小玉智子のお買い物ブログ

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2010年01月05日
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 2010年が始動!
昨年にDVD発売された映画で、まだ紹介したい作品がたくさんありますので、1月はなるべく多く更新していきます。本年もよろしくお願いいたします。

 2009年を振り返ると、日本では政権交代、アメリカでは黒人の大統領誕生と、日米の政治にとって歴史的な1年でした。
 今回ご紹介するのは、オバマ就任の陰で、ブーイングを浴びながらホワイトハウスを去った嫌われ者の大統領、ジョージ・W・ブッシュの半生を描いた『ブッシュ』(2008年)、ウォーターゲート事件によって大統領辞任に追い込まれたリチャード・ニクソンと、彼にインタビューを試みたデビッド・フロストとの一騎打ちを描く『フロスト×ニクソン』(2008年)、そしてゲイの活動家ハーヴィー・ミルクがゲイの迫害と戦い死を遂げるまでを描く『ミルク』(2008年)をご紹介します。

 まずは、8/21にDVDが発売された『フロスト×ニクソン』から。
 英国でTV番組の司会を務めるデビッド・フロストは、ニクソンにインタビューするという無謀な計画をたてる。全財産をつぎ込み、借金までしてアメリカ進出を狙うフロスト。対するニクソン側は意外にも簡単に取材を快諾。TV司会者のフロストを完璧に見下した彼らは、この取材を政界に返り咲く格好の材料にしようと考えていたのだ。かくして、1977年3月、伝説のインタビューが開始される…。
 出演は、原作の舞台劇でニクソンを演じ、トニー賞を受賞している俳優フランク・ランジェラと、同じくフロスト役を演じたマイケル・シーン。監督は『ダ・ヴィンチ・コード』(2006年)のロン・ハワード。
 今回ご紹介する3本の中では最も解りやすいおススメ作です。人当たりがよく洒落た伊達男のフロストと、人前に出るのが苦手で嫌われ者のニクソン。正反対の二人の人物描写が人間味豊かに描かれているので、観客は自然に二人のキャラクターに愛着を感じてしまうはず。そして連日行われるインタビューの攻防が面白く、そんなに政治的背景を知らない人でも楽しめるエンタテインメント作品に仕上がっています。と言っても、殆どは、事の重大さに気付かず、ノープランで突撃取材を行うフロストがニクソン側に追い詰められていく姿にハラハラさせられるのですが…。そして、捨て身の彼が逃げずに最後のインタビューで大勝負に出ます。果たしてニクソンの反応は。最後まで、目が離せない展開です。
 このインタビューで、ニクソンが辞任後始めて、ウォーターゲート事件について言及したわけですが、人に好かれる天性の魅力を持ったフロストに少なからず親近感を感じたニクソンが、「こいつになら話してもいいか」と、一瞬、気を許したのかもしれないな?私はそんな印象を受けました。皆さんはどのように感じるでしょうか。
 (※『フロスト×ニクソン』は1/22発売の廉価版を下にリンクしました。)

 次は、9/11にDVDが発売された『ブッシュ』。
 監督は、『プラトーン』(1986年)でアカデミー賞作品賞・監督賞を受賞し、『JFK』(1991年)、『ニクソン』(1995年)といったポリティカル・サスペンスの秀作を数多く手がけるオリバー・ストーン。
 主演のジョージ・W・ブッシュを演じるのは、2007年のアカデミー賞受賞作『ノーカントリー』で、ハビエル・バルデムに追われる役をこなし、『ミルク』でもショーン・ペンの相手役を演じながら、未だ、アカデミー賞無冠のジョシュ・ブローリン。『グーニーズ』(1985年)の頼もしいお兄ちゃん役の青年が、こんなにむさ苦しいオヤジになっているのもビックリですが、今作では、嫌われ者のブッシュを、いささか同情に値する愛すべき人物に演じています。
 本作の見どころの一つは、出演者たちが見せるブッシュの家族と側近たちの形態模写。 エリザベス・バンクスが演じる妻のローラ、ジェームズ・クロムウェルのパパブッシュ、エレン・バースティンの妻バーバラ、そして、 タンディ・ニュートンのライス、 リチャード・ドレイファスのチェイニー副大統領など、演技派俳優たちが実物そっくりな巧演をしています。
 オリバー・ストーン監督は、社会派ドラマを撮らせたら抜群の人ですが、伝記ものとなると、かなり、素材となる人物に感情移入してしまう傾向があります。今回も、ブラックユーモアを交えつつも、ブッシュを、ブッシュ家に生まれ、パパブッシュの威厳に怯え、出来のいい兄と比較されて育ったかわいそうな男-というようなニュアンスで描いています。また、アメリカを間違った方向に導いた責任はブッシュ本人だけではなく、ブッシュのブレインたちにも同様にある、とも言っているように感じます。いずれにせよ、大統領になる能力のない男が、本人の意志に反して大統領になってしまった…。それが現実と考えると、怖くなります。

 最後は、10/21にDVDが発売された『ミルク』。
 アカデミー賞主演男優賞、脚本賞受賞作。 監督は『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年)のガス・ヴァン・サント。
 ハーヴィー・ミルクは1970年代にニューヨークからサンフランシスコに移り住み、有名なヘイト・アシュビー地区、カストロ地区にゲイ・コミュニティーを作り、ゲイの迫害と戦った活動家です。1977年にはサンフランシスコ市政委員に当選。アメリカ全土で巻き起こるゲイの公民権を認めないという、反ゲイ法案と戦い勝利を収めました。
 このハーヴィー・ミルクを演じたのはショーン・ペン。初の主演男優賞を受賞した『ミスティック・リバー』(2003年)では、元々彼が持つバッドなイメージの役柄でしたが、本作では違うのです。彼のこれまでのバッドボーイ的なイメージを完全に消し、ゲイの役柄ながらオーバーアクトもせず、ハーヴィー・ミルクという人物になりきっています。本作ではベスト・アクトと言ってもいい名演をみせてくれています。48歳にして、ますます演技の幅を広げていく彼のパワーに驚かされます。
 その他、ミルクの恋人、スコットを演じたジェームズ・フランコ、活動家の一人、クリーヴを演じた若手実力派エミール・ハーシュも力演。
 ただ若干気になるのが、重要な役柄であるアイルランド系の元警官ダン・ホワイト。彼については、キャラクター描写が甘く、彼の言動の真意が伝わってきません。実話を映画化する場合、親族や関係者への配慮から表現があいまいになることがありますが、今回もそれが一因にあるのかもしれません。演じる『ブッシュ』のジョシュ・ブローリンは、そんな中でもダンが内面に抱える苦悩を何とか表現しようとしています。
 日本ではあまり知られていない人物ミルクですが、本作を観れば、いつの時代でも無くならないマイノリティへの偏見を知り、反ゲイ法案に屈しなかったアメリカ人の善意に感動出来ると思います。

 次回は、1/6にDVDが発売されるニコラス・ケイジ主演のSFサスペンス『ノウイング』(2009年)をご紹介します。





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最終更新日  2010年01月06日 00時49分01秒


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