本盤『ニュー・ソイル(New Soil)』は、その数か月後(1959年5月)の録音。結果的には、このセッションがブルーノートからリリースされたマクリーン第1作となった。それまでのレコーディングと、ブルーノートでのレコーディングには大きな変化があった。『ニュー・ソイル(新しい地)』というタイトルは、本人曰く、彼のキャリアの大きな変化となる節目を示している。続けてマクリーン自身が語っているように(本盤ライナー参照)、ブルーノートでは長期間のリハーサルが与えられ、いきなりの本盤ではなく、5週間の準備期間の上にレコーディングがなされた。 その結果、この考え込まれ精緻さを増した演奏の質につながっているのだろう。良くも悪くも“出たとこ勝負”なのではなく、細部の緻密さのレベルが格段に高く、見事な完成度を誇る盤になっている。5週間というリハーサルを有効に活用したマクリーンも素晴らしいが、そもそもこれを用意したブルーノート(アルフレッド・ライオン)側はさらに素晴らしい見通しを持っていたのだろう。本作が吹き込まれた1959年というのは、ジャズの転換期を示す重要な年となった。マイルスの『カインド・オブ・ブルー』しかり、コルトレーンの『ジャイアント・ステップス』しかり…。ハードバップの時代から次の新たなジャズの時代への胎動が進んでいた。マクリーンはそうした次のステージを見据え、従来の演奏・録音スタイルからの転換をうまく成し遂げた。 上述の精緻さと完成度はアルバム全体から感じられるが、あえて典型(かつ筆者のお気に入り)を挙げるならば、2.「マイナー・アプリヘンション」と5.「デイヴィス・カップ」。マクリーンが言うように“これまでとは違ったプレイ”を見せるドナルド・バードのトランペットとのアンサンブル、流れるように展開されるマクリーン自身のソロの本領がとりわけ発揮されている。さらに付け加えると、本盤で起用されたピアニスト(かつ半数以上の曲の作曲者)、ウォルター・デイヴィス・Jr.の活躍も見逃せない。本盤所収の演奏が間延びせずに流暢に展開していく上でこの人の存在はなかなか大きかったのではないだろうか。ちなみに、この数か月後、ウォルター・デイヴィス・Jr.もまたブルーノートでのリーダー盤(『デイヴィス・カップ』、ただしこの表題の曲は同盤ではなく本マクリーン盤に収録と少々ややこしい)を吹き込むことになる。[収録曲]1. Hip Strut2. Minor Apprehension3. Greasy4. Sweet Cakes5. Davis Cup6. Formidable(CD追加曲)[パーソネル・録音]Jackie McLean (as)Donald Byrd (tp)Walter Davis Jr. (p)Paul Chambers (b)Pete La Roca (ds)1959年5月2日録音。Blue Note 4013 【送料無料】【輸入盤】New Soil (Hyb) [ Jackie Mclean ]↓通常(廉価)版↓ 【当店専用ポイント(楽天ポイントの3倍)+メール便送料無料】ジャッキー・マクリーンJACKIE MCLEAN / NEW SOIL (輸入盤CD) (ジャッキー・マクリーン) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2014年01月03日
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あけましておめでとうございます。2014年がスタートしました。今年は5年目を迎える予定の本ブログですが、例年と同様、無理しすぎないようにマイペースを維持しながらの更新を目標に続けていきたいと思います。あと、もう一つの今年の目標は、“そのうち紹介できるさ”などと軽く考えつつ記事にできていないアルバムが結構たくさんたまってきていますので、これらの記事を少し頑張ってあげていければ、などと思っています。今年もよろしくお願いします。昨年に引き続き、お楽しみいただければ幸いです。下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2014年01月01日
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