小玉智子のお買い物ブログ

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2010年01月06日
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 年末公開の『2012』(2009年)はご覧になりましたか?『ID4』(1996年)のローランド・エメリッヒ監督が『デイ・アフター・トゥモロー』(2004年)に続いて人類滅亡の恐怖を描いた作品です。『2012』はマヤの予言の中で人類滅亡を予言していますが、『ノウイング』は50年前のタイムカプセルに入っていた謎の数字が予言します。今回は、『アイ、ロボット』(2004年)のアレックス・プロヤス監督が描くSFサスペンス『ノウイング』(2009年)をご紹介します。

 宇宙物理学者のジョンは、息子クレイヴが持ち帰った50年前のタイムカプセルに入っていた手紙に興味を持つ。ただ数字が羅列してある手紙。何か意味があるのではないかと調べる内、その数字が過去50年に起きた事故の日時や場所、犠牲者数と一致していることに気づく。しかも最後の二つの日付は間近に迫っている!この手紙を書いたのは誰なのか?そして予告された大惨事は本当に起るのか…。

 ハリウッドで量産される地球崩壊、人類滅亡のSFサスペンス。これもその中の1本なのですが、他の作品とはちょっと違った楽しみ方も出来るのです。ポイントは3つ。

 まず1つ目は、映像で魅せる!監督のアレックス・プロヤスは、『クロウ/飛翔伝説』(1994年)、『ダークシティ』(1998年)といったダーク・ファンタジーでカルト人気を集め、ウィル・スミス主演の『アイ、ロボット』(2004年)では洗練された映像美でメジャー監督に仲間入りを果たしたヒットメーカーです。今回は、飛行機事故、ニューヨークの地下鉄脱線事故、太陽フレアによって炎につつまれる地球の地獄絵、そしてクライマックス…と、様々なシーンに見せ場を用意しています。飛行機事故のシーンでは、手持ちカメラの長廻しでドキュメンタリー風に撮影するなど、プロヤス監督の映像は、安っぽさを感じさせません。

 2つ目はストーリーの緻密さと衝撃のラスト。原案・脚本を手掛けたライン・ダグラス・ピアソンは、ブルース・ウィリス主演の『マーキュリー・ライジング』(1998年)の原作者。国家の極秘コードを解読するという暗号解読ものを手掛けただけあり、今回も、数字に隠された謎を解くというサスペンスがドラマの鍵になっています。また、ダークファンタジーを得意とするプロヤス監督は、息子ケイレヴが耳にするささやき声や彼に近づく黒服の男たちをホラー調に描きつつ、母を事故で亡くし、引きこもりがちの息子ケイレヴと、酒に逃げる父ジョンの親子愛や、数字に隠された秘密を探る謎解きサスペンスで、最後まで飽きさせないドラマを展開させます。
 さらに、オチはネタバレになるので言えませんが、キリスト教の至福千年王国を思わせる宗教思想を匂わせます。欧米人ほど宗教(キリスト教)に詳しくない我々日本人には理解しづらいですが、興味のある方は、映画を観た後で調べてみてください。
 (※1/6発売のDVDには映像特典や監督の音声解説も入っていますので、そこに解説があるかもしれませんね。)

 3つ目はニコラス・ケイジの大芝居を楽しむ。本作のニコラスは、ニコラスなしには語れない程、出ずっぱり。『月の輝く夜に』(1987年)、『ワイルド・アット・ハート』(1990年)、アカデミー賞主演男優賞を受賞した『リービング・ラスベガス』(1995年)の頃は演技派俳優でしたが、何を思ったか、『ザ・ロック』(1996年)からアクション・スターに転向。最近では『ナショナル・トレジャー』(2004年)などの大作で稼ぎつつ、『ウィッカーマン』(2006年)、『ゴーストライダー』(2007年)を自ら製作・主演し、オリジナルのファンから大ブーイングを受けながら、『NEXT-ネクスト-』(2007年)では『マトリックス』のエイジェント・スミスもどきを演じたりとやりたい放題。もはや金持ちの道楽としか思えない採算無視の映画製作を続けています。いくら良家の息子とはいえ、もはや破産寸前とか。大丈夫か、ニコラス!!と言っても、決してニコラスをバカにしているのではありません。そんな映画オタク丸出しのニコラス出演作品を立て続けに観ていると、今度は彼がどんな大芝居をするかと楽しくなってきたのです。今回はプロヤス監督の演出だけに、ニコラスは全編、真面目に演じていますが、それでもアクションあり、涙あり、笑いありとニコラス大活躍!少々B級目線ではありますが、この楽しみを、皆さんにも、ぜひ、味わっていただきたいのです。

 最新のCG映像あり、サスペンス・ホラー調のドラマあり、B級映画的楽しみもあり、ラストの解釈論あり。これだけ多角的に楽しめる作品はそうそうないと思います。

 次回は、1/8にDVDが発売される作品2作。原作「朗読者」を映画化した戦争文芸ドラマ『愛を読むひと』(2008年)を、続けて西川美和監督の最新作『ディア・ドクター』(2009年)をご紹介します。





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最終更新日  2010年01月06日 22時09分13秒


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